(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
素材ワークを加工する加工機を有する加工ステーションと、該加工機へ搬入する素材ワークを搭載した加工パレット及び前記加工機から搬出された加工済みのワークを搭載した加工パレットを待機させるパレット搬出入ステーションと、該パレット搬出入ステーションから前記加工済みワークを回収する加工済みワーク回収手段と、を有するワーク加工搬送システムにおいて、
前記パレット搬出入ステーションは、素材ワークを搭載した加工パレットが搬送されて載置される搬出入装置を有し、該搬出入装置は、前記加工ステーションに対して、素材ワークを搭載した加工パレットの搬入と、加工済みのワークを搭載した加工パレットの搬出とを行い、
前記加工済みワーク回収手段は、
前記パレット搬出入ステーションにある加工パレットに搭載した加工済みワークを該加工パレットから分離して保持するワーク分離保持体と、前記ワーク分離保持体を前記パレット搬出入ステーションへ進退させるワーク分離保持体進退手段と、前記ワーク分離保持体を昇降移動させるワーク分離保持体昇降手段と、を有し、
前記加工済みワークを前記ワーク分離保持体により保持した状態で該ワーク分離保持体を前記ワーク分離保持体昇降手段により昇降移動させ、前記パレット搬出入ステーションの上方位置に構成された所定の製品ワーク保管部に前記ワーク分離保持体に保持された加工済みワークを降ろすことを特徴とするワーク加工搬送システム。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動倉庫の一種として、レーザ加工機等の加工機におけるワークの加工、及び該加工に係るワークの搬入・搬出を自動化した装置が知られている。このようなワーク加工用搬入搬出装置においては、例えば、素材ワークがセットされた加工パレットを加工機に搬入するとともに、加工機において加工が終了した加工済みワークのセットされた加工パレットを搬出する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1において、このような搬入搬出装置の一例が記載されている。この搬入搬出装置では、板材供給搬出ステーション(S2)に置かれている加工パレット(5)に搭載された素材ワーク(W)を吸着手段(37)により吸着保持する(
図5、
図6参照)。その状態で、加工ステーション(S1)から板材供給搬出ステーション(S2)に加工テーブル(19)に載って搬送された加工済みワーク(W´)をフォーク(51)により製品パレット退避ステーション(S3)側に一次的に退避させつつ、吸着手段(37)のワーク(W)を加工テーブル(19)に載置する(
図8、
図9参照)。その後、加工テーブル(19)を加工ステーション(S1)に搬送した後にフォーク(51)を板材供給搬出ステーション(S2)に前進させ(
図10参照)、吸着手段(37)によりフォーク(51)に支持された加工済みワーク(W´)を保持してフォーク(51)を製品パレット退避ステーション(S3)に戻し(
図11、
図12参照)、走行リフタ(35)を製品パレット退避ステーション(S3)から板材供給搬出ステーション(S2)に搬入する。
【0004】
そして、走行リフタ(35)の油圧ジャッキを上昇させて吸着手段(37)に保持された加工済みワーク(W´)を該走行リフタ(35)の製品集積パレット(7)に載置する(当該文献1の
図12参照)。更に、この走行リフタ(35)の油圧ジャッキを下降させて該リフタを製品パレット退避ステーション(S3)に搬送する。
【0005】
【特許文献1】特開2001−113392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の装置では、上述のように、加工が終了して加工機から加工済みワーク(W´)を回収して外部に搬出するために、複数枚の製品ワークが積載された製品集積パレット(7)を保持したリフタ台車(35)を、製品パレット退避ステーション(S3)から板材供給搬出ステーション(S2)に移動させるとともに(特許文献1の
図10参照)、当該リフタ台車(35)を油圧ジャッキにより加工済みワーク(W´)の吸着保持高さまで上昇させ、吸着手段39から加工済みワーク(W´)を受け取ることとなる(特許文献1の
図11、
図12参照)。
【0007】
ここで、リフタ台車(35)が保持する製品パレット(7)は複数枚のワークを搭載していることからその重量が数トン程度の高重量に達するので、上記リフタ台車(35)は、この高重量の製品パレット(7)の保持や搬送に適する上記油圧ジャッキ等の高コストの設備を必要とする。
【0008】
更に、特許文献1に記載の装置では、板材供給搬出ステーション(S2)において、素材ワーク(W)をセットしたパレット(5)の加工機への供給及び加工済みワーク(W´)の加工機からの搬出の双方を行う必要がある。そのため、加工が終了して板材供給搬出ステーション(S2)に搬送された加工済みワーク(W´)をフォーク(51)で板材供給搬出ステーション外部に退避させた状態で、吸着手段(38)に保持された次に加工を行うべき素材ワーク(W)を加工テーブル(19)にセットする必要があるため(当該文献
図7〜
図9参照)、当該素材ワーク(W)を加工機へ供給するまでに時間がかかることとなり、いわゆるタクトタイムが増加してシステムの効率的な稼働が阻害される恐れがあった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設備コストを抑制しつつ、高効率化を図ることのできるワーク加工搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する手段として請求項1に記載の切断加工機のワーク加工搬送システムは、素材ワークを加工する加工機を有する加工ステーションと、該加工機へ搬入する素材ワークを搭載した加工パレット及び前記加工機から搬出された加工済みのワークを搭載した加工パレットを待機させるパレット搬出入ステーションと、該パレット搬出入ステーションから前記加工済みワークを回収する加工済みワーク回収手段と、を有するワーク加工搬送システムにおいて、
前記パレット搬出入ステーションは、素材ワークを搭載した加工パレットが搬送されて載置される搬出入装置を有し、該搬出入装置は、前記加工ステーションに対して、素材ワークを搭載した加工パレットの搬入と、加工済みのワークを搭載した加工パレットの搬出とを行い、前記加工済みワーク回収手段は、前記パレット搬出入ステーションにある加工パレットに搭載した加工済みワークを該加工パレットから分離して保持するワーク分離保持体と、前記ワーク分離保持体を前記パレット搬出入ステーションへ進退させるワーク分離保持体進退手段と、前記ワーク分離保持体を昇降移動させるワーク分離保持体昇降手段と、を有し、前記加工済みワークを前記ワーク分離保持体により保持した状態で該ワーク分離保持体を前記ワーク分離保持体昇降手段により昇降移動させ、前記パレット搬出入ステーションの上方位置に構成された所定の製品ワーク保管部に前記ワーク分離保持体に保持された加工済みワークを降ろすことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシステムによれば、パレット搬出入ステーションからワーク分離保持体を用いて加工済みワークを加工パレットから分離して保持し、更にワーク分離保持体が加工済みワークを保持した状態で、ワーク分離保持体昇降手段によりワーク分離保持体を昇降移動させて製品ワーク保管部に移動させ、該加工済みワークを降ろすこととなる。すなわち、加工済みワークのみを分離保持してワーク保管部へ搬送するので、複数枚の加工済みワークを搭載した高重量の製品集積パレットを搬出するための設備を用いずに、加工済みワークを製品ワーク保管部に集積することができるので、設備の簡素化が図られる。
【0012】
更に、本システムでは、上記ワーク分離保持体昇降手段による加工済みワークの製品ワーク保管部への搬送は、該加工済みワークをワーク分離保持体進退手段によりパレット搬出入ステーションから退行させつつ行われることとなる。従って、当該搬送は、パレット搬出入ステーションから離れて行われることとなるので、加工済みワークの製品ワーク保管部への搬送作業と、素材ワークを加工機へ搬送するためのパレット搬出入ステーションへの加工パレットのセット作業と、を相互に干渉することなく実行することができ、システム全体の効率化に資する。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーク加工搬送システムにおいて、前記ワーク分離保持体は、前記加工済みワークを下方から支持して、該加工済みワークを前記加工パレットから取り出すフォークであることを特徴とする。すなわち、上記ワーク分離保持体を簡素な構成のフォークで構築することができる。
【0014】
一方で、フォークはその昇降移動や進退移動の速度調整も容易であるので、加工済みワークをパレット搬出入ステーションからワーク保管部へ搬送するまでの時間の調整も容易なり、結果として、その搬送時間を加工機における加工時間に合わせて調整しやすくなる
ので、効率的なシステム動作の達成に資することとなる。
【0015】
更に請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のワーク加工搬送システムにおいて、前記ワーク分離保持体は、前記加工済みワークを1枚ずつ分離保持することを特徴とする。
【0016】
これによれば、ワーク分離保持体は、パレット搬出入ステーションからワーク保管部へ搬送される際には、ワーク一枚分の重量を保持するのみで足りることとなる。従って、ワーク分離保持体を高重量に耐えうるように頑丈に構成したり、或いはワーク分離保持昇降移動手段やワーク分離保持体進退手段を高重量物の搬送に耐えうるように構成する必要がないので、設備コスト低減が実現されることとなる。
【0017】
更に、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のワーク加工搬送システムにおいて、前記加工済みワークを搭載している加工パレットを前記パレット搬出入ステーション
の所定位置から前記パレット搬出入ステーションの外部へ一時的に退避させる加工パレット退避手段と、前記パレット搬出入ステーションへ素材ワークを搭載したパレットを供給する加工パレット供給手段と、を更に有し、前記加工パレット退避手段による加工パレットの退避と略同時に、前記加工パレット供給手段による加工パレットの
前記所定位置への供給を行
い、素材ワークが搭載された加工パレットの供給経路と、前記加工済みワーク回収手段による前記加工済みワークの前記製品ワーク保管部への昇降移動経路とが、互いに異なり干渉しないことを特徴とする。
【0018】
このように、パレット搬出入ステーションから加工済みワークを加工パレットに搭載した状態で加工パレット退避手段により一時的に退避させるとともに、未加工の素材を搭載したパレットを加工パレット供給手段によりパレット搬出入ステーションに供給することで、ワーク分離保持体によるパレット搬出入ステーションからの加工済みワークの回収の前に、次の素材ワークを加工機へ送るためにパレット搬出入ステーションに供給することができる。従って、この素材ワークが加工機で加工されている間に、加工済みワークのワーク保管部への運搬を行うことができ、加工済みワークのワーク保管部への搬送時間はワークの加工時間として効率よく利用することができる。従って、タクトタイムのさらなる減少に資することとなり、延いてはシステムの効率化がより一層図られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るワーク加工搬送システムによれば、パレット搬出入ステーションに搬出された加工済みワークをセットした加工パレットから、該加工済みワークのみをワーク保管部へ搬送することとなるので、高重量の製品集積パレットを搬出するための設備を必要とせず、その簡素化が図られる。従って、システムの構築コストを削減することができる。
【0020】
また、本システムでは、加工済みワークのワーク保管部への搬送が、パレット搬出入ステーションから離れて行われることとなるので、加工済みワークの製品ワーク保管部への搬送作業と、素材ワークを加工機へ搬送するためのパレット搬出入ステーションへの加工パレットのセット作業と、を相互に干渉することなく実行することができ、システム全体の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態に係るワーク加工搬送システムの概略側面視図である。
【
図2】ワーク加工搬送システムにおけるレーザ加工機の概略正面図である。
【
図3】ワーク加工搬送システムの概略平面図である。
【
図4】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図5】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図6】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図7】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図8】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図9】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図10】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図11】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図12】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図13】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図14】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図15】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図16】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図17】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図18】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図19】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図20】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図21】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図22】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【
図23】ワーク加工搬送システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0023】
図1及び
図2は本実施の形態に係るワーク加工搬送システムの説明図である。なお、
図1は、本実施の形態に係るワーク加工搬送システムの概略側面視図である。
図2は、ワーク加工搬送システムの概略平面図である。
【0024】
図示のように、ワーク加工搬送システム10は、板金状などの板状の素材ワークW´を加工するレーザ加工機を有するレーザ加工ステーションS1を備えており、このレーザ加工機に隣接して、加工パレット13や製品パレット15を収納する収納棚14Pやパレット搬出入ステーションS2を備えたストッカー16が設置されている。なお、このストッカー16は、平面視略矩形状の複数段のラック部分を有する枠状体として構成されている。
【0025】
レーザ加工ステーションS1には、図示しないレーザ加工機が配置されている。レーザ加工機は、加工パレットにセットされた状態で搬入された素材ワークに対してレーザ加工を行うための種々の構成を備えている。なお、上記レーザ加工機としては、3軸レーザ加工機等の種々のタイプのものを用いることができる。
【0026】
なお、本発明に係るワーク加工搬送システムが対象とする加工機には、上述の実施の形態におけるレーザ加工機に代えて、加工パレットにセットされた素材ワークに対する加工を行うことが可能な種々の加工機を用いることができる。
【0027】
加工パレット13は、平面視略矩形状に形成され、素材ワークW´をセットするように、多数のスキッド(剣山)を適当な間隔で配置したスキッド板(図示せず)を備えている。また、加工パレット13における図のY軸方向の両端部には、それぞれ後述するリフタリフタトラッカ43やトラッカ待機台トラッカ56を係合させるための係合片13a、13bが設けられている。
【0028】
そして、加工パレット13は、素材ワークW´や加工済みワークWがセットされた状態で、ストッカー16内のパレット搬出入ステーションS2とレーザ加工ステーションS1の間を走行する加工パレット搬出入装置22により搬出入が行われる。この加工パレット搬出入装置22は、当該両ステーションS1及びS2間に敷設された軌道27を走行するように構成されている。なお、加工パレット搬出入装置22の平面視サイズはストッカー16の加工パレット13と略同程度から若干大きく形成されており、該加工パレット搬出入装置22の両ステーション(S1、S2)間を往復移動は、図示しないNC制御装置の制御の下に行われる。
【0029】
一方、ストッカー16のパレット搬出入ステーションS2には、枠組構造体38にバキュームパットまたはマグネットなどの吸着パッド37を格子状に配列してなる吸着手段39と、その下方に配置されて複数の素材ワークW´が積載された素材ワーク積載パレット19をセットするワーク積載パレット誘導レール40と、該加工パレットセット用誘導レール40の更に下方に配置され、加工パレット13を昇降させる棚内固定昇降装置30と、を有する。本実施の形態では、素材ワーク積載パレット19は、製品集積パレット15と同一の構成を有している。このようにパレットの形態の共通化を図ることにより、複数種のパレットの製造にかかるコストの増加を抑制することができる。なお、当該パレットを素材ワーク積載パレット19として用いる場合にはポール62を外した状態とし、製品集積パレット15として用いる場合にはポール62を取り付けた状態とすることで、状況に応じて容易に用途の変更が可能である。
【0030】
上記吸着手段39は、その吸着パッド37が、素材ワークW´や加工済みワークWを吸着保持可能となるように、図示しない昇降装置により昇降自在に設けられている。なお、各吸着パッド37を個別制御可能に構成し、略矩形状以外の不定型の素材ワークにおいて、素材ワークの形状に対応する位置の吸着パッド37を使用することにより、効率的な吸着を行うことも可能である。
【0031】
棚内固定昇降装置30は、所定の上昇状態と下降状態をとるように上下移動可能に構成されているとともに、当該上昇状態及び下降状態をとるに伴い載置された加工パレット13をそれぞれ、上昇及び下降させる。
【0032】
そして、ストッカー16の
図1における左側(Y軸方向正の方向側)には、パレット搬出入ステーションS2や後述のワーク保管部60から加工パレット13、素材ワーク積載パレット19、及び製品集積パレット15の脱挿入が可能なパレット搬送リフタ41が設けられている。
【0033】
パレット搬送リフタ41は、図示しないウインチなどの駆動手段により、ストッカー16立設方向に沿って上下動自在で且つ任意の高さ位置に位置固定可能に設けられている、また、パレット搬送リフタ41には、加工パレット13、素材ワーク積載パレット、及び製品集積パレット15に係脱自在な自走式リフタトラッカ43がガイドレールに沿ってY軸方向(
図1の左右方向)に移動自在に設けられている。
【0034】
一方、ストッカー16の
図1における右側(Y軸方向負の方向側)における下部位置には、パレット搬出入ステーションS2にある加工パレット13を一時的に待機させるパレット待機台53が隣接して設けられている。このパレット待機台53は、パレット搬出入ステーションS2において上昇状態の棚内固定昇降装置30に支持された加工パレット13を脱挿入するために、該加工パレット13に係合可能な自走式の待機台トラッカ56を有している。
【0035】
また、本実施の形態では、加工が終了したワークWを加工パレット13から分離して回収し、ワーク保管部60に集積するためのフォークリフタ47が設けられている。
【0036】
このフォークリフタ47は、パレット搬出入ステーションS2において枠内固定昇降装置30によって上昇状態にある加工パレット13に搭載された加工済みワークWを該パレット13から分離して保持するフォーク51と、フォーク51をパレット搬出入ステーションS2へ進退させる駆動スライド手段51aと、フォーク51をパレット搬出入ステーションS2に沿って昇降移動させる昇降装置47aと、を有している。
【0037】
具体的に、フォークリフタ47は、ワーク分離保持体昇降手段47aにより、ストッカー16の側部に沿ってパレット搬出入ステーションS2における略加工パレット搬出入装置22の高さ位置(図の符号(C))からワーク保管部60における高さ位置(
図21の符号(D))の間で少なくとも昇降移動可能で且つ位置決め可能に構成されている。また、フォーク51は、駆動スライド手段51aによって前進位置でパレット搬出入ステーションS2やワーク保管部60内に入り込み、後退位置でそこから退避するように構成されている。
【0038】
また、フォーク51は、加工パレット13の上記図示しないスキッドの間に入る幅で、かつスキッドの配列ピッチに対して半ピッチずらして設けられた複数の歯部を有している。
【0039】
更に、上述のフォーク51の歯の長さは、加工パレット13のY軸方向の長さにほぼ等しく設けてあり、フォーク51がパレット搬出入ステーションS2又ワーク保管部60から後退したとき、フォーク51が加工パレット13上から離脱可能となっている。
【0040】
一方、本実施の形態では、ストッカー16のパレット搬出入ステーションS2の上方のラック部分は、上述のように、フォークリフタ47により搬送された加工済みワーク(製品ワーク)を保管するためのワーク保管部60として構成されている。ワーク保管部60には、製品集積パレット15が配置されており、この製品集積パレットの平面部におけるY軸方向の片側辺部(フォークリフタ47の設置側)近傍には、それぞれ、フォーク51から加工済みワークWを降ろす作業を補助するポール62が
図1の紙面奥側方向(
図2のX軸方向)に沿って所定間隙を空けて並設されている。本実施の形態において、ポール62は、上記フォーク51の歯がそれらの間に入り込むように上記間隙が調整されている。
【0041】
具体的に、フォーク51から加工済みワークWを降ろす際には、ポール62の上方(図のZ方向)においてフォーク51が加工済みワークWを保持した状態で、フォークリフタ47を下降させてフォーク51をポール62の高さより低い位置とし、フォーク51を後退させると加工済みワークWはポール62に当接支持されて製品集積パレット15の部分に制止され、フォーク51のみを引き出すことができる。
【0042】
次に、上記構成のワーク加工搬送システム10の動作について、
図3〜
図23を参照しながら説明する。本実施の形態に係るワーク加工搬送システム10は、以下のステップS101〜S116の工程を繰り返すことで行われる。
【0043】
なお、以下においては、素材ワークW´1をセットした加工パレット13−1が、搬出入装置22により加工ステーションS1の加工機へ搬送された状態、すなわち、加工機において素材ワークW´1が加工されている途中の状態を初期状態(
図3参照)として説明する。
【0044】
当該初期状態においては、素材ワーク積載パレット19が、素材ワークを複数枚搭載した状態でパレット搬出入ステーションS2にセットされており、吸着手段39により、素材ワーク積載パレット19から一枚の素材ワークW´2が保持されている状態である。また、パレット搬出入ステーションS2における素材ワーク積載パレット19の下方位置では、棚内固定昇降装置30が上昇状態とされており、ワークのセットされていない空の加工パレット13−2がこの棚内固定昇降装置30に配置されており、待機台トラッカ56が前進位置で加工パレット13−2に係合している。更に、パレット搬送リフタ41は高さ位置Bにセットされており、そのリフタトラッカ43が素材ワーク積載パレット19を移動させるための待機位置に設定されている。
【0045】
先ず、ステップS101において、
図3で示した待機位置にあるリフタトラッカ43を前進位置として素材ワーク積載パレット19に係合させて、
図4に示すように、この素材ワーク積載パレット19を、該リフタトラッカ43によりパレット搬送リフタ41上に移動させる(図の矢印(1)を参照)。
【0046】
(ローディング工程)
ステップS102において、
図5に示すように、吸着手段39により吸着されていた素材ワークW´2を、棚内固定昇降装置30にセットされている加工パレット13−2にローディングする(
図5の矢印(2)参照)。
【0047】
ステップS103において、
図6に示すように、素材ワークW´2がセットされている加工パレット13−2を、待機台トラッカ56によりワーク待機台53に搬送する(
図6の矢印(3))。なお、この際、同時に、吸着手段39を元の高さ位置に戻す(
図6の矢印(4))。
【0048】
ステップS104において、
図7に示すように、パレット搬送リフタ41に保持されていた素材ワーク積載パレット19を、リフタトラッカ43によりパレット搬出入ステーションS2に搬送しセットするとともに(
図7の矢印(5)参照)、吸着手段39を下降させて素材ワーク積載パレット19の最上部セットされた素材ワークW´3を保持し、その状態で吸着手段39を上昇させて元の位置に戻す(
図7の矢印(6)参照)。
【0049】
ステップS105において、
図8に示すように、リフタトラッカ43の素材ワーク集積パレット19に対する係合状態を解除して、リフタトラッカ43を待機位置に退避させつつ(
図8の矢印(7)参照)、パレット搬送リフタ41を高さ位置Cに下降させる(
図8の矢印(8)参照)。
【0050】
(パレットチェンジ工程)
ステップS106において、
図9に示すように、棚内固定昇降装置30を微下降させる(
図9の矢印(9)参照)。そして、この状態で、レーザ加工機において加工が終了した加工済みワークW1を、それをセットした加工パレット13−1とともに、搬出入装置22によりパレット搬出入ステーションS2に搬出する(
図9の符号(10)参照)。
【0051】
ステップS107において、
図10に示すように、棚内固定昇降装置30により加工パレット13−1を微上昇させる(
図10の矢印(11)参照)。更に、この状態で、パレット搬送リフタ41のリフタトラッカ43を前進移動させて加工パレット13−1に係合させておく(
図10の矢印(12)参照)。
【0052】
ステップS108において、
図11に示すように、リフタトラッカ43により加工パレット13−1をパレット搬送リフタ41上に移動させ(
図11の矢印(13)参照)、それとほぼ同時に、待機台トラッカ56により、素材ワークW´2のセットされた加工パレット13−2をパレット搬出入ステーションS2の棚内固定昇降装置30上に移動させる(
図11の矢印(14))。
【0053】
ステップS109において、
図12に示すように、棚内固定昇降装置30により加工パレット13−2を微下降状態とすると(
図12の矢印(15)参照)、該加工パレット13−2は加工パレット搬出入装置22に載るとともに待機台トラッカ56との係合状態が解除される。そして、その状態で加工パレット搬出入装置22により加工パレット13−2をレーザ加工機に搬送する(
図12の符号(16)参照)。なお、この際、待機台トラッカ56を後退させて、再び加工パレットの移動をスムーズに行うことができるようにパレット待機台53上のストッカー16寄り位置である待機位置に位置させておく(
図12の符号(17))参照)。
【0054】
(アンローディング工程)
ステップS110において、
図13に示すように、棚内固定昇降装置30上昇状態とし(
図13の矢印(18)参照)、パレット搬送リフタ41上の加工済みワークW1がセットされた加工パレット13−1をリフタトラッカ43により棚内固定昇降装置30上に移動させる(
図13の矢印(19)参照)。
【0055】
ステップS111において、
図14に示すように、ワーク待機台53の上方にあるフォークリフタ47を高さ位置(C)まで下降させ(
図14の矢印(20)参照)る。また、リフタトラッカ43の加工パレット13−1への係合状態を解除し、パレット搬送リフタ41上の待機位置まで移動させる(
図14の矢印(21)参照)。
【0056】
ステップS112において、
図15に示すように、棚内固定昇降装置30を微下降させ(
図15の矢印(22)参照)、待機台トラッカ56を待機位置から初期位置(係合位置)に戻す(
図15の矢印(23)参照)。
【0057】
ステップS113において、
図16に示すように、棚内固定昇降装置30を微上昇させ
(
図16の矢印(24)参照)、加工パレット13−1と待機台トラッカ56を係合させる。
【0058】
ステップS114において、
図17に示すように、フォーク駆動手段51aによりフォーク51をパレット搬出入ステーションS2内に向かって前進させ(
図17の矢印(25)参照)、棚内固定昇降装置30に載置されている加工パレット13−1の図示しないスキッドの隙間に挿入する。
【0059】
ステップS115において、
図18に示すように、フォーク51を微上昇させる(
図18の矢印(26)参照)。これにより、スキッドの隙間からフォーク51が上方に出て、加工済みワークW1が下方から支持されて加工パレット13−1から分離し、フォーク51に載った状態となる。
【0060】
ステップS116において、
図19に示すように、上述のようにフォーク51に加工済みワークW1が載っている状態で、フォーク駆動手段51aによりフォーク51を後退させる(
図19の矢印(27)参照)。これにより、加工済みワークW1は、パレット搬出入ステーションS2から搬出されたこととなる。一方で、パレット搬送リフタ41を高さ位置(B)まで上昇させておく(
図19の矢印(28)参照)。
【0061】
ステップS117において、
図20に示すように、フォークリフタ47を製品集積高さ位置(D)まで上昇させる(
図20の矢印(29)参照)。
【0062】
ステップS118において、
図21に示すように、フォークリフタ47が製品集積高さ位置(D)にある状態で、フォーク51をストッカー16のワーク保管部60内に前進させる(
図21の矢印(30)参照)。
【0063】
ステップS119において、
図22に示すように、フォーク51がワーク保管部60内において、製品集積パレット15のポール62の上端高さ位置(E)よりも低い位置、特に製品集積パレット15の直近の位置するように、フォークリフタ47を下降させる(
図22の矢印(31)参照)。この状態で、フォーク51の歯は、Y軸方向の両端に形成されている複数配置されているポール62の間に入り込むこととなる。
【0064】
ステップS120において、
図23に示すように、上記状態で、フォーク駆動手段51aによりフォーク51を後退させる(
図23の矢印(32))。この後退の過程においては、加工済みワークW1は複数立設されたポール62に当接して動きが阻害された状態となるので、フォーク51とともには移動せず、製品集積パレット15上に残り、そこに保管されることとなる。
【0065】
なお、ステップS116において行われたパレット搬送リフタ41の高さ位置(B)までの上昇工程(
図19の矢印(28))は、特にステップS116で行われることに限定されるものではなく、ステップS116〜ステップS120までの何れかの工程で行うようにすれば良い。
【0066】
以上のステップS101〜S120の工程を加工すべきワークW´の数に応じて繰り返し行うことで、本実施の形態に係るワーク加工搬送システム10が動作することとなる。
【0067】
なお、上述のように複数の素材ワークWを搭載した素材ワーク積載パレット19の搬出入や、製品集積パレット15に集積された加工済みワークWが所定量に達した場合に当該製品集積パレット15の交換のための搬出入は、任意の装置を用いて実行することができるが、特にパレット搬送リフタ41を用いて行うことが好ましい。その具体的態様は、当業者が適宜実行しうるものである。
【0068】
上記構成及び作動状態に係る本実施の形態のワーク加工搬送システム10では、パレット搬出入ステーションS2からフォーク51を用いて加工済みワークWを加工パレット13から分離して保持し、更にフォーク51が加工済みワークを保持した状態で、フォークユニット51により昇降移動させて製品ワーク保管部60に移動させ、製品ワーク保管部60にある製品集積パレット15に該加工済みワークを降ろすこととなる。
【0069】
従って、従来のように、加工済みワークWを製品パレットに搭載した高重量の状態で搬出するためのリフタ台車等の装置を用いることなく、ワークを製品ワーク保管部60に集積することができるので、設備の簡素化及びそれによる低コスト化が図られる。特に、フォークリフタ47のフォーク51が、加工済みワークWを1枚ずつパレット搬出入ステーションS2から回収してワーク保管部60に運ぶこととなるので、例えば、油圧式ジャッキ等の高重量物を搬送するための装置を用いる必要がないので、設備コストの簡素化が図られる。
【0070】
更に、本システム10では、フォークリフタ47による加工済みワークWの製品ワーク保管部60への搬送は、該加工済みワークWをフォーク51によりパレット搬出入ステーションS2から移設した状態で、すなわち、ワーク待機台53の上方位置において行われることとなる。従って、当該搬送は、パレット搬出入ステーションS2内から離れて行われることとなるので、加工済みワークWの製品ワーク保管部60への搬送作業と、素材ワークWを加工機へ搬送するためのパレット搬出入ステーションS2への加工パレットのセット作業と、を相互に干渉することなく実行することができ、システム全体の効率化に資する。
【0071】
すなわち、本実施の形態に係るワーク加工搬送システム10では、フォーク51を備えたフォークリフタ47をストッカー16に設けるという構成により、設備の構成を簡素化することができるとともに、上記加工パレット13のセット作業と加工済みワークW1の搬出作業の干渉に起因するタクトタイムの増加を防止することができる点に大きな特徴を有する。
【0072】
更に、本実施の形態では、加工済みワークW1を搭載したパレット13−1を、パレット搬送リフタ41のリフタトラッカ43によりパレット搬出入ステーションS2から一時的に退避させるのと略同時に、ワーク待機台53の待機台トラッカ56によりパレット搬出入ステーションS2へ素材ワークW´2を搭載したパレット13−2をセットしている(
図11及び
図12参照)。
【0073】
従って、上述のフォーク51によるパレット搬出入ステーションS2からの加工済みワークW1の回収の前に、次の素材ワークW´2を加工機へ送るために素材ワークW´2をセットした加工パレット13−2をパレット搬出入ステーションS2に供給することができる。
【0074】
これにより、素材ワークW´2が加工機で加工されている間に、上記フォーク51による加工済みワークW1の回収及びフォークリフタ47による加工済みワークW1のワーク保管部60への運搬を行うことができ、各工程の時間を効率的に使用することができる。従って、タクトタイムをより一層減少させることができる。
【0075】
更に、本実施の形態では、ワーク保管部60が、ストッカー16におけるパレット搬出入ステーションS2と同じ平面位置における上方に設けられている。これにより、システム全体の省スペース化が実現される。
【0076】
特に、本実施の形態では、ワーク保管部60に置かれている製品集積パレット15に、フォーク51及びそれを備えたフォークリフタ47によって、一枚ずつ加工済みワークWを集積する点に大きな特徴がある。すなわち、これにより、従来のように、製品ワーク(加工済みワーク)が複数枚集積された製品集積パレットを保持して走行するリフタ台車のような高コストの設備を構成することなく、大幅な設備コストの削減が実現されることとなる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、ストッカー16、パレット搬送リフタ41、ワーク待機部53の形態、及び配置態様については、適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態において、ストッカー16内に新たに素材ワークW´がセットされた状態の加工パレット13を集積する箇所を設け、必要に応じてパレット搬出入ステーションS2に供給するなどして、上記システム10の稼働態様にバリエーションを持たせるようにしても良い。
【0078】
また、本実施の形態ではフォーク51及びそれを備えたフォークリフタ47により、パレット搬出入ステーションS2からワーク保管部60への加工済みワークWの搬送を行うようにしたが、このような搬送を行うための構成は、フォーク51及びフォークリフタ47等に限られるものではなく、本発明の作用効果を奏するものであれば任意の構成を用いることができる。しかし一方で、フォーク51及びそれを備えたフォークリフタ47により加工済みワークWの搬送を行うことで、設備の簡素化が図られ、さらにフォーク51の昇降移動や進退移動の速度調整も容易に行うことができるので、加工済みワークWをパレット搬出入ステーションS2からワーク保管部60へ搬送するまでの時間の調整も容易なり、結果として、その搬送の時間を素材ワークW´の加工時間に合わせて調整することができ、効率的なシステム動作の達成に資することとなる。
【0079】
更に、例えば、パレット搬出入ステーションS2においてレーザ加工ステーションS1の反対側位置(
図2におけるパレット搬出入ステーションS2の右側位置)にパレット載置用の棚をセットしても良い。これにより、例えば、上記ステップS101〜S120のプロセスの間で、状況に応じてパレット搬出入ステーションS2からパレットを脱挿入し、当該プロセスの円滑な進行を促進することができる。また、このパレット載置用棚に複数種類のパレットを設置し、ワークの種類に応じて所望のパレットを選択できるようにしても良い。
【0080】
また、上記パレット載置用棚に代えて、パレットを載置可能な台を設けても良い。このようにパレットを載置可能な台を設けることにより、リフタ41、47等が置かれておらずその上部に障害物が無い台上においてパレットの搬出入を行うことが可能になり、安全且つ簡易に状況に応じたパレットへのワークのセット作業を行うことができる。