特許第5883387号(P5883387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883387電気、電子部品材料用組成物およびその硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883387
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】電気、電子部品材料用組成物およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/04 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   C08F290/04
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-531673(P2012-531673)
(86)(22)【出願日】2011年8月23日
(86)【国際出願番号】JP2011004668
(87)【国際公開番号】WO2012029249
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2010-195831(P2010-195831)
(32)【優先日】2010年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一柳 典克
(72)【発明者】
【氏名】小谷 準
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/004584(WO,A1)
【文献】 特開2007−077182(JP,A)
【文献】 特開2010−126680(JP,A)
【文献】 特開2006−265488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290/04
C08F2/46−2/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を、分子末端に1分子あたり少なくとも1個以上有するビニル系重合体、
(B)一般式(2):
−(OC(O)C(R)=CH (2)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rは炭素数6〜20の有機基、nは2〜6の整数を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、及び、
(C)開始剤、
を含有する電気、電子部品材料用組成物であって、
(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対して、(B)成分を25重量%以上、45重量%以下含有することを特徴とする電子部品材料用組成物。
【請求項2】
(A)一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を、分子末端に1分子あたり少なくとも1個以上有するビニル系重合体、
(B)一般式(2):
−(OC(O)C(R)=CH (2)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rは炭素数6〜20の有機基、nは2〜6の整数を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、
(D)一般式(3):
−OC(O)C(R)=CH (3)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rは炭素数6〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、及び
(C)開始剤、
を含有する電気、電子部品材料用組成物であって、
(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が25重量%以上、65重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上含有する電気、電子部品材料用組成物。
【請求項3】
(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が30重量%以上、55重量%以下、かつ(B)成分が15重量%以上含有する請求項2に記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項4】
(C)成分の量が、(A)成分、(B)成分、(D)成分の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項5】
(A)成分の主鎖が、アクリル酸エステル系単量体を重合して製造される請求項1〜4のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項6】
(A)成分の数平均分子量が、3000以上である請求項1〜のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項7】
(A)成分のビニル系重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比の値が1.8未満である請求項1〜のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項8】
(B)成分が、(メタ)アクリロイル系基を一分子中に2個有するビニル系単量体である請求項1〜のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項9】
(C)成分が光ラジカル開始剤である請求項1〜のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物が電極金属に接する電気、電子部品材料用組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物を硬化して得られる電気、電子部品材料。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の電気、電子部品材料用組成物を、活性エネルギー線または熱により硬化して得られる硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、電子部品材料用組成物及び電気、電子部品材料に関する。さらに詳しくは、(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系重合体と、(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体と、開始剤を含有し、組成物が低粘度、速硬化性であり、硬化物が高温高湿条件下においても電気絶縁性、耐電極変色に優れる、電気、電子部品材料用組成物、及び、該組成物を硬化させてなる電気、電子部品材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電気、電子部品材料用組成物としては、各種の硬化性樹脂が広範な用途に用いられている。例えば、半導体封止用樹脂、回転用含浸樹脂、絶縁用ワニス、プリント配線基板用絶縁材料、プリント配線基板用含浸樹脂、電子部品用コーティング剤、コンフォーマルコーティング用途、電子部品用ポッティング剤、電気、電子部品用接着剤、電子部品放熱用コンパウンド等の用途には、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が用いられている。しかしながら、これらの樹脂の硬化物は硬く、線膨張率の違いからボンディング線の切断等の悪影響を及ぼす等の問題点がある。これらの問題点のない、ゴム状の硬化性樹脂を与える重合体としては、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、架橋性シリル基とも言う)を少なくとも一個有する重合体として、シリコーン系重合体、ポリエーテル系重合体、炭化水素系重合体、ビニル系重合体等が知られている。しかし、これらの重合体の硬化は架橋性シリル基の縮合反応によるため、硬化に必ずしも加熱が必要ではないという特徴があるものの、硬化速度が遅い、深部硬化性が不十分である等の共通の問題点がある。
【0003】
これらの問題のないものとしてシリコーン系、ポリエーテル系及び炭化水素系のものが提案されている。シリコーン系は硬化物中に存在する低分子量シリコーン化合物が電気接点障害を引き起こす等、電気特性上の問題があり(特許文献1参照)、ポリエーテル系及び不飽和炭化水素系では耐熱性に劣る場合があり、飽和炭化水素系では樹脂そのものが高粘度である為、取り扱い性に問題があった。本発明者らは、主鎖をリビングラジカル重合により得られるビニル系重合体とし、その末端に(メタ)アクリロイル基を有する重合体について報告しているが(特許文献2〜4)、これらの重合体の硬化物は耐熱性、耐油性などが優れる一方、電気絶縁性、耐電極変色には課題があり、電気部材のシール、接着剤用途では使用できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−272208号公報
【特許文献2】特開2000−72816号公報
【特許文献3】特開2000−95826号公報
【特許文献4】特開2007−77182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低粘度、速硬化性の電気、電子部品材料用組成物、及び、耐熱性に加えて、電気絶縁性、耐電極変色に優れる硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の現状に鑑み、本発明者らは電気絶縁性および耐電極変色を改善するために、長鎖脂肪族炭化水素基や環状脂肪族炭化水素基などを含む疎水性化合物を使用することを考えた。空気中の水分が電極金属(銅、銀、錫、鉛、ニッケル、金、ハンダなど)に接するとイオンマイグレーションが発生し、電極金属が変色し、短絡することが知られている。即ち、疎水性化合物を使用することにより硬化物を低吸湿性にすることを考えた。疎水性化合物を使用する方法としては、まず、ビニル系重合体自体に疎水性の炭化水素基を有するビニル系単量体を共重合させる方法が考えられるが、重合反応後に未反応の高沸点の炭化水素基を有するビニル系単量体を脱揮することが困難だったり、得られるビニル系単量体の粘度が高く、引いては硬化性組成物の粘度が高くなるために取り扱い性が良くないといった課題が懸念される。一方、疎水性の炭化水素基を有するビニル系単量体を硬化性組成物に混ぜる方法では、硬化性組成物を低粘度にしやすいために取り扱い性が良く、ビニル系単量体の置換基構造や、複数種のビニル系単量体を組み合わせることによって、容易に硬化物性を制御でき、さらには得られる硬化物が電気絶縁性、耐電極変色を奏することができることを発見し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、下記、電気、電子部品材料用組成物およびその硬化物に関する。
【0007】
(A)一般式(1):
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を、分子末端に1分子あたり少なくとも1個以上有するビニル系重合体、
(B)一般式(2):
b−(OC(O)C(Ra)=CH2n (2)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rbは炭素数6〜20の有機基、nは2〜6の整数を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、及び、
(C)開始剤、
を含有する電気、電子部品材料用組成物であって、
(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対して、(B)成分を25重量%以上、45重量%以下含有することを特徴とする電子部品材料用組成物に関する。
【0008】
(A)一般式(1):
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を、分子末端に1分子あたり少なくとも1個以上有するビニル系重合体、
(B)一般式(2):
b−(OC(O)C(Ra)=CH2n (2)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rbは炭素数6〜20の有機基、nは2〜6の整数を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、
(D)一般式(3):
C−OC(O)C(Ra)=CH2 (3)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、RCは炭素数6〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体、及び
(C)開始剤、
を含有する電気、電子部品材料用組成物であって、
(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が25重量%以上、65重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上含有する電気、電子部品材料用組成物に関する。
【0009】
(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が30重量%以上、55重量%以下、かつ(B)成分が15重量%以上含有することが好ましい。
【0010】
(C)成分の量が、(A)成分、(B)成分、(D)成分の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましい。
【0011】
(A)成分の主鎖が、アクリル酸エステル系単量体を重合して製造されることが好ましい。
【0012】
(A)成分の主鎖が、リビングラジカル重合法により製造されることが好ましく、原子移動ラジカル重合法により製造されることがより好ましい。
【0013】
(A)成分の主鎖が、連鎖移動剤を用いたビニル系単量体の重合により製造されることが好ましい。
【0014】
(A)成分の数平均分子量が、3000以上であることが好ましい。
【0015】
(A)成分のビニル系重合体が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比の値が1.8未満であることが好ましい。
【0016】
(B)成分が、(メタ)アクリロイル系基を一分子中に2個有するビニル系単量体であることが好ましい。
【0017】
(C)成分が光ラジカル開始剤であることが好ましい。
【0018】
上記に記載の電気、電子部品材料用組成物が電極金属に接する電気、電子部品材料用組成物に関する。
【0019】
上記に記載の電気、電子部品材料用組成物を硬化して得られる電気、電子部品材料に関する。
【0020】
上記に記載の電気、電子部品材料用組成物を、活性エネルギー線または熱により硬化して得られる硬化物に関する。
【発明の効果】
【0021】
低粘度、速硬化性の電気、電子部品材料用組成物、及び、耐熱性に加えて、電気絶縁性、耐電極変色に優れる硬化物の提供。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
<<(A)成分>>
本発明の(A)成分とは、
一般式(1):
−OC(O)C(Ra)=CH2 (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わす)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を、分子末端に1分子あたり少なくとも1個以上有するビニル系重合体である。
【0023】
(A)成分を製造する際に、未反応あるいは副反応が起こることがあるため、ビニル系重合体に導入された(メタ)アクリロイル系基の平均値が設定から外れることがある。本発明ではビニル系重合体の末端に導入された(メタ)アクリロイル系基の平均値が0.8個以上である場合は、この混合物を(A)成分という。
【0024】
ビニル系重合体に導入された(メタ)アクリロイル系基の平均値は0.8個以上、2.3個以下が好ましく、より好ましくは1.5個以上、2.5個以下、さらに好ましくは1.8個以上、2.2個以下である。0.8個未満の場合は、硬化物の未反応成分が多くなるために耐熱性、機械物性が低下することがある。3.0個より多い場合は、硬化物の架橋点が多くなるために硬化物の伸びが低下し、クラックが発生しやすくなることがある。
【0025】
さらにビニル系重合体に導入された(メタ)アクリロイル系基の1個以上は分子末端に存在するが、他の(メタ)アクリロイル系基の位置は特に限定されない。架橋点間距離を長くでき、硬化物の伸び物性が良くなる点から、もう一方の分子末端側近くにある形態が好ましく、もう一方の分子末端にある形態が特に好ましい。つまり、ビニル系重合体に導入された(メタ)アクリロイル系基は1分子あたり分子末端に少なくとも1個以上であり、分子両末端に2個が好ましい。
【0026】
(メタ)アクリロイル系基中のRaは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基を表わし、好ましくは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。有機基とは以下に示す基である。
【0027】
前記炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、ニトリル基等が挙げられ、これらは水酸基等の置換基を有していてもよい。
【0028】
前記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0029】
aの好ましい具体例としては、例えば−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表わす)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0030】
(A)成分の主鎖を構成するビニル系単量体としては特に限定はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
なかでも、生成物の物性等の点から、芳香族ビニル系単量体及び(メタ)アクリル系単量体が好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体であり、さらに好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチルである。
【0032】
耐熱性の点から、主鎖を構成するビニル系単量体は、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
【0033】
耐吸水性および耐吸湿性の点から、主鎖を構成するビニル系単量体は、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−メトキシエチルが特に好ましい。
【0034】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他の前記モノマーと共重合させてもよく、その際は、これらの好ましいモノマーが40重量%以上含まれていることが好ましい。なお、上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0035】
(A)成分の分子量分布[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比]には、特に限定はないが、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下である。なお、本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム又はテトラヒドロフランを移動相とし、ポリスチレンゲルカラムを使用し、分子量の値はポリスチレン換算値で求めている。
【0036】
本発明におけるビニル系重合体(A)の数平均分子量は特に制限はないが、GPCで測定した場合に、3,000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましく、8,000〜50,000がさらに好ましい。分子量が低くなりすぎると、ビニル系重合体(A)の本来の特性が発現されにくい傾向があり、一方、高くなりすぎると、取扱いが困難になる傾向がある。
【0037】
<ビニル系重合体(A)の合成法>
本発明で使用するビニル系重合体(A)は、種々の重合法により得ることができ、特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性等の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でも制御ラジカル重合がより好ましい。この制御ラジカル重合法は「連鎖移動剤法」と「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。得られるビニル系重合体(A)の分子量、分子量分布の制御が容易であるリビングラジカル重合がさらに好ましく、原料の入手性、重合体末端への官能基導入の容易さから原子移動ラジカル重合が特に好ましい。上記ラジカル重合、制御ラジカル重合、連鎖移動剤法、リビングラジカル重合法、原子移動ラジカル重合は公知の重合法ではあるが、これら各重合法については、たとえば、特開2005−232419公報や、特開2006−291073公報などの記載を参照できる。
【0038】
本発明におけるビニル系重合体(A)の好ましい合成法の一つである、原子移動ラジカル重合について以下に簡単に説明する。
【0039】
原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられることが好ましい。具体的には特開2005−232419公報段落[0040]〜[0064]記載の化合物が挙げられる。
【0040】
官能基を1分子内に2つ以上有するビニル系重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0041】
【化1】
【0042】
【化2】
【0043】
等が挙げられる。
【0044】
原子移動ラジカル重合において用いられるビニル系単量体としては特に制約はなく、上述した例示したビニル系単量体をすべて好適に用いることができる。
【0045】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、又は11族元素を中心金属とする金属錯体でありより好ましくは0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルを中心金属とする遷移金属錯体、特に好ましくは銅の錯体が挙げられる。銅の錯体を形成するために使用される1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。
【0046】
重合反応は、無溶媒でも可能であるが、各種の溶媒中で行うこともできる。溶媒の種類としては特に限定されず、特開2005−232419公報段落[0067]記載の溶剤が挙げられる。これらは、単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系においても重合を行うことができる。
【0047】
重合温度は、限定はされないが、0〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0048】
<重合性の炭素−炭素二重結合導入法>
重合性の炭素−炭素二重結合導入は、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−203932公報段落[0080]〜[0091]記載の方法が挙げられる。これらの方法の中でも制御がより容易である点から、ビニル系重合体の末端ハロゲン基を、重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造されたものであることが好ましい。
【0049】
末端ハロゲン基を有する(メタ)アクリル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系単量体を重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系単量体を重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
【0050】
重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物としては特に限定されないが、下記一般式(4)で表される化合物が使用でき、
+-OC(O)C(R)=CH2(4)
上記式(4)中のRの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0051】
上記式(4)中のM+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
【0052】
一般式(4)のオキシアニオンの使用量は、ハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。
【0053】
この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。
【0054】
反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
<<(B)成分>>
本発明の(B)成分は、
一般式(2):
b−(OC(O)C(Ra)=CH2n (2)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rbは炭素数6〜20の有機基、nは2〜6の整数示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体であり、(A)成分と(B)成分の混合物中に25重量%以上、45重量%以下含まれる。一般式(2)のnは、硬化物の機械物性(伸び、強度)が優れる点で、3以下が好ましく、より好ましくは2である。
aは、前述した一般式(1)のRaを同様に使用できる。
【0055】
bは、炭素数6〜20の有機基が好ましく、炭素数8〜18の有機基がより好ましく、炭素数12〜15の有機基がさらにより好ましい。炭素数が6未満の場合、(B)成分が揮発性となり高温時の重量変化が大きくなる傾向がある。一方、炭素数が20より多い場合、(B)成分が高粘度となり組成物の低粘度化効果が低くなる傾向がある。
【0056】
bは、硬化物の機械物性(伸び、強度)が良く、耐吸水性、耐吸湿性が優れる点で、鎖状脂肪族構造が好ましく、炭素数8以上が好ましく、炭素数12以上がより好ましい。
【0057】
鎖状脂肪族構造を有する(B)成分の具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3―メチル―1,5―ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6―ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7―へプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8―オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2―メチル―1,8―オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9―ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10―デカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また下式で示される化合物なども挙げられる。
CH2=CHC(O)O−(CH2n−OC(O)CH=CH2
(nは6〜20の整数)
CH2=C(CH3)C(O)O−(CH2n−OC(O)C(CH3)=CH2
(nは6〜20の整数)
CH2=CHC(O)O−(CH2CH2O)n−OC(O)CH=CH2
(nは3〜10の整数)
CH2=C(CH3)C(O)O−(CH2CH2O)n−OC(O)C(CH3)=CH2
(nは3〜10の整数)
鎖状脂肪族構造を有する(B)成分としては、耐熱性および絶縁性が良い点で、エーテル構造を有さないビニル系単量体が好ましい。エーテル構造を有さないビニル系単量体としては、3―メチル―1,5―ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6―ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7―へプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8―オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2―メチル―1,8―オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9―ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10―デカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0058】
bは、硬化物の耐吸水性、耐吸湿性が特に優れる点で、環状構造が好ましく、脂環式脂肪族構造がより好ましく、多環式脂肪族構造がさらにより好ましい。
【0059】
脂環式脂肪族構造を有する(B)成分の具体例としては、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレ−ト、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。耐吸水性、耐吸湿性、低揮発性、低粘度効果のバランスが特に良い(B)成分としては、1,9―ノナンジオールジアクリレート、1,10―デカンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレートが挙げられる。
【0060】
(メタ)アクリロイル系基を3〜6個有するビニル系単量体としては、特に限定されないが、低粘度、高反応性、入手性が良い点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
(B)成分は、2種類以上を併用しても良い。
【0061】
(B)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対して、25重量%以上、45重量%以下であるが、30重量%以上、40重量%以下がより好ましい。(B)成分の添加量が25重量%未満の場合、耐電極変色および低粘度化の効果が低くなる。一方、(B)成分の添加量が45重量%より多い場合、硬化物の機械物性(伸び、強度)が低下する。
【0062】
<<(D)成分>>
本発明の(D)成分は、
一般式(3):
c−OC(O)C(Ra)=CH2 (3)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1〜20の有機基、Rcは炭素数6〜20の有機基を示す)で表わされる(メタ)アクリロイル系基を有するビニル系単量体であり、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が25重量%以上、65重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上の範囲で含まれる。Raは、前述した一般式(1)のRaを同様に使用できる。
【0063】
cは、炭素数6〜20の有機基が好ましく、炭素数8〜18の有機基がより好ましく、炭素数12〜15の有機基がさらにより好ましい。炭素数が6未満の場合、(D)成分が揮発性となり高温時の重量変化が大きくなる傾向がある。一方、炭素数が20より多い場合、(D)成分が高粘度となり組成物の低粘度化効果が低くなる傾向がある。
【0064】
cは、硬化物の機械物性(伸び、強度)が良く、耐吸水性、耐吸湿性が優れる点で、鎖状脂肪族構造が好ましく、炭素数8以上が好ましく、炭素数12以上がより好ましい。鎖状脂肪族構造を有する(D)成分の具体例としては、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また下式で示される化合物なども挙げられる。
CH2=CHC(O)O−(CH2n−CH3
(nは5〜19の整数)
CH2=C(CH3)C(O)O−(CH2n−CH3
(nは5〜19の整数)
CH2=CHC(O)O−(CH2CH2O)n−CH3
(nは3〜9の整数)
CH2=C(CH3)C(O)O−(CH2CH2O)n−CH3
(nは3〜9の整数)
CH2=CHC(O)O−(CH2CH2O)n−CH2CH3
(nは2〜9の整数)
CH2=C(CH3)C(O)O−(CH2CH2O)n−CH2CH3
(nは2〜9の整数)
【0065】
鎖状脂肪族構造を有する(D)成分としては、耐熱性および絶縁性が良い点で、エーテル構造を有さないビニル系単量体が好ましい。エーテル構造を有さないビニル系単量体としては、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0066】
cは、硬化物の耐吸水性、耐吸湿性が特に優れる点で、環状構造が好ましく、脂環式脂肪族構造がより好ましく、多環式脂肪族構造がさらにより好ましい。
【0067】
脂環式脂肪族構造を有する(D)成分の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイル−ε−カプロラクタム、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0068】
多環式脂肪族構造を有する(D)成分の具体例としては、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0069】
脂環式脂肪族構造以外の環状構造を有する(D)成分の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、O−フェニルフェノール(メタ)アクリレートが挙げられる。耐吸水性、耐吸湿性、低揮発性、低粘度効果のバランスが優れる(D)成分としては、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートが挙げられる。
【0070】
(D)成分は、2種類以上を併用しても良い。
(D)成分としては、硬化物の機械物性(伸び、強度)が良くなり、しかも電気絶縁性、耐電極変色、低粘度化の効果が得られる点で、(B)成分と併用することが好ましい。
【0071】
(B)成分と(D)成分を併用する場合の添加量としては、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が25重量%以上、65重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上であるが、(B)成分と(D)成分の合計が30重量%以上、55重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上であるのが好ましく、(B)成分と(D)成分の合計が35重量%以上、45重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上であるのがより好ましい。
【0072】
(B)成分と(D)成分の添加量が25重量%未満の場合、耐電極変色および低粘度化の効果が低くなる。一方、(B)成分と(D)成分の添加量が65重量%より多い場合、硬化物の機械物性(伸び、強度)が低下したり、タックが強くなったり、耐熱性が低下したりすることがある。
【0073】
また上記記載の(B)成分と(D)成分を併用する場合の(B)成分の添加量としては、5重量%以上であるが、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましい。(B)成分の添加量が5重量%未満の場合、耐電極変色の効果が低くなる。
【0074】
また上記記載の(B)成分と(D)成分を併用する場合の(B)成分の添加量としては、45重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらにより好ましい。(B)成分の添加量が45重量%より多い場合、硬化物の機械物性(伸び、強度)が低下する。
<<(C)成分>>
本発明の(C)成分の例としては、光重合開始剤、熱重合開始剤、レッドクス開始剤等が挙げられる。
【0075】
光重合開始剤、熱重合開始剤、レッドクス開始剤は各々単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として使用してもよいが、混合物として使用する場合には、各開始剤の使用量は、後述のそれぞれの範囲内にあることが好ましい。
【0076】
活性エネルギー線より硬化させる場合には、特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。
【0077】
光ラジカル開始剤としては、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4'−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾイル等が挙げられる。これらのうち、紫外線硬化性が良い光ラジカル開始剤としては、α−ヒドロキシケトン化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等)、フェニルケトン誘導体(例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4'−ベンジルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン等) が好ましい。
【0078】
また、硬化物表面の酸素阻害を抑制できる光ラジカル開始剤としては、例えば、分子内に光分解性の基を2個以上有する2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル-プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、チバ・ジャパン製)、1−〔4−(4−ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(商品名ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォ−メート(商品名SPEEDCURE MBF LAMBSON製)O−エトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名ESCURE KIP150 LAMBERTI製)、および、分子内に芳香環を3つ以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤である1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(0−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−4'メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、4,4',4"−(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン等が挙げられる。
【0079】
また、深部硬化性の改善を特徴とする2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤が挙げられる。
【0080】
また、本発明の硬化性組成物の活性エネルギー線硬化性と貯蔵安定性のバランスの点で、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2-ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル-プロパン−1−オン(商品名IRGACURE127、チバ・ジャパン製)、1−〔4−(4−ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(商品名ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォ−メート(商品名SPEEDCURE MBF LAMBSON製)O−エトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名ESCURE KIP150 LAMBERTI製)、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(0−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−4'メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、4,4',4"−(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドがより好ましい。
【0081】
近赤外光重合開始剤としては、近赤外光吸収性陽イオン染料等を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体等を用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
【0082】
これらの光重合開始剤は、単独、又は2種以上混合して用いても、他の化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0083】
硬化性を向上させるための他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
【0084】
なお、前記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
【0085】
(C)成分の添加量は特に制限はないが、硬化性と貯蔵安定性の点から、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がさらに好ましい。
【0086】
熱重合開始剤としては、特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤等が挙げられる。アゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
【0087】
過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol11)(Elf Atochemから入手可能) 、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
【0088】
過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0089】
好ましい熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物開始剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
熱重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0090】
(C)成分として熱重合開始剤を使用する場合、熱重合開始剤は触媒的に有効な量で存在し、その添加量は特に限定されないが、本発明の(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.025〜2重量部である。
【0091】
レドックス(酸化還元)系開始剤は、幅広い温度領域で使用できる。特に、下記開始剤種は常温で使用できることが有利である。
【0092】
適切なレドックス系開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)の組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンの組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ;有機過酸化物と遷移金属の組み合わせ、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートの組み合わせ等が挙げられる。
【0093】
好ましいレドックス系開始剤としては、有機過酸化物と第3級アミンの組み合わせ、有機過酸化物と遷移金属の組み合わせであり、より好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドとアニリン類の組み合わせ、クメンハイドロパーオキサイドとコバルトナフテートの組み合わせである。
レドックス系開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0094】
(C)成分としてレドックス系開始剤を使用する場合、レドックス系開始剤は触媒的に有効な量で存在し、その添加量は特に限定されないが、本発明の(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.025〜2重量部である。
【0095】
<<硬化性組成物>>
本発明の硬化性組成物は(A)成分のビニル系重合体、(B)成分のビニル系単量体、(C)成分の開始剤を含有し、必要により(D)成分のビニル系単量体を含有してなるが、物性を調整するために、さらに各種の添加剤、例えば、重合性のモノマー及び/またはオリゴマー、硬化調整剤、金属石鹸、充填材、微小中空粒子、可塑剤、接着性付与剤、溶剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、物性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂等を、必要に応じて適宜配合してもよい。これらの各種添加剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0096】
このような添加物の具体例は、例えば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
【0097】
<重合性のモノマー及び/またはオリゴマー>
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(B)成分、(D)成分以外の、モノマー及び/またはオリゴマーを添加することができる。ラジカル重合性の基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが、硬化性の点から好ましい。
【0098】
前記ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等の(メタ)アクリロイル系基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、本発明に使用するビニル系重合体と類似する(メタ)アクリロイル系基を有するものが好ましい。
【0099】
前記モノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、ビニルエステル系モノマー、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマー、ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマー、多官能モノマー等が挙げられる。
【0100】
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、N―(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸のプロピレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。
【0101】
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0102】
ビニルエステル系モノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
【0103】
アクリルアミド系モノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0104】
共役ジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
【0105】
ビニルケトン系モノマーとしては、メチルビニルケトン等が挙げられる。
【0106】
ハロゲン化ビニル・ハロゲン化ビニリデン系モノマーとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等が挙げられる。
【0107】
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシ(メタ)トリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0108】
前記オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂;ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を、水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}と反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂;前記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂;ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリ(メタ)アクリルアクリレート系樹脂(重合性の反応基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂)等が挙げられる。
【0109】
上記のうち、(メタ)アクリロイル系基を有する、モノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。また、(メタ)アクリロイル系基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、5000以下であることが好ましい。さらに、表面硬化性の向上や、作業性向上のための粘度低減のために、モノマーを用いる場合には、分子量が1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
【0110】
重合性のモノマー及び/又はオリゴマーの使用量としては、表面硬化性の向上、タフネスの付与、粘度低減による作業性の観点から、(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量部(以下、単に部ともいう)に対して、1〜200部が好ましく、5〜100部がより好ましい。
【0111】
絶縁性の向上のために疎水性の主鎖を有するラジカル反応性のオリゴマー類を添加することができる。例えば、ブタジエン骨格を有するジ(メタ)アクリレート(商品名;BAC−45、大阪有機化学工業製)、ビスA骨格を有するウレタンアクリレート、ビスA骨格を有するエポキシアクリレート、ビスA骨格を有するポリエステルアクリレート、それぞれの水素添化品等が挙げられる。
【0112】
本発明の硬化性組成物には、(A)成分と(B)成分と(D)成分のビニル基の重合による硬化反応以外の、硬化反応を併用することができる。硬化反応を併用する利点としては、例えば、本発明の(A)成分と(B)成分と(D)成分を、(C)成分として光ラジカル重合開始剤を用いて硬化させる場合、光が当たらない影部は硬化不良となる。このような場合に、硬化反応を併用することによって、影部を硬化できる。
【0113】
硬化反応を併用する場合、本発明の(A)成分の、(メタ)アクリロイル系基を分子末端に有するビニル系重合体の、分子末端官能基がエポキシ基、アルケニル基、加水分解性シリル基であるビニル系重合体を使用できる。これらの官能基の導入方法について以下に示す。
【0114】
[エポキシ基]
ビニル系重合体へのエポキシ基導入は、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2000−154212公報段落[0039]〜[0056]記載の方法が挙げられる。好ましい例も同段落中に記載されている。
【0115】
[アルケニル基]
得られたビニル系重合体へのヒドロシリル化反応可能なアルケニル基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2004−059783公報段落[0042]〜[0086]記載の方法が挙げられる。さらに、好ましい例も同段落中に記載されている。
【0116】
[加水分解性シリル基]
得られたビニル系重合体への加水分解性シリル基の導入方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、特開2000−191912公報段落[0076]〜[0138]記載の方法が挙げられる。さらに、好ましい例も同段落中に記載されている。
【0117】
末端官能基がエポキシ基、アルケニル基、加水分解性シリル基であるビニル系重合体を使用する場合の、重合開始剤または重合触媒として、以下のものを使用できる。
【0118】
末端官能基がエポキシ基であるビニル系重合体の場合、重合開始剤または重合触媒として、例えば、特開2000−154212公報段落[0059]記載のものが使用できる。
【0119】
末端官能基がアルケニル基であるビニル系重合体の場合、さらにヒドロシリル基含有化合物を併用することが好適で、例えば、特開2004−059783公報[0087]〜[0091]に記載のものが挙げられる。ヒドロシリル化反応を促進するために、ヒドロシリル化触媒を併用することが好ましく、同公報[0092]記載のものが挙げられる。
【0120】
末端官能基が加水分解性シリル基であるビニル系重合体の場合、硬化触媒が好適で、例えば特開2000−191912公報段落[0147]〜[0150]記載のものが挙げられる。
【0121】
<酸化防止剤>
本発明の硬化性組成物には、各種酸化防止剤を必要に応じて用いてもよい。これらの酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0122】
これらのうち、硬化物の変色が少ない点で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(またはジあるいはトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2'−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]o−クレゾール、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0123】
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。耐熱性がより向上する点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が600以上である、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス−[N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンがより好ましい。なお当該分子量は、GC−MS又はLC−MSを用いて測定することができる。
【0124】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用量は、ビニル系重合体(A)および(B)の合計100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では耐熱性の改善効果が少なく、5重量部を超えても効果に大差がなく経済的に不利である。
【0125】
<<硬化性組成物の作製方法>>
本発明の硬化性組成物は、全ての配合成分を予め配合密封した1液型として調製でき、また、開始剤や硬化触媒や架橋剤だけを抜いたA液と、開始剤や硬化触媒や架橋剤を充填材、可塑剤、溶剤等と混合したB液を成形直前に混合する2液型としても調製できる。
【0126】
<<硬化物>>
本発明の硬化物は、上記硬化性組成物を硬化させて得られるものである。
当該硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に限定されない。
【0127】
開始剤成分として熱重合開始剤を併用する場合、その硬化温度は、使用する熱重合開始剤、(A)成分、(B)成分、(D)成分および他の添加成分の種類により異なるが、通常50℃〜250℃が好ましく、70℃〜200℃がより好ましい。
【0128】
硬化は活性エネルギー線源により光又は電子線を照射して、硬化させることができる。活性エネルギー線源としては特に限定はないが、用いる光重合開始剤の性質に応じて、例えば高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー、メタルハライド等が挙げられる。その硬化温度は、100℃以下が好ましく、80℃がより好ましく、50℃以下がさらにより好ましい。100℃以上で硬化する場合、硬化物と基材間の線膨張差のために歪が大きくなる。
その他の開始剤としてレドックス系開始剤を用いる場合、硬化温度は、−50℃〜250℃が好ましく、0℃〜180℃がより好ましい。
【0129】
<<成形方法>>
本発明の硬化性組成物を成形体として用いる場合の成形方法としては、特に限定されず、一般に使用されている各種の成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧縮成形、トランフファー成形、射出成形、押し出し成形、回転成形、中空成形、熱成形等が挙げられる。特に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという点から、ロール成形、カレンダー成形、押出し成形、液状射出成形、射出成形によるものが好ましい。
【0130】
<<用途>>
本発明の硬化性組成物および硬化物は、電極金属に接する電気・電子部品材料に好適であるが、特に限定されず、電線・ケーブル用絶縁被覆材等の電気絶縁材、シール材、接着剤、粘着剤、コンフォーマルコーティング剤、電気電子用ポッティング剤、放熱材、防水材、防振・制振・免振材、フィルム、マリンデッキコーキング、注型材料、または、成形材料に用いられる。
【0131】
電気・電子部品分野では、コーティング、ポッティング、パッキン、Oリング、ベルト等に使用できる。具体的には、高電圧用厚膜抵抗器、ハイブリッドICの回路素子、HIC、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、モジュール、印刷回路、セラミック基板、ダイオード、トランジスタもしくはボンディングワイヤーのバッファー材、半導電体素子、または光通信用オプティカルファイバー等のコーティング材、トランス高圧回路、プリント基板、可変抵抗部付き高電圧用トランス、電気絶縁部品、半導電部品、導電部品、太陽電池またはテレビ用フライバックトランス等のポッティング材、重電部品、弱電部品、太陽電池の裏面封止、電気・電子機器の回路や基板等のシーリング材、照明器具用の飾り類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、クリーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の防滴カバー、ヒータ部パッキン、電極部パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベルト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シール等、燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレインパッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッキン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送油管、ダイアフラム弁、送気管等、音響機器用のスピーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブルシート、ベルト、プーリー等のゴム部品が挙げられる。また、ブラウン管ウェッジ、ネック、電気絶縁部品、半導電部品または導電部品等の接着剤、電線被覆の補修材、電線ジョイント部品の絶縁シール材、OA機器用ロール、インク用ワイパ、振動吸収剤、ゲル等にも使用できる。
【実施例】
【0132】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0133】
また、下記実施例中、「数平均分子量」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804およびK-802.5;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0134】
下記実施例中、「重合体1分子当たりに導入された(メタ)アクリロイル基数」は、1H−NMR分析及びGPCにより求められた数平均分子量より算出した。
(ただし、1H−NMRはBruker社製ASX−400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。)
【0135】
(粘度)
得られたポリマーおよび配合部の粘度は、JIS K 7117−2円すい−平板システムに準拠し、東機産業製E型粘度計を使用し、測定温度23℃で測定した。
【0136】
(絶縁値)絶縁値は、HIOKI社製 型式SM−8213の超絶縁計を使用し、DC100V、30秒後の測定値を絶縁値とした。
【0137】
(電極変色)
通電高温高湿試験後、櫛型基板を目視で観察した。櫛型基板には陽極、陰極、電荷をかけない電極があり、これら電極金属間の変色差がないものを○、電極金属間の変色差があるものを×とした。
【0138】
(機械物性)
JIS K 6251に準じて、硬化物を2mm厚さ、3号ダンベルのサイズに切り出し、引張り速度200mm/分、23℃×55%RH条件下で測定した。引張り試験には、島津製オートグラフ、AG−2000Aを使用した。
【0139】
(通電高温高湿試験)
JIS K 3197の8.5.4項の電圧印加耐湿性試験に準じて、櫛型基板を用いて試験した。櫛型基板の導体は銅、基材はガラスエポキシ(FR4)、導体幅は0.318mm、導体間隔は0.318mm、重ね代は15.75mmとした。櫛型基板に50μm厚さの塗膜を作製した後、導線をハンダ付けした。導線は高温高湿条件で使用できる被覆導線(フッソ樹脂被覆電線、1.2mmΦ、定格600V)を使用した。
恒温恒湿機内に櫛型基板を設置し、導線を恒温恒湿機外へ延ばして常時通電した。所定時間後、櫛型基板は高温高湿のままで、恒温恒湿機外へ延ばした導線末端で絶縁値を測定した。通電高温高湿試験条件はDC50V、85℃85%RH、500時間とした。
【0140】
(紫外線硬化)
フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製、型式 LH6、Hバルブを使用した。紫外線硬化条件は1500mW/cm2、3000mJ/cm2とした。
【0141】
<製造例1 アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の合成>
アクリル酸n−ブチル100部を脱酸素した。反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅0.17部、アクリル酸n−ブチルのうち20部、アセトニトリル4.4部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル3.5部を添加して70℃で混合し、ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)0.010部を添加し、重合反応を開始した。モノマー混合物80部を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加して重合速度を調整し、内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入し、内温を約80℃〜約90℃に保ちながら加熱攪拌した。揮発分を減圧除去して濃縮した。これを酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えてろ過した。ろ液に対して吸着剤(協和化学工業製キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加して加熱撹拌後、濾過してろ液を濃縮した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で加熱攪拌した。揮発分を減圧留去してから酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加してろ過した。ろ液を濃縮し、両末端にアクリロイル基を有する「重合体II」を得た。
「重合体I」の数平均分子量は12,000、分子量分布は1.2、重合体1分子当たりに導入された平均のアクリロイル基数は1.8であった。
【0142】
<製造例2 アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル)の合成)>
アクリル酸n−ブチル2部およびアクリル酸2−エチルヘキシル98部からなるモノマー混合物を脱酸素した。反応容器の内部を脱酸素し、臭化第一銅0.29部、モノマー混合物のうち20部、アセトニトリル8.9部、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル2.5部を添加して80℃で混合し、ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、トリアミンと略す)0.014部を添加し、重合反応を開始した。モノマー混合物80部を逐次添加し、重合反応を進めた。重合途中、適宜トリアミンを追加して重合速度を調整し、内温を約80℃〜約90℃に調整しながら重合を進行させた。モノマー転化率(重合反応率)が約95%以上の時点で反応容器気相部に酸素‐窒素混合ガスを導入し、内温を約80℃〜約90℃に保ちながら加熱攪拌した。揮発分を減圧除去して濃縮した。これを酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を加えてろ過した。ろ液に対して吸着剤(協和化学工業製キョーワード700SEN、キョーワード500SH)を添加して加熱撹拌後、濾過してろ液を濃縮した。これをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、アクリル酸カリウム(末端Br基に対して約2モル当量)、熱安定剤(H−TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−n−オキシル)、吸着剤(キョーワード700SEN)、を添加し、約70℃で加熱攪拌した。揮発分を減圧留去してから酢酸ブチルで希釈し、ろ過助剤を添加してろ過した。ろ液を濃縮し、両末端にアクリロイル基を有する「重合体II」を得た。
「重合体II」の数平均分子量は13500、分子量分布は1.3、重合体1分子当たりに導入された
平均のアクリロイル基数は1.6であった。
【0143】
<実施例1〜9、比較例1〜9、参照例1〜2>
配合方法を説明する。製造例1または2で得た(A)成分の「重合体I」または「重合体II」
に酸化防止剤を添加し、120℃で2時間加熱混合して、酸化防止剤を「重合体I」または「重合体II」に溶かした。50℃以下に冷却してから、(B)成分、(D)成分、(C)成分、その他成分を
添加し、攪拌脱泡装置((株)シンキー製、ARE−250)で均一にした。なお(C)成分は、DAROCUR1173(チバ・ジャパン製)と、IRGACURE819(チバ・ジャパン製)を予め加熱溶解したものを使用した。配合量(「重量部」)を表1〜3に示す。なお表中、(B)成分のライトアクリレートDCP−Aはジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、V#260は1,9−ノナンジオールジアクリレート、(D)成分のISTAはイソステアリルアクリレート、IBXAはイソボルニルアクリレート、FA−513Aはジシクロペンタニルアクリレート、酸化防止剤のナウガード445は4,4'−ビス(α,α'―ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、IRGANOX1010はテトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを示す。
【0144】
次に紫外線硬化方法を説明する。配合物を櫛型基板上に50μm厚さに塗布したものと、型枠に約2mm厚さになるように流し込んだものを用意して、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製、型式 LH6、Hバルブ)で、1500mW/cm2、3000mJ/cm2で硬化した。試験結果を表1〜3に示す。
【0145】
【表1】
【0146】
(A)成分と(B)成分の合計100重量%に対して、(B)成分を25重量%以上、45重量%以下含有する実施例1〜5は、高温高湿試験後の電極金属間の変色が見られなかった。(B)成分が25重量%未満の場合は、高温高湿試験後の電極金属間の変色が見られた。(B)成分を45重量%よりも多く含む場合は、硬質硬化物でありダンベルを切り出せなかった。このような硬質硬化物は塗膜の端が基材から剥れる傾向があった。なお絶縁値のO.R.はオーバーレンジを示す。
【0147】
【表2】
【0148】
また(A)成分と(B)成分と(D)成分の合計100重量%に対して、(B)成分と(D)成分の合計が25重量%以上、65重量%以下、かつ(B)成分が5重量%以上である実施例6〜9は、高温高湿試験後の電極金属間の変色がなかった。また(B)成分のみを使用するよりも高伸びだった。(D)成分のみを使用した場合(比較例6、7)は、高温高湿試験後に電極金属間の変色が見られた。(B)成分と(D)成分の合計が25重量%未満の場合(比較例8)は、高温高湿試験後の電極金属間の変色が見られた。置換基の炭素数が6未満であるアクリル酸ブチルを使用した場合(比較例9)は、高温高湿試験後の電極金属間の変色が見られた。(A)成分を使用せず、(B)成分と(D)成分の合計が65重量%よりも多い場合(比較例10)は、硬質硬化物でありダンベルを切り出せなかった。このような硬質硬化物は塗膜の端が基材から剥れる傾向があった。
【0149】
【表3】
【0150】
表3は、表1の比較例1と実施例3の櫛型基板を85℃、10%RH以下で同様に通電試験した結果である。参照例1および2は何れも電極金属間の変色がなく、湿度が高い場合に、電極変色したものと考えられる。本発明の(B)成分および(D)成分を使用することにより、塗膜の耐吸湿性が向上し、電極変色が改善したと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の硬化性組成物は低粘度、速硬化が可能であり、硬化物はビニル系重合体由来の良好な耐熱性、耐侯性、耐油性、圧縮永久歪、機械物性などを有するとともに、耐吸湿性が改善されるため、耐吸湿性を要求される電気・電子部品材料、電気絶縁材、シール材、接着剤、粘着剤、ポッティング剤、放熱材、防水材、防振・制振・免振材、フィルム、マリンデッキコーキング、注型材料、コーティング材、成形材料等の用途に好適である。