特許第5883384号(P5883384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883384
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】免疫機能を調節する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20160301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20160301BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20160301BHJP
【FI】
   A61K39/395 NZNA
   A61K39/395 D
   A61P43/00 105
   A61P35/00
   A61P37/04
   !C07K16/28
【請求項の数】12
【全頁数】308
(21)【出願番号】特願2012-524903(P2012-524903)
(86)(22)【出願日】2010年8月13日
(65)【公表番号】特表2013-501814(P2013-501814A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】US2010045479
(87)【国際公開番号】WO2011020024
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年8月13日
(31)【優先権主張番号】61/233,650
(32)【優先日】2009年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/289,951
(32)【優先日】2009年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507248789
【氏名又は名称】ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リーピン
【審査官】 小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−501630(JP,A)
【文献】 特表2008−546426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)および(b)を含んでいる薬学的組成物:
(a)免疫反応を誘導または促進するために効果的な量での、配列番号5または配列番号20のアミノ酸配列を含んでいるヒトのB7−H7CRに特異的に結合する、抗体またはそのフラグメント:
(b)薬学的に受容可能なキャリア
であり、
免疫反応の誘導または促進における使用のためのものであることを特徴とする薬学的組成物
【請求項2】
上記使用は、in vitroにおいて免疫細胞を上記薬学的組成物と接触させる工程を含んでいることを特徴とする請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
上記使用は、被験体に対して上記組成物を投与することによって、上記免疫細胞を上記薬学的組成物と接触させる工程を含んでいることを特徴とする請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
上記免疫反応は、
(i)B7−H7CRによって仲介されるシグナル伝達経路の促進;
(ii)Tリンパ球増殖の促進;
(iii)免疫機能の促進;または
(iv)癌の処置または管理;
であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
以下の(a)および(b)を含んでいる薬学的組成物:
(a)免疫反応を誘導または促進するために効果的な量での、配列番号5または配列番号20のアミノ酸配列を含んでいるヒトのB7−H7CRに特異的に結合する、抗体またはそのフラグメント:
(b)薬学的に受容可能なキャリア
であり、
免疫機能の促進における使用のためのものであることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項6】
以下の(a)および(b)を含んでいる薬学的組成物:
(a)免疫反応を誘導または促進するために効果的な量での、配列番号5または配列番号20のアミノ酸配列を含んでいるヒトのB7−H7CRに特異的に結合する、抗体またはそのフラグメント:
(b)薬学的に受容可能なキャリア
であり、
癌の処置における使用のためのものであることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項7】
上記抗体またはそのフラグメントは、B7−H7CRに特異的に結合することで、ヒトのB7−H7CRの機能を刺激し、当該B7−H7CRの機能は、
(i)B7−H7CRによって仲介されるシグナル伝達経路の促進;
(ii)Tリンパ球増殖の促進;
(iii)免疫機能の促進;
(iv)癌の処置または管理;または
(v)B7−H7(配列番号3)への結合
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
上記免疫反応は癌に対するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
癌の処置における使用のための薬学的組成物であって、
上記組成物は、癌に対する免疫反応を誘導または促進するために効果的な量での、配列番号5または配列番号20のアミノ酸配列を含んでいるヒトのB7−H7CRに対して特異的に結合する、抗体またはそのフラグメントと薬学的に受容可能なキャリアとを含んでいることを特徴とする薬学的組成物。
【請求項10】
上記使用はヒトの被験体への上記組成物の投与を含んでいることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
上記抗体は、ヒト化抗体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
上記抗体は、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDRであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、米国特許仮出願番号61/233,650(2009年8月13日出願)および同61/289,951(2009年12月23日出願)に優先権を主張する。これらの仮出願の各々は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0002】
本発明は、部分的に、米国国立衛生研究所(NIH)からの助成金番号R01CA97085およびR01A172592の下での米国政府の支持によってなされた。米国政府は本発明の特定の権利を有する。
【0003】
〔1.はじめに〕
本発明は、1つ以上の免疫機能を調節する治療剤、ならびに、疾患の予防、処置および管理における上記治療剤の使用を提供する。1つの局面において、本発明の治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合すること、あるいはB7−H2がICOS、CD28またはCTLA−4のいずれかに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の局面において、本発明の治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合すること、あるいはB7−H2がICOS、CD28またはCTLA−4のいずれかに結合することを調節する。本発明の治療剤は、1つ以上の免疫機能を調節することが有用であり得る疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患および移植拒絶)の予防、処置および/または管理に使用され得る。別の局面において、本発明は、レセプター−リガンド相互作用を同定する方法を提供する。
【0004】
〔2.背景技術〕
T細胞の活性化は、免疫系の重要な局面である。T細胞活性化は、感染性因子に対する特定の免疫応答に必要とされる。T細胞活性化はまた、腫瘍免疫ならびに自己免疫障害および炎症性障害において重要な役割を担う。T細胞活性化は、腫瘍組織適合性複合体(MHC)分子の関連において、T細胞のT細胞抗原レセプター(TCR)がその特異的な抗原(Ag)を認識した際に開始される。TCRシグナル伝達経路はナイーブT細胞の活性化に必要とされるが、TCR活性化のみでは免疫系を生成するに十分でない。同時刺激として知られる第二のシグナルが、ナイーブT細胞の最適な活性化に必要とされる。特に、同時刺激レセプターとして知られるTCRおよびCD28を介するシグナル伝達は、ナイーブT細胞の活性化に必要とされる。同時刺激分子として知られるB7−1(CD80)およびB7−2(CD86)はCD28のリガンドである。B7−1およびB7−2は、典型的には、プロフェッショナル抗原呈示細胞(APC)上に発現される。CD28の結合に加えて、B7−1およびB7−2もまたT細胞上のCTLA−4(CD152)として知られる同時刺激レセプターに結合する。T細胞上にて見られる別の同時刺激レセプターはICOSである。
【0005】
B7分子は、T細胞上の同時刺激レセプターに結合することによって、ポジティブな刺激およびネガティブな刺激の両方をT細胞へ媒介する。CD28は、最も広く研究されているレセプターであり、B7−1(CD80)およびB7−2(CD86)からの第二のシグナルを受容し、T細胞シグナリングの存在下にてナイーブT細胞を最大活性にまで同時刺激する(Linsley et al., 1990, PNAS USA 87: 5031-5035)。一方、活性化T細胞上に発現されるCD28ホモログであり、同一セットのリガンドと相互作用するCTLA−4は、T細胞応答を減弱する(Krummel et al., 1995, J. Exp. Med. 182: 469-465; Walnus et al., 1994, Immunity 1: 405-413)。別のCD28ホモログであるICOSは、活性化T細胞上に発現され、別のリガンドであるB7−H2(ICOSLG,GL50,B7RP1,CD275,ICOSL,LICOS)の結合の際にT細胞活性化を同時刺激する(Hutloff et al., 1999, Nature 397: 263-266; Yoshinaga et al., 1999, Nature 402: 827-832)。CD28,CTLA−4およびICOSは、ヒト染色体2q33およびマウス染色体1上にて近い遺伝子クラスターを形成し、進化の間の遺伝子重複に起因していることを示唆する(Swallow et al., 1999, Immunity 11: 423-432)。CD28およびICOSは異なるリガンドを有しているが、これらは、顕著に機能的なリダンダンシーを共有し、これは、T細胞の増殖、生存および分化、ならびにこれらの抗体応答についての要求性を同時刺激する際の能力を含む(Ling et al., 2000, J. Immunol. 164: 1653-1657; Ling et al., 2001, Genomics 78: 155-168; Dong et al., 2001, Nature 409: 97-101; McAdam et al., 2001, Nature 409: 102-105; Tafuri et al., 2001, Nature 409: 105-109; Linterman et al., 2009, Immunity 30: 228-241)。CD28シグナルおよびICOSシグナルの両方がサイトカインのアレイを同時刺激することが示されている。しかし、CD28シグナルは高レベルのIL−2を産生するが、ICOSは、IL−10を優先的に刺激する(Hutloff et al., 1999, Nature 397: 263-266)。
【0006】
同時刺激分子およびこれらのレセプターの調節は、種々の免疫機能能調節を可能にする。同時刺激分子とそのレセプターとの間の相互作用を調節する因子は、種々の適用(例えば、治療用途および予防用途ならびにワクチン化を含む。)において有利である。本発明は、これらの要求および他の要求を満たす。
【0007】
〔3.発明の要旨〕
本発明は、オーファンタンパク質であるB7−H7とB7−H7CRとの間の相互作用の知見を提供する。本発明はまた、B7−H7がCD28およびB7−H7CRのリガンドであるという知見を提供する。本明細書中に示される種々の実施形態は、これらの相互作用の知見、ならびに、このような相互作用の調節を用いて免疫機能または免疫応答を調節し得るという知見に、部分的に基づいている。
【0008】
1つの局面において、本発明は、B7−H7、B7−H7CR,またはB7−H7およびB7H7CRの複合体に特異的に結合する抗体を提供する。別の局面において、本発明は、B7−H7とそのレセプターとの間の相互作用、あるいは、B7−H2とそのレセプターの1つ以上との間の相互作用を調節する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、B7−H7とB7−H7CRとの間の相互作用を調節する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、B7−H2と、レセプターICOS,CD28またはCTLA−4の1つ以上との間の相互作用を調節する方法を提供する。
【0009】
別の局面において、本発明は、B7−H7CRがそのリガンドの1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、B7−H7CRのB7−H7への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する方法を提供する。
【0010】
1つの局面において、本発明は、B7−H7がそのレセプターに結合すること、あるいはB7−H2がそのレセプターの1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、B7−H2がレセプターICOS,CD28またはCTLA−4の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する方法を提供する。
【0011】
本発明は、B7−H7とB7−H7CRとの間のレセプター−リガンド相互作用、あるいはB7−H2とICOS、CD28およびCTLA−4との間のレセプター−リガンド相互作用の知見に部分的に基づいた、治療剤を提供する。本発明の治療剤またはその組成物は、免疫細胞機能(例えば、リンパ球増殖、サイトカイン産生、または抗体産生)を調節するために細胞培養物中で使用され得る。特に、細胞は、免疫細胞機能の1つ以上を調節するために治療剤と接触され得る。さらに、治療剤は、特定の疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患、炎症性疾患、および移植拒絶)を予防、処置または管理するために被験体に投与され得る。
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、治療剤および薬学的に受容可能なキャリアを含んでいる薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、Tリンパ球増殖を調節するか、免疫機能の1つ以上を調節するか、あるいは、癌、感染症、自己免疫障害、炎症性障害、移植片対宿主疾患または器官移植拒絶を予防、処置または管理するために有効量にて、薬学的組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、本発明は、Tリンパ球増殖を調節するか、免疫機能の1つ以上を調節するか、あるいは、癌、感染症、自己免疫障害、炎症性障害、移植片対宿主疾患または器官移植拒絶を予防、処置または管理するために有効量の治療剤を利用する方法を提供する。
【0013】
1つの実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに特異的に結合する抗体、B7−H7に特異的に結合する抗体、B7−H7CR/B7−H7に特異的に結合する抗体、B7−H7CR誘導体、あるいは、B7−H7誘導体である。別の実施形態において、治療剤は、以下を含んでいる融合タンパク質である:(i)B7−H7の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域;あるいは、(ii)B7−H7CRの細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRがそのリガンドの1つ以上と相互作用することによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。
【0014】
別の実施形態において、治療剤は、ICOSに特異的に結合する抗体、B7−H2に特異的に結合する抗体、B7−H2/ICOSに特異的に結合する抗体、ICOS誘導体、B7−H2誘導体、ICOSの細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域を含んでいる融合タンパク質、あるいは、B7−H2の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域を含んでいる融合タンパク質である。別の実施形態において、治療剤は、CD28に特異的に結合する抗体、CTLA−4に特異的に結合する抗体、CD28/B7−H2に特異的に結合する抗体、CTLA−4/B7−H2に特異的に結合する抗体、CD28誘導体、CTLA−4誘導体、CD28の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域を含んでいる融合タンパク質、あるいは、CTLA−4の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、および免疫グロブリンのFcドメインまたはその定常領域を含んでいる融合タンパク質である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がそのレセプター(例えば、ICOS、CD28またはCTLA−4)に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に調節する。いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H2がそのレセプター(例えば、ICOS、CD28またはCTLA−4)に結合することを選択的に調節する。
【0015】
別の局面において、本発明は、レセプター−リガンド相互作用を同定する方法を提供する。このような方法は、リガンドおよびレセプター(例えば、同時刺激リガンドおよび同時刺激レセプター)の間の相互作用を同定するために使用され得る。
【0016】
〔3.1 用語〕
本明細書中で使用される場合、タンパク質性(proteinaceous)因子の発現の観点での用語「異常」は、その発現が少なくとも5%、10%、20%、25%、50%、75%、85%、90%、または95%増加または減少されているか、あるいは、正常な被験体または集団(例えば5以上の正常被験体)によるそのタンパク質性因子の発現に対して5%〜10%、5%〜25%、10%〜25%、10%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、または75%〜95%である、タンパク質性因子をいう。
【0017】
本明細書中で使用される場合、数値または数値範囲を修飾して使用される際の用語「約」および「おおよそ」は、挙げられた値または範囲よりも5%〜15%高い偏差および5%〜15%低い偏差が、その値または範囲挙げられた値または範囲の意図された意味の範囲内に残ることを示す。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「アゴニスト」は、別の分子に結合し生物学的反応を誘導する分子をいう。特定の実施形態において、アゴニストは、細胞上のレセプターに結合する分子であり、シグナル伝達経路の1つ以上を引き起こす。例えば、アゴニストは、細胞上のレセプターに結合する抗体またはリガンドであり、シグナル伝達経路の1つ以上を引き起こす。特定の実施形態において、抗体またはリガンドは、細胞上のレセプターに結合し、シグナル伝達経路の1つ以上を引き起こし、そのレセプターのネイティブなリガンドがそのレセプターに結合することをブロックするか、または妨げる。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなリガンド(例えばB7−H7)がB7−HCRに結合することによって正常に媒介されるシグナル伝達のアゴニストである。他の実施形態において、治療剤は、ネイティブなリガンド(例えばB7−H2)がレセプターICOS、CD28またはCTLA−4の1つ以上またはすべてに結合することによって正常に媒介されるシグナル伝達のアゴニストである。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫賦活治療剤」は、免疫機能または免疫応答の1つ以上を誘導、活性化または増強する治療剤をいう。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、別の分子の本来の生物学的応答を引き起こすことなくその別の分子の作用を阻害する分子をいう。特定の実施形態において、アンタゴニストは、細胞上のレセプターに結合し、アゴニストの生物学的活性をブロックするか、鈍化させる分子である。例えば、アンタゴニストは、細胞上のレセプターに結合する抗体またはリガンドを含み、シグナル伝達経路の1つ以上を誘導することなく、ネイティブなリガンドがその細胞に結合することをブロックするか、鈍化させる。アンタゴニストの別の例として、抗体または可溶性レセプターが挙げられ、この抗体または可溶性レセプターは、ネイティブなリガンドとの結合について細胞上のネイティブなレセプターと競合し、その結果、ネイティブなレセプターがネイティブなリガンドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上をブロックするかまたは鈍化させる。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなリガンド(例えばB7−H7)がB7−HCRに結合することによって正常に媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストである。他の実施形態において、治療剤は、ネイティブなリガンド(例えばB7−H2)がレセプターICOS、CD28またはCTLA−4の1つ以上またはすべてに結合することによって正常に媒介されるシグナル伝達のアンタゴニストである。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「抑制性の治療剤」は、免疫機能または免疫応答の1つ以上を抑制または減少させる治療剤をいう。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体(単数または複数)」は、抗原結合部位を含む分子(例えば、免疫グロブリン)をいう。抗体としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成の抗体、キメラ抗体、ポリクローナル抗体、単一ドメイン抗体、ラクダ化(camelized)抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合された二重特異性Fv(sdFv)、イントラボディ(intrabody)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗Idおよび抗体に対する抗抗Id抗体を含む。)、および、上述したいずれかのエピトープ結合フラグメント。特に、抗体は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントを含む。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)またはサブクラスであり得る。特定の実施形態において、抗体は、ヒトまたはヒト化されたモノクローナル抗体である。
【0023】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H2」はネイティブなB7−H2およびB7−H2誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0024】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H2ポリペプチド」はネイティブなB7−H2およびB7−H2誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0025】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H2/CD28複合体」および「CD28/B7−H2複合体」は、ネイティブなB7−H2とネイティブなCD28との間の相互作用、ネイティブなB7−H2とCD28誘導体との間の相互作用、B7−H2誘導体とネイティブなCD28との間の相互作用、または、B7−H2誘導体とCD28誘導体との間の相互作用の結果として形成される複合体をいう。
【0026】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H2/CTLA−4複合体」および「CTLA−4/B7−H2複合体」は、ネイティブなB7−H2とネイティブなCTLA−4との間の相互作用、ネイティブなB7−H2とCTLA−4誘導体との間の相互作用、B7−H2誘導体とネイティブなCTLA−4との間の相互作用、または、B7−H2誘導体とCTLA−4誘導体との間の相互作用の結果として形成される複合体をいう。
【0027】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H2/ICOS複合体」および「ICOS/B7−H2複合体」は、ネイティブなB7−H2とネイティブなICOSとの間の相互作用、ネイティブなB7−H2とICOS誘導体との間の相互作用、B7−H2誘導体とネイティブなICOSとの間の相互作用、または、B7−H2誘導体とICOS誘導体との間の相互作用の結果として形成される複合体をいう。
【0028】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H7」はネイティブなB7−H7およびB7−H7誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0029】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H7ポリペプチド」はネイティブなB7−H7およびB7−H7誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0030】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H7CR」は、ネイティブなB7−H7CRおよびB7−H7CR誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0031】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H7CRポリペプチド」はネイティブなB7−H7CRおよびB7−H7CR誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0032】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「B7−H7/B7−H7CR複合体」および「B7−H7CR/B7−H7複合体」は、ネイティブなB7−H7とネイティブなB7−H7CRとの間の相互作用、ネイティブなB7−H7とB7−H7CR誘導体との間の相互作用、B7−H7誘導体とネイティブなB7−H7CRとの間の相互作用、または、B7−H7誘導体とB7−H7CR誘導体との間の相互作用の結果として形成される複合体をいう。
【0033】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「CD28」はネイティブなCD28およびCD28誘導体(例えばCD28ポリペプチド)のいずれか、またはその両方をいう。
【0034】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「CTLA−4」はネイティブなCTLA−4およびCTLA−4誘導体(例えばCTLA−4ポリペプチド)のいずれか、またはその両方をいう。
【0035】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「誘導体」は、以下の(a)〜(f)をいう:(a)ネイティブなポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b);ネイティブなポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c);ネイティブなポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(例えば付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d);ネイティブなポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る拡散配列によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブなポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る拡散配列によってコードされるポリペプチド;あるいは、(f)ネイティブなポリペプチドのフラグメント。誘導体としてはまた、哺乳動物のポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。さらに、誘導体としては、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、誘導体化(公知の保護基/ブロック基、タンパク質分解性の切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質部分への連結等による誘導体化)によって、化学的に修飾されたポリペプチドが挙げられる。さらに、誘導体としては、非古典的アミノ酸の1つ以上を含むポリペプチドが挙げられる。一実施形態において、誘導体は、単離されるかまたは精製される。特定の実施形態において、誘導体は、誘導される前のネイティブなポリペプチドの機能の1つ以上を保持している。
【0036】
同一性%は、当業者に公知の任意の方法を用いて決定され得る。特定の実施形態において、同一性%は、Sequence Analysis Software Package(Version 10; Genetics Computer Group, Inc., University of Wisconsin Biotechnology Center, Madison, Wisconsin)の「Best Fit」または「Gap」プログラムを用いて決定される。ハイブリダイゼーション条件に関する情報(例えば、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)はすでに記載されており、例えば、米国特許出願公開番号US2005/0048549(例えば段落72−73)を参照のこと。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「疾患」および「障害」は交換可能に使用され、状態、特に病理学的な状態をいう。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「年配のヒト」は、65歳以上のヒトをいう。
【0039】
本明細書中で使用される場合、被験体に対する治療の投与の観点での用語「効果的な量(有効量)」は、所望の予防効果または治療効果を達成する量をいう。効果的な量の例は、後出するセクション5.8.2を参照のこと。
【0040】
本明細書中で使用される場合、ヌクレオチド配列の観点での用語「フラグメント」は、目的の遺伝子(B7−H2遺伝子、B7−H7遺伝子、ICOS遺伝子、B7−H7CR遺伝子、CD28遺伝子またはCTLA−4遺伝子)またはそのコード領域のヌクレオチド配列の、少なくとも5個連続する核酸塩基、少なくとも10個連続する核酸塩基、少なくとも15個連続する核酸塩基、少なくとも20個連続する核酸塩基、少なくとも25個連続する核酸塩基、少なくとも40個連続する核酸塩基、少なくとも50個連続する核酸塩基、少なくとも60個連続する核酸塩基、少なくとも70個連続する核酸塩基、少なくとも80個連続する核酸塩基、少なくとも90個連続する核酸塩基、少なくとも100個連続する核酸塩基、少なくとも125個連続する核酸塩基、少なくとも150個連続する核酸塩基、少なくとも175個連続する核酸塩基、少なくとも200個連続する核酸塩基、少なくとも250個連続する核酸塩基、少なくとも300個連続する核酸塩基、少なくとも400個連続する核酸塩基、または、少なくとも500個連続する核酸塩基、あるいは、5〜25個連続する核酸塩基、5〜50個連続する核酸塩基、5〜100個連続する核酸塩基、25〜50個連続する核酸塩基、25〜75個連続する核酸塩基、25〜100個連続する核酸塩基、25〜150個連続する核酸塩基、25〜200個連続する核酸塩基、25〜250個連続する核酸塩基、50〜250個連続する核酸塩基、50〜300個連続する核酸塩基、50〜500個連続する核酸塩基、100〜250個連続する核酸塩基、100〜500個連続する核酸塩基、あるいは、250〜500個連続する核酸塩基、を含むヌクレオチド配列をいう。特定の実施形態において、フラグメントは、B7−H2遺伝子、B7−H7遺伝子、ICOS遺伝子、B7−H7CR遺伝子、CD28遺伝子またはCTLA−4遺伝子のフラグメントである。別の実施形態において、フラグメントは、B7−H2遺伝子、B7−H7遺伝子、ICOS遺伝子、B7−H7CR遺伝子、CD28遺伝子またはCTLA−4遺伝子のコード領域のフラグメントである。特定の実施形態において、目的の核酸配列のフラグメントは、目的の核酸配列によってコードされるポリペプチドの機能の1つ以上を保持しているポリペプチドをコードし、換言すると、フラグメントは機能的フラグメントである。例えば、ポリペプチドは、別のタンパク質と相互作用する能力を保持しているか、あるいは、シグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力を保持している。
【0041】
本明細書中で使用される場合、タンパク質性因子(例えばタンパク質)のフラグメントの観点での「フラグメント」は、タンパク質性因子(例えば、B7−H2ポリペプチド、B7−H7ポリペプチド、ICOSポリペプチド、B7−H7CRポリペプチド、CD28ポリペプチドまたはCTLA−4ポリペプチド)の、8個以上連続するアミノ酸、10個以上連続するアミノ酸、15個以上連続するアミノ酸、20個以上連続するアミノ酸、25個以上連続するアミノ酸、50個以上連続するアミノ酸、75個以上連続するアミノ酸、100個以上連続するアミノ酸、150個以上連続するアミノ酸、200個以上連続するアミノ酸、あるいは、10〜300個の範囲内の連続するアミノ酸、10〜200個の範囲内の連続するアミノ酸、10〜250個の範囲内の連続するアミノ酸、10〜150個の範囲内の連続するアミノ酸、10〜100個の範囲内の連続するアミノ酸、10〜50個の範囲内の連続するアミノ酸、50〜100個の範囲内の連続するアミノ酸、50〜150個の範囲内の連続するアミノ酸、50〜200個の範囲内の連続するアミノ酸、50〜250個の範囲内の連続するアミノ酸、50〜300個の範囲内の連続するアミノ酸、25〜50個の範囲内の連続するアミノ酸、25〜75個の範囲内の連続するアミノ酸、25〜100個の範囲内の連続するアミノ酸、または75〜100個の範囲内の連続するアミノ酸、のフラグメントをいう。特定の実施形態において、タンパク質性因子のフラグメントは、そのタンパク質性因子の機能の1つ以上を保持しており、換言すると、フラグメントは機能的フラグメントである。例えば、タンパク質性因子のフラグメントは、別のタンパク質と相互作用する能力を保持しているか、あるいは、シグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力を保持している。
【0042】
本明細書中で使用される場合、タンパク質性因子の観点での用語「機能的フラグメント」は、そのタンパク質性因子の活性または機能の1つ以上を保持しているタンパク質性因子の部分をいう。例えば、B7−H7ポリペプチドの機能的フラグメントは、そのレセプター(例えばB7−H7CR)の1つ以上に結合する能力、および/またはB7−H7ポリペプチドがそのレセプター(例えばB7−H7CR)の1つ以上に結合することによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導もしくは活性化する能力を保持し得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「異種性」は、別の実体と関連すべき、天然に見出されない実体をいう。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「ヒト大人」は18歳以上のヒトをいう。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「ヒト小人」は1歳〜18歳のヒトをいう。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「ヒト幼児」は、新生児〜1歳のヒトをいう。
【0047】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「ICOS」はネイティブなICOSおよびICOS誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0048】
本明細書中で使用され、他で言及されない場合、用語「ICOSポリペプチド」はネイティブなICOSおよびICOS誘導体のいずれか、またはその両方をいう。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」および「特異的に認識する」は、抗体の観点での類似の用語であり、当業者に理解されているように、抗原(例えばエピトープまたは免疫複合体)に特異的に結合する分子をいう。抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫アッセイ(例えばELISA)、表面プラズモン共鳴(例えばBIAcore(登録商標)),KinExアッセイ(例えばKinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)を用いて)、または当該分野にて公知の他のアッセイによって決定されるような低親和性にて、他のタンパク質またはポリペプチドに結合し得る。特定の実施形態において、抗原に特異的に結合する分子は、その分子が別の抗原に結合する際の解離定数(すなわちK)よりも、少なくとも2logs、2.5logs、3logs、3.5logs、4logsまたはそれ以上のKで、抗原に結合する。別の実施形態において、抗原に特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「組合せ(組み合わせて)」は、1つ以上の治療(例えば、1つ以上の予防剤および/または治療剤)の使用をいう。用語「組合せ」の使用は、その治療が疾患または障害を有する被験体へ投与されることや、その投与経路に限定されない。第一の治療(例えば、予防剤または治療剤)が、第二の治療(例えば、予防剤または治療剤)の前(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間前、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間前、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間前)、第二の治療と同時に、または第二の治療に引き続いて(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間後、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間後、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間後)、疾患または障害を有しているかあるいはその症状を呈している被験体に投与され得る。
【0051】
本明細書中で使用される場合、被験体への治療の投与の観点での用語「管理(manage)」、「管理すること(managing)」および「管理(management)」は、被験体が治療から得る有利な効果をいうが、それは疾患の治癒でない。特定の実施形態において、被験体は、疾患に関連する症状の進行または悪化を防ぐように疾患または障害を「管理」するために1つ以上の治療が投与される。
【0052】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなB7−H2」は、天然に存在する任意のB7−H2アミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H2のアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:O75144−1(ヒト)、O75144−2(ヒト)、NP_056074.1(GI:27477039;ヒト)、Q9JHJ8−1(マウス)、Q9JHJ8−2(マウス)、およびNP_056605.1(GI:7657220;マウス)。ネイティブなヒトB7−H2アイソフォーム1の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H2(斜体)を含んでいる:
【0053】
【化1】
【0054】
ヒトB7−H2アイソフォーム2はアイソフォーム1と以下の点で異なる:300−302GHVがESWNLLLLLSである。いくつかの実施形態において、ネイティブなB7−H2は、天然に存在する哺乳動物B7−H2の未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなB7−H2は、天然に存在する哺乳動物B7−H2の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H2は、天然に存在するヒトB7−H2の前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなB7−H2は、天然に存在するヒトB7−H2の成熟形態である。一実施形態において、ネイティブなB7−H2タンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0055】
ヒトB7−H2ポリペプチドは、文献中で、別途ICOSリガンド、B7RP1、ICOLおよびKIAA0653といわれる。ヒトB7−H2ポリペプチドのアイソフォームの少なくとも1つは、302アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、細胞外ドメイン、Ig様V型ドメイン、Ig様C2型ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。特に、ヒトB7−H2アイソフォーム1の少なくとも1つの形態は、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基1〜18のシグナル配列、アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基19〜129のIg様V型ドメイン、アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基141〜227のIg様C2型ドメイン、アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基19〜256の細胞外ドメイン、アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基257〜302の膜貫通ドメイン、および、アクセッション番号O75144−1の配列のアミノ酸残基278〜302の細胞内ドメイン。他のアイソフォームが天然に存在し得、ドメインの特定位置が変更していてもよいが、当業者が標準的な技術を用いて同定され得る。このような他のアイソフォームが本明細書中に包含されている。
【0056】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなB7−H2」は、B7−H2をコードする天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H2のヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:AF289028.1(GI:9858866;ヒト)およびBC029227.1(GI:22137738;マウス)。ネイティブなヒトB7−H2の未成熟/前駆体形態の典型的な核酸配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H2をコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0057】
【化2】
【0058】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H2の未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H2の成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H2をコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H2の前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなB7−H2をコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H2の成熟形態をコードする。
【0059】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなB7−H7」は、天然に存在する任意のB7−H7アミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H7のアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:O9UM44−1(ヒト)、NP_009003(GI:5901964;ヒト)、およびAAD48396(GI:15726285;ヒト)。ネイティブなヒトB7−H7の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H7(斜体)を含んでいる:
【0060】
【化3】
【0061】
いくつかの実施形態において、ネイティブなB7−H7は、天然に存在する哺乳動物B7−H7の未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなB7−H7は、天然に存在する哺乳動物B7−H7の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H7は、天然に存在するヒトB7−H7の前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなB7−H7は、天然に存在するヒトB7−H7の成熟形態である。一実施形態において、ネイティブなB7−H7タンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0062】
ヒトB7−H7ポリペプチドは、文献/データベース中で、ヒト内因性レトロウイルスH鎖末端リピート関連タンパク質2(HHLA2)といわれるが、B7−H7の機能はこれまでに同定されていない。ヒトB7−H7ポリペプチドは、4141アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、細胞外ドメイン、3つの免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。特に、ヒトB7−H7ポリペプチドは、Ig様V1型ドメイン、Ig様C1型ドメインおよびIg様V2型ドメインを含んでいることが報告されている。ヒトB7−H7ポリペプチドは、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号O9UM44−1の配列のアミノ酸残基1〜22のシグナル配列、アクセッション番号O9UM44−1の配列のアミノ酸残基61〜131のIg様V1型ドメイン、アクセッション番号O9UM44−1の配列のアミノ酸残基138〜222のIg様C1型ドメイン、アクセッション番号O9UM44−1の配列のアミノ酸残基235〜328のIg様V2型ドメイン、および、アクセッション番号O9UM44−1の配列のアミノ酸残基345〜365の膜貫通ドメイン。ヒトB7−H7ポリペプチドに対する推定のダイマー形成部位(dimer interface)は、アミノ酸残基141−144,156,158,160,162,193−196,198,200,201,224および225である。ヒトB7−H7ポリペプチドの推定のN連結グリコシル化部位は、アミノ酸残基90,103および318である。ヒトB7−H7ポリペプチドの天然のバリエーションは、I30T、N334KおよびS346R(UniProt Q9UM44)である。上述した配列番号(SEQ ID NO:)3に関して、報告されたシグナルペプチドは下線が付されており、IgVドメインは太字で示されており、IgCドメインは斜体かつ太字で示されており、IgV/IgCドメイン重複は斜体で示されており、膜貫通ドメインは太字でかつ下線が付されている。ヒトB7−H7のIgドメインは、ジスルフィド結合を形成し得る、一対の保存されたシステインを含んでいる。IgCドメインのアミノ酸位159および210のCys残基はこのようなジスルフィド結合を形成し得る。IgVドメインのアミノ酸位243および317のCys残基はこのようなジスルフィド結合を形成し得る。
【0063】
ネイティブなpan troglodytes B7−H7の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は、以下であり、シグナルペプチド(下線部)および成熟形態のpan troglodytes B7−H7(シグナルペプチドの後のアミノ酸配列)を含む:
【0064】
【化4】
【0065】
配列番号17に関して、報告されたシグナルペプチドは下線が付されており、IgVドメインは太字で示されており、IgCドメインは斜体かつ太字で示されており、IgV/IgCドメイン重複は斜体で示されており、膜貫通ドメインは太字でかつ下線が付されている。
【0066】
ネイティブなmacaca mulatta B7−H7の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は、以下であり、シグナルペプチド(下線部)および成熟形態のmacaca mulatta B7−H7(シグナルペプチドの後のアミノ酸配列)を含む:
【0067】
【化5】
【0068】
配列番号18に関して、報告されたシグナルペプチドは下線が付されており、IgVドメインは太字で示されており、IgCドメインは斜体かつ太字で示されており、IgV/IgCドメイン重複は斜体で示されており、膜貫通ドメインは太字でかつ下線が付されている。
【0069】
典型的なアミノ酸配列は、以下であり、ネイティブなウシB7−H7の部分配列を含んでいる:
【0070】
【化6】
【0071】
図23は、ネイティブなヒトB7−H7、ネイティブなpan troglodytes B7−H7、およびネイティブなmacaca mulatta B7−H7の典型的なアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【0072】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなB7−H7」は、B7−H7をコードする、天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟形態すなわち前駆体形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H7のヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:BC035971(GI:23272002;ヒト)およびAK126162(GI:5726284;ヒト)。ネイティブなヒトB7−H2の未成熟/前駆体形態をコードする典型的なヌクレオチド配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H7をコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0073】
【化7】
【0074】
ネイティブなヒトB7−H7をコードする別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0075】
【化8】
【0076】
pan troglodytesをコードする別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0077】
【化9】
【0078】
macaca mulattaをコードする別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0079】
【化10】
【0080】
ウシをコードする別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0081】
【化11】
【0082】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H7の未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H7の成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H7をコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H7の前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなB7−H7をコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H7の成熟形態をコードする。
【0083】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなB7−H7CR」は、天然に存在する任意のB7−H7CRアミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H7CRのアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:Q96BF3−1(ヒト)、Q96BF3−2(ヒト)、およびNP_653216.1(GI:21389428;ヒト)。ネイティブなヒトB7−H7CRの1つのアイソフォームの未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H7CR(斜体)を含んでいる:
【0084】
【化12】
【0085】
ネイティブなヒトB7−H7CRの第二のアイソフォームのアミノ酸配列は、第一のアイソフォーム1と、配列番号5のアミノ酸残基186−189が第二のアイソフォームにて欠けている点で異なる。
【0086】
ネイティブなヒトB7−H7CRの別の典型的なアミノ酸配列は以下である:
【0087】
【化13】
【0088】
ネイティブなpan troglodytes B7−H7CRの別の典型的なアミノ酸配列は以下である:
【0089】
【化14】
【0090】
ネイティブなウシB7−H7CRの別の典型的なアミノ酸配列は以下である:
【0091】
【化15】
【0092】
図24は、ネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytes B7−H7CR、およびネイティブなウシB7−H7CRの典型的なアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【0093】
いくつかの実施形態において、ネイティブなB7−H7CRは、天然に存在する哺乳動物B7−H7CRの未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなB7−H7CRは、天然に存在する哺乳動物B7−H7CRの成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H7CRは、天然に存在するヒトB7−H7CRの前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなB7−H7CRは、天然に存在するヒトB7−H7CRの成熟形態である。一実施形態において、ネイティブなB7−H7CRタンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0094】
ヒトB7−H7CRポリペプチドは、別途、文献/データベース中で、膜貫通ドメインおよび免疫グロブリンドメイン含有2(TMIGD2)といわれるが、B7−H7CRの機能はこれまでに明らかにされていない。ヒトB7−H7CRポリペプチドの少なくとも1つのアイソフォームは、282アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。特に、ヒトB7−H7CRポリペプチドの少なくとも1つのアイソフォームは、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号Q96BF3−1の配列のアミノ酸残基1〜22のシグナル配列、アクセッション番号Q96BF3−1の配列のアミノ酸残基23〜129のIg様ドメイン、アクセッション番号Q96BF3−1の配列のアミノ酸残基23〜150の細胞外ドメイン、アクセッション番号Q96BF3−1の配列のアミノ酸残基151〜171の膜貫通ドメイン、および、アクセッション番号Q96BF3−1の配列のアミノ酸残基172〜282の細胞内ドメイン。ヒトB7−H7CRポリペプチドの細胞内ドメインは、プロリンが豊富な領域(アミノ酸残基227−277)を含んでおり、これがSH3ドメイン含有アダプタータンパク質への結合に関連し得る。ヒトB7−H7CRポリペプチドの細胞内ドメインは、セリン残基(S220)を含んでおり、これがリン酸化され得る。ヒトB7−H7CRはまた、N連結グリコシル化部位をアミノ酸残基73,105および127に有していることが推定される。ヒトB7−H7CRのIgVドメインは、ヒトB7−H7のIgドメインは、ジスルフィド結合を形成し得る、一対の保存されたシステインをアミノ酸位44および112に含んでいる。アミノ酸位67および81のCys残基はまた構造的に重要なジスルフィド結合を形成し得る。さらに、重要なチロシン残基が、ネイティブなヒトB7−H7CR(例えば配列番号5)のアミノ酸位192,197および22に見出される。
【0095】
ヒトB7−H7CRの2つのスプライシングが推定され、これらの2つのスプライシング形態の間の差異は、アミノ酸残基186−189の有無である。ヒトB7−H7CRの天然に存在するバリアントが2つ知られている(W168LおよびA202P)。
【0096】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなB7−H2CR」は、B7−H2CRをコードする天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物B7−H2CRのヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:AK358964(ヒト)およびBC015655(ヒト)。ネイティブなヒトB7−H2CRの未成熟/前駆体形態の典型的な核酸配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトB7−H2CRをコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0097】
【化16】
【0098】
ネイティブなヒトB7−H7CRをコードする別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0099】
【化17】
【0100】
ネイティブなpan troglodytesの別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0101】
【化18】
【0102】
ネイティブなbos taurusの別の典型的なヌクレオチド配列は以下である:
【0103】
【化19】
【0104】
図25は、ネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytes B7−H7CR、およびネイティブなbos taurus B7−H7CRの典型的な核酸アラインメントを示す。
【0105】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H7CRの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物B7−H7CRの成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなB7−H7をコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H7CRの前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなB7−H7CRをコードする核酸は、天然に存在するヒトB7−H7CRの成熟形態をコードする。
【0106】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなCD28」は、天然に存在する任意のCD28アミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物CD28のアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:P10747−1(ヒト)、P10747−2(ヒト)、P10747−3(ヒト)、P10747−4(ヒト)、P10747−5(ヒト)、P10747−6(ヒト)、NP_006130.1(GI:5453611;ヒト)、P31041−1(マウス)、およびQ28071−1(ウシ)。ネイティブなヒトCD28の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトCD28(斜体)を含んでいる:
【0107】
【化20】
【0108】
CD28の多くのアイソフォームがこれまでに報告されている(例えば、ヒトCD28の種々のアイソフォームについてアクセッション番号P10747−1〜P10747−6を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ネイティブなCD28は、天然に存在する哺乳動物CD28の未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなCD28は、天然に存在する哺乳動物CD28の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなCD28は、天然に存在するヒトCD28の前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなCD28は、天然に存在するヒトCD28の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなCD28は天然に存在するマウスCD28でない。一実施形態において、ネイティブなCD28タンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0109】
ヒトCD28ポリペプチドの少なくとも1つのアイソフォームは、220アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、免疫グロブリン様(Ig様)V型ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。特に、ヒトCD28ポリペプチドのアイソフォームは、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号P10747−1の配列のアミノ酸残基1〜18のシグナル配列、アクセッション番号P10747−1の配列のアミノ酸残基28〜137のIg様V型ドメイン、アクセッション番号P10747−1の配列のアミノ酸残基19〜152の細胞外ドメイン、アクセッション番号P10747−1の配列のアミノ酸残基153〜179の膜貫通ドメイン、および、アクセッション番号P10747−1の配列のアミノ酸残基180〜220の細胞内ドメイン。
【0110】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなCD28」は、CD28をコードする天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物CD28のヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:J02988.1(GI:338444;ヒト)、BC093698.1(GI:62739452;ヒト)、M34563.1(GI:19248;マウス)、およびX93304.1(GI:1369933;ウシ)。ネイティブなヒトCD28の未成熟/前駆体形態の典型的な核酸配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトCD28をコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0111】
【化21】
【0112】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物CD28の未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物CD28の成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなCD28をコードする核酸は、天然に存在するヒトCD28の前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなCD28をコードする核酸は、天然に存在するヒトCD28の成熟形態をコードする。特定の実施形態において、核酸は、ネイティブなマウスCD28をコードしない。
【0113】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなCTLA−1」は、天然に存在する任意のCTLA−1アミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物CTLA−1のアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:P16410−1(ヒト)、NP_001032720.1(GI:83700231;ヒト)、NP_005205.2(GI:21361212;ヒト)、P09793−1(マウス)、NP_033973.2(マウス)、およびQ28090−1(ウシ)。ネイティブなヒトCTLA−1の未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトCTLA−1(斜体)を含んでいる:
【0114】
【化22】
【0115】
いくつかの実施形態において、ネイティブなCTLA−1は、天然に存在する哺乳動物CTLA−1の未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなCTLA−1は、天然に存在する哺乳動物CTLA−1の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなCTLA−1は、天然に存在するヒトCTLA−1の前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなCTLA−1は、天然に存在するヒトCTLA−1の成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなCTLA−1は天然に存在するマウスCTLA−1でない。一実施形態において、ネイティブなCTLA−1タンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0116】
CTLA−1ポリペプチドは、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4およびCD52としても知られている。ヒトCTLA−1ポリペプチドの少なくとも1つのアイソフォームは、223アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、免疫グロブリン様(Ig様)V型ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。特に、ヒトCTLA−1のアイソフォームは、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号P16410−1の配列のアミノ酸残基1〜35のシグナル配列、アクセッション番号P16410−1の配列のアミノ酸残基39〜140のIg様V型ドメイン、アクセッション番号P16410−1の配列のアミノ酸残基36〜161の細胞外ドメイン、アクセッション番号P16410−1の配列のアミノ酸残基162〜182の膜貫通ドメイン、および、アクセッション番号P16410−1の配列のアミノ酸残基183〜223の細胞内ドメイン。
【0117】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなCTLA−1」は、CTLA−1をコードする天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物CTLA−1のヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:AF414120.1(GI:15778585;ヒト)、X05719.1(GI:50592;マウス)、およびX93305.1(GI:1369935;ウシ)。ネイティブなヒトCTLA−1の未成熟/前駆体形態の典型的な核酸配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトCTLA−1をコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0118】
【化23】
【0119】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物CTLA−1の未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物CTLA−1の成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなCTLA−1をコードする核酸は、天然に存在するヒトCTLA−1の前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなCTLA−1をコードする核酸は、天然に存在するヒトCTLA−1の成熟形態をコードする。
【0120】
本明細書中で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの観点での用語「ネイティブなICOS」は、天然に存在する任意のICOSアミノ酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物ICOSのアミノ酸配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:Q9Y6W8−1(ヒト),Q9Y6W8−1(ヒト),NP_036224.1(GI:15029518;ヒト),Q9WVS0−1(マウス),NP_059508.2(GI:224809335;マウス),Q9R1T7−1(ラット),Q9R1T7−2(ラット),Q58DF9−1(ウシ),およびNP_001029447.1(GI:77735505;ウシ)。ネイティブなヒトICOSの未成熟/前駆体形態の典型的なアミノ酸配列は以下に示され、シグナルペプチド(下線部)およびネイティブな成熟ヒトICOS(斜体)を含んでいる:
【0121】
【化24】
【0122】
ネイティブなヒトICOSの第二のアイソフォームのアミノ酸配列は、第一のアイソフォーム1と、配列番号11のアミノ酸残基168−199(KYSSSVHDPNGEYMFMRAVNTAKKSRLTDVTL)配列番号26))が第二のアイソフォームにてMになっている点で異なる。この第二のアイソフォームは分泌されることが推定される。いくつかの実施形態において、ネイティブなICOSは、天然に存在する哺乳動物ICOSの未成熟形態すなわち前駆体形態である。他の実施形態において、ネイティブなICOSは、天然に存在する哺乳動物ICOSの成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなICOSは、天然に存在するヒトICOSの前駆体形態である。別の実施形態において、ネイティブなICOSは、天然に存在するヒトICOSの成熟形態である。特定の実施形態において、ネイティブなICOSは天然に存在するマウスICOSでない。一実施形態において、ネイティブなICOSタンパク質/ポリペプチドは、単離されているかまたは精製されている。
【0123】
ICOSポリペプチドは、別途、文献において、誘導性T細胞同時刺激因子、活性化誘導性リンパ球免疫媒介性分子、およびCD278ともいわれる。ヒトICOSポリペプチドの少なくとも1つのアイソフォームは、199アミノ酸長であり、以下を含んでいることが報告されている:シグナル配列、免疫グロブリン様(Ig様)V型ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。ヒトICOSのアイソフォームは、以下を含んでいることが報告されている:アクセッション番号Q9Y6W8−1の配列のアミノ酸残基1〜20のシグナル配列、アクセッション番号Q9Y6W8−1の配列のアミノ酸残基30〜140のIg様V型ドメイン、アクセッション番号Q9Y6W8−1の配列のアミノ酸残基21〜140の細胞外ドメイン、アクセッション番号Q9Y6W8−1の配列のアミノ酸残基141〜160の膜貫通ドメイン、および、アクセッション番号Q9Y6W8−1の配列のアミノ酸残基161〜199の細胞内ドメイン。
【0124】
本明細書中で使用される場合、核酸の観点での用語「ネイティブなICOS」は、ICOSをコードする天然に存在する任意の核酸配列をいい、未成熟(すなわち前駆体)形態および成熟形態を含む。ネイティブな哺乳動物ICOSのヌクレオチド配列についてのアクセッション番号の非限定的な例としては以下が挙げられる:AF218312.1(GI:7963649;ヒト),AF216748.1(GI:7288512;マウス),およびBT021638.1(GI:61553958;ウシ)。ネイティブなヒトICOSの未成熟/前駆体形態の典型的な核酸配列は以下に示され、シグナルペプチドをコードする核酸配列(下線部)およびネイティブな成熟ヒトICOSをコードする核酸配列(斜体)を含んでいる:
【0125】
【化25】
【0126】
特定の実施形態において、核酸は、単離された核酸であるかまたは精製された核酸である。いくつかの実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物ICOSの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、天然に存在する哺乳動物ICOSの成熟形態をコードする。特定の実施形態において、ネイティブなICOSをコードする核酸は、天然に存在するヒトICOSの前駆体形態をコードする。別の実施形態において、ネイティブなICOSをコードする核酸は、天然に存在するヒトICOSの成熟形態をコードする。
【0127】
本明細書中で使用される場合、用語「ネイティブなリガンド」は、天然に存在するレセプターに結合する、天然に存在する任意のリガンドをいう。特定の実施形態において、リガンドは哺乳動物リガンドである。別の特定の実施形態において、リガンドはヒトリガンドである。
【0128】
本明細書中で使用される場合、用語「ネイティブなレセプター」は、天然に存在するリガンドに結合する、天然に存在する任意のレセプターという。特定の実施形態において、レセプターは哺乳動物レセプターである。別の特定の実施形態において、レセプターはヒトレセプターである。
【0129】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」、「ヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボ核酸、リボヌクレオチド、リボ核酸、およびそのポリマー形態をいい、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかを含む。核酸は、天然に存在する核酸、例えば、デオキシリボ核酸(「DNA」)およびリボ核酸(「RNA」)ならびに核酸アナログを含む。核酸アナログは、天然に存在するホスホジエステル結合以外の連結にて他のヌクレオチドと結びつく、天然に存在しない塩基、ヌクレオチドを含むもの、あるいは、ホスホジエステル結合以外の連結を介して結合した塩基を含むもの、を含む。よって、核酸アナログとしては、例えば、ホスホロチオネート、ホスホロジチオネート、ホスホロトリエステル、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルルボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)などが、限定されることなく挙げられる。
【0130】
本明細書中で使用される場合、用語「早産のヒト幼児」は、妊娠期間が生後37週未満で産まれたヒト幼児をいう。
【0131】
本明細書中で使用される場合、被験体への治療の投与の観点での用語「防止(prevent)」「防止すること(preventing)」および「防止(prevention)」は、被験体が治療を受けることから得る予防的効果をいう。特定の実施形態において、この用語は、疾患または疾患に関連する症状が発達または開始することの阻害、あるいは疾患またはその症状が回復することの阻害をいう。
【0132】
本明細書中で使用される場合、化学合成された因子(例えば、タンパク質性因子(例えば抗体)を含む。)の観点での用語「精製した(精製された)」および「単離した(単離された)」は、化学合成された際に、化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない因子をいう。すなわち、タンパク質の合成に関連して、化学物質前駆体または他の化学物質から分離されている。特定の実施形態において、因子は、他の異なる化合物または因子を、(重量%で)60%、65%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%含まない。
【0133】
本明細書中で使用される場合、天然の供給源(例えば、細胞)から取得され得る因子(タンパク質性因子(例えば、抗体およびポリヌクレオチド)を含む。)の観点での用語「精製した(精製された)」および「単離した(単離された)」は、天然の供給源からの夾雑物(例えば、土壌粒子、鉱物、環境からの化学物質)、および/または天然の供給源からの細胞性材料(細胞破砕物、細胞壁材料、膜、器官、核酸バルク、炭水化物、タンパク質、および/または細胞中に存在する脂質が挙げられるがこれらに限定されない。)を実質的に含まない。句「天然の供給源材料を実質的に含まない」は、単離された元の材料(例えば細胞の細胞内器官)から分離されているタンパク質性因子をいう。よって、単離された因子は、細胞性材料および/または夾雑材料を(重量%で)約30%、20%、10%、5%、2%、または1%未満有している、タンパク質性の化合物または因子を含む。
【0134】
「単離された」核酸配列またはヌクレオチド配列は、その核酸配列またはヌクレオチド配列の天然の供給源中に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、「単離された」核酸配列またはヌクレオチド配列(例えばDNA分子)は、組換え技術によって産生された場合に他の細胞性材料または培養培地を実質的に含まなくてよく、化学合成された場合に化学物質前駆体を実質的に含まなくてよい。特定の実施形態において、「単離された」核酸配列またはヌクレオチド配列は、異種性細胞にて組換え的に発現された核酸配列またはヌクレオチド配列である。
【0135】
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は交換可能に用いられ、ペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸の鎖をいう。いくつかの実施形態において、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸を含む巨大分子をいう。
【0136】
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は交換可能に用いられ、動物をいう。特定の実施形態において、この用語は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(例えば、サルおよびヒト)のような哺乳動物をいう、最も好ましくはヒトである。特定の実施形態において、この用語は、非ヒト動物(例えば、ブタ、ウマ、ウシ、ネコまたはイヌのような非ヒト動物)をいう。いくつかの実施形態において、この用語は愛玩動物または家畜をいう。特定の実施形態において、この用語はヒトをいう。
【0137】
本明細書中で使用される場合、用語「治療剤」は、免疫系の機能または応答の1つ以上を調節する因子をいう。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなリガンドがネイティブなレセプターに結合した際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の実施形態において、治療剤は、ネイティブなレセプターとそのネイティブなリガンドの1つ以上との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、治療剤は、ネイティブなレセプターまたはネイティブなリガンドの発現を調節する。いくつかの実施形態において、治療剤はアゴニストである。他の実施形態において、治療剤はアンタゴニストである。
【0138】
本明細書中で使用される場合、用語「治療(単数または複数)」は、疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患、移植片対宿主疾患、および移植拒絶)またはこの疾患に関連する症状の、予防、処置、管理または軽減に使用され得る、任意のプロトコル、方法、組成物、処方物、および/または因子をいう。特定の実施形態において、用語「治療」は、薬物療法、アジュバント療法、放射線、手術、生物学的療法、支持療法、および/または、状態または障害あるいはその症状の予防、処置、管理または軽減に有用な他の治療をいう。例えば、治療剤を、薬物療法、生物学的療法、手術および/または支持療法と組み合わせて用いる。特定の実施形態において、治療は治療剤を含む。
【0139】
一実施形態において、治療は、免疫賦活治療剤を含む。代替的な実施形態において、治療は、抑制性の治療剤を含む。別の実施形態において、治療は、免疫賦活治療剤でない。代替的な実施形態において、治療は、抑制性の治療剤でない。
【0140】
本明細書中で使用される場合、被験体への治療の投与の観点での用語「処置(treat)」、「処置すること(treating)」、「処置(treatment)」は、被験体が治療から得られる有利な効果をいう。特定の実施形態において、治療剤を用いる被験体の処置は、以下の効果の1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上を達成する:(i)疾患または疾患に関連する症状の重篤度の軽減または改善;(ii)疾患に関連する症状の期間の短縮;(iii)疾患または疾患に関連する症状の進行の防止;(iv)疾患または疾患に関連する症状の回帰;(v)疾患または疾患に関連する症状の発達または開始の防止;(vi)疾患または疾患に関連する症状の再発の防止;(vii)被験体の入院の軽減;(viii)入院期間の短縮;(ix)疾患を有する被験体の生存の増加;(x)疾患に関連する症状の数の低減;(xi)他の治療の予防効果または治療効果の強化、改善、補完、相補または増強。
【0141】
〔4.表および図面の説明〕
表1。レセプター−リガンドプロテオームを用いたcDNAクローンコレクションの一覧。哺乳動物発現ベクター中の全長原形質膜cDNAをコードする1900を超えるヒト遺伝子は、レセプターおよびリガンドの相互作用のスクリーニングのための本プロテオーム系に含まれている。
【0142】
図1。レセプター−リガンドプロテオームの模式図。ヒト膜貫通遺伝子をコードする〜1900のプラスミドのセットが、5個の384ウェルプレート中に個別に配置され、リポフェクタミンによって293T細胞中に形質移入される。続いて8時間後に、標的となる融合タンパク質および蛍光標識された二次抗体が形質移入された細胞に加えられる。24時間後、Applied Biosystem 8200 Cellular Detection System (CDS)によって、陽性のウェルに対して細胞表面の走査を行う。陽性の各ウェル内の個々のプラスミドは採集され、検証のためにさらに研究され得る。
【0143】
図2。レセプター−リガンドプロテオーム系によるB7−H2およびCD28の相互作用の特定。ヒト膜貫通遺伝子を有する〜1900のプラスミドのセットが、30ng/ウェルで4個の384ウェルプレート中に個別に配置され、リポフェクタミンによって293T細胞中に一時的に形質移入された。形質移入から8時間後に、ヒトCD28Ig(R&D systems, Minneapolis, MN)および抗ヒトIg FMATブルー二次抗体(Applied Biosystems, Foster City, CA)がウェル中に加えられた。プレートは、形質移入から24時間後にApplied Biosystems 8200 cellular detection systemによって読まれ、CDS8200ソフトウェアによって分析された。3−Dの図は384ウェルプレートの結果を表している。各ウェルの位置はプレートの下部(1〜24)および側面(A〜P)に示されている。各バーは、384ウェルプレートの各ウェル中のFL1ゲートにおける全ての蛍光強度を表している。ヒトB7−H2遺伝子(K11)を用いて形質移入されたウェルは、B7−1(C17)およびB7−2(K24)と同様に陽性を示した。Fcレセプター(D15、O5)は、標識された二次抗体に対して直接的に結合するため、形質移入に関してポジティブコントロールである。P24はモック形質移入(mock-transfected)293T細胞を用いたネガティブコントロールである。オクルディン(P1)は、タイトジャンクション接着分子であり、またB7−H2に対して陽性の結合を示した。しかし、さらなる実験により、オクルディンは二次抗体に対して非特異的に結合することが証明された。
【0144】
図3A−3K。CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。
【0145】
(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、ICOSIg(A)、CD28Ig(B)およびCTLA4Ig(C)と同様にB7−H2、B7−1、B7−2に対して特異的なmAbによって染色された。結合の特異性を試験するため、CD28に対して特異的なmAb(クローンCD28.6)およびCTLA−4に対して特異的なmAb(クローン14D3)もまた培地中に加えられた。(D)CD28が形質移入された(D)またはCTLA−4が形質移入された293T細胞(E)はまた、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12)を用いた場合または用いない場合について、B7−H2Igによって染色された。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0146】
(F)ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性。示された濃度のICOSIgおよびCD28Igが500RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入され、反応は表面プラズモン共鳴によって測定された。同様に、示された濃度のCTLA4Igが5000RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入された。全ての実験において、コーティングされていないコントロールのフローセル内への当該融合タンパク質の導入は、コントロールとして行われた。結合のデータには1:1相互作用モデルを適合させ、変動しているベースラインを用いてオーバーレイした。
【0147】
(G−I)B7−H2/ICOS経路とB7/CD28経路との間の相互作用。B7−H2およびCD28/CTLA−4の他のリガンドの相互作用を試験するために、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA4Igが使用され、フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、B7−H2+293T細胞を染色する前に、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA4Igが、40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。B7−H2とCD28/CTLA−4との相互作用をICOSと比較して測定するために、CD28(H)またはCTLA−4(I)を形質移入させた293T細胞が10μg/mlのB7−H2Igによって染色され、結合を競合させるために20μg/mlの超過量のICOSIgが加えられた。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0148】
(J,K)B7−H2/CD28相互作用を介したヒトT細胞の同時刺激。(J)健康なドナーに由来する末梢血T細胞が負の選択を受け、アフィニティーカラム上でPan T cell isolation kitによって精製された。3×10細胞/ウェルの精製されたCD3+T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。ブロッキング実験では、10μg/mlのICOSに対するブロッキングmAb(クローンC398.4A)および/またはCD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)が、培養の初期の3日間、可溶性形態にて加えられた。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。(K)2.5×10細胞/ウェルの精製されたCD3+T細胞は、(J)に記載されているCD3mAb/B7−H2Igによって刺激された。10μg/mlのB7−H2mAb(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。
【0149】
図4。ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性の比較。ヒトB7−H2−GFPプラスミドが293T細胞に一時的に形質移入された。GFPが高い集団がゲートされ、10μg/mlのICOS、CD28およびCTLA−4融合タンパク質の結合について評価され、フローサイトメトリーによって分析された。
【0150】
図5A−5B。B7−CD28ファミリー分子の相互作用。X軸上に示されるように、293T細胞は全長ヒト(A)またはマウス(B)B7−CD28ファミリー遺伝子を用いて形質移入された。形質移入体に対する上記の結合をCDSによって評価するために、Y軸上に示されるようにヒト(A)またはマウス(B)融合タンパク質が培地に加えられた。個々のウェルの図は8200CDSソフトウェアによって捉えた。
【0151】
図6A−6B。B7−H2は重複ドメイン(overlapping domains)を介してICOS、CD28およびCTLA−4と相互作用する。(A)B7−H2−ICOSの相互作用の図はB7−2−CTLA4の結晶構造(RCSB PDB 1i85)を用いて設計され、Pymolソフトウェア(DeLano Scientific LLC.)によって生成された。(B)部位特異的突然変異誘発によるB7−H2のレセプターに対するB7−H2の結合位置の分析。ヒトB7−H2全長遺伝子は、当該遺伝子がC末端GFPタグと融合するようにpcDNA3.1中にクローニングされた。B7−H2−GFPプラスミド中に、リガンド−レセプター相互作用面に埋め込まれた残基(図中に紫色で示されている)において単一の点突然変異が導入された。その後、B7−H2プラスミド(野生型および変異体)が293T細胞に一時的に形質移入され、B7−H2の発現は抗B7−H2染色によって確認された。B7−H2変異体−GFPプラスミドに対するヒトICOS、CD28、CTLA4融合タンパク質の結合はフローサイトメトリーによって測定され、野生型B7−H2−GFP(100%)およびベクターコントロール(0%)を発現する293T細胞に対して標準化された。野生型B7−H2(100%)およびベクターコントロール(0%)に関する結合の割合はポジティブコントロールおよびネガティブコントロールである。
【0152】
図7。前述のB7ファミリー分子に対するB7−H7の配列相同性。ヒトB7−H7タンパク質配列は、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H3およびB7−H4を包含する他のB7リガンドファミリーのメンバーを用いて、ClustalWプログラムによって並べられた。
【0153】
図8。CDS系によるB7−H7およびB7−H7Rの相互作用の特定。図2に記載された手段と同一の手段を用いて、形質移入から8時間後に、B7−H7Igおよび抗mIg FMATブルー二次抗体が384ウェルプレートに加えられた。プレートは、形質移入から24時間後にApplied Biosystems 8200 cellular detection systemによって読まれ、CDS8200ソフトウェアによって分析された。ヒトB7−H7CR(J18)は、ポジティブコントロール、FcR(O5)およびOLN(P1)と同様に陽性として特定された。
【0154】
図9。前述のCD28ファミリーメンバーに対するB7−H7CRの配列相同性。ヒトB7−H7CRタンパク質配列は、CD28、CTLA−4、PD−1およびICOSを包含する他のCD28ファミリーのメンバーを用いて、ClustalWプログラムによって並べられた。
【0155】
図10A−10F。B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。
【0156】
(A)形質移入された細胞におけるB7−H7IgによるB7−H7CRの結合。293T細胞は、ヒトB7−H7CRcDNAを含んでいるプラスミドまたはベクタープラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、B7−H7CRに対して特異的なmAb(クローン4−5、上側のパネル)またはB7−H7Ig(下側のパネル)によって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0157】
(B)マクロファージおよび樹状細胞におけるB7−H7の構成的発現および誘導性の発現。ヒト単球は健康なドナーの血液から精製され、GM−CSFまたはGM−CSF+IL−4の存在下で1週間、それぞれマクロファージ(M)または樹状細胞(DC)へ分化させるためにin vitroで培養された。細胞はまた、IFN−γ、ポリI:C、または熱で殺したListeria monocytogenes(HKLM)を用いて、または上記を用いずに(何もなし)24時間処置され、その後、抗B7−H7mAb(クローン2D3)によって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0158】
(C)リンパ球におけるB7−H7CRの構成的発現および誘導性の発現。ヒト末梢血単核球は精製され、抗B7−H7CRmAb(クローン4−5)と共にCD3、CD19、CD56およびCD16に対して特異的なmAbによって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0159】
(D)B7−H7IgはCD4+T細胞の増殖およびサイトカイン産生を同時刺激する。健康なドナーに由来する末梢血CD4+T細胞は負の選択を受け、アフィニティーカラムによって精製された。精製された2.5×10細胞/ウェルのCD4+T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H7IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。並行する実験において、培地の上清が採集され、mAbの特異的なペアを用いて、サンドウィッチELISAキットによってサイトカインが測定された。
【0160】
(E、F)アゴニストであるB7−H7CRmAbによるCD4+T細胞の増殖の同時刺激。(E)CD4+T細胞は(D)に記載されたように精製され、刺激される。B7−H7Igの代わりに、抗B7−H7CRmAb(クローン4−5)が抗CD3mAbと共にプレートに固定された(左のパネル)。CD28の同時刺激との相乗効果を試験するために、CD28mAb(クローンCD28.2、1μg/ml)はB7−H7CRmAbと共に培地に加えられた(右のパネル)。(F)ヒトCD4+T細胞は、10μg/mlの水溶性のB7−H7mAbまたはB7−H7CRIgの存在下で(E)に記載されたようにプレートに固定化されたB7−H7Igおよび抗CD3mAbと共に同時刺激された。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
【0161】
図11。B7−H7mAb2D3はB7−H7+細胞に対するB7−H7CRの結合を完全にブロックする。CHO細胞はヒトB7−H7をコードするプラスミドを用いて形質移入され、その後、前述のように20μg/mlのB7−H7mAb(クローン2D3)を用いない場合(左のパネル)または用いる場合(右のパネル)において、10μg/mlのB7−H7CRIgによって染色された。
【0162】
図12。B7−H7CRはB7−H7に対して特異的に結合するが、他のB7ファミリーメンバーには結合しない。293T細胞は、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H2、B7−H3(2Ig形態および4Ig形態の両方)およびB7−H4を包含する個々のB7ファミリーのメンバーを用いて形質移入された。10μg/mlのB7−H7CRIgおよび蛍光標識された二次mAbを用いた染色の後、細胞はフローサイトメトリーによって分析され、データは蛍光の密度として示される。
【0163】
図13。組織中のヒトB7−H7およびB7−H7CRmRNAの検出。RT−PCRを行うため、B7−H7およびB7−H7CRの特異的なプライマーペアそれぞれと共に、ヒト組織cDNAアレイ(Clontech)が鋳型として使用された。G3PDHプライマーペアはコントロールとしての役割を果たす。
【0164】
図14。T、B、NK細胞および単球上における細胞表面B7−H7の検出の失敗。ヒト末梢血単核細胞は精製され、抗B7−H7mAb、並びにT細胞(CD3)、B細胞(CD19)、NK細胞(CD56)および単球(CD14)に対する細胞型特異的抗体を用いて同時染色される。染色の後、細胞はフローサイトメトリーによって分析され、データは蛍光の密度として示される。
【0165】
図15A−15B。新しい同時刺激経路の図。(A)B7−CD28経路とB7−H2/ICOS経路との間の交差。前述の相互作用は黒い線で示され、新しく説明される相互作用は太線で示されている。(B)B7−H7とB7−H7CRとの間の新しく説明される相互作用。
【0166】
図16A−16D。
【0167】
(A−C)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2(a)、CD28(b)またはCTLA−4(c)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、示された特異的mAbまたは融合タンパク質によって染色された。いくつかの実験において、結合の特異性を試験するために、mAbまたは融合タンパク質はまた、他の因子と共に加えられる。細胞はFACScanフローサイトメトリーを用いて分析された。
【0168】
(D)ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性。示された濃度のICOSIg(左のパネル)およびCD28Ig(中央のパネル)が500RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入され、反応は表面プラズモン共鳴によって測定された。同様に、示された濃度のCTLA4Ig(右のパネル)が5000RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入された。全ての実験において、コントロールとしての役割を果たすために、コーティングされていないコントロールのフローセル内へ同一の融合タンパク質が導入された。結合のデータには1:1相互作用モデルを適合させて、オーバーレイした。
【0169】
(E)CD28/CTLA−4とCD28/CTLA−4の3つのリガンドとの相互作用。CD28/CTLA−4に対するB7−H2、B7−1およびB7−2の結合におけるB7−H2、B7−1およびB7−2の関係性を試験するため、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA−4Igが使用され、その後フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA−4Igが、染色の前に40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。
【0170】
図17A−17B。新しい同時刺激経路の図。(A)B7−CD28経路とB7−H2/ICOS経路との間の交差。前述の相互作用は黒い線で示され、新しく説明される相互作用は太線で示されている。(B)細胞表面におけるCD28の3つのリガンドとのCD28の相互作用のモデル。
【0171】
図18。B7−H2/CD28およびB7−H2/ICOSの相互作用を区別して抑止するmAbの特定。293T細胞はヒト全長ICOS(ICOS+293T)、CD28(CD28+293T)またはCTLA−4(CTLA−4+293T)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、B7−H2Igまたはコントロール(ctl)Igによって染色された。コントロールのマウスIgと同様に、B7−H2に対して特異的なmAb、クローンMIH12または9F.8A4が、B7−H2Igの結合における当該mAbのブロッキング効果を試験するために培地中に加えられた。細胞はフローサイトメトリーによって分析された。
【0172】
図19A−19B。マウスB7−H2は、マウスCD28およびCTLA−4と相互作用しない。(A)293T細胞はマウス全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、マウスICOSIg、CD28IgおよびCTLA−4Igによって染色された。(B)マウスB7−H2/hB7−H2IgVキメラコンストラクトは、マウスB7−H2全長遺伝子においてマウスB7−H2IgV領域(Met1−Val149)をヒトの対応する領域(Met1−Gln123)と置き換えることによって作成した。293T細胞は上記キメラ遺伝子を発現するために一時的に形質移入され、マウスICOSIg、CD28IgおよびCTLA−4Igによって染色された。結果はフローサイトメトリーによって分析した。
【0173】
図20A−20E。CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。
【0174】
(A)B7−H2/CD28相互作用はヒトT細胞の増殖を同時刺激する。健康なドナーに由来する末梢血T細胞は負の選択を受け、Pan T cell isolation kit(Miltenyi)を用いて精製された。2.5×10/ウェルの精製されたCD3T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlの固定化されたB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。10μg/mlのB7−H2mAb(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間、可溶性形態にて加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。培養の最後の6時間、HTdRが加えられ、HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
【0175】
(B)B7−H2は、CD28を介したヒトT細胞からのサイトカイン産生を同時刺激する。2.5×10/ウェルの精製されたCD3T細胞は、(a)で記載されたように固定化されたCD3mAbおよびB7−H2Igによって刺激された。MIH12、9F.8A4またはコントロールのマウスIg(ctl Ig)は、B7−H2IgとB7−H2Igのレセプターとの相互作用をブロックするために可溶性形態にて使用された。上清は3日まで毎日採集された。サイトカインのレベルは、BD Cytometric Bead Array (CBA) human Th1/Th2 cytokine kitおよびCBA IL-17A Flexセットによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
【0176】
(CおよびD)B7−H2/CD28の相互作用は、破傷風トキソイドに対して特異的な記憶T細胞の反応を促進する。(C)単球由来の樹状細胞(2.5×10/ウェル)および精製された自己のT細胞(3×10/ウェル)は共に混合され、示された濃度の破傷風トキソイドと共に5日間培養された。CD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12および9F.8A4)またはコントロールのマウスIgに対するブロッキングmAb(10μg/ml)が、培養の初期に可溶性形態にて加えられた。培養の最後の16時間、HTdRが加えられ、HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。(D)インターフェロンガンマの濃度は5日目の上清において、BD (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
【0177】
(E)B7−H2/CD28の相互作用は、同種異系T細胞の反応においてINF−ガンマの放出を促進する。単球由来の樹状細胞(2.5×10/ウェル)および精製された同種異系のT細胞(3×10/ウェル)は共に混合された。CD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12および9F.8A4)またはコントロールのマウスIgに対するブロッキングmAb(10μg/ml)が、培養の初期の5日間に可溶性形態にて加えられた。インターフェロンガンマの濃度は5日目の上清において、BD (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
【0178】
図21。B7−H2/CD28の相互作用はヒトT細胞の分裂を促進する。健康なドナーに由来する末梢血T細胞は負の選択を受け、アフィニティーカラム上でPan T cell isolation kitによって精製された。精製されたCD3T細胞は5μMのCSFEを用いて標識された。2.5×10細胞/ウェルの標識されたヒトT細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。10μg/mlのB7−H2mAB(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。T細胞は4日目に採集され、FACScanフローサイトメトリーによって分析された。
【0179】
図22。B7−1およびB7−2の同時刺激によって誘導されるサイトカイン産生の比較。健康なドナーのPBMCに由来する精製されたCD4T細胞(2.5×10細胞/ウェル)は固定化されたCD3mAb並びにB7−1IgもしくはB7−2Igによって刺激された。上清は3日まで毎日採集された。サイトカインのレベルは、BD Cytometric Bead Array (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitおよびCBA IL-17A Flexセットによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均である。
【0180】
図23。代表的なネイティブなヒトB7−H7、ネイティブなpan troglodytesB7−H7およびネイティブなmacaca mulattaB7−H7のアミノ酸配列のアラインメント。
【0181】
図24。代表的なネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytesB7−H7CRおよびネイティブなbos taurusB7−H7CRのアミノ酸配列のアラインメント。
【0182】
図25。代表的なネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytesB7−H7CRおよびネイティブなbos taurusB7−H7CRの核酸配列のアラインメント。
【0183】
〔5.詳細な説明〕
1つの局面において、本発明は、同時刺激レセプターとしてのB7−H7CRの発見、および、1つ以上のB7−H7CRのリガンド(B7−H7)に対するB7−H7CRによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路の調節を提供する。別の局面において、本発明は、B7−H7、B7−H7CR、またはB7−H7およびB7−H7CRの複合体に対して特異的に結合する抗体を提供する。別の局面において、本発明は、特定の同時刺激レセプターと当該レセプターのリガンドの1つ以上との間の相互作用を調節する治療剤、および、1つ以上の免疫系の機能を調節するための上記治療剤の使用を提供する。本明細書中に記載される治療剤は、ひとつには、新しい同時刺激レセプター−リガンド相互作用に基づいている。治療剤は、免疫細胞の機能(例えば、リンパ球増殖、サイトカイン産生、または抗体産生)を調節するために、細胞培養物中で使用され得る。特に、細胞は、1つ以上の免疫細胞の機能を調節するために治療剤と接触され得る。さらに、治療剤は、特定の疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患、および炎症性疾患)を予防、処置または管理するために被験体に投与され得る。
【0184】
別の局面において、本発明は、レセプター−リガンド相互作用を特定する方法を提供する。上記方法は、同時刺激リガンドと同時刺激レセプターとの間の相互作用を特定するために使用され得る。
【0185】
〔5.1 B7−H7またはB7−H7CRに対して特異的な抗体〕
1つの局面において、本発明は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ヒトB7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を提供する。別の特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7ポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7ポリペプチド)に対して特異的に結合する抗体であって、1つ以上のB7−H7レセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド)に対するネイティブなB7−H7ポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体を提供する。さらに特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7ポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7ポリペプチド)に対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチド)に対するネイティブなB7−H7ポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7ポリペプチド)の結合を阻害または低減する抗体を提供する。上記抗体は、本実施形態に従えば、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合をブロックし得る(立体的または非立体的に)。特定の実施形態では、抗体は、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合を、ネガティブコントロールと比較して(例えば、抗体の非存在下、またはB7−H7に対して結合するということが知られていないネガティブコントロール抗体の存在下での、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合)、少なくとも10%、15%、25%、30%、40%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%低減するか、または10%〜25%、10%〜50%、10%〜75%、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜98%、または75%〜100%の間の範囲で低減する。上記低減は、当該分野にてよく知られている方法(例えばELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)アッセイ))によって決定される。
【0186】
別の局面において、本発明は、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ヒトB7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を提供する。別の特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチド)に対して特異的に結合する抗体であって、1つ以上のB7−H7CRリガンド(例えば、ネイティブなB7−H7ポリペプチド)に対するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体を提供する。さらに特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチド)に対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H7ポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7ポリペプチド)に対するネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチド)の結合を阻害または低減する抗体を提供する。上記抗体は、本実施形態に従えば、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合をブロックし得る(立体的または非立体的に)。特定の実施形態では、抗体は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合を、ネガティブコントロールと比較して(例えば、抗体の非存在下、またはB7−H7に対して結合するということが知られていないネガティブコントロール抗体の存在下での、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合)、少なくとも10%、15%、25%、30%、40%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%低減するか、または10%〜25%、10%〜50%、10%〜75%、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜98%、もしくは75%〜100%の間の範囲で低減する。上記低減は、当該分野にてよく知られている方法(例えばELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)アッセイ))によって決定される。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、アゴニストである。他の実施形態では、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、アンタゴニストである。
【0187】
別の局面において、本発明は、B7−H7CR/B7−H7複合体に対して特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ヒトB7−H7CR/ヒトB7−H7複合体に対して特異的に結合する抗体を提供する。別の特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7CR/ネイティブなB7−H7複合体(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CR/ネイティブなヒトB7−H7複合体)に対して特異的に結合する抗体であって、1つ以上のB7−H7CRリガンドに対するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体を提供する。上記抗体は、本実施形態に従えば、1つ以上のB7−H7CRリガンドに対するネイティブなB7−H7CRをブロックし得る(立体的または非立体的に)。特定の実施形態では、抗体は、1つ以上のネイティブなB7−H7CRリガンドに対するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの結合を、ネガティブコントロールと比較して(例えば、抗体の非存在下、またはB7−H7に対して結合するということが知られていないネガティブコントロール抗体の存在下での、1つ以上のネイティブなB7−H7CRリガンドに対するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの結合)、少なくとも10%、15%、25%、30%、40%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%低減するか、または10%〜25%、10%〜50%、10%〜75%、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜98%、もしくは75%〜100%の間の範囲で低減する。上記低減は、当該分野にてよく知られている方法(例えばELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)アッセイ))によって決定される。特定の実施形態において、B7−H7CR/B7−H7複合体に対して特異的に結合する抗体は、ネイティブなB7−H7のレセプターの1つ以上に対するネイティブなB7−H7の結合を阻害または低減する。上記抗体は、1つ以上のネイティブなB7−H7のレセプターに対するネイティブなB7−H7の結合をブロックし得る(立体的または非立体的に)。
【0188】
別の局面において、本発明は、B7−H7に対して結合し、かつB7−H7を中和する抗体を提供する。別の局面において、本発明は、B7−H7CRに対して結合し、かつB7−H7CRを中和する抗体を提供する。
【0189】
特定の実施形態において、本セクションに記載される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0190】
いくつかの局面において、本発明は、B7−H7に対して結合し、かつ分解(degradation)を増加させる抗体を提供する。
【0191】
B7−H7ポリペプチド、B7−H7CRポリペプチド、またはB7−H7/B7−H7CR複合体に対して特異的に結合する抗体は、当該分野にてよく知られた方法(例えば、米国特許番号5,807,715, 6,331,415,および6,818,216;米国特許出願公開番号 US 2002/0098189, US 2004/0028685, US 2005/0019330, US 2006/0115485, およびUS 2007/0086943;国際公開番号 WO 02/46237 およびWO 04/010935;並びに、Harlow et al., Antibodies. A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)に記載されている。)によって産生され得る(上記参考文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。
【0192】
特定の実施形態において、本発明は、2D3と呼ばれるモノクローナル抗体を提供する。実施例のセクションで後述する上記抗体は、ヒトB7−H7−Igを用いて免疫性を与えたマウスに由来するB細胞とSP2骨髄腫との融合に由来するハイブリドーマから生成された。別の特定の実施形態において、本発明は、4−5と呼ばれるモノクローナル抗体を提供する。実施例のセクションで後述する上記抗体は、ヒトB7−H7CR−Igを用いて免疫性を与えたハムスターに由来するB細胞とSP2骨髄腫との融合に由来するハイブリドーマから生成された。本発明は、2D3または4−5と呼ばれる抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)フラグメント)を包含する。
【0193】
別の局面において、本発明は、ネイティブなB7−H7ポリペプチド、またはネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対する結合において、それぞれ、2D3抗体または4−5抗体と競合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)を提供する。ネイティブなB7−H7ポリペプチド、またはネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対する結合において、それぞれ、2D3抗体または4−5抗体との競合を評価するために、当業者に公知の競合アッセイが使用され得る。例えば、競合型の免疫アッセイ(例えば、ELISA)が使用され得る。
【0194】
別の局面において、本発明は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体2D3の可変軽鎖(VL鎖)および/または可変重鎖(VH鎖)を備えている抗体を提供する。1つの実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVL鎖またはVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVL鎖および別の抗体のVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVH鎖および別の抗体のVL鎖を備えている。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVL鎖および抗体2D3のVH鎖を備えている。
【0195】
別の局面において、本発明は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体2D3のVLドメインおよび/またはVHドメインを備えている抗体を提供する。1つの実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVLドメインまたはVHドメインを備えている。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVLドメインおよび別の抗体のVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVHドメインおよび別の抗体のVLドメインを備えている。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体2D3のVLドメインおよび抗体2D3のVHドメインを備えている。
【0196】
別の局面において、本発明は、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体4−5のVL鎖および/またはVH鎖を備えている抗体を提供する。1つの実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVL鎖またはVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVL鎖および別の抗体のVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVH鎖および別の抗体のVL鎖を備えている。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVL鎖および抗体4−5のVH鎖を備えている。
【0197】
別の局面において、本発明は、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体4−5のVLドメインおよび/またはVHドメインを備えている抗体を提供する。1つの実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVLドメインまたはVHドメインを備えている。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVLドメインおよび別の抗体のVH鎖を備えている。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVHドメインおよび別の抗体のVLドメインを備えている。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体は、抗体4−5のVLドメインおよび抗体4−5のVHドメインを備えている。
【0198】
別の局面において、本発明は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体2D3の可変重鎖の1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDRs)(VH CDRs)および/または抗体2D3の可変軽鎖の1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDRs)(VL CDRs)を備えている抗体を提供する。特定の実施形態において、B7−H7に対して特異的に結合する抗体は、VH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR3およびVL CDR3; VH1 CDR1, VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR1, VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3;または抗体2D3のVH CDRsおよびVL CDRsのあらゆる組み合わせを備えている(または上記からなる)。
【0199】
別の局面において、本発明は、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、抗体4−5の可変重鎖の1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDRs)(VH CDRs)および/または抗体4−5の可変軽鎖の1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDRs)(VL CDRs)を備えている抗体を提供する。特定の実施形態において、B7−H7CRに対して特異的に結合する抗体は、VH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR3およびVL CDR3; VH1 CDR1, VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR1, VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1, VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR2, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3; VH CDR1, VH CDR3, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3; VH CDR2, VH CDR3, VL CDR1, VL CDR2,およびVL CDR3;または抗体4−5のVH CDRsおよびVL CDRsのあらゆる組み合わせを備えている(または上記からなる)。
【0200】
抗体2D3および4−5の配列は、当業者に公知の標準的な技術を用いて決定され得る。VH鎖、VL鎖、VHドメイン、VLドメイン、VH CDRs、およびVL CDRsは、例えばKabatナンバリングシステム(Kabat numbering system)(例えば、KabatのEU指標(EU index))を用いて決定され得る。
【0201】
本明細書中に示される抗体は、例えば、当該抗体に対するあらゆる種類の分子の共有結合または非共有結合によって化学的に修飾された誘導体を包含する。抗体の誘導体はまた、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解による切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との連結等によって化学的に修飾された抗体を包含する。既知の技術によって、多数の化学的修飾が実行され得る。上記既知の技術には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:特定の化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成等。さらに、上記誘導体は、1つ以上の非古典的なアミノ酸を含み得る。
【0202】
本明細書中に示され、本発明によって提供される抗体は、当業者に公知のフレームワーク領域を含み得る(例えば、ヒト、または非ヒトのフラグメント)。上記フレームワーク領域は、天然に存在するフレームワーク領域であってもよいし、コンセンサスフレームワーク領域であってもよい。
【0203】
別の局面において、本発明は、本明細書中に示される抗体をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書中に示される抗体をコードする核酸分子が単離される。他の実施形態において、本明細書中に示される抗体をコードする核酸、または本発明によって提供される方法に従って生成される核酸は、単離されない。さらに他の実施形態において、本明細書中に示される抗体をコードする核酸は、例えば、染色体DNAまたは発現ベクターに組み込まれる。特定の実施形態において、本明細書中に示される核酸は、抗体2D3、抗体4−5、または当該抗体のフラグメントをコードする(特に、当該抗体の、抗原結合フラグメント)。
【0204】
本明細書中に記載される抗体は、当業者に公知の技術を用いて、親和性において熟成され得る。本明細書中に記載されるモノクローナル抗体は、当業者に公知の技術を用いて、キメラ化され得る。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が、異なる免疫グロブリン分子に由来している分子である。キメラ抗体を産生する方法は、当該分野にて公知である。例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214; Gillies et al., 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;並びに米国特許番号5,807,715, 4,816,567, 4,816,397, および6,331,415を参照されたい。上記文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0205】
本明細書中に記載されるモノクローナル抗体は、ヒト化され得る。ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができる抗体であって、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域、および非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRを備えている抗体である。ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)のうちの実質的に全てを備えている。上記可変ドメインにおいて、全ての、または実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、かつ、全ての、または実質的に全てのフレームワーク領域は、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のフレームワーク領域である。好ましくは、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部を備えている。通常、上記抗体は、少なくとも重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の両方を備えているものである。上記抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含み得る。上記ヒト化抗体は、免疫グロブリンの任意のクラスから選択されてもよく、当該免疫グロブリンには、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgE、並びに、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプが含まれる。ヒト化抗体が細胞毒活性を示すことが望ましい場合、通常、上記定常ドメインは、補体結合性定常ドメインであり、上記クラスは、典型的にはIgG1である。上記細胞毒活性が望ましいものではない場合、上記定常ドメインは、IgG2クラスの定常ドメインであってもよい。特定の実施形態で使用され得るVLおよびVH定常ドメインの例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Johnson et al. (1997) J. Infect. Dis. 176, 1215-1224に記載されているC−カッパおよびC−ガンマ−1(nG1m)、並びに米国特許番号5,824,307に記載されているC−カッパおよびC−ガンマ−1(nG1m)。上記ヒト化抗体は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプに由来する配列を含み得る。所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当該分野の通常の技量の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDR領域は、親配列(parental sequences)と正確に一致している必要はない(例えば、ドナーCDR、またはコンセンサスフレームワークは、少なくとも1つの残基について、置換、挿入または欠失による突然変異が起こっていてもよく、従って、当該サイトのCDRまたはフレームワーク残基は、コンセンサス抗体または導入した抗体(import antibody)のどちらにも一致していない。)。しかしながら、上記突然変異は、大規模なものではないであろう。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%は、親のフレームワーク(FR)およびCDR配列の残基とは一致せず、さらに多くの場合は90%、最も好ましくは最大95%の残基が一致しない。ヒト化抗体は、当該分野にて公知の、種々の技術を用いて産生され得る。上記技術には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:CDRグラフティング(CDR-grafting) (欧州特許番号EP 239,400;国際公開番号WO 91/09967;並びに、米国特許番号5,225,539, 5,530,101,および5,585,089)、ベニアリング(veneering)、もしくはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許番号EP 592,106およびEP 519,596; Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;並びに Roguska et al., 1994, PNAS 91:969-973)、チェーンシャッフリング(chain shuffling)(米国特許番号5,565,332)、並びに、例えば米国特許番号6,407,213, 米国特許番号5,766,886, WO 9317105, Tan et al., J. Immunol. 169:1119 25 (2002), Caldas et al., Protein Eng. 13(5):353-60 (2000), Morea et al., Methods 20(3):267 79 (2000), Baca et al., J. Biol. Chem. 272(16):10678-84 (1997), Roguska et al., Protein Eng. 9(10):895 904 (1996), Couto et al., Cancer Res. 55 (23 Supp):5973s- 5977s (1995), Couto et al., Cancer Res. 55(8):1717-22 (1995), Sandhu JS, Gene 150(2):409-10 (1994), およびPedersen et al., J. Mol. Biol. 235(3):959-73 (1994)に記載されている技術。同様に、米国特許出願公開番号US 2005/0042664 A1 (2005年2月24日公開)も参照されたい。上記文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。多くの場合、フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原の結合を変化(好ましくは改善)するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基と置換され得る。上記フレームワークの置換は、当該分野にてよく知られている方法によって特定される。上記方法には、例えば、抗原の結合にとって重要なフレームワーク残基を特定するための、CDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリング、並びに、特定の位置における異常なフレームワーク残基を特定するための、配列比較が挙げられる(例えば、Queen et al., 米国特許番号5,585,089; および Reichmann et al., 1988, Nature 332:323参照。上記文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。
【0206】
〔5.1.1 増加した半減期〕
1つの局面において、本明細書中に示される抗体は、in vivoでの拡張された(すなわち、増加された)半減期を有する。1つの実施形態において、本発明は、被験体(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくはヒト)において、約3日から約180日(またはそれを上回る日数)の半減期を有し、いくつかの実施形態においては、3日を上回る日数、7日を上回る日数、10日を上回る日数、15日を上回る日数、20日を上回る日数、25日を上回る日数、30日を上回る日数、35日を上回る日数、40日を上回る日数、45日を上回る日数、50日を上回る日数、少なくとも約60日、75日を上回る日数、90日を上回る日数、105日を上回る日数、120日を上回る日数、135日を上回る日数、150日を上回る日数、165日を上回る日数、または180日を上回る日数の半減期を有する。
【0207】
いくつかの実施形態において、in vivoでの増加された半減期を有する、修飾された抗体は、1つ以上のアミノ酸の修飾(すなわち、置換、挿入、または欠失)をIgG定常ドメイン、または当該定常ドメインのFcRn−結合フラグメント(好ましくは、Fc、またはヒンジ−Fcドメインフラグメント)に導入することによって生成される。例えば、国際公開番号WO 02/060919; WO 98/23289;および WO 97/34631;並びに米国特許番号6,277,375を参照されたい。上記文献はそれぞれ、その全体が本明細書中にて参考として援用される。いくつかの実施形態において、上記抗体は、Kabatナンバリングシステム(例えば、KabatのEU指標)に従って、2番目の定常ドメイン(すなわち、例えばヒトIgG1の残基231〜340におけるCH2ドメイン)、および/または3番目の定常ドメイン(すなわち、例えばヒトIgG1の残基341〜447におけるCH3ドメイン)において、1つ以上のアミノ酸修飾を有し得る。
【0208】
いくつかの実施形態において、in vivoでの抗体の血清循環を延長するために、高分子量のポリエチレングリコール(PEG)等の不活性高分子を抗体に連結させる。上記連結は、抗体のN末端、もしくはC末端に対するPEGの部位特異的結合、またはリジン残基上に存在するイプシロン−アミノ基のいずれかを介して、多機能リンカーを用いて、または、用いずに行われる。生物活性の損失を最小限に抑えることができる、線状重合体または分岐重合体の誘導体化が使用され得る。結合の程度は、抗体に対するPEG分子の適切な結合を保証するために、SDS−PAGEおよび質量分析によって綿密にモニタリングされ得る。反応しなかったPEGは、サイズ排除、またはイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体−PEG複合体から分離され得る。PEGによって誘導体化された抗体は、当業者によく知られている方法(例えば、本明細書中に記載される免疫アッセイ)を用いて、in vivoでの有効性と同様に結合活性について試験され得る。
【0209】
別の実施形態において、抗体をin vivoでより安定させるため、またはin vivoでの半減期をより長くするために、抗体はアルブミンに結合される。上記技術は、当該分野にてよく知られており、例えば、国際公開番号WO 93/15199, WO 93/15200,および WO 01/77137;並びに、欧州特許番号EP 413,622を参照されたい。上記文献は全て、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0210】
〔5.1.2 抗体複合体〕
いくつかの実施形態において、抗体は、診断剤、検出剤、もしくは治療剤、または任意の他の分子に対して結合されるか、または組み換えによって融合される。in vivoでの半減期が増加されることが望ましい場合、上記抗体は、修飾され得る。結合、または組み換えによって融合された抗体は、例えば、B7−H7ポリペプチドまたはB7−H7CRポリペプチドを発現する組織、または細胞の検出に役立ち得る。特定の実施形態において、B7−H7を発現する細胞または組織を検出する方法は、B7−H7に対して特異的に結合する抗体を被験体の細胞または組織と接触させる工程、および、上記抗体が結合する細胞または組織を検出する工程を含む。特定の実施形態において、B7−H7CRを発現する細胞または組織を検出する方法は、B7−H7CRに対して特異的に結合する抗体を被験体の細胞または組織と接触させる工程、および、上記抗体が結合する細胞または組織を検出する工程を含む。上記実施形態に従えば、抗体は検出可能な部分に結合され、当該検出可能な部分を検出することによって、細胞または組織に対する抗体の結合を検出することができる。また、細胞または組織に対する抗体の結合は、当該抗体に結合する、標識された二次抗体を使用し、当該標識された二次抗体の存在を検出することによって、検出され得る。特定の実施形態において、細胞または組織を適切な抗体と共に培養した後、抗体が結合した細胞または組織を検出する前に、1回以上の洗浄によって、結合していない抗体が取り除かれる。いくつかの実施形態において、B7−H7またはB7−H7CRを発現する細胞または組織を検出する方法は、ポジティブコントロールおよび/またはネガティブコントロールの使用を含む。例えば、B7−H7またはB7−H7CRを発現することで知られている細胞または組織は、上記方法中でポジティブコントロールとして使用され、B7−H7またはB7−H7CRを発現しないことで知られている細胞または組織は、上記方法中でネガティブコントロールとして使用され得る。検出可能な部分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々の酵素(例えば、以下に限定されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ)、補欠分子団(例えば、以下に限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチン)、蛍光物質(例えば、以下に限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリン)、発光物質(例えば、以下に限定されないが、ルミノール)、生物発光物質(例えば、以下に限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン)、放射活性物質(例えば、以下に限定されないが、ヨウ素(131I, 125I, 123I, および 121I,), 炭素( 14C), 硫黄(35S), トリチウム(3H), インジウム(115In, 113In, 112In, および111In,), テクネチウム(99Tc), タリウム(201Ti), ガリウム(68Ga, 67Ga), パラジウム(103Pd), モリブデン(99Mo), キセノン(133Xe), フッ素(18F), 153Sm, 177Lu, 159Gd, 149Pm, 140La, 175Yb, 166Ho, 90Y, 47Sc, 186Re, 188Re,142Pr, 105Rh, 97Ru, 68Ge, 57Co, 65Zn, 85Sr, 32P, 153Gd, 169Yb, 51Cr, 54Mn, 75Se, 113Sn, および 117Sn)、および種々の陽電子放出トモグラフィーを用いた陽電子放出金属、および非放射性の常磁性金属イオン。
【0211】
本発明は、融合タンパク質を生成するために、異種のタンパク質またはポリペプチド(または当該タンパク質またはポリペプチドのフラグメント、好ましくは、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、または約100アミノ酸)に対して、組み換えによって融合、または化学的に結合(共有結合および非共有結合の両方を包含する)された抗体を包含する。特に、本発明は、モノクローナル抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VH CDR、VLドメイン、またはVL CDR)、並びに、異種のタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドを含んでいる融合タンパク質を提供する。特定の実施形態において、抗体が融合する異種のタンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドは、特定の細胞型に対する抗体を標的とするために有用である。
【0212】
本発明は、所定の生物学的反応を修正する、治療部分(therapeutic moiety)または薬物部分に対して結合または組み換えによって融合された抗体の使用を包含する。治療部分または薬物部分は、古典的な化学的治療剤に限定されるものではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するペプチドまたはポリペプチドであり得る。上記タンパク質は、例えばインターフェロン−γ、インターフェロン−β、インターフェロン−α、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−7(「IL−7」)、インターロイキン−9(「IL−9」)、インターロイキン−10(「IL−10」)、インターロイキン−12(「IL−12」)、インターロイキン−15(「IL−15」)、インターロイキン−23(「IL−23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または増殖因子を含み得る。抗体に対して、結合または組み換えによって融合した治療部分または薬物は、所望の予防効果または治療効果を達成するために選択されるべきである。臨床医学者または他の医療関係者は、抗体に対して、結合または組み換えによって融合する治療部分または薬物を決定する場合、以下の点を考慮すべきである:疾患の性質、疾患の重症度、および被験体の状態。
【0213】
さらに、抗体は、精製を容易にするためにマーカー配列(例えば、ペプチド)と融合され得る。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、ヘキサヒスチジンペプチド(当該ペプチドの多くが商業的に利用可能であるが、その中でも、例えば、pQEベクター中で提供されるタグ)である。Gentz et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の便利な精製を提供する。精製のために役立つ他のペプチドタグには、血球凝集素(「HA」)タグ(当該タグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質(Wilson et al., 1984, Cell 37:767)に由来するエピトープと対応する)、および「flag」タグが挙げられるが、上記に限定されない。
【0214】
治療部分(ポリペプチドを含む)を抗体に融合または結合させるための方法は、よく知られており、例えば、下記を参照されたい:Arnon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, in Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985), Thorpe et al., 1982, Immunol. Rev. 62:119-58; 米国特許番号5,336,603, 5,622,929, 5,359,046, 5,349,053, 5,447,851, 5,723,125, 5,783,181, 5,908,626, 5,844,095, および 5,112,946; EP 307,434; EP 367,166; EP 394,827;国際公開番号WO 91/06570, WO 96/04388, WO 96/22024, WO 97/34631, およびWO 99/04813; Ashkenazi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 10535-10539, 1991; Traunecker et al., Nature, 331:84-86, 1988; Zheng et al., J. Immunol., 154:5590-5600, 1995; Vil et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:11337-11341, 1992; 上記文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0215】
特に、融合タンパク質は、例えば、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(「DNAシャッフリング」と総称される)の技術を介して生成され得る。DNAシャッフリングは、本明細書中に記載されるモノクローナル抗体であって、本発明によって提供される方法に従って生成されるモノクローナル抗体(例えば、高い親和性、および低い解離速度を有する抗体)の活性を変化するために行われ得る。一般的には、米国特許番号5,605,793, 5,811,238, 5,830,721, 5,834,252, および 5,837,458; Patten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33; Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82; Hansson, et al., 1999, J. Mol. Biol. 287:265-76; 並びに Lorenzo and Blasco, 1998, Biotechniques 24(2):308- 313を参照されたい(上記特許および特許出願はそれぞれ、その全体が本明細書中にて参考として援用される。)。抗体、またはコードされた抗体は、組み換えの前に、変異性PCR、ランダムヌクレオチド挿入、または他の方法によってランダムな突然変異誘発を受けることで、変化され得る。本明細書中に記載されるモノクローナル抗体であって、本発明によって提供される方法に従って生成されるモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、1つ以上の異種の分子の、1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメント等と組み換えられ得る。
【0216】
抗体はまた、米国特許番号4,676,980においてSegalによって記載されているように、抗体異種複合体を形成するために二次抗体に結合され得る。上記文献は、その全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0217】
抗体はまた、二重特異性抗体または多重特異性抗体を形成するために2つ、3つ、またはそれを上回る数の抗体に連結され得る。
【0218】
抗体はまた、固相の支持体に付着されてもよく、上記固相の支持体は免疫アッセイまたは抗原の精製のために特に役立つ。上記固相の支持体は、以下を含むが、これらに限定されない:ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、塩化ポリビニル、またはポリプロピレン。
【0219】
特定の実施形態において、本セクションで説明される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; およびPresta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0220】
〔5.2 B7−H7およびB7−H7CRの相互作用を調節する治療剤〕
1つの局面において、本発明は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドが当該ポリペプチドのリガンド(例えば、B7−H7CR)の1つ以上に結合することによって媒介される、シグナル伝達経路の1つ以上を調節する治療剤を提供する。別の局面において、本発明は、ネイティブなB7−H7CRが当該B7−H7CRのリガンド(例えば、B7−H7)の1つ以上に結合することによって媒介される、シグナル伝達経路の1つ以上を調節する治療剤を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドがネイティブなB7−H7CRポリペプチドに結合する場合に誘導される、シグナル伝達経路の1つ以上を調節する治療剤を提供する。別の特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドとネイティブなB7−H7ポリペプチドとの間の相互作用を調節する。別の局面において、本発明は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド、またはネイティブなB7−H7ポリペプチドの発現を調節する治療剤を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド、またはネイティブなB7−H7ポリペプチドの発現を選択的に調節する。治療剤の特定の実施例としては、以下のセクション5.2.1から5.2.6を参照されたい。
【0221】
特定の実施形態において、1つ以上のシグナル伝達経路は、治療剤と免疫細胞または免疫細胞集団とを接触させることによって調節され得る。別の実施形態において、B7−H7とB7−H7のレセプター(例えば、B7−H7CR)の1つ以上との間の相互作用は、治療剤と免疫細胞または免疫細胞集団とを接触させることによって調節され得る。別の実施形態において、B7−H7CRとB7−H7CRのリガンド(例えば、B7−H7)との間の相互作用は、治療剤と免疫細胞または免疫細胞集団とを接触させることによって調節され得る。別の実施形態において、B7−H7またはB7−H7CRの発現は、治療剤と、B7−H7またはB7−H7CRを発現する免疫細胞または免疫細胞集団とをそれぞれ接触させることによって調節され得る。
【0222】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0223】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0224】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0225】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0226】
いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0227】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0228】
別の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、治療剤はB7−H7およびB7−H7CRの相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H7の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0229】
別の実施形態において、治療剤は:(i)B7−H7CRに対するB7−H7の結合を、治療剤の非存在下でのB7−H7CRに対するB7−H7の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するB7−H7CRの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0230】
特定の実施形態において、治療剤は、1つ以上の免疫機能または反応を誘導、活性化または促進する(すなわち、上記因子は免疫賦活治療剤である)。他の実施形態において、治療剤は、1つ以上の免疫機能または反応を抑制または低減する(すなわち、上記因子は抑制性の治療剤である)。1つ以上の免疫機能または反応の調節は、例えば、抗体反応(液性反応)または細胞免疫反応(例えば、サイトカインの分泌(例えば、インターフェロン−ガンマ)、ヘルパー活性、または細胞毒性)の形であり得る。1つの実施形態において、サイトカインの分泌、抗体の産生、エフェクター機能、T細胞の増殖、および/またはNK細胞の増殖は、治療剤との接触後に調節される。特定の実施形態において、1つ以上の免疫機能または反応は、免疫細胞または免疫細胞集団と治療剤との接触によって調節される。
【0231】
〔5.2.1 B7−H7またはB7−H7CRに対して特異的な抗体〕
1つの局面において、治療剤は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H7ポリペプチドが当該ポリペプチドのリガンド(例えば、B7−H7CR)の1つ以上に結合することによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。別の局面において、治療剤は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドが当該ポリペプチドのリガンド(例えば、B7−H7)の1つ以上に結合することによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。いくつかの実施形態において、治療剤は、シグナル伝達経路の1つ以上を活性化、促進または誘導する。他の実施形態において、治療剤は、シグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。別の局面において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRとB7−H7との間の相互作用を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体である。別の特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体であって、B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体である。B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する抗体、並びに抗体の複合体または融合については、上記のセクション5.1以下を参照されたい。いくつかの実施形態において、上記抗体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記抗体は抑制性の治療剤である。
【0232】
いくつかの実施形態において、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する抗体は、ネイティブな哺乳動物のB7−H7ポリペプチドがB7−H7ポリペプチドのネイティブなレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野でよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。いくつかの実施形態において、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する抗体は、ネイティブな哺乳動物のB7−H7ポリペプチドがB7−H7ポリペプチドのネイティブなレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野でよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。他の実施形態において、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する抗体は、ネイティブな哺乳動物のB7−H7ポリペプチドがB7−H7ポリペプチドのレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導しないか、または当該分野でよく知られたアッセイによって測定して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で誘導する。B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CRポリペプチド)がB7−H7ポリペプチドに結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えば、シグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ(electromobility shift assay)、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。
【0233】
特定の実施形態において、治療剤は、2D3と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、またはヒトの2D3と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、またはヒト化された2D3と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、である。いくつかの実施形態において、治療剤は、4−5と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、またはヒトの4−5と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、またはヒト化された4−5と呼ばれる抗体、もしくは当該抗体の抗原結合フラグメント、である。
【0234】
特定の実施形態において、本セクションで説明される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0235】
〔5.2.2 ポリペプチドおよび誘導体〕
〔5.2.2.1 ポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤はB7−H7ポリペプチドである。1つの実施形態において、上記治療剤は、B7−H7CRによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。1つの実施形態において、B7−H7タンパク質はB7−H7CRに結合し、かつB7−H7CRを介してシグナル伝達を刺激する(agonize)。別の実施形態において、B7−H7タンパク質はB7−H7CRに結合し、かつネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)の結合をブロックすることによってシグナル伝達と拮抗する(antagonize)。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する。
【0236】
別の局面において、治療剤はB7−H7誘導体である。1つの実施形態において、治療剤は、B7−H7CRによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路を調節するB7−H7誘導体である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節するB7−H7誘導体である。別の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節するB7−H7誘導体である。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、B7−H7誘導体は抑制性の治療剤である。
【0237】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体は以下の(a)〜(f)である:(a)ネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b)ネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d)ネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;あるいは(f)ネイティブな哺乳動物B7−H7ポリペプチドのフラグメント。B7−H7誘導体としてはまた、哺乳動物B7−H7ポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
【0238】
1つの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなヒトB7−H7ポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、天然に存在するヒトB7−H7ポリペプチドの未熟な形態または前駆体の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、天然に存在するヒトB7−H7ポリペプチドの成熟した形態の誘導体である。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は単離または精製される。
【0239】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、挿入および/または欠失)を有するネイティブなB7−H7のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7のレセプター(例えば、B7−H7CR(特に、ネイティブなB7−H7CR))の1つ以上に対するB7−H7の親和性を増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。他の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7のレセプター(例えば、B7−H7CR(特に、ネイティブなB7−H7CR))の1つ以上に対するB7−H7の親和性を減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様V型ドメインおよび/またはIg様C−1型ドメインのうちの1つ以上に1つ以上の突然変異を含んでおり、かつ上記突然変異はB7−H7CRに対するB7−H7の親和性を変化させる(例えば、増加させる)。いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の以下のアミノ酸残基の1つ以上に1つ以上の突然変異を含んでいる:141-144, 156, 158, 160, 162, 193-196, 198, 200, 201, 224および/または225。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、N結合型グリコシル化部位であると予測される以下のアミノ酸残基の1つ以上に1つ以上の突然変異を含んでいる:90, 103,および/または127。突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCRを介した突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなB7−H7の特定の位置に導入され得る。突然変異はまた、例えば飽和突然変異誘発技術を用いて、コード配列の全て、または一部に沿ってランダムに導入され得る。特定の実施形態において、突然変異は保存的なアミノ酸置換である。
【0240】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなB7−H7のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。上記アミノ酸の置換は、保存的、非保存的のいずれか、または上記の両方の組み合わせであり得る。特定の実施形態において、アミノ酸の置換は保存的なアミノ酸置換であり、特定の実施形態において、アミノ酸の置換は1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において導入される。保存的なアミノ酸の置換は、アミノ酸残基が同一の電荷を有する側鎖を備えたアミノ酸残基と置き換えられるものである。同一の電荷を有する側鎖を備えたアミノ酸残基のファミリーは、当該分野において定義されている。上記ファミリーは、以下のアミノ酸を包含する:塩基性側鎖を備えたアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を備えたアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖を備えたアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖を備えたアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。
【0241】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は、Ig様V型2ドメイン中に1つ以上の突然変異を含んでいる(または当該突然変異からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、Ig様V型2ドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなB7−H7のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、Ig様C型1ドメイン中に1つ以上の突然変異を含んでいる(または当該突然変異からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、Ig様C型1ドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなB7−H7のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。
【0242】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列であるネイティブなB7−H7のアミノ酸残基23〜280、23〜275、23〜250、23〜225,23〜200、23〜175、23〜150、23〜125、23〜100、23〜95、23〜75、23〜70、23〜65、23〜60、23〜50、15〜30、または5〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0243】
1つの実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7の可溶性形態である。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるネイティブなB7−H7の細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基23〜344を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのフラグメント、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのフラグメントを含んでいる(または当該フラグメントからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインの少なくとも25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、または325のアミノ酸を含んでいる(または当該アミノ酸からなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のアミノ酸残基23〜340、23〜325、23〜300、23〜275、23〜250、23〜225、23〜200、23〜175、23〜150、23〜125、23〜100、23〜75、または23〜50を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基23〜375、23〜350、23〜23〜340、23〜325、23〜300、23〜275、23〜250、23〜225、23〜200、23〜175、23〜150、23〜125、23〜100、23〜75、23〜50、15〜30、または5〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0244】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様V型1ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基61〜131、または61〜122を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様C−1型ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基138〜222、または140〜225を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様V型2ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基235〜328、または239〜317を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のアミノ酸残基140〜222を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0245】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様V型1ドメインおよびIg様C−1型ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基61〜222または61〜225を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのIg様C−1型およびIg様V型1ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基138〜328または140〜317を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのIg様V型1およびIg様V型2を含んでいる(または当該ドメインからなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのIg様V型1、Ig様C−1型およびIg様V型2ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、アクセッション番号O9UM44−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基61〜317または61〜328を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0246】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、以下の位置の1つ、2つ、またはそれを上回る数の位置にアミノ酸の置換を含んでいる:ネイティブなB7−H7(例えば、ネイティブなヒトB7−H7)の159、210、243、または317。
【0247】
別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞内ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外および細胞内ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または5〜15、5〜20、2〜10、もしくは2〜5のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含んでいる当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H7の細胞内ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメイン、およびネイティブなB7−H7の細胞内ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の膜貫通ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいない。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の膜貫通ドメインの代わりに異種の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインもしくは当該ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H7の膜貫通ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。
【0248】
B7−H7誘導体の生物活性は、当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術を用いて評価され得る。例えば、B7−H7誘導体が1つ以上のレセプターに結合する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H7誘導体がB7−H7CRに結合する能力が評価され得る。さらに、B7−H7誘導体が1つ以上のレセプターに結合し、かつネイティブなB7−H7が1つ以上のレセプターに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H7誘導体がB7−H7CRに結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力が評価され得る。
【0249】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7CRに結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0250】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、Biacore(登録商標)アッセイ)または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5log、1log、1.5log、2log、2.5log、または3log高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0251】
いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5log、1log、1.5log、2log、2.5log、または3log低い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0252】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、Biacore(登録商標)アッセイ)または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7CRに結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0253】
いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドがB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。B7−H7ポリペプチドに対するB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7CRに対するネイティブなB7−H7ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0254】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体はB7−H7のレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CR)に結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなレセプターに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7CRに結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7CRに結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合するのに比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、もしくは75%〜100%の間の範囲で高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0255】
いくつかの実施形態において、B7−H7誘導体は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドがB7−H7のレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、B7−H7CRに対するネイティブなB7−H7ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0256】
〔5.2.2.2 B7−H7CRポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤はB7−H7CRポリペプチドである。1つの実施形態において、治療剤は、B7−H7によって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節するB7−H7CRポリペプチドである。1つの実施形態において、B7−H7CRタンパク質はB7−H7に結合し、かつB7−H7を介してシグナル伝達を刺激する。別の実施形態において、B7−H7CRタンパク質はB7−H7に結合し、かつB7−H7CRとの結合をブロックする。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節するB7−H7CRポリペプチドである。別の特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節するB7−H7CRポリペプチドである。
【0257】
別の局面において、治療剤はB7−H7CR誘導体である。1つの実施形態において、治療剤は、B7−H7によって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節するB7−H7CR誘導体である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7がB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節するB7−H7CR誘導体である。別の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、B7−H7誘導体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、B7−H7誘導体は抑制性の治療剤である。
【0258】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は以下の(a)〜(f)である:(a)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブなB7−H7CRポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;あるいは(f)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドのフラグメント。B7−H7CR誘導体としてはまた、哺乳動物B7−H7CRポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体はネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、天然に存在するヒトB7−H7CRポリペプチドの未熟な形態、または前駆体の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、天然に存在するヒトB7−H7CRポリペプチドの成熟形態の誘導体である。1つの実施形態において、B7−H7CR誘導体は単離または精製される。
【0259】
別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、挿入および/または欠失)を有するネイティブなB7−H7CRのアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのリガンド(例えば、B7−H7(特に、ネイティブなB7−H7))の1つ以上に対するB7−H7CRの親和性を増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。他の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのリガンド(例えば、B7−H7(特に、ネイティブなB7−H7))の1つ以上に対するB7−H7CRの親和性を減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRのIg様V型ドメインに1つ以上の突然変異を含んでおり、かつ上記突然変異はB7−H7に対するB7−H7CRの親和性を増加させる。突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCRを介した突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなB7−H7CRの特定の位置に導入され得る。突然変異はまた、例えば飽和突然変異誘発技術を用いて、コード配列の全て、または一部に沿ってランダムに導入され得る。
【0260】
別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなB7−H7CRのアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。上記アミノ酸の置換は、保存的、非保存的のいずれか、または上記の両方の組み合わせであり得る。特定の実施形態において、アミノ酸の置換は保存的なアミノ酸置換であり、特定の実施形態において、アミノ酸の置換は1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において導入される。
【0261】
別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRのフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、アクセッション番号Q96BF3−1 (UniParc)で示される配列であるネイティブなB7−H7CRのアミノ酸残基23〜280、23〜275、23〜250、23〜225,23〜200、23〜175、23〜150、23〜125、23〜100、23〜95、23〜75、23〜70、23〜65、23〜60、23〜50、15〜30、または5〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、アミノ酸残基227〜277に1つ以上の突然変異を有している。いくつかの実施形態において、B7−H7CR誘導体は、N結合型グリコシル化部位(アミノ酸残基73、105、および127)に1つ以上の突然変異を有している。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、セリン残基220に突然変異(例えば、置換)を有している。
【0262】
1つの実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRの可溶性形態である。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、5〜10、5〜15、もしくは10〜20のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、アクセッション番号Q9BF3−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基23〜150を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインのフラグメント、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインのフラグメントを含んでいる(または当該フラグメントからなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインの少なくとも25、50、75、100、または125のアミノ酸を含んでいる(または当該アミノ酸からなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRのアミノ酸残基23〜145、23〜140、23〜130、23〜125、23〜100、23〜95、23〜75、23〜70、23〜65、23〜60、または23〜50を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、アクセッション番号Q96BF3−1 (UniParc)で示される配列の23〜145、23〜140、23〜130、23〜125、23〜100、23〜95、23〜75、23〜70、23〜65、23〜60、または23〜50のアミノ酸残基を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRのIg様ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、アクセッション番号Q96BF3−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基23〜129を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、配列Q96BF3−1のアミノ酸残基23〜129、23〜150、または129〜150を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0263】
特定の実施形態において、B7−H7誘導体は、以下の位置の1つ、2つ、またはそれを上回る数の位置にアミノ酸の置換を含んでいる:ネイティブなB7−H7CR(例えば、ネイティブなヒトB7−H7CR)の44、67、81、112、192、197、222。
【0264】
別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外および細胞内ドメイン、または当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外および細胞内ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、5〜10、5〜15、5〜20、もしくは10〜20のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含んでいる当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H7CRの細胞内ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメイン、およびネイティブなB7−H7CRの細胞内ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの膜貫通ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいない。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの膜貫通ドメインの代わりに異種の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRの細胞外ドメインもしくは当該ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H7CRの膜貫通ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。
【0265】
B7−H7CR誘導体の生物活性は、当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術を用いて評価され得る。例えば、B7−H7CR誘導体が1つ以上のリガンドに結合する能力は、本発明によって説明される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H7CR誘導体がB7−H7に結合する能力が評価され得る。さらに、B7−H7CR誘導体が1つ以上のリガンドに結合し、かつネイティブなB7−H7CRが1つ以上のリガンドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H7CR誘導体がB7−H7に結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力が評価され得る。
【0266】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0267】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、公知のアッセイ/技術によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0268】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体はB7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0269】
特定の他の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0270】
いくつかの実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)がネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブな哺乳動物B7−H7CRポリペプチド)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7CRのネイティブなリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0271】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7CRのリガンド(例えば、ネイティブなB7−H7)に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなリガンドに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなB7−H7に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、B7−H7CR誘導体は、B7−H7に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなB7−H7に結合するのに比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、もしくは75%〜90%の間の範囲で高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。
【0272】
いくつかの他の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)がネイティブなB7−H7CRポリペプチド(例えば、ネイティブな哺乳動物B7−H7CRポリペプチド)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0273】
〔5.2.3 融合タンパク質〕
1つの局面において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよび異種の分子(例えば、異種のアミノ酸配列)を含んでいるタンパク質である。1つの実施形態において、上記治療剤は、B7−H7CRによって媒介されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。1つの実施形態において、治療剤はB7−H7CRレセプターに結合し、かつB7−H7CRレセプターを介してシグナル伝達を刺激する。別の実施形態において、治療剤はB7−H7CRに結合し、かつネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)の結合をブロックすることによってシグナル伝達と拮抗する。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7CRに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する。1つの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H7および異種の分子を含んでいる。別の実施形態において、治療剤はB7−H7誘導体および異種のアミノ酸配列を含んでいる。B7−H7誘導体については、上述のセクション5.2.2.1を参照されたい。いくつかの実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0274】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H7ポリペプチドおよび異種のアミノ酸配列を含んでいる融合タンパク質である。1つの実施形態において、治療剤はB7−H7ポリペプチド、および免疫グロブリンの定常領域もしくは当該定常領域のフラグメント(例えば、CH1、CH2、および/またはCH3)を含んでいる融合タンパク質である。例えば、ネイティブなIgG1、IgG2、またはIgG4に由来するFc領域は、上記融合タンパク質を産生するために使用され得る。さらに、修飾されたIgG1Fcドメイン(例えば、特定のFcガンマレセプターへの結合を改善するために修飾されたIgG1;エフェクター機能を最小化するために修飾されたIgG1;変化したグリカンを含んだIgG1/グリカンを含まないIgG1;およびFcRnに対するpHに依存した結合を変化させたIgG1)および修飾されたIgG4Fcドメイン(例えば、Fcガンマレセプターおよび/または相補体に対する結合を防ぐために修飾されたIgG4)と同様に、ハイブリッドなIgG1/IgG4Fcドメインは上記融合タンパク質を産生するために使用され得る。Fcドメインの修飾の例はMueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。特定の実施形態において、治療剤は後出する実施例6に記載されているB7−H7−Ig融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0275】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H7ポリペプチドおよび興味のある有機分子を含んでいる融合タンパク質または複合体である。上記の実施形態に従えば、B7−H7ポリペプチドは、特定の器官または組織(例えば、リンパ器官または組織)に融合または結合させた有機分子を標的とするためのターゲッティング部分(targeting moiety)として使用され得る。後述の実施例は、B7−H7を発現する器官および組織に関する情報を提供する。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドは、B7−H7の1つ以上のレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合する能力を保持している、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドはネイティブなB7−H7の誘導体である。B7−H7ポリペプチドに融合または結合させた有機分子は、特定の器官または組織(例えば、リンパ器官または組織)を標的にする点において当業者が興味を持っている分子であり得る(例えば、サイトカイン、薬物、マーカー等)。
【0276】
別の局面において、治療剤はB7−H7CRポリペプチドおよび異種の分子を含んでいる融合タンパク質である。1つの実施形態において、上記治療剤は、B7−H7によって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路を調節する。1つの実施形態において、治療剤はB7−H7に結合し、かつB7−H7を介してシグナル伝達を刺激する。別の実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H7に結合し、かつB7−H7CRに対する結合をブロックする。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H7およびB7−H7CRの相互作用を調節する。1つの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H7CRおよび異種の分子を含んでいる。別の実施形態において、治療剤はB7−H7CR誘導体および異種のアミノ酸配列を含んでいる。B7−H7CR誘導体については、上述のセクション5.2.2.2を参照されたい。いくつかの実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0277】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H7CRポリペプチドおよび異種の分子を含んでいる融合タンパク質である。1つの実施形態において、治療剤はB7−H7ポリペプチド、および免疫グロブリンの定常領域もしくは当該定常領域のフラグメント(例えば、CH1、CH2、および/またはCH3)を含んでいる融合タンパク質である。例えば、ネイティブなIgG1、IgG2、またはIgG4に由来するFc領域は、上記融合タンパク質を産生するために使用され得る。さらに、修飾されたIgG1Fcドメイン(例えば、特定のFcガンマレセプターへの結合を改善するために修飾されたIgG1;エフェクター機能を最小化するために修飾されたIgG1;変化したグリカンを含んだIgG1/グリカンを含まないIgG1;およびFcRnに対するpHに依存した結合を変化させたIgG1)および修飾されたIgG4Fcドメイン(例えば、Fcガンマレセプターおよび/または相補体に対する結合を防ぐために修飾されたIgG4)と同様に、ハイブリッドなIgG1/IgG4Fcドメインは上記融合タンパク質を産生するために使用され得る。Fcドメインの修飾の例はMueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。特定の実施形態において、治療剤は後出する実施例6に記載されているB7−H7CR−Ig融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0278】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H7CRポリペプチドおよび有機分子を含んでいる融合タンパク質または複合体である。上記の実施形態に従えば、B7−H7CRポリペプチドは、特定の器官または組織(例えば、リンパ器官または組織)に融合または結合させた有機分子を標的とするためのターゲッティング部分として使用され得る。後述の実施例は、B7−H7CRを発現する器官および組織に関する情報を提供する。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドは、B7−H7CRの1つ以上のリガンド(例えば、B7−H7)に結合する能力を保持している、ネイティブなB7−HCRの細胞外ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドはネイティブなB7−H7CRの誘導体である。B7−H7CRポリペプチドに融合または結合させた有機分子は、特定の器官または組織(例えば、精巣、結腸、肺、腎臓、膵臓、小腸、肝臓、または骨格筋)を標的にする点において当業者が興味を持っている任意の分子であり得る(例えば、サイトカイン、薬物、マーカー等)。
【0279】
B7−H7ポリペプチドまたはB7−H7CRポリペプチドは、異種の分子に対して、共有結合または非共有結合し得る。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドまたはB7−H7CRポリペプチドは、異種の分子に対して、直接的に共有結合または非共有結合し得る(例えば、ペプチド結合を介してアミノ酸配列と結合することによって)。他の実施形態において、B7−H7ポリペプチドまたはB7−H7CRポリペプチドは、1つ以上のリンカーを用いて異種の分子に結合される。B7−H7ポリペプチドまたはB7−H7CRポリペプチドを異種の分子に結合するために好適なリンカーとしては、ペプチド、アルキル基、化学的に置換されたアルキル基、ポリマー、または任意の他の化学物質であって2つ以上の成分を結合することができる共有結合または非共有結合された化学物質が包含される。ポリマーリンカーには当該分野にて公知のあらゆるポリマーが包含され、ポリエチレングリコール(「PEG」)が包含される。いくつかの実施形態において、リンカーは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれを上回るアミノ酸の長さであるペプチドである。特定の実施形態において、リンカーは、B7−H7ポリペプチドがB7−H7CRポリペプチドに結合する能力を保存するために十分な長さである。他の実施形態において、リンカーは、B7−H7ポリペプチドがB7−H7CRポリペプチドに結合する能力を保存し、かつネイティブなB7−H7ポリペプチドとネイティブなB7−H7CRポリペプチドとの間の相互作用によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を誘導するために十分な長さである。特定の実施形態において、リンカーはジスルフィド結合の形成を保存する。
【0280】
いくつかの実施形態において、異種の分子は、IgG免疫グロブリンのFcドメインまたは当該ドメインのフラグメントである。特定の実施形態において、異種の分子はポリエチレングリコール(PEG)である。いくつかの実施形態において、異種の分子は、所望の生物活性を有する治療部分である。特定の実施形態において、異種の分子は、インターフェロン−γ、インターフェロン−β、インターフェロン−α、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−7(「IL−7」)、インターロイキン−9(「IL−9」)、インターロイキン−10(「IL−10」)、インターロイキン−12(「IL−12」)、インターロイキン−15(「IL−15」)、インターロイキン−23(「IL−23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または増殖因子である。
【0281】
いくつかの実施形態において、異種の分子はタンパク質の安定性を増加させる。上記分子の例としては、以下に限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、IgG免疫グロブリンのFcドメイン、当該ドメインのフラグメント、もしくは上記の修飾された形態、またはin vivoでのB7−H7またはB7−H7CRの半減期を増加させるアルブミンが挙げられる。修飾されたFcドメインに関する議論については、例えばセクション5.1.1を参照されたい。特定の実施形態において、異種の分子は免疫グロブリン分子のFcドメインまたは当該ドメインのフラグメントではない。他の実施形態において、異種の分子はFcレセプターに対する結合を減少させる(例えば、異種の分子は、Fcレセプターに対する親和性が減少した免疫グロブリンのFcドメインまたは当該ドメインのフラグメントである(例えばFcRn))。
【0282】
いくつかの実施形態において、異種の分子は検出可能な部分である。検出可能な部分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々の酵素(例えば、以下に限定されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ)、補欠分子団(例えば、以下に限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチン)、蛍光物質(例えば、以下に限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリン)、発光物質(例えば、以下に限定されないが、ルミノール)、生物発光物質(例えば、以下に限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン)、放射活性物質(例えば、以下に限定されないが、ヨウ素(131I, 125I, 123I, および 121I,), 炭素( 14C), 硫黄(35S), トリチウム(3H), インジウム(115In, 113In, 112In, および111In,), テクネチウム(99Tc), タリウム(201Ti), ガリウム(68Ga, 67Ga), パラジウム(103Pd), モリブデン(99Mo), キセノン(133Xe), フッ素(18F), 153Sm, 177Lu, 159Gd, 149Pm, 140La, 175Yb, 166Ho, 90Y, 47Sc, 186Re, 188Re,142Pr, 105Rh, 97Ru, 68Ge, 57Co, 65Zn, 85Sr, 32P, 153Gd, 169Yb, 51Cr, 54Mn, 75Se, 113Sn, および 117Sn)、および種々の陽電子放出トモグラフィーを用いた陽電子放出金属、および非放射性の常磁性金属イオン。
【0283】
いくつかの実施形態において、異種の分子はマーカーアミノ酸配列または貫通ペプチド(penetrating peptide)である。マーカーアミノ酸配列は、タンパク質の精製を容易にし得る。マーカーアミノ酸配列には以下が挙げられるが、これらに限定されない:ヘキサヒスチジンペプチド(例えばpQEベクター(QIAGEN, Inc.)中で提供されるタグ)、血球凝集素(「HA」)タグ(当該タグは、インフルエンザ血球凝集素タンパク質(Wilson et al., 1984, Cell 37:767)に由来するエピトープと対応する)、免疫グロブリンのFcドメイン、および「flag」タグ。
【0284】
〔5.2.4 核酸〕
〔5.2.4.1 B7−H7核酸〕
1つの局面において、本発明はB7−H7をコードする核酸である治療剤を提供する。1つの実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7は、ネイティブなB7−H7の1つ以上のレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して結合することができる。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7は、B7−H7CRに対して結合することができる。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7は免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7は抑制性の治療剤である。
【0285】
ネイティブなB7−H7をコードする核酸配列は当該分野にて公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなB7−H7をコードする核酸配列は、公的に利用可能な刊行物およびデータベース(例えば、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov))にて見ることができる。B7−H7をコードする核酸を生成するために、当該分野にてよく知られたクローニング技術が使用され得る。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照されたい。
【0286】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H7をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述のセクション5.2.3中に記載されている融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤はB7−H7誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードし得るB7−H7誘導体については、上述のセクション5.2.2.1を参照されたい。
【0287】
特定の実施形態において、B7−H7をコードする核酸は以下の(a)〜(f)を包含する:(a)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列;(b)ネイティブなB7−H7ポリペプチドのアミノ酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチドをコードする核酸配列;(c)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数の核酸塩基の変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含む核酸配列;(d)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列;(e)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列のフラグメントに、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列;あるいは(f)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。
【0288】
特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7ポリペプチドの未熟な形態または前駆体をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7ポリペプチドの成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸配列は上述のセクション5.2.2.1に記載されているB7−H7誘導体をコードする。特定の実施形態において、B7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列は天然に存在しない残基を含んでいる。
【0289】
特定の実施形態において、核酸配列は、コドンが最適化された核酸配列であってB7−H7ポリペプチドの成熟形態および未熟な形態を包含するネイティブなB7−H7ポリペプチドをコードする核酸配列を包含する。他の実施形態において、核酸配列は、B7−H7RNAの転写産物の安定性を増加させるために、アミノ酸配列に影響を与えずに潜在的なスプライス部位および不安定化因子(例えばA/TまたはA/Uが豊富な要素)を排除する突然変異を含んだB7−H7RNAの転写産物をコードする核酸を含んでいる。
【0290】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7ポリペプチドのネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。
【0291】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに対して有する親和性に比べて、より高い親和性を有するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、または25%〜50%、50%〜75%、75%〜95%、もしくは50%〜95%高い親和性にて結合するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、公知のアッセイ/技術によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0292】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H7が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合するB7−H7ポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0293】
特定の他の実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに結合するネイティブなB7−H7ポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。
【0294】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)がネイティブなB7−H7ポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。B7−H7のレセプター(例えば、B7−H7CR)に対するB7−H7ポリペプチドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに対するネイティブなB7−H7ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。
【0295】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7ポリペプチドのネイティブなレセプター(例えば、ネイティブなB7−H7CR)に結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなレセプターに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導するB7−H7ポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導するB7−H7ポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに結合し、かつネイティブなB7−H7がネイティブなB7−H7CRに結合するのに比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、もしくは75%〜90%の間の範囲で高いレベルの活性を誘導するB7−H7ポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0296】
いくつかの他の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H7ポリペプチドがB7−H7のネイティブなレセプター(例えば、B7−H7CR)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRに対するネイティブなB7−H7ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7ポリペプチドをコードする。
【0297】
〔5.2.4.2 B7−H7CR核酸〕
1つの局面において、本発明はB7−H7CRをコードする核酸である治療剤を提供する。1つの実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7CRは、ネイティブなB7−H7CRの1つ以上のリガンド(例えば、B7−H7)に対して結合することができる。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7CRは、B7−H7に対して結合することができる。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7CRは免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H7CRは抑制性の治療剤である。
【0298】
ネイティブなB7−H7CRをコードする核酸配列は当該分野にて公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなB7−H7CRをコードする核酸配列は、公的に利用可能な刊行物およびデータベース(例えば、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov))にて見ることができる。B7−H7CRをコードする核酸を生成するために、当該分野にてよく知られたクローニング技術が使用され得る。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照されたい。
【0299】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H7CRをコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述のセクション5.2.3中に記載されている融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤はB7−H7CR誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードし得るB7−H7CR誘導体については、上述のセクション5.2.2.2を参照されたい。
【0300】
特定の実施形態において、B7−H7CRをコードする核酸は以下の(a)〜(f)を包含する:(a)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列;(b)ネイティブなB7−H7CRポリペプチドのアミノ酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチドをコードする核酸配列;(c)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数の核酸塩基の変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含む核酸配列;(d)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列;(e)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列のフラグメントに、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列;あるいは(f)天然に存在する核酸配列であってネイティブなB7−H7CRをコードする核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。
【0301】
特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体は核酸と関連して、天然に存在する核酸配列であってヒトB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は核酸と関連して、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチドの未熟な形態または前駆体をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CR誘導体は核酸と関連して、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチドの成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。
【0302】
特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7CRポリペプチドの未熟な形態または前駆体をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列は、天然に存在する核酸配列の誘導体であってネイティブなヒトB7−H7ポリペプチドの成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸配列は上述のセクション5.2.2.2に記載されているB7−H7CR誘導体をコードする。特定の実施形態において、B7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列は天然に存在しない残基を含んでいる。
【0303】
特定の実施形態において、核酸配列は、コドンが最適化された核酸配列であってB7−H7CRポリペプチドの成熟形態および未熟な形態を包含するネイティブなB7−H7CRポリペプチドをコードする核酸配列を包含する。他の実施形態において、核酸配列は、哺乳動物B7−H7CRRNAの転写産物の安定性を増加させるために、アミノ酸配列に影響を与えずに潜在的なスプライス部位および不安定化因子(例えばA/TまたはA/Uが豊富な要素)を排除する突然変異を含んだB7−H7CRRNAの転写産物をコードする核酸を含んでいる。
【0304】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRポリペプチドのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。
【0305】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、ネイティブなB7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに対して有する親和性に比べて、より高い親和性を有するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、85%、90%、95%、または25%〜50%、50%〜75%、75%〜95%、もしくは50%〜95%高い親和性にて結合するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、公知のアッセイ/技術によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0306】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンドに対して、ネイティブなB7−H7CRが同じリガンドに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合するB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0307】
特定の他の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7に結合するネイティブなB7−H7CRポリペプチドの機能を、20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。
【0308】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRのネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)がネイティブなB7−H7CRポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。B7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7CRポリペプチドのリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。特定の実施形態において、B7−H7CR誘導体の核酸配列は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているタンパク質またはポリペプチドをコードする。
【0309】
特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7CRポリペプチドのネイティブなリガンド(例えば、ネイティブなB7−H7)に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなリガンドに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導するB7−H7CRポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。特定の実施形態において、核酸配列は、B7−H7に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなB7−H7に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導するB7−H7CRポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H7に結合し、かつネイティブなB7−H7CRがネイティブなB7−H7に結合するのに比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、もしくは75%〜90%の間の範囲で高いレベルの活性を誘導するB7−H7CRポリペプチドをコードする。当該活性は、例えば、1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。
【0310】
いくつかの他の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなリガンド(例えば、B7−H7)がネイティブなB7−H7CRポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持しているB7−H7CRポリペプチドをコードする。
【0311】
〔5.2.4.3 抗体をコードする核酸〕
1つの局面において、治療剤は、B7−H7とB7−H7のレセプターの1つ以上(例えば、B7−H7CR)との間の相互作用を調節する抗体をコードする核酸配列である。別の局面において、治療剤は、B7−H7CRとB7−H7CRのリガンドの1つ以上(例えば、B7−H7)との間の相互作用を調節する抗体をコードする核酸配列である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドおよびB7−H7CRポリペプチドの相互作用を調節する抗体をコードする核酸配列である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7ポリペプチドに対して特異的に結合し、かつB7−H7CRポリペプチドに対するB7−H7ポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体をコードする核酸配列である。別の特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRポリペプチドに対して特異的に結合し、かつB7−H7ポリペプチドに対するB7−H7CRポリペプチドの結合を阻害または低減する抗体をコードする核酸配列である。特定の実施形態において、治療剤は、上述のセクション5.1または上述のセクション5.2.1に記載されている抗体(抗体複合体または融合タンパク質を包含する)である。いくつかの実施形態において、核酸配列によってコードされる抗体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、核酸配列によってコードされる抗体は抑制性の治療剤である。
【0312】
〔5.2.4.4 コンストラクトおよび組み換え発現〕
哺乳動物細胞、非哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、細菌、菌類、酵母、およびウイルス中での発現のために、タンパク質をコードする核酸配列が核酸コンストラクト中に挿入され得る。
【0313】
核酸コンストラクトは、タンパク質のコード配列に対して実施可能に連結された1つ以上の転写制御因子を含み得る。転写制御因子は典型的にはコード配列に対して5’側であり、かつタンパク質をコードする核酸の転写を管理し得る。ネイティブな遺伝子の転写を制御することが自然界において知られている転写制御因子の1つ以上が、転写を制御するために使用される。他の実施形態において、ネイティブな遺伝子とは異質な1つ以上の転写制御因子が、転写を制御するために使用される。当業者に公知のあらゆる転写制御因子が使用され得る。転写制御因子の種類の例としては、以下に限定されないが、構成的プロモーター(constitutive promoter)、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーターが挙げられる。特定の実施形態において、転写は、哺乳動物(いくつかの実施形態において、ヒト)転写制御因子によって少なくとも一部が制御される。特定の実施形態において、転写は、強力なプロモーター(例えばCMV)によって少なくとも一部が制御される。
【0314】
転写を制御するために使用され得るプロモーターの具体例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:SV40初期プロモーター領域(Bernoist & Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’側の長い末端反復に含まれているプロモーター(Yamamoto et al., 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列(regulatory sequences)(Brinster et al., 1982, Nature 296:39-42);アデノウイルス(ADV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ウシパピローマウイルス(BPV)、パロウイルスB19p6プロモーター、原核生物の発現ベクター(例えばベータ−ラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroff et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731))、またはtacプロモーター(DeBoer et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25);同様にScientific American, 1980, 242:74-94における“Useful proteins from recombinant bacteria”を参照されたい;ノパリンシンセターゼプロモーター領域(Herrera-Estrella et al., Nature 303:209-213)またはカリフラワーモザイクウイルス35SRNAプロモーター(Gardner, et al., 1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)を含んでいる植物の発現ベクター、並びに光合成酵素のリブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., 1984, Nature 310:115-120);酵母または他の菌類に由来するプロモーター因子(例えばGal4プロモーター)、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、および組織特異性を示し、かつトランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞中で活性のあるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., 1984, Cell 38:639-646; Ornitz et al., 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409; MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵臓ベータ細胞中で活性のあるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122)、リンパ細胞中で活性のある免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., 1984, Cell 38:647-658; Adames et al., 1985, Nature 318:533-538; Alexander et al., 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444)、精巣細胞、乳腺細胞、リンパ細胞および肥満細胞中で活性のあるマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder et al., 1986, Cell 45:485-495)、肝臓中で活性のあるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al., 1987, Genes and Devel. 1:268-276)、肝臓中で活性のあるアルファ−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648; Hammer et al., 1987, Science 235:53-58);肝臓中で活性のあるアルファ1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., 1987, Genes and Devel. 1:161-171)、骨髄性細胞中で活性のあるベータ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al., 1985, Nature 315:338-340; Kollias et al., 1986, Cell 46:89-94);脳のオリゴデンドロサイト細胞中で活性のあるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., 1987, Cell 48:703-712);骨格筋中で活性のあるミオシン軽鎖2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286)、視床下部中で活性のあるゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., 1986, Science 234:1372-1378)。他の局面において、誘導性プロモーターが使用され得る。
【0315】
核酸コンストラクトはまた、タンパク質のコード配列に対して作用可能に連結された1つ以上の転写後制御因子を含み得る。転写後制御因子はコード配列に対して5’側および/または3’側であり、かつタンパク質をコードするRNA転写産物の翻訳の転写後制御を管理し得る。
【0316】
別の局面において、核酸コンストラクトは、遺伝子に存在する制御領域を異なる遺伝子から単離された制御配列または新しい制御配列(例えば、国際公開番号WO 94/12650 および WO 01/68882に記載されており、当該文献はその全体が本明細書中にて参考として援用される。)と置き換える遺伝子ターゲティングベクターであり得る。
【0317】
選択された核酸コンストラクトは、種々の要因に依存し得る。当該要因としては、限定されるものではないが、転写制御因子の強度およびタンパク質を発現するために使用される細胞が挙げられる。核酸コンストラクトは、プラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、ファージ、人工染色体等であり得る。1つの局面において、ベクターはエピソーマルベクター、非相同な組み込みベクター、または相同な組み込みベクター(integrating vectors)であり、上記ベクターは適切な細胞を形質転換させるために、あらゆる好適な手段(形質転換、形質移入、結合(conjugation)、原形質融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接的なマイクロインジェクション等)によって適切な細胞中に導入され得る。
【0318】
核酸コンストラクトは、細胞中でのタンパク質の一時的な発現または安定した発現のためのプラスミドまたは安定的な組み込みベクターであり得る。安定した発現のために、ベクターは標的部位またはランダムな染色体部位における染色体組み込み(chromosomal integration)を媒介し得る。タンパク質を発現するために使用され得る細胞−ベクター系の例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:ウイルス(例えばワクシニアウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス等)に感染した哺乳動物細胞系;ウイルス(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;例えば酵母ベクターを含んでいる酵母、またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAによって形質転換された細菌等の微生物;選択可能なマーカーを用いた形質転換によって生成された安定的な細胞株。いくつかの実施形態において、核酸コンストラクトは選択可能なマーカー遺伝子を含んでおり、当該マーカー遺伝子にはneo, gpt, dhfr, ada, pac, hyg, CAD および hisDが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
【0319】
核酸コンストラクトはモノシストロン性またはマルチシストロン性であり得る。マルチシストロン性の核酸コンストラクトは2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれを上回る数、または2〜5、5〜10、もしくは10〜20の範囲である遺伝子/ヌクレオチド配列をコードし得る。例えばバイシストロン性の核酸コンストラクトは、以下の順に、プロモーター、第一の遺伝子および第二の遺伝子を含み得る。上記核酸コンストラクトでは、プロモーターによって両方の遺伝子の転写が進められるが、第一の遺伝子からのmRNAの翻訳はキャップ依存性の走査機構によって、第二の遺伝子からのmRNAの翻訳はキャップ非依存性の機構によって(例えばIRESによって)進められる。
【0320】
本発明の局面を実施する技術としては、他に示されていない限り、当業者によって日常的に実施されている、分子生物学、微生物学、並びに組み換えDNA操作および産生に関する従来技術が使用され得る。例えば以下を参照されたい:Sambrook, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition; DNA Cloning, Volumes I and II (Glover, Ed. 1985); Oligonucleotide Synthesis (Gait, Ed. 1984); Nucleic Acid Hybridization (Hames & Higgins, Eds. 1984); Transcription and Translation (Hames & Higgins, Eds. 1984); Animal Cell Culture (Freshney, Ed. 1986); Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Miller & Calos, Eds. 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Methods in Enzymology, Volumes 154 and 155 (Wu & Grossman, and Wu, Eds., respectively), (Mayer & Walker, Eds., 1987); Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London, Scopes, 1987), Expression of Proteins in Mammalian Cells Using Vaccinia Viral Vectors in Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2 (Ausubel et al., Eds., 1991)。
【0321】
タンパク質をコードする核酸を含んでいる核酸コンストラクトは、哺乳動物にin vivoで投与、または培地中の初代培養細胞もしくは不死化細胞中へ形質移入され得る。特定の局面において、タンパク質をコードする核酸を含んでいる核酸コンストラクトは、in vivoでのタンパク質の組み換え発現のために、哺乳動物に投与される。他の局面において、ex vivoで核酸コンストラクトを用いて形質移入された細胞は、被験体に移植またはインプラントされる。従って、特定の実施形態において、核酸コンストラクトは治療剤である。他の実施形態において、核酸コンストラクトを用いて移植された細胞は治療剤である。
【0322】
別の局面において、タンパク質をコードする核酸は、単離および精製のために組み換え技術によって多量のタンパク質を発現する哺乳動物細胞を生成するために使用され得る。組み換えタンパク質の産生および精製は当該分野にてよく知られており、例えば、国際公開番号WO 07/070488を参照されたい。当該文献はその全体が本明細書中にて参考として援用される。端的に言えば、ポリペプチドは、細胞内で産生、周辺質で産生、または直接的に培地へ分泌され得る。ポリペプチドを含んでいる細胞可溶化物または上清は、例えばヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および親和性クロマトグラフィーを用いて精製され得る。タンパク質を精製するための他の技術としては、例えば、イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSETM(ゲル濾過物質;Pharmacia Inc., Piscataway, New Jersey)上でのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)上でのクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿も同様に利用可能である。
【0323】
〔5.2.5 細胞〕
細胞は、上述のセクション5.2.4(例えば上述のセクション5.2.4.4)に記載されている核酸および核酸コンストラクトによってコードされるタンパク質を発現するために設計され得る。1つの実施形態において、上記細胞は、コントロール細胞(例えば、組み換え技術によってタンパク質を発現するために遺伝的に設計されていない細胞、または空ベクターを含んでいる細胞)によって内生的に発現されるタンパク質の量と比べて少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、または50倍を上回る量のタンパク質を発現する。さらに、細胞は、上述のセクション5.1および5.2.1に記載されている抗体を発現するために設計され得る。上記設計には、当業者によく知られた技術が使用され、例えば以下を参照されたい:米国特許番号5,807,715, 6,331,415, および 6,818,216; 米国特許出願公開番号US 2002/0098189, US 2004/0028685, US 2005/0019330, および US 2007/0086943;国際公開番号WO 02/46237; 並びに Harlow et al., Antibodies. A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)(上記参考文献はその全体が本明細書中にて参考として援用される。)。核酸の発現のために選択された細胞は、細胞の使用目的に依存し得る。例えば細胞がタンパク質を内生的に発現する細胞と同様にグリコシル化するかどうか等の要因が、細胞を選択する場合に考慮され得る。
【0324】
上述のセクション5.2.4.4に記載されている核酸コンストラクトによってコードされるタンパク質、または上述のセクション5.1および5.2.1に記載されている抗体を発現するために使用され得る細胞の例としては、以下に限定されないが、哺乳動物細胞、非哺乳動物細胞、細菌細胞、菌類細胞、酵母細胞、初代細胞、不死化細胞、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。特定の実施形態において、細胞は哺乳動物細胞株である。哺乳動物細胞株の例としては、以下に限定されないが、COS, CHO, HeLa, NIH3T3, HepG2, MCF7, HEK, 293T, RD, PC12, ハイブリドーマ, 前B細胞, 293, 293H, K562, SkBr3, BT474, A204, M07Sb, Raji, Jurkat, MOLT-4, CTLL-2, MC-IXC, SK-N-MC, SK-N-MC, SK-N-DZ, SH-SY5Y, C127, N0, および BE(2)-C細胞が挙げられる。発現のための宿主として利用可能な他の哺乳動物細胞株は、当該分野にて公知であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から利用可能な多数の不死化細胞株を包含する。別の実施形態において、細胞は被験体に由来する不死化細胞株である。別の実施形態において、細胞は被験体に由来する初代細胞または二次細胞(secondary cells)である。特定の実施形態において、細胞は癌細胞である。別の実施形態において、細胞は胎児細胞/胚細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は前駆細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はリンパ球である(例えば、T細胞およびB細胞)。別の実施形態において、細胞は幹細胞である。さらに別の実施形態において、上述のセクション5.2.4.4の核酸コンストラクトを発現するために設計された細胞は成体に由来する。
【0325】
特定の実施形態において、核酸を用いて形質移入された細胞の参照には、核酸を用いて形質移入された特定の被験体細胞、並びに当該細胞の子孫もしくは潜在的な子孫が包含される。後の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響、または細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みのため、上記細胞の子孫は核酸分子を用いて形質移入された親細胞と同一でなくてもよい。
【0326】
いくつかの実施形態において、単離された細胞が本発明で利用される。特定の実施形態において、単離された細胞は当業者に公知の技術(例えばフローサイトメトリー)によって測定して、異なる細胞型から少なくとも80%、90%、95%または98%遊離している。換言すると、単離された細胞の少なくとも80%、90%、95%または98%は同じ細胞型である。
【0327】
核酸を用いて細胞に形質移入または形質導入するために、当業者に公知のあらゆる技術が使用され得る。上記技術には例えば、形質転換、形質移入、結合、原形質融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接的なマイクロインジェクション、およびウイルス(以下に限定されないが、アデノウイルス、レンチウイルスおよびレトロウイルスが挙げられる)の感染が挙げられる。1つの実施形態において、細胞は、核酸を用いて一時的に形質移入される。別の実施形態において、細胞は、核酸を用いて安定的に形質移入される。
【0328】
タンパク質の組み換え体を長期にわたって高収量で産生するために、安定的な細胞株が生成され得る。例えば、細胞株は、同一また別の核酸コンストラクト上に選択可能なマーカー遺伝子を含み得るセクション5.2.4.4の核酸コンストラクトを用いて形質転換され得る。選択可能なマーカー遺伝子は共形質移入(co-transfection)によって同一の細胞に導入され得る。ベクターの導入の後、細胞は濃縮した培地中で1〜2日間増殖される。その後、導入された核酸をうまく発現した細胞の増殖および回収を行うため、細胞は選択培地に移される。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、当該分野にてよく知られており、細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖され得る。特定の実施形態において、細胞株は無血清培地中で増殖するために適応させられている。1つの実施形態において、細胞株は振とうフラスコ内の無血清培地中で増殖するために適応させられている。1つの実施形態において、細胞株は攪拌フラスコまたは回転フラスコ内で増殖するために適応させられている。特定の実施形態において、細胞株は懸濁液中で培養される。
【0329】
特定の実施形態において、核酸コンストラクトは、被験体から単離された初代細胞での導入および発現に好適である。初代細胞はタンパク質を発現するために設計されている。特定の実施形態において、被験体から単離された初代細胞は、さらに組み換え技術を用いて別の治療用ポリペプチド(例えばサイトカイン(例えばIL−1、IL−2、IL−6、IL−11、IL−12、IL−13、TNF−アルファ、GM−CSF、インターフェロン−α、インターフェロン−β、またはインターフェロン−γ)、CD3、増殖因子、または上記のフラグメントもしくは誘導体)を発現するために設計されている。特定の実施形態において、被験体から単離された初代細胞は、さらに組み換え技術を用いて癌の抗原を発現するために設計されている。
【0330】
特定の実施形態において、タンパク質を発現するために設計された細胞は治療剤として使用され、かつ疾患を予防、処置または管理するために被験体にインプラントまたは移植される。
【0331】
〔5.2.6 化合物〕
別の局面において、治療剤は化合物(例えば小分子)である。いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H7とB7−H7のレセプター(例えばB7−H7CR)との間の相互作用を調節する化合物である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7CRとB7−H7CRのリガンド(例えばB7−H7)との間の相互作用を調節する化合物である。いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H7およびB7−H7CRの相互作用を調節する化合物である。他の実施形態において、治療剤は、B7−H7またはB7−H7CRの発現を調節する化合物である。特定の実施形態において、治療剤は免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、治療剤は抑制性の治療剤である。化合物の例としては、以下に限定されないが、ペプチド;タンパク質;ペプトイド;任意のバイオオリゴマー;ダイバーソマー(diversomers)(例えばヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ジペプチド);ビニロガスポリペプチド(vinylogous polypeptides);非ペプチド性ペプチド模倣薬;オリゴカルボン酸塩;ペプチジルホスホン酸塩;核酸(例えばRNAi、アンチセンス、およびマイクロRNA);抗体;および炭水化物が挙げられる。特定の実施形態において、治療剤は小分子である。
【0332】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H7またはB7−H7CRの発現を阻害または低減するアンチセンス核酸分子である。アンチセンス分子はセンス核酸に水素結合し得る。アンチセンス核酸分子はコード鎖全体または当該コード鎖のフラグメントのみ(例えばタンパク質コード領域(またはオープンリーディングフレーム)の全てまたは一部)に相補的であり得る。アンチセンス核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖における非コード領域の全てまたは一部のアンチセンスであり得る。非コード領域(「5’および3’非翻訳領域」)はコード領域の端に位置し、かつアミノ酸へと翻訳されない5’および3’配列である。
【0333】
アンチセンス核酸分子は、例えば5、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50、または5〜25、5〜50、10〜25、10〜50、15〜25、15〜50、20〜30、20〜40、20〜50、25〜40、もしくは25〜50のヌクレオチド、またはそれを上回る長さであり得る。アンチセンス核酸分子は、当該分野にて公知の手段を用いた化学合成および酵素によるライゲーション反応を用いて構築され得る。例えばアンチセンス核酸分子(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物的安定性を増加させるため、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成された二本鎖の物理的安定性を増加させるために設計された種々の修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る(例えばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る。)。アンチセンス核酸分子を生成するために使用され得る修飾されたヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシルヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。また、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向(antisense orientation)にサブクローニングされている発現ベクターを用いて生物的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは興味のある標的核酸に対してアンチセンス方向にあり、以下のサブセクションでさらに説明される。)。アンチセンス核酸分子を生成するための技術は当業者に公知である。
【0334】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H7またはB7−H7CR核酸に対して特異的なリボザイムである。リボザイムはリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子であり、当該リボザイムと相補的な領域を有する一本鎖の核酸(例えばmRNA)を切断することができる。従って、リボザイム(例えばハンマーヘッド型リボザイム(Haselhoff and Gerlach (1988) Nature 334:585-591に記載されている))は、触媒作用によってmRNA転写産物を切断し、当該切断により、mRNAによってコードされるタンパク質の翻訳を阻害するために使用され得る。ポリペプチドをコードする核酸分子に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示されるcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計され得る。例えば、テトラヒメナL−19IVS RNAの誘導体が構築され、当該誘導体の活性部位のヌクレオチド配列が下記の文献において切断されるヌクレオチド配列と相補的である:Cech et al. 米国特許番号4,987,071; および Cech et al. 米国特許番号5,116,742。また、ポリペプチドをコードするmRNAは、特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAをRNA分子のプールから選択するために使用され得る。例えば、Bartel and Szostak (1993) Science 261:1411-1418を参照されたい。
【0335】
いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H7またはB7−H7CRの発現を阻害または低減する低分子干渉RNA(siRNA)である。siRNAを生成および使用するための技術は当該分野にて公知である。siRNAに関する情報については、例えば米国特許番号7,651,541, 7,608,707, および 7,056,704; Lopez-Fraga et al., 2009, BioDrugs 23(5): 305-332; Hajeri et al., 2009, Drug Discov Today 14(17-18):851-8; 並びに Tilesi et al., 2009, Curr Opin Mol Ther. 11(2):156-64を参照されたい。
【0336】
〔5.3 B7−H2とB7−H2のレセプターとの間の相互作用を調節する治療剤〕
1つの局面において、本発明は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドのいずれかに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する治療剤を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドのいずれかに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に調節する。いくつかの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H2ポリペプチドと、ネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドとの間の相互作用を調節する。特定の実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H2ポリペプチドと、ネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドとのいずれかの間の相互作用を選択的に調節する。
【0337】
別の局面において、本発明は、ネイティブなB7−H2ポリペプチド、ネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドの発現を調節する治療剤を提供する。特定の実施形態において、治療剤は、ネイティブなB7−H2ポリペプチド、ネイティブなICOSポリペプチド、ネイティブなCD28ポリペプチド、またはネイティブなCTLA−4ポリペプチドの発現を選択的に調節する。治療剤の具体例については、下記のセクション5.3.1〜5.3.6を参照されたい。
【0338】
特定の実施形態において、B7−H2がB7−H2のレセプターの1つ以上に結合することによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路は、治療剤を免疫細胞または免疫細胞集団と接触させることによって調節される。別の実施形態において、B7−H2とB7−H2のレセプター(例えばICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用は、治療剤を免疫細胞または免疫細胞集団と接触させることによって調節される。別の実施形態において、B7−H2、ICOS、CD28、またはCTLA−4の発現は、B7−H2、ICOS、CD28、またはCTLA−4それぞれを発現する免疫細胞または免疫細胞集団と治療剤を接触させることによって調節される。
【0339】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0340】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0341】
特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0342】
いくつかの実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0343】
特定の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下で、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0344】
別の実施形態において、治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよびICOSポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2およびICOSの相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、治療剤は、ICOSに対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0345】
別の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0346】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0347】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCD28の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0348】
特定の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCD28の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0349】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0350】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCD28の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0351】
別の実施形態において、治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよびCD28ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2およびCD28の相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、治療剤は、CD28に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCD28の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0352】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0353】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCTLA−4の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0354】
特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCTLA−4の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0355】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0356】
特定の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCTLA−4の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0357】
別の実施形態において、治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよびCTLA−4ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2およびCTLA−4の相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、治療剤は、CTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に対するCTLA−4の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCTLA−4の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0358】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28およびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28およびCTLA−4に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0359】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0360】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0361】
別の実施形態において、治療剤はB7−H2とCD28との間およびB7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、治療剤は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0362】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28およびICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0363】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0364】
いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0365】
別の実施形態において、治療剤はB7−H2とCD28との間およびB7−H2とICOSとの間の相互作用を調節する。別の実施形態において、治療剤は、CD28およびICOSに対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)CD28およびICOSに対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのCD28およびICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0366】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がICOSおよびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0367】
いくつかの実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、または治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0368】
いくつかの実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0369】
別の実施形態において、治療剤はB7−H2とICOSとの間およびB7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、治療剤は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、治療剤は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、治療剤の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または治療剤の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0370】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がCD28、CTLA−4およびICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28、CTLA−4およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28、CTLA−4およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。いくつかの実施形態において、治療剤は、CD28、CTLA−4およびICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2とCD28との間、B7−H2とCTLA−4との間、およびB7−H2とICOSとの間の相互作用を調節する。
【0371】
特定の実施形態において、治療剤はアゴニストである。他の実施形態において、治療剤はアンタゴニストである。
【0372】
特定の実施形態において、治療剤は、1つ以上の免疫機能または反応を誘導、活性化または促進する(すなわち、上記因子は免疫賦活治療剤である)。他の実施形態において、治療剤は、1つ以上の免疫機能または反応を抑制または低減する(すなわち、上記因子は抑制性の治療剤である)。1つ以上の免疫機能または反応の調節は、例えば、抗体反応(液性反応)または細胞免疫反応(例えば、サイトカインの分泌(例えば、インターフェロン−ガンマ)、ヘルパー活性、または細胞毒性)の形であり得る。1つの実施形態において、サイトカインの分泌、抗体の産生、エフェクター機能、T細胞の増殖、および/またはNK細胞の増殖は、治療剤との接触後に調節される。特定の実施形態において、1つ以上の免疫機能または反応は、免疫細胞または免疫細胞集団と治療剤との接触によって調節される。
【0373】
〔5.3.1 抗体〕
特定の実施形態において、本セクションに記載される抗体は商業的または公的に利用可能である。他の実施形態において、本セクションに記載される抗体は当該分野にてよく知られている任意の方法によって産生され得る。当該方法は例えば、米国特許番号5,807,715, 6,331,415, および 6,818,216;米国特許出願公開番号US 2002/0098189, US 2004/0028685, US 2005/0019330, および US 2007/0086943;国際公開番号WO 02/46237;並びに Harlow et al., Antibodies. A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981) に記載されている(上記参考文献はその全体が本明細書中にて参考として援用される。)。
【0374】
〔5.3.1.1 抗B7−H2抗体〕
1つの局面において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2が以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。1つ以上のシグナル伝達経路の調節は、特定のサブユニットのリン酸化、特定の分子(例えばMAPキナーゼ)のキナーゼ活性、特定の転写因子の活性、または特定の転写因子の細胞質から核への移動、サイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IFN−アルファ、IFN−ベータ、IFN−ガンマ)、抗体産生、細胞増殖(例えばリンパ球の増殖)の評価によって測定され得る。当該測定は当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、または他の免疫アッセイ)を用いて行われる。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2と以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に対するB7−H2の結合を評価するために、当該分野にてよく知られている方法または本明細書中に記載される方法(例えばELISA、フローサイトメトリーを含む細胞をベースとするアッセイ、KinEx Aアッセイ、および表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(登録商標)アッセイ))が使用され得る。B7−H2とICOS、CD28、またはCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体は立体的に、または非立体的に相互作用を調節し得る。
【0375】
後出する実施例6および7に記載されているように、マウス抗ヒトB7−H2モノクローナル抗体9F.8A4(BioLegend; San Diego, CA)はICOS、CD28、およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を抑止する。従って、いくつかの実施形態において、治療剤は9F.8A4または9F.8A4のフラグメント(例えば9F.8A4の抗原結合フラグメント)である。別の実施形態において、治療剤は9F.8A4のキメラ化またはヒト化された形態である。他の実施形態において、治療剤は9F.8A4もしくは9F.8A4のフラグメント、または上記のキメラ化もしくはヒト化された形態ではない。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合し、かつB7−H2に対する結合について9F.8A4と競合する抗体である。
【0376】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0377】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0378】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合を選択的に阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0379】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する抗体である。
【0380】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と同様に、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、以下の(i)および(ii)を選択的に活性化または促進する抗体である:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上、および(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上。
【0381】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CTLA−4または両方に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進するか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0382】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(iii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0383】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と同様に、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。
【0384】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(iii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0385】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合と同様に、CD28に対するB7−H2の結合を阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。
【0386】
別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(iii)ICOSに対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0387】
後出する実施例6および7に記載されているように、マウス抗ヒトB7−H2モノクローナル抗体MIH12(eBioscience; San Diego, CA)はCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を選択的にブロックする。換言すると、抗体はICOSに対する結合をブロックすることなく、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合をブロックする。従って、いくつかの実施形態において、治療剤はMIH12またはMIH12のフラグメントである。別の実施形態において、治療剤はMIH12のキメラ化またはヒト化された形態である。他の実施形態において、治療剤はMIH12もしくはMIH12のフラグメント、または上記のキメラ化もしくはヒト化された形態ではない。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合し、かつB7−H2に対する結合についてMIH12と競合する抗体である。
【0388】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたは両方に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0389】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0390】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0391】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0392】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合を選択的に阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0393】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0394】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0395】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0396】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0397】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0398】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0399】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0400】
特定の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合を選択的に阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。別の実施形態において、治療剤はB7−H2に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSまたはCD28に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0401】
特定の実施形態において、抗体は、ネイティブなヒトB7−H2のアミノ酸残基116〜122を含んでいるエピトープに対して特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、ネイティブなヒトB7−H2のアミノ酸残基51、53、116および122を含んでいるエピトープに対して特異的に結合する。
【0402】
特定の実施形態において、本セクションに記載される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0403】
〔5.3.1.2 抗複合体抗体〕
別の局面において、本発明は、B7−H2およびICOS、B7−H2およびCD28、またはB7−H2およびCTLA−4のいずれかの複合体に対して特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施形態において、上記抗体は、B7−H2が以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、上記抗体は、B7−H2と以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。B7−H2とICOS、CD28、またはCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体は立体的に、または非立体的に相互作用を調節し得る。
【0404】
1つの実施形態において、治療剤はB7−H2/ICOS複合体に対して特異的に結合する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2/ICOS複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2/ICOS複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とICOSとの間の相互作用を調節する抗体である。
【0405】
別の実施形態において、治療剤はB7−H2/CD28複合体に対して特異的に結合する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2/CD28複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2/CD28複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCD28との間の相互作用を調節する抗体である。
【0406】
別の実施形態において、治療剤はB7−H7/CTLA−4複合体に対して特異的に結合する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2/CTLA−4複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。別の実施形態において、治療剤はB7−H2/CTLA−4複合体に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体である。
【0407】
いくつかの実施形態において、治療剤はB7−H2およびICOS、B7−H2およびCD28、またはB7−H2およびCTLA−4のいずれかの複合体に対して特異的に結合する抗体であって、ICOSに対するB7−H2の結合、CD28に対するB7−H2の結合、またはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を誘導する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はB7−H2およびICOS、B7−H2およびCD28、またはB7−H2およびCTLA−4のいずれかの複合体に対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H2ポリペプチド(例えばネイティブな哺乳動物B7−H2ポリペプチド)がB7−H2ポリペプチドのネイティブなレセプターに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%の間の範囲で誘導する抗体である。他の実施形態において、治療剤はB7−H2およびICOS、B7−H2およびCD28、またはB7−H2およびCTLA−4のいずれかの複合体に対して特異的に結合する抗体であって、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがB7−H2のネイティブなレセプターに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。
【0408】
特定の実施形態において、本セクションに記載される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0409】
〔5.3.1.3 抗レセプター抗体〕
別の局面において、本発明は、ICOS、CD28、またはCTLA−4に対して特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施形態において、上記抗体は、B7−H2が以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、上記抗体は、B7−H2と以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。B7−H2とICOS、CD28、またはCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体は立体的に、または非立体的に相互作用を調節し得る。
【0410】
特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。別の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とICOSとの間の相互作用を調節する抗体である。
【0411】
特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体はICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのB7−H2に対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSの1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0412】
特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSの1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0413】
特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とICOSとの間の相互作用を選択的に調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンドに対するICOSの結合を阻害または低減することなく、ICOSに対するB7−H2の結合を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、抗体はICOSに対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はICOSに対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSの1つ以上の他のリガンドの結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのICOSに対する上記1つ以上の他のリガンドの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0414】
いくつかの実施形態において、治療剤はマウス抗ヒトICOSモノクローナル抗体C398.4(BioLegend; San Diego, CA)またはC398.4のフラグメントである。他の実施形態において、治療剤はマウス抗ICOSモノクローナル抗体C398.4のキメラ化またはヒト化された形態である。特定の実施形態において、治療剤はマウス抗ICOSモノクローナル抗体C398.4もしくはC398.4のフラグメント、または上記のヒト化もしくはキメラ化された形態ではない。
【0415】
別の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)に対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体はCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのB7−H2に対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0416】
特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)に対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、抗体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのB7−H2に対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CD28の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0417】
別の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCD28との間の相互作用を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCD28との間の相互作用を選択的に調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB1−1またはB7−2)に対するCD28の結合を阻害または低減することなく、CD28に対するB7−H2の結合を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体はCD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCD28に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCD28に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0418】
いくつかの実施形態において、治療剤はマウス抗ヒトCD28モノクローナル抗体CD28.6(ブロッキング)もしくはCD28.2(同時刺激)(eBioscience; San Diego, CA)、または上記のフラグメントである。他の実施形態において、治療剤はマウス抗CD28モノクローナル抗体CD28.6またはCD28.2のキメラ化またはヒト化された形態である。特定の実施形態において、治療剤はマウス抗CD28モノクローナル抗体CD28.2もしくはCD28.2のフラグメント、または上記のヒト化もしくはキメラ化された形態ではない。いくつかの実施形態において、治療剤はマウス抗CD28モノクローナル抗体CD28.6もしくはCD28.6のフラグメント、または上記のヒト化もしくはキメラ化された形態ではない。
【0419】
別の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)に対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体はCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのB7−H2に対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0420】
特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)に対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または低減することなく、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化または促進する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのB7−H2に対するCTLA−4の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CTLA−4の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を活性化もしくは促進しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0421】
別の実施形態において、治療剤は1つのCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体である。別の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、B7−H2とCTLA−4との間の相互作用を選択的に調節する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)に対するCTLA−4の結合を阻害または低減することなく、CTLA−4に対するB7−H2の結合を阻害または低減する抗体である。特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体はCTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。いくつかの特定の実施形態において、治療剤はCTLA−4に対して特異的に結合する抗体であって、当該抗体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、抗体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4の1つ以上の他のリガンド(例えばB7−1またはB7−2)の結合を阻害もしくは低減しないか、または抗体の非存在下でのCTLA−4に対する上記1つ以上の他のリガンドの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または5%〜20%、5%〜15%、5%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0422】
いくつかの実施形態において、治療剤はマウス抗ヒトCTLA−4モノクローナル抗体14D3(eBioscience; San Diego, CA)、または14D3のフラグメントである。他の実施形態において、治療剤はマウス抗ヒトCTLA−4モノクローナル抗体14D3のキメラ化またはヒト化された形態である。特定の実施形態において、治療剤はマウス抗ヒトCTLA−4モノクローナル抗体14D3もしくは14D3のフラグメント、または上記のヒト化もしくはキメラ化された形態ではない。
【0423】
いくつかの実施形態において、ICOS、CD28、またはCTLA−4に対して特異的に結合する抗体は、ICOSに対するB7−H2の結合、CD28に対するB7−H2の結合、またはCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を誘導する。特定の実施形態において、ICOS、CD28、またはCTLA−4に対して特異的に結合する抗体は、ネイティブなB7−H2ポリペプチド(例えばネイティブな哺乳動物B7−H2ポリペプチド)がB7−H2ポリペプチドのネイティブなレセプター(例えばCD28、CTLA−4、またはICOS)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%の間の範囲で誘導する。他の実施形態において、ICOS、CD28、またはCTLA−4に対して特異的に結合する抗体は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがB7−H2ポリペプチドのネイティブなレセプターに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定して少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%の間の範囲で阻害または低減する抗体である。
【0424】
特定の実施形態において、ネイティブなヒトB7−H2のアミノ酸残基116〜122を含んでいるエピトープに対して特異的に結合する抗体は、抗イディオタイプ抗体を生成するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記抗イディオタイプ抗体は、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するB7−H2の結合を阻害するために使用され得る。
【0425】
特定の実施形態において、本セクションに記載される抗体は、修飾されたFcドメインを含んでいる。Fcドメインの修飾の例は、Mueller et al., 1997, Molecular Immunology 34(6):441-452; Swann et al., 2008, Current Opinion in Immunology 20:493-499; および Presta, 2008, Current Opinion in Immunology 20:460-470に記載されている。
【0426】
〔5.3.1.4 抗体複合体〕
いくつかの実施形態において、本セクション5.3.1以下に記載される抗体は、診断剤、検出剤、もしくは治療剤、または任意の他の分子に対して結合されるか、または組み換えによって融合される。抗体複合体の説明についてはセクション5.1.2を参照されたい。セクション5.1.1および5.1.2に記載された実施形態は本セクションに記載された抗体に対しても適用することができる。
【0427】
〔5.3.2 ポリペプチドおよび誘導体〕
〔5.3.2.1 B7−H2ポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤はB7−H2ポリペプチドである。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2が以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2ポリペプチドと以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。特定の実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0428】
別の局面において、治療剤はB7−H2誘導体である。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2が以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2ポリペプチドと以下のレセプター(ICOS、CD28、またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、B7−H2誘導体は抑制性の治療剤である。
【0429】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節することなく、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0430】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなICOSに結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなICOSに結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのに比べて少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の誘導によって評価される。
【0431】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜98%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0432】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびICOSポリペプチドの相互作用を調節する。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびICOSポリペプチドの相互作用を調節するが、B7−H2ポリペプチドとCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方との相互作用を調節しない。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2およびICOSの相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばCTLA−4またはCD28)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0433】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られた技術によって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0434】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0435】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0436】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなCD28に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなCD28に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのに比べて少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0437】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0438】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびCD28ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2およびCD28の相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCTLA−4)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0439】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCD28に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCD28に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られた技術によって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCD28に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0440】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCD28に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCD28に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなICOSに対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0441】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCTLA−4に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0442】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなCTLA−4に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなCTLA−4に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのに比べて少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0443】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0444】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびCTLA−4ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2およびCTLA−4の相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CTLA−4に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のレセプター(例えばICOSまたはCD28)に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のレセプターに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0445】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られた技術によって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0446】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなCTLA−4に対して、ネイティブなB7−H2がネイティブなCTLA−4に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0447】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がCD28およびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0448】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜98%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0449】
別の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2とCD28との間、およびB7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)ICOSに対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0450】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がICOSおよびCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0451】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0452】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0453】
別の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2とICOSとの間、およびB7−H2とCD28との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CTLA−4に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0454】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2がICOSおよびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0455】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で誘導する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で誘導する。
【0456】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0457】
別の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2とICOSとの間、およびB7−H2とCTLA−4との間の相互作用を調節する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、B7−H2誘導体は:(i)ICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合を、B7−H2誘導体の非存在下でのICOSおよびCTLA−4に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)CD28に対するB7−H2の結合を阻害もしくは低減しないか、またはB7−H2誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0458】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は以下の(a)〜(f)である:(a)ネイティブなB7−H2ポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b)ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブなB7−H2ポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d)ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブなB7−H2ポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;あるいは(f)ネイティブなB7−H2ポリペプチドのフラグメント。B7−H2誘導体としてはまた、哺乳動物B7−H2ポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
【0459】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、天然に存在するヒトB7−H2ポリペプチドの未熟な形態または前駆体の誘導体である。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、天然に存在するヒトB7−H2ポリペプチドの成熟した形態の誘導体である。1つの実施形態において、B7−H2誘導体は単離または精製される。
【0460】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、挿入および/または欠失)を有するネイティブなB7−H2のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、以下のレセプター(ICOS、CD28またはCTLA−4)の1つ以上に対するB7−H2の親和性を増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の親和性を選択的に増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の親和性を選択的に増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の親和性を選択的に増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCRを介した突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなB7−H2の特定の位置に導入され得る。突然変異はまた、例えば飽和突然変異誘発技術を用いて、コード配列の全て、または一部に沿ってランダムに導入され得る。
【0461】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、以下のレセプター(ICOS、CD28またはCTLA−4)の1つ以上に対するB7−H2の親和性を減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するB7−H2の親和性を選択的に減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するB7−H2の親和性を選択的に減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するB7−H2の親和性を選択的に減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。
【0462】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなB7−H2のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。上記アミノ酸の置換は、保存的、非保存的のいずれか、または上記の両方の組み合わせであり得る。特定の実施形態において、アミノ酸の置換は保存的なアミノ酸置換であり、特定の実施形態において、アミノ酸の置換は1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において導入される。保存的なアミノ酸の置換は、アミノ酸残基が同一の電荷を有する側鎖を備えたアミノ酸残基と置き換えられるものである。
【0463】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は116位、122位のいずれか、または上記の両方にアミノ酸置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は116位〜122位および/または53位にアミノ酸置換を含んでいる。上記実施形態に従えば、B7−H2誘導体はICOSに結合するが、CD28またはCTLA−4には結合しないという能力を保持する。他の実施形態において、B7−H2誘導体は116位、122位のいずれか、または上記の両方にアミノ酸置換を含んでいない。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は116位〜122位および/または53位にアミノ酸置換を含んでいない。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、後出する実施例6および7に記載されるB7−H2(L116A)変異体、またはB7−H2(F122A)変異体である。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、後出する実施例6および7に記載されるB7−H2(L116A)変異体、またはB7−H2(F122A)変異体ではない。
【0464】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は51位、53位のいずれか、または上記の両方にアミノ酸置換を含んでいる。他の実施形態において、B7−H2誘導体は51位、53位のいずれか、または上記の両方にアミノ酸置換を含んでいない。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、後出する実施例6および7に記載されるB7−H2(Y51A)変異体、またはB7−H2(Y53A)変異体である。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、後出する実施例6および7に記載されるB7−H2(Y51A)変異体、またはB7−H2(Y53A)変異体ではない。
【0465】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は以下の位置の2つ、3つ、または全てにアミノ酸置換を含んでいる:51位、53位、116位、または122位。他の実施形態において、B7−H2誘導体は以下の位置の2つ、3つ、または全てにアミノ酸置換を含んでいない:51位、53位、116位、または122位。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は以下の位置の1つ、2つ、もしくは3つ、または全てにアミノ酸置換を含んでいる:51位、53位および116位〜122位。他の実施形態において、B7−H2誘導体は以下の位置の1つ、2つ、もしくは3つ、または全てにアミノ酸置換を含んでいない:51位、53位および116位〜122位。
【0466】
後出する実施例7で論じるデータは、B7−H2のIg様V型ドメインがICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合に関連していることを示している。従って、特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2のIg様V型ドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加)を含んでいる。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、Ig様V型ドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H2または当該B7−H2のフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、Ig様V型ドメイン中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H2の細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。
【0467】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2のフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、B7−H72誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列であるネイティブなB7−H2のアミノ酸残基19〜300、19〜300、19〜275、19〜256、19〜250、19〜225,19〜200、19〜175、19〜150、19〜129、19〜125、19〜100、19〜95、19〜75、19〜70、19〜65、19〜60、19〜50、15〜30、もしくは5〜25、または141〜227を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0468】
1つの実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2の可溶性形態である。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H2の細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基19〜256を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H7の細胞外ドメインのフラグメント、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加)を含んでいるネイティブなB7−H2の細胞外ドメインのフラグメントを含んでいる(または当該フラグメントからなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外ドメインの少なくとも25、50、75、100、125、150、175、200、225、または240のアミノ酸を含んでいる(または当該アミノ酸からなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2のアミノ酸残基19〜240、19〜225、19〜200、19〜175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜75、19〜50、または19〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基19〜240、19〜225、19〜200、19〜175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜75、19〜50、または19〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0469】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2のIg様V型ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基19〜129を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2のIg様C−2型ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基141〜227を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H7のIg様V型ドメインおよびIg様C−2型ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、アクセッション番号O75144−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基19〜141を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0470】
別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外および細胞内ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外および細胞内ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含んでいる当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H2の細胞内ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外ドメイン、およびネイティブなB7−H2の細胞内ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の膜貫通ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいない。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の膜貫通ドメインの代わりに異種の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2の細胞外ドメインもしくは当該ドメインのフラグメント、並びにネイティブなB7−H2の膜貫通ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。
【0471】
別の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなヒトB7−H2のIgV領域を含んでいる(または当該領域からなる)。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、後出する実施例7に記載されるヒトIgV領域を含んでいる(または当該領域からなる)。別の実施形態において、B7−H2誘導体はネイティブなB7−H2のシステイン−システイン領域を含んでいる(または当該領域からなる)。
【0472】
B7−H2誘導体の生物活性は、当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術を用いて評価され得る。例えば、B7−H2誘導体が1つ以上のレセプターに結合する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H2誘導体が以下のレセプター(ICOS、CD28またはCTLA−4)の1つ以上に結合する能力が評価され得る。さらに、B7−H2誘導体が1つ以上のレセプターに結合し、かつネイティブなB7−H2が1つ以上のレセプターに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、B7−H2誘導体が以下のレセプター(ICOS、CD28またはCTLA−4)の1つ以上に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなICOS、ネイティブなCD28またはネイティブなCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力が評価され得る。
【0473】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2のネイティブなレセプター(例えばICOS、CD28またはCTLA−4)に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSのいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOS、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSおよびCTLA−4に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0474】
別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記B7−H2誘導体は、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を保持していないか、またはCD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記B7−H2誘導体は、ICOS、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を保持していないか、またはICOS、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびCTLA−4に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記B7−H2誘導体は、ICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を保持していないか、またはICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28およびICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記B7−H2誘導体は、CTLA−4に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を保持していないか、またはCTLA−4に結合するネイティブな哺乳動物B7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記B7−H2誘導体は、CD28に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を保持していないか、またはCD28に結合するネイティブな哺乳動物B7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0475】
特定の他の実施形態において、B7−H2誘導体は、B7−H2のネイティブなレセプター(例えばICOS、CD28またはCTLA−4)に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSのいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に結合するネイティブな哺乳動物B7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSおよびCTLA−4に結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0476】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0477】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、B7−H2誘導体はB7−H2のネイティブなレセプターに対して、ネイティブなB7−H2が同じレセプターに結合するのと比べて、0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0478】
いくつかの実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがB7−H2のネイティブなレセプター(例えばICOS、CD28またはCTLA−4)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。B7−H2ポリペプチドに対するB7−H2のネイティブなレセプターの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。
【0479】
特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CTLA−4に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0480】
いくつかの他の実施形態において、B7−H2誘導体は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがB7−H2のレセプター(例えばICOS、CD28またはCTLA−4)に結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路を活性化または誘導する能力の1つ以上を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSに対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、CTLA−4のいずれか、または上記の両方に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSのいずれか、または上記の両方に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、ICOSおよびCTLA−4に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、B7−H2誘導体は、CD28、ICOSおよびCTLA−4に対するネイティブなB7−H2ポリペプチドの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0481】
〔5.3.2.2 ICOSポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤はICOSポリペプチドである。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよびICOSポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0482】
別の局面において、治療剤はICOS誘導体である。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、B7−H2誘導体は抑制性の治療剤である。
【0483】
特定の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2がICOSに結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に活性化または促進する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0484】
特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合し、かつネイティブなICOSがネイティブなリガンドに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなB7−H2に結合し、かつネイティブなICOSがネイティブなB7−H2に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、ICOS誘導体はB7−H2に結合し、かつネイティブなICOSがネイティブなB7−H2に結合するのに比べて少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0485】
いくつかの実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、ICOS誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0486】
別の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびICOSポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、ICOS誘導体はB7−H2およびICOSの相互作用を選択的に調節する。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSに対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、ICOS誘導体は:(i)ICOSに対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのICOSに対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するICOSの結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0487】
特定の実施形態において、ICOS誘導体はネイティブなB7−H2に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、ICOS誘導体はICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。特定の実施形態において、ICOS誘導体はICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0488】
特定の実施形態において、ICOS誘導体はネイティブなB7−H2に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、ICOS誘導体はICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、ICOS誘導体はネイティブなB7−H2に対して、ネイティブなICOSがICOSのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0489】
特定の実施形態において、ICOS誘導体は以下の(a)〜(f)である:(a)ネイティブなICOSポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b)ネイティブなICOSポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブなICOSポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d)ネイティブなICOSポリペプチドをコードする核酸に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブなICOSポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;あるいは(f)ネイティブなICOSポリペプチドのフラグメント。ICOS誘導体としてはまた、ネイティブなICOSポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、ICOS誘導体は、天然に存在するヒトICOSポリペプチドの未熟な形態または前駆体の誘導体である。別の実施形態において、ICOS誘導体は、天然に存在するヒトICOSポリペプチドの成熟した形態の誘導体である。1つの実施形態において、ICOS誘導体は単離または精製される。
【0490】
別の実施形態において、ICOS誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、挿入および/または欠失)を有するネイティブなICOSのアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2(特にネイティブなB7−H2)に対するICOSの親和性を増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCRを介した突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなICOSの特定の位置に導入され得る。他の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2(特にネイティブなB7−H2)に対するICOSの親和性を減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。突然変異はまた、例えば飽和突然変異誘発技術を用いて、コード配列の全て、または一部に沿ってランダムに導入され得る。
【0491】
別の実施形態において、ICOS誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなICOSのアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。上記アミノ酸の置換は、保存的、非保存的のいずれか、または上記の両方の組み合わせであり得る。特定の実施形態において、アミノ酸の置換は保存的なアミノ酸置換であり、特定の実施形態において、アミノ酸の置換は1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において導入される。
【0492】
別の実施形態において、ICOS誘導体はネイティブなICOSのフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、アクセッション番号Q9Y6W8−1 (UniParc)で示される配列であるネイティブなICOSのアミノ酸残基21〜175、21〜150、21〜125、21〜100、21〜95、21〜75、21〜70、21〜65、21〜60、21〜50、5〜15、または5〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0493】
1つの実施形態において、ICOS誘導体はICOSの可溶性形態である。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるネイティブなICOSの細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、アクセッション番号Q9Y6W8−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基21〜150または21〜140を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメインのフラグメント、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加)を含んでいるネイティブなICOSの細胞外ドメインのフラグメントを含んでいる(または当該フラグメントからなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメインの少なくとも25、50、75、100、125、または130のアミノ酸を含んでいる(または当該アミノ酸からなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSのアミノ酸残基23〜145、23〜140、23〜130、23〜125、23〜100、23〜95、23〜75、23〜70、23〜65、23〜60、または23〜50を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、アクセッション番号Q9Y6W8−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基21〜175、21〜150、21〜125、21〜100、21〜95、21〜75、21〜70、21〜65、21〜60、または21〜50を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSのIg様ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、アクセッション番号Q9Y6W8−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基30〜132または30〜140を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0494】
別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外および細胞内ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外および細胞内ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含んでいる当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメインのフラグメント、並びにネイティブなICOSの細胞内ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメイン、およびネイティブなICOSの細胞内ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの膜貫通ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいない。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの膜貫通ドメインの代わりに異種の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSの細胞外ドメインもしくは当該ドメインのフラグメント、並びにネイティブなICOSの膜貫通ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。
【0495】
ICOS誘導体の生物活性は、当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術を用いて評価され得る。例えば、ICOS誘導体が1つ以上のリガンドに結合する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、ICOS誘導体がB7−H2に結合する能力が評価され得る。さらに、ICOS誘導体が1つ以上のリガンドに結合し、かつネイティブなICOSが1つ以上のリガンドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、ICOS誘導体がB7−H2に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力が評価され得る。
【0496】
特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSのネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に結合するネイティブなICOSポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなB7−H2に結合するネイティブなICOSポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0497】
特定の他の実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSのネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に結合するネイティブなICOSポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、B7−H2に結合するネイティブなICOSポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0498】
いくつかの実施形態において、ICOS誘導体は、ICOSのネイティブなリガンド(例えばB7−H2)がICOSポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。ICOSポリペプチドに対するICOSのネイティブなリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。
【0499】
いくつかの他の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなリガンド(例えばB7−H2)がICOSポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、ICOS誘導体は、ネイティブなICOSポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0500】
〔5.3.2.3 CD28ポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤はCD28ポリペプチドである。特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、上記治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよびCD28ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、上記治療剤は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、上記治療剤は抑制性の治療剤である。
【0501】
別の局面において、治療剤はCD28誘導体である。特定の実施形態において、B7−H2誘導体は免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、B7−H2誘導体は抑制性の治療剤である。
【0502】
特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2がCD28に結合することによって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路を選択的に調節する。特定の実施形態において、CD28誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する。特定の実施形態において、CD28誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で活性化または促進する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化もしくは促進しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で活性化もしくは促進する。
【0503】
特定の実施形態において、CD28誘導体は、CD28のネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合し、かつネイティブなCD28がネイティブなリガンドに結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2に結合し、かつネイティブなCD28がネイティブなB7−H2に結合するのに比べて、より高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。いくつかの実施形態において、CD28誘導体はネイティブなB7−H2に結合し、かつネイティブなCD28がネイティブなB7−H2に結合するのに比べて少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%、75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。当該活性は、例えば1つ以上のシグナル伝達分子の活性化または誘導によって評価される。
【0504】
いくつかの実施形態において、CD28誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、CD28誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。特定の実施形態において、CD28誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する;かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0505】
別の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2ポリペプチドおよびCD28ポリペプチドの相互作用を調節する。特定の実施形態において、CD28誘導体はB7−H2およびCD28の相互作用を選択的に調節する。特定の実施形態において、CD28誘導体はCD28に対するB7−H2の結合を阻害または低減する。別の実施形態において、CD28誘導体は、CD28に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減する。別の実施形態において、CD28誘導体は:(i)CD28に対するB7−H2の結合を、誘導体の非存在下でのCD28に対するB7−H2の結合と比較して少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、75%〜95%、もしくは75%〜100%の間の範囲で阻害または低減し、かつ(ii)1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合を阻害もしくは低減しないか、または誘導体の非存在下での上記1つ以上の他のリガンドに対するCD28の結合と比較して20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%、もしくは15%〜20%の間の範囲で阻害もしくは低減する。
【0506】
特定の実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がネイティブなリガンドに結合するのと比べて、より高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。1つの実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がネイティブなリガンドに結合するのと比べて50%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%高い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。特定の実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がネイティブなリガンドに結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs高い親和性にて結合する。上記親和性は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。
【0507】
特定の実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に結合するのと比べて、より低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。1つの実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に結合するのと比べて25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、もしくは75%〜95%低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。別の実施形態において、CD28誘導体はCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に対して、ネイティブなCD28がCD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2)に結合するのと比べて0.5logs、1log、1.5logs、2logs、2.5logs、または3logs低い親和性にて結合する。上記親和性は、よく知られたアッセイ/技術によって測定される。
【0508】
特定の実施形態において、CD28誘導体は以下の(a)〜(f)である:(a)ネイティブなCD28ポリペプチドに少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一であるポリペプチド;(b)ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする核酸配列に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるか、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一である核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブなCD28ポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上、あるいは2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20の個数のアミノ酸変異(すなわち付加、欠失および/または置換)を含むポリペプチド;(d)ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする核酸に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸によってコードされるポリペプチド;(e)少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、または、少なくとも150個連続するアミノ酸、あるいは、20〜50個連続するアミノ酸、25〜75個連続するアミノ酸、25〜100個連続するアミノ酸、25〜150個連続するアミノ酸、50〜75個連続するアミノ酸、50〜100個連続するアミノ酸、75〜100個連続するアミノ酸、50〜150個連続するアミノ酸、75〜150個連続するアミノ酸、100〜150個連続するアミノ酸、または100〜200個連続するアミノ酸のネイティブなCD28ポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列に、高度に、中程度に、または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;あるいは(f)ネイティブなCD28ポリペプチドのフラグメント。CD28誘導体としてはまた、ネイティブなCD28ポリペプチドの、天然に存在する成熟形態のアミノ酸配列、および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、CD28誘導体は、天然に存在するヒトCD28ポリペプチドの未熟な形態または前駆体の誘導体である。別の実施形態において、CD28誘導体は、天然に存在するヒトCD28ポリペプチドの成熟した形態の誘導体である。1つの実施形態において、CD28誘導体は単離または精製される。
【0509】
別の実施形態において、CD28誘導体は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、挿入および/または欠失)を有するネイティブなCD28のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2(特にネイティブなB7−H2)に対するCD28の親和性を増加させる1つ以上の突然変異を含んでいる。他の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2(特にネイティブなB7−H2)に対するCD28の親和性を減少させる1つ以上の突然変異を含んでいる。突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCRを介した突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなCD28の特定の位置に導入され得る。突然変異はまた、例えば飽和突然変異誘発技術を用いて、コード配列の全て、または一部に沿ってランダムに導入され得る。
【0510】
別の実施形態において、CD28誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくはそれを上回る数、または1〜5、1〜10、2〜15、5〜20、5〜30、10〜50、25〜75の範囲の数のアミノ酸の置換を有するネイティブなCD28のアミノ酸配列を含んでいる(または当該アミノ酸配列からなる)。上記アミノ酸の置換は、保存的、非保存的のいずれか、または上記の両方の組み合わせであり得る。特定の実施形態において、アミノ酸の置換は保存的なアミノ酸置換であり、特定の実施形態において、アミノ酸の置換は1つ以上の予測された非必須アミノ酸残基において導入される。
【0511】
別の実施形態において、CD28誘導体はネイティブなCD28のフラグメントを含んでいる。特定の実施形態において、CD28誘導体は、アクセッション番号P10747−1 (UniParc)で示される配列であるネイティブなCD28のアミノ酸残基19〜200、175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜95、19〜75、19〜70、19〜65、19〜60、19〜50、5〜15、または5〜25を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0512】
1つの実施形態において、CD28誘導体はCD28の可溶性形態である。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるネイティブなCD28の細胞外ドメインを含んでいる(または当該細胞外ドメインからなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、アクセッション番号P10747−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基19〜152を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメインのフラグメント、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20の数の突然変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失、および/または付加)を含んでいるネイティブなCD28の細胞外ドメインのフラグメントを含んでいる(または当該フラグメントからなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメインの少なくとも25、50、75、100、または125のアミノ酸を含んでいる(または当該アミノ酸からなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28のアミノ酸残基19〜200、175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜95、19〜75、19〜70、19〜65、19〜60、または19〜50を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、アクセッション番号P10747−1 (UniParc)で示される配列の19〜200、175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜95、19〜75、19〜70、19〜65、19〜60、または19〜50のアミノ酸残基を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28のIg様ドメインを含んでいる(または当該ドメインからなる)。特定の実施形態において、CD28誘導体は、アクセッション番号P10747−1 (UniParc)で示される配列のアミノ酸残基28〜137を含んでいる(または当該アミノ酸残基からなる)。
【0513】
別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外および細胞内ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外および細胞内ドメイン、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、もしくはそれを上回る数、または2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15、もしくは15〜20のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加を含んでいる当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメインのフラグメント、並びにネイティブなCD28の細胞内ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメイン、およびネイティブなCD28の細胞内ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の膜貫通ドメインまたは当該ドメインのフラグメントを含んでいない。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の膜貫通ドメインの代わりに異種の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28の細胞外ドメインもしくは当該ドメインのフラグメント、並びにネイティブなCD28の膜貫通ドメインもしくは当該ドメインのフラグメントを含んでいる(または上記からなる)。
【0514】
CD28誘導体の生物活性は、当業者に公知の技術または本明細書中に記載される技術を用いて評価され得る。例えば、CD28誘導体が1つ以上のリガンドに結合する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、CD28誘導体がB7−H2に結合する能力が評価され得る。さらに、CD28誘導体が1つ以上のリガンドに結合し、かつネイティブなCD28が1つ以上のリガンドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力は、本明細書中に記載される技術または当業者に公知の技術を用いて評価され得る。より具体的には、CD28誘導体がB7−H2に結合し、かつネイティブなB7−H2がネイティブなCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を誘導する能力が評価され得る。
【0515】
特定の実施形態において、CD28誘導体は、CD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記CD28誘導体はB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を保持していないか、またはB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0516】
別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記CD28誘導体はB7−H2に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を保持していないか、またはB7−H2に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0517】
特定の他の実施形態において、CD28誘導体は、CD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacore、または共免疫沈降)によって測定される。特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方に結合するネイティブなCD28ポリペプチドの機能を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0518】
いくつかの実施形態において、CD28誘導体は、CD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。上記能力は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。CD28ポリペプチドに対するCD28のリガンドの結合によって誘導される1つ以上のシグナル伝達経路は、例えばシグナル伝達部分の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−カッパBまたはStat1)の転座、およびサイトカイン産生(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−17、インターフェロン−ガンマ、または腫瘍壊死因子アルファ)の評価によって測定され得る。当該測定は、ELISA、ウェスタンブロット、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイ等の技術を用いて行われる。
【0519】
特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を保持していないか、またはB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0520】
別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%、または25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、もしくは75%〜100%の間の範囲で保持しているが、上記CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を保持していないか、またはネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0521】
いくつかの他の実施形態において、CD28誘導体は、CD28のネイティブなリガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する場合に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。上記機能は、当該分野にてよく知られたアッセイによって測定される。特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−H2の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。別の特定の実施形態において、CD28誘導体は、ネイティブなCD28ポリペプチドに対するB7−1、B7−2のいずれか、または上記の両方の結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力を20%、15%、10%、5%、もしくは2%未満、または2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%、もしくは2%〜5%の間の範囲で保持している。
【0522】
〔5.3.2.4 CTLA−4ポリペプチドおよび誘導体〕
1つの局面において、治療剤は、CTLA−4ポリペプチドである。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2ポリペプチドとCTLA−4ポリペプチドとの相互作用を調節する。特定の実施形態において、このような治療剤は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、このような治療剤は、抑制性の治療剤である。
【0523】
別の局面において、治療剤は、CTLA−4誘導体である。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、CTLA−4誘導体は、抑制性の治療剤である。
【0524】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に調節する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ活性化または増強する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、(i)B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ活性化または増強し、(ii)CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、活性化も増強もしないか、あるいは、CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%もしくは15%〜20%の範囲だけ活性化または増強する。
【0525】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えば、ネイティブなB7−H2)に結合し、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなリガンドに結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなB7−H2に結合し、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなB7−H2に結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなB7−H2に結合し、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなB7−H2に結合するよりも、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%または75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。
【0526】
いくつかの実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を選択的に阻害または低減する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ阻害または低減する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、(i)B7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合によって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ阻害または低減し、(ii)CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、阻害も低減もしないか、あるいは、CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上と比較して、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%もしくは15%〜20%の範囲だけ阻害または低減する。
【0527】
別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2ポリペプチドとCTLA−4ポリペプチドとの相互作用を調節する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2とCTLA−4との相互作用を調節する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合を阻害または低減する。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、B7−H2のCTLA−4への結合を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ阻害または低減する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、(i)B7−H2のCTLA−4への結合を、この誘導体の非存在下でのB7−H2のCTLA−4への結合と比較して、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲だけ阻害または低減し、(ii)CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することを、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することと比較して、阻害も低減もしないか、あるいは、CTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することを、この誘導体の非存在下でCTLA−4が他のリガンドの1つ以上と結合することと比較して、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜5%、2%〜10%、5%〜10%、5%〜15%、5%〜20%、10%〜15%もしくは15%〜20%の範囲だけ阻害または低減する。
【0528】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも高いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。一実施形態において、CTLA−4誘導体は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、50%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%もしくは75%〜95%高いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs高いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。
【0529】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも低いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。一実施形態において、CTLA−4誘導体は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、50%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%もしくは75%〜95%低いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs低いアフィニティでネイティブなCTLA−4リガンドに結合する。
【0530】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体としては以下が挙げられる:(a)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドに、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一なポリペプチド;(b)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一な核酸配列によってコードされるポリペプチド;(c)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドに、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個のアミノ酸変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいるポリペプチド;(d)高度、中程度または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズし得る核酸によってコードされるポリペプチド;(e)高度、中程度または典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、少なくとも20個連続するアミノ酸、少なくとも30個連続するアミノ酸、少なくとも40個連続するアミノ酸、少なくとも50個連続するアミノ酸、少なくとも75個連続するアミノ酸、少なくとも100個連続するアミノ酸、少なくとも125個連続するアミノ酸、もしくは少なくとも150個連続するアミノ酸、または20〜50個、25〜75個、25〜100個、25〜125個、50〜75個、50〜100個、75〜100個、50〜150個、75〜150個、100〜150個、もしくは100〜200個連続するアミノ酸である、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのフラグメントをコードする核酸配列にハイブリダイズし得る核酸配列によってコードされるポリペプチド;(f)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのフラグメント。CTLA−4誘導体としてはまた、天然に存在する成熟形態のネイティブなCTLA−4ポリペプチドのアミノ酸配列および異種性のシグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、天然に存在するヒトCTLA−4ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態の誘導体である。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、天然に存在するヒトCTLA−4ポリペプチドの成熟形態の誘導体である。一実施形態において、CTLA−4誘導体は単離されているか精製されている。
【0531】
別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4のアミノ酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、1〜5、1〜10、2〜10、5〜20、5〜30、10〜50または25〜75個のアミノ酸変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいるアミノ酸配列を含んでいるかまたは当該アミノ酸配列からなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、CTLA−4のB7−H2(特にネイティブなB7−H2)に対するアフィニティを増加させる変異を1つ以上含んでいる。CTLA−4のリガンドに対するアフィニティを増加させる変異に関するガイダンスについては、例えば、Larsen et al., 2005, Am J. Transplant 5: 433-435を参照のこと。他の実施形態において、CTLA−4誘導体は、CTLA−4のリガンドに対するアフィニティを低減させる変異を1つ以上含んでいる。変異は、例えば、部位特異的突然変異誘発技術および/またはPCR媒介突然変異誘発技術を用いて、ネイティブなCTLA−4の特定位置に導入され得る。変異はまた、例えば、飽和変異技術を用いてコーディング配列の全部または一部にランダムに導入され得る。
【0532】
別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4のアミノ酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、1〜5、1〜10、2〜10、5〜20、5〜30、10〜50または25〜75個のアミノ酸置換を含んでいるアミノ酸配列を含んでいるかまたは当該アミノ酸配列からなる。このようなアミノ酸置換は、保存的および非保存的の少なくとも一方である。特定の実施形態において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換であり、特定の実施形態において、1つ以上の推定の非必須アミノ酸残基が導入されている。
【0533】
別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4のフラグメントを含んでいる。
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、アクセッション番号P16410−1(UniParc)で見出されるネイティブなCTLA−4の配列の、19〜200、175、19〜150、19〜125、19〜100、19〜95、19〜75、19〜70、19〜65、19〜60、19〜50、5〜20、36〜161、または10〜25のアミノ酸残基を含むか該アミノ酸残基からなる。
【0534】
一実施形態において、CTLA−4誘導体は可溶性形態のCTLA−4である。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインを含んでいるかまたは当該細胞外ドメインからなるか、あるいは、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインに、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,15,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるアミノ酸配列を含んでいる細胞外ドメインを含んでいるかまたは当該細胞外ドメインからなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、アクセッション番号P16410−1(UniParc)で見出される配列の、アミノ酸残基36〜161を含むか、該アミノ酸残基36〜161からなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインのフラグメントを含むか、該フラグメントからなるか、あるいは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,15,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個の変異(例えば、アミノ酸の置換、欠失および/または付加)を含んでいるネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインのフラグメントを含むか、該フラグメントからなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインの少なくとも25,50,75,100または125アミノ酸を含むか、該アミノ酸からなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の36〜150、36〜125、36〜100、26〜95、36〜75、36〜70、36〜65、36〜60、36〜50、15〜30、または5〜25のアミノ酸残基を含むか該アミノ酸残基からなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、アクセッション番号P16410−1(UniParc)で見出される配列の、36〜150、36〜125、36〜100、26〜95、36〜75、36〜70、36〜65、36〜60、36〜50、15〜30、または5〜25のアミノ酸残基を含むか該アミノ酸残基からなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4のIg様V型ドメインを含むか該ドメインからなる。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、アクセッション番号P16410−1(UniParc)で見出される配列のアミノ酸残基39〜140を含むか該アミノ酸残基からなる。
【0535】
別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインおよび細胞内ドメインまたはこれらのフラグメントを含んでいるかまたはこれらからなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,12,15,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個のアミノ酸の置換、欠失および/または付加を含んでいるアミノ酸配列を含んでいる、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインおよび細胞内ドメインまたはこれらのフラグメントを含んでいるかまたはこれらからなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインのフラグメント、およびネイティブなCTLA−4の細胞内ドメインまたはそのフラグメントを含んでいるかまたはこれらからなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインのフラグメント、およびネイティブなCTLA−4の細胞内ドメインのフラグメント含んでいるかまたはこれらからなる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の膜貫通ドメインまたはそのフラグメントを欠いている。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインの代わりに異種性の膜貫通ドメインを含んでいる。別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4の細胞外ドメインまたはそのフラグメント、およびネイティブなCTLA−4の膜貫通ドメインまたはそのフラグメントを含んでいるかまたはこれらからなる。
【0536】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えば、B7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているが、上記CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0537】
別の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているが、上記CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−2に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0538】
他の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイ/技術(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのネイティブなCTLA−4リガンド(例えば、B7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0539】
いくつかの実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2,B7−1またはB7−2)がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。CTLA−4リガンドがCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上が、例えば、シグナル伝達経路に存在する分子の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−κBまたはStat1)の局在変化、およびサイトカイン(例えば、IL−2,IL−4,IL−5,IL−10,IL−17,インターフェロンγ、または腫瘍壊死因子α)の産生を、ELISA,ウエスタンブロッティング、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイのような技術を用いて評価することによって測定され得る。
【0540】
特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているが、上記CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0541】
別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているが、上記CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0542】
他のいくつかの実施形態において、CTLA−4誘導体は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えば、B7−H2、B7−1またはB7−2)がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。別の特定の実施形態において、CTLA−4誘導体は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0543】
〔5.3.3 融合タンパク質〕
1つの局面において、治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよび異種性分子(例えば、異種性のアミノ酸配列)を含むタンパク質である。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2がそのレセプター(ICOS,CD28またはCTLA−4)の1つ以上に結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する。別の特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2ポリペプチドとそのレセプター(ICOS,CD28またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を調節する。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2ポリペプチドとそのレセプター(ICOS,CD28またはCTLA−4)の1つ以上との間の相互作用を選択的に調節する。
【0544】
1つの実施形態において、治療剤は、ネイティブなB7−H2および異種性分子を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、B7−H2誘導体および異種性のアミノ酸配列を含んでいる。B7−H2誘導体について、上述した5.3.2.1の項を参照のこと。いくつかの実施形態において、このような治療剤は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、このような治療剤は、抑制性の治療剤である。
【0545】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2ポリペプチドおよび異種性のアミノ酸配列の融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、このような治療剤は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、このような治療剤は、抑制性の治療剤である。
【0546】
別の局面において、治療剤は、ICOSポリペプチドおよび異種性分子を含むタンパク質である。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2とICOSとの相互作用を調節する。別の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2のICOSへの結合を選択的に調節する。1つの実施形態において、治療剤は、ネイティブなICOSおよび異種性分子を含む。別の実施形態において、治療剤は、ICOS誘導体および異種性のアミノ酸配列を含む。ICOS誘導体について、上述した5.3.2.2の項を参照のこと。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSおよび異種性分子を含む融合タンパク質である。
【0547】
別の局面において、治療剤は、CD28ポリペプチドおよび異種性分子を含むタンパク質である。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2とCD28との相互作用を調節する。別の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2のCD28への結合を選択的に調節する。1つの実施形態において、治療剤は、ネイティブなCD28および異種性分子を含む。別の実施形態において、治療剤は、CD28誘導体および異種性のアミノ酸配列を含む。CD28誘導体について、上述した5.3.2.3の項を参照のこと。特定の実施形態において、治療剤は、ICOSおよび異種性分子を含む融合タンパク質である。
【0548】
別の局面において、治療剤は、CTLA−4ポリペプチドおよび異種性分子を含むタンパク質である。特定の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2とCTLA−4との相互作用を調節する。別の実施形態において、このような治療剤は、B7−H2のCTLA−4への結合を選択的に調節する。1つの実施形態において、治療剤は、ネイティブなCTLA−4および異種性分子を含む。別の実施形態において、治療剤は、CTLA−4誘導体および異種性のアミノ酸配列を含む。CTLA−4誘導体について、上述した5.3.2.4の項を参照のこと。特定の実施形態において、治療剤は、CTLA−4および異種性分子を含む融合タンパク質である。
【0549】
特定の実施形態において、治療剤は、ICOSポリペプチド、CD28ポリペプチド、またはCTLA−4ポリペプチドと、異種性分子とを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、このような治療剤は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、このような治療剤は、抑制性の治療剤である。
【0550】
B7−H2ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CD28ポリペプチドまたはCTLA−4ポリペプチドは、異種性分子に共有結合または非共有結合で結合し得る。特定の実施形態において、B7−H2ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CD28ポリペプチドまたはCTLA−4ポリペプチドは、(例えばペプチド結合を介してアミノ酸配列を連結することによって)異種性分子に直接的に共有結合または非共有結合で結合する。他の実施形態において、B7−H2ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CD28ポリペプチドまたはCTLA−4ポリペプチドは、1つ以上のリンカーを用いて異種性分子に連結されている。B7−H2ポリペプチド、ICOSポリペプチド、CD28ポリペプチドまたはCTLA−4ポリペプチドを異種性分子に複合体化するためのリンカーについて、5.2.3の項を参照のこと。
【0551】
いくつかの実施形態において、異種性分子は、IgG免疫グロブリンのFcドメインまたはそのフラグメントである。特定の実施形態において、異種性分子はPEGである。いくつかの実施形態において、異種性分子は、所望の生物学的活性を有している治療的な分子である。特定の実施形態において、異種性分子は、サイトカインまたは増殖因子である。いくつかの実施形態において、異種性分子は小分子である。
【0552】
いくつかの実施形態において、異種性分子は、タンパク質の安定性を増加させる。このような異種性分子の例として、5.2.3の項を参照のこと。特定の実施形態において、異種性分子は、改変されたFcドメインまたはそのフラグメントであり、融合タンパク質の安定性を増加させる。他の実施形態において、異種性分子はタンパク質の安定性を低減させる。特定の実施形態において、異種性分子は、改変されたFcドメインであり、融合タンパク質の安定性を低減させる。いくつかの実施形態において、異種性分子は検出可能な分子である。検出可能な分子の例として、5.1.2および5.2.3の項を参照のこと。いくつかの実施形態において、異種性分子は、マーカーアミノ酸配列または透過性(penetrating)ペプチドである。マーカーアミノ酸配列または透過性ペプチドの例として、5.2.3の項を参照のこと。
【0553】
〔5.3.4 核酸〕
〔5.3.4.1 B7−H2核酸〕
1つの局面において、本発明は治療剤を提供し、この治療剤は、B7−H2をコードする核酸である。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H2は、以下のレセプターの1つ以上に結合し得る:ICOS、CD28またはCTLA−4。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H2は、ICOS、CD28またはCTLA−4のいずれかに選択的に結合する。特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H2は、免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるB7−H2は、抑制性の治療剤である。
【0554】
ネイティブなB7−H2をコードする核酸配列は当該分野で公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなB7−H2をコードする核酸配列は、利用可能な刊行物またはデータベース(例えば、ncbi.nlm.nih.gov.のNational Center for Biotechnology Informationウエブサイト)に見出され得る。当該分野で周知のクローニング技術を用いて、B7−H2をコードする核酸が生成される。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照のこと。
【0555】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなB7−H2をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述した5.3.3の項に記載された融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、B7−H2誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードするB7−H2誘導体について、上述した5.3.2.1の項を参照のこと。
【0556】
特定の実施形態において、B7−H2をコードする核酸としては以下が挙げられる:(a)ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一な核酸配列;(b)ネイティブなB7−H2ポリペプチドのアミノ酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一なポリペプチドをコードする核酸配列;(c)ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個の核酸塩基変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいる核酸配列;(d)高度、中程度または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高度、中程度または典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントにハイブリダイズする核酸配列;ならびに、(f)ネイティブなB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。特定の実施形態において、核酸の観点でのB7−H2誘導体は、ヒトB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのB7−H2誘導体は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのB7−H2誘導体は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0557】
特定の実施形態において、B7−H2ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H2ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、B7−H2ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトB7−H2ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸配列は、上述した5.3.2.1の項に記載されたB7−H2誘導体をコードする。
【0558】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチド(B7−H2ポリペプチドの成熟形態および未成熟形態を含む。)をコードするコドン最適化された核酸配列を含む。他の実施形態において、核酸配列は、哺乳動物のB7−H2 RNA転写物の安定性を増加させるアミノ酸配列に影響することなく、潜在的なスプライシング部位および不安定性エレメント(例えばA/TまたはA/Uが豊富なエレメント)を排除する変異を含んでいるB7−H2 RNA転写物をコードする核酸を含む。
【0559】
特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、B7−H2のネイティブなレセプター(例えば、ICOS,CD28またはCTLA−4)に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSに結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびICOSの少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28、ICOSおよびCTLA−4のいずれかに結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチド。
【0560】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSに結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびCTLA−4に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSおよびCD28の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのICOSおよびCD28の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCD28およびICOSに結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCTLA−4に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドのCTLA−4に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0561】
他の特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、B7−H2のネイティブなレセプター(例えば、ICOS,CD28またはCTLA−4)に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ICOSに結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、CD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、CD28およびICOSの少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、CTLA−4およびICOSの少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、CD28、ICOSおよびCTLA−4のいずれかに結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。
【0562】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、B7−H2ポリペプチドの、B7−H2のネイティブなレセプター(例えば、ICOS,CD28またはCTLA−4)がネイティブなB7−H2ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。B7−H2ポリペプチドがB7−H2のレセプターに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上が、例えば、シグナル伝達経路に存在する分子の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−κBまたはStat1)の局在変化、およびサイトカイン(例えば、IL−2,IL−4,IL−5,IL−10,IL−17,インターフェロンγ、または腫瘍壊死因子α)の産生を、ELISA、ウエスタンブロッティング、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイのような技術を用いて評価することによって測定され得る。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびICOSの少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28、ICOSおよびCTLA−4のいずれかに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。
【0563】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0564】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0565】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0566】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0567】
別の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0568】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているB7−H2ポリペプチドをコードするが、上記B7−H2ポリペプチドは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびICOSの少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびICOSの少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0569】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなICOSに結合するB7−H2ポリペプチドをコードし、上記B7−H2ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがネイティブなICOSに結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、核酸配列は、ICOSに結合するB7−H2ポリペプチドをコードし、上記B7−H2ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなICOSに結合するネイティブなB7−H2ポリペプチドよりも、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%または75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。
【0570】
他のいくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがB7−H2のネイティブなレセプター(例えば、ICOS,CD28またはCTLA−4)に結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがCD28およびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSおよびCD28の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOSおよびCTLA−4の少なくとも一方に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがICOS、CD28およびCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているB7−H2ポリペプチドをコードする。
【0571】
〔5.3.4.2 ICOS核酸〕
1つの局面において、本発明は治療剤を提供し、この治療剤は、ICOSをコードする核酸である。特定の実施形態において、核酸によってコードされるICOSは、B7−H2に結合し得る。特定の実施形態において、核酸によってコードされるICOSは、B7−H2に選択的に結合するが、他のリガンドに結合しない。特定の実施形態において、核酸によってコードされるICOSは、免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるICOSは、抑制性の治療剤である。
【0572】
ネイティブなICOSをコードする核酸配列は当該分野で公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなICOSをコードする核酸配列は、利用可能な刊行物またはデータベース(例えば、ncbi.nlm.nih.gov.のNational Center for Biotechnology Informationウエブサイト)に見出され得る。当該分野で周知のクローニング技術を用いて、ICOSをコードする核酸が生成される。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照のこと。
【0573】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなICOSをコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述した5.3.3の項に記載された融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、ICOS誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードするICOS誘導体について、上述した5.3.2.2の項を参照のこと。
【0574】
特定の実施形態において、ICOSをコードする核酸としては以下が挙げられる:(a)ネイティブなICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一な核酸配列;(b)ネイティブなICOSポリペプチドのアミノ酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一なポリペプチドをコードする核酸配列;(c)ネイティブなICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個の核酸塩基変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいる核酸配列;(d)高度、中程度または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高度、中程度または典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントにハイブリダイズする核酸配列;ならびに、(f)ネイティブなICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。特定の実施形態において、核酸の観点でのICOS誘導体は、ヒトICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのICOS誘導体は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのICOS誘導体は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0575】
特定の実施形態において、ICOSポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、ICOSポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、ICOSポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトICOSポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0576】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなICOSポリペプチド(ICOSポリペプチドの成熟形態および未成熟形態ならびにそのフラグメントを含む。)をコードするコドン最適化された核酸配列を含む。他の実施形態において、核酸配列は、哺乳動物のICOS RNA転写物の安定性を増加させるアミノ酸配列に影響することなく、潜在的なスプライシング部位および不安定性エレメント(例えばA/TまたはA/Uが豊富なエレメント)を排除する変異を含んでいるICOS RNA転写物をコードする核酸を含む。
【0577】
特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドの、ICOSのネイティブなリガンド(例えば、B7−H2)に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているICOSポリペプチド。特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなICOSポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているICOSポリペプチド。
【0578】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドのネイティブなICOSリガンド(例えばB7−H2)に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているICOSポリペプチドをコードする。
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなICOSポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているICOSポリペプチドをコードする。
【0579】
特定の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、または75%〜95%高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。
【0580】
特定の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、または75%〜95%低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなICOSリガンドに結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているICOSポリペプチドをコードする。
【0581】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドの、ネイティブなICOSリガンド(例えばB7−H2)がネイティブなICOSポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているICOSポリペプチドをコードする。ICOSリガンドがICOSポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上が、例えば、シグナル伝達経路に存在する分子の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−κBまたはStat1)の局在変化、およびサイトカイン(例えば、IL−2,IL−4,IL−5,IL−10,IL−17,インターフェロンγ、または腫瘍壊死因子α)の産生を、ELISA,ウエスタンブロッティング、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイのような技術を用いて評価することによって測定され得る。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなICOSポリペプチドの、B7−H2がネイティブなICOSポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているICOSポリペプチドをコードする。
【0582】
特定の実施形態において、核酸配列は、ICOSポリペプチドのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−1、B7−2またはB7−H2)に結合するICOSポリペプチドをコードし、上記ICOSポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドがネイティブなリガンドに結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H2に結合するICOSポリペプチドをコードし、上記ICOSポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなB7−H2に結合するネイティブなICOSよりも、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%または75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。
【0583】
他のいくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなICOSポリペプチドの、ネイティブなICOSリガンド(例えばB7−H2)がネイティブなICOSポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているICOSポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなB7−H2ポリペプチドの、ネイティブなB7−H2ポリペプチドがネイティブなICOSポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているICOSポリペプチドをコードする。
【0584】
〔5.3.4.3 CD28核酸〕
1つの局面において、本発明は治療剤を提供し、この治療剤は、CD28をコードする核酸である。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCD28は、B7−H2に結合し得る。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCD28は、B7−H2に選択的に結合するが、他のリガンド(例えばB7−1およびB7−2)に結合しない。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCD28は、免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるCD28は、抑制性の治療剤である。
【0585】
ネイティブなCD28をコードする核酸配列は当該分野で公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなCD28をコードする核酸配列は、利用可能な刊行物またはデータベース(例えば、ncbi.nlm.nih.gov.のNational Center for Biotechnology Informationウエブサイト)に見出され得る。当該分野で周知のクローニング技術を用いて、CD28をコードする核酸が生成される。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照のこと。
【0586】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなCD28をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述した5.3.3の項に記載された融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、CD28誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードするCD28誘導体について、上述した5.3.2.3の項を参照のこと。
【0587】
特定の実施形態において、CD28をコードする核酸としては以下が挙げられる:(a)ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一な核酸配列;(b)ネイティブなCD28ポリペプチドのアミノ酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一なポリペプチドをコードする核酸配列;(c)ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個の核酸塩基変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいる核酸配列;(d)高度、中程度または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高度、中程度または典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントにハイブリダイズする核酸配列;ならびに、(f)ネイティブなCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。特定の実施形態において、核酸の観点でのCD28誘導体は、ヒトCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのCD28誘導体は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのCD28誘導体は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0588】
特定の実施形態において、CD28ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、CD28ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、CD28ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCD28ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0589】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチド(CD28ポリペプチドの成熟形態および未成熟形態ならびにそのフラグメントを含む。)をコードするコドン最適化された核酸配列を含む。他の実施形態において、核酸配列は、哺乳動物のCD28 RNA転写物の安定性を増加させるアミノ酸配列に影響することなく、潜在的なスプライシング部位および不安定性エレメント(例えばA/TまたはA/Uが豊富なエレメント)を排除する変異を含んでいるCD28 RNA転写物をコードする核酸を含む。
【0590】
特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドの、ネイティブなCD28リガンド(例えば、B7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチド。特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードするが、上記CD28ポリペプチドは、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0591】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードするが、上記CD28ポリペプチドは、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−H2に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0592】
他の特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドのネイティブなCD28リガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。
【0593】
特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するアフィニティよりも高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、50%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%もしくは75%〜95%高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。
【0594】
特定の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンドに結合するアフィニティよりも低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンドに結合するアフィニティよりも、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、または75%〜95%低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなCD28リガンドに結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCD28ポリペプチドをコードする。
【0595】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドの、ネイティブなCD28リガンド(例えばB7−H2,B7−1またはB7−2)がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードする。CD28リガンドがCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上が、例えば、シグナル伝達経路に存在する分子の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−κBまたはStat1)の局在変化、およびサイトカイン(例えば、IL−2,IL−4,IL−5,IL−10,IL−17,インターフェロンγ、または腫瘍壊死因子α)の産生を、ELISA,ウエスタンブロッティング、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイのような技術を用いて評価することによって測定され得る。
【0596】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードするが、上記核酸配列によってコードされるCD28ポリペプチドは、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0597】
別の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCD28ポリペプチドをコードするが、上記核酸配列によってコードされるCD28ポリペプチドは、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0598】
特定の実施形態において、核酸配列は、CD28ポリペプチドのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−1、B7−2またはB7−H2)に結合するCD28ポリペプチドをコードし、上記CD28ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドがネイティブなリガンドに結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H2に結合するCD28ポリペプチドをコードし、上記CD28ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなB7−H2に結合するネイティブなCD28よりも、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%または75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。
【0599】
他のいくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCD28ポリペプチドの、ネイティブなCD28リガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)がネイティブなCD28ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCD28ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCD28ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCD28ポリペプチドをコードする。
【0600】
〔5.3.4.4 CTLA−4核酸〕
1つの局面において、本発明は治療剤を提供し、この治療剤は、CTLA−4をコードする核酸である。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCTLA−4は、B7−H2に結合し得る。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCTLA−4は、B7−H2に選択的に結合するが、他のリガンド(例えばB7−1および/またはB7−2)に結合しない。特定の実施形態において、核酸によってコードされるCTLA−4は、免疫賦活治療剤である。他の特定の実施形態において、核酸によってコードされるCTLA−4は、抑制性の治療剤である。
【0601】
ネイティブなCTLA−4をコードする核酸配列は当該分野で公知であり、文献中に記載されている。例えば、ネイティブなCTLA−4をコードする核酸配列は、利用可能な刊行物またはデータベース(例えば、ncbi.nlm.nih.gov.のNational Center for Biotechnology Informationウエブサイト)に見出され得る。当該分野で周知のクローニング技術を用いて、CTLA−4をコードする核酸が生成される。例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1995); Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d ed.), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Birren et al., Genome Analysis: A Laboratory Manual, volumes 1 through 4, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1997-1999)を参照のこと。
【0602】
1つの実施形態において、治療剤はネイティブなCTLA−4をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、上述した5.3.3の項に記載された融合タンパク質をコードする核酸を含んでいる。別の実施形態において、治療剤は、CTLA−4誘導体をコードする核酸を含んでいる。核酸がコードするCTLA−4誘導体について、上述した5.3.2.4の項を参照のこと。
【0603】
特定の実施形態において、CTLA−4をコードする核酸としては以下が挙げられる:(a)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一な核酸配列;(b)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのアミノ酸配列に、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%または85%〜99%同一なポリペプチドをコードする核酸配列;(c)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列に、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20個またはそれ以上、あるいは、2〜5、2〜10、5〜10、5〜15、5〜20、10〜15または15〜20個の核酸塩基変異(例えば、付加、欠失および/または置換)を含んでいる核酸配列;(d)高度、中程度または典型的にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高度、中程度または典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントにハイブリダイズする核酸配列;ならびに、(f)ネイティブなCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列のフラグメントをコードする核酸配列。特定の実施形態において、核酸の観点でのCTLA−4誘導体は、ヒトCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのCTLA−4誘導体は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸の観点でのCTLA−4誘導体は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0604】
特定の実施形態において、CTLA−4ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドをコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、CTLA−4ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドの未成熟形態すなわち前駆体形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、CTLA−4ポリペプチドをコードする核酸配列は、ネイティブなヒトCTLA−4ポリペプチドの成熟形態をコードする天然に存在する核酸配列の誘導体である。
【0605】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチド(CTLA−4ポリペプチドの成熟形態および未成熟形態ならびにそのフラグメントを含む。)をコードするコドン最適化された核酸配列を含む。他の実施形態において、核酸配列は、哺乳動物のCTLA−4 RNA転写物の安定性を増加させるアミノ酸配列に影響することなく、潜在的なスプライシング部位および不安定性エレメント(例えばA/TまたはA/Uが豊富なエレメント)を排除する変異を含んでいるCTLA−4 RNA転写物をコードする核酸を含む。
【0606】
特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えば、B7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチド。特定の実施形態において、核酸配列は以下をコードする:ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチド。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードするが、上記CTLA−4ポリペプチドは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0607】
別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードするが、上記CTLA−4ポリペプチドは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2に結合する機能が残っていないか、あるいは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0608】
他の特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−H2に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドのB7−1およびB7−2の少なくとも一方に結合する機能が、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。
【0609】
特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するアフィニティよりも高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、50%、75%、80%、85%、90%、95%もしくは98%、または25%〜50%、25%〜75%、50%〜95%もしくは75%〜95%高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイ(例えば、ELISA、Biacoreまたは免疫共沈法)によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2)に結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs高い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。
【0610】
特定の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンドに結合するアフィニティよりも低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンドに結合するアフィニティよりも、少なくとも25%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜95%、または75%〜95%低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、周知のアッセイ/技術によって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなCTLA−4リガンドに結合するアフィニティよりも、0.5logs,1logs,1.5logs,2logs,2.5logsまたは3logs低い、同一リガンドに対するアフィニティを有しているCTLA−4ポリペプチドをコードする。
【0611】
いくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2,B7−1またはB7−2)がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。CTLA−4リガンドがCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上が、例えば、シグナル伝達経路に存在する分子の活性化(例えば、Junキナーゼ活性化、MAPキナーゼ活性化、PKC活性化)、転写因子(例えば、NF−κBまたはStat1)の局在変化、およびサイトカイン(例えば、IL−2,IL−4,IL−5,IL−10,IL−17,インターフェロンγ、または腫瘍壊死因子α)の産生を、ELISA,ウエスタンブロッティング、電気移動度シフトアッセイ、および他の免疫アッセイのような技術を用いて評価することによって測定され得る。
【0612】
特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードするが、上記核酸配列によってコードされるCTLA−4ポリペプチドは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0613】
別の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%または75%〜100%の範囲残っているCTLA−4ポリペプチドをコードするが、上記核酸配列によってコードされるCTLA−4ポリペプチドは、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力が残っていないか、あるいは、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っている。
【0614】
特定の実施形態において、核酸配列は、CTLA−4ポリペプチドのネイティブなリガンド(例えばネイティブなB7−H2)に結合するCTLA−4ポリペプチドをコードし、上記CTLA−4ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドがネイティブなリガンドに結合するよりもより高いレベルの活性を誘導する。いくつかの実施形態において、核酸配列は、B7−H2に結合するCTLA−4ポリペプチドをコードし、上記CTLA−4ポリペプチドは、例えば、シグナル伝達分子の1つ以上の活性化または誘導によって評価される場合に、ネイティブなB7−H2に結合するネイティブなCTLA−4よりも、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%、あるいは、25%〜50%、25%〜75%、25%〜98%、50%〜75%、50%〜98%または75%〜90%高いレベルの活性を誘導する。
【0615】
他のいくつかの実施形態において、核酸配列は、当該分野で周知のアッセイによって測定される場合に、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、ネイティブなCTLA−4リガンド(例えばB7−H2、B7−1またはB7−2)がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合する際に誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−H2がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。別の特定の実施形態において、核酸配列は、ネイティブなCTLA−4ポリペプチドの、B7−1およびB7−2の少なくとも一方がネイティブなCTLA−4ポリペプチドに結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を活性化または誘導する能力の、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満もしくは2%未満、または、2%〜20%、2%〜15%、2%〜10%もしくは2%〜5%の範囲だけ残っているCTLA−4ポリペプチドをコードする。
【0616】
〔5.3.4.5 抗体をコードする核酸〕
1つの局面において、治療剤は上述した5.3.1の項に記載した抗体(抗体結合体または融合タンパク質を含む。)をコードする核酸配列である。いくつかの実施形態において、核酸配列によってコードされる抗体は、免疫賦活治療剤である。他の実施形態において、核酸配列によってコードされる抗体は、抑制性の治療剤である。
【0617】
〔5.3.4.6 構築物およびリコンビナント発現〕
タンパク質をコードする核酸は、哺乳動物細胞、細菌、酵母およびウイルスにおける発現のための核酸構築物に挿入され得る。核酸の発現についての構築物に関する情報を記載した5.2.4.4の項を参照のこと。その項に記載した実施形態は、本項でも適用可能である。
【0618】
〔5.3.5 細胞〕
上述した5.2.5の項に記載した核酸コンストラクトによってコードされるタンパク質を発現するために、細胞が操作され得る。一実施形態において、そのような細胞が、コントロール細胞(例えば、タンパク質を組換え的に発現するようにこれまでに遺伝子操作されていない細胞)によって内因性に発現されるタンパク質の量よりも少なくとも1倍,2倍,3倍,4倍,5倍,6倍,7倍,8倍,9倍,10倍,20倍,30倍,40倍,50倍またはそれ以上の量のタンパク質を発現する。さらに、細胞は、当業者に周知の技術を用いて、上述した5.3.1の項に記載した抗体を発現するように操作され得る。例えば、米国特許番号第5,807,715号、同第6,331,415号および同第6,818,216;米国特許出願公開番号US2002/0098189、US2004/0028685、US2005/0019330およびUS2007/0086943;国際公開番号WO02/46237;ならびに、Harlow et al., Antibodies. A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981) (これらの文献の全体が本明細書中にて参考として援用される。)を参照のこと。核酸の発現のために選択された細胞は、細胞の意図された使用に依存する。タンパク質を内因性に発現する細胞と同様に細胞をグリコシル化するか否かのような要因は、細胞を選択する際に考慮され得る。タンパク質を組換え的に発現するために遺伝子操作された細胞に関する情報について上述した5.2.5の項を参照のこと。その項に記載された実施形態は、本項でも適用可能である。
【0619】
〔5.3.6 化合物〕
別の実施形態において、治療剤は、化合物(例えば小分子)である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2がICOS、CD28およびCTLA−4の1つ以上に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上を調節する化合物である。いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H2とICOS、CD28およびCTLA−4の1つ以上との間の相互作用を調節する化合物である。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の発現を調節する化合物である。特定の実施形態において、治療剤は、以下を選択的に調節する:(i)B7−H2がICOS、CD28またはCTLA−4に結合することによって誘導されるシグナル伝達経路の1つ以上;(ii)B7−H2とICOS、CD28またはCTLA−4との間の相互作用;および/または(iii)B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の発現の調節。化合物としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ペプチド;タンパク質;ペプトイド;生物学的なランダムオリゴマー;ダイバーソマー(例えば、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、ジペプチド);ビニル様(vinylogous)ポリペプチド;非ペプチド性(nonpeptidal)ペプチド模倣物;オリゴカルバメート;ペプチジルホスホネート;核酸(例えば、RNAi、アンチセンスおよびマイクロRNA);抗体;ならびに炭水化物。特定の実施形態において、治療剤は、小分子である。
【0620】
特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の発現を阻害または抑制するアンチセンス核酸分子である。アンチセンス分子に関する情報について上述した5.2.6の項を参照のこと。
【0621】
いくつかの実施形態において、治療剤は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の核酸に特異的なリボザイムである。特定の実施形態において、治療剤は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の発現を阻害または低減させる干渉RNA(siRNA)である。リボザイムおよびsiRNAに関する情報について上述した5.2.6の項を参照のこと。
【0622】
〔5.4 組成物〕
以下、免疫賦活治療剤および抑制性の治療剤を含む1以上の治療剤を含有する組成物について示す。上記組成物は、組成物の製造に有用なバルク状の薬物組成物(例えば、純度の低い組成物、または非滅菌組成物)と、単位剤形の調製に用いられうる薬学的組成物(すなわち、被験体または患者への投与に好適な組成物)とを含む。上記組成物は、治療剤、または、治療剤および薬学的に受容可能なキャリアの組み合わせを有効量含有する。特定の実施形態において、上記組成物は、1以上の治療剤および薬学的に受容可能なキャリアを有効量含有する。特定の実施形態において、薬学的組成物は、所望の効果(例えば、Tリンパ球の増殖の調節、免疫機能の調節、または病気の予防、治療、管理)を達成するために有効な量の治療剤を含有する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、他の治療/治療法、例えば、抗ガン剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、アジュバントをさらに含有する。かかる治療/治療法の限定されるものではない例は、5.7章などに後述する。
【0623】
特定の実施形態において、用語「薬学的に受容可能な」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって認可されていること、または、米国薬局方または他の一般的に認識されている動物用、特にヒト用の薬局方に記載されていることを意味する。用語「キャリア」とは、治療薬とともに投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイント(Freund)のアジュバント(完全および不完全)、または、より好ましくは、Chiron、Emeryville、CAから入手しうるMF59C.1 アジュバント)、賦形剤、またはビヒクルを意味する。かかる薬学的キャリアは、水および、落花生油、大豆油、鉱物油、胡麻油などの石油、動物、植物または合成起源のものを含む油のような無菌の液体でありうる。一実施形態において、水が上記薬学的組成物を静脈内に投与するときのキャリアである。塩類溶液およびデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射溶液用の液状キャリアとして使用することができる。適当な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、コムギ粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望であれば、上記組成物はまた、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤を含有してもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁剤、乳濁剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、粉剤、徐放製剤などの剤形をとってもよい。
【0624】
本明細書で述べる方法に従った用途の薬学的組成物は、1以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を用いて、従来公知の方法で製剤されうる。
【0625】
一般的に、治療剤を含有する薬学的組成物の成分は、別々に、または互いに混合されて単位剤形で、例えば乾燥した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、活性薬剤の量を示すアンプルなどの密封容器またはサシェット(sachette)に入れて供給する。上記治療剤を輸液により投与する場合、それを無菌の製薬グレードの水または塩類溶液(例えばPBS)を含有する輸液ボトルを用いて調剤することができる。上記治療剤を注射により投与する場合、注射用滅菌水または塩類溶液のアンプルを用意し、投与前に成分を混合することができる。
【0626】
いくつかの実施形態において、治療剤は、吸入による投与、通気法(口か鼻のどちらかを通じて)による投与、経口投与、皮内投与、経皮投与、非経口的内部投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、および粘膜(頬、膣、直腸、舌下など)投与を含む特に限定されるものではない従来公知の方法によって製剤され、投与されうる。
【0627】
特定の実施形態において、上記治療剤は、局所的または全身的の非経口投与用に製剤される。一実施形態において、上記治療剤は薬学的に適合性のある溶液中で製剤される。
【0628】
経口投与では、ポリペプチドまたは核酸である治療剤を含有する上記薬学的組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、もしくはリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、もしくはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に受容可能な賦形剤を用いて、通常の方法で調製した錠剤またはカプセル剤の剤形をとることができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口投与用の液調製物は、例えば溶液、シロップ剤、もしくは懸濁剤の形をとることができるし、または、これらを使用前に水もしくは他の適切なビヒクルを使って構成する乾燥品として提供することができる。かかる液調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体もしくは水添食用脂);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、もしくは分留植物油);および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、もしくはソルビン酸)などの薬学的に受容可能な添加剤を用いて、通常の方法で調製することができる。上記調製物はまた、緩衝塩、香料、着色剤、および甘味剤を適宜含有してもよい。経口投与用調製物は、上記治療剤またはその組成物を制御放出するように好適に製剤することができる。バッカル投与では、上記組成物は、通常の方法で製剤した錠剤またはトローチ剤の剤形を取ることができる。
【0629】
吸入による投与では、上記治療剤を、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で好都合に送達する。加圧エアロゾルの場合、所定の量を送達するバルブを用いることにより、投与単位を決定することができる。吸入器または吹送器で使用する、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、この化合物とラクトースやデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤することができる。
【0630】
上記治療剤は、注射、例えばボーラス注射または連続輸液による非経口投与用に製剤することができる。注射用製剤は、保存剤を加えた単位剤形、例えば、アンプルや多用量容器で提供することができる。上記組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液、乳剤などの形をとることができ、また懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤などの製剤用薬剤を含有してもよい。あるいは、上記治療剤は粉末の形であって、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない無菌水を用いて構成するようにしてもよい。
【0631】
上記治療剤はまた、例えばココアバターや他のグリセリドなどの通常の坐薬基剤を含有する坐薬や停留浣腸などの直腸用組成物に製剤することもできる。
【0632】
前述した上記製剤に加えて、上記治療剤はまた、(例えば皮下もしくは筋肉内)移植または筋肉内注射用に製剤することができる。
【0633】
特定の実施形態において治療剤と組み合わせて用いる種々の化学治療剤、生物学的/免疫治療剤およびホルモン治療剤の製剤並びに投与は、当技術分野で公知であり、しばしばPhysicians’ Desk Reference、63rd ed. (2009)に記載されている。いくつかの実施形態において、上記治療剤は後述する5.7章などで述べた他の治療剤とともに製剤される。いくつかの実施形態において、B7−H7,B7−H7CR,B7−H2,ICOS,CD28またはCTLA−4を組み替え的に発現する細胞を含有する治療剤は、薬学的組成物として製剤される。
【0634】
〔5.5 免疫機能を増強する治療剤の予防用途および治療用途〕
(5.5.1 免疫機能の増強)
一側面において、本明細書に示す方法は、被験体の1以上の免疫機能または免疫応答を増強する方法であり、免疫賦活治療剤またはその組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含有する。特定の実施形態において、本明細書に示す方法は、1以上の免疫機能または免疫応答を活性化または増強することが所望される病気を予防、治療および/または管理する方法であり、免疫賦活治療剤またはその組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含有する。他の特定の実施形態において、上記方法は、後述するように、1以上の免疫機能または免疫応答を活性化または増強するため、上記免疫賦活治療剤を他の治療剤と組み合わせて被験体に投与する複合療法を含有する。特定の実施形態では、上記免疫賦活治療剤は、抗原組成物と組み合わせたアジュバントとして投与される。特定の実施形態において、上記免疫賦活治療剤は、ワクチン組成物によって誘発される免疫応答を活性化または増強するために、ワクチン組成物と組み合わせて投与される。
【0635】
免疫機能の増強によって予防、治療または管理することができる病気の例としては、特に限定されるものではないが、ガン、感染症、浸出性マクロファージによって特徴付けられる疾病、またはアテローム性動脈硬化症が含まれる。種々のガンおよび感染症が以下に開示されている。特定の実施形態において、本明細書で述べる免疫賦活治療剤は、ガンに伴う症状または抗ガン治療(例えば、化学療法または放射線)に由来する症状を治療または管理するために用いうる。特定の実施形態においては、免疫賦活治療剤は、リンパ球減少症の治療または管理に用いうる。他の実施形態において、免疫賦活治療剤は、患者の1以上の免疫細胞集団を増殖させ、および/または、患者の1以上の免疫細胞集団のエフェクター機能を増加させるために、ガンと診断された患者に投与される。
【0636】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、被験体の1以上の免疫機能または免疫応答を、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも10%、活性化、増強または誘導するか、あるいは、被験体の1以上の免疫機能または免疫応答を、当該技術分野において周知のアッセイ、例えばELISPOT,ELISA、および細胞増殖アッセイを用いた場合、上記免疫賦活治療剤を投与しない被験体中の免疫機能に対して10%から25%までの間の範囲、25%から50%までの間の範囲、50%から75%までの間の範囲、75%から95%までの間の範囲に活性化、増強または誘導する。特定の実施形態において、上記免疫機能は、サイトカインの放出(例えば、インターフェロン−ガンマ、IL−2、IL−5、IL−10、IL−12またはトランスフォーミング成長因子(TGF)−ベータ)である。一実施形態において、上記免疫機能はNK細胞の増殖である。NK細胞の増殖は、例えば、フローサイトメトリーによってアッセイすることができる。フローサイトメトリーは、NK細胞(例えばCD56)のマーカーを発現する細胞の数を検出する。一実施形態において、上記免疫機能はT細胞の増殖である。T細胞の増殖は、T細胞(例えば、CD3、CD4、またはCD8)のマーカーを発現する細胞の数を検出するフローサイトメトリーによってアッセイすることができる。他の実施形態において、上記免疫機能は抗体産生である。抗体産生は、例えばELISAによってアッセイすることができる。いくつかの実施形態においては、上記免疫機能はエフェクター機能である。エフェクター機能は、例えば細胞毒性アッセイまたは当該技術分野において周知の他のアッセイによってアッセイすることができる。他の実施形態において、上記免疫機能は、Th17応答である。他の実施形態において、上記免疫機能はTh22応答である。他の実施形態において、上記免疫機能はメモリー応答である。
【0637】
特定の実施形態において、上記免疫賦活治療剤によって増強されうる免疫機能の限定されるものではない例は、リンパ球の増殖/拡大(例えば、リンパ球数の増加)、リンパ球のアポトーシスの阻害、樹状細胞(または抗原提示細胞)の活性化、および抗原提示である。特定の実施形態において、上記免疫賦活治療剤によって増強される免疫機能は、CD4T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8T細胞(例えば、細胞毒性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、プラズマ細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(不完全または完全)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数の増殖/拡大または活性化である。一実施形態において、上記免疫賦活治療剤はリンパ球前駆細胞の増殖/拡大または数を活性化または増強する。特定の実施形態において、上記免疫賦活治療剤は、制御性T細胞の増殖/拡大を減少させる。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤は、CD4T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8T細胞(例えば、細胞毒性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、プラズマ細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(不完全または完全)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数を、およそ少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、または、少なくとも10%増加させるか、あるいは、ネガティブコントロール(例えば、免疫賦活治療剤で処置していない細胞、免疫賦活治療剤と共に培養していない細胞、または免疫賦活治療剤と接触していない細胞の、それぞれの細胞の数)に対して10%から25%の範囲、25%から50%の範囲、50%から75%の範囲、75%から95%の範囲に増加させる。
【0638】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、CTLA−4がそのリガンド(例えば、B7−1、B7−2、B7−H2)の1つ以上に結合することによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路を阻害または減少させる。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤は、ネイティブなCTLA−4が1以上のネイティブなCTLA−4のリガンド(例えば、B7−1、B7−2、B7−H2)に結合することを阻害または減少させる。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、B7−H2−Igポリペプチドもしくはその誘導体、または本明細書で述べる他のCTLA−4阻害剤である。特定の実施形態において、慢性疾患(例えばHIVまたはHCVへの感染、ガンなど)は、そのような免疫賦活治療剤を投与することによって治療または管理される。
【0639】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、CD28がそのリガンド(例えば、B7−1、B7−2、B7−H2)の1つ以上に結合することによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路を増強、活性化または誘導する。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、B7−H2Igポリペプチドまたは本明細書で述べる他のアゴニストである。特定の実施形態において、急性疾患(例えば、急性の感染症)はこのような免疫賦活治療剤を投与することによって治療され、管理される。
【0640】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、ICOSがそのリガンド(例えばB7−H2)の1つ以上に結合することによって媒介される1つ以上のシグナル伝達経路を増強、活性化または誘導する。特定の実施形態において、慢性疾患(例えば慢性ウイルス感染症)はこのような免疫賦活治療剤を投与することによって治療され、管理される。
【0641】
上記免疫刺激性分子であるB7−1およびB7−2は、恒常的な刺激性CD28レセプターよりも高い親和性で、誘導性の抑制型CTLA−4レセプターに結合する。それゆえ、B7−1およびB7−2は、はじめにCD28を介する免疫応答を刺激するが、後にCTLA−4を介する免疫応答を阻害する。これにより、免疫系の過剰な刺激を防止する。対照的に、B7−H2は、CD28およびICOSに比べて、CTLA−4に対する親和性が比較的低い。それゆえ、アゴニストであるB7−H2ポリペプチドまたはその融合体(例えばB7−H2−Ig)は、CD28(恒常性レセプター)およびICOS(誘導性レセプター)を介した、慢性のガンおよび感染症の治療のため、およびメモリー応答を発生させるための持続性の免疫応答を作り出すために非常に有用でありうる。さらに、アゴニストであるB7−H2ポリペプチドまたはその融合体(例えばB7−H2−Ig)は、ガンおよび感染症に対するワクチンのような、免疫刺激によるその他の治療用のための非常に有用な「アジュバント」でありうる。この効果は、CTLA−4阻害剤、例えば抗CTLA−4との組み合わせにより増強されうる。
【0642】
(5.5.1.1 癌)
特定の側面において、本明細書に示す方法は、ガンを予防、治療および/または管理する方法であり、免疫賦活治療剤またはその組成物の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含有する。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤またはその組成物は、被験体に投与される唯一の活性化因子である(すなわち、単剤治療)。
【0643】
免疫賦活治療剤のガン細胞の増殖に対する効果は、放射標識されたチミジンの取り込みを測定するアッセイのような、常法によって検出することができる。また、細胞生存率は、細胞の溶解に伴い放出される安定な細胞質酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を測定するアッセイ、または、細胞の溶解に伴う〔51Cr〕の放出によって測定することができる。一実施形態において、細胞の壊死は、ニュートラルレッド、トリパンブルーまたはALAMARTHブルー(Page et al., 1993, Intl. J. of Oncology 3:473 476)のような染色液を取り込む細胞の能力の有無によって測定した。そのようなアッセイにおいて、細胞は染色液を含有する培地中で培養され、洗浄され、細胞による染色液の取り込みを反映している残存染色液が分光的に測定される。
【0644】
他の実施形態において、染色液はタンパク質への結合が細胞毒性の指標として用いられうるスルホロダミンB(SRB)(Skehan et al., 1990, J. Nat’l Cancer Inst. 82:1107 12)である。さらなる他の実施形態では、MTTのようなテトラゾリウム塩が、死滅した細胞ではなく、生存している細胞を検出することによって哺乳動物細胞の生存率および増殖率を求めるための比色定量アッセイに用いられる(例えば、 Mosmann, 1983, J. Immunol. Methods 65:55 63を参照)。
【0645】
他の実施形態において、アポトーシス性の細胞は、培養液の付着区画と、「浮遊」区画とで評価される。両方の区画は、上清を除去し、付着している細胞をトリプシン処理し、両方の培養物を合わせて、遠心分離洗浄工程(10分、2000rpm)に供される。有意な量のアポトーシスを得るためのスリンダクおよびその関連化合物で腫瘍細胞培養液を処理するプロトコルは、文献に開示されている(例えば、 Piazza et al., 1995, Cancer Research 55:3110 16を参照)。この方法の特徴は、浮遊細胞と付着細胞の両方を回収し、アポトーシスを観察するための最適な処理時間および最適な用量を決定し、最適な細胞培養条件を決定することを含む。
【0646】
他の実施形態において、アポトーシスはDNAの断片化を測定することによって定量される。DNAの断片化をin vitroで定量的に決定する商業的な測光法を利用できる。(断片化されたDNA中に取り込まれたラベルされたヌクレオチドを検出する)TUNEL法およびELISAをベースとしたアッセイを含むアッセイの例が、Biochemica, 1999, no. 2, pp. 34 37 (Roche Molecular Biochemicals)に開示されている。さらなる他の実施形態において、アポトーシスは形態学的に観察することができる。
【0647】
そのようなアッセイが行われるガン細胞のセルラインは当業者にとって周知である。アポトーシス、壊死および増殖のアッセイは初代細胞、例えば組織片においても行われうる。
【0648】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含有する組成物と接触したガン細胞の増殖または生存性は、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍、または、当該技術分野で周知なアッセイ、例えば、CSFE、BrdU、およびH−チミジンの取り込みを用いた細胞増殖アッセイを用いて測定した、ネガティブコントロール(例えばPBS)と接触させたガン細胞の増殖に対して2〜5倍、2〜10倍、4〜7倍、4〜10倍、もしくは7〜10倍、阻害または減少させられる。他の実施形態において、免疫賦活治療剤、または免疫賦活治療剤を含有する組成物と接触したガン細胞の増殖は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、または、当該技術分野で周知なアッセイ、例えば、CSFE、BrdU、およびH−チミジンの取り込みを用いた細胞増殖アッセイ、もしくは上述したアッセイを用いて測定した、ネガティブコントロール(例えばPBS)と接触させたガン細胞の増殖に対して25%〜65%、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%、もしくは85%〜99%、阻害または減少させられる。
【0649】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、またはその組成物をガン患者(いくつかの実施形態においては、ガンのモデル動物)に投与すると、以下の効果のうち少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の効果が得られる:(i)ガンの1以上の症状の重症度の減少または回復;(ii)ガンに関連する1以上の症状の持続期間の減少;(iii)ガンに関連する症状の再発防止;(iv)被験体の入院の減少;(v)入院期間の減少;(vi)被験体の生存性の向上;(vii)他の治療法の治療効果の増強または改良;(viii)患者の生存率の向上;(xiii)入院率の減少;(ix)ガンに関連する1以上の症状の発生または発症の防止;(x)ガンに関連する症状の数の減少;(xi)症状がない状態でのガン患者の生存増加;(xii)当該技術分野において周知な方法によって評価されるような生活の質の改良;(xiii)腫瘍の再発防止;(xiv)腫瘍および/または腫瘍に関連する1以上の症状の退行;(xvii)腫瘍の成長および/またはそれに伴う1以上の症状の阻害;(xviii)腫瘍の成長の減少;(xix)腫瘍のサイズ(例えば体積または直径)の減少;(xx)新たな腫瘍の形成の減少;(xxi)原発腫瘍、局所腫瘍および/または転移腫瘍の根絶、除去、または調節;(xxii)転移腫瘍の数またはサイズの減少;(xxiii)死亡率の減少;(xxiv)腫瘍がない状態での患者の生存率の向上;(xxv)再発のない生存の増加;(xxvi)寛解傾向にある患者数の増加;(xxvii)腫瘍のサイズが維持され、増加しない、または、磁気共鳴画像法(MRI)、ダイナミック造影磁気共鳴画像法(DCE−MRI)、X線、およびコンピュータ断層撮影法(CT)のような当業者に利用可能な従来公知の方法、または陽電子放射断層撮影法(PET)によって測定されるような標準的な治療の処置後における腫瘍の増加よりも腫瘍の増加が少ない;および/または(xxviii)患者の寛解傾向の長さの増加。
【0650】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、またはその組成物のガンを有する被験体への投与は、腫瘍の増殖を少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍、または、当該技術分野で周知なアッセイを用いて測定した、ネガティブコントロール(例えばPBS)を投与したガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、同じガンのモデル動物)の腫瘍の成長に対して2〜5倍、2〜10倍、4〜7倍、4〜10倍、もしくは7〜10倍、腫瘍の成長を阻害または減少させる。他の実施形態では、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含有する組成物のガンを有する被験体(いくつかの実施形態ではガンモデル動物)への投与は、腫瘍の成長を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%阻害または減少させられ、または、当該技術分野で周知なアッセイを用いて測定される、ネガティブコントロール(例えばPBS)を投与したガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、同じガンモデル動物)の腫瘍の成長に対して25%〜65%、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%、もしくは85%〜99%、阻害または減少させられる。
【0651】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含有する組成物のガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、ガンモデル動物)への投与は、腫瘍のサイズを、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、もしくは少なくとも10倍減少させ、または、当該技術分野で周知なアッセイを用いて測定される、ネガティブコントロール(例えばPBS)を投与したガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、同じガンモデル動物)の腫瘍の成長に対して2〜5倍、2〜10倍、4〜7倍、4〜10倍、もしくは7〜10倍、減少させる。他の実施形態では、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含有する組成物のガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、ガンモデル動物)への投与は、腫瘍のサイズを、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%減少させ、または、当該技術分野で周知なアッセイを用いて測定される、ネガティブコントロール(例えばPBS)を投与したガンを有する被験体(いくつかの実施形態では、同じガンモデル動物)の腫瘍の成長に対して10%〜25%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、75%〜95%、75%〜100%減少させる。
【0652】
特定の実施形態では、2以上の異なる免疫賦活治療剤が被験体に投与される。いくつかの実施形態では、免疫賦活治療剤は、ガンを治療および/または管理するために、1以上の他の療法、例えば、抗ガン剤、サイトカイン、細胞内ワクチン、または抗ホルモン剤、と組み合わせて被験体に投与される。特に限定されるものではない他の療法は、5.7章などに後述する。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1以上の他の療法とを組み合わせることにより、免疫賦活治療剤のみまたは1以上の他の療法のみの治療効果と比較して付加的な治療効果が得られる。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1以上の他の療法とを組み合わせることにより、免疫賦活治療剤のみまたは1以上の他の療法のみの治療効果と比較して、付加的な治療効果を超える効果が得られる。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1以上の他の療法とを組み合わせることにより、免疫賦活治療剤のみまたは1以上の他の療法のみの治療効果と比較して、相乗的な治療効果が得られる。
【0653】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤は放射線治療(例えば、X線、ガンマ線、およびガン細胞を破壊するための他の放射線源)と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、放射線治療は、外部ビームの放射またはリモートソースから放射を直接行う治療として行われる。他の実施形態では、放射線治療は、内部治療または放射性線源を体内のガン細胞または腫瘍塊の近くに配置する密封小線源治療として行われる。一側面において、上記免疫賦活治療剤は、免疫機能、または、抗ガン治療によって低下した免疫システムを持つガン患者の免疫応答を活性化もしくは増強することができる。他の実施形態において、免疫賦活治療剤は、化学療法と組み合わせて被験体に投与される。一実施形態において、免疫賦活治療剤は、放射線治療または化学療法の前、間、後に用いることができる。他の実施形態において、免疫賦活治療剤は、異なる免疫刺激経路をターゲットとする1以上の療法と組み合わせて被験体に投与される。一実施形態において、上記免疫賦活治療剤は、B7−DC−Ig(例えば、Amp−224(Amplimmune, Rockville, Maryland)、抗PD−1、抗B7−1,抗B7−2または抗CTLA4(Ipilimumab or Tremelimumab)と組み合わせて被験体に投与される。他の実施形態において、免疫賦活治療剤は、アゴニストである抗CD28(TGN1412)と組み合わせて被験体に投与される。他の実施形態において、免疫賦活治療剤は、シクロホスファミドまたはその誘導体と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、抗ホルモン剤、アロマターゼ阻害剤、リボザイム、ワクチンなどと組み合わせて被験体に投与される。
【0654】
免疫賦活治療剤と組み合わせて被験体に投与されうる抗ガン剤の例としては、特に限定されるものではないが、腫瘍におけるホルモン作用を制御または阻害するために働く、抗エストロゲンおよび選択的なエストロゲン受容体モジュレーター(SERMs)のような抗ホルモン剤がある。抗ホルモン剤としては、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTONトレミフェン;酵素アロマターゼを阻害し、副腎中でエストロゲンの産生を調節するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)Vエキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)Dアナストロゾール;並びに、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリン;トロキサンタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常な細胞増殖に関係するシグナル伝達経路での遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えばPKC−アルファ、RatおよびH−Ras;VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)のようなリボザイムおよびHER2発現阻害剤;遺伝子治療ワクチンのようなワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rLI−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELX(登録商標)rmRH;ビノレルビンおよびエスペラミシン(US特許第4,675,187号公報を参照)、並びに薬学的に受容可能な塩、酸、または上記のいずれかの誘導体が挙げられる。他の抗ガン剤としては、シクロホスファミドが含まれる。シクロホスファミド(CTX,Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))はオキサアザホスホリン薬物であり、そのアナログは、イホスファミド(IFO,Ifex)、パーホスファミド、トロホスファミド、(トロホスファミド;Ixoten)並びに薬学的に受容可能な塩、溶媒和化合物、プロドラッグ、およびそれらの代謝産物(その全文が援用されるUS特許出願20070202077)を含む。イホスファミド(MITOXANA(登録商標))はシクロホスファミドの構造的なアナログであり、その作用メカニズムはシクロホスファミドの作用メカニズムと同一、または実質的に類似すると考えられる。パーホスファミド(4−ヒドロペルオキシシクロホスファミド)およびトロホスファミドはまた、シクロホスファミドと構造的に関連するアルキル化剤である。例えば、パーホスファミドはDNAをアルキル化し、それによってDNAの複製、RNA、およびタンパク質の合成を損害する。新たなオキサアザホスホリン誘導体が設計され、選択性および宿主の減少した細胞障害応答性の改良が試みられ、評価されている(Liang J, Huang M, Duan W, Yu XQ, Zhou S. Design of new oxazaphosphorine anticancer drugs. Curr Pharm Des. 2007;13(9):963-78. Review)。これらはマホスファミド(NSC345842)、グルホスファミド(D19575、ベータ−D−グルコシルイソホスホルアミドマスタード)、S−(−)−ブロモホスファミド(CBM−11)、NSC612567(アルドホスファミドパーヒドロチアジン)およびNSC613060(アルドホスファミドチアゾリジン)を含む。マホスファミドは、4−ヒドロキシCPAの化学的に安定な4−チオエタンスルホン酸塩である、オキサアザホスホリンアナログである。グルホスファミドは、IFOのアルキル化代謝産物であるイソホスホルアミドマスタードがベータ−D−グルコース分子にグリコシド結合されたIFOの誘導体である。さらなるシクロホスファミドのアナログは、その全文が参考として援用されるUS特許第5,190,929号公報に、「Cyclophosphamide analogs useful as anti-tumor agents」とのタイトルで開示されている。他の実施形態において、上記抗ガン剤は調節Tリンパ球(T−regs)、好ましくはスニチニブ(SUNTENT(登録商標))、抗TGFβまたはイマチニブ(GLEEVAC(登録商標))の活性および/または数を減少させる。有用な抗ガン剤には、パクリタキソール、アロマターゼ阻害剤(例えばレトロゾール)のような有糸分裂阻害剤、血管新生阻害剤(VEGF阻害剤、例えばアバスチン、VEGF−Trap)(例えば、Li et al., Vascular endothelial growth factor blockade reduces intratumoral regulatory T cells and enhances the efficacy of a GM-CSF-secreting cancer immunotherapy. Clin Cancer Res. 2006 Nov 15;12(22):6808-16.を参照)、アントラサイクリン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、TR4アンタゴニスト、およびIL−18アンタゴニストが含まれる。
【0655】
(5.5.1.1.1 ガンのタイプ)
本明細書で述べる方法に従って予防され、治療され、または管理されるガンおよび関連する疾患は、限定されるものではないが、以下のものを含む:白血病は、限定されるものではないが、急性白血病、急性リンパ球白血病、白血病、白血病としては限定されるものではないが急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、および骨髄異形成症候群など)、限定されるものではないが骨髄性(顆粒球性)白血病、および慢性リンパ性白血病などの慢性白血病、有毛細胞白血病;真性赤血球増加症;限定されるものではないがホジキン病および非ホジキン病などのリンパ腫;限定されるものではないがくすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫などの多発性骨髄腫;ワンデルシュトレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症;良性単クローン性ガンマグロブリン血症;重鎖病;限定されるものではないが、骨肉腫(bone sarcoma, osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性骨巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟部肉腫、血管肉腫(angiosarcoma, hemangiosarcoma)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫などの骨および結合組織の肉腫;限定されるものではないが、グリオーマ、星状細胞腫、脳幹グリオーマ、上衣腫、乏突起膠腫、非神経膠腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽腫、原発性脳リンパ腫を含む脳腫瘍;腺ガン、小葉(小細胞)ガン、乳管内ガン、乳房髄様ガン、乳房粘液ガン、管状乳ガン、乳頭状乳ガン、パジェット病、および炎症性乳ガンを含む乳ガン;限定されるものではないが、クロム親和細胞腫、および副腎皮質ガンを含む副腎ガン;限定されるものではないが、乳頭状または濾胞性甲状腺ガン、髄様甲状腺ガンおよび甲状腺未分化ガンなどの甲状腺ガン;限定されるものではないが、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドもしくは膵島細胞腫瘍を含む膵臓ガン;限定されるものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端巨大症、および尿崩症を含む下垂体ガン;限定されるものではないが、虹彩黒色腫、脈絡膜悪性黒色腫、毛様体黒色腫、および網膜芽腫などの眼内黒色腫を含む眼ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、腺ガン、およびメラノーマを含む膣ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、黒色腫、腺ガン、基底細胞ガン、肉腫、およびパジェット病を含む外陰ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、および腺ガンを含む子宮頸ガン;限定されるものではないが、子宮内膜ガンおよび子宮肉腫を含む子宮ガン;限定されるものではないが、卵巣上皮ガン、境界悪性腫瘍、胚細胞腫瘍、間質腫瘍を含む卵巣ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、腺ガン、腺様嚢胞ガン、粘膜表皮ガン、腺扁平上皮ガン、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状ガン、およびエンバク細胞(小細胞)ガンを含む食道ガン;限定されるものではないが、腺ガン、肉芽腫(ポリープ状)、潰瘍形成性、表層進展性、慢性拡大型の悪性リンパ腫、リンパ肉腫、線維肉腫、およびガン肉腫を含む胃ガン;結腸ガン;直腸ガン;限定されるものではないが、肝細胞ガンおよび肝芽腫を含む肝臓ガン;限定されるものではないが、腺ガンを含む胆嚢ガン;限定されるものではないが乳頭状、モジュラー状(modular)およびびまん性のものを含む胆管ガン;限定されるものではないが、非小細胞肺ガン、扁平上皮ガン(類上皮ガン)、腺ガン、大細胞ガンおよび小細胞肺ガンを含む肺ガン;限定されるものではないが、胚腫瘍、セミノーマ、未分化の精母細胞の非セミノーマ、胎生期ガン、奇形腫、絨毛ガン(卵黄嚢腫瘍)を含む精巣ガン;限定されるものではないが、腺ガン、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫を含む前立腺ガン;陰茎ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガンを含む口腔ガン;基底細胞ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、粘膜表皮ガン、および腺様嚢胞ガンを含む唾液腺ガン;限定されるものではないが、扁平上皮ガン、およびいぼ状ガンを含む咽頭ガン;限定されるものではないが、基底細胞ガン、扁平上皮ガンおよび黒色腫、および表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫を含む皮膚ガン;限定されるものではないが、腎細胞ガン、腎臓ガン(renal cancer)、腺ガン、副腎腫、線維肉腫、および移行上皮ガン(腎うおよび/または尿管)を含む腎臓ガン(kidney cancers);ウィルムス腫瘍;限定されるものではないが、移行上皮ガン、扁平上皮ガン、腺ガン、およびガン肉腫を含む膀胱ガン。さらに、ガンには粘液肉腫、骨肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮西岸、嚢胞腺ガン、気管支原生ガン、汗腺ガン、脂腺ガン、乳頭ガンおよび乳頭腺ガン(これらの疾患については、Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., Philadelphia and Murphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., United Statesof Americaを参照)が含まれる。
【0656】
一実施形態において、上記のガンは良性、例えばポリープおよび良性病変である。他の実施形態において、上記のガンは転移性である。上記免疫賦活治療剤は、悪性状態のみならず、前ガン状態の治療にも用いることができる。前ガン状態には、過形成、化生、および異形成が含まれる。悪性状態の治療には、転移性の腫瘍のみならず、原発性腫瘍の治療も含まれる。特定の実施形態において、上記ガンは黒色腫、結腸ガン、肺ガン、乳ガン、前立腺ガン、子宮頸ガン、肝臓ガン、精巣ガン、脳ガン、膵臓ガン、または腎臓ガン(renal cancer)である。
【0657】
(5.5.1.1.2 患者の集団)
いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ガンに苦しむ被験体またはガンと診断された被験体に施される。他の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物または複合療法は、ガンにかかりやすい、または感受性の被験体に施される。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物または複合療法は、ガンの発生率が高い領域に住む被験体に施される。特定の実施形態において、上記ガンは、前ガン状態の腫瘍または悪性腫瘍によって特徴付けられる。
【0658】
いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、哺乳動物に施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、0〜6ヶ月齢、6〜12ヶ月齢、1〜5歳、5〜10歳、10〜15歳、15〜20歳、20〜25歳、25〜30歳、30〜35歳、35〜40歳、40〜45歳、45〜50歳、50〜55歳、55〜60歳、60〜65歳、65〜70歳、70〜75歳、75〜80歳、80〜85歳、85〜90歳、90〜95歳、95〜100歳の哺乳動物に対して施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ペット、例えばイヌまたはネコに施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、農場に飼育される動物、すなわち家畜、例えばブタ、ウシ、ウマ、ニワトリなどに施される。
【0659】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ガンにかかるリスクのあるヒトに施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ガンを有するヒトに施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ガンと診断されたヒトに施される。特定の実施形態において、上記患者は0〜6ヶ月齢、6〜12ヶ月齢、1〜5歳、5〜10歳、5〜12歳、10〜15歳、15〜20歳、13〜19歳、20〜25歳、25〜30歳、20〜65歳、30〜35歳、35〜40歳、40〜45歳、45〜50歳、50〜55歳、55〜60歳、60〜65歳、65〜70歳、70〜75歳、75〜80歳、80〜85歳、85〜90歳、90〜95歳、95〜100歳のヒトである。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ヒトの乳児または早産児に施される。他の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ヒトの小児に施される。他の実施形態において、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ヒトの成人に施される。さらなる他の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ヒトの年配者に施される。
【0660】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、免疫低下状態もしくは免疫抑制状態にある霊長動物、または、免疫低下状態もしくは免疫抑制状態になるリスクのある霊長動物、好ましくはヒト、または、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、およびげっ歯類のような他の哺乳動物に施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、免疫抑制療法を受けている被験体、または免疫抑制療法から回復中の被験体に施される。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、AIDS、ウイルス性感染症、または細菌性感染症に罹患している被験体または罹患するリスクのある被験体に施される。特定の実施形態において、外科手術、化学療法および/または放射線療法を受けている、受ける予定がある、または既に受けた被験体に施される。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、療養施設、グループホーム(すなわち、10人以上の被験体のための家)、または刑務所に住む被験体に施される。
【0661】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、下記の1つ以上の発現が異常なレベルにある被験体に施される:B7−H2、ICOS、CD28、またはCTLA−4。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、B7−H7、B7−H7CR、またはその両方のいずれかの発現が異常なレベルにある被験体に施される。
【0662】
いくつかの実施形態において、患者は、免疫賦活治療剤以外の療法に対する副作用または不耐性が生じる前に、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法を施される。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、治療抵抗性の患者に施される。特定の実施形態において、治療抵抗性の患者は、標準的な抗ガン療法には治療抵抗性を有する患者である。特定の実施形態において、ガン患者は、上記ガンが有意に消滅されなかったおよび/または症状が有意に緩和されなかった場合に治療抵抗性である。患者が治療抵抗性であるかの決定は、技術的に受容された意味での「治療抵抗性」を、治療効果をアッセイするための、当該技術分野において周知な方法によって、in vivoまたはin vitroのいずれかでなされる。種々の実施形態において、ガン患者は、ガン性の腫瘍が消滅しなかったか増加した場合に治療抵抗性である。
【0663】
いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、ガンを発症するリスクのある患者のガン発症または再発を防ぐため、患者に施される。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、従来公知の療法への副作用に感受性のある患者に施される。
【0664】
いくつかの実施形態において、1以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、免疫賦活治療剤以外の療法に治療抵抗性を有するが、免疫賦活治療剤には抵抗性を有さないと証明された患者に施される。特定の実施形態において、本明細書に述べた方法に従って管理され、治療される患者は、抗生物質、抗ガン剤、または他の生物学的療法/免疫療法を既に処置されている患者である。これらの患者の中には、治療抵抗性の患者、従来公知の療法を受けるには若すぎる患者、および確率した療法での管理または治療にも関わらず、ウイルス性感染症を再発した患者がいる。
【0665】
いくつかの実施形態において、1以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法を施される被験体は、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法を施す前に治療を受けていない被験体である。他の実施形態において、1以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法は、1以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含有する組成物、または複合療法を施される前に1つの治療を受けた被験体に施される。いくつかの実施形態において、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含有する組成物を施された患者は、以前の治療法に対して治療抵抗性であったか、上記以前の治療法に対する副作用を経験したか、上記以前の治療法が被験体への受容できないレベルの毒性によって続けられなくなっていた。
【0666】
(5.5.1.2 感染症)
特定の側面において、本明細書に示す方法は、感染症を予防、処置、および/または管理する方法であり、免疫賦活治療剤またはその組成物の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含有する。特定の実施形態において、免疫賦活治療剤またはその組成物は、被験体に投与される唯一の活性化因子である。
【0667】
免疫賦活治療剤によって治療、予防、および/または管理することができる感染症は、限定されるものではないが、細菌、真菌、プロトザエ(protozae)、およびウイルスを含む感染因子によって引き起こされる。本明細書に開示した方法に従って予防、治療および/または管理することができるウイルス性疾患は、限定されるものではないが、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス(例えばA型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルス)、水痘ウイルス、アデノウイルス、I型単純ヘルペスウイルス(HSV−I)、II型単純ヘルペスウイルス(HSV−II)、牛痘ウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポーバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−II)、および髄膜炎、脳炎、デング熱または天然痘のようなウイルス性疾患の因子によって引き起こされる。
【0668】
本明細書に開示した方法に従って予防、治療および/または管理されうる、細菌(例えば大腸菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカリス、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・ビリダンス、および緑膿菌)によって引き起こされる細菌性疾患は、限定されるものではないが、マイコバクテリアリケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、肺炎球菌、ボレリア・ブルグドルフェリ(ライム病)、炭疽菌(炭疽)、破傷風、連鎖球菌、ブドウ球菌、マイコバクテリウム、百日咳、コレラ、ペスト、ジフテリア、クラミジア、黄色ブドウ球菌およびレジオネラを含む。
【0669】
本明細書に開示した方法に従って予防、治療および/または管理されうる、原虫によって引き起こされる原虫症は、限定されるものではないが、リーシュマニア、コクジジオア、トリパノソーマ住血吸虫またはマラリアを含む。本明細書に開示した方法に従って予防、治療および/または管理されうる、寄生虫によって引き起こされる寄生虫症は、限定されるものではないが、クラミジアおよびリケッチアを含む。
【0670】
本明細書に開示した方法に従って予防、治療および/または管理されうる、真菌感染症は、限定されるものではないが、カンジダの感染、接合真菌症、カンジダによる乳房炎、潜在性トリコスポロネミアによる進行性の播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコリシジオイデス症、肺アスペルギルス症、カリニ肺炎、クリプトコッカス性髄膜炎、コクシジオイデス性髄膜脳炎および脳脊髄の脈管炎、クロコウジカビ、フザリウムによる角膜炎、副鼻腔真菌症、アスペルギルス・フミガーツス心内膜炎、脛骨軟骨形成、カンジダ・グラブラタ膣炎、中咽頭カンジダ症、X連鎖慢性肉芽腫症、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、クリプトコッカス・ネオフォルマンス感染症、真菌性腹膜炎、クルブラリア・ゲニクラータ感染症、ブドウ球菌による眼内炎、スポロトリウム症、および真菌性皮膚疾患を含む。
【0671】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤またはその組成物を被験体(いくつかの実施形態では、モデル動物)に投与すると、下記の効果のうち、1,2,3,4またはそれ以上の効果が得られる:(i)感染症またはそれに関連する症状の重症度の減少または回復;(ii)感染症またはそれに関連する症状の持続期間の減少;(iii)感染症またはそれに関連する症状の進行防止;(iv)感染症またはそれに関連する症状の退行; (v)感染症またはそれに関連する症状の発生または発症の防止;(vi)感染症またはそれに関連する症状の再発防止;(vii)ある細胞から他の細胞への感染因子の拡散、あるの組織から他の組織への感染因子の拡散、ある器官から他の器官への感染因子の拡散の減少または防止;(viii)ある被験体から他の被験体への感染因子の拡散/伝達の防止または減少;(ix)感染症に伴う器官の不全の減少;(x)被験体の入院の減少;(xi)入院期間の減少;(xii)感染症に罹患した被験体の生存性の向上;(xiii)感染症の除去;(xiii)感染因子の複製の阻害または減少;(xiv)感染因子の細胞への進入の阻害または減少;(xv)感染因子のゲノム複製の阻害または減少;(xvi)感染因子のタンパク質合成の阻害または減少;(xvii)アセンブリーにおける感染因子の阻害または軽減;(xviii)細胞からの感染因子放出の阻害または減少;(xviii)感染因子の数または力価の減少;(xix)感染症に伴う症状の数の減少;(xx)他の療法の予防効果または治療効果の増強、改良、追加、補足、または増大;および(xxi)感染症に伴う二次感染の発症または進行の防止。
【0672】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロール(例えば、PBS)の少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が阻害または低減されるように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロール(例えば、PBS)の少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍阻害または低減されるように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。別の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロール(例えば、PBS)の1ログ(1log)、1.5ログ(1.5logs)、2ログ(2logs)、2.5ログ(2.5logs)、3ログ(3logs)、3.5ログ(3.5logs)、4ログ(4logs)、5ログ(5logs)、またはそれ以上阻害または低減されるように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。
【0673】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌のタイター(titer)がネガティブコントロール(例えば、PBS)の少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が減少するように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌のタイターがネガティブコントロール(例えば、PBS)の少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍減少するように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。別の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌のタイターがネガティブコントロール(例えば、PBS)の1ログ(1log)、1.5ログ(1.5logs)、2ログ(2logs)、2.5ログ(2.5logs)、3ログ(3logs)、3.5ログ(3.5logs)、4ログ(4logs)、5ログ(5logs)、またはそれ以上減少するように、病原菌が感染した被験体(幾つかの実施形態では、動物モデル)に対して、免疫賦活治療剤または免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される。
【0674】
特定の実施形態では、被験体に対して、2つ以上の異なる免疫賦活治療剤が投与される。幾つかの実施形態では、1つ以上の別の療法と組み合わせて、免疫賦活治療剤が被験体へ投与される。免疫賦活治療剤と組み合わせて用いられ得る別の療法の例は、以下の〔5.7〕のセクションに記載されているが、これらに限定されない。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1つ以上の別の療法との組み合わせは、免疫賦活治療剤のみの場合の治療効果、または、1つ以上の別の療法のみの場合の治療効果と比較して、付加的な(additive)治療効果を示す。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1つ以上の別の療法との組み合わせは、免疫賦活治療剤のみの場合の治療効果、または、1つ以上の別の療法のみの場合の治療効果と比較して、付加的な治療効果を超える効果を示す。一実施形態では、免疫賦活治療剤と1つ以上の別の療法との組み合わせは、免疫賦活治療剤のみの場合の治療効果、または、1つ以上の別の療法のみの場合の治療効果と比較して、相乗的な(synergistic)治療効果を示す。
【0675】
特定の実施形態では、1つ以上の抗生物質と組み合わせて、免疫賦活治療剤が被験体へ投与される。別の実施形態では、免疫賦活治療剤は、1つ以上の抗ウイルス剤と組み合わせて投与される。別の実施形態では、免疫賦活治療剤は、1つ以上の抗菌剤と組み合わせて投与される。別の実施形態では、免疫賦活治療剤は、B7−DC Ig(例えば、Amp−224(Amplimmune; Rockville, Maryland))と組み合わせて投与される。
【0676】
〔5.5.1.2.1 患者の人口〕
幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、病原菌によって引き起こされる感染症を患っている被験体へ投与される。なお、上記病原菌としては、バクテリア、菌類、原虫およびウイルスを挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、病原菌によって引き起こされる感染症を有していると診断された被験体へ投与される。なお、上記病原菌としては、バクテリア、菌類、原虫およびウイルスを挙げることができるが、これらに限定されない。別の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、感染症にかかり易い被験体、または、感染症に敏感な被験体へ投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、病原菌の感染が発生している領域内、または、病原菌の感染が発生し得る領域内で生活をしている被験体へ投与される。幾つかの実施形態では、上記感染は、潜伏感染である。別の実施形態では、病原菌の感染は、活発な感染(active infection)である。特定の実施形態では、病原菌の感染は、急性感染である。更に別の実施形態では、病原菌の感染は、慢性感染である。
【0677】
幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、哺乳類に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、年齢が0ヶ月〜6ヶ月、6ヶ月〜12ヶ月、1年〜5年、5年〜10年、10年〜15年、15年〜20年、20年〜25年、25年〜30年、30年〜35年、35年〜40年、40年〜45年、45年〜50年、50年〜55年、55年〜60年、60年〜65年、65年〜70年、70年〜75年、75年〜80年、80年〜85年、85年〜90年、90年〜95年、または、95年〜100年の哺乳類に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ペット(例えば、イヌまたはネコ)に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、家畜または家畜類(例えば、ブタ、牛、馬、ニワトリなど)に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、鳥(例えば、アヒルまたはニワトリ)に対して投与される。
【0678】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、感染症の危険性があるヒトに対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、感染症を患っているヒトに対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、感染症を有していると診断されたヒトに対して投与される。特定の実施形態では、上記患者はヒトであって、その年齢は、0ヶ月〜6ヶ月、6ヶ月〜12ヶ月、1年〜5年、5年〜10年、5年〜12年、10年〜15年、15年〜20年、13年〜19年、20年〜25年、25年〜30年、20年〜65年、30年〜35年、35年〜40年、40年〜45年、45年〜50年、50年〜55年、55年〜60年、60年〜65年、65年〜70年、70年〜75年、75年〜80年、80年〜85年、85年〜90年、90年〜95年、または、95年〜100年である。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの幼児またはヒトの早産児(premature human infant)に対して投与される。別の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの子供に対して投与される。別の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの成人に対して投与される。更に別の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、年配のヒトに対して投与される。
【0679】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物または併用療法は、免疫不全状態にある、免疫抑制状態にある、または、免疫不全状態若しくは免疫抑制状態になる危険性がある、霊長類(好ましくは、ヒト)または別の哺乳類(例えば、ブタ、牛、馬、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、げっ歯類)に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、免疫抑制療法を受けた被験体、または、免疫抑制療法から回復した被験体に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、癌、AIDS、別の感染症または細菌感染症である被験体、または、これらになる危険性がある被験体に対して投与される。特定の実施形態では、上記被験体は、外科手術、化学療法および/または放射線療法を受ける予定の被験体、または、これらの治療を受けた被験体である。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、嚢胞性線維症、肺線維症、または、被験体を感染症の影響を受け易くする別の病気、を患っている被験体に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、組織移植を受けた被験体、組織移植を受ける予定の被験体、または、過去に組織移植を受けた被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、養護施設(nursing house)内、グループホーム(例えば、10以上の被験体のためのホーム)内、または、刑務所内で生活する被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、学校(例えば、小学校、ミドルスクール、中学校、高等学校または大学)へ通う被験体、または、デイケア(daycare)へ通う被験体へ投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、医療分野で働く被験体(例えば、医者または看護婦)、または、病院で働く被験体に対して投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、妊娠している被験体、または、将来妊娠する被験体に対して投与される。
【0680】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の1つ以上の発現レベルが異常である被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、B7−H7およびB7−H7CRの少なくとも1つの発現レベルが異常である被験体に対して投与される。
【0681】
幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法が患者に対して投与される。当該投与は、免疫賦活治療剤が効果を生じる以外に、治療に対するあらゆる副作用またはアレルギーが生じる前に行われる。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、難治性の患者に対して投与される。特定の実施形態では、難治性の患者は、標準的な治療では効果が無い患者を意図する。特定の実施形態では、感染症が著しくは撲滅されていない時、および/または、症状が著しくは緩和されていない時には、感染症を患っている患者に対する治療は効果がない。患者が難治性であるか否かの決定は、in vivoまたはin vitroの何れかで、感染症の処置の有効性をアッセイするための周知のあらゆる方法にしたがって行うことが可能である。なお、「難治性」は、このように、当業者にとって受け入れ可能な意味にて用いられている。様々な実施形態では、感染症を患っている患者は、病原菌の複製が減少しない場合、または、病原菌の複製が増加した場合に、難治性であるといえる。
【0682】
幾つかの実施形態では、感染症を患う危険性がある患者における感染症の発症または再発を防ぐために、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法が患者に対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、従来の治療では副作用が生じ易い患者に対して投与される。
【0683】
幾つかの実施形態では、1つ以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、免疫賦活治療剤以外の治療は効果がないことが判っており、もはやこれらの治療で処置できない患者に対して投与される。特定の実施形態では、本発明の方法にて処置または治療される患者は、抗生物質、抗ウイルス薬、抗菌薬、または、別の生物療法/免疫療法によって既に処置されている患者である。これらの患者の中で難治性の患者は、従来の治療を施すには若すぎる患者、および、既存の治療法によって処置または治療したにもかかわらずウイルス感染が再発した患者、である。
【0684】
幾つかの実施形態では、1つ以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される被験体は、免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される前に、治療を受けたことがない被験体である。別の実施形態では、1つ以上の免疫賦活治療剤、免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法は、1つ以上の免疫賦活治療剤、1つ以上の免疫賦活治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される前に治療を受けたことがある被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤、または、免疫賦活治療剤を含む組成物が投与される被験体は、従来の治療では効果がない被験体、従来の治療によって不都合な副作用を経験したことがある被験体、または、自身にとって容認できないレベルの毒性の故に従来の治療を中止した被験体である。
【0685】
〔5.6 予防および治療を目的とした、免疫機能を抑制する治療剤の使用〕
〔5.6.1. 免疫機能の抑制〕
1つの局面において、本発明は、被験体中の対象とする機能において、1つ以上の免疫システムの機能または応答を抑制するための方法である。当該方法は、抑制性の治療剤またはその組成物を必要とする被験体に対して、抑制性の治療剤またはその組成物を投与する工程を含んでいる。特定の実施形態では、本発明は、免疫機能を抑制することが好ましい疾患を予防、処置および/または管理するための方法であって、抑制性の治療剤またはその組成物を必要とする被験体に対して、抑制性の治療剤またはその組成物を投与する工程を含む方法である。特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、免疫機能または免疫反応を抑制するために、1つ以上の他の治療と組み合わせて被験体へ投与され得る。
【0686】
免疫機能を抑制することによって予防、処置または治療され得る疾患の例としては、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片対宿主病および移植片拒絶反応を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0687】
特定の実施形態では、当該分野において周知のアッセイ(例えば、ELISPOT、ELISA、または、細胞増殖アッセイ)を用いた場合に、抑制性の治療剤は、被験体の1つ以上の免疫機能または免疫反応を、免疫賦活治療剤が投与されていない被験体の免疫機能の少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも10%、10%〜25%の範囲、25%〜50%の範囲、50%〜75%の範囲、75%〜95%の範囲にまで抑制する。特定の実施形態では、上記免疫機能は、サイトカイン(例えば、インターフェロン−γ、IL−2、IL−5またはIL−12)の放出である。一実施形態では、上記免疫機能はNK細胞の増殖であって、当該増殖は、例えばフローサイトメトリーによって、NK細胞のマーカー(例えば、CD56)を発現している細胞の数を測定することによって評価され得る。一実施形態では、上記免疫機能はT細胞の増殖であって、当該増殖は、例えばフローサイトメトリーによって、T細胞のマーカー(例えば、CD3、CD4またはCD8)を発現している細胞の数を測定することによって評価され得る。別の実施形態では、上記免疫機能は抗体の生産であって、当該生産は、例えばELISAによって評価され得る。幾つかの実施形態では、上記免疫機能はエフェクター機能であって、当該エフェクター機能は、当該分野において周知である細胞毒性アッセイまたは別のアッセイなどによって評価され得る。別の実施形態では、上記免疫機能は、Th1応答である。別の実施形態では、上記免疫機能は、Th2応答である。別の実施形態では、上記免疫機能は、Th17応答である。別の実施形態では、上記免疫機能は、Th22応答である。別の実施形態では、上記免疫機能は、Treg応答である。
【0688】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤によって抑制され得る免疫機能の例として、リンパ球の増殖/エクスパンジョン(例えば、リンパ球の数の増加)、リンパ球のアポトーシスの抑制、樹状細胞(または、抗原提示細胞)の活性化、および、抗原提示を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、抑制性の治療剤によって抑制され得る免疫機能は、CD4T細胞(例えば、Th1ヘルパーT細胞およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、および、ガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、プラズマ細胞)、記憶T細胞、記憶B細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、肥満細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在T細胞(tumor-resident T cell)、CD122T細胞、Treg、または、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数の増殖/エクスパンジョン、または、活性化である。一実施形態では、上記抑制性の治療剤は、リンパ球の前駆細胞の増殖/エクスパンジョンまたは数を抑制する。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤は、CD4T細胞(例えば、Th1ヘルパーT細胞およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、および、ガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、プラズマ細胞)、記憶T細胞、記憶B細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、肥満細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在T細胞、CD122T細胞、または、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数を、ネガティブコントロール(例えば、抑制性の治療剤にて処置、培養または接触させていない各細胞の数)の凡そ少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも10%、10%〜25%の範囲、25%〜50%の範囲、50%〜75%の範囲、75%〜95%の範囲にまで減少させる。
【0689】
特定の実施形態では、免疫システムの幾つかの機能(例えば、Tregの増殖または活性化)は、免疫反応が減少したときに増加する。
【0690】
予防、処置および/または管理され得る様々な自己免疫疾患および炎症性疾患を、以下に示す。
【0691】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、CTLA−4が1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−1、B7−2、または、B7−H2)に結合することによって仲介される1つ以上のシグナル伝達経路を、増強、活性または誘導する。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤は、本明細書中に記載するように、ネイティブなCTLA−4が1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−1、B7−2、または、B7−H2)に結合することを抑制または低減させる。特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、本明細書中に記載するように、作動性(agonistic)のB7−H2−Igポリペプチド、または、その派生物である。
【0692】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、CD28が1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−1、B7−2、または、B7−H2)に結合することによって仲介される1つ以上のシグナル伝達経路を抑制または低減させる。本明細書中に記載するように、幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤は、ネイティブなCD28が1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−1、B7−2、または、B7−H2)へ結合することを抑制または低減させる。本明細書中に記載するように、特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、拮抗性(antagonistic)のB7−H2−Igポリペプチド、または、その派生物である。
【0693】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、ICOSが1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−H2)に結合することによって仲介される1つ以上のシグナル伝達経路を抑制または低減させる。本明細書中に記載するように、幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤は、ネイティブなICOSが1つ以上の自身のリガンド(例えば、B7−H2)に結合することを抑制または低減させる。本明細書中に記載するように、特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、拮抗性(antagonistic)のB7−H2−Igポリペプチド、または、その派生物である。
【0694】
〔5.6.1.1 自己免疫疾患および炎症性疾患〕
特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法は、被験体の自己免疫疾患または炎症性疾患を処置、予防および/または管理するための方法であって、被験体に対して、被験体が必要とする効果的な量の抑制性の治療剤またはその組成物を投与する工程を有している。別の実施形態では、本明細書中に記載の方法は、被験体の炎症を低減させるための方法であって、被験体に対して、被験体が必要とする効果的な量の抑制性の治療剤またはその組成物を投与する工程を有している。自己免疫疾患および炎症性疾患の例としては、移植片拒絶反応および移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)を挙げることができるが、これらに限定されない。GVHDは、ドナーの免疫細胞(例えば、ドナーのT細胞)が、受け手側である被験体内の細胞を攻撃したときに生じる。移植片拒絶反応は、移植された臓器や組織が、移植の受け手側の体に受け入れられなかった時に生じる。一般的に、移植片拒絶反応は、受け手側の免疫システム(例えば、受け手側のT細胞)が、移植された臓器または組織を攻撃することによって生じる。
【0695】
特定の実施形態では、被験体(幾つかの実施形態では、被験体は動物モデルである)に対して抑制性の治療剤またはその組成物を投与することによって、以下に示す1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い効果が得られる。つまり、(i)自己免疫疾患、炎症性疾患、または、それに伴う症状の重篤度の低減または改善、(ii)自己免疫疾患または炎症性疾患の症状の継続時間の短縮、(iii)自己免疫疾患、炎症性疾患、または、それに伴う症状の進行の阻止、(iv))自己免疫疾患、炎症性疾患、または、それに伴う症状の回復、(v)自己免疫疾患または炎症性疾患の症状の進行または発症の予防、(vi)自己免疫疾患または炎症性疾患の症状の再発の予防、(vii)自己免疫疾患または炎症性疾患に関連する臓器不全の低減、(viii)被験体の入院の低減、(ix)入院期間の短縮、(x)自己免疫疾患または炎症性疾患を患う被験体の生存の上昇、(xi)自己免疫疾患または炎症性疾患に関連する症状の数の低減、(xii)炎症細胞による炎症の低減、(xiii)炎症性サイトカインの減少、(xiv)自己免疫疾患または炎症性疾患に関連する炎症の低減、(xv)平均寿命の改善、(xvi)症状が無い生存(symptom-free survival)の増加、(xvii)症状が無い回復(symptom-free remission)の長さの増加、および/または、(xviii)別の治療の予防効果または治療効果の増強、改善、補足、相補または増大。
【0696】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、または、抑制性の治療剤を含む組成物を被験体(幾つかの実施形態では、被験体は動物モデルである)へ投与することによって、被験体における炎症を、当該分野の周知の方法にて抑制性の治療剤を被験体へ投与しなかった場合の炎症の少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも10%、10%〜25%の範囲、25%〜50%の範囲、50%〜75%の範囲、75%〜95%の範囲にまで減少させる。例えば、炎症の減少は、サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子α、インターフェロンγ)の分泌の減少に基づいて測定できる。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、または、抑制性の治療剤を含む組成物を被験体(幾つかの実施形態では、被験体は動物モデルである)へ投与することによって、被験体における炎症性サイトカインの生産および/または分泌を、当該分野の周知の方法にて抑制性の治療剤を被験体へ投与しなかった場合の炎症性サイトカインの生産および/または分泌の少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも10%、10%〜25%の範囲、25%〜50%の範囲、50%〜75%の範囲、75%〜95%の範囲にまで減少させる。
【0697】
別の実施形態では、抑制性の治療剤は、被験体の免疫機能または免疫反応を抑制するために、1つ以上の別の治療と組み合わせて投与され得る。特定の実施形態では、被験体に対して、2つ以上の異なる免疫賦活治療剤が投与される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤は、1つ以上の別の治療と組み合わせて被験体に対して投与される。当該分野において周知である様々な抗炎症剤が、抑制性の治療剤と組み合わせて使用され得る。治療の例としては、〔5.7〕のセクションを参照のこと。特定の実施形態では、抑制性の治療剤は、CTLA−4−Ig(例えば、アバタセプト、ベラタセプト)、抗TNF−α抗体(例えば、レミケード)またはTNFR−Ig(例えば、エンブレル)と組み合わせて投与される。
【0698】
〔5.6.1.1.1 疾患の種類〕
本発明の方法にしたがって予防、処置および/または管理され得る自己免疫疾患の例としては、セリアック(セリアック病)、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋ミオパチー、セリアックスプルー皮膚炎(celiac sprue-dermatitis)、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群(Churg-Strauss syndrome)、瘢痕性類天疱瘡、CRESTシンドローム、寒冷凝集素症、クローン病、円盤状狼瘡(discoid lupus)、混合型本態性クリオグロブリン血症(essential mixed cryoglobulinemia)、線維筋痛−線維筋炎、糸球体腎炎、グレイブン病(Graves’ disease)、ギラン・バレー症候群、橋本病(Hashimoto’s thyroiditis)、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエール病、混合結合組織病、多発性硬化症、タイプIまたは免疫介在糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変症、乾癬、乾癬性関節炎、Raynauld’s phenomenon、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、全身性エリテマトーデス、紅斑性狼瘡、高安動脈炎(takayasu arteritis)、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎(例えば、疱疹状皮膚炎)、白斑、ヴェグナー肉芽腫症を挙げることができるが、これらに限定されない。炎症性疾患の例としては、ぜんそく、脳幹脳炎、炎症性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性疾患、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、慢性ウイルス感染または慢性バクテリア感染に起因する慢性炎症を挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの自己免疫疾患は、炎症状態と関連している。その結果、自己免疫疾患と考えられるものと炎症性疾患と考えられるものとの間には、重複がある。したがって、幾つかの自己免疫疾患は、炎症性疾患としても分類することが可能である。
【0699】
〔5.6.1.1.2 患者集団〕
幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、自己免疫疾患または炎症性疾患を患っている被験体に対して投与される。別の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、自己免疫疾患または炎症性疾患にかかり易い被験体、または、自己免疫疾患または炎症性疾患に敏感な被験体に対して投与される。
【0700】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、哺乳類に対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、年齢が0ヶ月〜6ヶ月、6ヶ月〜12ヶ月、1年〜5年、5年〜10年、10年〜15年、15年〜20年、20年〜25年、25年〜30年、30年〜35年、35年〜40年、40年〜45年、45年〜50年、50年〜55年、55年〜60年、60年〜65年、65年〜70年、70年〜75年、75年〜80年、80年〜85年、85年〜90年、90年〜95年、または、95年〜100年の哺乳類に対して投与される。
【0701】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、自己免疫疾患または炎症性疾患を患う危険性があるヒトに対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、自己免疫疾患または炎症性疾患を患っているヒトに対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、自己免疫疾患または炎症性疾患を有していると診断されたヒトに対して投与される。特定の実施形態では、上記患者はヒトであって、その年齢は、0ヶ月〜6ヶ月、6ヶ月〜12ヶ月、1年〜5年、5年〜10年、5年〜12年、10年〜15年、15年〜20年、13年〜19年、20年〜25年、25年〜30年、20年〜65年、30年〜35年、35年〜40年、40年〜45年、45年〜50年、50年〜55年、55年〜60年、60年〜65年、65年〜70年、70年〜75年、75年〜80年、80年〜85年、85年〜90年、90年〜95年、または、95年〜100年である。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの幼児またはヒトの早産児に対して投与される。別の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの子供に対して投与される。別の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ヒトの成人に対して投与される。更に別の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、年配のヒトに対して投与される。
【0702】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、ペット(例えば、イヌまたはネコ)に対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、家畜または家畜類(例えば、ブタ、牛、馬、ニワトリなど)に対して投与される。
【0703】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、免疫不全状態にある、免疫抑制状態にある、または、免疫不全状態若しくは免疫抑制状態になる危険性がある、霊長類(好ましくは、ヒト)または別の哺乳類(例えば、ブタ、牛、馬、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、げっ歯類)に対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、免疫抑制療法を受けた被験体、または、免疫抑制療法から回復した被験体に対して投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、AIDS、ウイルス感染またはバクテリア感染である被験体、または、これらになる危険性がある被験体に対して投与される。特定の実施形態では、上記被験体は、外科手術、化学療法および/または放射線療法を受ける予定の被験体、または、これらの治療を受けた被験体である。
【0704】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4の1つ以上の発現レベルが異常である被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、B7−H7およびB7−H7CRの少なくとも1つの発現レベルが異常である被験体に対して投与される。
【0705】
幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法が患者に対して投与される。当該投与は、抑制性の治療剤が効果を生じる以外に、治療に対するあらゆる副作用またはアレルギーが生じる前に行われる。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、難治性の患者に対して投与される。特定の実施形態では、難治性の患者は、標準的な治療では効果が無い患者を意図する。特定の実施形態では、自己免疫疾患または炎症性疾患の各々が著しくは撲滅されていない時、および/または、症状が著しくは緩和されていない時には、自己免疫疾患または炎症性疾患を患っている患者に対する治療は効果がない。患者が難治性であるか否かの決定は、in vivoまたはin vitroの何れかで、処置の有効性をアッセイするための周知のあらゆる方法にしたがって行うことが可能である。なお、「難治性」は、このように、当業者にとって受け入れ可能な意味にて用いられている。様々な実施形態では、炎症性疾患を患っている患者は、炎症が減少しない場合、または、炎症が増加した場合に、難治性であるといえる。
【0706】
幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、従来の治療では副作用が生じ易い患者に対して投与される。
【0707】
幾つかの実施形態では、1つ以上の抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、抑制性の治療剤以外の治療は効果がないことが判っており、もはやこれらの治療で処置できない患者に対して投与される。特定の実施形態では、本発明の方法にて処置または治療される患者は、抗生物質、抗癌剤、抗炎症剤、または、別の生物療法/免疫療法によって既に処置されている患者である。これらの患者の中で難治性の患者は、従来の治療を施すには若すぎる患者である。
【0708】
幾つかの実施形態では、1つ以上の抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される被験体は、抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される前に、治療を受けたことがない被験体である。別の実施形態では、1つ以上の抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法は、1つ以上の抑制性の治療剤、抑制性の治療剤を含む組成物、または、併用療法が投与される前に治療を受けたことがある被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤、または、抑制性の治療剤を含む組成物が投与される被験体は、従来の治療では効果がない被験体、従来の治療によって不都合な副作用を経験したことがある被験体、または、自身にとって容認できないレベルの毒性の故に従来の治療を中止した被験体である。
【0709】
〔5.7 併用療法〕
免疫機能または免疫反応に影響される疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片拒絶反応)を予防、処置および/または管理するために、治療剤(例えば、免疫賦活治療剤および/または抑制性の治療剤)と組み合わせて使用され得る別の療法としては、低分子、合成ドラッグ、ペプチド(環状ペプチドを含む)、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、DNAおよびRNA(例えば、アンチセンスヌクレオチド、三重螺旋、RNAi、生物学的に活性なタンパク質をコードしているヌクレオチド、生物学的に活性なポリペプチドをコードしているヌクレオチド、生物学的に活性なペプチドをコードしているヌクレオチドを挙げることができるが、これらに限定されない))、抗体、合成された無機分子、天然の無機分子、ミメチック薬(mimetic agent)、合成された有機分子、天然の有機分子を挙げることができるが、これらに限定されない。このような療法の特定の例としては、免疫調節剤(例えば、インターフェロン)、抗炎症剤(アドレノコルチコイド、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン)、グルココルチコイド、ステロイド(steriods)、非ステロイド性の抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX−2阻害剤)、鎮痛剤、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン、ザフィルカスト、および、ジレウトン)、ベータ2−アゴニスト(例えば、アルブテロール、ビテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリン、フォルモテロール、サルメテロール、サルブタモール、テルブタリン)、抗PD1抗体、PD1阻害剤、抗B7−H1、抗CTLA−4、CTLA−4−Ig抗コリン剤(例えば、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム)、サルファサラジン、ペニシラミン、ダプソーン、抗ヒスタミン剤、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス薬(例えば、ヌクレオシドアナログ(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、リバビリン)、ホスカルネット、アマンタジン、リマンタジン、サクイナビル、インディナビル、リトナビル、AZT)、および、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(フォーマリアクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリソマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、アントラマイシン(AMC))を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0710】
特定の実施形態では、自己免疫疾患、炎症性疾患、関節リウマチおよび/または移植片拒絶反応を予防、処置および/または管理するために、抗TNF−α抗体(例えば、レミケード)、CTLA−4−Ig(例えば、オレンシア)および/またはTNFR−Ig(例えば、エンブレル)が、治療剤と組み合わせて用いられる。
【0711】
免疫機能または免疫反応の影響を受ける疾患の予防、治療および/または処置にとって、有用であることが知られているあらゆる療法、用いられてきたあらゆる療法、または、現在用いられているあらゆる療法が、治療剤と組み合わされて用いられ得る。病気または疾患を予防、処置および/または管理するために用いられてきた、または、現在用いられている療法(例えば、予防薬または治療剤)に関する情報としては、例えば、Gilman et al., Goodman and Gilman’s: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., McGraw-Hill, New York, 2001; The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Berkow, M.D. et al. (eds.), 17th Ed., Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, Rahway, NJ, 1999; Cecil Textbook of Medicine, 20th Ed., Bennett and Plum (eds.), W.B. Saunders, Philadelphia, 1996, and Physicians’ Desk Reference (61st ed. 2007)を参照のこと。
【0712】
〔5.7.1 抗癌剤/免疫調節剤〕
治療剤と組み合わせて用いられ得る1つ以上の他の療法の例としては免疫調節剤を挙げることができ、例えば、化学療法剤および非化学療法免疫調節剤を挙げることができるが、これらに限定されない。化学療法剤としては、シクロホスファミド、メトトレキサート、サイクロスポリンA、leflunomide、シスプラチン、イホスファミド、タキサン(例えば、タクソールおよびパクリタクソール)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、CPT−11、トポテカン、9−ACおよびGG−211)、ゲムシタビン、ビノレルビン、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオネ、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンホモログ、サイトキサンを挙げることができるが、これらに限定されない。非化学療法免疫調節剤の例としては、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM−T412(Boeringer)、IDEC−CE9.1(登録商標)(IDEC and SKB)、mAB4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a(Janssen-Cilag))、抗CD3抗体(例えば、Nuvion(Product Design Labs)、OKT3(Johnson and Johnson)またはRituxan(IDEC))、抗CD5抗体(例えば、抗CD5リシン結合免疫複合体)、抗CD7抗体(例えば、CHH−380(Novartis))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えば、IDEC−131(IDEC))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH 1H(Ilex))、抗CD2抗体(例えば、MEDI−507(MedImmune, Inc., International Publication Nos. WO/098370およびWO02/069904)、抗CD1la抗体(例えば、Xanelim(Genentech))、および、抗B7抗体(例えば、IDEC−114)(IDEC);抗サイトカインレセプター受容体(例えば、抗IFNレセプター抗体、抗IL−2レセプター抗体(例えば、Zenapax(Protein Design Labs))、抗IL−4レセプター抗体、抗IL−6レセプター抗体、抗IL−10レセプター抗体、および、抗IL−12レセプター抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IFN抗体、抗TNF−α抗体、抗IL−1α抗体、抗IL−6抗体、抗IL−8抗体(例えば、ABX−IL−8(Abgenix))、抗IL−12抗体、抗IL−23抗体));CTLA4−免疫グロブリン;LFA−3TIP(Biogen, International Publication No.WO93/08656およびU.S. Patent No.6,162,432);水溶性サイトカインレセプター(例えば、TNF−αレセプターの細胞外ドメイン、TNF−αレセプターの細胞外ドメインの断片、IL−1αレセプターの細胞外ドメイン、IL−1αレセプターの細胞外ドメインの断片、IL−6レセプターの細胞外ドメイン、または、IL−6レセプターの細胞外ドメインの断片);サイトカインまたはサイトカインの断片(例えば、インターロイキン(IL)−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−15、IL−23、TNF−α、TNF−β、インターフェロン(IFN)−α、IFN−β、IFN−γ、および、GM−CSF);抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL−2抗体、抗IL−4抗体、抗IL−6抗体、抗IL−10抗体、抗IL−12抗体、抗IL−15抗体、抗TNF−α抗体、および、抗TNF−γ抗体)、および、腫瘍関連抗原へ免疫特異的に結合する抗体(例えば、Herceptin(登録商標))を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、免疫調節剤は、化学療法剤以外のものである。別の実施形態では、免疫調節剤は、サイトカインまたは血液(hemapoietic)(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−12、IL−15、TNF、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、M−CSF、G−CSF、IL−3、または、エリスロポエチン)以外のものである。更に別の実施形態では、免疫調節剤は、化学療法剤、サイトカインまたは造血因子以外のものである。
【0713】
治療剤と組み合わせて使用され得る抗癌剤の例としては、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;アメタントロン酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;ビサントレン塩酸塩;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;カルビシン塩酸塩;カルゼルシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;ドキソルビシン塩酸塩;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンクエン酸塩;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;エピルビシン塩酸塩;エルブロゾール;エソルビシン塩酸塩;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;エトポシドリン酸塩;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;ゲムシタビン塩酸塩;ヒドロキシウレア;イダルビシン塩酸塩;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組み換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む);インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン;イリノテカン塩酸塩;ランレオチド酢酸塩;レトロゾール;酢酸ロイプロリド:リアロゾール塩酸塩;ロメテレキソールナトリウム;ロムスチン;ロソキサントロン塩酸塩;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプレン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマイシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトザントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシラン;パクリタキセル;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;パーホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;ピロキサントロン塩酸塩;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニマスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;ピューロマイシン塩酸塩;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;サフィンゴール塩酸塩;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;スピロゲルマニウム塩酸塩;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾトシン;スルフェヌア;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル;テロキサントロン塩酸塩;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トレミフェンクエン酸塩;トレストロン酢酸;トリシリビンリン酸塩;トリメトレキサート;トリメトレキサートグルクロン酸;トリプトレリン;ツブロゾール塩酸塩;ウラシル・マスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;ビネピジンスルファート;ビングリシナートスルファート;ビンロイロシンスルファート;ビノレルビン酒石酸;ビロシジンスルファート;ビンゾリジンスルファート;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾルビシン塩酸塩、を挙げることができるが、これらに限定されない。他の抗癌剤としては、20−epi−1,25 ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバマスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害薬;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背形態形成プロテイン−1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1);抗男性ホルモン物質;前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシン酸塩;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクライン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン 1;アキシナスタチン 2;アキシナスタチン 3;アゼセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット:BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;β−アレチン;ベタクラマイシン B;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテン A;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニン スルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチン C;カンプトセシン誘導体;カナリア痘 IL−2;カペシタビン;カルボ キサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼルシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピン B;セトロレリクス;クロルリン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシン A;コリスマイシン B;コンブレタスタチン A4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロダイデムニン B;デスロレニン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニン B;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタクソール;9−ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;ズオカルマイシン SA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エトポシドリン酸塩;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルニシン塩酸塩;ホルフェニメックス;ホルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレン ビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様増殖因子−1レセプター阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポミアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリン B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリド F;ラメラリン−N トリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナンスルファート;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミンアナログ;脂肪親和性の二糖ペプチド;脂肪親和性のプラチナ化合物;リッソクリナミド 7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメテレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、シムバスタチン、および、アトルバスタチンなどが挙げられるが、これらに限定されない);ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶菌ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニダーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチの二本鎖RNA;ミトグアゾン;マイトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体;ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピッド A+ マイコバクテリウム細胞壁sk(monophosphoryl lipid A+myobacterium cell wall sk);モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍サプレッサー 1に基づく療法(multiple tumor suppressor 1−based therapy);マスタード抗癌剤;ミカペルオキシド B;マイコバクテリアの細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;リゼドロン酸(neridronic acid);中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロオキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口のサイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセルアナログ;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ペントサン多硫化ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;パーフルブロン;パーホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバーニル;ピロカルピン塩酸塩;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲン・アクチベータ・インヒビター;白金錯体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピル ビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫調節物質;プロテインキナーゼC阻害剤;複数のプロテインキナーゼC阻害剤;マイクロアルガル;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシレイテッド ヘモグロビン ポリオキシエチレン コンジュゲート(pyridoxylated hemoglobin polyoxyethylene conjugate);rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;レテリプチン デメチレーテッド(retelliptine demethylated);rhenium Re 186 エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RII レチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノン B1;ルボキシル;サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1 類縁体;セムスチン;老化派生阻害剤 1(senescence derived inhibitor 1);センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合性プロテイン;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン 1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;活性型の血管活性腸管ペプチドアンタゴニスト(superactive vasoactive intestinal peptide antagonist);スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェン メチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフル;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロマイド;テニポシド;テトラクロロデカオキサイド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;スロンボポエチン;スロンボポエチン類縁体;サルマルファシン;チモポエチンレセプターアゴニスト(thymopoietin receptor agonist);チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ;チラパザミン;チタノセン二塩化物;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞に由来する成長阻害因子(urogenital sinus−derived growth inhibitory factor);ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム;赤血球遺伝子治療;ベラレソール;ベラミン;ベルディン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン(登録商標);ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチン スチマラマーを挙げることができるが、これらに限定されない。追加の抗癌剤は、5−フルオロウラシルおよびロイコボリンである。これらの2つの抗癌剤は、サリドマイドおよびトポイソメラーゼ阻害剤を用いる方法において使用すれば、特に有用である。特定の実施形態では、抗癌剤は、化学療法剤ではない。
【0714】
特定の実施形態では、自己免疫疾患、炎症性疾患および/または移植片拒絶反応を予防、処置または治療するために、当該セクション〔5.7.1〕に記載の特定の療法は、治療剤と組み合わせて用いられる。
【0715】
〔5.7.2 抗ウイルス薬〕
治療剤と組み合わせて用いられ得る抗ウイルス薬としては、非ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤および融合阻害剤(fusion inhibitors)を挙げることができるが、これらに限定されない。一実施形態では、抗ウイルス薬は、アマンタジン、オセルタミビルリン酸塩、リマンタジンおよびザナミビルからなる群から選択される。別の実施形態では、抗ウイルス薬は、デラビルジン、エファビレンツおよびネビラピンからなる群から選択される、非ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤である。別の実施形態では、抗ウイルス薬は、アバカビル、ディダノシン、エムトリシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、スタブジン、テノホビル DF、ザルシタビンおよびジドブジンからなる群から選択される、ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤である。別の実施形態では、抗ウイルス薬は、アンプレナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、インディナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、リトナビルおよびサクイナビルからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害剤である。別の実施形態では、抗ウイルス薬は、エンフビルチドのような融合阻害剤である。
【0716】
治療剤と組み合わせて用いられる抗ウイルス薬の更なる例としては、リファンピシン、ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤(例えば、AZT、ddI、ddC、3TC、d4T)、非ヌクレオシドである逆転写酵素阻害剤(例えば、デラビルジン エファビレンツ、ネビラピン)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、アプレナビル、インディナビル、リトナビルおよびサクイナビル)、イドクスウリジン、シドホビル、アシクロビル、ガンシクロビル、ザナミビル、アマンタジンおよびパリビズマブを挙げることができるが、これらに限定されない。抗ウイルス薬の別の例としては、アセマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデホビル;アロブジン;アルビルセプト スドックス;塩酸アマンタジン(SYMMETRELTM);アラノチン;アリルドン;アテビルジンメシラート;アブリジン;シドホビル;シパンフィリン;シタラビン塩酸塩;デラビルジンメシラート;デシクロビル;ディダノシン;ジソキサリル;イドクスウリジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;ホサリラート;ホスカルネットナトリウム;ホスホネットナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール;ラミブジン;ロブカビル;メモチン塩酸塩;メチサゾン;ネビラピン;オセルタミビルリン酸塩(TAMIFLUTM);ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;リマンタジン塩酸塩(FLUMADINETM);サクイナビルメシラート;ソマンタジン塩酸塩;ソリブジン;スタットロン;スタブジン;チロロン塩酸塩;トリフルリジン;バラシクロビル塩酸塩;ビダラビン;ビダラビンリン酸塩;ビダラビンリン酸ナトリウム;ビロキシム;ザルシタビン;ザナミビル(RELENZATM);ジドブジンおよびジンビロキシムを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0717】
〔5.7.3 抗菌薬〕
治療剤と組み合わせて用いられ得る抗菌薬(抗生物質を包含する)としては、アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド、アンフェニコール抗生物質、アンサマイシン系抗生物質、セファロスポリン、セファマイシンオキサゾリジノン、ペニシリン、キノロン、ストレプトガミン、テトラサイクリン、および、これらのアナログを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、細菌感染を予防および/または処置するために、治療剤と組み合わせて抗生物質が投与される。
【0718】
特定の実施形態では、別のタンパク質合成阻害剤と組み合わせて治療剤が用いられる。当該タンパク質合成阻害剤としては、ストレプトマイシン、ネオマイシン、エリスロマイシン、カルボマイシンおよびスピラマイシンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0719】
一実施形態では、抗菌薬は、アンピシリン、アモキシシリン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ペニシリンG、ストレプトマイシン、スルファニルアミド、および、バンコマイシンからなる群から選択される。別の実施形態では、抗菌薬は、アジスロマイシン、セフォニシド、セフォテタン、セファロチン、セファマイシン、クロルテトラサイクリン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、サイクロセリン、ダルホプリスチン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、リネゾリド、ムピロシン、オキシテトラサイクリン、キヌプリスチン、リファンピン、スペクチノマイシン、および、トリメトプリムからなる群から選択される。
【0720】
治療剤と組み合わせて用いられ得る抗菌薬の更なる例としては、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、アプラマイシン、アルベカシン、バンベルマイシン、ブチロシン、ジベカシン、ネオマイシン、ネオマイシン、ウンデシレン酸塩、ネチルミシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、および、スペクチノマイシン)、アンフェニコール抗生物質(例えば、アジダムフェニコール、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、および、チアンフェニコール)、アンサマイシン系抗生物質(例えば、リファミド、および、リファンピン)、カルバセフェム(例えば、ロラカルベフ)、カルバペネム(例えば、biapenem、および、イミペネム)、セファロスポリン(例えば、セファクロール、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、および、セフピロム)、セファマイシン(例えば、セフブペラゾン、セフメタゾール、および、セフミノックス)、葉酸アナログ(例えば、トリメトプリム)、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン)、リンコサミド(例えば、クリンダマイシン、および、リンコマイシン)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン、カルボマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、および、エリスロマイシンアシストラート)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム、カルモナム、および、チゲモナム)、ニトロフラン(例えば、フラルタドン、および、塩化フラゾリウム)、オキサセフェム(例えば、フロモキセフ、および、モキサラクタム)、オキサゾリジノン(例えば、リネゾリド)、ペニシリン(例えば、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリン、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン、ペナムシリン、ペネタメート塩酸塩、ペニシリン0 ペネタミン、ペニシリン0、ペニシリンV、ペニシリンV ベンザチン、ペニシリンV ヒドラバミン、ペニメピサイクリン、および、フェネチシリンカリウム)、キノロンおよびそのアナログ(例えば、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、フルメキン、グレパフロキサシン、レポフロキサシン、および、モキシフロキサシン)、ストレプトグラミン(例えば、キヌプリスチン、および、ダルホプリスチン)、スルホンアミド(例えば、アセチルスルファメトキシピラジン、ベンジルスルファミド、ノプリルスルファミド、フタリルスルファセタミド、スルファクリソイジン、および、スルファシチン)、スルホン(例えば、ジアチモスルホン、グルコスルホンナトリウム、および、ソラスルホン)、および、テトラサイクリン(例えば、アピシクリン、クロルテトラサイクリン、クロモサイクリン、および、デメクロサイクリン)を挙げることができるが、これらに限定されない。更なる例としては、サイクロセリン、ムピロシン、ツベリン アンホマイシン、バシトラシン、カプレオマイシン、コリスチン、エンジュラシジン、エンビオマイシン、および、2,4 ジアミノピリミジン(例えば、ブロジモプリム)を挙げることができる。
【0721】
〔5.8 治療剤の投与および投与量〕
〔5.8.1 治療剤の投与形態〕
治療剤は、当業者に周知のあらゆる経路を介して投与され得る。治療剤またはその組成物は、経口にて、または、他のあらゆる便利な経路にて投与され得る。例えば、治療剤またはその組成物は、輸液またはボーラス注入法によって、上皮層または粘膜層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜または腸粘膜)を介した吸収によって、投与され得る。また、治療剤またはその組成物は、別の生物学的に活性な薬と共に投与され得る。投与は、全身へ行われてもよいし、局所へ行われてもよい。様々な送達システム(例えば、リポソーム内、微粒子内、マイクロカプセル内またはカプセル内への封入)が周知であって、治療剤、その組成物、および薬学的に受容可能なこれらの塩を運ぶために、当該様々な送達システムが用いられ得る。
【0722】
投与方法としては、特に耳、鼻、目または皮膚などに対する投与であって、非経口投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、経口投与、舌下腺投与、経鼻投与、大脳内投与、膣内投与、経皮投与、直腸投与、吸入による投与、腫瘍内投与または局所投与を挙げることができるが、これらに限定されない。投与の形態は、施術者が選択すればよい。幾つかの実施形態では、投与によって、治療剤が血流中へ放出される。
【0723】
特定の実施形態では、治療剤を局所的に投与することが好ましい。当該局所的な投与は、例えば、局所的な輸液、局所使用(例えば、包帯による)、注射、カテーテル手段、坐薬手段、または、移植手段によって行うことが可能であるが、これらに限定されない。なお、上記移植物は、多孔質材料、非多孔質材料またはゲル状材料であって、唾液腺拡張症膜(sialastic membranes)、または、ファイバー)を含んだものである。
【0724】
特定の実施形態では、あらゆる適切な経路(例えば、脳室内への注入、髄腔内への注入、および、硬膜外への注入)によって、中枢神経系の中へ治療剤を導入することが好ましい。脳室内への注入は、例えば、貯蔵容器(例えば、オマヤレザーバー)に連結された脳室内カテーテルによって容易に行うことができる。
【0725】
吸入器または噴霧器などを用いることにより、エアゾール化された薬剤を用いることにより、または、過フッ化炭化水素または合成された肺表面活性剤内を潅流することにより、肺への投与が可能となる。
【0726】
特定の実施形態では、治療剤は、伝統的な結合剤および賦形剤(例えば、トリグリセリド)を有する坐薬として製剤される。
【0727】
ウイルス感染または皮膚症状を伴うメラノーマに対しては、治療剤は、局所的に投与され得る。
【0728】
別の実施形態では、治療剤は、小胞内(特に、リポソーム)に封入されて運搬される(Langer, 1990, Science 249:1527 1533; Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Bacterial infection, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353 365 (1989); Lopez Berestein, ibid., pp. 317 327を参照)。
【0729】
別の実施形態では、治療剤は、制御された放出システムによって運搬される(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115 138 (1984)を参照)。制御された放出システムの例が、Langerによる総説「1990, Science 249:1527 1533」に記載されており、当該放出システムを用いることが可能である。一実施形態では、ポンプが用いられ得る(Langer, supra; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照)。別の実施形態では、高分子材料が用いられ得る(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61; Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105を参照)。特定の実施形態では、治療剤を含む制御された放出システムは、予防、処置および/または管理される疾患の影響を受けた組織の近傍に配置される。当該実施形態によれば、治療剤が局所的に投与された場合には、影響を受けた組織に近い制御された放出システムの近傍は、必要とされる治療剤の量の分画にのみに帰着し得る。
【0730】
〔5.8.2 治療剤の投与量〕
疾患の予防、処置および/または管理に有効な治療剤の量、または、治療剤を含む組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定され得る。適切な投薬量の範囲の決定を助けるために、in vitroのアッセイ、または、in vivoのアッセイを任意で用いることが可能である。用いられるべき的確な投与量は、投与経路、症状のタイプ、および、症状の重篤度などにも依存しており、当該投与量は、施術者の判断、および、各患者や各被験体の状況に応じて決定されるべきである。
【0731】
幾つかの実施形態では、治療剤またはその組成物の投与量は、動物試験にて決定されるように、最大無毒性量(no observed adverse effective level:NOAEL)からの推定によって決定される。当該推定された投与量は、ヒトの臨床試験において、必要とされる最大の開始投与量を決定するために有用である。例えば、NOAELは、ヒト相当用量(human equivalent dosages:HED)を決定するために推定され得る。典型的に、HEDは、体表面積あたりの投与量(例えば、mg/m2)に基づいた非ヒト動物への投与量から推定される。特定の実施形態では、NOAELは、マウス、ハムスター、ラット、フェレット、モルモット、ウサギ、イヌ、霊長類、霊長類(サル、マーモセット、リスザル、ヒヒ)、マイクロブタ、または、ミニブタにて決定される。NOAELを使用するにあたっての論議、および、ヒトに対する投与量を決定するために推定については、「Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers, U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research (CDER), Pharmacology and Toxicology, July 2005」を参照のこと。一実施形態では、NOAELに基づいたヒトに対する投与量(HED)よりも少ない投与量にて、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、1年間、2年間、3年間、または、それ以上の期間にわたって、治療剤またはその組成物が投与される。
【0732】
特定の実施形態では、ヒト被験体に対する用量は、10%の動物が死亡する量(LD10)を用いたモデル動物の試験から推定され得る。一般的に、フェーズIの臨床試験における開始用量は、前臨床試験に基づいている。前臨床試験での薬の毒性の標準的な測定は、処置によって死亡する動物の割合に基づいて行われる。動物試験におけるLD10と、ヒトの最大耐量(maximal-tolerated dose:MTD)とが関連していることは当業者にとって周知である。なお、MTDは、ヒトへの開始投与量を推定するための基礎として、体表面積に合わせて調節されている。幾つかの実施形態では、1つの動物モデルに対する投与量との相互関係は、別の動物(例えば、ヒト)に対して使用するために、換算係数(mg/m−体表面積)を用いて変換され得る。例えば、「Freireich et al., Cancer Chemother. Rep., 1966, 50:219-244」を参照。体表面積は、患者の身長および体重から、凡そ決定され得る。例えば、「Scientific Tables, Geigy Pharmaceuticals, Ardley, N. Y., 1970, 537」を参照のこと。特定の実施形態では、体表面積の調整は、ホスト因子(host factor)(例えば、表面積、体重、代謝、組織分布、吸収速度、および、排泄率)を含む。加えて、投与経路、賦形剤の使用、および、標的とする特定の疾患またはウイルスもまた、考慮すべき因子(factor)である。一実施形態では、別の種(例えば、イヌ)が治療剤に対してより感受性が高い場合には更に低くなり得るが、標準的な通例の開始投与量はネズミのLD10の約1/10である別の実施形態では、標準的な通例の開始投与量は、ネズミのLD10の約1/100、1/95、1/90、1/85、1/80、1/75、1/70、1/65、1/60、1/55、1/50、1/45、1/40、1/35、1/30、1/25、1/20、1/15、2/10、3/10、4/10、または、5/10である。一実施形態では、ヒトに対する治療剤の開始投与量は、動物モデル試験から推定された量よりも少ない。別の実施形態では、ヒトに対する治療剤の開始投与量は、動物モデル試験から推定された量よりも多い。活性を有する組成物の開始投与量を相対的に低くし、最小限の毒性にて所望の効果を達成するために、必要に応じて投与量を増減させることは、当業者にとって周知である。
【0733】
ポリペプチドまたは抗体含む治療剤、または、その組成物の典型的な投与量は、被験体1kgまたはサンプル1kgあたり、ミリグラムまたはマイクログラムの量である(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約5μg/kg〜約100mg/kg、または、約1μg/kg〜約50μg/kg)。特定の実施形態では、1日あたり投与量は、少なくとも50mg、75mg、100mg、150mg、250mg、500mg、750mg、または、少なくとも1gである。
【0734】
一実施形態では、投与は、0.01〜5000mM、1〜300mM、10〜100mM、または、10mM〜1Mの濃度にて行われる。別の実施形態では、投与は、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、または、少なくとも500mMの濃度にて行われる。
【0735】
一実施形態では、投与は、0.01〜5000mM、1〜300mM、10〜100mM、または、10mM〜1Mの濃度にて行われる。別の実施形態では、投与は、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、または、少なくとも500mMの濃度にて行われる。特定の実施形態では、投与量は、患者の体重あたり0.25μg/kg以上、好ましくは0.5μg/kg以上、1μg/kg以上、2μg/kg以上、3μg/kg以上、4μg/kg以上、5μg/kg以上、6μg/kg以上、7μg/kg以上、8μg/kg以上、9μg/kg以上、10μg/kg以上、25μg/kg以上、好ましくは50μg/kg以上、100μg/kg以上、250μg/kg以上、500μg/kg以上、1mg/kg以上、5mg/kg以上、6mg/kg以上、7mg/kg以上、8mg/kg以上、9mg/kg以上、または、10mg/kg以上である。
【0736】
別の実施形態では、投与量は、1mg、好ましくは2mg、5mg、10mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、または、それ以上の1服量(a unit dose)である。別の実施形態では、投与量は、約5mg〜約100mg、約100mg〜約200μg、約150mg〜約300mg、約150mg〜約400mg、250μg〜約500mg、約500mg〜約800mg、約500mg〜約1000mg、または、約5mg〜約1000mgの1服量である。
【0737】
核酸またはその組成物を含む治療剤の典型的な投与量は、1服あたりの核酸の量が0.1μg、0.5μg、1μg、1.5μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、または、60μgである。特定の実施形態では、投与量は、1服あたりの核酸の量が10ng〜100mg、50ng〜100mg、または、100ng〜100mgである。幾つかの特定の実施形態では、投与量は、1服あたりの核酸の量が10pg〜100mg、50pg〜100mg、100pg〜100mg、または、100pg〜100ngである。
【0738】
特定の実施形態では、経口投与にとって適切な投与量は、1日あたり体重1kgに対して、治療剤の量が約0.001mg〜約500mgである。特定の実施形態では、経口投与の量は、1日あたり体重1kgに対して約0.01mg〜約100mg、1日あたり体重1kgに対して約0.1mg〜約75mg、または、1日あたり体重1kgに対して約0.5mg〜5mgである。幾つかの実施形態では、1つよりも多い治療剤が投与される場合には、投与される合計量として本明細書に記載されている投与量は、投与される合計量を意図する。特定の実施形態では、経口投与用の組成物は、約10重量%〜約95重量%の治療剤を含んでいる。
【0739】
静脈(intravenous:i.v.)投与にとって適切な投与量は、1日あたり体重1kgに対して約0.01mg〜約100mg、1日あたり体重1kgに対して約0.1mg〜約35mg、または、1日あたり体重1kgに対して約1mg〜約10mgである。幾つかの実施形態では、経鼻投与にとって適切な投与量は、1日あたり体重1kgに対して約0.01pg/kg〜約1mg/kgである。一般的に坐薬は、1日あたり体重1kgに対して約0.01mg〜約50mgの治療剤を含んでいるとともに、約0.5重量%〜約10重量%の有効成分を含んでいる。
【0740】
皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、皮下投与、硬膜外投与、舌下腺投与、大脳内投与、膣内投与、経皮投与、または、吸入による投与にとって必要な投与量は、1日あたり体重1kgに対して約0.001mg〜約500mgである。局所投与にとって適切な投与量は、投与する場所に依存するが、約0.001mg〜約50mgである。
【0741】
別の実施形態では、被験体に対して、有効量の治療剤またはその組成物が1服以上投与される。このとき、各服用における有効量は同一ではない。別の実施形態では、被験体に対して、有効量の治療剤またはその組成物が1服以上投与される。このとき、処置が進むにしたがって、被験体に投与される有効量は、例えば0.01μg/kg、0.02μg/kg、0.04μg/kg、0.05μg/kg、0.06μg/kg、0.08μg/kg、0.1μg/kg、0.2μg/kg、0.25μg/kg、0.5μg/kg、0.75μg/kg、1μg/kg、1.5μg/kg、2μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、または、50μg/kgずつ増量される。別の実施形態では、被験体に対して、有効量の治療剤またはその組成物が1服以上投与される。このとき、処置が進むにしたがって、投与される量は、例えば0.01μg/kg、0.02μg/kg、0.04μg/kg、0.05μg/kg、0.06μg/kg、0.08μg/kg、0.1μg/kg、0.2μg/kg、0.25μg/kg、0.5μg/kg、0.75μg/kg、1μg/kg、1.5μg/kg、2μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、または、50μg/kgずつ減量される。
【0742】
B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28またはCTLA−4を大量に発現している細胞を含んでいる治療剤に関して、あらゆる経路による投与にとって適切な投与量は、少なくとも100個、200個、300個、400個、500個、700個、1,000個、5,000個、10,000個、25,000個、50,000個、または、100,000個の細胞であり得る。特定の実施形態では、細胞の数は、少なくとも100個、200個、300個、400個、または、500個である。別の実施形態では、細胞の数は、少なくとも300個、400個、500個、700個、1,000個である。更に別の実施形態では、細胞の数は、少なくとも700個、1,000個、5,000個、または、10,000個である。幾つかの実施形態では、細胞の数は、少なくとも5,000個、10,000個、25,000個、50,000個、または、100,000個である。更に別の実施形態では、細胞の数は、少なくとも50,000個、または、100,000個である。別の実施形態では、細胞の数は、少なくとも1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、1×10個、5×10個、またはそれ以上である。特定の実施形態では、細胞の数は、1×10個〜1×10個、5×10個〜5×10個、1×10個〜1×10個、1×10個〜5×10個、1×10個〜1×10個、1×10個〜1×10個、または、1×10個〜1×10個である。
【0743】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、疾病または疾患に関連する症状がネガティブコントロールの少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%が阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の治療剤またはその組成物が投与される。処置するための特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、疾病または疾患に関連する症状がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の治療剤またはその組成物が投与される。
【0744】
感染症を処置または治療するための特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%までが阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。別の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、病原菌の複製がネガティブコントロールの少なくとも1ログ(1log)、1.5ログ(1.5logs)、2ログ(2logs)、2.5ログ(2.5logs)、3ログ(3logs)、3.5ログ(3.5logs)、4ログ(4logs)、5ログ(5logs)、またはそれ以上が阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。
【0745】
癌を予防、処置および/または管理するための特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、腫瘍の成長または癌細胞の増殖がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、腫瘍の成長または癌細胞の増殖がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。
【0746】
自己免疫疾患または炎症性疾患を処置または治療するための特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、免疫機能の特定の特徴がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の抑制性の治療剤またはその組成物が投与される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、免疫機能の特定の特徴がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍阻害または低減されるように、被験体に対して、有効量の抑制性の治療剤またはその組成物が投与される。
【0747】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、免疫反応がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が誘導または増強されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、免疫反応がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、8倍、10倍、15倍、20倍、2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍誘導または増強されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与される。
【0748】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、リンパ球の数がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が増加または増強されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与(幾つかの実施形態では、標的である特定の体内区画中へ)される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、リンパ球の数がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、約2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍増加または増強されるように、被験体に対して、有効量の免疫賦活治療剤またはその組成物が投与(幾つかの実施形態では、標的である特定の体内区画中へ)される。幾つかの実施形態では、免疫賦活治療剤によってリンパ球の数が増加または増強される、標的である特定の体内区画は、肺、胃、心臓、腎臓、肝臓、小腸、大腸、胸部、前立腺、または、膀胱である。特定の実施形態では、リンパ球の数が増加または増強される、標的である特定の体内区画は、疾病または疾患(例えば、癌、または、感染症)の影響を受ける体内区画である。幾つかの実施形態では、リンパ球の数が増加または増強される、標的である特定の体内区画は、リンパ節、脾臓、または、末梢血である。
【0749】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、リンパ球の数がネガティブコントロールの少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または、少なくとも85%まで、が減少するように、被験体に対して、有効量の抑制性の治療剤またはその組成物が投与(幾つかの実施形態では、標的である特定の体内区画中へ)される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されたアッセイまたは当業者に周知の別のアッセイによって評価したときに、リンパ球の数がネガティブコントロールの少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、約2倍〜5倍、2倍〜10倍、5倍〜10倍、または、5倍〜20倍減少するように、被験体に対して、有効量の抑制性の治療剤またはその組成物が投与(幾つかの実施形態では、標的である特定の体内区画中へ)される。幾つかの実施形態では、抑制性の治療剤によってリンパ球の数が減少する、標的である特定の体内区画は、肺、胃、心臓、腎臓、肝臓、小腸、大腸、胸部、前立腺、または、膀胱である。特定の実施形態では、リンパ球の数が増加または増強される、標的である特定の体内区画は、疾病または疾患(例えば、癌、または、感染症)の影響を受ける体内区画である。幾つかの実施形態では、リンパ球の数が増加または増強される、標的である特定の体内区画は、リンパ節、脾臓、または、末梢血である。
【0750】
特定の実施形態では、1服の治療剤またはその組成物が、毎日、1日おき、2日おき、3日おき、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、または、2週間おきに1回、被験体に対して投与される。別の実施形態では、2服、3服または4服の治療剤またはその組成物が、毎日、1日おき、2日おき、3日おき、1週間に1回、または、2週間おきに1回、被験体に対して投与される。幾つかの実施形態では、1服(または、複数の服量)の治療剤またはその組成物が、2日間、3日間、5日間、7日間、14日間、または、21日間投与される。特定の実施形態では、1ヶ月、1.5ヶ月、2ヶ月、2.5ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、またはそれ以上の期間に対して、1服の治療剤またはその組成物が投与される。
【0751】
疾病または疾患(例えば、癌、感染症、自己免疫疾患および炎症性疾患、移植片拒絶反応)の予防、処置および/または管理に用いられてきた、または、現在用いられている予防剤または治療剤の投与量は、臨床医学者が利用可能な参考文献(例えば、Physicians’ Desk Reference (63rd ed. 2009))を用いて決定され得る。好ましくは、疾病または疾患の予防、処置および/または管理に用いられてきた、または、現在用いられている投与量よりも少ない投与量が、1つ以上の治療剤またはその組成物と組み合わせて用いられる。
【0752】
上述した投与スケジュールは、例示を目的として示したものであって、本発明は、これらに限定されない。当業者であれば、あらゆる投与量が本発明の範囲に含まれることを容易に理解するであろう。
【0753】
〔5.9 生物学的アッセイ〕
〔5.9.1 治療剤の結合特性を評価するためのアッセイ〕
B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、B7−H2とCTLA−4との複合体に対して特異的に結合する治療剤は、当該分野において周知のあらゆる方法(例えば、ELISA、共免疫沈降(coimmunoprecipitation)、Biacoreアッセイ、および、KinEx Aアッセイ)を用いて評価し得る。
【0754】
結合アッセイは、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に対する、治療剤の結合親和性を決定するために用いられ得る。結合アッセイは、直接的な結合アッセイ(direct binding assays)として、または、競合的な結合アッセイ(competition-binding assays)として行われ得る。結合は、標準的なELISAアッセイ、または、標準的なフローサイトメトリーアッセイを用いて検出され得る。直接的な結合アッセイでは、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に対する、治療剤の結合が試験される。
【0755】
一方、競合的な結合アッセイでは、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に結合する周知の薬剤(例えば、抗体または他の化合物)と競合する、治療剤の能力が評価される。
【0756】
直接的な結合アッセイでは、治療剤がB7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体へ結合し得る条件下で、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体が、治療剤へ接触させられる。結合は、溶液中または固体表面において生じ得る。好ましくは、抗体の候補(candidate antibody)は、前もって検出するためにラベルされる。ラベルには、検出可能なあらゆる化合物が用いられ得る。当該化合物としては、例えば、発光、蛍光、放射性同位体、これらを含む群、または、非同位体ラベル(nonisotopic label)(例えば、酵素または色素)を用いることが可能であるが、これらに限定されない。結合を生じさせるために十分な時間インキュベートした後で、反応物を、過剰に結合した抗体または非特異的に結合した抗体を除去するための条件および操作にかける。典型的には、適切なバッファーを用いて洗浄する。最後に、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体へ結合している治療剤が検出される。
【0757】
競合的な結合アッセイでは、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に対する周知の薬剤(例えば、抗体または他の化合物)の結合を阻害または置換する、治療剤の能力が調べられる。治療剤の存在下および治療剤の非存在下において、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に結合する周知の物質(ラベルされている)が混合されると共に、これらを、これらの間の結合が普通に生じる条件下に置く。B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に結合しているラベルされた周知の結合物質の量は、治療剤の存在下で結合した量、または、治療剤の非存在下で結合した量と比較され得る。
【0758】
一実施形態では、結合アッセイは、抗体抗原複合体の形成と検出とを容易にするために、固体表面上に固定化された1つ以上の化合物を用いて実施される。様々な実施形態では、固体の支持体は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス、ニトロセルロース、デキストラン、ナイロン、ポリアクリルアミド、または、アガロースであり得るが、これらに限定されない。上記支持体の形状は、ビーズ、膜、微粒子、反応槽(例えば、マイクロタイタープレート)の内面、試験管、または、他の反応槽であり得る。B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、B7−H2とCTLA−4との複合体、または、他の化合物の固定化は、共有結合または非共有結合を介して行われ得る。一実施形態では、結合は、間接的(例えば、固定化された抗体を介する結合)であり得る。別の実施形態では、市販されている抗体(例えば、anti−GST(Santa Cruz Biotechnology))を介して固体表面への結合を行うために、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体、および、ネガティブコントロールには、エピトープ(例えば、グルタチオン S−トランスフェラーゼ(GST))が付加されている。
【0759】
例えば、このような親和性結合アッセイは、固体支持体へ固定化されたB7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体、を用いて行われ得る。一般的に、結合反応において固定化されていない成分(この場合、治療剤)は、検出を可能にするためにラベルされる。ラベルするための様々な方法(例えば、発光、発色団、蛍光、放射性同位体、これらを含む群、非同位体ラベル(例えば、酵素または色素))が用いられ得る。一実施形態では、治療剤は、蛍光プローブ(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC、Sigma Chemicals, St. Louisより入手可能))によってラベルされる。このような親和性結合アッセイは、固体表面上に固定化されたB7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体、を用いて行われ得る。次いで、治療剤が、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体と一緒にインキュベートされる。そして、治療剤の特異的な結合が、周知の方法(例えば、BiaCore解析、ELISA法、FMET法またはRIA法が挙げられるが、これらに限定されない)によって検出される。
【0760】
最後に、固体表面上に存在するラベルが、あらゆる周知の方法によって検出され得る。例えば、治療剤が蛍光プローブによってラベルされている場合には、複合体を検出するために、蛍光計(fluorimeter)が用いられ得る。
【0761】
一実施形態では、治療剤は、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28若しくはCTLA−4を発現している生細胞(intact cells)に対して、または、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28若しくはCTLA−4を含んでいる分離された膜に対して加えられる。それ故に、治療剤の直接的な結合が、培養物中、または、動物モデル中の生細胞中で評価され得る。ラベルされた治療剤が、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28若しくはCTLA−4を発現している細胞と、または、これらの細胞から得られた粗抽出物と、混合され得る。分離された膜は、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、または、CTLA−4と相互作用する治療剤の同定に使用され得る。例えば、分離された膜を用いる典型的な試験では、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、または、CTLA−4を発現するように、細胞が、遺伝学的に設計され得る。膜は、標準的な手法によって回収され得るとともに、in vitroの結合アッセイに用いられ得る。ラベルされた治療剤(例えば、蛍光ラベルされた抗体)が膜へ結合し、特定の活性について評価される。特異的な結合は、ラベルされていない(coldな)過剰の治療剤の存在下で行った結合アッセイと比較することによって決定される。代わりに、溶解しているB7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、または、CTLA−4を組み換え技術によって発現することが可能であるとともに、これらを、B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、または、CTLA−4に結合している治療剤を同定するための、細胞に基づかないアッセイに用いることが可能である。
【0762】
代わりに、溶液中で結合反応を行うことも可能である。当該アッセイでは、ラベルされた成分が、自身の結合相手と溶液中で相互作用することができる。ラベルされた成分と当該成分の結合相手との間のサイズの違いが許すのであれば、結合反応の産物を限外濾過膜に通すことによって、分離を行うことができる。なお、当該限外濾過膜の孔は、結合していないラベルされた成分を通過させる一方で、ラベルされた成分の結合相手、または、結合相手に結合しているラベルされた成分を通過させないものである。分離は、溶液から、ラベルされた成分の結合相手を捕捉し得るあらゆる物質(例えば、結合相手などに対する抗体)を用いて行うことも可能である。
【0763】
B7−H7、B7−H7CR、B7−H2、ICOS、CD28、CTLA−4、B7−H7とB7−H7CRとの複合体、B7−H2とICOSとの複合体、B7−H2とCD28との複合体、または、B7−H2とCTLA−4との複合体に対する治療剤の結合親和性を評価するために、上述した様々な方法、または、周知の方法が適応され得る。
【0764】
〔5.9.2 治療剤の機能を評価するためのアッセイ〕
治療剤が免疫機能を活性化、増強、抑制または低減するか評価するために、周知の様々なアッセイが用いられ得る。1つの局面において、治療剤は、免疫反応を増加させる。なお、当該免疫反応は、例えば、抗体応答(液性応答)、または、細胞性免疫反応(例えば、サイトカイン(例えば、インターフェロンγ)の分泌、ヘルパー活性、または、細胞毒性)であり得る。一実施形態では、増加した免疫反応は、増加したサイトカインの分泌、増加した抗体生産、増加したエフェクター機能、増加したT細胞の増殖、および/または、増加したNK細胞の増殖である。別の局面において、治療剤は、免疫反応を抑制する。当該免疫反応は、例えば、抗体応答(液性応答)、または、細胞性免疫反応(例えば、サイトカイン(例えば、インターフェロンγ)の分泌、ヘルパー活性、または、細胞毒性)であり得る。一実施形態では、減少した免疫反応は、減少したサイトカインの分泌、減少した抗体生産、減少したエフェクター機能、減少したT細胞の増殖、および/または、減少したNK細胞の増殖である。このような活性を測定するための様々なアッセイが、当該分野において周知であり、このようなアッセイの例を、以下に示す。
【0765】
特定の免疫細胞の増殖は、H−チミジン取り込み反応によって評価され得る。抗原特異的T細胞を同定するため、および、治療剤が如何に抗原特異的T細胞の応答を調節(例えば、活性化、増強、低減または抑制)するかを評価するために、「tetramer staining」アッセイ(Altman et al., 1996, Science 274: 94-96)が用いられ得る。例えば、特定のペプチド抗原(例えば、腫瘍特異性抗原)を含んでいるMHC分子を多量体化して可溶性のペプチドテトラマーを形成するとともに、ストレプトアビジンと複合体化すること等によってラベルする。次いで、MHC−ペプチド抗原複合体を、一群のT細胞と混合する。なお、当該T細胞は、免疫原性の組成物のみを投与した被験体、または、免疫原性の組成物と治療剤との組み合わせを投与した被験体から得られたものである。次いで、目的の腫瘍特異性抗原を発現しているT細胞を染めるために、ビオチンが用いられる。
【0766】
その上、リンパ球混合ターゲットカルチャーアッセイ(mixed lymphocyte target culture assay)を用いて、「Palladino et al., 1987, Cancer Res」などに記載されている51Cr−放出アッセイによって、T細胞の細胞毒性が試験され得る。手短に言えば、混合したリンパ球培養物を標的である細胞けん濁液へ加えて、異なる「エフェクター:標的」の比率(E:T(通常は1:1〜40:1))を作製する。37℃にて1時間、1mLあたり500μCiの51Crを含有する培養培地中で1×10個の標的細胞をインキュベートすることによって、標的細胞を前もってラベルする。ラベル化の後で、細胞を3回洗浄する。各アッセイポイント(E:T比)について3回試験を行うとともに、自然に生じる51Crの放出(アッセイに対してリンパ球を加えない)と、100%の放出(界面活性剤によって溶解された細胞)とを測定するための、適切なコントロール試験とを行う。細胞混合物を4時間インキュベートした後で、200gにて5分間の遠心分離を行うことによって、細胞を沈殿させる。上清液中へ放出された51Crの量は、γカウンターによって測定される。細胞毒性率(percent cytotoxicity)は、試験サンプル中のcpmから自然放出されるcpmを引いた値を、界面活性剤によって放出される全cpmから自然放出されるcpmを引いた値によって割った値として測定される。
【0767】
ELISPOTアッセイは、被験体に対して効果的な量の治療剤を投与した後のT細胞による、in vitroにおけるサイトカインの放出を測定するために用いられ得る。サイトカインの放出は、特定のサイトカイン(例えば、インターロイキン−2、腫瘍壊死因子−α、または、インターフェロン−γ(Scheibenbogen et al., 1997, Int. J. Cancer 71:932-936を参照のこと)に対して特異的な抗体によって検出される。上記アッセイは、目的のサイトカインに対する特異的な抗体によって予めコーティングされたマイクロタイタープレート内で行われ得る。なお、上記抗体は、T細胞によって分泌されたサイトカインを捕捉するものである。コーティングされたウエル内で24時間〜48時間、T細胞をインキュベートした後で、当該T細胞を、取り除くとともに、当該T細胞を、サイトカイン上の異なるエピトープを認識する二次標識された抗体と置換する。結合していない抗体を取り除くために何度も洗浄した後で、プレートに対して、有色の反応産物を形成する酵素基質が加えられる。サイトカインを生産している細胞の数は、顕微鏡下で数えられる。この方法は、アッセイ時間が短いという利点を有しているとともに、多数の細胞傷害性T細胞を必要としない検出感度であるという利点を有している。
【0768】
特定の実施形態では、後述する実施例6および7に記載のアッセイが、免疫機能に対する治療剤の効果を評価するために用いられ得る。例えば、免疫機能に対する治療剤の効果は、後述する実施例6および7に記載のT細胞共刺激アッセイを用いて評価され得る。
【0769】
固相酵素免疫検定法(ELISA)は、当該分野において周知であり、例えば「Section 2.1 of Current Protocols in Immunology, Coligan et al. (eds.), John Wiley and Sons, Inc. 1997」などに記載されている。
【0770】
幾つかの局面において、免疫賦活治療剤によって誘導または増強される免疫反応は、当該分野において周知のあらゆるアッセイによって決定したときに、ネガティブコントロールによって誘導される免疫反応の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%、99%、10%〜25%、10%〜50%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜90%、75%〜90%、または、75%〜100%が増強または増加される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤によって誘導される免疫反応は、当該分野において周知のあらゆるアッセイによって決定したときに、ネガティブコントロールによって誘導される免疫反応の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜15倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも400倍〜500倍に増強される。特定の実施形態では、免疫反応を評価するために用いられるアッセイでは、抗体生産、サイトカイン生産または細胞毒性のレベルが測定され、このようなアッセイは、当該分野において周知である。幾つかの実施形態では、免疫反応の測定に用いられるアッセイは、抗体またはサイトカインのレベルを決定する固相酵素免疫検定法(ELISA)、サイトカインの放出を決定するELISPOTアッセイ、または、細胞毒性を決定する51Cr放出アッセイである。
【0771】
特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が、被験体内で免疫反応を誘導または増強する。当該免疫反応は、被験体の血清の抗体力価によって測定され、当該抗体力価は、ネガティブコントロールが投与された被験体の血清の抗体力価と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、500倍〜2000倍高い。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が投与された被験体における、抗原に対する血清抗体力価の平均値(mean serum antibody titer against the antigen)は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体の血清抗体力価の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも400倍〜500倍に増加する。
【0772】
別の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが調節(modulate)されるように、免疫賦活治療剤が投与される。
【0773】
特定の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが誘導または増強されるように(例えば、インターフェロン−γ(0.5倍〜500倍高い))、免疫賦活治療剤が投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が、免疫反応を誘導または増強する。なお、当該免疫反応は、サイトカインの放出の増加、および、サイトカインの濃度の増加によって測定され、当該免疫反応は、ネガティブコントロールのサイトカインの濃度と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高い。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも、400倍〜500倍増加する。幾つかの実施形態では、ネガティブコントロールは、免疫賦活治療剤が投与される前の被験体から得られたサンプルであり得る。
【0774】
特定の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが低下するように、免疫賦活治療剤が投与される。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が、免疫反応を誘導または増強する。なお、当該免疫反応は、サイトカインの放出の減少、および、サイトカインの濃度の低下によって測定され、当該免疫反応は、ネガティブコントロールのサイトカインの濃度と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍低い。特定の実施形態では、免疫賦活治療剤が投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも、400倍〜500倍低下する。幾つかの実施形態では、ネガティブコントロールは、免疫賦活治療剤が投与される前の被験体から得られたサンプルであり得る。
【0775】
特定の実施形態において、免疫賦活治療剤は、被験体中のNK細胞の増殖を、ネガティブコントロール中のNK細胞の増殖の少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高く誘導または増強する。特定の実施形態において、競合性の治療剤(Agonisitc Therapeutic Agent)は、当該分野において周知の方法(例えば、フローサイトメトリー、CSFE染色、3H−チミジン取込み反応)によって決定したときに、被験体中のT細胞の増殖を、ネガティブコントロール中のNK細胞の増殖の少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高く誘導または増強する。
【0776】
効果的な量の治療剤によって誘導される抗体免疫反応(体液性免疫反応)または細胞性免疫反応の増加は、当該分野において周知である様々な方法を用いて評価され得る。
【0777】
幾つかの局面では、抑制性の治療剤によって抑制される免疫反応は、当該分野において周知のあらゆるアッセイによって決定したときに、ネガティブコントロールによって誘導される免疫反応の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%、99%、10%〜25%、10%〜50%、25%〜50%、25%〜75%、50%〜75%、50%〜90%、75%〜90%、または、75%〜100%が減少する。特定の実施形態では、抑制性の治療剤によって抑制される免疫反応は、当該分野において周知のあらゆるアッセイによって評価したときに、ネガティブコントロールによって誘導される免疫反応の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも、400倍〜500倍増強される。特定の実施形態では、免疫反応を評価するために用いられるアッセイでは、抗体生産、サイトカイン生産または細胞毒性のレベルが測定され、このようなアッセイは、当該分野において周知である。幾つかの実施形態では、免疫反応の測定に用いられるアッセイは、抗体またはサイトカインのレベルを決定する固相酵素免疫検定法(ELISA)、サイトカインの放出を決定するELISPOTアッセイ、または、細胞毒性を決定する51Cr放出アッセイである。
【0778】
特定の実施形態では、抑制性の治療剤が、被験体内で免疫反応を低下させる。当該免疫反応は、被験体の血清の抗体力価によって測定され、当該抗体力価は、ネガティブコントロールが投与された被験体の血清の抗体力価と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、500倍〜2000倍高い。特定の実施形態では、抑制性の治療剤が投与された被験体における、抗原に対する血清抗体力価の平均値(mean serum antibody titer against the antigen)は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体の血清抗体力価の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも400倍〜500倍減少する。
【0779】
別の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが調節(modulate)されるように、抑制性の治療剤が投与される。
【0780】
別の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが減少するように(例えば、インターフェロン−γ(0.5倍〜500倍高い))、抑制性の治療剤が投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤が、免疫反応を減少させる。なお、当該免疫反応は、サイトカインの放出の減少、および、サイトカインの濃度の低下によって測定され、当該免疫反応は、ネガティブコントロールのサイトカインの濃度と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍低い。特定の実施形態では、抑制性の治療剤が投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも、400倍〜500倍減少する。幾つかの実施形態では、ネガティブコントロールは、抑制性の治療剤が投与される前の被験体から得られたサンプルであり得る。
【0781】
別の実施形態において、本発明の方法では、ネガティブコントロールサンプルにおけるサイトカインの生産または分泌のレベルと比較して、サイトカインの生産または分泌のレベルが誘導または増強されるように、抑制性の治療剤が投与される。特定の実施形態では、抑制性の治療剤が、免疫反応を誘導または増強する。なお、当該免疫反応は、サイトカインの放出の増加、および、サイトカインの濃度の増加によって測定され、当該免疫反応は、ネガティブコントロールのサイトカインの濃度と比較して、少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高い。特定の実施形態では、抑制性の治療剤が投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値は、当該分野において周知の方法によって決定したときに、ネガティブコントロールが投与された被験体から得られたサンプルの血清サイトカイン濃度の平均値の少なくとも0.5倍〜2倍、少なくとも2倍〜5倍、少なくとも5倍〜10倍、少なくとも10倍〜50倍、少なくとも50倍〜100倍、少なくとも100倍〜200倍、少なくとも200倍〜300倍、少なくとも300倍〜400倍、または、少なくとも、400倍〜500倍増加する。幾つかの実施形態では、ネガティブコントロールは、抑制性の治療剤が投与される前の被験体から得られたサンプルであり得る。
【0782】
特定の実施形態において、抑制性の治療剤は、被験体中のNK細胞の増殖を、ネガティブコントロール中のNK細胞の増殖の少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高く低下させる。特定の実施形態において、抑制性の治療剤は、当該分野において周知の方法(例えば、フローサイトメトリー、CSFE染色、3H−チミジン取込み反応)によって決定したときに、被験体中のT細胞の増殖を、ネガティブコントロール中のNK細胞の増殖の少なくとも0.2倍〜5倍、5倍〜20倍、10倍〜30倍、20倍〜50倍、50倍〜200倍、100倍〜500倍、200倍〜1000倍、または、500倍〜2000倍高く減少させる。
【0783】
〔5.9.3 細胞毒性アッセイ〕
本明細書に記載されている治療の毒性および/または効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法(例えば、LD50(母集団の50%が死亡する投与量)およびED50(母集団の50%に対して治療効果を示す投与量))によって決定され得る。毒性および治療効果の間の用量比は、治療指数であり、当該用量比は、LD50/ED50という比として示され得る。大きな治療指数を示す治療は、より好ましい治療である。一方、有害な副作用を示す治療も用いられ得る。このとき、感染していない細胞に対する潜在的なダメージを最小限に抑えて、これによって、副作用を低減するために、このような薬を罹患組織へ運搬するための運搬システムのデザインに対して注意が払われるべきである。
【0784】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータは、ヒトで用いるための、予防薬および/または治療薬の投与量の範囲を計算するために用いられ得る。このような薬の投与量は、僅かしか毒性が無い、または、全く毒性が無いED50を包含する循環濃度(circulating concentration)の範囲内であることが好ましい。上記投与量は、上述した範囲内において、投与形態および投与経路に応じて変化し得る。上記方法(例えば、本明細書に記載の方法)に用いられるあらゆる治療にとって、治療効果を示す投与量は、まず初めに細胞培養アッセイから推定され得る。細胞培養にて決定したように、IC50(例えば、症状の最大値の半分を抑制することができる治療剤の濃度)を包含する循環血漿濃度範囲(circulating plasma concentration range)を達成するために、動物モデルにおいて投与量が計算され得る。このような情報は、ヒトに対して用いられる投与量をより正確に決定するために使用され得る。血漿内のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0785】
特定の実施形態では、治療剤の細胞毒性は、細胞培養において、治療剤に晒された細胞のアポトーシスのレベルを測定することによって決定され得る。一実施形態では、アポトーシスは、DNAの断片化を測定することによって定量化され得る。DNAの断片化をin vitroにて定量化するための、市販の光学的な方法を用いることが可能である。TUNELアッセイ(当該アッセイでは、断片化されたDNA内への、ラベル化ヌクレオチドの取り込みが検出される)、および、ELISAに基づいたアッセイ、などを包含するこのようなアッセイの例が、「Biochemica, 1999, no. 2, pp. 34 37(Roche Molecular Biochemicals)」に記載されている。別の実施形態では、アポトーシスを形態学的に観察し得る。
【0786】
このようなアッセイを行い得る細胞株は、当業者にとって周知である。初代培養細胞(例えば、組織外植片)に対してアポトーシスアッセイ、ネクローシスアッセイ、および、増殖アッセイを行うことも可能である。
【0787】
〔5.9.4 動物モデル〕
ヒトへの使用に先立って、治療剤は、所望の治療活性または所望の予防活性について、in vivoにて評価されることが好ましい。例えば、一実施形態では、治療剤は、動物における病気または疾患の発症と同時に、当該動物に対して投与され得る。別の実施形態では、治療剤は、動物における病気または疾患の発症に先立って、当該動物に対して投与され得る。別の実施形態では、動物における病気または疾患の発症の後で、当該動物に対して投与され得る。特定の実施形態では、治療剤は、動物に対して1回よりも多く投与される。別の実施形態では、治療剤は、別の療法と組み合わせて投与される。
【0788】
治療剤は、動物モデルシステム内で試験され得る。当該動物モデルシステムとしては、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ウサギ、モルモットなどを挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、治療剤は、マウスのモデルシステム内で試験される。このようなモデルシステムは、広く用いられているとともに、当業者にとって周知である。特定の実施形態では、機能の回復のために、治療剤はノックアウト動物内で試験される。例えば、B7−H2ノックアウトは、特定の治療剤による、特定のB7−H2に関連した機能の回復を試験するために用いられ得る。
【0789】
治療剤の抗癌活性は、当該分野において周知である、癌研究のための様々な実験動物モデルを用いて決定され得る。例えば、Relevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development (1999, eds. Fiebig and Burger);Contributions to Oncology (1999, Karger);The Nude Mouse in Oncology Research (1991, eds. Boven and Winograd);およびAnticancer Drug Development Guide (1997 ed. Teicher)参照。なお、これらの文献の内容は全て、参考として本明細書中に引用される。
【0790】
癌に関する動物モデルは、治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の効果を評価するために使用され得る。肺癌に関する動物モデル例としては、「Zhang and Roth (1994, In vivo 8(5):755-69)」に記載の肺癌動物モデル、および、p53の機能を失ったトランスジェニックマウスモデル(例えば、Morris et al., 1998, J La State Med Soc 150(4):179-85参照)を挙げることができるが、これらに限定されない。乳癌に関する動物モデル例としては、サイクリンD1を過剰発現しているトランスジェニックマウス(例えば、Hosokawa et al., 2001, Transgenic Res 10(5):471-8参照)を挙げることができるが、これに限定されない。大腸癌に関する動物モデル例としては、TCR−yおよびp53のダブルノックアウトマウス(例えば、Kado et al., 2001, Cancer Res 61(6):2395-8参照)を挙げることができるが、これに限定されない。膵臓癌に関する動物モデル例としては、Panc02マウスの膵臓のアデノカルシノーマの転移モデル(例えば、Wang et al., 2001, Int J Pancreatol 29(1):37-46参照)、および、皮下膵臓腫瘍で作製されたnu−nu mice(例えば、Ghaneh et al., 2001, Gene Ther 8(3):199-208参照)を挙げることができるが、これらに限定されない。非ホジキンリンパ腫に関する動物モデル例としては、重症複合型免疫不全症(severe combined immunodeficiency:SCID)マウス(例えば、Bryant et al., 2000, Lab Invest 80(4):553-73参照)、および、IgHmu−HOXIIトランスジェニックマウス(例えば、Hough et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95(23):13853-8参照)を挙げることができるが、これらに限定されない。食道癌に関する動物モデル例としては、ヒトパピローマウイルス タイプ16E7オンコジーンのトランスジェニックマウス(例えば、Herber et al., 1996, J Virol 70(3):1873-81)を挙げることができるが、これに限定されない。大腸癌に関する動物モデル例としては、Apcモデルマウス(例えば、Fodde and Smits, 2001, Trends Mol Med 7(8):369-73、および、Kuraguchi et al., 2000, Oncogene 19(50):5755-63参照)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0791】
感染症に関する動物モデルに関して、ネガティブコントロールと比較した治療剤の効果は、ウイルスに感染した動物内で評価され得る。このような動物から得られたサンプル(例えば、血清、尿、唾液、精液、つば、血漿、または、組織)が、当該分野において周知の方法または本明細書中に記載の方法を用いて、免疫機能の増強(例えば、サイトカインの放出の増強、抗体生産の増強、T細胞増殖の増強、NK細胞増殖の増強)について試験され得る。このような動物から得られたサンプル(例えば、血清、尿、唾液、精液、つば、血漿、または、組織)はまた、当該分野において周知の方法を用いて、ウイルスの複製の減少について試験され得る。当該周知の方法では、例えば、ウイルスの複製の変化(例えばプラーク形成によって決定される)、ウイルスのタンパク質の生産(例えば、ウエスタンブロット、ELISA、または、フローサイトメトリー解析によって決定される)、または、ウイルスの核酸(例えば、RT−PCR、ノザンブロット解析、または、サザンブロット解析によって決定される)が測定される。組織サンプル中のウイルスを定量するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で組織サンプルを破砕し、浄化した破砕物の希釈物を、単層の細胞(例えば、Vero細胞、CEF細胞、または、MDCK細胞)上で1時間、37℃にて吸着させる。別のアッセイでは、感染の後で、組織病理学的な評価が行われる(好ましくは、ウイルスが感染することが知られている臓器に関して評価が行われる)。ウイルスに対して特異的なモノクローナル抗体を用いて、ウイルスの免疫組織化学を行うことも可能である。以下に記載する動物モデルの例は限定されるものではないが、これらを、別のウイルスモデルに適用し得る。
【0792】
当該分野において周知である感染症の様々な動物モデルが、感染症を予防する治療剤の効果、感染症を処置する治療剤の効果、および/または、感染症を治療する治療剤の効果を評価するために用いられ得る。例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)のマウスモデルが、「Crute et al., Nature Medicine, 2002, 8:386-391」および「Bolger et al., Antiviral Res., 1997, 35:157-165」に記載されており;HSVのモルモットのモデルが、「Chen et al., Virol. J, 2004 Nov 23, 1:11」に記載されており;マウスのサイトメガロウイルス(MCMV)およびヒトのサイトメガロウイルス(HCMV)の動物モデルが、「Kern et al., Antimicrob. Agents Chemother., 2004, 48:4745-4753」に記載されており;CMVのモルモットのモデルが、「Bourne et al., Antiviral Res., 2000, 47:103-109」、「Bravo et al., Antiviral Res., 2003, 60:41-49」および「Bravo et al, J. Infectious Diseases, 2006, 193:591-597」に記載されており;インフルエンザウイルスの動物モデルが、「Sidwell et al., Antiviral Res., 2000, 48:1-16」および「McCauley et al., Antiviral Res., 1995, 27:179-186」に記載されており;B型肝炎ウイルス(HBV)のマウスのモデルが、「Cavanaugh et al., J. Virol., 1997, 71:3236-3243」および「Guidotti et al., J. Virol., 1995, 69:6158-6169」に記載されており;C型肝炎ウイルス(HCV)のマウスのモデルが、「Zhu et al., Antimicrobial Agents and Chemother., 2006, 50:3260-3268」、「Bright et al., Nature, 2005, 436:973-978」、「Hsu et al., Nat. Biotechnol., 2003, 21:519-525」、「Ilan et al., J. Infect. Dis. 2002, 185:153-161」、「Kneteman et al., Hepatology, 2006, 43:1346-1353」、「Mercer et al., Nat. Med., 2001, 7:927-933」および「Wu et al., Gastroenterology, 2005, 128:1416-1423」に記載されており;HIVの動物モデルが、「Ayash-Rashkovsky et al., FASEB J., 2005, 19:1149-1151」、「Mosier et al., Semin. Immunol., 1996, 8:255-262」、「Mosier et al., Hosp. Pract. (Off Ed)., 1996, 31:41-48, 53-55, 59-60」、「Bonyhadi et al., Mol. Med. Today, 1997, 3:246-253」、「Jolicoeur et al., Leukemia, 1999, 13:S78-S80」、「Browning et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1997, 94:14637-14641」、「Sawada et al., J. Exp. Med., 1998, 187:1439-1449」および「Schito et al., Curr. HIV Res., 2006, 4:379-386」に記載されている。
【0793】
ウイルス感染の別の動物モデルも、治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の効果を評価するために使用され得る。例えば、EBV関連疾患、ガンマヘルペスウイルス、感染性単核球症、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ベルネ病ウイルス感染(Borna disease virus infection)、肝炎、水痘ウイルス感染症、ウイルス性肺炎、EBウイルス疾患、猫免疫不全ウイルス(FIV)、HTLVタイプI感染、ヒトロタウイルス、および、陰部ヘルペスなどのウイルス感染の動物モデルが、開発されている(Hayashi et al., 2002, Histol Histopathol 17(4):1293-310;Arico et al., 2002, J Interferon Cytokine Res 22(11):1081-8;Flano et al., 2002, Immunol Res 25(3):201-17;Sauermann, 2001, Curr Mol Med 1(4):515-22;Pletnikov et al., 2002, Front Biosci 7:d593-607;Engler et al., 2001, Mol Immunol 38(6):457-65;White et al., 2001, Brain Pathol 11(4):475-9;Davis and Matalon, 2001, News Physiol Sci 16:185-90;Wang, 2001, Curr Top Microbiol Immunol. 258:201-19;Phillips et al., 2000, J Psychopharmacol. 14(3):244-50;Kazanji, 2000, AIDS Res Hum Retroviruses. 16(16):1741-6;Saif et al., 1996, Arch Virol Suppl. 12:153-61;およびHsiung et al., 1984, Rev Infect Dis. 6(1):33-50参照)。
【0794】
ウイルスの呼吸器感染の別の動物モデルとしては、PIV(例えば、Shephard et al., 2003 Res Vet Sci 74(2): 187-190;Ottolini et al., 2002 J Infect Dis 186(12): 1713-1717参照)、および、RSV(例えば、Culley et al., 2002 J Exp Med 196(10): 1381-1386;およびCurtis et al., 2002 Exp Biol Med 227(9): 799-802参照)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0795】
治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法は、それらの、ウイルス感染のタイムコースを減少させる能力について試験される。
【0796】
ウイルス感染の別の動物モデルも、治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の効果を評価するために用いられ得る。H. pylori感染、生殖器のマイコプラズマ病、原発性硬化性胆管炎、コレラ、Pseudomonas aeruginosaによる慢性肺感染症、レジオネラ症、胃十二指腸潰瘍、細菌性髄膜炎、胃へのヘリコバクターの感染、肺炎球菌性中耳炎、実験的なアレルギー性神経炎、癩性神経障害、マイコバクテリア感染、心内膜炎、アエロモナス関連腸炎、Bacteroides fragilisの感染、梅毒、streptococcal endocarditis、急性造血性骨髄炎(acute hematogenous osteomyelitis)、ヒト草原熱、毒素性ショック症候群、嫌気性感染、Escherichia coliの感染、および、肺炎マイコプラズマ感染のような細菌感染症の動物モデルが、開発されている(例えば、Sugiyama et al., 2002, J Gastroenterol. 37 Suppl 13:6-9;Brown et al., 2001, Am J Reprod Immunol. 46(3):232-41;Vierling, 2001, Best Pract Res Clin Gastroenterol. 15(4):591-610;Klose, 2000, Trends Microbiol. 8(4):189-91;Stotland et al., 2000, Pediatr Pulmonol. 30(5):413-24;Brieland et al., 2000, Immunopharmacology 48(3):249-52;Lee, 2000, Baillieres Best Pract Res Clin Gastroenterol. 14(1):75-96;Koedel and Pfister, 1999, Infect Dis Clin North Am. 13(3):549-77;Nedrud, 1999, FEMS Immunol Med Microbiol. 24(2):243-50;Prellner et al., 1999, Microb Drug Resist. 5(1):73-82;Vriesendorp, 1997, J Infect Dis. 176 Suppl 2:S164-8; Shetty and Antia, 1996, Indian J Lepr. 68(1):95-104;Balasubramanian et al., 1994, Immunobiology 191(4-5):395-401;Carbon et al., 1994, Int J Biomed Comput. 36(1-2):59-67;Haberberger et al., 1991, Experientia. 47(5):426-9;Onderdonk et al., 1990, Rev Infect Dis. 12 Suppl 2:S169-77;Wicher and Wicher, 1989, Crit Rev Microbiol. 16(3):181-234;Scheld, 1987, J Antimicrob Chemother. 20 Suppl A:71-85;Emslie and Nade, 1986, Rev Infect Dis. 8(6):841-9; Ridgway et al., 1986, Lab Anim Sci. 36(5):481-5;Quimby and Nguyen, 1985, Crit Rev Microbiol. 12(1):1-44;Onderdonk et al., 1979, Rev Infect Dis. 1(2):291-301;Smith, 1976, Ciba Found Symp. (42):45-72, and Taylor-Robinson, 1976, Infection. 4(1 Suppl):4-8参照)。
【0797】
治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法は、それらの、細菌感染のタイムコースを減少させる能力について試験され得る。例えば、細菌の呼吸器感染は、当該分野における周知の方法を用いた場合に、ネガティブコントロールの少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99%、25%〜65%、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%、または、85%〜99%である。
【0798】
治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法が真菌感染症を予防、処置および/または管理する効果が、このような感染症のための動物モデルにて評価され得る。Candidaの感染、接合菌症、Candida mastitis、潜伏したtrichosporonemiaによる進行性の播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコクシジオイデス症、肺アスペルギルス症、ニューモシスティスカリニ肺炎、クリプトコックス髄膜炎、コクシジオイジン髄膜脳炎、脳脊髄脈管炎、Aspergillus nigerの感染、フザリウム角膜炎(Fusarium keratitis)、副鼻腔部真菌症、Aspergillus fumigatusによる心内膜炎、脛骨軟骨発育不全症、Candida glabrataの膣炎、口腔咽頭内カンジダ症、X連鎖慢性肉芽腫症、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、Cryptococcus neoformansの感染、真菌性腹膜炎、Curvularia geniculataの感染、ブドウ球菌眼内炎、スポロトリクム症、および、皮膚糸状菌症のような真菌感染症の動物モデルが、開発されている(例えば、Arendrup et al., 2002, Infection 30(5):286-91;Kamei, 2001, Mycopathologia 152(1):5-13; Guhad et al., 2000, FEMS Microbiol Lett.192(1):27-31;Yamagata et al., 2000, J Clin Microbiol. 38(9):32606;Andrutis et al., 2000, J Clin Microbiol. 38(6):2317-23;Cock et al., 2000, Rev Inst Med Trop Sao Paulo 42(2):59-66; Shibuya et al., 1999, Microb Pathog. 27(3):123-31;Beers et al., 1999, J Lab Clin Med. 133(5):423-33;Najvar et al., 1999, Antimicrob Agents Chemother.43(2):413-4;Williams et al., 1988, J Infect Dis. 178(4):1217-21;Yoshida, 1988, Kansenshogaku Zasshi. 1998 Jun;72(6):621-30;Alexandrakis et al., 1998, Br J Ophthalmol. 82(3):306-11;Chakrabarti et al., 1997, J Med Vet Mycol. 35(4):295-7;Martin et al., 1997, Antimicrob Agents Chemother. 41(1):13-6;Chu et al., 1996, Avian Dis. 40(3):715-9;Fidel et al., 1996, J Infect Dis. 173(2):425-31; Cole et al., 1995, FEMS Microbiol Lett. 15;126(2):177-80;Pollock et al., 1995, Nat Genet. 9(2):202-9;Uchida et al., 1994, Jpn J Antibiot. 47(10):1407-12;: Maebashi et al., 1994, J Med Vet Mycol. 32(5):349-59;Jensen and Schonheyder, 1993, J Exp Anim Sci. 35(4):155-60;Gokaslan and Anaissie, 1992, Infect Immun. 60(8):3339-44;Kurup et al., 1992, J Immunol. 148(12):3783-8;Singh et al., 1990, Mycopathologia. 112(3):127-37;Salkowski and Balish, 1990, Infect Immun. 58(10):3300-6;Ahmad et al., 1986, Am J Kidney Dis. 7(2):153-6;Alture-Werber E, Edberg SC, 1985, Mycopathologia. 89(2):69-73;Kane et al., 1981, Antimicrob Agents Chemother. 20(5):595-9;Barbee et al., 1977, Am J Pathol. 86(1):281-4;およびMaestrone et al., 1973, Am J Vet Res. 34(6):833-6参照)。Candida albicans、Aspergillus fumigatus、侵襲的な肺アスペルギルス症、Pneumocystis carinii、肺クリプトコックス症、Pseudomonas aeruginosa、Cunninghamella bertholletiaなどの真菌の呼吸器感染の動物モデルについては、例えば、Aratani et al., 2002 Med Mycol 40(6):557-563;Bozza et al., 2002 Microbes Infect 4(13): 1281-1290;Kurup et al., 2002 Int Arch Allergy Immunol 129(2):129-137;Hori et al., 2002 Eur J Immuno 32(5): 1282-1291;Rivera et al., 2002 J Immuno 168(7): 3419-3427;Vassallo et al., 2001, Am J Respir Cell Mol Biol 25(2): 203-211;Wilder et al., 2002 Am J Respir Cell Mol Biol 26(3): 304-314;Yonezawa et al., 2000 J Infect Chemother 6(3): 155-161;Cacciapuoti et al., 2000 Antimicrob Agents Chemother 44(8): 2017-2022;およびHonda et al., 1998 Mycopathologia 144(3):141-146を参照のこと。
【0799】
治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法は、それらの、真菌感染(例えば、真菌の呼吸器感染)のタイムコースを減少させる能力について試験される。例えば、真菌感染は、当該分野における周知のアッセイを用いて測定した場合に、ネガティブコントロール(例えば、PBS)の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも99%、25%〜65%、40%〜65%、50%〜90%、65%〜90%、70%〜90%、75%〜95%、80%〜95%、または、85%〜99%である。in vivoにおける治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の作用を解析するために、当業者にとって周知である技術が使用され得る。
【0800】
治療剤、治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の効果を評価するために、自己免疫疾患の動物モデルも使用され得る。タイプI糖尿病、甲状腺自己免疫、全身性エリテマトーデス、および、糸球体腎炎のような自己免疫疾患の動物モデルが、開発されている(Flanders et al., 1999, Autoimmunity 29:235-246;Krogh et al., 1999, Biochimie 81:511-515; Foster, 1999, Semin. Nephrol. 19:12-24)。
【0801】
自己免疫疾患を予防、処置および/または管理する効果は、例えば、本明細書に記載の治療剤、組成物または併用療法の、自己免疫疾患の1つ以上の症状を軽減する能力、リンパ球絶対数の平均値を減少させる能力、T細胞の活性化を低下させる能力、T細胞の増殖を減少させる能力、サイトカインの生産を減少させる能力、または、1つ以上の特定のサイトカインのプロフィールを調節する能力、を検出することによって実証され得る。乾癬を予防または処置する効果は、例えば、治療剤または当該治療剤の組成物の、乾癬の1つ以上の症状を軽減する能力、リンパ球絶対数の平均値を減少させる能力、サイトカインの生産を減少させる能力、1つ以上の特定のサイトカインのプロフィールを調節する能力、スケーリング(scaling)を減少させる能力、紅斑を減少させる能力、プラークの上昇を低下させる能力、患部の真皮または表皮におけるT細胞の活性化を低下させる能力、患部の真皮または表皮へのT細胞の浸潤を低下させる能力、PASIを低下させる能力、医師のグローバルアセスメントスコア(physician’s global assessment score)を向上させる能力、または、生活の質を向上させる能力、を検出することによって実証され得る。
【0802】
治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の抗炎症活性は、当該分野において周知である炎症性関節炎の様々な実験動物モデル、および、「Crofford L.J. and Wilder R.L., “Arthritis and Autoimmunity in Animals,” in Arthritis and Allied Conditions: A Textbook of Rheumatology, McCarty (eds.), Chapter 30 (Lee and Febiger, 1993)」に記載の炎症性関節炎の様々な実験動物モデル、を用いて決定され得る。炎症性関節炎および自己免疫性リウマチ疾患の実験動物モデルおよび自然の動物モデル(spontaneous animal model)も、治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の抗炎症活性を評価するために用いられ得る。
【0803】
治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の抗炎症活性は、また、「Winter C. A. et al., “Carrageenan Induced Edema in Hind Paw of the Rat as an Assay for Anti-inflammatory Drugs” Proc. Soc. Exp. Biol Med. 111, 544-547, (1962)」に記載されている方法を改変した方法を用いて、カラギーナンによってラットで誘導される足の浮腫を抑制することを測定することによって、評価され得る。このアッセイは、大部分のNSAIDの抗炎症活性に対するin vivoの一次スクリーン(screen)として用いられてきたとともに、ヒトへの効果を予測するものと考えられている。試験療法(例えば、治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法)の抗炎症活性は、ビヒクル投与を行ったコントロール群(vehicle dosed control group)に対する、試験群の後足の重量増加の阻害率によって表される。
【0804】
用いられる実験動物モデルが、アジュバントによって誘導される関節炎のラットモデルである特定の実施形態では、治療剤、当該治療剤の組成物または併用療法の抗炎症活性を決定するために、コントロール群と比較した体重が測定され得る。
【0805】
アレルギーおよび喘息の動物モデルは当該分野において周知であって、「Ewart et al., 1995 J Appl Physiol 79(2):560-566」に記載されている端部吸息性オクルージョン(end-inspiratory occlusion)を用いた一定流膨張(constant-flow inflation)や、「Komai et al., 2003 Br J Pharmacol 138(5): 912-920」、「Kenyon et al., 2003 Toxicol Appl Pharmacol 186(2): 90-100」、「Path et al., 2002 Am J Resp and Critical Care Med 166(6): 818-826」、「Martins et al., 1990 Crit Care Med 19:515-519」、「Nicolaides et al., 1997 Proc Natl Acad Sci USA 94:13175-13180」、「McLane et al., 1998 19:713-720」および「Temann et al., 1998 J Exp Med 188(7): 1307-1320」などに記載されている別のアッセイを挙げることができる。例えば、ネズミの養子免疫伝達モデルは、治療剤、当該治療剤の組成物または併用療法が喘息を予防、処置および/または管理する効果を評価するために用いられる動物モデルである。ネズミの養子免疫伝達モデルでは、TH1受容マウスまたはTH2受容マウスに対するアエロアレルゲンの刺激は、THエフェクター細胞の気道への移動を生じさせるとともに、激しい好中球(TH1)による肺粘膜の炎症反応および激しい好酸球(TH2)による肺粘膜の炎症反応と関係している(Cohn et al., 1997, J. Exp. Med. 1861737-1747)。気道過敏症は、オボアルブミンによって(Tomkinson et al., 2001, J. Immunol. 166:5792-5800)、または、Schistosoma mansoniの卵抗原によって(Tesciuba et al., 2001, J. Immunol. 167:1996-2003)、マウス内で誘導され得る。
【0806】
炎症性疾患を予防または処置する効果は、例えば、治療剤、組成物または併用療法の、炎症性疾患の1つ以上の症状を軽減する能力、T細胞の活性化を低下させる能力、T細胞の増殖を減少させる能力、1つ以上の特定のサイトカインのプロフィールを調節する能力、サイトカインの生産を減少させる能力、関節、臓器もしくは組織の炎症を低下させる能力、または、生活の質を向上させる能力、を検出することによって実証され得る。
【0807】
炎症性疾患の症状の変化は、虚弱かつ腫れた関節のカウント、痛みおよび疾患活動性に対する患者および医師のグローバルスコア、および、ESR/CRPによって評価されてもよい。構造上の関節損傷の進行は、手、手首および足のX線写真の定量的なスコアによって評価され得る(Sharp method)。炎症性疾患を患ったヒトにおける機能状態の変化は、ヘルスアセスメントアンケート(Health Assessment Questionnaire:HAQ)を用いて評価され得、生活の質の変化は、SFを用いて評価される。
【0808】
治療剤、当該治療剤の組成物、または、治療剤を含む併用療法の、タイプIアレルギー反応を予防、処置および/または管理する効果は、in vitroにて、IgEが肥満細胞または好塩基球上の自身のレセプターへ結合することを阻害する抗IgE抗体を誘導する能力によって評価され得る。IgEのレベルは、免疫学的アッセイ、ゲル電気泳動に続く可視化、ラジオイミュノソルベント試験(RIST)、ラジオアレルゴソルベントテスト(RAST)、または、当業者にとって周知のあらゆる他の方法によって評価され得る。
【0809】
〔5.10 キット〕
本発明の薬学的なパックまたはキットは、本明細書に記載の組成物である1つ以上の内容物(例えば、本明細書中に記載の1つ以上の抗体、または、本明細書中に記載の1つ以上の治療剤)が満たされている、1つ以上の容器を有している。任意で、このような容器と共に、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制している行政機関によって定められている形式の注意書を有していてもよい。なお、当該注意書には、ヒトへ投与するための製造、使用または販売に対する行政機関の承認が表示されている。加えて、薬学的なパックまたはキットは、本明細書中に記載の抗体または治療剤を使用するための説明書を含み得る。
【0810】
本発明に包含されるキットは、上述した方法に使用され得る。一実施形態では、キットは、本明細書中に記載の抗体、好ましくは1つ以上の容器に入った単離された抗体、を含む。別の実施形態では、キットは、1つ以上の容器に入った本明細書中に記載の治療剤を含む。
【0811】
特定の実施形態では、本発明には、ネイティブなレセプター、または、ネイティブなリガンドの発現レベルを評価するための診断キットが包含される。幾つかの実施形態では、本明細書中に記載の1つ以上の治療剤が、ネイティブなレセプター、または、ネイティブなリガンドの発現レベルを評価するために使用され得る。したがって、本発明の診断キットは、容器に入った本明細書中に記載の治療剤を含んでいる。幾つかの実施形態では、ネイティブなレセプター、または、ネイティブなリガンドの発現レベルを評価するための治療剤の使用方法に関する説明書が、キットに含まれている。特に、含まれている説明書には、患者のサンプル(例えば、細胞、体液など)と治療剤とを接触させること、および、サンプルに結合した治療剤を検出すること、が記載され得る。治療剤は、治療剤を認識する検出可能な構成、または、治療剤を認識するラベルされた二次試薬によってラベルされ得、使用され得る(したがって、キット内に含まれ得る)。
【0812】
〔5.11 レセプター/リガンド相互作用を同定するためのスクリーニングアッセイ〕
1つの局面において、本発明は、レセプターとリガンドとの相互作用を同定するための方法である。一実施形態では、本発明のレセプターとリガンドとの相互作用を同定するための方法は、以下の(a)および(b)の工程を含んでいる。つまり、(a)融合タンパク質または共役物(conjugate)と、所望のタンパク質とが複合体を形成し得る条件下において、融合タンパク質または共役物と、所望のタンパク質を発現するように設計された細胞または所望のタンパク質を発現している細胞とを接触させる工程であって、上記融合タンパク質が、標的タンパク質または当該標的タンパク質の断片、および、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカー、透過性ペプチド(penentrating peptide)、または、有機分子以外の低分子を含んでいる工程、および、(b)融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在を検出する工程であって、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在が、標的タンパク質および所望のタンパク質がレセプター−リガンド相互作用を行うことを示している工程。別の実施形態では、本発明のレセプターとリガンドとの相互作用を同定するための方法は、以下の(a)および(b)の工程を含んでいる。つまり、(a)融合タンパク質または共役タンパク質と、所望のタンパク質とが複合体を形成し得る条件下において、融合タンパク質または共役物と、所望のタンパク質を2、4、6、8、10、12、それ以上、2〜5、2〜8、5〜8、5〜10または10〜12個発現するように設計された細胞、または、所望のタンパク質を2、4、6、8、10、12、それ以上、2〜5、2〜8、5〜8、5〜10または10〜12個発現している細胞とを接触させる工程であって、上記融合タンパク質または共役物が、標的タンパク質または当該標的タンパク質の断片、および、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカー、透過性ペプチド、または、有機分子以外の低分子を含んでいる工程、および、(b)融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在を検出する工程であって、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在が、標的タンパク質および所望のタンパク質がレセプター−リガンド相互作用を行うことを示している工程。
【0813】
別の実施形態では、本発明のレセプターとリガンドとの相互作用を同定するための方法は、以下の(a)および(b)の工程を含んでいる。つまり、(a)融合タンパク質または共役物と、所望のタンパク質とが複合体を形成し得る条件下において、融合タンパク質のライブラリーまたは共役物のライブラリーと、所望のタンパク質を発現するように設計された細胞または所望のタンパク質を発現している細胞とを接触させる工程であって、上記融合タンパク質または共役物が、標的タンパク質または当該標的タンパク質の断片、および、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカー、透過性ペプチド、または、有機分子以外の低分子を含んでいる工程、および、(b)融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在を検出する工程であって、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在が、標的タンパク質および所望のタンパク質がレセプター−リガンド相互作用を行うことを示している工程。別の実施形態では、本発明のレセプターとリガンドとの相互作用を同定するための方法は、以下の(a)および(b)の工程を含んでいる。つまり、(a)融合タンパク質または共役物と、所望のタンパク質とが複合体を形成し得る条件下において、融合タンパク質または共役物と、所望の異なるタンパク質を発現するように設計された細胞のライブラリー、または、所望の異なるタンパク質を発現している細胞のライブラリーとを接触させる工程であって、上記融合タンパク質または共役物が、標的タンパク質または当該標的タンパク質の断片、および、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカー、透過性ペプチド、または、有機分子以外の低分子を含んでいる工程、および、(b)融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在を検出する工程であって、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体の存在、または、共役物と所望のタンパク質との複合体の存在が、標的タンパク質および所望のタンパク質がレセプター−リガンド相互作用を行うことを示している工程。
【0814】
特定の実施形態では、上記標的タンパク質は、哺乳類の細胞によって発現される。特定の実施形態では、上記標的タンパク質は、造血性細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、筋肉細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、線維芽細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、上皮細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、内皮細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、リンパ球によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、マクロファージまたはその断片によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、樹状細胞によって発現される。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、共刺激分子(co-stimulatory molecule)(例えば、共刺激レセプター、または、共刺激リガンド)である。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、サイトカインまたはサイトカインレセプターである。特定の実施形態では、上記標的タンパク質は、ヒトのタンパク質である。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、全長の膜貫通タンパク質である。別の実施形態では、上記標的タンパク質は、オーファンレセプター(orphan receptor)またはオーファンリガンド(orphan ligand)である。
【0815】
ペプチドタグおよび他のポリペプチドマーカーの例としては、ヘキサ−ヒスチジン ペプチド、HAタグ、flagタグ、抗体(例えば、IgG1またはIgG2のようなIgG抗体)のFcドメイン、および、抗体(例えば、IgG抗体)のFcドメイン内の一領域を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、融合タンパク質は、ペプチドタグまたは別のポリペプチドマーカーと、透過性ペプチドとの両方を有している。
【0816】
融合タンパク質をコードしている核酸の作製、融合タンパク質の発現、および、細胞培養物からの融合タンパク質の単離または精製には、標準的な分子生物学的手法が用いられ得る。標的タンパク質または標的タンパク質の断片の細胞外ドメインをコードしている核酸は、ペプチドタグ、他のポリペプチドマーカーまたは透過性ペプチドをコードしている核酸と同様に、公的に入手可能であるか、または、市販品を入手可能である。核酸は、標準的な分子生物学的手法を用いて、構造物(constructs)へ設計され得る。核酸に関しては、上述した〔5.2.4〕および〔5.3.4〕のセクションを参照のこと。上記セクションに記載した核酸構造物は、このセクションに記載した方法に使用するために、細胞内にトランスフェクションするための拡散構造物を作製するためにも、使用され得る。
【0817】
特定の実施形態では、所望のタンパク質は、哺乳類の細胞によって発現されるタンパク質である。特定の実施形態では、所望のタンパク質は、造血性細胞によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、筋肉細胞によって発現されるタンパク質である。特定の実施形態では、所望のタンパク質は、線維芽細胞によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、上皮細胞によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、内皮細胞によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、リンパ球によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、樹状細胞によって発現されるタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、共刺激分子(例えば、共刺激レセプター、または、共刺激リガンド)である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、サイトカインまたはサイトカインレセプターである。別の実施形態では、所望のタンパク質は、ヒトのタンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、全長の膜貫通タンパク質である。別の実施形態では、所望のタンパク質は、オーファンレセプターまたはオーファンリガンドである。所望のタンパク質の限定されない例については、表1を参照のこと。
【0818】
所望のタンパク質またはその断片をコードする核酸は、公的に入手可能であるか、または、市販品を入手可能である。核酸は、標準的な分子生物学的手法を用いて、構造物(constructs)へ設計され得る。核酸に関しては、上述した〔5.2.4〕および〔5.3.4〕のセクションを参照のこと。上記セクションに記載した核酸構造物は、このセクションに記載した方法に使用するために、細胞内にトランスフェクションするための拡散構造物を作製するためにも、使用され得る。
【0819】
所望のタンパク質をコードしている核酸、または、所望のタンパク質をコードしている核酸配列を含んでいる核酸構造物を用いて、細胞が安定的に(stably)または一過性に(transiently)トランスフェクションされ得る。核酸配列を用いて細胞をトランスフェクションする方法については、上述した〔5.3.5〕のセクションを参照のこと。融合タンパク質の発現に用いられ得る細胞の例としては、哺乳類細胞、バクテリア細胞、酵母細胞、初代培養細胞、不死化細胞および昆虫細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、上記細胞は、株化された哺乳類細胞である。株化された哺乳類細胞の例としては、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、HepG2、MCF7、HEK、293T、RD、PC12、ハイブリドーマ、pre−B細胞、293、293H、K562、SkBr3、BT474、A204、M07Sb、TFy、Raji、Jurkat、MOLT−4、CTLL−2、MC−IXC、SK−N−MC、SK−N−MC、SK−N−DZ、SH−SY5Y、C127、N0およびBE(2)−C細胞を挙げることができるが、これらに限定されない。発現のホストとして利用可能な別の株化された哺乳類細胞は、当該分野において周知であって、これらとしては、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection:ATCC)から入手可能な多くの不死化された細胞株を挙げることができる。別の実施形態では、上記細胞は、被験体に由来する不死化された細胞株である。別の実施形態では、上記細胞は、被験体に由来する初代培養細胞(primary cells)または二代培養細胞(secondary cells)である。特定の実施形態では、上記細胞は、癌細胞である。別の実施形態では、上記細胞は、胎児細胞/胚細胞である。幾つかの実施形態では、上記細胞は、前駆細胞である。幾つかの実施形態では、上記細胞は、リンパ球(例えば、T細胞およびB細胞)である。別の実施形態では、上記細胞は、幹細胞である。特定の実施形態では、上記細胞は、293T細胞である。
【0820】
特定の実施形態では、所望のタンパク質をコードしている核酸をトランスフェクションする細胞は、発現レベルが高い細胞である。
【0821】
特定の実施形態では、融合タンパク質または共役物は、プレートのウエル中で、所望のタンパク質を発現している細胞と接触させられる。特定の実施形態では、融合タンパク質または共役物は、マイクロタイタープレート中で、所望のタンパク質を発現している細胞と接触させられる。特定の実施形態では、マイクロタイタープレートは、12ウエル、96ウエルまたは384ウエルのマイクロタイタープレートである。
【0822】
特定の実施形態では、所望のタンパク質を発現している細胞は、生理学的な条件下において、融合タンパク質または共役物と共にインキュベートされる。幾つかの実施形態では、所望のタンパク質を発現している細胞は、約22℃、25℃、32℃、37℃、約22℃〜約25℃、約22℃〜約27℃、約25℃〜約27℃、約32℃〜約35℃、または、32℃〜約37℃にて、融合タンパク質または共役物と共にインキュベートされる。特定の実施形態では、所望のタンパク質を発現している細胞は、約5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、18時間、1日間、2日間、または、それ以上、融合タンパク質または共役物と共にインキュベートされる。幾つかの実施形態では、融合タンパク質または共役物と、所望のタンパク質とを接触させた後で、結合しなかった融合タンパク質または結合しなかった共役物を除去するために、1回以上の洗浄工程が行われ得る。別の実施形態では、結合しなかった融合タンパク質または結合しなかった共役物を除去するための洗浄工程は、行われなくてもよい。
【0823】
幾つかの実施形態では、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体、または、共役物と所望のタンパク質との複合体を検出するために、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカーに特異的に結合する抗体、または、透過性ペプチドが使用される。幾つかの実施形態では、上記抗体は、約22℃、25℃、32℃、37℃、約22℃〜約25℃、約22℃〜約27℃、約25℃〜約27℃、約32℃〜約35℃、または、32℃〜約37℃にて、上記細胞へ接触させられる。幾つかの実施形態では、上記抗体は、約15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、18時間、1日間、2日間、または、それ以上、上記細胞へ接触させられる。幾つかの実施形態では、上記抗体と上記細胞とを接触させた後で、結合しなかった抗体を除去するために、1回以上の洗浄工程が行われ得る。別の実施形態では、結合しなかった抗体を除去するための洗浄工程は、行われなくてもよい。
【0824】
特定の実施形態では、ペプチドタグまたは他のポリペプチドマーカーへ特異的に結合する抗体、または、透過性ペプチドは、検出可能な物質(detectable moiety)によってラベルされる。検出可能な物質の例は、上述した〔5.1.2〕および〔5.2.3〕のセクションに見出し得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、抗体は、蛍光物質によってラベルされる。特定の実施形態では、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体へ結合した抗体の蛍光を検出するために、Applied BioSystem 8200 Cellular Detection System(CDS)が用いられ得る。特定の実施形態では、CDSによって、約75μm、約90μm、約95μm、約100μm、約105μm、約110μm、約115μm、または、約120μmの深さの地点にて、マイクロタイタープレートのウエルがスキャンされる。幾つかの実施形態では、融合タンパク質と所望のタンパク質との複合体を検出するために、蛍光偏光が用いられる。
【0825】
このセクションに記載した方法を用いて、一度、レセプターとリガンドとの相互作用を同定すれば、本明細書中に記載の他の生物学的アッセイ(例えば、結合親和性、増殖アッセイなど)を用いて、レセプターとリガンドとの相互作用を評価することが可能である。
【0826】
このセクションに記載されているアッセイを、低分子と他の有機分子(例えば、特定のタンパク質に由来する、所望の特定の残基(例えば、チロシン残基)を有するペプチドなど)との間の相互作用の同定に用いることも可能である。
【0827】
〔6.実施例:ヒトレセプタープロテオームによるリンパ球同時刺激相互作用の特定〕
以下の実施例は例証の目的で提供されるものであり、限定する目的ではない。
【0828】
〔6.1 材料および方法〕
〔6.1.1 プラスミド、融合タンパク質およびモノクローナル抗体〕
ヒト全長原形質膜cDNAセット(MHS5007)はOpen Biosystems Inc. (Huntsville, AL)から購入され、哺乳動物発現ベクターpCMV−SPORT6上にある当該セット由来の〜800遺伝子が含まれていた。非哺乳動物発現ベクターpcDNA3.2/V5−DESTまたはpcDNA6.2/V5−DESTプラスミド内のおよそ1000遺伝子が、相同的組み換えに基づくGateway Cloning System(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてpcDNA3ベクター内にクローニングされた。他の遺伝子は標準的なRT−PCRクローニング技術によってpcDNA3プラスミド内にクローニングされ、cDNA配列はシーケンシングによって確認された。
【0829】
ヒトCD28Ig、CTLA4Ig、ICOSIg、PD−1Ig、B7−1Ig、B7−2Ig、B7−H1Ig、B7−DCIgおよびB7−H2Ig融合タンパク質はR&D systems (Minneapolis, MN)から購入された。CTLA4Ig (Orencia)はBristol-Myers Squibb (New York, NY)から購入された。B7−H7Ig、B7−H67CRIgおよびFLAG−Ig融合タンパク質は、pMIgVまたはpHIgVプラスミド中のコンストラクトを用いて293T細胞に一時的に形質移入することによって作成され、以前に記載されている(1)タンパク質Aカラムによって精製された。
【0830】
マウス抗ヒトCD3mAbOKT3、マウス抗ヒトCD28mAbCD28.6(ブロッキング)、マウス抗ヒトCD28mAbCD28.2(同時刺激)、マウス抗ヒトCTLA−4mAb14D3およびマウス抗ヒトB7−H2mAbMIH12はeBioscience (San Diego, CA)から購入された。マウス抗ヒトICOSmAbC398.4Aおよびマウス抗ヒトB7−H2mAb9F.8A4はBioLegend (San Diego, CA)から購入された。抗ヒトIgおよび抗マウスIgFMATブルー抗体はApplied Biosystems (Foster City, CA)から購入された。コントロールヒトIgG(Synagis(登録商標))はMedImmune (Rockville, MD)から購入された。コントロールハムスターIgG、ハムスター抗マウスTNPはeBioscienceから購入された。マウス抗ヒトB7−H7mAbは、ヒトB7−H7Igを用いて免疫性を与えたマウスに由来するB細胞とSP2骨髄腫との融合に由来するハイブリドーマから生成された。ハムスター抗ヒトB7−H7CRmAbは、他(2)で記載されているように、ヒトB7−H7CRIgを用いて免疫性を与えたハムスターに由来するB細胞とSP2骨髄腫との融合に由来するハイブリドーマから生成された。フローサイトメトリーにおいて使用した他の全ての抗体はBD Bioscience (San Jose, CA)またはeBioscienceから購入された。
【0831】
〔6.1.2 高生産性の形質移入およびスクリーニング〕
ヒト膜貫通遺伝子を有するプラスミドはOPTI−MEM培地によって希釈され、5つの384ウェルプレートに30ng/ウェルで独立して配置された。リポフェクタミン2000は各ウェルに加えられ、30分間プラスミドと混合された。その後、一時的な形質移入を行うために1万個の293T細胞がウェルに加えられた。形質移入から8時間後、ヒトCD28Igおよび抗ヒトIgFMATブルー二次抗体、またはヒトB7−H7CRIgおよび抗マウスIgFMATブルー二次抗体がウェルに加えられた。プレートは形質移入から24時間後にApplied Biosystems 8200 cellular detection systemによって読まれ、CDS8200ソフトウェアによって分析された。陽性のウェル中のプラスミドは採集され、その後、さらなる検証のために293T細胞に形質移入された。
【0832】
〔6.1.3 表面プラズモン共鳴〕
以前に記載されているように(3)、タンパク質の相互作用はBIAcore 3000 instrument (BIAcore AB, Uppsala, Sweden)上で測定および分析され、当該測定および分析は25℃で行われた。0.15MのNaCl、0.005%の界面活性剤P20を含んだ0.1M、pH7.4のHepes(HBS)がランニングバッファーとして使用された。ヒトB7−H2Ig、CD28IgおよびCTLA−4IgはR&D systemsから購入された。他の全ての試薬はBIAcoreから購入された。B7−H2Igは、カルボキシメチル化されたデキストランマトリクスに第1級アミン基を架橋結合させることで、CM5センサーチップ(BIAcore AB)に対して共有結合された。CM5チップ上のフローセルはN−エチル−N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)の1:1の混合物を用いて活性化され、その後10mMの酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)中に希釈された20μg/mlのB7−H2Igの導入を所望の反応単位(RU)に達するまで行った。同一のチップ上の別の活性化されたフローセルは、融合タンパク質を全く受容しておらず、コントロールのセンサー表面として使用された。残りの活性化されたカルボキシル基は1Mのエタノールアミン(pH8.5)を用いてブロックされた。その後、安定したベースラインを生成するために、フローセルはHBSを用いてさらに洗浄された。連続した希釈物中の検体、ICOSIg、CD28IgおよびCTLA4Igは3分間、20〜30μl/minの流速で3回センサー表面に導入され、その後5分間分離された。フローセルは2回の連続的な10秒のパルスによって、10mMのNaOHを用いて再生された。データはBIAevaluationソフトウェア4.1 (BIAcore)によって分析された。
【0833】
〔6.1.4 T細胞同時刺激アッセイ〕
OKTmAb(抗ヒトCD3)は96ウェルプレート中に示された濃度で事前にコーティングされた。5μg/mlのB7−H2Ig、B7−H7Ig、抗B7−H7CR、またはコントロールIgもウェル中に固定化された。ヒト末梢血T細胞は負の選択を受け、human pan-T cell selection kitまたはhuman CD4 T cell selection kit (Miltenyi Biotec, Auburn, CA)によって精製された。2.5〜3×10細胞/ウェルのナイーブヒトT細胞が各ウェルに加えられ、3日間培養された。いくつかの実験において、同時刺激抗ヒトCD28もしくはブロッキング抗ヒトCD28、並びに抗ヒトICOSが培養の初期に加えられた。3HTdRは培養の最後の6時間に加えられた。3H−TdRの組み込みはMicroBeta Trilux liquid scintillation counter (Wallac)を用いて数えられた。
【0834】
〔6.1.5 ヒト単球由来マクロファージおよび樹状細胞〕
ヒトPBMCは密度勾配遠心分離法によって単離された。5000万個のPBMCが37度のインキュベーター内で45分間、100mmの組織培養ディッシュ上に接着された。0.5×10細胞/ウェルの接着細胞は10mlの10%完全RPMI培地中で培養された。培地には、マクロファージの生成のための1,000U/mlのGM−CSF、または樹状細胞の分化のための500U/mlのIL−4および1000U/mlのGM−CSFが追加された。2日目、4日目および6日目には、培地の半分が取り出され、サイトカインが加えられた新しい培地と交換された。7日目にはマクロファージおよび未熟な樹状細胞が回収された。
【0835】
〔6.1.6 ELISA〕
T細胞同時刺激アッセイから得られた上清は回収された。ヒトIFN−γ、IL−2およびIL−10は、製造者の指示(BD PharMingenまたはeBioscience)に従ったサンドウィッチELISA法によって検出された。
【0836】
〔6.1.2 結果〕
免疫細胞上の原形質膜レセプターは、病原体の検出、細胞接着、抗原の認識および細胞外シグナルの細胞内への伝達を包含する広範な生物的機能を媒介するために進化した。それゆえ、免疫レセプターと当該レセプターのリガンド(またはカウンターレセプター)との間の相互作用は、免疫反応の実行を導く細胞のコミュニケーションおよび統合において重要な役割を果たす。ヒトゲノムデータベースを検索することによって、親水性の細胞外ドメインおよび疎水性の膜貫通ドメインをコードする3,000以上のユニークなDNA配列が、細胞膜タンパク質をコードできると予測された(4、5)。しかしながら、500未満のタンパク質がカウンターレセプターとして同定されており、上記のことが繊細な方法を制限する大きな原因となっている。多くの細胞表面タンパク質または当該タンパク質のmRNAは低含量であり、上記の発現は環境要因によって異なる。さらに細胞表面分子の相互作用の大部分は親和性が弱く、オンおよびオフがすぐに切り替わる状態(fast-on-and-fast-off mode)にある。上記の特徴が免疫反応におけるシグナリングおよび当該シグナリングの効果の最大限の制御を可能にしている一方、発現クローニングおよびタンパク質マイクロシーケンシングを包含する現在の方法による相互作用の特定の難しさを増加させている。
【0837】
1,900を超える全長ヒト膜貫通遺伝子が、造血細胞における当該遺伝子の発現に基づいて得られている(表1)。上記遺伝子はレクチン、インテグリンおよびスカベンジャーレセプターの大部分と同様に、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)、腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFRSF)、C型レクチンスーパーファミリー、Gタンパク共役レセプター(GPCR)スーパーファミリーに由来する分子を含んでいる。384ウェルプレート中の293T細胞への個々のプラスミドの形質移入によって、当該プロテオームにおいてランダムに選択されたサンプルに由来する293T細胞の50〜70%の遺伝子の高レベルの発現が実証された。細胞表面における個々のタンパク質の高レベルの発現は、当該タンパク質のカウンターレセプターとの相互作用の親和力を増加させる。標的タンパク質の未知のカウンターレセプターのスクリーニングのために、標的遺伝子の細胞外ドメインはタグ遺伝子(マウスIgG2a Fc、ヒトIgG1Fc、FLAGまたは6xHIS)に対して遺伝的に融合され、293T細胞へのプラスミドの一時的な形質移入によって生成された組み換え融合タンパク質はプロテオームへの結合による検出のために使用される。タグに対する蛍光標識された二次抗体は、プロテオームに対する標的タンパク質の結合を検出するために利用される。The Applied Biosystem 8200 Cellular Detection System (CDS)は、結合蛍光活性の迅速なスクリーニングのために適応される(図1)。CDSは、100μmの深さでマイクロプレートウェルの底のみの走査を可能にするため、結合していない二次抗体は無視することができ、結果として全ての洗浄工程を排除してもノイズ比に対して高いシグナルを得ることができる。親和力を増加させた相互作用および高感度の検出系の組み合わせは、フローサイトメトリー等のほかの方法では初代細胞上で検出できなかったレセプター−リガンド相互作用の特定を可能にする。
【0838】
B7−CD28ファミリーの分子はT細胞レセプターシグナルを調節し、T細胞によって媒介される免疫反応の正および負の方法による制御において重要な役割を果たしていることが知られている(6〜8)。CD28はプロテオーム系を試験するための標的タンパク質として選択された。樹状細胞、B細胞およびマクロファージを包含するプロフェッショナルな抗原提示細胞において、CD28は、2つのカウンターレセプターB7−1またはB7−2に結合する場合に、ナイーブT細胞へ同時刺激シグナルを伝える(9)。予想されたように、組み換えヒトCD28Ig融合タンパク質は、B7−1(CD80)またはB7−2(CD86、B70)遺伝子を発現するように形質移入された293T細胞に結合した。Fcレセプターを発現する細胞も同様に、CD28Ig上のヒトIgG1Fcタグによって陽性に染色される。予想外にも、CD28IgはB7−H2遺伝子を用いて形質移入された293T細胞に結合することが見出された(図2)。B7−H2(ICOSL、CD275、B7RP−1)はB7ファミリー分子であり、誘導性同時刺激因子(ICOS)に対するリガンドであることが以前から示されていた(7)。ICOSは活性化T細胞上のCD28様分子であり、好ましくはTh2によって媒介される免疫反応を顕在化させるためにB7−H2に結合する場合にT細胞に対して同時刺激的である(10、11)。上記結合は、B7−H2+293細胞に対するCD28Igの陽性染色(図3Aおよび3B)および逆にCD28+細胞のB7−H2Ig染色(図3D)を用いて、フローサイトメトリー分析によって検証された。重要なことには、CD28に対するモノクローナル抗体(mAb)(クローンCD28.6)(図3B)およびB7−H2に対するmAb(クローンMIH12)(データは示されていない)を加えることで、B7−H2+293T細胞に対するCD28Igの結合を選択的にブロックすることができた。興味深いことに、B7−H2mAb(クローン9F.8A4)はICOSおよびCD28の両方に対するB7−H2Igの結合をブロックできたが、一方、別のmAb(クローンMIH12)はB7−H2/CD28を選択的に抑止したがB7−H2/ICOS相互作用を抑止しなかった(図3Dおよび4)。以上のことから、B7−H2はCD28およびICOSと相互作用するために非重複結合部位を利用するということが示された。従って、上記の結果はB7−H2/CD28結合の特異性を実証している。表面プラズモン共鳴(SPR)分析によるICOSに対するB7−H2の親和性とCD28に対するB7−H2の親和性との比較は、B7−H2/CD28の相互作用がB7−H2/ICOSに対して大幅に遅い結合定数(Ka)および速い解離定数(Kd)を有していることを示している。以上のことは、B7−H2との結合において、ICOSはCD28に比べて高い親和性を有していることを示している。CD28はナイーブT細胞において構成的に発現されるが、一方ICOSは抗原刺激において誘導性である(11)。上記結果は、活性化T細胞に加えてナイーブT細胞の同時刺激におけるB7−H2の役割を意味している。
【0839】
CD28のホモログでありICOSと類似しているCTLA−4は、活性化においてT上で誘導され得る。B7−1およびB7−2によるCTLA−4の結合は、抗原に対するT細胞の反応を下方制御するための抑制性のシグナルを伝えると考えられている(12)。CTLA4IgはB7−H2+293細胞にも結合することが示され(図3C)、当該結合は、CTLA−4およびCTLA−4のリガンドをブロックすることが示された(13)CTLA−4mAb(クローン14D3)を加えることによって大部分が排除された(図3C)。逆にB7−H2IgはCTLA−4+293T細胞に結合し、B7−H2/CD28結合をブロックする2つのB7−H2mAb(クローンMIH12および9F.8A4)はまた上記結合を抑止した(図3D、3Eおよび4)。B7−H2/ICOSと比較すると、B7−H2/CTLA−4相互作用は大幅に遅い結合および速い解離を示す(図3F)。上記の結果は、B7−H2は好ましくはICOSと相互作用し得ることを示している。ICOSおよびCTLA−4は両方とも、活性化において同様の発現動態を示す誘導性レセプターである(11)。上記結果から、活性化T細胞におけるB7−H2の主要な効果はCTLA−4よりもむしろICOSに関連したものであり得ることが予測される。B7−CD28ファミリーの現在発見されている分子において他の相互作用があるかどうか判断するために、プロテオーム系を用いて上記レセプターおよび上記レセプターのカウンターレセプターの結合がスクリーニングされた。図5Aにて要約されているように、CD28およびCTLA−4の両方に対するB7−H2の結合のさらなる確認を除いて、さらなる相互作用は存在しない。
【0840】
SPR分析によるCTLA−4に対するB7−H2の結合とCD28に対するB7−H2の結合との比較は、B7−H2/CTLA−4相互作用がB7−H2/CD28に対して〜4倍小さい結合(Ka)を有するが同様の解離定数(Kd)を有することを示している(図3F)。以上のことは、B7−H2はCTLA−4に比べて、CD28に対して高い親和性を有することを示している(図3F)。上記の観察結果は、CD28と比べて大幅に高い親和性(>10倍)にてCTLA−4に結合するB7−1およびB7−2とは際立って対照的であり、B7−H2はB7−1/B7−2に対して冗長ではないリガンド(non-redundant ligand)であることを意味している。以上のことを試験するために、B7−1/B7−2によって妨げられるB7−H2/CD28相互作用の能力が測定された。フローサイトメトリーによれば、B7−1IgおよびB7−2Igの飽和した投与量(saturated doses)はB7−H2+293T細胞に対するCD28Igの結合において最小限の効果のみを有し、当該結果は、CD28分子におけるB7−1/B7−2と比較してB7−H2は非重複部位と相互作用することを支持している(図3G)。対照的に、B7−1およびB7−2はCD28との相互作用に関して概して冗長であり、CD28との結合について互いに競合し得る(15)。上記結果は同時刺激の新しい特徴を意味している:同時刺激レセプターにおける1つ以上の特徴はリガンドが相互作用するために利用可能であり、上記発見はB7−H2がB7−1/B7−2との相乗効果によってナイーブT細胞を同時刺激し得ることを示唆している。
【0841】
B7−H2とB7−H2の3つのレセプターとの間の相互作用の構造をさらに理解するために、当該相互作用に重要な残基を特定するための部位特異的突然変異誘発が行われた。突然変異のための残基の選択は、リボンダイアグラム(図6A)中に示されているように、結晶構造分析から予測されるB7−H2/ICOS相互作用面での上記残基の位置に基づいて行われた(16)。上記残基は全て、大きく全体的な構造変化を避けるためにアラニン(小さな芳香族アミノ酸)に置き換えられた(16)。野生型および変異B7−H2全長遺伝子が293細胞に形質移入され、CD28Ig、CTLA−4IgおよびICOSIgによる当該細胞の結合はフローサイトメトリーによって測定された。全ての変異体はCD28に対する結合を失っており、またCTLA−4と相互作用しない。以上の結果は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合部位は大部分が重複している(すなわち、CD28およびCTLA−4はB7−H2に対する結合において競合するはずである)ことを示している。ICOSに対する結合を失った2つの変異体(Y51A、Y53A)はまた、CD28およびCTLA−4に対する結合において大幅な減少を示した(図6B)。興味深いことに、ICOSに結合する能力の大部分を保持している2つの変異体(L116AおよびF122A)はCD28およびCTLA−4に対して最小限の結合能力のみを有している。MIH12mAbはCD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合をブロックするがICOSに対する結合はブロックしない(図4)という結果に関連して、上記結果はB7−H2がICOSおよびCD28/CTLA−4との相互作用において同一ではないが重複している結合部位を利用するという考えを支持している。
【0842】
B7−H2およびCD28の相互作用が機能的であることを実証するために、in vitroでの同時刺激アッセイが利用された。当該アッセイではプレートに結合したヒトCD3mAbの次善の濃度がT細胞レセプターシグナルの模倣として使用され、精製されたヒトT細胞に対する同時刺激を提供するためにB7−H2Igは同一のウェルに同時に固定化された。B7−H2Igは上記アッセイにおいてナイーブヒトT細胞の増殖を強力に同時刺激した(図3J)。CD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6、非同時刺激)またはICOSに対するブロッキングmAb(クローンC398.4A、非同時刺激)のいずれかを加えることで、T細胞の増殖は部分的に、しかし大幅に低減された。一方、ICOSおよびCD28の両方の遮断はB7−H2の同時刺激効果の大部分を打ち消した(図3J)。上記結果は、B7−H2によって媒介されるT細胞の同時刺激の効果は当該in vitroT細胞増殖アッセイにおいてICOSに加えてCD28を必要としていることを示している。B7−1およびB7−2によって起こり得る同時刺激であって、T細胞において上方制御され得る同時刺激を排除するために、当該アッセイにおいてB7−1およびB7−2の両方が特異的なmAbによってブロックされた。B7−H2Igによって媒介される同時刺激はB7−1/B7−2に対するmAbによって影響を受けなかったが、一方で、当該処置はB7−1IgおよびB7−2IgによるT細胞の同時刺激を阻害した(データは示されていない)。B7−H2に対して特異的なmAbであるMIH12の効果は、CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合を選択的に排除するが、ICOSに対する結合は排除しないことが示された(図4)。当該処置はB7−H2Igによって媒介される同時刺激を部分的に抑制した。さらに、3つのレセプター全てに対するB7−H2の結合をブロックするmAb9F.8A4は、B7−H2Igの効果を完全に打ち消した(図3K)。全てをまとめると、上記結果は、B7−H2はCD28を介してT細胞の増殖を同時刺激することができることを支持している。
【0843】
B7−H2−CD28/CTLA−4相互作用はT細胞の同時刺激に対して別の面の複雑さを加える。末梢器官におけるB7−H2とB7−1およびB7−2との重複しない発現パターンは、空間的および時間的に異なる設定において3つのリガンドがCD28/CTLA4を介してT細胞の反応に影響を与えることを可能にする。従って、B7−H2−CD28およびB7−H2−CTLA4相互作用の発見によって、当該プロテオーム系は十分に研究された分子の間においても新しい相互作用を発見するためのツールとして認められた。
【0844】
オーファンリガンドに対するレセプターを特定するための当該プロテオーム系の利用が、B7−H7を例として用いて検討された。B7−H7は生物的機能が確認されていないhuman endogenous retrovirus-H long terminal repeat-associating protein 2 (HHLA2)として以前に記載されていたが(17)、ホモログ検索によって潜在的なB7ファミリーメンバーとして知られていた(18)。B7−H7のヌクレオチドおよびタンパク質配列の比較によって、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H2、B7−H3およびB7−H4を包含する他の公知のヒトB7メンバーに対するB7−H7の相同性が、B7−H4に対する高い相同性と共に実証された(図7)。それゆえ、遺伝子名B7−H7が割り当てられた。当該遺伝子は染色体3q13.13に位置しており、B7−1およびB7−2に直接的に隣接している。当該遺伝子は予測された分子量が〜45kDである414アミノ酸のタイプI膜貫通タンパク質をコードしている。B7−H7はB7−H7の細胞外ドメイン内に3つの特徴的な免疫グロブリン(Ig)のセット(IgV−IgC−IgV)を有しており、タンパク質配列において他のB7ファミリー分子と〜20%の相同性を共有している。B7−H7はまた、他のB7ファミリー分子とは顕著な相同性を示さない変則的な細胞内ドメインを有しており、B7ファミリー分子の特徴であるシグナル伝達のための明らかなモチーフを有していない。
【0845】
B7−H7Igを用いてレセプター−リガンドプロテオームをスクリーニングすることによって、transmembrane and immunoglobulin domain containing 2 (TMIGD2) (遺伝子ID 126259)と呼ばれるB7−H7に結合するパートナーが特定された(図8)。B7−H7と同様に、当該遺伝子には機能が割り当てられていない。本明細書において、当該遺伝子産物はB7−H7に対するカウンターレセプター(B7−H7CR)と新たに命名された。B7−H7CRは染色体19q13.3に位置しており、単一の細胞外IgVドメインおよび長い細胞内ドメインと共に膜貫通タンパク質をコードしている。B7−H7CRは構造的には他の公知のB7ファミリーレセプターと同様である。特にB7−H7CRの細胞内ドメインはまた、シグナル伝達のための潜在的な結合部位である3つのチロシン残基を含んでいる。全体としては、B7−H7CRはCD28、CTLA−4、ICOSおよびPD−1と約10%のタンパク質配列相同性を共有している(図9)。ヒトB7−H7およびB7−H7CRの両方に対して特異的なmAbが精製された。B7−H7CR遺伝子を用いた293T細胞の形質移入による細胞表面のB7−H7CRの発現が、フローサイトメトリー分析における抗B7−H7CRmAb(クローン4−5)を用いた染色によって実証された。B7−H7IgはB7−H7CR+293T細胞に強く結合したが、モック形質移入細胞には結合しなかった(図10A)。同様に、B7−H7CRIgはまた、B7−H7遺伝子を用いて形質移入された細胞に結合したが、モック形質移入細胞には結合しなかった。B7−H7mAbを加えることで、当該相互作用は完全にブロックされた(図11)。他の公知のB7ファミリーリガンドに対するB7−H7CR間の潜在的な交差反応は、ヒトB7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H2、B7−H3(2Igおよび4Ig形態の両方)およびB7−H4を用いて形質移入された293T細胞のB7−H7CRIg染色によって排除された(図12)。従って上記結果は、B7−H7がB7−H7CRに特異的に結合し、B7−CD28ファミリーの新しいペアを代表し得ることを示している。
【0846】
B7−H7mRNAは精巣、結腸、肺、腎臓および膵臓において豊富である一方、小腸、肝臓および骨格筋において低いレベルを示す。対照的に、B7−H7CRmRNAは主にリンパ器官において見られる(図13);胸腺および脾臓において最も豊富であり、末梢血リンパ球(PBL)および肝臓は二番目である。上記発見に一致するのは、細胞表面のB7−H7は、ヒトPBL中のT、B、NK細胞または好中球において特異的なmAbによって検出されなかったことである(図14)。しかしながら、単球由来のマクロファージは常にB7−H7を発現し、LPS、ポリI:C、熱で殺したListeria monocytogenes (HKLM)またはインターフェロン−ガンマを用いたマクロファージの活性化は当該発現を上方制御した(図10B)。単球由来の未熟な樹状細胞(DC)はまた、B7−H7を発現するためにポリI:CまたはHKLMによって誘導され得る。一方、B7−H7CRはTおよびNK細胞の大部分において構成的に発現されるが、B細胞においては発現されない(図10C)。総合すれば、B7−H7およびB7−H7のカウンターレセプターの発現パターンは、プロフェッショナルな抗原提示細胞とTおよびNK細胞との相互作用におけるB7−H7およびB7−H7のカウンターレセプターの役割を示唆している。
【0847】
B7ファミリー分子の顕著な特徴は、抗原の提示においてT細胞の反応を同時刺激または同時阻害するという当該分子の能力である(6)。プレートにコーティングされたB7−H7Igは、次善の投与量の抗CD3mAb(OKT3)の存在下において、IL−2、IFN−γおよびIL−10と同様にCD4+T細胞の増殖を強く促進した(図10D)。さらに、固定化された形態のB7−H7CRmAbは、単独またはCD28mAbとの相互作用によってT細胞の増殖を促進するというB7−H7の役割を模倣することができた(図10E)。以上のことは当該B7−H7CRmAbのアゴニストとしての特徴を示唆している。さらに、水溶性のB7−H7mAb(2D3)またはB7−H7CRIgを加えることでB7−H7の同時刺激効果は抑止された(図10F)。総合すれば、上記の結果は、B7−H7およびB7−H7CRの相互作用がヒトT細胞の増殖を促進する新しいT細胞同時刺激経路を代表していることを支持している。
【0848】
免疫反応の制御における上記の新しく記載された同時刺激ペアの機構は、特に以前に記載された他の同時刺激および同時阻害経路に関して、まだ解明されていない(図15)。しかしながら、当該レセプター−リガンドプロテオーム系は細胞表面における新しい分子の相互作用を発見するために有望なアプローチを示している。全ての原形質膜タンパク質を含むようにプロテオームを拡張すれば、当該プロテオーム系は問題になっている細胞表面のレセプター−リガンドペアを特定するために利用される可能性があり、上記の重要性は単に免疫反応を理解するよりもはるかに優れているはずである。
【0849】
〔6.3 参考文献〕
以下はセクション6において引用された参考文献の一覧である。
【0850】
1. Dong, H., Zhu, G., Tamada, K., and Chen, L. 1999. B7-H1, a third member of the B7 family, co-stimulates T-cell proliferation and interleukin-10 secretion. Nat Med 5:1365-1369.
2. Tamura, H., Dong, H., Zhu, G., Sica, G.L., Flies, D.B., Tamada, K., and Chen, L. 2001. B7-H1 costimulation preferentially enhances CD28-independent T-helper cell function. Blood 97:1809-1816.
3. Wang, S., Bajorath, J., Flies, D.B., Dong, H., Honjo, T., and Chen, L. 2003. Molecular modeling and functional mapping of B7-H1 and B7-DC uncouple costimulatory function from PD-1 interaction. J Exp Med 197:1083-1091.
4. Lander, E.S., Linton, L.M., Birren, B., Nusbaum, C., Zody, M.C., Baldwin, J., Devon, K., Dewar, K., Doyle, M., FitzHugh, W., et al. 2001. Initial sequencing and analysis of the human genome. Nature 409:860-921.
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6. Chen, L. 2003. The B7-CD28 family molecules. New York, N.Y.: Landes Bioscience/Eurekah.com; Kluwer Academic/Plenum. 141 pp.
7. Chen, L. 2004. Co-inhibitory molecules of the B7-CD28 family in the control of T-cell immunity. Nat Rev Immunol 4:336-347.
8. Sharpe, A.H., and Freeman, G.J. 2002. The B7-CD28 superfamily. Nat Rev Immunol 2:116-126.
9. Linsley, P.S., Clark, E.A., and Ledbetter, J.A. 1990. T-cell antigen CD28 mediates adhesion with B cells by interacting with activation antigen B7/BB-1. Proc Natl Acad Sci U S A 87:5031-5035.
10. Yoshinaga, S.K., Whoriskey, J.S., Khare, S.D., Sarmiento, U., Guo, J., Horan, T., Shih, G., Zhang, M., Coccia, M.A., Kohno, T., et al. 1999. T-cell co-stimulation through B7RP-1 and ICOS. Nature 402:827-832.
11. Hutloff, A., Dittrich, A.M., Beier, K.C., Eljaschewitsch, B., Kraft, R., Anagnostopoulos, I., and Kroczek, R.A. 1999. ICOS is an inducible T-cell co-stimulator structurally and functionally related to CD28. Nature 397:263-266.
12. Krummel, M.F., and Allison, J.P. 1995. CD28 and CTLA-4 have opposing effects on the response of T cells to stimulation. J Exp Med 182:459-465.
13. Walunas, T.L., Lenschow, D.J., Bakker, C.Y., Linsley, P.S., Freeman, G.J., Green, J.M., Thompson, C.B., and Bluestone, J.A. 1994. CTLA-4 can function as a negative regulator of T cell activation. Immunity 1:405-413.
14. van der Merwe, P.A., Bodian, D.L., Daenke, S., Linsley, P., and Davis, S.J. 1997. CD80 (B7-1) binds both CD28 and CTLA-4 with a low affinity and very fast kinetics. J Exp Med 185:393-403.
15. Freeman, G.J., Gribben, J.G., Boussiotis, V.A., Ng, J.W., Restivo, V.A., Jr., Lombard, L.A., Gray, G.S., and Nadler, L.M. 1993. Cloning of B7-2: a CTLA-4 counter-receptor that costimulates human T cell proliferation. Science 262:909-911.
16. Chattopadhyay, K., Bhatia, S., Fiser, A., Almo, S.C., and Nathenson, S.G. 2006. Structural basis of inducible costimulator ligand costimulatory function: determination of the cell surface oligomeric state and functional mapping of the receptor binding site of the protein. J Immunol 177:3920-3929.
17. Carreno, B.M., and Collins, M. 2002. The B7 family of ligands and its receptors: new pathways for costimulation and inhibition of immune responses. Annu Rev Immunol 20:29-53.
18. Fahrer, A.M., Bazan, J.F., Papathanasiou, P., Nelms, K.A., and Goodnow, C.C. 2001. A genomic view of immunology. Nature 409:836-838.
〔7.実施例:CD28およびICOSの同時刺激経路における機能的冗長性の分子的基盤〕
以下の実施例は例証の目的で提供されるものであり、限定する目的ではない。
【0851】
〔7.1 材料および方法〕
プラスミド、融合タンパク質およびモノクローナル抗体。ヒト全長原形質膜cDNAセット(MHS5007)はOpen Biosystems Inc. (Huntsville, AL)から購入された。哺乳動物発現ベクターpCMV−SPORT6上にある上記セットに由来する約800の遺伝子が選択された。Gateway Cloning System (Invitrogen, Carlsbad, CA)およびCreator Cloning Kit (BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて、1000を超える遺伝子が哺乳動物発現ベクターpcDNA3.2/V5−DEST、pcDNA6.2/V5−DESTまたはpLP−CMVneoベクター中にクローニングされた。他の遺伝子は標準的なRT−PCRクローニング技術によってpcDNA3.1(−)プラスミド中にクローニングされた。全てのプラスミドはシーケンシングによって検証された。
【0852】
ヒトおよびマウスのCD28、CTLA4、ICOS、PD−1、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DCおよびB7−H2Ig融合タンパク質はR&D systems (Minneapolis, MN)から購入された。野生型および変異体ヒトB7−H2IgはpHIgVプラスミド中のコンストラクトを用いて293T細胞に一時的に形質移入することによって作成され、19において以前に記載されているようにタンパク質Aカラムによって精製された。
【0853】
マウス抗ヒトCD3mAbOKT3、マウス抗ヒトCD28mAbCD28.6(ブロッキング)、マウス抗ヒトCTLA−4mAb14D3およびマウス抗ヒトB7−H2mAbMIH12はeBioscience (San Diego, CA)から購入された。マウス抗ヒトB7−H2mAb9F.8A4はBioLegend (San Diego, CA)から購入された。抗ヒトIgFMATブルー抗体はApplied Biosystems (Foster City, CA)から購入された。コントロールのヒトIgG(Synagis)はMedImmune (Rockville, MD)から購入された。フローサイトメトリーにおいて使用される他の全ての抗体はBD BiosciencesまたはeBioscienceから購入された。
【0854】
表面プラズモン共鳴。20において以前に記載されているように、タンパク質の相互作用はBIAcore 3000 instrument (BIAcore AB, Uppsala, Sweden)上で測定および分析され、当該測定および分析は25℃で行われた。0.15MのNaCl、0.005%の界面活性剤P20を含んだ0.1M、pH7.4のHepes(HBS)がランニングバッファーとして使用された。ヒトB7−H2Ig、CD28IgおよびCTLA−4IgはR&D systemsから購入された。他の全ての試薬はBIAcoreから購入された。B7−H2Igは、カルボキシメチル化されたデキストランマトリクスに第1級アミン基を架橋結合させることで、CM5センサーチップ(BIAcore AB)に対して共有結合された。CM5チップ上のフローセルはN−エチル−N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)の1:1の混合物を用いて活性化され、その後10mMの酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)中に希釈された20μg/mlのB7−H2Igの導入を所望の反応単位(RU)に達するまで行った。同一のチップ上の別の活性化されたフローセルは、融合タンパク質を全く受容しておらず、コントロールのセンサー表面として使用された。残りの活性化されたカルボキシル基は1Mのエタノールアミン(pH8.5)を用いてブロックされた。その後、安定したベースラインを生成するために、フローセルはHBSを用いてさらに洗浄された。連続した希釈物中のICOSIg、CD28IgおよびCTLA4Igは3分間、20〜30μl/minの流速で3回センサー表面に導入され、その後5分間分離された。フローセルは2回の連続的な10秒のパルスによって、10mMのNaOHを用いて再生された。データはBIAevaluationソフトウェア4.1 (BIAcore)によって分析された。
【0855】
T細胞同時刺激アッセイ。OKT3mAb(抗ヒトCD3)は96ウェルプレート中に示された濃度で事前にコーティングされた。5μg/mlのB7−H2Ig、またはアイソタイプが適合したコントロールIgもウェル中に固定化された。ヒト末梢血単核細胞(PBMCs)に由来するT細胞は負の選択を受け、human pan-T cell selection kitまたはhuman CD4 T cell selection kit (Miltenyi Biotec, Auburn, CA)によって精製された。2.5×10/ウェルの精製されたヒトT細胞が各ウェルに加えられ、3日間培養された。いくつかの実験において、抗B7−H2mAb、MIH12または9F.8A4が培養の初期に加えられ、結合していないmAbはT細胞を加えるまえに培地によって洗い流された。3HTdRは培養の最後の6時間に加えられた。3H−TdRの組み込みはMicroBeta Trilux liquid scintillation counter (PerkinElmer, Waltham, MA)を用いて数えられた。
【0856】
ヒト単球由来の樹状細胞。ヒトPBMCは密度勾配遠心分離法によって単離された。5000万個のPBMCが37度のインキュベーター内で45分間、100mmの組織培養ディッシュ上に接着された。0.5×106/mlの接着細胞は10%ヒトAB血清を含んでいる10mlの完全RPMI培地中で培養された。培地には、樹状細胞の分化のために500U/mlの組み換えヒトインターロイキン−4(BD Biosciences)および1000U/mlの組み換えヒト顆粒球単球増殖因子が追加された。2日目、4日目および6日目には、培地の半分が新しい培地およびサイトカインと置き換えられた。7日目には樹状細胞が回収された。
【0857】
〔7.2 結果〕
実施例6に記載されたレセプター−リガンドプロテオームアプローチを利用して、発明者らは、組み換えヒトCD28Ig融合タンパク質がB7−1、B7−2およびB7−H2を発現している293T細胞に結合することを実証した。B7−1およびB7−2を発現している細胞に比べて、B7−H2を発現している細胞にはより低いレベルのCD28Igが結合した(図16および5A)。オクルディン(OCLN)分子に対する結合活性がまた見られたが、後に当該相互作用は非特異的であることが実証された(データは示されていない)。本レセプター−リガンドプロテオームにおいてCD28Igによるさらなる結合活性は存在しなかった(図2)。それゆえ、CD28およびICOSは共通のリガンドB7−H2を共有し得る。
【0858】
当該結合は、最適化された一時的な形質移入プロトコルを用いたB7−H2293T細胞に対するCD28Igの染色によって最初に検証された。フローサイトメトリー分析による陽性の抗B7−H2モノクローナル抗体(mAb)染色および陰性の抗B7−1および抗B7−2染色によって、B7−H2の高い発現が検証された(図16A)。当該条件下において、細胞のかなりの割合がICOSIgを用いて陽性に染色された。以上のことは293T細胞におけるB7−H2の特異的な発現を実証している。重要なことに、CD28IgはB7−H2293T細胞に対して顕著な結合を示し、CD28に対するmAb(クローンCD28.6)を加えることによって当該結合を完全にブロックすることができた。興味深いことに、CTLA4IgもまたB7−H2293T形質移入体に結合することができ、当該結合はCTLA−4に対するmAb(クローン14D3)によって大部分がブロックされた(図16A)。以上のことは、B7−1およびB7−2と同様に、B7−H2はCD28およびCTLA−4の両方に結合することを示唆している。さらに上記相互作用を検証するために、293T細胞は高レベルのCD28またはCTLA4を発現するように一時的に形質移入された。当該発現は陽性のmAb染色によって示される。B7−H2Igによる上記細胞の結合は、顕著な染色を実証した。B7−H2に対するmAb(クローンMIH12)を加えることによって、またはICOSIgによって当該結合を完全に抑止することができた(図16Bおよび16C)。上記の結果は、B7−H2とCD28/CTLA−4との間の相互作用の特異性、並びにCD28、CTLA−4およびICOSとの相互作用のためのB7−H2上の重複した結合部位を支持している。
【0859】
次に、ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性が表面プラズモン共鳴(SPR)分析によって比較された(図16D)。B7−H2/CD28相互作用はB7−H2/ICOSと比較して(KON=2.4×10−1−1; KOFF=0.004s−1)、大幅に遅い結合定数(KON=1.2×10−1−1)および速い解離定数(KOFF=0.017s−1)を有していた。以上のことは、ICOSがB7−H2への結合においてCD28に比べてより高い親和性(〜100倍)を有していることを示している。一方、B7−H2/CTLA−4はB7−H2/CD28相互作用に比べてわずかに低い親和性(〜4倍)を有していた(図16D)。B7−1/CD28の公表されている親和性(KD=4μM)(14)と比較した場合、B7−H2/CD28の親和性(KD=1.4μM)およびB7−H2/CTLA4の親和性(KD=5.5μM)は同じ範囲にある。
【0860】
上記の結果がB7−H2はCD28およびCTLA−4の両方に対する潜在的なリガンドであることを明らかにした一方、上記の特定された相互作用と以前に特定された相互作用との間にはいくつかの根本的な差がある。CTLA−4はB7と相互作用するためにCD28に比べて少なくとも10倍高い親和性を有しているが、一方B7−H2は上記2つのレセプターと同様の親和性を有している。CD28はナイーブT細胞上に構成的に発現されるが、一方ICOSおよびCTLA−4は抗原の刺激に関して誘導性である(3)。B7−H2は造血細胞および非造血細胞によって構成的に発現されるため、上記結果はCD28を介したナイーブT細胞の同時刺激におけるB7−H2の役割を意味している。B7−H2はICOSと比べるとCTLA−4に対して低い親和性を有しているため、CTLA−4を介した活性化T細胞の阻害におけるB7−H2の役割は最小限であり得る。
【0861】
次に、B7−H2/CD28相互作用が他のCD28のリガンド、B7−1およびB7−2と競合し得るかどうか調べるために、B7−H2/CD28相互作用が試験された。フローサイトメトリーによれば、B7−1IgおよびB7−2Igの飽和した投与量はB7−H2293T細胞に対するCD28Igの結合において最小限の効果のみを有し、当該結果は、CD28がB7−1/B7−2と比較して異なる接点を介してB7−H2と相互作用することを支持している(図16E)。興味深いことに、B7−2IgはB7−H2に対するCTLA−4の結合に対して部分的に競合すると考えられるが、B7−1Igでは競合しないと考えられる。以上のことはB7−H2およびB7−2に対するCTLA−4上の結合部位が部分的に重複し得ることを示している(図16E)。対照的に、B7−1およびB7−2は、B7−1およびB7−2とCD28およびCTLA−4との相互作用に関して概して冗長であり、結合について互いに競合し得る(1)。上記結果はCD28の同時刺激の新しい特徴を意味している:異なるリガンドと結合するために、同時刺激レセプター上の1つ以上の接点が利用可能である。上記結果はまた、B7−H2がB7−1/B7−2との相乗効果によってCD28を介してナイーブT細胞を同時刺激し得ることを示唆している。
【0862】
B7−H2とB7−H2の3つのレセプターとの間の相互作用の構造を理解するために、当該相互作用に重要な残基を特定するための部位特異的突然変異誘発がB7−H2上において行われた。突然変異のための残基の選択は、B7−H2/CTLA4の結晶構造(15、16)(図16A)から予測されるB7−H2および3つのレセプターの結合面での上記残基の位置に基づいて行われた。上記残基は全て、大きく全体的な構造変化を避けるためにアラニン(中性の電荷を有する芳香族アミノ酸)に置き換えられた(16)。野生型(wt)および変異B7−H2全長遺伝子が293T細胞の表面上に発現され、抗B7−H2mAb染色によって確認された。CD28Ig、CTLA−4IgおよびICOSIgによる当該細胞の結合はフローサイトメトリー分析によって測定され、B7−H2変異体に対する当該組み換え融合タンパク質の相対的な結合能力はwtB7−H2と比較された(図6B)。全ての変異体はCD28(Y51A、Y53A、L116AおよびF122A)に対する結合を失っており、またCTLA−4と相互作用しなかった。以上の結果は、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合部位は大部分が重複している(すなわち、CD28およびCTLA−4はB7−H2に対する結合において競合するはずである)ことを示している。ICOSに対する結合を失った2つの変異体(Y51A、Y53A)はまた、CD28およびCTLA−4に対する結合を示さない。興味深いことに、ICOSに結合する能力の大部分を保持している2つの変異体(L116AおよびF122A)はCD28およびCTLA−4に対して最小限の結合能力のみを有している。上記結果は、B7−H2はCD28/CTLA−4に対してICOSと相互作用するために同一ではないが重複している結合部位を利用するが、一方B7−H2はCD28およびCTLA−4と相互作用するために同一ではないが、同様である結合部位を利用し得るという考えを支持している。
【0863】
B7−H2がCD28/CTLA−4に対してICOSと相互作用するために区別できる結合部位を利用し得るという結果は、個々の相互作用を選択的にブロックするmAbの探索を促進し、機能分析を容易にした。B7−H2に対して利用可能なmAbをスクリーニングすることによって、MIH12はCD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合を選択的にブロックするがICOSに対するB7−H2の結合をブロックしないことが実証された。一方、フローサイトメトリー分析によれば9F.8A4は3つのレセプター全てに対するB7−H2Igの結合を抑止した(図4)。
【0864】
以前の報告(4、17)と一致して、発明者らはマウスB7−H2がマウスCD28およびCTLA−4と相互作用しないことを実証した(図5Bおよび19)。興味深いことに、マウスB7−H2IgV領域(Met1−Val149)が当該領域に対応するヒトの領域(Met1−Gln123)と置き換えられた場合、当該キメラ遺伝子産物はマウスCD28IgおよびCTLA−4Igに結合することができた(図19)。以上のことはマウスおよびヒトB7−H2が共通の祖先から分岐進化した可能性があることを示している。
【0865】
B7−H2およびCD28の相互作用が機能的であることを実証するために、in vitroでの同時刺激アッセイが利用された。当該アッセイではヒトCD3mAbの次善の濃度がT細胞レセプター(TCR)シグナリングの模倣として96ウェルプレートのウェル中に固定化された。精製されたヒトT細胞に対する同時刺激シグナルを提供するためにB7−H2Igは同一のウェルに同時に固定化された。最大0.1μg/mlまでのCD3mAbの次善の濃度はT細胞の大幅な増殖を刺激しなかった一方、トリチウム化したチミジンの組み込みの増加によって裏付けられたように、B7−H2Igを加えることでT細胞の高レベルの増殖が誘導された(図20A)。B7−H2Ig自体はCd3mAbの非存在下では検出可能な増殖を全く刺激しないため、B7−H2の効果はTCRシグナリングに依存した(データは示していない)。MIH12mAbを加えることで、CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合を特異的にブロックし、B7−H2Igによって媒介される同時刺激の約50%を抑制した。3つのレセプター全てに対するB7−H2の結合をブロックする9F.8A4mAbは、B7−H2Igの効果を完全に打ち消した(図20A)。細胞分裂を観察するためにカルボキシル蛍光スクシニミジルエステル(carboxyl fluorescent succinimidyl ester)(CFSE)で標識されたヒトT細胞を使用すると、MIH12によるB7−H2/CD28相互作用の遮断はCD4およびCD8T細胞の両方の分裂において部分的な阻害効果を示した一方、9F.8A4はT細胞の分裂を完全に抑制した(図21)。当該設定における活性化T細胞はCD28に加えて高レベルのICOSを発現した(データは示されていない)。上記結果は、T細胞上のCD28およびICOSの両方がB7−H2の同時刺激に対して独立して寄与することを示唆している。CTLA−4はまた、本実験の設定においてICOSと同様の動態(kinetics)によってT細胞上で上方制御された(データは示されていない)。しかし、当該系におけるB7−H2Igの顕著な効果はT細胞の増殖の促進である。以上のことはB7−H2/CTLA−4の相互作用の低い親和性によるものであり得る。全てをまとめると、上記結果は、B7−H2はCD28への結合を介してT細胞の増殖を同時刺激することができることを支持している。
【0866】
CD28およびICOSによるCD4T細胞の同時刺激の1つの特徴は、上記の両方が多量のサイトカインを誘導する一方、TCRの結合は単独で最小限の量を産生することである(3)。同じ濃度の固定化されたヒトB7−1IgおよびB7−H2Igによって媒介されるサイトカイン産生が比較された(図22)。CD28およびICOSアゴニストmAbを用いた以前の結果(6)と一致して、B7−1およびB7−H2を介した同時刺激はTNF−α、IFN−γ、IL−4、IL−5、IL−10およびIL−17を包含するT細胞由来のサイトカインの重複したスペクトルを誘導するが、1つの大きな違いはB7−1Igのみが多量のIL−2を刺激したということである(3)。B7−1はまた、より高いレベルのTNFαおよびIFNγを顕在化させると考えられるが、一方B7−H2はより高いレベルのIL−17Aを誘導する(18)。B7−1およびB7−2の両方は、異なる実験において小さな差が観察されたが同様のレベルの他のサイトカインを誘導した(データは示されていない)。アゴニストmAbを用いた以前に公開された結果(3)との比較における大きな違いは、B7−H2がIL−10産生を選択的に刺激しなかった点であった(図22)。
【0867】
B7−1およびB7−H2によって誘導される上記の全体的に重複したサイトカインの特徴に関連して、B7−H2によって媒介される全体的なサイトカイン産生に対するB7−H2/ICOSと比較したB7−H2/CD28の相対的な寄与が、抗体のブロックによって評価された(図20B)。予想されたように、9F.8A4による遮断は全てのサイトカインの産生をバックグラウンドのレベルまで低減した。以上のことはサイトカイン産生がB7−H2の3つの全てのレセプターに依存していることを示している。しかし、MIH12によるB7−H2/CD28相互作用の選択的な遮断は大部分のサイトカインの産生を減少させ、IL−4、IL−5、IL−10およびIL−17に対してより重大な効果を与えるが、IL−2、TNFαおよびIFNγに対してより小さな効果を与えた(図20B)。上記結果は、CD28に媒介されるTh2およびIL−17サイトカイン産生のかなりの部分はB7−1/B7−2の結合のみの代わりにB7−H2の結合が原因となっている可能性があることを示している。
【0868】
B7−H2/CD28の相互作用がマウスでは保存されていないという観察結果から、発明者らはin vivoにおける当該経路の評価を行わなかった。次に、抗原に対して特異的な記憶T細胞のリコール反応(recall response)および同種抗原に対する初代T細胞の反応を包含するin vitroでのより生理学的に関連したモデルにおいて、B7−H2/CD28の相互作用が評価された。第一のモデルにおいて、以前に破傷風ワクチンによって免疫性を与えられた成体由来の自己末梢血T細胞を刺激するために、単球由来の樹状細胞は破傷風トキソイド(TT)と共に培養された。TT抗原に対する反応におけるポリクローナルな長期記憶T細胞の増殖およびIFNγの産生は選択されたmAbの存在下において試験された。MIH12はTT抗原によって顕在化される増殖を、およそ20%の小さいが有意な阻害(p<0.05)にて低減した(図20C)。しかし、上記処置はIFNγ産生において重大な効果を有した:80%を超えるIFNγの産生が抑制された(図20D)。CD28ブロッキングmAb(クローン28.6、非同時刺激的)または9F8.A4を加えることで、増殖に対して>50%の阻害を達成し、IFNγの産生に対して>90%の阻害を達成した(図20Cおよび20D)。上記結果は、当該設定における記憶T細胞の増殖およびIFNγの産生のためにCD28経路およびICOS経路の両方が必要とされることを示している。B7−H2/CD28相互作用は、記憶T細胞の増殖においてはささいな役割を担っているが、TTによって誘導される記憶T細胞のIFNγ産生においては重要である。
【0869】
第二のモデルにおいて、末梢血に由来する同種T細胞の刺激のために、単球由来の樹状細胞が使用された。当該培養系において、MIH12はまた、同種T細胞に由来するIFNγ産生を有意に抑制した(p<0.05)(図20E)。TT抗原によって顕在化される記憶T細胞の反応と同様に、MIH12は主にIFNγ産生に対して効果的であるが、T細胞の増殖に対しての効果はより小さかった(データは示されていない)。上記結果は、IL−2産生を刺激するB7−H2/CD28の弱い能力に関連している可能性がある(図22)。上記結果は、内生的なB7−H2/CD28の相互作用がT細胞の活性化およびサイトカイン産生の促進において重要な役割を担っていることを実証した。
【0870】
上記結果はB7−H2がCD28に対する第三のリガンドであることを実証している(図17A)。B7−H2は末梢器官において造血細胞および非造血細胞によって構成的に発現されるが、一方B7−1およびB7−2は大部分が選択的な抗原提示細胞における誘導性の分子である。上記3つのリガンドにおける区別でき、かつ重複していない当該発現パターンは、空間的および時間的に分岐した設定においてCD28/CTLA−4を介してT細胞の反応を制御し得る。構成的なB7−H2の発現はエフェクターT細胞または記憶T細胞に対するCD28の同時刺激を末梢器官において継続させ得る。B7−H2がB7−1およびB7−2と完全に重複したシグナルを提供するかどうかはまだ判断されていない。B7−H2/CD28相互作用およびB7s/CD28相互作用の競合しない性質はまた、B7−1/B7−2およびB7−H2が同時にCD28に結合することを可能にし、リンパ器官において共同作用する同時刺激シグナルを伝える(図17B)。上記結果はまた、免疫療法的処置における標的としてのCD28経路およびICOS経路の再評価を支持する。例えば、CTLA−4およびCD28はB7−H2に対して同一の結合面を共有しているので、免疫抑制薬物としてのCTLA−4Ig(アバタセプト)の効果は少なくとも部分的にB7−H2/CD28相互作用の阻害として解釈され得る。
【0871】
〔7.3 参考文献〕
以下はセクション7において引用された参考文献の一覧である。
【0872】
1. Lenschow, D. J., Walunas, T. L. & Bluestone, J. A. CD28/B7 system of T cell costimulation. Annu Rev Immunol 14, 233-58 (1996).
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13. Linterman, M. A. et al. Roquin differentiates the specialized functions of duplicated T cell costimulatory receptor genes CD28 and ICOS. Immunity 30, 228-41 (2009).
14. van der Merwe, P. A., Bodian, D. L., Daenke, S., Linsley, P. & Davis, S. J. CD80 (B7-1) binds both CD28 and CTLA-4 with a low affinity and very fast kinetics. J Exp Med 185, 393-403 (1997).
15. Schwartz, J. C., Zhang, X., Fedorov, A. A., Nathenson, S. G. & Almo, S. C. Structural basis for co-stimulation by the human CTLA-4/B7-2 complex. Nature 410, 604-8 (2001).
16. Chattopadhyay, K., Bhatia, S., Fiser, A., Almo, S. C. & Nathenson, S. G. Structural basis of inducible costimulator ligand costimulatory function: determination of the cell surface oligomeric state and functional mapping of the receptor binding site of the protein. J Immunol 177, 3920-9 (2006).
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19. Dong, H., Zhu, G., Tamada, K. & Chen, L. B7-H1, a third member of the B7 family, co-stimulates T-cell proliferation and interleukin-10 secretion. Nat Med 5, 1365-9 (1999).
20. Wang, S. et al. Molecular modeling and functional mapping of B7-H1 and B7-DC uncouple costimulatory function from PD-1 interaction. J Exp Med 197, 1083-91 (2003).
上記の事項は、本明細書中に記載された特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、上記の記載および添付の図面から、本明細書中に記載された抗体および方法、並びに上記と同等のものに加えて、本発明によって提供される抗体および方法、並びに上記と同等のものに対する種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかになるであろう。上記変更は添付の請求項の範囲内に含まれるものである。
【0873】
本明細書中で引用された全ての参考文献は、個々の刊行物、または特許もしくは特許出願が全ての目的のためにその全体が参考として援用されると具体的に、かつ独立して示されていたのと同様の範囲まで、全ての目的のためにその全体が本明細書中にて参考として援用される。
【0874】
【表1】
【0875】
【表2】
【0876】
【表3】
【0877】
【表4】
【0878】
【表5】
【0879】
【表6】
【0880】
【表7】
【0881】
【表8】
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【表9】
【0883】
【表10】
【0884】
【表11】
【0885】
【表12】
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【表13】
【0887】
【表14】
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【表15】
【0889】
【表16】
【0890】
【表17】
【0891】
【表18】
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【表19】
【0893】
【表20】
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【表21】
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【表22】
【0896】
【表23】
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【表24】
【0898】
【表25】
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【表26】
【0900】
【表27】
【0901】
【表28】
【0902】
【表29】
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【表30】
【0904】
【表31】
【0905】
【表32】
【0906】
【表33】
【0907】
【表34】
【0908】
【表35】
【0909】
【表36】
【0910】
【表37】
【0911】
【表38】
【0912】
【表39】
【0913】
【表40】
【0914】
【表41】
【図面の簡単な説明】
【0915】
図1】レセプター−リガンドプロテオームの模式図。ヒト膜貫通遺伝子をコードする〜1900のプラスミドのセットが、5個の384ウェルプレート中に個別に配置され、リポフェクタミンによって293T細胞中に形質移入される。続いて8時間後に、標的となる融合タンパク質および蛍光標識された二次抗体が形質移入された細胞に加えられる。24時間後、Applied Biosystem 8200 Cellular Detection System (CDS)によって、陽性のウェルに対して細胞表面の走査を行う。陽性の各ウェル内の個々のプラスミドは採集され、検証のためにさらに研究され得る。
図2】レセプター−リガンドプロテオーム系によるB7−H2およびCD28の相互作用の特定。ヒト膜貫通遺伝子を有する〜1900のプラスミドのセットが、30ng/ウェルで4個の384ウェルプレート中に個別に配置され、リポフェクタミンによって293T細胞中に一時的に形質移入された。形質移入から8時間後に、ヒトCD28Ig(R&D systems, Minneapolis, MN)および抗ヒトIg FMATブルー二次抗体(Applied Biosystems, Foster City, CA)がウェル中に加えられた。プレートは、形質移入から24時間後にApplied Biosystems 8200 cellular detection systemによって読まれ、CDS8200ソフトウェアによって分析された。3−Dの図は384ウェルプレートの結果を表している。各ウェルの位置はプレートの下部(1〜24)および側面(A〜P)に示されている。各バーは、384ウェルプレートの各ウェル中のFL1ゲートにおける全ての蛍光強度を表している。ヒトB7−H2遺伝子(K11)を用いて形質移入されたウェルは、B7−1(C17)およびB7−2(K24)と同様に陽性を示した。Fcレセプター(D15、O5)は、標識された二次抗体に対して直接的に結合するため、形質移入に関してポジティブコントロールである。P24はモック形質移入(mock-transfected)293T細胞を用いたネガティブコントロールである。オクルディン(P1)は、タイトジャンクション接着分子であり、またB7−H2に対して陽性の結合を示した。しかし、さらなる実験により、オクルディンは二次抗体に対して非特異的に結合することが証明された。
図3A】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、ICOSIg(A)、CD28Ig(B)およびCTLA4Ig(C)と同様にB7−H2、B7−1、B7−2に対して特異的なmAbによって染色された。結合の特異性を試験するため、CD28に対して特異的なmAb(クローンCD28.6)およびCTLA−4に対して特異的なmAb(クローン14D3)もまた培地中に加えられた。
図3B】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、ICOSIg(A)、CD28Ig(B)およびCTLA4Ig(C)と同様にB7−H2、B7−1、B7−2に対して特異的なmAbによって染色された。結合の特異性を試験するため、CD28に対して特異的なmAb(クローンCD28.6)およびCTLA−4に対して特異的なmAb(クローン14D3)もまた培地中に加えられた。
図3C】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、ICOSIg(A)、CD28Ig(B)およびCTLA4Ig(C)と同様にB7−H2、B7−1、B7−2に対して特異的なmAbによって染色された。結合の特異性を試験するため、CD28に対して特異的なmAb(クローンCD28.6)およびCTLA−4に対して特異的なmAb(クローン14D3)もまた培地中に加えられた。
図3D】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。(D)CD28が形質移入された(D)またはCTLA−4が形質移入された293T細胞(E)はまた、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12)を用いた場合または用いない場合について、B7−H2Igによって染色された。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図3E】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(A−E)CD28/CTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。(D)CD28が形質移入された(D)またはCTLA−4が形質移入された293T細胞(E)はまた、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12)を用いた場合または用いない場合について、B7−H2Igによって染色された。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図3F】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性。示された濃度のICOSIgおよびCD28Igが500RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入され、反応は表面プラズモン共鳴によって測定された。同様に、示された濃度のCTLA4Igが5000RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入された。全ての実験において、コーティングされていないコントロールのフローセル内への当該融合タンパク質の導入は、コントロールとして行われた。結合のデータには1:1相互作用モデルを適合させ、変動しているベースラインを用いてオーバーレイした。
図3G】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(G−I)B7−H2/ICOS経路とB7/CD28経路との間の相互作用。B7−H2およびCD28/CTLA−4の他のリガンドの相互作用を試験するために、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA4Igが使用され、フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、B7−H2+293T細胞を染色する前に、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA4Igが、40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。B7−H2とCD28/CTLA−4との相互作用をICOSと比較して測定するために、CD28(H)またはCTLA−4(I)を形質移入させた293T細胞が10μg/mlのB7−H2Igによって染色され、結合を競合させるために20μg/mlの超過量のICOSIgが加えられた。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図3H】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(G−I)B7−H2/ICOS経路とB7/CD28経路との間の相互作用。B7−H2およびCD28/CTLA−4の他のリガンドの相互作用を試験するために、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA4Igが使用され、フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、B7−H2+293T細胞を染色する前に、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA4Igが、40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。B7−H2とCD28/CTLA−4との相互作用をICOSと比較して測定するために、CD28(H)またはCTLA−4(I)を形質移入させた293T細胞が10μg/mlのB7−H2Igによって染色され、結合を競合させるために20μg/mlの超過量のICOSIgが加えられた。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図3I】CD28およびCTLA−4に対する3番目のリガンドとしてのB7−H2の特定と特性付け。(G−I)B7−H2/ICOS経路とB7/CD28経路との間の相互作用。B7−H2およびCD28/CTLA−4の他のリガンドの相互作用を試験するために、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA4Igが使用され、フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、B7−H2+293T細胞を染色する前に、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA4Igが、40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。B7−H2とCD28/CTLA−4との相互作用をICOSと比較して測定するために、CD28(H)またはCTLA−4(I)を形質移入させた293T細胞が10μg/mlのB7−H2Igによって染色され、結合を競合させるために20μg/mlの超過量のICOSIgが加えられた。全てのデータはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図3J】B7−H2/CD28相互作用を介したヒトT細胞の同時刺激。(J)健康なドナーに由来する末梢血T細胞が負の選択を受け、アフィニティーカラム上でPan T cell isolation kitによって精製された。3×10細胞/ウェルの精製されたCD3+T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。ブロッキング実験では、10μg/mlのICOSに対するブロッキングmAb(クローンC398.4A)および/またはCD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)が、培養の初期の3日間、可溶性形態にて加えられた。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
図3K】B7−H2/CD28相互作用を介したヒトT細胞の同時刺激。(K)2.5×10細胞/ウェルの精製されたCD3+T細胞は、(J)に記載されているCD3mAb/B7−H2Igによって刺激された。10μg/mlのB7−H2mAb(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。
図4】ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性の比較。ヒトB7−H2−GFPプラスミドが293T細胞に一時的に形質移入された。GFPが高い集団がゲートされ、10μg/mlのICOS、CD28およびCTLA−4融合タンパク質の結合について評価され、フローサイトメトリーによって分析された。
図5A】B7−CD28ファミリー分子の相互作用。X軸上に示されるように、293T細胞は全長ヒト(A)またはマウス(B)B7−CD28ファミリー遺伝子を用いて形質移入された。形質移入体に対する上記の結合をCDSによって評価するために、Y軸上に示されるようにヒト(A)またはマウス(B)融合タンパク質が培地に加えられた。個々のウェルの図は8200CDSソフトウェアによって捉えた。
図5B】B7−CD28ファミリー分子の相互作用。X軸上に示されるように、293T細胞は全長ヒト(A)またはマウス(B)B7−CD28ファミリー遺伝子を用いて形質移入された。形質移入体に対する上記の結合をCDSによって評価するために、Y軸上に示されるようにヒト(A)またはマウス(B)融合タンパク質が培地に加えられた。個々のウェルの図は8200CDSソフトウェアによって捉えた。
図6A】B7−H2は重複ドメイン(overlapping domains)を介してICOS、CD28およびCTLA−4と相互作用する。(A)B7−H2−ICOSの相互作用の図はB7−2−CTLA4の結晶構造(RCSB PDB 1i85)を用いて設計され、Pymolソフトウェア(DeLano Scientific LLC.)によって生成された。
図6B】B7−H2は重複ドメイン(overlapping domains)を介してICOS、CD28およびCTLA−4と相互作用する。(B)部位特異的突然変異誘発によるB7−H2のレセプターに対するB7−H2の結合位置の分析。ヒトB7−H2全長遺伝子は、当該遺伝子がC末端GFPタグと融合するようにpcDNA3.1中にクローニングされた。B7−H2−GFPプラスミド中に、リガンド−レセプター相互作用面に埋め込まれた残基(図中に紫色で示されている)において単一の点突然変異が導入された。その後、B7−H2プラスミド(野生型および変異体)が293T細胞に一時的に形質移入され、B7−H2の発現は抗B7−H2染色によって確認された。B7−H2変異体−GFPプラスミドに対するヒトICOS、CD28、CTLA4融合タンパク質の結合はフローサイトメトリーによって測定され、野生型B7−H2−GFP(100%)およびベクターコントロール(0%)を発現する293T細胞に対して標準化された。野生型B7−H2(100%)およびベクターコントロール(0%)に関する結合の割合はポジティブコントロールおよびネガティブコントロールである。
図7】前述のB7ファミリー分子に対するB7−H7の配列相同性。ヒトB7−H7タンパク質配列は、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H3およびB7−H4を包含する他のB7リガンドファミリーのメンバーを用いて、ClustalWプログラムによって並べられた。
図8】CDS系によるB7−H7およびB7−H7Rの相互作用の特定。図2に記載された手段と同一の手段を用いて、形質移入から8時間後に、B7−H7Igおよび抗mIg FMATブルー二次抗体が384ウェルプレートに加えられた。プレートは、形質移入から24時間後にApplied Biosystems 8200 cellular detection systemによって読まれ、CDS8200ソフトウェアによって分析された。ヒトB7−H7CR(J18)は、ポジティブコントロール、FcR(O5)およびOLN(P1)と同様に陽性として特定された。
図9】前述のCD28ファミリーメンバーに対するB7−H7CRの配列相同性。ヒトB7−H7CRタンパク質配列は、CD28、CTLA−4、PD−1およびICOSを包含する他のCD28ファミリーのメンバーを用いて、ClustalWプログラムによって並べられた。
図10A】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(A)形質移入された細胞におけるB7−H7IgによるB7−H7CRの結合。293T細胞は、ヒトB7−H7CRcDNAを含んでいるプラスミドまたはベクタープラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、B7−H7CRに対して特異的なmAb(クローン4−5、上側のパネル)またはB7−H7Ig(下側のパネル)によって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図10B】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(B)マクロファージおよび樹状細胞におけるB7−H7の構成的発現および誘導性の発現。ヒト単球は健康なドナーの血液から精製され、GM−CSFまたはGM−CSF+IL−4の存在下で1週間、それぞれマクロファージ(M)または樹状細胞(DC)へ分化させるためにin vitroで培養された。細胞はまた、IFN−γ、ポリI:C、または熱で殺したListeria monocytogenes(HKLM)を用いて、または上記を用いずに(何もなし)24時間処置され、その後、抗B7−H7mAb(クローン2D3)によって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図10C】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(C)リンパ球におけるB7−H7CRの構成的発現および誘導性の発現。ヒト末梢血単核球は精製され、抗B7−H7CRmAb(クローン4−5)と共にCD3、CD19、CD56およびCD16に対して特異的なmAbによって染色された。データはFACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図10D】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(D)B7−H7IgはCD4+T細胞の増殖およびサイトカイン産生を同時刺激する。健康なドナーに由来する末梢血CD4+T細胞は負の選択を受け、アフィニティーカラムによって精製された。精製された2.5×10細胞/ウェルのCD4+T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H7IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。並行する実験において、培地の上清が採集され、mAbの特異的なペアを用いて、サンドウィッチELISAキットによってサイトカインが測定された。
図10E】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(E、F)アゴニストであるB7−H7CRmAbによるCD4+T細胞の増殖の同時刺激。(E)CD4+T細胞は(D)に記載されたように精製され、刺激される。B7−H7Igの代わりに、抗B7−H7CRmAb(クローン4−5)が抗CD3mAbと共にプレートに固定された(左のパネル)。CD28の同時刺激との相乗効果を試験するために、CD28mAb(クローンCD28.2、1μg/ml)はB7−H7CRmAbと共に培地に加えられた(右のパネル)。
図10F】B7−H7およびB7−H7CR相互作用を介した新しいT細胞同時刺激経路の特定および特性付け。(E、F)アゴニストであるB7−H7CRmAbによるCD4+T細胞の増殖の同時刺激。(F)ヒトCD4+T細胞は、10μg/mlの水溶性のB7−H7mAbまたはB7−H7CRIgの存在下で(E)に記載されたようにプレートに固定化されたB7−H7Igおよび抗CD3mAbと共に同時刺激された。培養の最後の6時間、3HTdRが加えられ、3HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
図11】B7−H7mAb2D3はB7−H7+細胞に対するB7−H7CRの結合を完全にブロックする。CHO細胞はヒトB7−H7をコードするプラスミドを用いて形質移入され、その後、前述のように20μg/mlのB7−H7mAb(クローン2D3)を用いない場合(左のパネル)または用いる場合(右のパネル)において、10μg/mlのB7−H7CRIgによって染色された。
図12】B7−H7CRはB7−H7に対して特異的に結合するが、他のB7ファミリーメンバーには結合しない。293T細胞は、B7−1、B7−2、B7−H1、B7−DC、B7−H2、B7−H3(2Ig形態および4Ig形態の両方)およびB7−H4を包含する個々のB7ファミリーのメンバーを用いて形質移入された。10μg/mlのB7−H7CRIgおよび蛍光標識された二次mAbを用いた染色の後、細胞はフローサイトメトリーによって分析され、データは蛍光の密度として示される。
図13】組織中のヒトB7−H7およびB7−H7CRmRNAの検出。RT−PCRを行うため、B7−H7およびB7−H7CRの特異的なプライマーペアそれぞれと共に、ヒト組織cDNAアレイ(Clontech)が鋳型として使用された。G3PDHプライマーペアはコントロールとしての役割を果たす。
図14】T、B、NK細胞および単球上における細胞表面B7−H7の検出の失敗。ヒト末梢血単核細胞は精製され、抗B7−H7mAb、並びにT細胞(CD3)、B細胞(CD19)、NK細胞(CD56)および単球(CD14)に対する細胞型特異的抗体を用いて同時染色される。染色の後、細胞はフローサイトメトリーによって分析され、データは蛍光の密度として示される。
図15A】新しい同時刺激経路の図。(A)B7−CD28経路とB7−H2/ICOS経路との間の交差。前述の相互作用は黒い線で示され、新しく説明される相互作用は太線で示されている。
図15B】新しい同時刺激経路の図。(B)B7−H7とB7−H7CRとの間の新しく説明される相互作用。
図16A】(A−C)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2(a)、CD28(b)またはCTLA−4(c)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、示された特異的mAbまたは融合タンパク質によって染色された。いくつかの実験において、結合の特異性を試験するために、mAbまたは融合タンパク質はまた、他の因子と共に加えられる。細胞はFACScanフローサイトメトリーを用いて分析された。
図16B】(A−C)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2(a)、CD28(b)またはCTLA−4(c)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、示された特異的mAbまたは融合タンパク質によって染色された。いくつかの実験において、結合の特異性を試験するために、mAbまたは融合タンパク質はまた、他の因子と共に加えられる。細胞はFACScanフローサイトメトリーを用いて分析された。
図16C】(A−C)CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合の特異性。293T細胞はヒト全長B7−H2(a)、CD28(b)またはCTLA−4(c)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、その後、示された特異的mAbまたは融合タンパク質によって染色された。いくつかの実験において、結合の特異性を試験するために、mAbまたは融合タンパク質はまた、他の因子と共に加えられる。細胞はFACScanフローサイトメトリーを用いて分析された。
図16D】(D)ICOS、CD28およびCTLA−4に対するB7−H2の結合における親和性。示された濃度のICOSIg(左のパネル)およびCD28Ig(中央のパネル)が500RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入され、反応は表面プラズモン共鳴によって測定された。同様に、示された濃度のCTLA4Ig(右のパネル)が5000RUsのB7−H2Igを用いてコーティングされたフローセル内に導入された。全ての実験において、コントロールとしての役割を果たすために、コーティングされていないコントロールのフローセル内へ同一の融合タンパク質が導入された。結合のデータには1:1相互作用モデルを適合させて、オーバーレイした。
図16E】(E)CD28/CTLA−4とCD28/CTLA−4の3つのリガンドとの相互作用。CD28/CTLA−4に対するB7−H2、B7−1およびB7−2の結合におけるB7−H2、B7−1およびB7−2の関係性を試験するため、293T細胞は全長ヒトB7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入された。形質移入体を染色するためにCD28IgおよびCTLA−4Igが使用され、その後フローサイトメトリーによって分析された。アイソタイプが適合したヒトIg(コントロールIg)がコントロールとして加えられた(上側のパネル)。競合する結合のため、10μg/mlのCD28IgおよびCTLA−4Igが、染色の前に40μg/mlのB7−1Ig(中央のパネル)またはB7−2Ig(下側のパネル)の過剰量を用いて15分間、事前にインキュベートされた。
図17A】新しい同時刺激経路の図。(A)B7−CD28経路とB7−H2/ICOS経路との間の交差。前述の相互作用は黒い線で示され、新しく説明される相互作用は太線で示されている。
図17B】新しい同時刺激経路の図。(B)細胞表面におけるCD28の3つのリガンドとのCD28の相互作用のモデル。
図18】B7−H2/CD28およびB7−H2/ICOSの相互作用を区別して抑止するmAbの特定。293T細胞はヒト全長ICOS(ICOS+293T)、CD28(CD28+293T)またはCTLA−4(CTLA−4+293T)プラスミドを用いて一時的に形質移入され、B7−H2Igまたはコントロール(ctl)Igによって染色された。コントロールのマウスIgと同様に、B7−H2に対して特異的なmAb、クローンMIH12または9F.8A4が、B7−H2Igの結合における当該mAbのブロッキング効果を試験するために培地中に加えられた。細胞はフローサイトメトリーによって分析された。
図19図19A−19B。マウスB7−H2は、マウスCD28およびCTLA−4と相互作用しない。(A)293T細胞はマウス全長B7−H2プラスミドを用いて一時的に形質移入され、マウスICOSIg、CD28IgおよびCTLA−4Igによって染色された。(B)マウスB7−H2/hB7−H2IgVキメラコンストラクトは、マウスB7−H2全長遺伝子においてマウスB7−H2IgV領域(Met1−Val149)をヒトの対応する領域(Met1−Gln123)と置き換えることによって作成した。293T細胞は上記キメラ遺伝子を発現するために一時的に形質移入され、マウスICOSIg、CD28IgおよびCTLA−4Igによって染色された。結果はフローサイトメトリーによって分析した。
図20A】CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。(A)B7−H2/CD28相互作用はヒトT細胞の増殖を同時刺激する。健康なドナーに由来する末梢血T細胞は負の選択を受け、Pan T cell isolation kit(Miltenyi)を用いて精製された。2.5×10/ウェルの精製されたCD3T細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlの固定化されたB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。10μg/mlのB7−H2mAb(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間、可溶性形態にて加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。培養の最後の6時間、HTdRが加えられ、HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
図20B】CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。(B)B7−H2は、CD28を介したヒトT細胞からのサイトカイン産生を同時刺激する。2.5×10/ウェルの精製されたCD3T細胞は、(a)で記載されたように固定化されたCD3mAbおよびB7−H2Igによって刺激された。MIH12、9F.8A4またはコントロールのマウスIg(ctl Ig)は、B7−H2IgとB7−H2Igのレセプターとの相互作用をブロックするために可溶性形態にて使用された。上清は3日まで毎日採集された。サイトカインのレベルは、BD Cytometric Bead Array (CBA) human Th1/Th2 cytokine kitおよびCBA IL-17A Flexセットによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
図20C】CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。(CおよびD)B7−H2/CD28の相互作用は、破傷風トキソイドに対して特異的な記憶T細胞の反応を促進する。(C)単球由来の樹状細胞(2.5×10/ウェル)および精製された自己のT細胞(3×10/ウェル)は共に混合され、示された濃度の破傷風トキソイドと共に5日間培養された。CD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12および9F.8A4)またはコントロールのマウスIgに対するブロッキングmAb(10μg/ml)が、培養の初期に可溶性形態にて加えられた。培養の最後の16時間、HTdRが加えられ、HTdRの組み込みはシンチレーションカウンターによって測定された。
図20D】CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。(CおよびD)B7−H2/CD28の相互作用は、破傷風トキソイドに対して特異的な記憶T細胞の反応を促進する。(D)インターフェロンガンマの濃度は5日目の上清において、BD (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
図20E】CD28を介したヒトT細胞のB7−H2同時刺激。(E)B7−H2/CD28の相互作用は、同種異系T細胞の反応においてINF−ガンマの放出を促進する。単球由来の樹状細胞(2.5×10/ウェル)および精製された同種異系のT細胞(3×10/ウェル)は共に混合された。CD28に対するブロッキングmAb(クローンCD28.6)、B7−H2に対するブロッキングmAb(クローンMIH12および9F.8A4)またはコントロールのマウスIgに対するブロッキングmAb(10μg/ml)が、培養の初期の5日間に可溶性形態にて加えられた。インターフェロンガンマの濃度は5日目の上清において、BD (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均であり、標準偏差と共に示される。
図21】B7−H2/CD28の相互作用はヒトT細胞の分裂を促進する。健康なドナーに由来する末梢血T細胞は負の選択を受け、アフィニティーカラム上でPan T cell isolation kitによって精製された。精製されたCD3T細胞は5μMのCSFEを用いて標識された。2.5×10細胞/ウェルの標識されたヒトT細胞は、示された濃度の固定化された抗ヒトCD3mAb(OKT3)並びに5μg/mlのB7−H2IgもしくはコントロールIg(ctl Ig)を用いて刺激された。10μg/mlのB7−H2mAB(クローンMIH12または9F.8A4)またはコントロールIg(ctl Ig)が、コーティングされたB7−H2Igをブロックするために1時間加えられ、その後、結合しなかったmAbは、T細胞を加える前に培地によって洗い流された。T細胞は4日目に採集され、FACScanフローサイトメトリーによって分析された。
図22】B7−1およびB7−2の同時刺激によって誘導されるサイトカイン産生の比較。健康なドナーのPBMCに由来する精製されたCD4T細胞(2.5×10細胞/ウェル)は固定化されたCD3mAb並びにB7−1IgもしくはB7−2Igによって刺激された。上清は3日まで毎日採集された。サイトカインのレベルは、BD Cytometric Bead Array (CBA) Human Th1/Th2 cytokine kitおよびCBA IL-17A Flexセットによって測定され、FCAP Arrayソフトウェアによって分析された。各データポイントは3つの平均である。
図23】代表的なネイティブなヒトB7−H7、ネイティブなpan troglodytesB7−H7およびネイティブなmacaca mulattaB7−H7のアミノ酸配列のアラインメント。
図24】代表的なネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytesB7−H7CRおよびネイティブなbos taurusB7−H7CRのアミノ酸配列のアラインメント。
図25】代表的なネイティブなヒトB7−H7CR、ネイティブなpan troglodytesB7−H7CRおよびネイティブなbos taurusB7−H7CRの核酸配列のアラインメント。
図1
図2
図3A
図3B-3C】
図3D-3E】
図3F
図3G
図3H-3I】
図3J
図3K
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図18-1】
図18-2】
図18-3】
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21-1】
図21-2】
図22
図23
図24
図25
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]