(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
太陽歯車(36)とクラウン(50)とを備え、前記クラウン(50)が車両の熱機関(10)の機関軸(12)に連結されている単一の遊星歯車列(26)であって、運動伝達トラック(102)によって前記車両の駆動軸(16)に連結された遊星歯車保持部(58)をさらに備えた単一の遊星歯車列(26)を有する、モータ付車両のパワートレイン用の速度変化伝達装置において、
前記太陽歯車(36)と前記クラウン(50)は、制御された継手(28,30)によって前記機関軸(12)にそれぞれ連結され、かつ一方向継手(32,34)によって前記車両の固定部(48a,48b)にそれぞれ連結されていることを特徴とする、速度変化伝達装置。
前記制御された継手は摩擦クラッチ(30)を有し、該摩擦クラッチ(30)の摩擦ディスク(86)が前記機関軸(12)によって保持されている、請求項1または2に記載の速度変化伝達装置。
前記制御された継手は摩擦クラッチ(28)を有し、該摩擦クラッチ(28)の摩擦ディスク(68)が前記太陽歯車(36)の太陽歯車軸(42)によって保持されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置。
前記制御された継手は摩擦クラッチ(30)を有し、該摩擦クラッチ(30)の摩擦ディスク(86)が前記クラウン(50)の軸(56)によって保持されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置。
前記太陽歯車(36)は、該太陽歯車(36)から延びるスピンドル(44,244)に保持された前記一方向継手(32)によって、前記車両の前記固定部(48a)に連結されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置。
前記太陽歯車(36)は、太陽歯車軸(42)に保持された前記一方向継手(32)によって、前記車両の前記固定部(48a)に連結されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置。
前記クラウン(50)は、前記クラウンに保持された前記一方向継手(34)によって、前記車両の前記固定部(48b)に連結されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置。
請求項1から8のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置を使用して歯車比を得る方法であって、前記機関軸(12)と前記遊星歯車保持部(58)との間に歯車比(V1)を得るために、前記クラウン(50)を2つの回転方向のいずれにも回転させないことと、前記機関軸(12)と前記太陽歯車(36)との間の前記継手(28)によって、前記太陽歯車(36)の回転方向を1つの回転方向(P1)に制御することと、を含む方法。
前記機関軸(12)と前記遊星歯車保持部(58)との間に歯車比(V2)を得るために、前記太陽歯車(36)を2つの回転方向のいずれにも回転させないことと、前記機関軸(12)と前記クラウン(50)との間の前記継手(30)によって、前記クラウン(50)の回転方向を1つの回転方向(C1)に制御することと、を含む、請求項9に記載の方法。
前記機関軸(12)と前記遊星歯車保持部(58)との間に歯車比(V3)を得るために、前記機関軸(12)と前記太陽歯車(36)との間の前記継手(28)によって前記太陽歯車(36)の回転方向を1つの回転方向(P1)に制御することと、前記機関軸(12)と前記クラウン(50)との間の前記継手(30)によって、前記クラウン(50)の回転方向を1つの回転方向(C1)に制御することと、を含む、請求項9に記載の方法。
請求項1から8のいずれか1項に記載の速度変化伝達装置(14)を備えたパワートレインを有するハイブリッド型モータ付車両において、蓄電池に電気的に接続された電気機械(22)を有し、該電気機械(22)のロータ(24)が前記運動伝達トラック(102)に連結されていることを特徴とする、ハイブリッド型モータ付車両。
前記運動伝達トラック(102)は、前記ロータ(24)によって回転駆動されるアクチュエータ(108;210;310,318;520;714)を有し、該アクチュエータは、前記電気機械(22)の前記ロータ(24)を歯付き輪(104)によって前記遊星歯車列(26)に連結することと、前記電気機械(22)の前記ロータ(24)を歯付きプーリ(106,212,312)によって前記駆動軸(16)に連結することの少なくともいずれかを可能にする、請求項12に記載のハイブリッド型モータ付車両。
前記運動伝達トラック(102)は、前記ロータ(324)によって回転駆動されるアクチュエータ(318)を有し、該アクチュエータは、前記電気機械(22)の前記ロータ(24)を段状ピニオン(328)によって前記駆動軸(16)に連結させる、請求項13に記載のハイブリッド型モータ付車両。
前記運動伝達トラック(102)は、前記歯付き輪(104)を前記遊星歯車列(26)と前記駆動軸(16)の少なくともいずれかに連結させるスライディングピニオン(122)を有する、請求項13から16のいずれか1項に記載のハイブリッド型モータ付車両。
前記遊星歯車列(26)の前記遊星歯車保持部(58)は、前記スライディングピニオン(122)と協働する歯付き周辺ゾーン(120)を保持している、請求項17に記載のハイブリッド型モータ付車両。
前記運動伝達トラック(102)は、前記駆動軸(16)に回転を伝達する歯付き輪(114)を有するスリーブ(112)によって固定的に保持された前記ピニオン(110)を有する、請求項19に記載のハイブリッド型モータ付車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、必要な速度レベルを得るのを可能にする簡素で信頼できる速度変化装置によって上記の欠点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は太陽歯車とクラウンとを備え、クラウンが車両の熱機関の機関軸に連結されている遊星歯車列であって、運動伝達トラックによって車両の駆動軸に連結された遊星歯車保持部をさらに備えた遊星歯車列を有する、モータ付車両のパワートレイン用の速度変化伝達装置に関する。この伝達装置は、太陽歯車とクラウンが、制御された継手によって機関軸にそれぞれ連結され、かつ一方向継手によって車両の固定部にそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【0011】
一方向継手は自由輪を有することができる。
【0012】
制御された継手は摩擦クラッチを有し、摩擦クラッチの摩擦ディスクが機関軸によって保持されることができる。
【0013】
制御された継手は摩擦クラッチを有し、摩擦クラッチの摩擦ディスクが太陽歯車の太陽歯車軸によって保持されることができる。
【0014】
制御された継手は摩擦クラッチを有し、摩擦クラッチの摩擦ディスクがクラウンの軸によって保持されることができる。
【0015】
太陽歯車は、太陽歯車から延びるスピンドルに保持された一方向クラッチによって、車両の固定部に連結されることができる。
【0016】
太陽歯車は、太陽歯車軸に保持された一方向クラッチによって、車両の固定部に連結されることができる。
【0017】
クラウンは、クラウンに保持された一方向クラッチによって、車両の固定部に連結されることができる。
【0018】
本発明はまた、伝達装置を使用して歯車比を得る方法に関する。本発明の方法は、機関軸と遊星歯車保持部との間に歯車比を得るために、クラウンを2つの回転方向のいずれにも回転させないことと、機関軸と太陽歯車との間の継手によって、太陽歯車の回転方向を1つの回転方向に制御することと、を含むことができる。
【0019】
この方法は、機関軸と遊星歯車保持部との間に歯車比を得るために、太陽歯車を2つの回転方向のいずれにも回転させないことと、機関軸とクラウンとの間の継手によって、クラウンの回転方向を1つの回転方向に制御することと、を含むことができる。
【0020】
この方法は、機関軸と遊星歯車保持部との間に歯車比を得るために、機関軸と太陽歯車との間の継手によって太陽歯車の回転方向を1つの回転方向に制御することと、機関軸とクラウンとの間の継手によって、クラウンの回転方向を1つの回転方向に制御することと、を含むことができる。
【0021】
本発明はまた、速度変化伝達装置を備えたパワートレインを有するハイブリッド型モータ付車両に関する。このハイブリッド型モータ付車両は、蓄電池に電気的に接続された電気機械を有し、電気機械のロータが運動伝達トラックに連結されていることができる。
【0022】
伝達トラックは、ロータによって回転駆動されるアクチュエータを有し、アクチュエータは、電気機械のロータを歯付き輪によって遊星歯車列に連結することと、電気機械のロータを歯付きプーリによって駆動軸に連結することの少なくともいずれかを可能にすることができる。
【0023】
伝達トラックは、ロータによって回転駆動されるアクチュエータを有し、アクチュエータは、電気機械のロータを段状ピニオンによって駆動軸に連結させることができる。
【0024】
アクチュエータは、ロータを遊星歯車列の遊星歯車保持部に連結させることができる。
【0025】
アクチュエータは、電気機械のロータを遊星歯車列のクラウンに連結させることができる。
【0026】
伝達トラックは、歯付き輪を遊星歯車列と駆動軸の少なくともいずれかに連結させるスライディングピニオンを有することができる。
【0027】
遊星歯車列の遊星歯車保持部は、スライディングピニオンと協働する歯付き周辺ゾーンを保持することができる。
【0028】
伝達トラックは、歯付きプレートを駆動軸に連結させるピニオンを有することができる。
【0029】
伝達トラックは、駆動軸に回転を伝達する歯付き輪を有するスリーブによって固定的に保持されたピニオンを有することができる。
【0030】
スリーブは、スライディングピニオンと協働する歯付き周辺面を有することができる。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非制限的な例として与えられる以下の説明を読むことで明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、パワートレインは熱機関10、特に内燃機関を有している。熱機関10は、本実施形態では機関のクランクシャフトである機関軸(ドライブシャフト)12と、速度変化伝達装置14と、デファレンシャル装置20によって車両の駆動輪18の駆動を可能にする駆動軸16と、を有している。
【0034】
後述のように、機関軸12は、力を受け取る軸としても機能するが、説明を簡単にするために、このシャフトを伝達装置の他の軸と区別できるように単に機関軸と呼ぶ。
【0035】
ハイブリッド車両に適用される場合、パワートレインは、
図1に示すように、ロータ24を備えた電気機械22をさらに有している。電気機械22は、車両を駆動する電気モータとして働くことができ、あるいは発電機、特にバッテリ(不図示)を充電するオルタネータとして働くことができる。
【0036】
速度変化装置14は遊星歯車列26を有し、2つの制御された継手28,30と2つの自動一方向継手(または自由輪)32,34とを備えている。より正確には、遊星歯車列26は外周部38を含む太陽歯車36を有している。外周部38はフランジ40で保持され、外歯が付けられている。このフランジは、太陽歯車軸と呼ばれる軸42に固定的に取り付けられている。軸42は入力軸を形成しており、本実施形態では、軸12に対して自由に回転できるが軸12に対して並進運動できない、機関軸12を取り囲む中空軸である。このフランジは、中空軸42と同軸のスピンドル44によって機関の反対側まで延ばされている。中空軸42の自由端部は、太陽歯車自由輪と呼ばれる一方向継手32を介して、車両のパワートレインの固定部48aに保持された軸受46によって支持されている。歯車列は、太陽歯車と同軸に配置された内歯リング52を含むクラウン50と、クラウン軸と呼ばれる中空軸56に連結されたシェル54と、を有している。シェル54は別の入力軸を形成している。シェル54は太陽歯車の中空軸42を取り囲んでおり、軸42に対して自由に回転できるが、軸42に対して並進運動できない。クラウンは、クラウン自由輪と呼ばれる一方向継手34によって、車両のパワートレインの固定部48bに、その外周部で連結されている。
【0037】
もちろん、2つの自由輪32,34は、クラウン50と太陽歯車36が同じ方向、好ましくは機関軸12と同じ方向にしか回転できないように構成されている。
【0038】
最後に、この遊星歯車列は、外歯輪の形態の遊星歯車60を少なくとも1つ、好ましくは3つ備えた遊星歯車保持部58を有している。遊星歯車60は互いに同じ角度間隔(本実施形態では120°)で配置され、クラウン及び太陽歯車と噛み合う。従って、クラウンのリング52と、太陽歯車の外周部38と、遊星歯車60は、同じ平面、本実施形態では
図1における紙面と垂直な面内に配置されている。これらの遊星歯車は、それぞれが水平ピン62によって保持されており、水平ピン62の周りを自由に回転できるが、水平ピン62に対して並進運動することはできない。これらの遊星歯車は、管状の軸66に連結された垂直壁64に連結されている。管状の軸66は遊星歯車保持軸と呼ばれ、太陽歯車のスピンドル44を囲みつつ出力軸を形成している。
【0039】
太陽歯車軸及びクラウン軸の自由端部はそれぞれ、制御された継手28,30、好ましくは摩擦クラッチを保持している。そして、クラッチ28は太陽歯車クラッチと呼ばれ、回転運動はできないが並進運動は可能に太陽歯車軸42に保持された摩擦ディスク68を有している。この摩擦ディスクは、機関軸12に対して並進も回転もできないように機関軸12に取り付けられた受圧プレート70と、この受圧プレートに対して並進移動は可能であるが回転運動はできないようにされた押圧プレート72と、の間で押し付けられるようになっている。この押圧プレートの軸方向の変位は、切断アクチュエータ74によって調節される。このアクチュエータは、本実施形態では、車両のパワートレインの固定点78を中心にピボット運動するロッカーレバー76の形をしている。その一方の端部80は、受圧プレートを貫通して延び押圧プレートに連結されたタイロッド82上に位置しており、それによって軸方向の変位を調節する。受圧プレート70はタイロッドを越えて、水平壁84まで延ばされている。水平壁84は、摩擦ディスク68と同軸でありかつクラウンクラッチと呼ばれる他のクラッチ30に属する別の摩擦ディスク86を、回転できないが軸方向に自由に並進運動ができるように保持している。
【0040】
2つのクラッチはこのように連結されて、コンパクトな組立体が得られる。
【0041】
ディスク86は、クラウン軸56の自由端に並進も回転もできないように取り付けられた受圧プレート88と、他の切断アクチュエータ92の作用で軸方向に並進運動可能な押圧プレート90と、の間で押し付けられることができる。上述のように、このアクチュエータは、車両のパワートレインの別の固定点96を中心にピボット運動するロッカーレバー94の形をしている。その一方の端部98は、受圧プレートを貫通して延び押圧プレートに連結されたタイロッド100上に位置しており、それによって軸方向の変位を調節する。
【0042】
従って、太陽歯車クラッチ28が噛み合わされると、機関軸12が太陽歯車軸42に連結され、太陽歯車36はこの機関軸12と同じ速度で回転する。同様に、クラウンクラッチ30が作動しているとき、機関軸12はクラウン軸56に運動可能に連結され、クラウンは機関軸と同じ速度で回転駆動される。
【0043】
図1に示すように、遊星歯車保持軸66は、以下に詳しく説明する運動伝達トラック102によって、駆動軸16に連結されている。
【0044】
図2〜4は、機関軸12と遊星歯車保持軸66の間で、従って、駆動軸と伝達トラック102の間で3つの異なる歯車比を得ることが可能な遊星歯車列26の様々な構成を、
図1に関連して示している。
【0045】
すでに述べたように、太陽歯車36とクラウン50は、図中に矢印C及びPによって示されている回転方向への回転が、自由輪によって連続的に妨げられている。従って、この太陽歯車とクラウンは、機関出力軸と同じ回転方向、本実施形態では時計回りにしか回転することができない。
【0046】
第1の歯車比を得るときは、クラウンクラッチ30を作動させずに切断位置におきディスク86を解放するとともに、ディスク68を押し付けることによって機関軸12を太陽歯車軸42に連結し太陽歯車クラッチ28を動作可能にするように、切断アクチュエータ74,92が使用される。従って、太陽歯車は、
図2に示すように方向P1に回転駆動される。歯付き外周部38が遊星歯車保持部の遊星歯車60と噛み合うため、遊星歯車60は、その軸62の周りを方向R1に回転駆動される。この回転のため、遊星歯車は、これらの歯がクラウンの歯と協働することによって、自由輪34によって回転が防止されたクラウン上を転動する。これによって、遊星歯車保持部組立体は、
図2に示すように、歯車比V1で方向S1に回転する。遊星歯車保持部の回転はさらに、遊星歯車保持軸66(
図2では点で示されている)と運動伝達トラック102とによって駆動軸16に伝達され、デファレンシャル装置20によって車両の駆動輪18が駆動される。
【0047】
第2の歯車比(
図3)を得るためには、太陽歯車クラッチ28を作動させずに太陽歯車36を静止させ、かつクラウンクラッチ30を動作可能にして機関軸12をクラウン50に運動可能に連結するように、切断アクチュエータ74,92が制御される。クラウンは、機関軸12によって方向C1に回転駆動され、遊星歯車60をその軸62の周りで方向R1に回転駆動する。この回転と、太陽歯車36が自由輪32によって静止させられることとによって、遊星歯車は歯付き外周部上を転動し、遊星歯車保持部組立体を
図2と同じ方向S1に、しかしV1と異なる歯車比V2で、回転駆動する。遊星歯車保持部の回転は、上述のようにして、さらに駆動軸16に再伝達される。
【0048】
第3の歯車比(
図4)は、2つの切断アクチュエータ74,92の作用によって2つのクラッチ28,30を動作可能にすることによって得られる。従って、機関軸12は太陽歯車軸とクラウン軸の両方に連結されて、太陽歯車とクラウンの両方を回転駆動する。これによって、太陽歯車を方向P1に、クラウンを同じ方向C1に、機関軸12と同じ速度で回転させる効果が得られる。これらの異なる動きによって、遊星歯車保持部は、他の2つの歯車比V1,V2と異なる歯車比V3で、方向S1に回転する。
【0049】
太陽歯車を備え、2つのクラッチと2つの自由輪とを有するこの速度変化装置によって、機関軸と駆動軸との間の3つの異なる歯車比による速度変化を、高い信頼性で実現することが容易となる。
【0050】
もちろん、当業者であれば、歯のあらゆる寸法とあらゆる値及び形状を計算して所望の歯車比を得ることができる。
【0051】
再び
図1に関連し、ハイブリッド車両に適用される際には、遊星歯車保持軸66と実質的に平行なロータ24を備えた電気機械22が追加的に使用される。
【0052】
このロータは、ロータに対して並進運動できないが自由に回転できる歯付き輪(外歯輪)104を保持しており、さらに同じくロータに対して並進運動できないが自由に回転できる歯付きプーリ(外歯プーリ)106を、外歯輪104に対して一定の間隔で保持している。
【0053】
3つの作用を実現することのできるクローアクチュエータ108が、ロータ24上の外歯輪とプーリとの間に配置されている。このアクチュエータは回転できないが、自由に並進運動することができる。
図1に示すように、このアクチュエータが外歯輪104とプーリ106の両方と噛み合うと、ロータ24と外歯輪104との間及びロータ24とプーリ106との間の回転連結をともに実現することができる。このアクチュエータが外歯輪104と噛み合う場合は(
図1の右側)、ロータ24と外歯輪104との間の回転連結が実現される。アクチュエータ108がプーリ106と噛み合う逆の場合には(
図1の左側)、プーリとロータ24との回転連結が実現される。
【0054】
このプーリは歯付きピニオン110と協働する。歯付きピニオン110は、遊星歯車保持軸66を囲み遊星歯車保持軸66と同軸のスリーブ112によって保持されている。このスリーブは、駆動軸に連結された歯付き輪116と噛み合う歯付き伝達輪114も保持している。最後に、このスリーブの自由端は、ロータの外歯輪104と向かい合う位置に、歯付き周辺面118を有している。遊星歯車保持軸66の自由端もまた、外歯輪104と向かい合う位置に、歯付き周辺面120を保持している。二重歯(外歯及び内歯)を備えたスライディングピニオン122が、外歯の形成された領域でロータ輪104と常に協働しており、内歯の形成された領域で、歯付きゾーン120または歯付き面118あるいはその両方と協働する。
【0055】
もちろん、このスライディングピニオンとクローアクチュエータ108は、切断アクチュエータ74,92と同様、任意の種類のジャッキ(油圧式、空気式、電気式等)などの、任意の公知の制御手段によって制御される。これらの制御手段は、スライディングピニオン及びクローアクチュエータを軸方向に変位させ、あるいはレバー76,94の自由端への作用によってクラッチ28,30を切断することができる。もちろん、これらのすべての作用は、どのような車両でも備えている、パワートレインのコンピュータ(不図示)などの制御ユニットの監視下で実現される。
【0056】
次に、使用される駆動/推進モード及び/または熱機関及び電気機械の動作に応じたパワートレイン組立体の様々な構成について説明する。
【0057】
図5の構成は、特に車両の駆動機械として電気機械22のみが使用される電気モードを示している。従って、いずれの継手28,30も作動せず、アクチュエータ108はプーリ106のみと噛み合い、スライディングピニオン122は歯付き面118、歯付きゾーン120、及び外歯輪104のすべてと噛み合っている。電気機械22が給電されるとロータが直ちに回転駆動され、電気機械は電気モータとして作動する。回転運動はクローアクチュエータ108によってプーリ106に伝達される。プーリ106の回転は次にピニオン110に伝達され、次いでスリーブ112に保持された歯付き伝達輪114に伝達される。歯付き伝達輪114は、歯付き軸輪116と協働し、従ってこの回転を低歯車比で駆動軸16に伝達することを可能にする。スライディングピニオン122は歯付き面118、歯付きゾーン120及び外歯輪104と噛み合っているが、これらの部材は、機関軸12にもロータ24にも運動可能に連結されていないため、走行への影響はない。しかし、この構成によれば、車両が電気モードで駆動されている間に機関10を再始動することができる。
【0058】
この構成によれば、特に車両補助装置(パワーステアリングポンプ、空調コンプレッサなど)の駆動のために機関10を動作させたままにする可能性を残しつつ、車両を前進ギアで走行させることができる。
【0059】
図6の構成では、車両が電気モードで駆動され、熱機関が始動される。従って、上述のように、クラッチ28,30は動作可能であり、アクチュエータ108とスライディングピニオン122は
図5の位置に配置される。ロータ24は、回転させられるとすぐに、あるいは回転させられた後に、プーリ106と、ピニオン110と、スリーブ112の歯付き面118と遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120の両方と協働するスライディングピニオン122と、保持部58の遊星歯車60と、軸42が太陽歯車クラッチ28を通して機関軸12に回転連結された太陽歯車36と、軸56がクラウンクラッチ30によって機関軸12に回転連結されたクラウン50と、によって、機関軸12に連結される。
【0060】
従って、電気機械22のロータ24の動作とコンピュータの制御の下で熱機関の機関軸12を回転させることによって、熱機関を始動することが可能である。
【0061】
もちろん、熱機関が始動された直後に、切断アクチュエータ74または92によって制御されるクラッチ28または30(あるいはその両方)を作動させないことによって機関軸12をロータ24から切り離すように、切断アクチュエータ74,92の一方または他方(あるいはその両方)を制御することができる。
【0062】
この構成では、電気機械22は、車両の駆動/推進と、車両走行中の熱機関の始動という、二重の機能を有している。
【0063】
もちろん、熱機関は、特にその補助装置の駆動のために動作を継続することができる。
【0064】
図7,8に示されている構成では、得られる機能は
図5,6の機能と同様であるが、車両が高歯車比で駆動される。
【0065】
従って、
図5に対応する
図7では、クローアクチュエータ108は外歯輪104と協働し、スライディングピニオン122は歯付き面118及び歯付きゾーン120の両方と噛み合い、クラッチ28,30は作動しない。電気機械22が給電されている間、ロータ24は回転させられ、この回転運動が外歯輪104によってスライディングピニオン122に伝達される。スライディングピニオンと歯付き面118及び歯付きゾーン120との連結によって、スライディングピニオンの回転がスリーブ112及び遊星歯車保持軸66に伝達される。さらに、スリーブの回転は、歯付き伝達輪114によって駆動軸の歯付き輪116に伝達される。
【0066】
これによって、ロータ24の回転を高歯車比で駆動軸16に伝達することが可能になる。
【0067】
ピニオン110はプーリ106と噛み合っているが、プーリはロータ上で自由に回転するため、動作に影響しない。同様に、遊星歯車保持軸はスライディングピニオン122によって回転駆動されるが、いずれのクラッチも作動しないため、動作に影響しない。
【0068】
図8に示されている例では、
図6の例と同様に、しかし高歯車比で、車両が電気モードで動作し熱機関が始動される。この構成は、
図6と同様であり、
図7の構成とも同様であり、車両の駆動を可能とし、いずれのクラッチ28,30も動作可能である。
【0069】
従って、機関軸12は、外歯輪104と、遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120と協働するスライディングピニオン122と、保持部58の遊星歯車60と、軸42が太陽歯車クラッチ28によって機関軸12に回転連結された太陽歯車36と、軸56がクラウンクラッチ30によってこの機関軸に連結されたクラウン50と、を介して、ロータ24によって回転駆動される。
【0070】
すでに述べたように、熱機関を始動した後、機関軸12をロータ24から切り離すように切断アクチュエータ74,92を制御することができる。
【0071】
図9,10の構成は
図5,7の構成と同様であるが、スライディングピニオン122は、遊星歯車保持部を回転させず、電気モードでの車両の駆動/推進を可能とする位置にある。
【0072】
図9の場合、アクチュエータ108がプーリ106と噛み合い、スライディングピニオン122が外歯輪104及び遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120と噛み合う。従って、ロータ24の回転は、プーリ106と、ピニオン110と、伝達輪114と、歯付き軸輪116とによって、低歯車比で駆動軸16に伝達される。
【0073】
同様に、
図10の場合、アクチュエータ108が外歯輪104と噛み合い、スライディングピニオン122が、外歯輪104及びスリーブ112に保持された歯付き面118と噛み合う。従って、ロータ24の回転は、外歯輪104と、スライディングピニオン122と、伝達輪114と、歯付き軸輪116と、によって高歯車比で駆動軸16に伝達される。
【0074】
図9,10の場合、太陽歯車の部材に回転運動が伝達されることはなく、特に後退ギアが使用可能になりかつ損失を少なくすることができることによって装置の動作を向上させることができるに過ぎない。
【0075】
図11〜14の構成は、
図2〜4に示されている歯車比V1〜V3での熱機関10による車両の駆動/推進と、電気機械22を発電機として使用する様々な可能性を示している。
【0076】
従って、
図11,12では、使用される歯車比V1は
図2の歯車比に相当する。
【0077】
図11の構成では、太陽歯車クラッチ28を作動させて機関10の軸12を太陽歯車軸42に連結し、アクチュエータ108を外歯輪104及びプーリ106と噛み合わせる。スライディングピニオン122は、外歯輪104と、遊星歯車保持軸66に保持された歯付きゾーン120と、に噛み合わせる。駆動軸12が回転することによって、すでに
図2に関連して説明したように、遊星歯車保持部58を歯車比V1で回転駆動することができる。この回転はスライディングピニオン122に伝達され、さらに外歯輪104に再伝達される。アクチュエータ108が外歯輪104と噛み合っているため、この回転は電気機械22のロータ24及びプーリ106に伝達される。プーリは、回転をピニオン110に伝達し、ピニオン110自体がさらにスリーブ112を通して、回転を歯付き伝達輪114に伝達する。歯付き輪114は次に、歯付き軸輪116と噛み合って駆動軸16を回転駆動する。
【0078】
図12の構成では、太陽歯車クラッチ28を作動させて機関10の軸12を太陽歯車軸42に連結し、アクチュエータ108をプーリ106と噛み合わせ、スライディングピニオン122を外歯輪104と、遊星歯車保持軸66に保持された歯付きゾーン120と、歯付き面118と、に噛み合わせる。従って、駆動軸12が回転することによって、遊星歯車保持部58を歯車比V1で回転駆動することができる。この回転はスライディングピニオン122に伝達され、スライディングピニオン122が回転をさらに外歯輪104及びスリーブ112の歯付き周辺面118に伝達する。スリーブとのこの回転連結によって、スライディングピニオン122の回転運動はピニオン110及び歯付き伝達輪114に伝達され、歯付き伝達輪114がこの回転運動を歯付き軸輪116に伝達し、さらに駆動軸16に伝達する。ロータ24がアクチュエータ108と噛み合っているため、ピニオン110の回転運動はさらにロータ24に伝達される。
【0079】
従って、
図11,12の例では、車両が熱機関10によって2つの異なる最終歯車比で駆動され、
図11に示されている歯車比は
図12に示されている歯車比より小さい。
【0080】
他方、電気機械22のロータ24は、やはり歯車列の同じ歯車比V1に関連する2つの異なる速度で駆動される。従って、ロータは、スライディングピニオン122が歯付きゾーン120及び外歯輪104と噛み合う場合(
図11)にある速度で回転し、スライディングピニオンが、スリーブ112に保持されたピニオン110を介してロータを遊星歯車保持軸に連結させると(
図12)別の速度で回転する。電気機械22はいずれの場合も、特にバッテリを再充電する発電機として使用され、バッテリ用の2つの充電方式を備えることができる。
【0081】
図13,14の例は、クラウンクラッチ30が作動し(
図13)、その結果、
図3で説明したように遊星歯車保持軸66で歯車比V2が得られる構成、あるいは太陽歯車クラッチ28とクラウンクラッチ30が作動し(
図14)、その結果、
図4で説明したように遊星歯車保持軸66で歯車比V3が得られる構成を示している。
【0082】
もちろん、
図11,12に示すスライディングピニオン122とアクチュエータ108の様々な位置を
図13,14の状況で使用して、ロータ24の様々な回転速度を得ることができる。
【0083】
図15,16の構成では、車両の駆動/推進は、熱機関10と組み合わされた電気機械22によって実現される。上述のように、クラッチ28,30は、遊星歯車保持軸66で3つの歯車比V1〜V3のうちの1つが得られるように制御される。この場合、この軸の回転は歯付き伝達輪114によって歯付き軸輪116に伝達され、次いで駆動軸16に伝達され、車両を駆動する。同時に、アクチュエータ108が歯付きプーリと噛み合うか(
図15)、あるいは外歯輪104と噛み合い(
図16)、スライディングピニオンが外歯輪104及び歯付き面118ならびに歯付きゾーン110と噛み合う(
図15及び16)。電気機械22がバッテリから給電され、ロータ24を回転させることによって電気モータとして動作する。この回転は、プーリ106によってスリーブ112に伝達される(
図15)か、あるいは外歯輪104及びスライディングピニオン122によってスリーブ112に伝達される(
図16)。従って、この電気モータによって生成された電力は、熱機関から供給される動力とともに、歯付き伝達輪114によって歯付き輪116に伝達される。
【0084】
車両が停止しているときに熱機関10を始動する場合は、
図17の構成を利用して、電気機械22を電気スタータとして動作させる。
【0085】
従って、いずれのクラッチ28,30も作動し、アクチュエータ108は外歯輪104と噛み合い、スライディングピニオン122は外歯輪104及び遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120と噛み合う。
【0086】
電気機械22がバッテリから給電されるとすぐに、ロータ24が回転駆動される。ロータと外歯輪104が回転連結されているため、外歯輪104が回転駆動される。この回転は次にスライディングピニオン122に伝達され、次いで遊星歯車保持軸66に伝達される。この軸が回転すると、クラウン50と太陽歯車36が回転させられ、次に機関軸12が回転駆動される。熱機関はコンピュータ制御の下で、このようにして始動される。もちろん、機関が始動された直後にクラッチを非作動状態にして、機関10を電気機械22から切り離すことができる。
【0087】
車両が停止状態であるときにバッテリの再充電のみを行う場合の構成は、
図17に関連してすでに説明したとおりである。ただし、機関軸12はすでに回転しており、かつ電気機械22は発電機として動作する。
【0088】
従って、機関軸12の回転は3つの歯車比V1〜V3のうちの1つで遊星歯車保持軸66に伝達され、次にスライディングピニオン122に伝達される。スライディングピニオン122はその回転を外歯輪104に伝達し、さらにロータ24に伝達する。従って、このようにしてロータが回転すると、電気機械を発電機として使用して、バッテリの再充電及び/または車両の補助装置への給電を行うことができる。
【0089】
機関の制動に関して使用される構成は
図18の構成に相当する。クラッチ28,30は作動位置にあり、アクチュエータ108は外歯輪104及びプーリ106と噛み合い、スライディングピニオン122は外歯輪104及び遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120と噛み合っている。
【0090】
駆動軸16は、歯付き軸輪116と、スリーブ112に保持された歯付き伝達輪114と、を回転駆動する。スリーブの回転は、ピニオン110によってプーリ106に伝達され、プーリ106がこの回転をロータ24及び外歯輪104に伝達する。外歯輪104の回転は次に、スライディングピニオン122に伝達され、遊星歯車保持軸66に伝達され、最後にクラウン50及び太陽歯車36を介して機関軸12に伝達される。駆動軸16と機関軸12が回転連結されているため、機関軸12は負のトルクを伝達し、遊星歯車保持軸66の回転を減速させる。この減速は次に駆動軸に伝達され、その回転速度を低下させる。
【0091】
図19に示す構成によれば、制動エネルギーを回収することが可能である。アクチュエータ108は外歯輪104または歯付きプーリ106(不図示)と噛み合っており、スライディングピニオン122は外歯輪104及び歯付き面118と噛み合っているか(
図19)、あるいは歯付きゾーン120と噛み合っている(不図示)。クラッチ28,30の位置はエネルギー回収に影響を与えない。
【0092】
制動時には、回収すべきエネルギーは駆動軸16から歯付き軸輪116に伝達され、次に歯付き輪114に伝達される。歯付き輪114が回転すると、スリーブ112が回転するとともに、ピニオン110を通してプーリ106が回転するか、あるいはスライディングピニオン122を通して外歯輪104が回転する(不図示)。いずれの場合もロータ24が回転する。従って、この回転を使用して電気機械22が発電機に変換される。
【0093】
図20の状況では、制動エネルギーの回収と機関制動の両方が実現される。従って、クラッチ28,30が作動し、アクチュエータ108は外歯輪104とプーリ106の両方と噛み合うか、あるいは外歯輪104またはプーリ106と噛み合い(不図示)、スライディングピニオン122は、このプーリ106及び遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120と噛み合うか、あるいはこのプーリ106、遊星歯車保持軸66の歯付きゾーン120、及びスリーブ112の歯付き面118と噛み合う(不図示)。こうして、駆動軸16が、電気機械22を発電機として使用するためにロータ24に連結されるとともに、機関制動のために機関軸12に連結される。
【0094】
図21に示されている形態では、
図1の部材と共通の部材に同じ参照番号が付けられている。本実施形態では管状である電気機械222のロータ224は、スピンドル244と同軸である。このスピンドルは、太陽歯車36のフランジ40に連結された中空のチューブとして構成され、軸受46内に配置された自由輪32に保持されている。
【0095】
電気機械のロータ224はスピンドルを取り囲んでおり、遊星歯車保持部58と向かい合うその自由端の近くで、ロータ上で回転はできないが自由に並進運動できるクローアクチュエータ210を保持している。
【0096】
このアクチュエータは、遊星歯車保持部58の垂直壁64、及び/または、歯付き軸輪116と噛み合って協働する歯付きプーリ212と噛み合うようになっている。
【0097】
好ましくは、電気機械の本体218の両側に壁214及び216を配置して本体を伝達装置から分離し、それによって乾燥機関(ドライエンジン)と呼ばれる機関を得ることができる。
【0098】
説明を簡単にするために、クローアクチュエータについてのすべての言及は、このアクチュエータが、それを保持する部材上で自由に並進運動するが部材に対して回転運動ができないことを意味する。
【0099】
図22の形態は、歯付きプーリ212がロータ224上に回転も並進もできないように取り付けられる点で
図21と異なっている。従って、クローアクチュエータ210は、遊星歯車保持部58の壁64とのみ噛み合うことができる。
【0100】
図23の形態では、電気機械322は
図21と同じ構成である。電気機械322のロータ324は第1のクローアクチュエータ310を保持している。第1のクローアクチュエータ310は、遊星歯車保持部58の壁64または歯付きプーリ312と噛み合うことができる。歯付きプーリ312はロータ上で並進運動はできないが自由に回転することができ、歯付き軸輪116と、もしくはロータに固定されたフランジ316と噛み合って協働する。このロータは他のクローアクチュエータ318も保持している。クローアクチュエータ318は、歯付きプーリ312と噛み合うことができ、あるいはやはりこのロータ上に並進運動はできないが自由に回転できるように保持された歯付きピニオン320と噛み合うことができる。このピニオンは、車両の固定部48cから延びるピン330によって回転させられる歯付き段状ピニオン328の段部326と協働する。この段状ピニオンの他の段部332は歯付き軸輪116と協働する。
【0101】
図24の形態は、
図23の形態に対して電気機械422の特定の配置を示している。この電気機械は、伝達装置の外側に配置されており、ベルトまたはチェーン414などの任意の適切な手段によってプレート412に接続されたプーリ410を含むロータ424を有している。このプレートは、
図21の状況ではこの電気機械のロータとして働く中空のチューブ416に固定されている。従って、ロータ424のあらゆる回転はチューブ416に直接伝達される。
【0102】
図25では、遊星歯車保持軸66はクローアクチュエータ510を保持している。クローアクチュエータ510は、自由に回転するが並進できないようにスピンドル44に保持された歯付き輪512と協働する。スピンドル44と平行に配置された電気機械22のロータ24は、歯付き輪514をスピンドル44の自由端の近くで保持している。歯付き輪514は、このロータに対して自由に回転するが並進できないようにされ、遊星歯車列26のクラウン50の歯と協働する。このロータは自由輪516も保持している。自由輪516には、並進運動ができず軸輪116と協働する他の歯付き輪518が取り付けられている。クローアクチュエータ520は、歯付き輪514と歯付き輪518との間に配置され、これらの歯付き輪の一方または他方と交互に噛み合う。
【0103】
図26は、車両の固定部48dからロータのピンと平行に延びるピン610が追加されている点で
図25と異なる。このピンは、歯付き輪512と協働する歯付き輪612を自由に回転できるが並進運動ができないように保持している。歯付き輪612は固定ハウジング614を備え、固定ハウジング614は、クラウン50の歯と協働する歯付き輪618と協働するようにされたクローアクチュエータ616を収納している。スピンドルのクローアクチュエータ510は、2つのアクチュエータが同時に噛み合うのを防止するチルト制御システム620によって、追加のピンのクローアクチュエータ616に連結されている。従って、この図に示すように、アクチュエータ510が歯付き輪512と噛み合うと、アクチュエータ616は歯付き輪618と噛み合うことができなくなる。
【0104】
図27では、電気機械22は
図1と同様、ロータ24を有し、プーリ104と、歯付き輪106と、クローアクチュエータ108と、を備えている。スピンドル44は、歯付き輪106と協働する歯付きプレート712を保持する管状の軸710によって取り囲まれている。管状の軸は、その自由端の近くにクローアクチュエータを有している。クローアクチュエータは、遊星歯車保持軸66に保持されたプレート716と協働することができ、あるいは管状軸710に対し自由に回転するが並進できないように管状の軸710に保持され歯付き軸輪116と噛み合う歯付き輪718と協働することができる。
【0105】
図28の例は、クラッチ28とクラッチ30がもはや相互連結されていない点で
図21の例と異なる。そして、クラウンクラッチ30については、クラウン軸56が機関10の側で摩擦ディスク810を保持している。このディスクは、機関軸12に固定的に保持された受圧プレート812と、切断アクチュエータ816の作用で軸方向に変位させられる押圧プレート814と、の間で押し付けられるようになっている。太陽歯車クラッチ28については、機関軸12が軸受46の先まで延ばされている。そして、この延長部の端部は摩擦ディスク818を保持しており、摩擦ディスク818は、太陽歯車軸42に保持された受圧プレート820と、切断アクチュエータ824の作用で軸方向に変位移動可能な押圧プレート822と、の間で押し付けられるようになっている。
【0106】
もちろん、
図1において得られかつ
図2〜20の構成で例示されているすべての機能は、すべてのまたは一部のアクチュエータを適切に制御することによって、
図21〜28においても実現することができる。
【0107】
上述の図の場合、運動伝達トラック102は、遊星歯車保持軸66と駆動軸16との間に含まれ遊星歯車保持軸66と駆動軸16とを運動可能に連結するすべての部材を有することを指摘することができる。従って、
図1の例においてトラック102は、歯付き面120と、スライディングピニオン122と、外歯輪104と、クローアクチュエータ108と、プーリ106と、ピニオン110と、歯付き伝達輪114と、スリーブ112に保持された歯付き面118と、駆動軸16に連結された歯付き軸輪116と、を含む部材を有している。同様に、この運動伝達トラックのすべてまたは一部は、駆動軸の回転駆動(単独または熱機関との組み合わせで)、熱機関の始動、バッテリの再充電などの様々な機能を実現するために、電気機械22とともに使用される。