特許第5883338号(P5883338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883338
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】乗客コンベアの欄干装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/22 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   B66B23/22 F
   B66B23/22 G
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-86674(P2012-86674)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-216403(P2013-216403A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 義泰
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−227352(JP,A)
【文献】 特開2002−147008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 − 31/02
E04F 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて循環移動する複数のステップと、これらの複数のステップの側方に設けられた欄干とを備えた乗客コンベアに適用され、前記欄干は、側面を形成する側面部と、この側面部の下方に配置されたスカートガードと、これらの側面部及びスカートガードを挟んで前記ステップと反対側に配置されたデッキベースと、前記側面部の下端部と前記スカートガードの上端部を前記デッキベースに連結する連結部材と、この連結部材を被覆するモールとを含む乗客コンベアの欄干装置において、
前記連結部材に介装されて前記モールと係合するモール固定部材を備え、
このモール固定部材は、
上方へ突出した上方突出片と、
水平方向のうち前記側面部から離れる方向へ突出した水平突出片とを有し、
前記モールは、
前記上方突出片に嵌合する上方嵌合部と、
前記水平突出片に嵌合する水平嵌合部とを有し、
前記連結部材は前記側面部の下端部、前記スカートガードの上端部、及び前記モール固定部材を前記デッキベースに螺子止め固定する固定ビスから成り、
前記モールは、中央部に前記固定ビスを押圧する押圧部を有することを特徴とする乗客コンベアの欄干装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップの側方に立設された欄干を備えた乗客コンベアの欄干装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、乗客コンベアは、無端状に連結され、循環移動する複数のステップと、これらの複数のステップの側方に立設された欄干とを備えている。この欄干は、側面を形成するデッキや欄干パネル等の側面部と、この側面部の下方に配置されたスカートガードと、これらの側面部及びスカートガードを挟んでステップと反対側に配置されたデッキベースと、側面部の下端部とスカートガードの上端部をデッキベースに連結する連結部材と、側面部の上部に設けられたガイドレールに案内され、ステップと同期するように走行するハンドレールとを有している。
【0003】
上述したスカートガードの下端は、ステップとの間に隙間のないように形成され、ステップ上の乗客の衣服等が挟み込まれるのを防止している。しかしながら、スカートガードの上端は上述の連結部材、例えばステップ側から挿通された固定ビスでデッキベースに連結されており、この固定ビスの頭部がステップ側に突出しているので、この突出した固定ビスの頭部に乗客の衣服等が引っ掛かって損傷したり、あるいは乗客コンベアの外観を損なう問題が生じていた。そこで、これを防止するために、スカートガードと側面部を連結する連結部材の端部を被覆するモールを備えた乗客コンベアの欄干装置が提案されている。
【0004】
この種の乗客コンベアの欄干装置の従来技術の1つとして、無端状に連結されて循環移動する複数のステップの移動方向側方に配置された側壁部と、トラスから延設されたデッキベースと、スカートガードとデッキベースとの間に挟まれて配置され、連結部材により連結される欄干パネル、すなわち欄干の側面を形成する側面部と、連結部材をステップ側から見えないように被覆する目地部材、すなわちモールとを備えた乗客コンベアのパネル固定構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この従来技術の乗客コンベアのパネル固定構造では、側壁部は、側面部の下方に配置された上述のスカートガードと、このスカートガードの上端にスカートガードと一体に設けられた固定板とを有しており、デッキベースの断面はL字型の形状に形成されている。固定板は側面部の下端と重なり合うように配置されており、固定板及び側面部が連結部材によってデッキベースの一片に固定されている。すなわち、スカートガードは固定板を介してデッキベースに固定されている。また、モールは固定板の上端を挟持する一対の突起を有しており、これらの一対の突起の間に形成された凹部を固定板の上端に嵌合することにより、モールが連結部材に配設されている。
【0006】
一方、建物に既設されている一般的な乗客コンベアの欄干装置は、スカートガードがデッキベースの上端まで上方に延設されており、固定板を有していなくてもスカートガードの上端が側面部の下端と重なり合っているので、スカートガード及び側面部が連結部材によってデッキベースの一片に直接連結された構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−190892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された乗客コンベアのパネル構造は、上述したように固定板の上端にモールの凹部を嵌合してモールを連結部材に配設するようにしているので、固定板を設ける必要のない既設の乗客コンベアの連結部材にモールをそのまま配設できないという不都合が生じる。従って、既設の乗客コンベアの側面部にモールを配設するには、少なくともスカートガードを新製する必要があり、スカートガードの交換作業が煩雑になることが問題となっている。このように、従来技術の乗客コンベアのパネル構造は、既設された乗客コンベアに適用する場合を考慮しておらず、汎用性が低くなっている。
【0009】
また、従来技術の乗客コンベアのパネル構造では、モールの一対の突起が固定板の上端を挟持しているだけなので、悪戯等によってモールを上方へ持ち上げることにより、モールが簡単に外されることが懸念されている。特に、連結部材が固定ビスで構成されている場合には、時間が経つにつれて固定ビスが徐々に緩むと、スカートガードと側面部が当接して振動が発生し易くなるので、この振動でモールが固定板の上端から取れる虞がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、既設された乗客コンベアにも適用でき、モールの安定した取付状態を維持することができる乗客コンベアの欄干装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の乗客コンベアの欄干装置は、無端状に連結されて循環移動する複数のステップと、これらの複数のステップの側方に設けられた欄干とを備えた乗客コンベアに適用され、前記欄干は、側面を形成する側面部と、この側面部の下方に配置されたスカートガードと、これらの側面部及びスカートガードを挟んで前記ステップと反対側に配置されたデッキベースと、前記側面部の下端部と前記スカートガードの上端部を前記デッキベースに連結する連結部材と、この連結部材を被覆するモールとを含む乗客コンベアの欄干装置において、前記連結部材に介装されて前記モールと係合するモール固定部材を備え、このモール固定部材は、上方へ突出した上方突出片と、水平方向のうち前記側面部から離れる方向へ突出した水平突出片とを有し、前記モールは、前記上方突出片に嵌合する上方嵌合部と、前記水平突出片に嵌合する水平嵌合部とを有し、前記連結部材は前記側面部の下端部、前記スカートガードの上端部、及び前記モール固定部材を前記デッキベースに螺子止め固定する固定ビスから成り、前記モールは、中央部に前記固定ビスを押圧する押圧部を有することを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、乗客コンベアが既設されているか、あるいは新設されているかに拘わらず、側面部の下端部とスカートガードの上端部が連結部材によってデッキベースに連結されている。そのため、この連結部材にモール固定部材を介装させ、モールをこのモール固定部材に係合させるようにしたので、乗客コンベアの設置状態に依存することなくモールを容易に連結部材に配設することができる。
【0013】
また、モールの水平嵌合部を連結部材に介装されるモール固定部材の水平突出片に嵌合すると共に、モールの上方嵌合部をモール固定部材の上方突出片に嵌合することにより、モールの水平方向における移動が上方突出片に規制されるだけでなく、モールの上下方向における移動も水平突出片に規制される。そのため、仮に悪戯等によってモールが上方へ持ち上げられたり、あるいは引っ張られた場合でも、モールが上方突出片及び水平突出片で保持されるので、簡単に動かずに取り外れ難くなっている。このように、本発明は、既設された乗客コンベアにも適用でき、モールの安定した取付状態を維持することができる。
【0015】
さらに、本発明は、モールの水平嵌合部及び上方嵌合部をモール固定部材の水平突出片及び上方突出片にそれぞれ嵌合させると、固定ビスがモールの押圧部に押圧される。そのため、モールの押圧部の押圧力によって固定ビスがモール固定部材に対して保持されるので、固定ビスの抜け落ちを抑制することができる。また、仮に固定ビスが緩んだ場合には、固定ビスに介装されているモール固定部材も緩むことになるので、モールをモール固定部材に取付ける際に、モールの水平嵌合部及び上方嵌合部の各開口端部がモール固定部材の水平突出片及び上方突出片の先端に当接して嵌め難くなったり、あるいは上手く係合させ難くなる。これにより、モールの取付作業を行う度に固定ビスが緩んでいるかどうかが分かり、固定ビスの締結状態を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗客コンベアの欄干装置によれば、モールと係合するモール固定部材を、側面部とスカートガードをデッキベースに連結する連結部材に介装することにより、乗客コンベアの設置状態に依存することなくモールを容易に連結部材に配設することができる。そして、モールの水平嵌合部及び上方嵌合部をモール固定部材の水平突出片及び上方突出片にそれぞれ嵌合させるようにしたので、モールを上方突出片及び水平突出片で保持することができる。従って、本発明は、既設された乗客コンベアにも適用でき、モールの安定した取付状態を維持することができるので、従来よりも高い汎用性及び安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る欄干装置の第1実施形態に適用される乗客コンベアの構成を説明する図である。
図2】本発明に係る乗客コンベアの欄干装置の第1実施形態の構成を示す図である。
図3図2に示すモール及びモール固定部材を取付ける動作を説明する側面図であり、(a)図はモール固定部材を内側デッキに取付けた状態を示す図、(b)図はモールを用意してモール固定部材の近傍へ配置した状態を示す側面図である。
図4図2に示すモール及びモール固定部材を取付ける動作を説明する側面図であり、(a)図はモールをモール固定部材に当接させた状態を示す図、(b)図はモールをモール固定部材に取付けた状態を示す図である。
図5】本発明に係る乗客コンベアの欄干装置の第2実施形態におけるモール及びモール固定部材を内側デッキの繋ぎ部に取付ける動作を説明する斜視図であり、モール固定部材を内側デッキの繋ぎ部に当接させた状態を示す図である。
図6】本発明に係る乗客コンベアの欄干装置の第2実施形態におけるモール及びモール固定部材を内側デッキの繋ぎ部に取付ける動作を説明する斜視図であり、第1のモールをモール固定部材に取付けると共に、第2のモールをモール固定部材に当接させた状態を示す図である。
図7】本発明に係る乗客コンベアの欄干装置の第2実施形態におけるモール及びモール固定部材を内側デッキの繋ぎ部に取付ける動作を説明する斜視図であり、第1のモール及び第2のモールをモール固定部材に取付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る乗客コンベアの欄干装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態]
本発明に係る欄干装置の第1実施形態は、例えば図1に示すように無端状に連結され、ローラ(図示せず)を有して循環移動する複数のステップ1と、これらの複数のステップ1の側方に設けられた欄干20とを備えた乗客コンベアに適用される。この乗客コンベアは、複数のステップ1を無端状に連結するステップチェーン(図示せず)と、このステップチェーンを駆動させる駆動装置(図示せず)と、各ステップ1が走行するレール(図示せず)とを備えており、ステップチェーンを駆動装置で循環移動させることによって各ステップ1がレール上を循環走行するようになっている。
【0020】
本発明の第1実施形態に係る上述の欄干20は、側面を形成する側面部を有しており、この側面部は、例えばステップ1の側方に配置され、鉛直方向に延設された欄干パネル21と、この欄干パネル21を支持する内側デッキ3とから構成されている。この内側デッキ3は、例えば水平に配置され、欄干パネル21の下部が取付けられた板状の水平板3aと、この水平板3aに対して下方に傾斜して配置され、水平板3aからステップ1側へ延設された板状の傾斜板3bと、鉛直に配置され、傾斜板3bから下方に向かって延設された板状の鉛直板3cとから成っており、部材として鋼板が用いられている。
【0021】
また、欄干20は、図2に示すように内側デッキ3の鉛直板3cの下方に配置されたスカートガード2と、これらの内側デッキ3の鉛直板3c及びスカートガード2を挟んでステップ1と反対側に配置され、断面がL字型に形成されたデッキベース4とを有している。このデッキベース4は、例えば水平に配置され、内側デッキ3とスカートガード2を内側デッキ3の内側から支持するための基台となる水平ベース4aと、この水平ベース4aの両端のうちステップ1側の一端に立設された鉛直ベース4bとから成っている。そして、欄干20は、欄干パネル21の上部に敷かれたガイドレール(図示せず)と、ステップ1と同様に無端状に形成され、このガイドレールに取付けられたハンドレール(図示せず)とを有し、ステップ1と同期して走行するようになっている。
【0022】
本発明の第1実施形態では、欄干20は、内側デッキ3の下端部とスカートガード2の上端部をデッキベース4に連結する連結部材を有しており、この連結部材は、例えば内側デッキ3の下端部とスカートガード2の上端部をデッキベース4に螺子止め固定する固定ビス6から成っている。この固定ビス6は、例えば雄螺子が形成された軸部6aと、この軸部6aの基端に設けられた頭部6bとから構成されている。
【0023】
ここで、内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、及びデッキベース4の鉛直ベース4bには、固定ビス6の軸部6aを挿通させる貫通孔(図示せず)がそれぞれ設けられており、これらの貫通孔のうちデッキベース4の鉛直ベース4bには固定ビス6の雄螺子が螺合する雌螺子が形成されている。
【0024】
さらに、スカートガード2はデッキベース4の鉛直ベース4bの上端まで上方に延設されており、ステップ1側から内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、デッキベース4の鉛直ベース4bの順に配置されて重なり合っている。そして、固定ビス6の軸部6aがステップ1側からこの順に内側デッキ3、スカートガード2、デッキベース4の各貫通孔に挿通されると共に、固定ビス6の雄螺子がデッキベース4の貫通孔の雌螺子に螺合するようになっている。従って、固定ビス6の頭部6bはステップ1側へ向けられており、内側デッキ3の鉛直板3cからステップ1側へ凸状に突出している。
【0025】
本発明の第1実施形態では、欄干20は、固定ビス6の頭部6aを被覆するモール7と、固定ビス6に介装されてモール7と係合するモール固定部材5とを備えている。具体的には、このモール固定部材5は、上方へ突出した上方突出片9と、水平方向のうち内側デッキ3の鉛直板3cから離れる方向、すなわちステップ1側へ突出した水平突出片10とを有している。
【0026】
また、モール固定部材5は、例えば上方突出片9と水平突出片10を連結し、内側デッキ3の鉛直板3cに沿って当接する板状の基板5aと、この基板5aに設けられ、内側デッキ3、スカートガード2、及びデッキベース4の各貫通孔と同様に固定ビス6の軸部6aを挿通させる貫通孔(図示せず)とを有しており、内側デッキ3の鉛直板3cよりも頭部6a側へ深く挿通されている。従って、モール固定部材5の上方突出片9は基板5aの上端から延設されると共に、水平突出片10は基板5aの下端から延設されている。
【0027】
一方、モール7は、例えば内側デッキ3の鉛直板3cに当接し、ステップ1側から固定ビス6の頭部6bを含めてモール固定部材5を覆うようにドーム型に形成された被覆部7aと、この被覆部7aのうち頂部7a1と反対側に形成された部分、すなわち内側デッキ3の鉛直板3cに当接する部分が内部に向かってくり抜かれて形成された嵌合部8とを有している。この嵌合部8は、モール固定部材5の上方突出片9に嵌合する上方嵌合部8aと、モール固定部材5の水平突出片10に嵌合する水平嵌合部8bとを有している。なお、被覆部7aの下部は、例えば内側デッキ3の鉛直板3cとの間で隙間11が空くように湾曲状に形成されている。
【0028】
さらに、モール7は、中央部に固定ビス6の頭部6aを押圧する押圧部を有し、この押圧部は、内側デッキ3側へ突出した中央凸部8cから成っている。なお、モール7は、水平嵌合部8bの開口端部のうち中央凸部8cと反対側の端部に傾斜状に形成され、モール固定部材5の水平突出片10をスライドさせて水平嵌合部8bに係合させる段差8dを有している。
【0029】
次に、本発明の第1実施形態に係るモール7及びモール固定部材5を内側デッキ3の鉛直板3cに取付ける作業を図3図4に基づいて説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態は、例えば乗客コンベアが建物に既設されており、欄干20において内側デッキ3及びスカートガード2がデッキベース4の鉛直ベース4bに固定ビス6によって互いに固定されている。そのため、まずこの固定ビス6を緩めて内側デッキ3、スカートガード2、及びデッキベース4から取外す。
【0031】
次に、図3(a)に示すようにステップ1側から内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、デッキベース4の鉛直ベース4bの順に重ね合わせた状態で内側デッキ3の鉛直板3cにモール固定部材5の基板5aを当接させる。このとき、モール固定部材5の上方突出片9を上方へ向け、水平突出片10を水平(乗客コンベアがエスカレーター等の斜面を有し、この斜面部分に設けられる場合には斜面に対して水平)に向けて配置する。なおここでいう水平とは、ステップ1の移動方向と平行な面に対して水平(平行)であることを意味している。次に、モール固定部材5の貫通孔と、内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、及びデッキベース4の鉛直ベース4bの各貫通孔との軸線が揃うようにモール固定部材5の位置を調整する。
【0032】
そして、固定ビス6の軸部6aをステップ1側からモール固定部材5の基板5a,内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、及びデッキベース4の鉛直ベース4bの各貫通孔に挿通させながら、固定ビス6の雄螺子をデッキベース4の雌螺子に螺合させてモール固定部材5を内側デッキ3の鉛直板3cの下端に取付ける。
【0033】
次に、図3(b)に示すようにモール7の嵌合部8をモール固定部材5へ向けながらモール7をモール固定部材5の近傍に配置する。その後、図4(a)に示すようにモール7の上方嵌合部8aの開口端部をモール固定部材5の上方突出片9の先端に接触させると共に、モール固定部材5の水平突出片10を嵌合部8の段差8dに当接させる。
【0034】
そして、モール7全体を内側デッキ3の鉛直板3cに沿って下方へ押すことにより、モール固定部材5の上方突出片9がモール7の上方嵌合部8aに嵌合すると共に、モール固定部材5の水平突出片10が嵌合部8の段差8dに案内されてモール7の水平嵌合部8bに嵌合する。これにより、本発明の第1実施形態に係るモール7及びモール固定部材5を内側デッキ3の鉛直板3cに取付ける作業が完了する。
【0035】
このように構成した本発明の第1実施形態によれば、乗客コンベアが既設されているか、あるいは新設されているかに拘わらず、内側デッキ3の鉛直板3cの下端部とスカートガード2の上端部が固定ビス6によってデッキベース4の鉛直ベース4bに連結される。そのため、乗客コンベアが既設されていても、固定ビス6を内側デッキ3、スカートガード2、及びデッキベース4から取外した後、この固定ビス6の軸部6aにモール固定部材5を介装させ、モール7をこのモール固定部材5に係合させるようにしたので、乗客コンベアの設置状態に依存することなくモール7を容易に固定ビス6に配設して被覆部7aで固定ビス6の頭部6bを覆うことができる。
【0036】
また、モール7の上方嵌合部8aをモール固定部材5の上方突出片9に嵌合すると共に、モール7の水平嵌合部8bをモール固定部材5の水平突出片10に嵌合することにより、モール7の水平方向における移動が上方突出片9に規制されるだけでなく、モール7の上下方向における移動も水平突出片10に規制される。そのため、仮に悪戯等によってモール7が上方へ持ち上げられたり、あるいは引っ張られた場合でも、モール7が上方突出片9及び水平突出片10で保持されるので、簡単に動かずに取り外れ難くなっている。このように、本発明の第1実施形態は、既設された乗客コンベアにも適用でき、モール7の安定した取付状態を維持することができるので、高い汎用性及び安定性を確保することができる。
【0037】
また、本発明の第1実施形態は、モール7の中央部に中央凸部8cが形成されているので、モール7の上方嵌合部8a及び水平嵌合部8bがモール固定部材5の上方突出片9及び水平突出片10にそれぞれ嵌合した際に、固定ビス6の頭部6bがモール7の中央凸部8cに押圧される。そのため、このモール7の中央凸部8cの押圧力によって固定ビス6がモール固定部材5に対して保持されるので、固定ビス6の抜け落ちを抑制することができる。
【0038】
また、仮に固定ビス6が緩んだ場合には、固定ビス6の軸部6aが挿通されたモール固定部材5も緩むことになる。そのため、モール7の上方嵌合部8aの開口端部をモール固定部材5の上方突出片9の先端に接触させると共に、モール固定部材5の水平突出片10を嵌合部8の段差8dに当接させた状態で、モール7全体を内側デッキ3の鉛直板3cに沿って下方へ押しても、モール7の上方嵌合部8a及び水平嵌合部8bの各開口端部がモール固定部材5の上方突出片9及び水平突出片10に嵌め難くなり、モール7が上方へ押し戻される。これにより、モール7の取付作業を行う度に固定ビス6が緩んでいるかどうかが分かり、固定ビス6の締結状態を容易に把握することができる。従って、固定ビス6を新しいものに交換したり、あるいは締め直すことにより、固定ビス6が緩んだ状態で気付かないまま放置されるのを防止することができる。
【0039】
また、本発明の第1実施形態は、モール7の水平嵌合部8bの開口端部のうち中央凸部8cと反対側の端部に段差8dが傾斜状に形成されており、モール固定部材5の水平突出片10がスライド移動し易くなっているので、モール固定部材5の水平突出片10をこの段差8dに当接させてモール7を下方へ押すだけでモール7をモール固定部材5に簡単に取付けることができる。これにより、モール7の取付作業に要する時間を短縮することができる。
【0040】
さらに、本発明の第1実施形態は、モール7の被覆部7aの下部が湾曲状に形成されて被覆部7aと内側デッキ3の鉛直板3cとの間に隙間11が形成されているので、この隙間11に例えば鋭利なものを差し込むことにより、必要なときにモール7をモール固定部材7から迅速に取外すことができる。これにより、モール7の取外作業に要する時間も短縮することができる。
【0041】
[第2実施形態]
ここで、本発明の第1、第2実施形態に係る内側デッキ3はステップ1に沿って延設されるので、図5〜7に示すように内側デッキ3を構成する複数の鋼板が接続された繋ぎ部3dが存在し、この繋ぎ部3dを挟むように内側デッキ3の鉛直板3c、スカートガード2、及びデッキベース4のそれぞれに複数の固定ビス6を挿通させる貫通孔が設けられている。
【0042】
本発明の第2実施形態では、モール7及びモール固定部材5を内側デッキ3の繋ぎ部3dの位置に取付けるようにしており、モール固定部材5は、例えば図5に示すように基板5aが内側デッキ3の繋ぎ部3dを挟んで一対の固定ビス6によって鉛直板3cに取付けられるように横長に形成されている。従って、本発明の第2実施形態では、一対の固定ビス6を挿通させる一対の貫通孔が内側デッキ3の繋ぎ部3dを挟んでそれぞれ設けられている。なお、本発明の第2実施形態においても第1実施形態と対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態に係るモール7及びモール固定部材5を内側デッキ3の繋ぎ部3dに取付ける作業を図5〜7に基づいて説明する。
【0044】
本発明の第2実施形態は、例えば乗客コンベアが建物に既設されており、欄干2のうち内側デッキ3の繋ぎ部3dの部分において内側デッキ3及びスカートガード2がデッキベース4の鉛直ベース4bに一対の固定ビス6によって互いに固定されている。そのため、まずこれらの各固定ビス6を緩めて内側デッキ3、スカートガード2、及びデッキベース4から取外す。
【0045】
本発明の第2実施形態は、図5に示すようにステップ1側から内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、デッキベース4の鉛直ベース4bの順に重ね合わせた状態で内側デッキ3の鉛直板3cのうち繋ぎ部3dの位置にモール固定部材5の基板5aを当接させる。このとき、モール固定部材5の上方突出片9を上方へ向け、水平突出片10を水平(乗客コンベアがエスカレーター等の斜面を有し、この斜面部分に設けられる場合には斜面に対して水平)に向けて配置する。なおここでいう水平とは、ステップ1の移動方向と平行な面に対して水平(平行)であることを意味している。次に、モール固定部材5の一対の貫通孔と、内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、及びデッキベース4の鉛直ベース4bの一対の各貫通孔との軸線がそれぞれ揃うようにモール固定部材5の位置を調整する。
【0046】
そして、一対の固定ビス6の軸部6aをステップ1側からモール固定部材5の基板5a,内側デッキ3の鉛直板3cの下端、スカートガード2の上端、及びデッキベース4の鉛直ベース4bの一対の各貫通孔にそれぞれ挿通させながら、一対の固定ビス6の雄螺子を一対のデッキベース4の雌螺子にそれぞれ螺合させてモール固定部材5を内側デッキ3の鉛直板3cの下端に取付ける。
【0047】
その後、図6に示すように一対のモール7を用意する。ここで、以下の説明においてこれらのモール7のうち一方のモールを第1のモール7(図6の左側のモール)、他方のモールを第2のモール7(図6の右側のモール)と便宜的に呼ぶこととする。
【0048】
次に、第1のモール7の嵌合部8をモール固定部材5へ向けながら第1のモール7をモール固定部材5の近傍に配置する。その後、第1のモール7の一対の両側面のうち一方を繋ぎ部3dに合わせながら第1のモール7の上方嵌合部8aの開口端部をモール固定部材5の上方突出片9の先端に接触させると共に、モール固定部材5の水平突出片10を嵌合部8の段差8dに当接させる。
【0049】
そして、第1のモール7全体を内側デッキ3の鉛直板3cに沿って下方へ押すことにより、モール固定部材5の上方突出片9が第1のモール7の上方嵌合部8aに嵌合すると共に、モール固定部材5の水平突出片10が嵌合部8の段差8dに案内されて第1のモール7の水平嵌合部8bに嵌合する。
【0050】
次に、用意した第2のモール7の嵌合部8をモール固定部材5へ向けながら第2のモール7をモール固定部材5の近傍に配置する。その後、第2のモール7の一対の両側面のうち一方を繋ぎ部3dと既に取付けた第1のモール7の側面に合わせながら第2のモール7の上方嵌合部8aの開口端部をモール固定部材5の上方突出片9の先端に接触させると共に、モール固定部材5の水平突出片10を嵌合部8の段差8dに当接させる。
【0051】
そして、第2のモール7全体を内側デッキ3の鉛直板3cに沿って下方へ押すことにより、図7に示すようにモール固定部材5の上方突出片9が第2のモール7の上方嵌合部8aに嵌合すると共に、モール固定部材5の水平突出片10が嵌合部8の段差8dに案内されて第2のモール7の水平嵌合部8bに嵌合する。これにより、本発明の第2実施形態に係るモール7及びモール固定部材5を内側デッキ3の繋ぎ部3dに取付ける作業が完了する。
【0052】
このように構成した本発明の第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる他、モール固定部材5を内側デッキ3の鉛直板3cのうち繋ぎ部3dの位置に一対の固定ビス6によって取付けた後、用意した一対のモール7、すなわち第1、第2のモール7の一対の両側面のうち一方をそれぞれ繋ぎ部3dに合わせてモール固定部材5に取付け、第1、第2のモールの各被覆部7aで各固定ビス6を覆うようにしたので、第1、第2のモール7及びモール固定部材5は、仮に内側デッキ3の繋ぎ部3dに水平方向又は鉛直方向における段差がある場合にも十分に対応することができる。これにより、装置の汎用性をより高めることができる。
【0053】
また乗客コンベアとしてエスカレーターにこのような形態を適用する場合、エスカレーターは異なる階床間を接続するため、一方の階床及び他方の階床の床面と平行な水平部と、水平部に滑らかに接続された斜面部とから構成されており、モール固定部材5を長尺物で構成した場合、この水平部と斜面部を接続する部分での取付精度等を確保する作業が必要となるが、本実施形態のような構成であれば、取付精度を容易に確保することができる。また、材料の低減を行うことができるため、コストの削減も図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ステップ
2 スカートガード
3 内側デッキ
3a 水平板
3b 傾斜板
3c 鉛直板
3d 繋ぎ部
4 デッキベース
4a 水平ベース
4b 鉛直ベース
5 モール固定部材
5a 基板
6 固定ビス(連結部材)
7 モール
7a 被覆部
8 嵌合部
8a 上方嵌合部
8b 水平嵌合部
8c 中央凸部(押圧部)
9 上方突出片
10 水平突出片
20 欄干
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7