(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883311
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】ロッカアーム
(51)【国際特許分類】
F01L 1/18 20060101AFI20160301BHJP
F01L 13/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
F01L1/18 C
F01L13/00 301V
F01L13/00 302B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-34014(P2012-34014)
(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-170488(P2013-170488A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 憲
(72)【発明者】
【氏名】市石 喜久也
(72)【発明者】
【氏名】小松 明
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−105210(JP,A)
【文献】
特開2011−117361(JP,A)
【文献】
特開2004−263675(JP,A)
【文献】
特開2003−184515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッカシャフト(20)に揺動可能に軸支されるとともに駆動カム(10)に回転可能に当接する入力ローラ(34)を備えた入力アーム(30)と、該入力アーム(30)の隣で前記ロッカシャフト(20)に揺動可能に軸支されるとともに該入力アーム(30)に連結ピン(51,52)で連結される連結時には該入力アーム(30)と共に揺動して出力面(47)でバルブ(7)を駆動する出力アーム(40)とからなり、
側面視で前記入力ローラ(34)の回転中心と前記ロッカシャフト(20)の中心とを結ぶ入力線(A)と、側面視で前記出力面(47)の中央と前記ロッカシャフト(20)の中心とを結ぶ出力線(B)との間の劣角側の角度である入出角(θ)が前記連結時に120度以上となるロッカアームにおいて、
側面視で前記連結ピン(51,52)の中心と前記ロッカシャフト(20)の中心とを結ぶ連結線(C)が、前記連結時には前記入出角(θ)を2等分した2等分線(M)から前記ロッカシャフト(20)の中心角で±25度の範囲(R)内に位置するように前記連結ピン(51,52)を配置したことを特徴とするロッカアーム。
【請求項2】
前記連結線(C)の長さは、前記入力線(A)の長さの0.5〜1.2倍であり、かつ、前記出力線(B)の長さの0.5〜1.2倍である請求項1記載のロッカアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後端部を駆動カムにより押圧されると、長さ方向中間部を軸(揺動中心)に揺動して、先端部でバルブを駆動するシーソ式のロッカアーム(シーソアーム)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシーソ式のロッカアームの中には、
図8及に示す従来例1の切換式のロッカアーム90aや
図9に示す従来例2の切換式のロッカアーム90bのように、ロッカシャフト20に揺動可能に軸支されるとともに後端部に駆動カム10に回転可能に当接する入力ローラ92を備えた入力アーム91と、該入力アーム91の隣でロッカシャフト20に揺動可能に軸支されるとともに入力アーム91に連結ピン95で連結される連結時には該入力アーム91と共に揺動して先端部の出力面94でバルブ7を駆動する出力アーム93とからなるものがある。
【0003】
そして、そのような切換式のロッカアーム90a,90b(シーソアーム)においては、連結ピン95は、
図8に示す従来例1のロッカアーム90aように、揺動中心よりも後端側(入力ローラ92側)に設けられる場合や、
図9に示す従来例2のロッカアーム90bのように揺動中心よりも先端側(出力面94側)に設けられる場合がある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−132378号公報
【特許文献2】特開2003−49622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示す従来例1の切換式のロッカアーム90aでは、入力アーム91においては、
図8(b)に示すように、入力ローラ92と連結ピン95とが共に揺動中心よりも後端側に設けられている関係上、駆動カム10が入力ローラ92を介して入力アーム91に加える入力側駆動力Faと、出力アーム93が連結ピン95を介して入力アーム91に加えるピン反力Fcとは、同じ後端側にて向かい合い打ち消し合う。そのため、それらの合力に対する反力としてのロッカシャフト20が該入力アーム91に加える入力側シャフト反力Fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に入力アーム91に加わる曲げモーメント)は比較的小さくなる。
【0006】
しかし、出力アーム93においては、
図8(c)に示すように、出力面94が揺動中心よりも先端側に設けられ連結ピン95が揺動中心よりも後端側に設けられている関係上、入力アーム91が連結ピン95を介して該出力アーム93に加える出力側駆動力fcと、バルブ7(バルブスプリング8)が該出力アーム93に加えるバルブ反力fbとが、揺動中心を挟む先端側と後端側とで同じ方向を向いて強め合ってしまう。そのため、それらの合力に対する反力としてのロッカシャフト20が該出力アーム93に加える出力側シャフト反力fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に出力アーム93に加わる曲げモーメント)は比較的大きくなってしまう。
【0007】
そのため、高出力のエンジンの場合等には、出力アーム93の曲げモーメントに対する強度に不安があり、また、出力アーム93の曲げモーメントに対する剛性が不足した場合には、リフトロスや異常運動等によるエンジン性能の低下につながるおそれがある。
【0008】
その一方、
図9に示す従来例2の切換式のロッカアーム90bでは、出力アーム93においては、
図9(c)に示すように、出力面94と連結ピン95とが共に揺動中心よりも先端側に設けられている関係上、入力アーム91が連結ピン95を介して該出力アーム93に加える出力側駆動力fcと、バルブ7(バルブスプリング8)が該出力アーム93に加えるバルブ反力fbとは、同じ先端側にて向かい合い打ち消し合う。そのため、それらの合力に対する反力としてのロッカシャフト20が該出力アーム93に加える出力側シャフト反力fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に出力アーム93に加わる曲げモーメント)は比較的小さくなる。
【0009】
しかし、入力アーム91においては、
図9(b)に示すように、入力ローラ92が揺動中心よりも後端側に設けられ連結ピン95が揺動中心よりも先端側に設けられている関係上、駆動カム10が該入力アーム91に加える入力側駆動力Faと、出力アーム93が連結ピン95を介して該入力アーム91に加えるピン反力Fcとが、揺動中心を挟む後端側と先端側とで同じ方向を向いて強め合ってしまう。そのため、それらの合力に対する反力としてのロッカシャフト20が該入力アーム91に加える入力側シャフト反力Fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に出力アーム93に加わる曲げモーメント)が比較的大きくなってしまう。
【0010】
そのため、高出力のエンジンの場合等には、入力アーム91の曲げモーメントに対する強度に不安があり、また、入力アーム91の曲げモーメントに対する剛性が不足した場合には、リフトロスや異常運動等によるエンジン性能の低下につながるおそれがある。
【0011】
そこで、入力アームに対しても、出力アームに対しても、ロッカシャフトから過大なシャフト反力(すなわち、ロッカシャフトを中心とした過大な曲げモーメント)が加わらないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明のロッカアームは、ロッカシャフトに揺動可能に軸支されるとともに駆動カムに回転可能に当接する入力ローラを備えた入力アームと、該入力アームの隣で前記ロッカシャフトに揺動可能に軸支されるとともに該入力アームに連結ピンで連結される連結時には該入力アームと共に揺動して出力面でバルブを駆動する出力アームとからなり、側面視で前記入力ローラの回転中心と前記ロッカシャフトの中心とを結ぶ入力線と、側面視で前記出力面の中央と前記ロッカシャフトの中心とを結ぶ出力線との間の劣角側の角度である入出角が前記連結時に120度以上となるロッカアームにおいて、側面視で前記連結ピンの中心と前記ロッカシャフトの中心とを結ぶ連結線が、前記連結時には前記入出角を2等分した2等分線から前記ロッカシャフトの中心角で±25度の範囲内に位置するように前記連結ピンを配置したことを特徴とする。
【0013】
ここで、前記入出角は、130度以上であることがより好ましく、140度以上であることが更に好ましい。該角度が大きい程、駆動カム(カムシャフト)をバルブから離れた位置に配置することができるからである。
【0014】
また、前記連結線の位置は、前記2等分線から前記ロッカシャフトの中心角で±20度の範囲内であることがより好ましく、±15度の範囲内であることが更に好ましく、±10度の範囲内であることが最も好ましい。より2等分線に近い程、より高い効果を期待できるからである。
【0015】
また、前記連結線の長さは、特に限定されないが、前記入力線の長さの0.5〜1.2倍であり、かつ、前記出力線の長さの0.5〜1.2倍であることが好ましい。該長さは、モーメントのつり合いの関係上、長い程連結ピンに加わる力の大きさを小さく抑えることができる一方、長過ぎると入力アームおよび出力アームが大型化したり、形が歪になってしまうからである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入力線と出力線との間の入出角を2等分した2等分線付近(ロッカシャフトの中心角で±25度の範囲内)に連結線が位置するように連結ピンを配置しているため、連結線が入力線よりに位置する場合(従来例1の場合)のように、ロッカシャフトが出力アームに加える出力側シャフト反力(すなわち、ロッカアームを中心に出力アームに加わる曲げモーメント)が過度に大きくなることや、連結線が出力線よりに位置する場合(従来例2の場合)のように、ロッカシャフトが入力アームに加える入力側シャフト反力(すなわち、ロッカアームを中心に入力アームに加わる曲げモーメント)が過度に大きくなることがない。よって、入力アームに対しても、出力アームに対しても、ロッカシャフトから過大なシャフト反力が加わることがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】実施例の可変動弁機構を示す分解斜視図である。
【
図4】(a)は、実施例の可変動弁機構の連結時を示す正面断面図であり、(b)は、実施例の可変動弁機構の非連結時を示す正面断面図である。
【
図5】(a)は、実施例の可変動弁機構の連結時を示す側面図であり、(b)は、実施例の可変動弁機構の非連結時を示す側面図である。
【
図6】実施例のロッカアームに加わる力の釣り合いを示す側面図である。
【
図7】(a)は、実施例の入力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図であり、(b)は、実施例の出力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図である。
【
図8】(a)は、従来例1のロッカアームに加わる力の釣り合いを示す側面図であり、(b)は、従来例1の入力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図であり、(c)は、従来例1の出力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図である。
【
図9】(a)は、従来例2のロッカアームに加わる力の釣り合いを示す側面図であり、(b)は、従来例2の入力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図であり、(c)は、従来例2の出力アームに加わる力の釣り合いを示す側面断面図である。
【実施例】
【0018】
図1〜
図7に示す本実施例の可変動弁機構9は、シリンダヘッド(図示略)に取り付けられた1本のバルブ7をバルブスプリング8の復元力に抗して押圧して該バルブ7を駆動する機構である。この可変動弁機構9は、次に示す、駆動カム10と、ロッカシャフト20と、入力アーム30と、出力アーム40と、連結機構50と、油圧機構60と、ロストモーション機構70とを含み構成されている。そして、入力アーム30と出力アーム40と連結機構50とが切換式のロッカアームを構成している。なお、以下ではロッカシャフト20の軸線方向の一方を右といい、他方を左というが、右と左とが反対であってもよい。
【0019】
[駆動カム10]
駆動カム10は、バルブ7を駆動するための部材であって、内燃機関の回転とともに回転するカムシャフト15に一体的に形成されている。この駆動カム10は、断面形状が真円形のベース円11と、該ベース円11から突出したカムノーズ12とを含み構成されている。
【0020】
[ロッカシャフト20]
ロッカシャフト20は、入力アーム30と出力アーム40とを揺動可能に支持するための左右方向に延びるパイプ状のシャフトであって、そのパイプの内側はシャフト油路21となっている。そして、該ロッカシャフト20の入力アーム30を支持する部分の外周面には、シャフト油路21にまで連通した油圧孔23が貫設されており、出力アーム40を支持する部分の外周面には、シャフト油路21にまで連通した潤滑孔24が貫設されている。
【0021】
[入力アーム30]
入力アーム30は、左右方向に間隔をおいて並設された左右一対のアウタアーム部31,31と、その左右一対のアウタアーム部31,31の後端部どうしを繋いだローラ軸33と、上端部どうしを繋いだ上側連結部35と、下端部どうしを繋いだ下側連結部37とを含み構成されている。そして、左右一対のアウタアーム部31,31の先端部には、ロッカシャフト20を挿通させるための揺動中心孔32,32がそれぞれ左右方向に貫設されている。また、後端部のローラ軸33には、駆動カム10に当接する入力ローラ34が回転可能に軸支されている。また、上側連結部35には、ロストモーション機構70に当接するロストモーション当接突起36が突設されている。そして、入力アーム30は、このように左右一対のアウタアーム部31,31が一体化されてなることによって、片持ちによる偏荷重が改善されている。
【0022】
[出力アーム40]
出力アーム40は、左右一対のアウタアーム部31,31の相互間に設けられたインナアームであって、その後端部にはロッカシャフト20を挿通させるための揺動中心孔42が左右方向に貫設され、先端部にはバルブ7に当接する出力部43が設けられている。その出力部43は、出力アーム40の先端部に上下方向に貫設された取付孔45に取り付けられて下方に突出した出力軸44と、該出力軸44の側面視で円形の下端部にその円周方向に回動可能に取り付けられた出力リフタ46とからなり、出力リフタ46の下面に出力面47が形成されている。また、該出力アーム40の内部には、ロッカシャフト20の潤滑孔24から出力部43にまでオイルを送るための潤滑油路48が設けられている。
【0023】
[連結機構50]
連結機構50は、入力アーム30と出力アーム40とを連結解除可能に連結するための機構である。この連結機構50は、右側のアウタアーム部31と出力アーム40との間を跨ぐ左側の連結位置と跨がない右側の非連結位置との間で変位可能に設けられた第一連結ピン51と、出力アーム40と左側のアウタアーム部31との間を跨ぐ左側の連結位置と跨がない右側の非連結位置との間で変位可能に設けられた第二連結ピン52と、それら第一連結ピン51及び第二連結ピン52を左側の連結位置側に押圧するリターンスプリング56とを含み構成されている。
【0024】
詳しくは、第一連結ピン51は、入力アーム30の右側のアウタアーム部31に貫設された第一連結穴53に挿入されている。そして、該第一連結穴53と出力アーム40に貫設された第二連結穴54との間を跨ぐ左側の連結位置と跨がない右側の非連結位置との間で変位可能となっている。また、第二連結ピン52は、前述の第二連結穴54に挿入されており、該第二連結穴54と左側のアウタアーム部31に凹設された第三連結穴55との間を跨ぐ左側の連結位置と跨がない右側の非連結位置との間で変位可能となっている。また、第一連結穴53の右側(出力アーム40側とは反対側)の開口部にはリテーナ57が取り付けられており、リターンスプリング56は、該リテーナ57と第一連結ピン51の右側の端面との間に取り付けられている。
【0025】
ここで、上記の入力アーム30と出力アーム40と連結機構50とからなる切換式のロッカアームの寸法および形状について説明すると、側面視で入力ローラ34の回転中心とロッカシャフト20の中心とを結ぶ入力線A(線分)の長さは、35〜40mm程度となっており、側面視で出力面47の中央とロッカシャフト20の中心とを結ぶ出力線Bの長さは、45〜50mm程となっている。そして、それらの入力線Aと出力線Bとの間の劣角(180度以下)側の角度である入出角θは、入力アーム30と出力アーム40とが連結される連結時において140〜160度程となっている。また、側面視で連結ピン51,52の中心とロッカシャフト20の中心とを結ぶ連結線Cの長さは、25〜30mm程度となっており、その連結線Cは、連結時には入出角θを2等分した2等分線M付近(2等分線Mからロッカシャフト20の中心角で±10度の範囲内)に位置するようになっている。よって、連結線Cは、連結時には必ず、
図1に示す通り、2等分線Mからロッカシャフト20の中心角で±25度の範囲R内に位置する。そして、連結時における入力線Aと連結線Cとの間の角度αは、70〜80度程度となっており、また、連結時における出力線Bと連結線Cとの間の角度βは、70〜80度程度となっている。
【0026】
[油圧機構60]
油圧機構60は、第一連結ピン51および第二連結ピン52をそれぞれの左側の連結位置と右側の非連結位置との間で駆動するための機構である。この油圧機構60は、第三連結穴55の右側の開口が油圧ピン62によって閉塞されてなる油圧室61と、ロッカシャフト20の油圧孔23から該油圧室61にまで油圧を送るための左側のアウタアーム部31の内部に設けられた油圧路63とを含み構成されている。
【0027】
[ロストモーション機構70]
ロストモーション機構70は、入力アーム30と出力アーム40との連結が解除される非連結時にも入力アーム30が駆動カム10に追従して揺動するようにするための機構である。このロストモーション機構70は、シリンダヘッド(図示略)に取付部72を介して固着された筒状のボディ71と、該ボディ71の上端部に取り付けられたリテーナ73と、該リテーナ73によって上端部が保持されたロストモーションスプリング75と、該ロストモーションスプリング75の下端部に取り付けらて入力アーム30のロストモーション当接突起36に当接するロストモーションリフタ76とを含み構成されている。
【0028】
以上に示した可変動弁機構9の機能を、{1}入力アーム30と出力アーム40とを連結してバルブ7を駆動する駆動状態の時(連結時) と、{2}その連結を解除してバルブ7の駆動を休止する休止状態の時(非連結時) とに分けて以下に説明する。
【0029】
{1}駆動状態の時(連結時)
バルブ7を駆動する駆動状態の時には、
図4(a)に示すように、油圧室61の油圧が下がることによってリターンスプリング56の復元力で第一連結ピン51および第二連結ピン52がそれぞれの左側の連結位置に駆動される。これにより、入力アーム30と出力アーム40とが連結されて、
図5(a)に示すように、出力アーム40が入力アーム30と共に揺動してバルブ7を開閉する。
【0030】
{2}休止状態の時(非連結時)
バルブ7の駆動を休止する休止状態の時には、
図4(b)に示すように、油圧室61の油圧が上がることによってその油圧で第一連結ピン51および第二連結ピン52がリターンスプリング56の復元力に抗してそれぞれの右側の非連結位置に駆動される。これにより、入力アーム30と出力アーム40との連結が解除されて、
図5(b)に示すように、出力アーム40は静止し、入力アーム30のみが駆動カム10およびロストモーション機構70に押圧されて空振りする。
【0031】
本実施例によれば、連結時における入力線Aと連結線Cとの間の角度αは70〜80度程度であるため、入力アーム30においては、駆動カム10が該入力アーム30に加える入力側駆動力Faと、出力アーム40が連結ピン51,52を介して該入力アーム30に加えるピン反力Fcとが、ある程度は向かい合い打ち消し合う。そのため、それらの合力(Fa+Fc)に対する反力としてのロッカシャフト20が該入力アーム30に加える入力側シャフト反力Fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に入力アーム30に加わる曲げモーメント)が過度に大きくなることはない。そのため、入力線Aと連結線Cとの間の角度αが70〜80度程度よりも大きい場合(従来例2の場合)に比べて入力側シャフト反力Fo(入力アーム30に加わる曲げモーメント)を低減することができ、それによって、入力アーム30の耐久性を向上させるとともに、入力アーム30の剛性不足により発生するリフトロスの発生を低減してエンジン性能を安定化させることができる。
【0032】
また、連結時における入出力線Bと連結線Cとの間の角度βは70〜80度程度であるため、出力アーム40においては、入力アーム30が連結ピン51,52を介して該出力アーム40に加える出力側駆動力fcと、バルブ7が該出力アーム40に加えるバルブ反力fbとが、ある程度は向かい合い打ち消し合う。そのため、それらの合力(fc+fb)に対する反力としてのロッカシャフト20が該出力アーム40に加える出力側シャフト反力fo(すなわち、ロッカシャフト20を中心に出力アーム40に加わる曲げモーメント)が過度に大きくなることはない。そのため、出力線Bと連結線Cとの間の角度βが70〜80度程度よりも大きい場合(従来例1の場合)に比べて出力側シャフト反力fo(出力アーム40に加わる曲げモーメント)を低減することができ、それによって、出力アーム40の耐久性を向上させるとともに、出力アーム40の剛性不足により発生するリフトロスの発生を低減してエンジン性能を安定化させることができる。
【0033】
よって、入力アーム30に対しても、出力アーム40に対しても、ロッカシャフト20から過大なシャフト反力Fo,foが加わることがなく、そのため、高負荷エンジンにも対応可能となる。
【0034】
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更して具体化することもできる。
【符号の説明】
【0035】
7 バルブ
10 駆動カム
20 ロッカアーム
30 入力アーム
34 入力ローラ
40 出力アーム
47 出力面
51 第一連結ピン
52 第二連結ピン
A 入力線
B 出力線
C 連結線
θ 入出角
M 2等分線
R 2等分線から±25度範囲