【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1のパーキングブレーキ装置のケーブル固定構造の構成を、「パーキングブレーキ装置のペダルユニットの構成」、「ケーブルガイドの構成」、「ブレーキケーブルの構成」、「エンド規制部の構成」、「エンド押さえの構成」に分けて説明する。
【0011】
[パーキングブレーキ装置のペダルユニットの構成]
図1は、実施例1のケーブル固定構造が適用されたパーキングブレーキ装置のペダルユニットを示す斜視図である。
図2は、実施例1のケーブル固定構造が適用されたパーキングブレーキ装置のペダルユニットを示す側面図である。
図3は、実施例1のケーブル固定構造が適用されたパーキングブレーキ装置を、
図1の反対側から見たときの斜視図である。
図4は、
図3において、カバー及びリターンスプリングを外したときの斜視図である。
図5は、
図1に示す矢印A方向から見たときの図である。以下、図面に基づいて、パーキングブレーキ装置の構成を説明する。
【0012】
車両に搭載されるパーキングブレーキ装置は、車室内に設けられるペダルユニットP(
図1参照)と、車輪に設けられるブレーキユニット(図示せず)と、を有する。そして、ペダルユニットPと図示しないブレーキユニットを、ブレーキケーブルBによって連結し、ペダルユニットPを操作することでブレーキケーブルBを引っ張り、ブレーキユニットを駆動する。
【0013】
前記ペダルユニットPは、ベースブラケット1と、ペダルレバー2と、カバー3(
図3参照)と、を備えている。
【0014】
前記ベースブラケット1は、車体に固定される第1ブラケット11と、第1ブラケット11に固定され、車室側(
図1では矢印X側)に突出する第2ブラケット(車体固定部)12と、を有する。
【0015】
前記第1ブラケット11は、車両上下方向(
図1では矢印Y方向)に沿って延在し、上端部11aと下端部11bが車体に固定される。そして、車両上下方向の中間部に第2ブラケット12がリベット等で固定され、第2ブラケット12を支持する。
【0016】
前記第2ブラケット12は、車両上下方向に延びる平板状の固定部13と、固定部13の幅方向端部を車室側(
図1では矢印X側)に向けて折り曲げることで形成された平板状の支持部14と、固定部13及び支持部14の下端部と連続し、車両上下方向に面したケーブル固定部15と、を有する。
前記支持部14は、上部に、ペダルレバー2が当接するゴム製のストッパーラバー16が設けられる。また、ケーブル固定部15側に面する一側面14aには、ペダルレバー2が配置される。また、反対側の反対側面14bには、ラチェット17がリベット固定される(
図3参照)。
前記ケーブル固定部15は、ブレーキケーブルBを貫通固定する口金具15aが形成されている。
【0017】
前記ペダルレバー2は、第2ブラケット12に対して回動可能に取り付けられている。このペダルレバー2は、ペダル板部21と、パッド部22と、当接部23と、係合ツメ24(
図4参照)と、を有する。
【0018】
前記ペダル板部21は、第2ブラケット12の支持部14の一側面14aに対向する平板状部分である。このペダル板部21は、回動軸部21aを中心に回動可能となっており、一側面21bには、後述するケーブルガイド4と、エンド規制部5と、エンド押さえ(弾性エンド押さえ部)6と、が設けられている。また、このペダル板部21の上端部には、ケーブルガイド5にブレーキケーブルBを沿わせるためのツメ21cが形成されている。このツメ21cは、ペダル板部21の上端部の一部を、一側面21bに設けられたケーブルガイド4側に折り曲げることで形成されている。なお、このツメ21cの先端は、
図5に示すように、折り曲げ方向においてケーブルガイド4よりも突出している。
前記パッド部22は、ペダル板部21から車室側(
図1では矢印X側)に延在され、ドライバーによって踏みつけ操作される部分である。このパッド部22は、ペダル板部21と一体になった平板鋼板を断面コ字状に折り曲げ加工することで形成する。このパッド部22の先端には、樹脂製のパッド22aが設けられている。
前記当接部23は、パッド部22の上部に設けられ、ブレーキ解除時にストッパーラバー16に当接する部分である。なお、このペダルレバー2は、支持部14の反対側面14bに設けられたリターンスプリング25(
図3参照)によって、当接部23がストッパーラバー16に当接する方向(
図3では右回転方向)に付勢されている。ここで、リターンスプリング25は、ペダル板部21の上部と第2ブラケット12とに掛け渡された引張コイルスプリングである。
前記係合ツメ24は、運転者によってペダルレバー2が踏み込まれた際、ラチェット17に噛み合ってペダルレバー2をその角度で保持する部分である。この係合ツメ24は、ペダル板部21の反対側面21dに固定されている。なお、この係合ツメ24がラチェット17に噛み合っている状態でさらにペダルレバー2を踏み込むと、係合ツメ24とラチェット17の噛み合いが解除される。
【0019】
前記カバー3は、第2ブラケット12の支持部14を、ペダルレバー2のペダル板部21との間に挟みこむように配置され、ペダル板部21の反対側面21dにリベット固定されている。このとき、カバー3は、回動軸部21a及び係合ツメ24を覆う(
図3参照)。
【0020】
[ケーブルガイドの構成]
図6は、実施例1のケーブル固定構造が適用されたパーキングブレーキ装置において、エンド規制部を示す要部拡大斜視図である。
【0021】
前記ケーブルガイド4は、ペダルレバー2のペダル板部21の一側面21bとの間にブレーキケーブルBを挟みこみ、ブレーキケーブルBの配策方向を規制するものである。このケーブルガイド4は、ペダルレバー2の回動軸部21aを中心にした円弧に沿った円弧部分と、この円弧部分から直線状に連続した直線部分とを有する帯状鋼板からなり、回動軸部21aを中心にした径方向に沿ってクランク状に屈曲している(
図6参照)。そして、回動軸部21a側の長手方向端部41が、複数個所でペダル板部21にリベット固定される。
【0022】
一方、
図5に示すように、回動軸部21aと反対側の長手方向端部42は、ペダル板部21の一側面21bに対して隙間Sをあけて対向している。また、この回動軸部21aと反対側の長手方向端部42には、ケーブルガイド5にブレーキケーブルBを沿わせるための複数のツメ43a,43bが形成されている。各ツメ43a,43bは、ケーブルガイド4の長手方向端部42の一部をペダル板部21側に折り曲げることで形成されるが、ペダル板部21に形成されたツメ21cと干渉しない位置に形成されている。なお、これらのツメ43a,43bの先端は、折り曲げ方向において、ペダル板部21の一側面21bと同じ位置か、又は、一側面21bよりも突出している(
図5参照)。
そして、このケーブルガイド4の直線部分の先端面44が、エンド規制部5に対向するケーブルガイド4の一方の端面となっている(
図6参照)。
【0023】
[ブレーキケーブルの構成]
図7は、ブレーキケーブルの車室側の端末を示す斜視図である。
【0024】
前記ブレーキケーブルBは、
図1に示すように、アウターケーブル101と、インナケーブル102と、を有している。
【0025】
前記アウターケーブル101は、車室内に引き込まれた一端101aが口金具15aに接続した中空の樹脂製パイプである。図示しない他端は、車室外に引き出されて車輪に設けられたブレーキユニット(図示せず)に接続している。このアウターケーブル101は、ブレーキケーブルBの配策経路を規制すると共に、インナケーブル102を保護する。
【0026】
前記インナケーブル102は、アウターケーブル101内に挿通され、両端部がアウターケーブル101から突出している。そして、車室内に引き込まれた一端部102aが口金具15aを貫通し、ペダルレバー2の内側に引き出される。そして、このインナケーブル102の一端部102aは、ペダルレバー2のペダル板部21の一側面21bとケーブルガイド4の長手方向端部42との間の隙間Sの内側に案内され、ケーブルガイド4に沿って配策される。このとき、ツメ21c,43a,43bによってインナケーブル102の配策方向が規制される。
また、このインナケーブル102の端末102bには、
図7に示すように、円柱状のケーブルエンド103が固設されている。ケーブルエンド103は、ケーブルガイド4の先端面44と、エンド規制部5と、エンド押さえ6とに囲まれた空間に収容される。このとき、ケーブルエンド103の背面103a(配策時、ケーブルガイド4の先端面44に対向する面)は、ケーブルガイド4の先端面44に接触係合する。すなわち、ケーブルエンド103の外径寸法は、ケーブルガイド4の長手方向端部42と、ペダル板部21の一側面21bとの間の隙間Sの寸法よりも大きくなっている。
【0027】
[エンド規制部の構成]
図8は、実施例1のケーブル固定構造が適用されたパーキングブレーキ装置において、エンド押さえを示す要部拡大斜視図である。
【0028】
前記エンド規制部5は、インナケーブル102の配策時、ケーブルエンド103の先端面103b(インナケーブル102の軸方向において、背面103aと反対側に位置する端面)に対向し、ケーブルエンド103の背面103aがケーブルガイド4の先端面44から離間することを規制する部分である。
このエンド規制部5は、ペダルレバー2のペダル板部21を一側面21b側に切り起こして形成される。すなわち、ペダル板部21にコ字状の切り込みを入れ、この切り込みの内側を一側面21b側に立ち上げることで、エンド規制部5が形成される。これにより、ペダル板部21には、切り込みに沿った切起こし開口51が生じる。
ここで、エンド規制部5は、ケーブルエンド103の先端面103bに対向する対向面5aの面積は、切起こし開口51の開口面積をケーブルエンド103が嵌合可能な大きさにする程度に設定される。
【0029】
[エンド押さえの構成]
図9は、
図1に示す矢印B方向から見たときの図である。なお、
図9においてエンド規制部は省略している。
【0030】
前記エンド押さえ6は、インナケーブル102の配策時、ケーブルエンド103の周面103c(インナケーブル102の軸方向に延在した面)に対向し、ケーブルエンド103をペダル板部21の一側面21bに向かって弾力付勢する部分である。
このエンド押さえ6は、ケーブルエンド103の挿入方向(
図8では矢印Zで示す方向)に沿って延在し、挿入方向の下側部6aが切起こし開口51の近傍(ここでは、回動軸部21a側の側方)にリベット固定される鋼板により形成される。また、このエンド押さえ6は、弾力変形部61と、押え部62と、を有している。
【0031】
前記弾力変形部61は、挿入方向の下側部6aから緩やかに外側(ペダル板部21の一側面21bから離れる方向)に向かって湾曲し、押え部62がペダル板部21に対して離接動するように弾性変形可能となっている。
【0032】
前記押え部62は、弾力変形部61からエンド押さえ6の挿入方向に沿って延び、先端部62aがペダル板部21に向かって屈曲している。この押え部62は切起こし開口51と対向する。また、先端部62aには、屈曲部分からエンド押さえ6の内側(ペダル板部21の一側面21b側)且つ挿入方向の下側に向かって傾斜する傾斜面63が形成されている。この傾斜面63の先端63aは、インナケーブル102の配策時、ケーブルエンド103の中心部(インナケーブル102の軸中心位置)Oよりもペダル板部21側に突出する(
図9参照)。
【0033】
次に、作用を説明する。
実施例1のパーキングブレーキ装置のケーブル固定構造における、「ケーブルエンドの固定作用」を説明する。
【0034】
[ケーブルエンドの固定作用]
図10は、実施例1のケーブル固定構造におけるケーブル固定作業を示す説明図であり、(a)はケーブル挿入前状態を示し、(b)はケーブル挿入中状態を示し、(c)はケーブル挿入完了状態を示す。
【0035】
実施例1のペダルユニットPにブレーキケーブルBを固定するには、まず、車室内に引き込まれたインナケーブル102の一端部102aを口金具15aに貫通させる。続いてアウターケーブル101の一端101aを口金具15aに固定する。
【0036】
そして、口金具15aを貫通することでペダルレバー2の内側に引き出されたインナケーブル102の一端部102aを、ペダル板部21の一側面21b側で回動軸部21aを中心にケーブルガイド4に沿って周回させる。そして、この一端部102aを、ペダル板部21の一側面21bとケーブルガイド4の長手方向端部42との間の隙間Sの内側に案内する。
このとき、ツメ21c,43a,43bの内側にインナケーブル102が入り込むように、インナケーブル102を適宜屈曲させながら周回させる。これにより、インナケーブル102の配策方向が規制され、ケーブルガイド4に沿った状態となる。
【0037】
各ツメ21c,43a,43bの内側にインナケーブル102が配置されると、
図10(a)に示すように、ケーブルエンド103が設けられたインナケーブル102の端末102bの近傍部分のみがペダル板部21の一側面21bとケーブルガイド4の長手方向端部42との間の隙間Sから突出した状態となる。このとき、エンド押さえ6の上方位置にケーブルエンド103が配置されるように、インナケーブル102の引き出し長さを調整する。
【0038】
この状態で、
図10(b)に示すように、ケーブルエンド103をエンド押さえ6の傾斜面63に向けて指で押し込む。これにより、ケーブルエンド103の周面103cが傾斜面63に接触し、弾性変形部61の弾性力に抗して押え部62が外側(ペダル板部21から離間する方向)に向かって押し出され、エンド押さえ6の弾力変形部61が外側に向かって弾性変形する。そして、傾斜面63の先端63aとペダル板部21の一側面21bとの間隙が広がり、ケーブルエンド103がペダル板部21とエンド押さえ6との間に挿入される。
【0039】
そして、ペダル板部21とエンド押さえ6との間にケーブルエンド103が挿入したら、このケーブルエンド103を押し込んでいた指を離す。これにより、
図10(c)に示すように、弾力変形部61が内側(ペダル板部21に近接する方向)に向かって弾性変形して復帰し、押え部62の先端部62a、つまり傾斜面63の内側がケーブルエンド103の周面103cに当接した状態に押さえ込まれる。すなわち、弾力変形部61は、ケーブルエンド103が挿入されていない通常状態に復帰しようとする弾性力で、ケーブルエンド103の周面103cをペダル板部21に向かって常時付勢する。
【0040】
また、エンド押さえ6の押え部62が切起こし開口51と対向しているので、ペダル板部21とエンド押さえ6との間に挿入されたケーブルエンド103は、切起こし開口51に嵌合する。
【0041】
その後、車輪に設けられたブレーキユニット(図示せず)においても、ブレーキケーブルBを固定する。そして、図示しないブレーキユニット側において、ケーブルエンド103の背面103aがケーブルガイド4の先端面44に接触係止するようにインナケーブル102の長さを調整する。
このとき、ペダル板部21とエンド押さえ6との間に挿入されたケーブルエンド103にエンド規制部5が対向している。そのため、ケーブルエンド103のケーブル長さ方向の位置が規制され、インナケーブル102の長さ調整中にケーブルエンド103がケーブル先端方向(
図10(c)において矢印Cで示す方向)に突出し、ペダル板部21とエンド押さえ6との間から脱落してしまうことが防止できる。
【0042】
そして、インナケーブル102の長さ調整が完了し、ケーブルエンド103の背面103aがケーブルガイド4の先端面44に接触係止すれば、実施例1のペダルユニットPにブレーキケーブルBが固定されることとなる。
【0043】
このように、ペダルユニットP側において、ブレーキケーブルBを仮固定するには、インナケーブル102の端末102bに設けられたケーブルエンド103を、ペダル板部21とエンド押さえ6との間に挿入する1工程で行なうことができる。そのため、ケーブル仮固定作業が、アジャスタボルトにアジャスタナットを螺合させる従来のケーブル固定構造におけるケーブル仮固定作業に対して、作業工程が簡略化され、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
そして、インナケーブル102の長さ調整は、車輪に設けたブレーキユニット側で行なうようになるので、インナケーブル102の長さ調整作業の作業場所が車外となり、作業効率の向上を図ることができる。
すなわち、アジャスタボルトにアジャスタナットを螺合させる従来のケーブル固定構造では、車室内側でインナケーブルの長さ調整を行うことになる。一方、いわゆる手引き式(サイドブレーキタイプ)のパーキングブレーキ装置では、車外のブレーキユニット側でインナケーブルの長さ調整を行うことが一般的である。そのため、手引き式と足踏み式で長さ調整を行う場所が異なってしまい、作業者が混乱しやすかった。
これに対し、実施例1のケーブル固定構造では、足踏み式のペダルユニットPであってもブレーキユニット側でインナケーブル102の長さ調整を行うようになるため、長さ調整の作業場所を手引き式のパーキングブレーキ装置に合わせることができる。
【0045】
また、従来のケーブル固定構造では、アジャスタナットを締め忘れたままインナケーブル102の長さ調整をブレーキユニット(図示せず)側で行なうと、ペダルユニットPからブレーキケーブルBが外れてしまう。実施例1のケーブル固定構造では、エンド押さえ6によってケーブルエンド103がペダル板部21側に弾力付勢されることでブレーキケーブルBが外れることを防止しているので、アジャスタナットの締め忘れによるケーブル外れもなくなり、さらに作業効率の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、アジャスタボルトにアジャスタナットを螺合させる従来のケーブル固定構造に対して、実施例1のケーブル固定構造では、インナケーブル102に対してはケーブルエンド103の設定のみでよくなり、製造コストの低減を図ることができる。また、実施例1のケーブル固定構造では、アジャスタボルトを設けることがないため、従来のケーブル固定構造に対してインナケーブル102の短縮化を図ることができる。この結果、ペダルレバー2を小型化することができ、製造コストの低減を図ると共に、車室内レイアウトの自由度が向上し、車室居住性が向上する。
【0047】
なお、エンド押さえ6の押え部62に、屈曲部分からエンド押さえ6の内側(ペダル板部21の一側面21b側)且つ挿入方向の下側に向かって傾斜する傾斜面63が形成されている。そのため、ケーブルエンド103の挿入時、傾斜面63に沿ってケーブルエンド103を押し込むことができ、ケーブルエンド103の挿入作業を円滑に行なうことができる。また、ケーブルエンド103が挿入されてしまうと、傾斜面63が、ケーブルエンド103の脱落方向(挿入方向と反対の方向)に対して阻害する方向に延在することになる。そのため、エンド押さえ6によるケーブルエンド103の押さえ機能の向上を図ることができる。
【0048】
さらに、実施例1のケーブル固定構造では、インナケーブル102の長さ調整時のケーブル脱落を防止するエンド規制部5が、ペダル板部21を一側面21b側に切り起こして形成されているので、エンド規制部5を容易に形成することができる。また、このエンド規制部5を切り起こす際に生じる切起こし開口51にケーブルエンド103が嵌合するので、さらにエンド押さえ6によるケーブルエンド103の押さえ機能の向上を図ることができる。
【0049】
次に、効果を説明する。
実施例1のパーキングブレーキ装置のケーブル固定構造にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
【0050】
(1) 車体固定部(第2ブラケット)12に回動可能に軸支されるブレーキ操作部(ペダル板部)21と、
前記ブレーキ操作部21の一側面21bに設けられるケーブルガイド4と、
前記ケーブルガイド4に案内されるブレーキケーブルBと、
前記ブレーキケーブルBの先端部(端末)102bに設けられ、前記ケーブルガイド4の一方の端面(先端面)44に背面103aが接触係止するケーブルエンド103と、
前記ブレーキ操作部21の一側面21bに設けられ、前記ケーブルエンド103を前記ブレーキ操作部21の一側面21bに向けて弾力付勢する弾性エンド押さえ部(エンド押さえ)6と、
を備える構成とした。
これにより、ブレーキケーブルBをブレーキ操作部(ペダルレバー)2に対して容易に仮固定し、ケーブル仮固定作業時間の短縮を図ることができる。
【0051】
(2) 前記弾性エンド押さえ部(エンド押さえ)6は、前記ケーブルエンド103の挿入方向に沿って延在し、挿入方向の下側部6aが前記ブレーキ操作部(ペダル板部)21に固定された板状部材により形成され、挿入方向の上側部(先端部)62aには、前記弾性エンド押さえ部6の内側且つ挿入方向の下側に向かって傾斜する傾斜面63を有する構成とした。
これにより、ケーブルエンド103の挿入時には、傾斜面63に沿ってケーブルエンド103を押し込むことができ、挿入作業を円滑に行なうことができる。また、ケーブルエンド103が挿入されてしまうと、傾斜面63が、ケーブルエンド103の脱落を阻害し、エンド押さえ6によるケーブルエンド103の押さえ機能の向上を図ることができる。
【0052】
(3) 前記ブレーキ操作部(ペダル板部)21は、前記ケーブルエンド103の先端面103bに対向し、前記ケーブルエンド103が前記ケーブルガイド4の一方の端面(先端面)44から離間することを規制するエンド規制部5を有する構成とした。
これにより、ケーブルエンド103のケーブル長さ方向の位置が規制でき、インナケーブル102の長さ調整中にペダル板部21とエンド押さえ6との間からケーブルエンド103脱落することを防止できる。
【0053】
(4) 前記エンド規制部5は、前記ブレーキ操作部(ペダル板部)21を一側面21b側に切り起こして形成され、
前記ケーブルエンド103は、前記エンド規制部5を形成する際に生じた切起し開口51に嵌合する構成とした。
これにより、エンド規制部5を容易に形成することができると共に、切起こし開口51にケーブルエンド103が嵌合することで、さらにエンド押さえ6によるケーブルエンド103の押さえ機能の向上を図ることができる。
【0054】
以上、本発明のパーキングブレーキ装置のケーブル固定構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0055】
実施例1では、ペダル板部21を切り起こしてエンド規制部5を形成しているが、これに限らない。例えば、ペダル板部21の一側面21bに別部材を取り付けることでエンド規制部5を形成してもよい。
【0056】
また、実施例1のペダルユニットPは、いわゆる足踏み式のパーキングブレーキであるが、ドライバーが手で引っ張るパーキングブレーキであってもよい。