特許第5883428号(P5883428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883428口腔用組成物を得るための組合せ、それらの製造及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883428
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】口腔用組成物を得るための組合せ、それらの製造及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20160301BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160301BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20160301BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/36
   A61K8/73
   A61Q11/00
   A61K31/728
   A61K31/7048
   A61P1/02
   A61P43/00 121
   A61K47/12
   A61K9/08
   A61K9/12
   A61K9/06
   A61P17/00
   A61P17/02
   A61P31/04
【請求項の数】42
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-270823(P2013-270823)
(22)【出願日】2013年12月27日
(62)【分割の表示】特願2009-520055(P2009-520055)の分割
【原出願日】2007年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-74062(P2014-74062A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2013年12月27日
(31)【優先権主張番号】0614353.1
(32)【優先日】2006年7月20日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509020192
【氏名又は名称】オーラルデント・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】509020206
【氏名又は名称】ライサーファーマ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(72)【発明者】
【氏名】リプレイ,イーアン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ハワード
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/071472(WO,A1)
【文献】 特許第5452221(JP,B2)
【文献】 特開2003−055179(JP,A)
【文献】 特開2002−226386(JP,A)
【文献】 特開平10−182390(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00444492(EP,A1)
【文献】 特開平07−187974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/49
A61K 8/36
A61K 8/73
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/12
A61K 31/7048
A61K 31/728
A61K 47/12
A61P 1/02
A61P 17/00
A61P 17/02
A61P 31/04
A61P 43/00
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜8.5のpHを有する組成物であって、
(a)該組成物の全重量に基づき0.1重量%から10重量%未満の原液、ここで、該原液はバイオフラボノイド混合物と果実酸又はその塩とを含んでなる、
(b)ヒアルロン酸ナトリウム、及び
(c)水、及び、任意に
(d)薬学的に許容されるそれらのためのキャリヤ、
を含み、該バイオフラボノイド混合物が未熟なダイダイの果皮の内側の柔組織に由来し、該ヒアルロン酸ナトリウムが800000〜4000000の平均分子量を有する組成物。
【請求項2】
該ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が、1000000〜2000000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該全組成物の重量に基づき0.005〜10重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
0.2〜10重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
0.2〜1重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
0.005〜0.1重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
0.01重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
0.1〜5重量%の該原液を含んでなる、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
0.5又は1重量%の該原液を含んでなる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
該バイオフラボノイド混合物が水溶性である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
該原液が、リンゴ酸塩、クエン酸塩及びアスコルビン酸塩から選ばれた果実酸塩を含んでなる、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
該原液が、塩基との果実酸塩を含んでなる、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
該塩基が、第四級アンモニウム塩基である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
該塩基が、コリン塩基である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
該コリン塩基が、アスコルビン酸コリンである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
果実酸を含まない、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
該原液及び/又は該組成物が、3.5〜8のpHを有する、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
該原液及び/又は該組成物が、4〜7のpHを有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
該原液及び/又は該組成物が、5〜6.5のpHを有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
該バイオフラボノイド混合物が、バイオフラボノイド混合物の重量に基づき40〜60重量%の量でバイオマスを伴う、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
該バイオフラボノイドが、イソクリオサーム(isocriocirm)、イソナリンギン、ナリンギン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ネオジオミン、ナリンゲニン、ポンシリン及びリオフォレンから選ばれる、請求項1〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
該バイオフラボノイドが、ナリンギン及びネオヘスペリジンから選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
該組成物の重量に基づき20〜80重量%の水を含んでなる、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
該組成物の重量に基づき20〜40重量%の水を含んでなる練り歯磨き又は60〜80重量%の水を含んでなる液体組成物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
該組成物の重量に基づき0〜30重量%のアルコールを含んでなる、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
該アルコールがエタノールである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
アルコールを含まない、請求項1〜25のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物であって、5〜6.5のpHを有し、
(a)0.1重量%〜10重量%未満(該組成物の全重量に基づく)の原液、ここで、該原液はバイオフラボノイド混合物と果実酸又はその塩を含んでなり、該バイオフラボノイド混合物が、ナリンギンとネオヘスペリジンとの混合物であって未熟なダイダイの果皮の内側の柔組織から誘導される該混合物を少なくとも75%含んでなる原液、
(b)ヒアルロン酸ナトリウム、及び
(c)20〜80重量%の水、及び、0〜30重量%のアルコール、及び、任意に
(d)それらのための薬学的に許容されるキャリヤ、
を含んでなる組成物。
【請求項29】
成分(d)が、フッ化物添加剤(fluoridating agents)、風味料、甘味料、着色剤及び防腐剤;歯石予防剤及び抗菌剤;湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、ゴム、結合剤及び研磨剤;並びに、膜形成剤から選ばれる、請求項1〜28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
局所用組成物である、請求項1〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
ペースト、クリーム、軟膏、ゲル又は液体の形態である、請求項1〜30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
成分(a)、(b)、(c)及び/又は(d)を均質な物理的混合物にすることを含んでなる、請求項1〜31のいずれかに記載の組成物を製造する方法。
【請求項33】
口腔内の微生物感染症を治療するための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項34】
口腔内の微生物感染症が細菌感染症である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記医薬品が、粘膜炎、アフター性潰瘍、扁平苔癬、口腔カンジダ症、歯肉炎、歯周炎又は歯槽骨炎を治療するためのものである、請求項33に記載の使用。
【請求項36】
前記医薬品が、機械的原因に起因する歯肉組織の炎症性徴候により特徴づけられる歯肉疾患を治療するための、及び、幼少期の歯牙発生段階のためのものである、請求項33に記載の使用。
【請求項37】
機械的原因に起因する歯肉組織の炎症性徴候により特徴づけられる歯肉疾患が、固定性若しくは可動性補綴物又は外科手術に起因するものである、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
歯肉組織の炎症性徴候により特徴づけられる歯肉疾患が炎症である、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
歯肉組織の炎症性徴候により特徴づけられる歯肉疾患が、歯肉炎又は口内炎である、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
感染した若しくは感染する恐れのある及び/又は炎症を起こしている皮膚を治療するための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項41】
感染及び/又は炎症が、アクネ、火傷及び/又は創傷である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
該微生物感染症が、アクチノマイセス・オドントリティカス(Actinomyces odontolyticusアクチノマイセス・ビスコーズス(Actinomyces viscosusポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalisプレボテラ・インテルメディア(Prevotella intermediaプレボテラ・ブカエ(Prevotella buccaeプレボテラ・デンタリス(Prevotella dentalisストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordoniiストレプトコッカス・サングイニス(Streptococcus sanguinisストレプトコッカス・オラーリス(S oralisストレプトコッカス・ソブリヌス(S sobrinusストレプトコッカス・ミュータンス(S mutans)、ストレプトコッカス・インターメディウス(S intermedius)ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ユウバクテリウム・ノダツム(Eubacterium nodatumアクチノマイセス・イスラエリー(Actinomyces israeliiアクチノマイセス・ネスランディ(Actinomyces naeslundiiカンジダ・アルビカンス(C albicans及びカンジダ・トロピカリス(C tropicalisから選ばれる一つに起因する、請求項33〜41のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム、ゲル、練り歯磨き、うがい薬又は口内洗浄剤のような組成物の製造において使用される高分子量ヒアルロン酸のナトリウム塩を含んでなるフラボノイド含有組成物に関する。とりわけ、それは、高分子量ヒアルロン酸のナトリウム塩と組み合わされて抗菌性バイオフラボノイド原液を含んでなる組成物、好ましくは口腔用組成物、それらの製造、及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗微生物活性、とりわけ抗菌活性、特に抗ウイルス活性を有するフラボノイド類を含んでなる一定の組成物は知られている。しかし、用語「フラボノイド」には、様々な天然供給源から抽出されることによって入手可能な多種多様な異なる化合物が包含される。その供給源と抽出の種類又は方法との両方に依存して、得られるフラボノイド混合物の全体的な化学組成はそれ自体大きく異なることがある。個々のフラボノイド類は、ウイルス及び細菌のような微生物に対する毒性と有効性との両方の点から、それらの生物活性(又は生物不活性)に大きなばらつきがあることがある。したがって、そのようなフラボノイド類は、組み合わされると、それらの生物活性が大きく異なることもある。
【0003】
フラボノイド組成物に他の作用物質を添加することによって、一定の組合せのフラボノイド類の生物活性に相乗作用を与えるか、その生物活性を向上させるか、又は促進することが可能であることが見出された。従って、一定の微生物に対する所期の有効性を有するものの、使用において毒性又は他の不利な作用を伴わない、他の作用物質との又はそれなしのフラボノイド類の適切な組合せを見出すことに多くの努力が向けられてきた。そのような組合せの一例は、バイオフラボノイド類として知られているオレンジ抽出物とビタミンCのような天然果実酸との組合せであって、E. coli及びSalmonellaのような食品関連微生物を殺すために養鶏業において使用されている組合せの中に見出すことができる。
【0004】
しかし、本発明まで、口腔用途のようなパーソナル衛生のための配合物にオレンジム由来バイオフラボノイド/果実酸の組合せを使用することは提案されてこなかった。とりわけ、既知の組合せは、口腔用途としては過度に酸性であるようである。更に、フラボノイド類を練り歯磨き及びうがい薬のような組成物に使用することは提案されてきたが、これらの組成物は、それらのフラボノイド成分に関して特定されてこなかったか、及び/又は、特定のフラボノイド類に限定されてきた。例えば、WO02/47615には、感覚器官が感知し得るのに適したキャリヤとそのキャリヤ中に分散されるテルペノイド及び/又はフラボノイドとを含んでなる口腔用組成物が開示されており;DE19949575には、歯科障害を治療し虫歯を予防するためのフッ化物とフラボノイドとの組合せが開示されており;また、JP62051613は、フラボノール、クリシン、ヘスペレチン及びヘスペリジンから選ばれた1種類以上のフラボノイド化合物0.001〜0.1重量%を含有する歯磨剤組成物に関する。従来技術の配合物はいずれも、バイオフラボノイド組成物(それ自体、複数種類の水溶性フラボノイド成分の特定の組合せを含有する)の1種類以上の水溶性果実酸との組合せであって、溶液剤としての経口投与に適した量及び形態であり且つ抗菌活性を有する組合せを開示していない。
【0005】
ヒアルロン酸は、厳密に生化学的な観点と生理学的な観点との両方から、結合組織の基礎物質(fundamental matter)の最も重要な硫化ムコ多糖類の酸である。ヒトにおいて、ヒアルロン酸は、結合組織の中だけでなく、硝子体液、水様液等の重要な生体液の中、及び臍帯の中にも存在している。それは、毒性が実質的にゼロであり、ヒトに対する特定の禁忌は知られていない。
【0006】
天然物質の他の諸成分の場合のように、ヒアルロン酸は、関連する天然物質からの抽出によって得ることができる。例えば、それは、ニワトリとさかから抽出されても、バイオ技術によって生成されてもよい。ヒアルロン酸は、非常に広い範囲の分子量を有し、それは、使用されるプロセスに依存して、30000から15000000より大きい値まで変動する。前記酸は、ヒト治療と美容処置との両方において、ここしばらくの間、それのナトリウム塩の形態で使用されてきた。
【0007】
この点において、ヒアルロン酸の外用は、結合組織をいたわることに対する有益な効果を有し、加えて、それは、ヒアルロニダーゼ産生細菌によって誘発される炎症過程に対峙し;それは、炎症性成分の分解を促進し、異常毛細血管透過性を低減し、組織修復過程を促進し;しかも、それは、その分子構造に遊離水を代謝的に結合させることにより抗浮腫作用を行う。ヒアルロン酸のための治療指標は、非常に多く、表皮剥離性皮膚病(abrasive-excoriative dermatopathies)、動脈硬化性血管障害に由来する潰瘍、静脈瘤性潰瘍、瘢痕化遅延(cicatrization delays)及び外科的切除を包含する。
【0008】
EP0444492A1から、800000〜4000000の間、好ましくは1000000〜2000000の分子量によって特徴付けられるナトリウム塩形態のヒアルロン酸が、口腔の炎症性感染の治療及び予防における局所投与のための、並びに、口腔の美容処置及び衛生のための、医薬組成物の製造において、有効成分として使用されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO02/47615
【特許文献2】DE19949575
【特許文献3】JP62051613
【特許文献4】EP0444492A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ヒアルロン酸と、クロルヘキシジン等の他の抗菌性物質とを含んでなる配合物、とりわけ口腔用配合物を製造するための試みは、得られる配合物が不安定で失敗に終わった。幾つかの組合せでは、その配合物を製造するのにアルコールを使用する必要があるが、それは一般に望ましくない。ナトリウム塩形態のヒアルロン酸のバイオフラボノイド類との組合せが、局所用途のため、好ましくは口腔用途のために配合され得、その組成物はアルコールを必要としない、ことが今回見出だされた。
【0011】
特定のいかなる理論にも拘束されることを望む訳ではないが、フラボノイド混合物は、ヒアルロン酸のための最適環境を作り出しながら細菌及びウイルスを殺して、粘膜組織及び他の炎症性組織の治癒速度を改善し且つ加速するものと思われる。好都合なことに、成分は全て天然由来であり、しかも、それら製造物には、刺激性化学物質も合成化学物質も使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、3〜8.5、好ましくは3.5〜8、好ましくは4〜7、より好ましくは5〜6.5のpHを有する組成物であって、
(a)該組成物の全重量に基づき、0.1重量%から10重量%未満のバイオフラボノイド類と果実酸又はその塩との混合物を含んでなる原液、
(b)ヒアルロン酸ナトリウム、及び
(c)水、及び、任意に
(d)薬学的に許容されるそれらのためのキャリヤ
を含んでなり、該ヒアルロン酸ナトリウムが800000〜4000000の平均分子量を有し;該組成物はそれ自体で、投与、好ましくは経口投与に適する薬学的に許容されるか又は薬理学的に許容される他の成分を含んでなることができる組成物、を提供する。
【0013】
好ましくは、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は、800000〜4000000の間、最も好ましくは1000000〜2000000の間、例えば、1500000である。本発明の組成物は、概して、ヒアルロン酸ナトリウムを、組成物の全重量に基づき0.005重量%〜10重量%含有する。
【0014】
治療用途のための本発明による組成物は、ヒアルロン酸ナトリウムを、その組成物の全重量に基づき、0.2〜10重量%、好ましくは0.2〜1重量%、例えば、0.4重量%、0.6重量%又は0.8重量%含有する。
【0015】
口腔の予防的用途、美容的用途及び衛生学的用途のための本発明による組成物は、ヒアルロン酸ナトリウムを、その口腔用組成物の全重量に基づき、0.005〜0.1重量%、例えば0.01重量%、0.02重量%、0.05重量%又は0.08重量%含有し、最も好ましくは、ヒアルロン酸ナトリウムを0.01重量%含有する。
【0016】
好ましくは、本組成物は、前記原液を0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲で、例えば約1重量%含んでなることが好ましい。本組成物は、水を20〜80重量%の範囲で含んでなることが適切であり、練り歯磨きの場合はその範囲の下端付近であり、また、うがい薬/リンス剤/スプレー剤のような液体組成物に対しては上端付近である。例えば、とりわけ、成分(d)にシリカが含有される場合は、ペーストは、水を20〜45重量%、例えば20〜30重量%の範囲で含んでなることができ、また、液体配合物は、水を60〜80重量%(全て、本組成物の全重量に基づく重量)の範囲で含んでなることができる。
(1) 3〜8.5のpHを有する組成物であって:
(a)該組成物の全重量に基づき0.1重量%から10重量%未満の、バイオフラボノイドと果実酸又はその塩との混合物、を含んでなる原液、
(b)ヒアルロン酸ナトリウム、及び
(c)水、及び、任意に
(d)薬学的に許容されるそれらのためのキャリヤ
を含んでなり、該ヒアルロン酸ナトリウムが800000〜4000000の平均分子量を有する組成物。
(2) (1)に記載の組成物であって、該ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が、1000000〜2000000である組成物。
(3) (1)又は(2)に記載の組成物であって、該全組成物の重量に基づき0.005〜10重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる組成物。
(4) (3)に記載の組成物であって、0.2〜10重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる組成物。
(5) (4)に記載の組成物であって、0.2〜1重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる組成物。
(6) (3)に記載の組成物であって、0.005〜0.1重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる組成物。
(7) (6)に記載の組成物であって、0.01重量%のヒアルロン酸ナトリウムを含んでなる組成物。
(8) (1)〜(7)のいずれか1項に記載の組成物であって、該バイオフラボノイド混合物が未熟なダイダイの果皮の内側の柔組織に由来する組成物。
(9) (1〜(8のいずれか1項に記載の組成物であって、0.5又は1重量%のような、0.1〜5重量%の該原液を含んでなる組成物。
(10) (1)〜(9)のいずれか1項に記載の組成物であって、該バイオフラボノイド混合物が水溶性である組成物。
(11) (1)〜(10)のいずれか1項に記載の組成物であって、該原液が、リンゴ酸塩、クエン酸塩及びアスコルビン酸塩から選ばれた果実酸塩を含んでなる組成物。
(12) (1)〜(11)のいずれか1項に記載の組成物であって、該原液が、第四級アンモニウム塩基のような塩基との果実酸塩を含んでなる組成物。
(13) (12)に記載の組成物であって、該塩基が、アスコルビン酸コリンのようなコリン塩基である組成物。
(14) (1)〜(13)のいずれか1項に記載の組成物であって、果実酸を実質的に含まない組成物。
(15) (1)〜(14)のいずれか1項に記載の組成物であって、該原液及び/又は該組成物が、3.5〜8のpHを有する組成物。
(16) (15)に記載の組成物であって、該原液及び/又は該組成物が、4〜7のpHを有する組成物。
(17) (16)に記載の組成物であって、該原液及び/又は該組成物が、5〜6.5のpHを有する組成物。
(18) (1)〜(17)のいずれか1項に記載の組成物であって、該バイオフラボノイド混合物が、バイオフラボノイド混合物の重量に基づき40〜60重量%のような量でバイオマスを伴う組成物。
(19) (1)〜(18)のいずれか1項に記載の組成物であって、該バイオフラボノイドが、イソクリオサーム(isocriocirm)、イソナリンギン、ナランギン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ネオジオミン、ナリンゲニン、ポンシリン及びリオフォレンから、例えば、ナランギン及びネオヘスペリジンから選ばれる組成物。
(20) (1)〜(19)のいずれか1項に記載の組成物であって、20〜40重量%の水を含んでなる練り歯磨き、又は60〜80重量%の水を含んでなる液体組成物のような、該組成物の重量に基づき20〜80重量%の水を含んでなる組成物。
(21) (1)〜(20)のいずれか1項に記載の組成物であって、該組成物の重量に基づき0〜30重量%のアルコールを含んでなる組成物。
(22) (21)に記載の組成物であって、該アルコールがエタノールである組成物。
(23) (1)〜(21)のいずれか1項に記載の組成物であって、実質的にアルコールを含まない組成物。
(24) (1)〜(7)のいずれか1項に記載の組成物であって、5〜6.5のpHを有し、
(a)0.1重量%〜10重量%未満(該組成物の全重量に基づく)の、バイオフラボノイドと果実酸又はその塩との混合物を含んでなる原液であって、該バイオフラボノイド混合物が、少なくとも75%のナランギンとネオヘスペリジンとの混合物であって、未熟なダイダイの果皮の内側の柔組織から誘導される混合物を含んでなる原液、
(b)ヒアルロン酸ナトリウム、及び
(c)20〜80重量%の水、及び、0〜30重量%のアルコール、及び、任意に
(d)それらのための薬学的に許容されるキャリヤ
を含んでなる組成物。
(25) (1)〜(24)のいずれか1項に記載の組成物であって、該成分(d)が、フッ化物添加剤(fluoridating agents)、風味料、甘味料、着色剤及び防腐剤;歯石予防剤及び抗菌剤;湿潤剤、界面活性剤、増粘剤、ゴム、結合剤及び研磨剤;並びに、膜形成剤から選ばれる組成物。
(26) (1)〜(25)のいずれか1項に記載の組成物であって、局所用組成物である組成物。
(27) (1)〜(26)のいずれか1項に記載の組成物であって、口腔用組成物である組成物。
(28) (1)〜(27)のいずれか1項に記載の組成物であって、ペースト、クリーム、軟膏、ゲル又は液体の形態である組成物。
(29) (28)に記載の口腔用組成物であって、練り歯磨き、マウススプレー、口腔洗浄剤又はうがい薬の形態である口腔用組成物。
(30) (27)〜(29)のいずれか1項に記載の口腔用組成物であって、口腔内の細菌感染症のような微生物感染症、若しくは他の歯周疾患の影響を治療するか、予防するか又は改善するのに適しているか;口腔から歯苔を掃除するか、消毒するか若しくは除去するのに適しているか;口腔内の臭気若しくは味を清新にするか、新鮮にするか、除去するか又は改善するのに適しているか;又は、口腔の衛生、外観及び感触を手当するのに適している口腔用組成物。
(31) (1)〜(30)のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって、成分(a)、(b)、(c)及び/又は(d)を均質な物理的混合物にすることを含んでなる製造方法。
(32) (1)〜(29)のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、口腔内の微生物感染症、特に細菌感染症を治療するための医薬品の製造における使用。
(33) (32)に記載の使用であって、粘膜炎、アフター性潰瘍、扁平苔癬、口腔カンジダ症、歯肉炎、歯周炎又は歯槽骨炎を治療するための使用方法。
(34) (32)に記載の使用であって、固定性若しくは可動性補綴物又は外科手術のような機械的原因に起因する歯肉炎、口内炎などの、歯肉組織の炎症性徴候により特徴づけられる歯肉疾患を治療するための、及び、幼少期の歯牙発生段階のための使用。
(35) (1)〜(29)のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、アクネ、火傷及び創傷のような、感染した若しくは感染する恐れのある及び/又は炎症を起こしている皮膚を治療するための医薬品の製造における使用。
(36) (32)〜(35)のいずれか1項に記載の使用であって、該微生物感染症が、Actinomyces odontolyticus、Actinomyces viscosus、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Prevotella buccae、Prevotella dentalis、Streptococcus gordonii、Streptococcus sanguinis、S oralis、S sobrinus、S mutans、S intermedins、Lactobacillus acidophilus、Eubacterium nodatum、Actinomyces israelii、Actinomyces naeslundii、C albicans及びC tropicalisから選ばれる使用方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
とりわけ好ましいのは、前記原液が、クエン酸、リンゴ酸及びアスコルビン酸のような果実酸と組み合わされた水溶性バイオフラボノイドから製造され得る場合である。それらの酸の1種類以上は、好ましくは、第四級アンモニウム塩基、例えば、炭酸コリン、重炭酸コリン、又は好ましくは水酸化コリンのようなコリン塩基のような適切な塩基、で中和されてもよい。より好ましくは、クエン酸、リンゴ酸及びアスコルビン酸の全てが本組成物の製造に使用され、特に好ましくは、これらが完全に中和されて、クエン酸塩、リンゴ酸塩及び/又はアスコルビン酸塩が与えられる場合である。とりわけ好ましいのは、アスコルビン酸コリンである。したがって、前記原液は、実質的に果実酸を含有せず、それによりそのpHがほぼ中性であることが意味されるのが好ましい。その原液のための例示的pH範囲は、3〜8.5、3.5〜8.5、3.5〜8、4〜8、4〜7.5、4.5〜7.5、4.5〜7、5〜6.5、5.5〜6.5、及び5.5〜6であり、そのpHは、例えば、約5、約5.5、約6、約6.5又は約7である。
【0018】
特定のいかなる理論にも拘束されることを望む訳ではないが、本発明者らは、それら果実酸は、硬水へのキレート効果を有するだけでなく、活性剤、例えばバイオフラボノイド類及びアスコルビン酸コリン、の生物活性に相乗作用も与えるものと考える。したがって、好ましい原液は、水溶性バイオフラボノイド類及びアスコルビン酸コリン(コリン塩基(例えば水酸化物)とアスコルビン酸として存在するか又はそれら自体の塩として存在する)を含んでなる。
【0019】
原液は、好ましくは更に、無毒の溶媒、例えば、水混和性溶媒又は親水性溶媒、を含んでなり、より好ましくは、水及び水混和性共溶媒(例えば、グリセリン、多価アルコール等)を含んでなる。とりわけ好ましいのは、溶媒が、水/グリセリンの混合物を、好ましくは2:1〜1:2(水:共溶媒)の比で含んでなる場合である。より好ましくは、成分(c)及び(d)(残部は、水、共溶媒及び賦形剤、及び/又はキャリヤを含んでなる)は、アルコール、特にエタノールを含まない。
【0020】
したがって、原液は、好ましくは、下表のものから製造される。
【0021】
【表1】
【0022】
したがって、本発明の組成物は、好ましくは(該組成物の重量に基づき)、下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.0002〜1.5重量%のバイオフラボノイド類〔好ましくは、別の0.00024〜1.83重量%を構成するバイオマスが除かれる〕、
(ii) 0.001〜2.0重量%のクエン酸、
(iii) 0.001〜2.0重量%のリンゴ酸、
(iv) 0.001〜2.0重量%のアスコルビン酸、
(v) 0.00045〜2.03重量%のコリン塩基、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0023】
より好ましくは、本発明の組成物は、(その組成物の重量に基づき)下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.00045〜0.9重量%のバイオフラボノイド類〔好ましくは、別の0.00055〜1.1重量%を構成するバイオマスが除かれる〕、
(ii) 0.001〜2.0重量%のクエン酸、
(iii) 0.001〜2.0重量%のリンゴ酸、
(iv) 0.001〜2.0重量%のアスコルビン酸、
(v) 0.00045〜2.03重量%のコリン塩基、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0024】
本発明の原液は、より好ましくは、上記の表に与えられるパーセンテージから製造可能であるので、本発明のより好ましい組成物は、下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.000675〜0.675重量%のバイオフラボノイド類〔バイオマスは除かれる〕、
(ii) 0.015〜1.5重量%のクエン酸、
(iii) 0.015〜1.5重量%のリンゴ酸、
(iv) 0.005〜0.5重量%のアスコルビン酸、
(v) 0.015〜0.9重量%のコリン塩基、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0025】
本発明の好ましい組成物は、原液を1重量%のオーダーで含んでなるので、一態様においては、本発明の好ましい組成物は、下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.0675重量%のオーダーのバイオフラボノイド類〔バイオマスは除かれる〕、
(ii) 0.15重量%のオーダーのクエン酸、
(iii) 0.15重量%のオーダーのリンゴ酸、
(iv) 0.05重量%のオーダーのアスコルビン酸、
(v) 0.09重量%のオーダーのコリン塩基、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0026】
別の態様において、本発明の最も好ましい組成物は、下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.01485重量%のオーダーのバイオフラボノイド類〔バイオマスは除かれる〕、
(ii) 0.045重量%のオーダーのクエン酸、
(iii) 0.045重量%のオーダーのリンゴ酸、
(iv) 0.015重量%のオーダーのアスコルビン酸、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0027】
別の態様において、本発明の最も好ましい組成物は、下記の成分から製造可能である:
(a)(i) 0.01485重量%のオーダーのバイオフラボノイド類〔バイオマスは除かれる〕、
(ii) 0.045重量%のオーダーのクエン酸、
(iii) 0.045重量%のオーダーのリンゴ酸、
(iv) 0.06重量%のオーダーのアスコルビン酸コリン、及び
(b)、(c)及び(d)水、共溶媒、及び賦形剤及び/又はキャリヤを含んでなる残部。
【0028】
好ましくは、本発明の組成物は、局所用組成物である。本明細書で言及される組成物は全て、好ましくは、局所投与のために適切な形態である。
【0029】
より好ましくは、本発明の組成物は、口腔用組成物である。本明細書で言及される組成物は全て、より好ましくは、経口投与のために適切な形態である。
【0030】
本原液は、当業者に知られている方法によって製造される。好ましくは、共溶媒は、周囲温度で水と混合され、次いで、アスコルビン酸のような中和工程で必要とされる酸は、高温でその溶媒と一緒に混合され、その温度は、諸成分のいずれもが分解されないように十分に低く維持される。約55℃よりも高い温度で熱分解するアスコルビン酸の場合、その温度は、約25℃から55℃未満の範囲に、好ましくは約50℃に維持される。好ましくは、その中和は、ブレンド物中のアスコルビン酸への水酸化コリンの添加(pH=1.2で出発して、pH=5.5〜6.0で終わる)を包含するか、又はアスコルビン酸コリン(即ち、アスコルビン酸は既に中和されている)自体が添加され得る。
【0031】
次いで、残りの諸酸(好ましくは、クエン酸及びリンゴ酸)が添加され、次いで、バイオフラボノイド類が添加され、約2.0〜6.5の範囲であるが、典型的には2.2〜3.5の範囲、特に2.3〜3.0の範囲であるpHを有する溶液が得られる。中和されていない残りの酸も、例えば、水酸化コリンによって実質的に中和され、例えば、5〜8.5、好ましくは5.5〜7、より好ましくは5.5〜6.5のpHを有する実質的に中性の溶液が得られる。
【0032】
バイオフラボノイドを含んでなる従来技術の配合物の抗菌効果は、ウイルス性ニューロアミダーゼ(neuroamidase)を阻害することによるような、微生物の細胞質膜の中への必須アミノ酸の取込みのバイオフラボノイドによる阻害に依る。しかし、本発明の配合物は、選定された可溶性バイオフラボノイドのアスコルビン酸コリンとの組合せが、微生物の被包化、フラボノン及びグルコシド成分の独立断片への破壊、及びそれらフラボノン断片とアスコルビン酸コリンによるその後の微生物の奪活をもいたらすので効果があるものと考えられる。
【0033】
好ましくは、本バイオフラボノイド混合物は、抽出工程から生じるバイオマスと一緒に水溶性バイオフラボノイド類を含んでなり、従って、本バイオフラボノイド混合物は、(本バイオフラボノイド混合物の重量に基づき)40〜60重量%までの、好ましくは約55重量%のバイオマスを伴ってもよい。バイオフラボノイド類は、好ましくは、グルコシド、特に、イソクリオサーム(isocriocirm)、イソナリンギン(isonaringin)、ナリンギン(naringin)、ヘスペリジン(hesperidin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ネオジオミン(neodiomin)、ナリンゲニン(naringenin)、ポンシリン(poncirin)及びリオフォレン(rhiofolen)から選ばれるものであり、より好ましくは、これらの各々は混合物中に存在する。特に好ましいのは、バイオフラボノイド混合物の大部分が、ナリンギン及びネオヘスペリジンを含んでなる場合、例えば、これらがバイオフラボノイド成分(バイオマスを除く)を75%を超えて含んでなるような場合である。適する場合には、他のバイオフラボノイド類(フラボノール、クリシン、ヘスペレチンなど)がそのバイオフラボノイド混合物に実質的に存在せず、従って、そのバイオフラボノイド成分が、上に列挙した水溶性バイオフラボノイド類から本質的に成る。とは言え、微量の他のバイオフラボノイド類が存在してもよい。特に好ましいのは、水溶性バイオフラボノイド類が(全バイオフラボノイド成分中のバイオフラボノイドの重量に基づき)次のパーセンテージの成分を含んでなる場合である。
【0034】
【表2】
【0035】
そのような水溶性バイオフラボノイド混合物の適する供給源は、本明細書において「HPLC45」と言われ、その(HPLC45の全組成の)約45%は、そのようなバイオフラボノイド類を含んでなり、残部(約55%)が、ペクチン、糖及び微量の有機酸のようなバイオマスを含んでなる。前述のように、特に好ましいのは、バイオフラボノイド混合物の大部分が、ナリンギン及びネオヘスペリジンを含んでなる場合であり、例えば、これらが、HPLC45のようなバイオマスとの混合物中にバイオフラボノイド成分を35%を超えて含んでなるような場合である。したがって、HPLC45の全組成の重量によって、次のバイオフラボノイド類が好ましくは存在する。
【0036】
【表3】
【0037】
HPLC45は、Exquim(Grupo Ferrerの食品部門)からCitrus Bioflavonoid Complex45%HPLCとして入手可能である。それは、それからの種子、果肉及び油性外皮が実質的に除去されているか又は未成熟のままであるところの「食べれない」として分類されるSevilleオレンジのような未熟な(血液色/赤色)ダイダイの果皮の内側の柔組織から構成される出発原料から誘導される。この出発原料は、水、又は、水/アルコール混合液、好ましくは水/エタノールのような親水性イオン性溶媒の中で、約1:10〜20(溶媒:出発原料)の比で破砕される。得られる混合物は、濾過されて、保持される水溶性バイオマスと捨てられる不溶性バイオマスが残る。水溶性バイオマスは、次いで、微細濾過され、その後、それはフラッシュ蒸留されて、茶色の吸湿性粉末(HPLC45)が残る。
【0038】
好ましくは、本発明の組成物で使用されるバイオフラボノイド混合物は、水溶性グルコシドを含んでなることによって、特に、非水溶性フラボノイド類を含んでなるところの、グレープフルーツ若しくは他の柑橘系フルーツ又は他の植物源から得られる混合物から、より好ましくは、特に非水溶性フラボノイド類を含んでなるところの、かなりの量の種子、果皮の内側の柔組織及び/又は果肉が出発原料中に含まれている場合に得られる混合物から区別可能である。更に、従来技術のより成長/成熟した出発原料は、病虫害防除剤及び/又は化学肥料用基剤に曝されてきた可能性が高く、したがって、本来、本発明の溶液のバイオフラボノイド混合物より、あまり「オーガニック」又は純粋でない。
【0039】
好ましくは、本原液は、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3〜15重量%、例えば、3重量%、4重量%又は15重量%、最も好ましくは3.3重量%のHPLC45を含んでなる。したがって、本原液は、好ましくは、0.45〜9重量%、好ましくは0.9〜6.75重量%、より好ましくは1.35〜6.75重量%、例えば、1.35重量%、1.8重量%又は6.75重量%、最も好ましくは1.485重量%のバイオフラボノイド混合物を含んでなる。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物は、とりわけ、水、原液を除く他の成分が存在しないときは、約3〜約8.5のpHを有し、より好ましくは約4〜約7.5の、例えば、約5〜7のpHを有し、特に好ましいのは、pHが約5.5〜6.5である場合である。したがって、最も好ましくは、本組成物は、果実酸からののような水素イオンを実質的に含まない;したがって、原液及び/又は組成物を製造するのに使用される果実酸は、好ましくは、前述のように、原液に塩基を添加することによって実質的に中和されている。一方、本組成物が緩衝剤をも含んでなる場合、原液のpHは、緩衝剤がこれらの範囲内のpHを有する組成物を提供するのに有効な量で存在するという条件で、これら範囲外で変動することができる
したがって、本発明の組成物の成分(d)は、緩衝剤〔例えば、アルカリ金属水酸化物若しくは水酸化アンモニウム、又は一塩基性リン酸塩、二塩基性リン酸塩若しくは三塩基性リン酸塩(例えば、三アルカリ金属リン酸塩)〕を含有して、最終組成物のpHを調整するか又は調節することができる。水酸化物の量は、二塩基性リン酸塩の量に比べて、測定がより困難であるので、一塩基性リン酸塩及び二塩基性リン酸塩を使用することが好ましい。別の代替法は、リン酸と二塩基性リン酸塩又は三塩基性リン酸塩(例えば、三アルカリ金属リン酸塩)との組合せを使用することである。これらのリン酸塩は、それらのナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩の形態で組み入れられることが好ましく、ナトリウム塩を使用することがより好ましい。しかし、ナトリウムイオンの血圧上昇効果が憂慮される場合は、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム又はリン酸三カリウムを使用することができる。緩衝剤がリン酸二ナトリウムである場合、それは、例えば、本組成物の約5重量%以下で、好ましくは0〜0.5重量%の範囲で、例えば、約0.05重量%で存在することができる。
【0041】
別の任意的成分である成分(d)は、フッ化物の源、例えば、フッ化ナトリウム又はモノフルオロリン酸ナトリウムを、本発明の組成物の約0.5重量%以下で含有することができる。フッ化物の源は、本組成物が液体である場合、0〜0.15重量%の範囲、例えば約0.05重量%であることが好ましいが、練り歯磨きの場合、より多く、0〜0.3重量%の範囲、例えば約0.24重量%であることが適当であり、又は(フッ化物イオンとして)0〜1500ppmの範囲であることが適当である。
【0042】
本発明の組成物に、香料添加剤、甘味剤、着色剤又は防腐剤のような他の添加剤が存在してもよい。ハッカ(例えば、ペパーミント又はスペアミント由来のハッカ)、シナモン、ユーカリプタス、シトリス(citrus)、カッシア(cassia)、アニス及びメントールは、適切な香料添加剤の例である。香料添加剤は、口腔用組成物中に0〜3重量%の量で存在することが好ましく;本組成物が液体である場合、好ましくは2重量%以下、例えば0.5重量%以下、好ましくは約0.2重量%の量で存在することが好ましいが;練り歯磨きの場合、任意的により多く、好ましくは0.5〜2重量%の範囲、より好ましくは約1重量%の量で存在することが好ましい。甘味料には、サッカリンナトリウムのような人工甘味剤又は天然甘味剤が包含され、それらは、口腔用組成物の0〜2重量%の範囲、好ましくは1重量%以下、例えば0.05〜0.3重量%の量で存在することができる。着色剤は、二酸化チタン若しくはCI42090のような適切な天然着色剤又は合成着色剤、又はそれらの混合物である。着色剤は、本組成物中に0〜3重量%の量で存在することが好ましく;本組成物が液体である場合、好ましくは0.1重量%以下、例えば0.05重量%以下、好ましくは約0.005〜0.0005重量%の量で存在することが好ましいが;練り歯磨きの場合、任意的により多く、好ましくは1重量%以下、より好ましくは約0.5重量%の量で存在することが好ましい。通常の防腐剤のうち安息香酸ナトリウムは、本組成物のpHを変えるためには実質的に不十分である濃度が好ましい。別の方法では、望ましいpHに到達するように、緩衝剤の量を調節する必要があることがある。
【0043】
成分(d)の他の任意的成分には、歯石予防剤及び/又は抗菌剤のような他の活性剤が包含されることがある。適切な活性剤には、臭化ドミフェンのような第四級アンモニウム化合物、塩化セチルピリジニウム(CPC)、フェノール化合物、エタノール、及び上述の防腐剤が包含される。そのような活性剤は、0〜4重量%の量で存在することができるが、エタノールの場合、70%以下、例えば30%以下の量であってもよい。例えば、CPC等は、とりわけ、本発明の組成物が液体である場合、2重量%以下で、例えば約0.05重量%で存在することが好ましい。エタノールは、本発明の組成物が液体である場合、70重量%も、好ましくは0〜30重量%で含有されてもよく、例えば、マウススプレーでは約15重量%で含有されてもよいが、好ましい組成物、とりわけ口腔用組成物は、エタノールも他の如何なるアルコールも実質的に存在しない組成物である。
【0044】
成分(d)の他の任意的成分には、湿潤剤、界面活性剤(非イオン性、カチオン性又は両性)、増粘剤、ガム及び結合剤が包含されることがある。適切な湿潤剤には、グリセリン、キシリトール、グリセロール、及びプロピレングリコール等のグリコールが包含されることがあり、それらは、それぞれ50重量%以下の量で存在することができるが、全湿潤剤は、本組成物の約60〜80重量%以下であることが好ましい。例えば、本組成物が液体である場合、グリセリン約30重量%以下に加えて、キシリトール約5重量%以下、好ましくは約2重量%を含有することができる。界面活性剤は、アニオン性でないことが好ましく、ポリソルベート又はコカミドプロピルベタイン等を本組成物の約6重量%以下、好ましくは約1.5〜3重量%の量で含有することができる。
【0045】
本発明の口腔用組成物がマウススプレーの形態である場合、それは、膜形成剤を、その口腔用組成物の約3重量%以下で、例えば、その口腔用組成物の0〜0.1重量%の範囲で、好ましくは0.001〜0.01重量%の範囲で、例えば約0.005重量%含有することが好ましい。適切な膜形成剤には、(ヒアルロン酸ナトリウムの他に)商品名「ガントレッズ(Gantrez)」で販売されているものが包含される。
【0046】
本発明の口腔用組成物が練り歯磨きの形態である場合、ガム、結合剤及び/又は増粘剤、例えば、コロイドシリカ、カラゲナン、及び、カルボキシルメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、を含有することが好ましい。そのような成分は、本口腔用組成物の約3重量%以下の量で、例えば、本口腔用組成物の約2重量%以下、好ましくは約0.5〜1重量%の量で存在することができる。
【0047】
本発明の練り歯磨き組成物は、更に、研磨剤、例えば、含水シリカ、リン酸二カルシウム、又は非水溶性アルカリ金属メタリン酸塩、を本口腔用組成物の約25重量%以下、好ましくは約10〜約15重量%の範囲で含有することができる。
【0048】
本発明による組成物は、局所的に投与されることが可能であり、また、クリーム、ゲル、ペースト、練り歯磨き及びうがい薬の形態であることが可能である。そのような場合、本発明による医薬組成物は、通常、従来の賦形剤、例えば、ソルビトール及び/又はマルチトールのようなポリアルコール;ポリエチレングリコールのようなグリコール;カルボキシメチルセルロースのような増粘剤;パラオキシ安息香酸メチル又はパラオキシ安息香酸プロピルのような防腐剤;ペパーミントのような香料添加剤;サッカリンのような甘味料;並びに、着色剤を含有する。
【0049】
練り歯磨き、うがい薬又はリンス剤、マウススプレー等の本発明の組成物は、類似組成物の配合物を得るための、当該技術分野で知られている如何なる方法によっても製造されることが可能である。あらゆる方法は、成分(a)と、(b)と、(c)と、存在する場合は(d)とを一緒に均質な物理的混合物に結びつける工程を含んでなる。
【0050】
好ましくは、本組成物は、取扱説明書と一緒にスプレー手段若しくは他の施用手段を備えているか、又は備えていない適切な包装材料、例えば、プラスチック製若しくは金属製のチューブ;プラスチック製若しくは金属製の透明な、半透明な又は不透明なボトル、ジャー(jar)又はディスペンサー(dispenser)、の中に包装される。そのような包装材料は、それ自体、段ボール箱又は他の適切な容器の中に更に包装されてもよいし、また、同一の若しくは更なる取扱説明書をその中に挿入するか、又はその上に記載してもよい。そのような取扱説明書は、添付文書又は小冊子に記載されてもよい。包装材料には、本組成物の活性成分、主要成分又は全成分が記載されることが好ましい。それらの取扱説明書は、組成物の分野の当業者に知られている取扱説明書、とりわけ抗菌用途のための取扱説明書を含んでもよい。したがって、それらの取扱説明書は、豆粒大の量の練り歯磨きを、1日に2〜3回の通常の間隔で歯群に施用すること;口いっぱいのうがい薬又はリンス剤を、1日に少なくとも1回、好ましくは食事の後、口腔の周辺に流すこと;等を推奨してもよい。
【0051】
本発明の口腔用組成物は、従って、口腔内における微生物感染(とりわけ、細菌感染)若しくは他の歯周疾患の影響を治療するか、予防するか、又は改善するのに有用であり;口腔からの歯苔を清浄化するか、殺菌するか、又は除去するのに有用であり;口腔内の臭気若しくは味を清新にするか、新鮮にするか、除去するか、又は改善するのに有用であり;しかも、一般に、口腔の衛生、外観及び感触の手当てをするのに有用であるだろう。したがって、本発明は、高分子量のヒアルロン酸のナトリウム塩と組み合わさって、バイオフラボノイド類と果実酸との混合物(例えば、前述の混合物)を含んでなる原液であって、口腔内における微生物感染(とりわけ、細菌感染)を治療するための医薬品を製造するための原液を更に提供する。この場合、その医薬品は、とりわけ、その原液を(口腔用組成物の全重量に基づき)0.1〜10重量%の範囲で含有する。本発明は、(b)800000〜4000000の平均分子量を有するヒアルロン酸ナトリウムと一緒に、(a)バイオフラボノイド類と果実酸との混合物を含んでなる原液、並びに、(d)経口投与に適した、薬学的又は薬理学的に容認される他の成分(例えば、前述の成分)を含んでなる原液であって、口腔内における微生物感染(とりわけ、細菌感染)を治療するための医薬品を製造するための原液を提供することが好ましい。この場合、その医薬品は、とりわけ、その原液を(口腔用組成物の全重量に基づき)0.1重量%〜10重量%の範囲で含有する。
【0052】
治療用途のための本発明による組成物は、固定性補綴物、可動性補綴物又は外科手術、等の機械的原因に起因する歯肉組織の炎症性徴候(例えば、歯肉炎、口内炎、炎症)によって特徴付けられる歯肉疾患のために好都合に使用される。本発明による歯肉用ペーストは、幼少期における歯牙発生段階の間に使用されることも可能である。本発明の口腔用組成物は、粘膜炎、アフター性潰瘍、扁平苔癬、口腔カンジダ症、歯肉炎、歯周炎又は歯槽骨炎を治療するのに有用である。本発明の組成物は、感染した皮膚若しくは感染する恐れのある皮膚、及び/又は、炎症を起こしている皮膚、例えば、アクネ、火傷及び創傷、を治療するのに有用である。
【0053】
本発明の口腔用組成物は、次の細菌:Actinomyces odontolyticus、Actinomyces viscosus、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Prevotella buccae、Prevotella dentalis、Streptococcus gordonii、Streptococcus sanguinis、S oralis、S sobrinus、S mutans、S intermedins、Lactobacillus acidophilus、Eubacterium nodatum、Actinomyces israelii、Actinomyces naeslundii、C albicans及びC tropicalis、に起因する感染症、疾患若しくは容態を治療するか、又は予防するのに有用である。
【0054】
生物学的試験において、本発明の組成物を製造するために使用される原液(実施例1を参照されたい)は、1/10希釈で上述の細菌の全てを抑制することが分かった。また、前述の非溶連菌(non-Streptococcal bacteria)も、1/100希釈で抑制された。他の生物学データは、以下の実施例の中に提供される。
【0055】
次に、下記の諸実施例によって、本発明を例示する。
【実施例】
【0056】
実施例1:原液の製造
(a)HPLC45の製造
出発原料は、それからの種子、果肉及び油性外皮が実質的に除去された「食べれない」として分類されるSevilleオレンジのような未熟な(血液色/赤色)ダイダイの果皮の内側の柔組織を含んでなる。その出発原料は、水、又は、水/エタノールの中、約1:10〜20(溶媒:出発原料)の比で磨砕されるか又は破砕される。得られる混合物は濾過されて、保持される水溶性バイオマスと捨てられる不溶性バイオマスが残る。水溶性バイオマスは、次いで、微細濾過され、その後、それはフラッシュ蒸留されて、茶色の吸湿性粉末(HPLC45)が残る。
【0057】
(b)HPLC45のバイオフラボノイド組成
工程(a)で得られたHPLC45の分析によって、HPLC45の全組成の45%はバイオフラボノイドを含み、残部(55%)は、ペクチン、糖及び微量の有機酸を含むことが分かる。下記のバイオフラボノイド類のパーセンテージ(HPLC45中のバイオフラボノイド類の重量による)が存在する。
【0058】
【表4】
【0059】
したがって、HPLC45の全組成中の重量により、下記のバイオフラボノイド類が存在する。
【0060】
【表5】
【0061】
(c)原液の製造
【0062】
【表6】
【0063】
次いで、残りの酸(クエン酸及びリンゴ酸)を添加した後、HPLC45を添加し、6.2〜7.2のpHを有し、バイオフラボノイド類を6.75%(原液のw/w)含んでなる原液を得る。
【0064】
実施例2A:マウススプレー
【0065】
【表7】
【0066】
A.実験室試料: 上記の諸成分を用いて、本発明によるマウススプレーを次の通りに製造した。容器(A)中で、ヒアルロン酸ナトリウムを水に撹拌しながら分散させて、塊のない溶液(lump free solution)を提供する。サッカリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム、リン酸二ナトリウム、キシリトール及び原液を添加し、それらの成分が全て完全に溶解するまで撹拌する。グリセリンを添加し、次いで、均質になるまで混合する。別の容器(B)の中で、ポリソルベート20、風味料及びエタノールを混合する。風味料が完全に分散するまで、掻き混ぜる。容器(B)の内容物を撹拌しながら容器(A)に添加して、均質な液体を提供する。
【0067】
B.代替的(製造)方法: 上記の諸成分を用いて、本発明によるマウススプレーを次の通りに製造することができる。容器(A)中で、ヒアルロン酸ナトリウムをグリセリンに分散させる。撹拌しながら水を添加して、塊のない溶液を提供する。キシリトール、原液、サッカリンナトリウム、塩化セチルピリジニウム及びリン酸二ナトリウムを添加し、次いで、それらの成分が全て完全に溶解するまで撹拌する。別の容器(B)の中で、ポリソルベート20、風味料及びエタノールを混合する。風味料が完全に分散するまで、掻き混ぜる。容器(B)の内容物を撹拌しながら容器(A)に添加して、均質な液体を提供する。
【0068】
実施例2B:マウススプレー
【0069】
【表8】
【0070】
上記の諸成分を用いて、本発明によるマウススプレーを上記のように製造することができる。
【0071】
実施例3:口腔洗浄剤
【0072】
【表9】
【0073】
A.実験室試料: 上記の諸成分を用いて、本発明による口腔洗浄剤を次の通りに製造することができる。混合容器(A)中で、ヒアルロン酸ナトリウムを水に、撹拌しながら分散させて、塊のない溶液を提供する。サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸二ナトリウム、1種類以上の着色剤、キシリトール及び原液を添加し、成分が全て完全に溶解するまで撹拌する。グリセリンを添加し、次いで、均質になるまで混合する。別の容器(B)の中で、ポリソルベート20及び風味料を混合する。風味料が完全に分散するまで、掻き混ぜる。容器(B)の内容物を撹拌しながら容器(A)に添加して、均質な液体を提供する。
【0074】
B.代替的(製造)方法: 上記の諸成分を用いて、本発明による口腔洗浄剤を次の通りに製造することができる。混合容器(A)中で、ヒアルロン酸ナトリウムを水に、撹拌しながら分散させて、塊のない溶液を提供する。1種類以上の湿潤剤、原液、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸二ナトリウム及び着色剤を添加する。それらの成分が全て完全に溶解するまで撹拌する。別の容器(B)の中で、ポリソルベート20、風味料及びエタノールを混合する。風味料が完全に分散するまで、掻き混ぜる。容器(B)の内容物を撹拌しながら容器(A)に添加して、均質な液体を提供する。
【0075】
実施例4:練り歯磨き
【0076】
【表10】
【0077】
A.実験室試料:上記の諸成分を用いて、本発明による練り歯磨きを次の通りに製造することができる。混合容器(A)中で、ヒアルロン酸ナトリウムを水に、撹拌しながら分散させて、塊のない溶液を提供し、次いで、グリセリンを添加する。これに、サッカリンナトリウム、フッ化ナトリウム、原液及びキシリトールを添加し、次いで、撹拌して溶解させる。容器(A)の内容物を撹拌しながらバキュームミキサー(容器B)に移す。粉末類(含水シリカ、キサンタンガム及び二酸化チタン)を容器C中でプレブレンドし、次いで、バキュームミキサー(B)の液相に添加する。真空下、均質になるまで混合する。バキュームミキサー(B)に界面活性剤及び風味料を添加し、次いで、真空下で混合して、口当たりのよいペーストを形成する。
【0078】
実施例5:原液の製造
前述の通りに、下記原液を製造した。
バイオフラボノイド混合物3.3%
リンゴ酸4.5%
クエン酸4.5%
グリセリン7.5%
アスコルビン酸1.5%
水78.6%
溶液のpH1.5〜1.75。
【0079】
実施例6
原液の製造
前述の通りに、下記原液を製造した。
バイオフラボノイド混合物3.3%
リンゴ酸4.5%
クエン酸4.5%
アスコルビン酸コリン6.0%
LFG61アルキルグリコシド13.3%
プロピレングリコール7.5%
水60.9%
溶液のpH 1.5〜1.75。
【0080】
抗菌活性
本発明の組成物が、歯周疾患に関与する一連の嫌気性菌及び通性細菌に対して活性であるか否かを確認するための試験は、次のように行うことができる。
【0081】
方法及び材料
使用することのできる細菌には、Actinomyces odontolyticus、Actinomyces viscosus、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Prevotella buccae、Prevotella dentalis、Streptococcus gordonii及びStreptococcus sanguinis、とりわけATCC基準株、が包含される。嫌気性菌は全て、〔英国ヨークシャー(Yorkshire)のドン・ホワイトリー社(Don Whitely)から入手可能な〕ドン・ホワイトリー・嫌気性チャンバー(Don Whitely Anaerobic Chamber)において、偏性嫌気性ブイヨン(Fastidious Anaerobic Broth:FAB)で、37℃、24時間で増殖させられることが可能である。通性細菌は、10%(v/v)二酸化炭素中の普通ブイヨンで、37℃、24時間で増殖させられることが可能である。スタータ培養液(starter culture)は、約106CFU(コロニー形成単位)/mlを含有する、一晩増殖の1mlである。その培養液に本発明の組成物を1/10000(0.001%)に至るまでの濃度で補足する。その希釈剤(diluent)は、適切なブイヨンである。650nmで吸収される分光光度の増大量によって、増殖を評価することができる。
【0082】
5%(v/v)血液寒天培地での増殖を使用して、練り歯磨き及びうがい薬の組成物を評価することができる。寒天培地に直径約0.5cmのウェルを切り出し、次いで、各々の組成物の希釈物(dilutions)で充填することができる。その希釈剤は、適切なブイヨンである。それらの培地に、約106CFU/mlを含有するブイヨン約0.2mlを予備接種する。増殖の抑制が全く見られない場合、最小阻害濃度をウェル濃度と解釈することができる。
【0083】
追加試験
2種類の原液(実施例5及び実施例6)を試験した。それぞれ1.75及び2.0のpHを有する各々の配合物に対する一連の倍数希釈物を、希釈剤としてブラッド・ハート・インフュージョン(Blood-Heart Infusion:BHI)ブイヨン又はサブロー(Sabouraud’s)ブイヨンを使用しながら製造し、一連の濃度(8%v/v〜0.015625%v/v)を有する溶液を提供した。
【0084】
一定の細菌種及びカンジダ種の株(表11を参照されたい)を得、次いで、適切な条件下、48時間培養した。各々の微生物のサスペンションを、ブイヨン(細菌に対してはBHIブイヨン、カンジダ種に対してはサブローブイヨン)中で、マクファーランド標準3.0とほぼ同等のレベルの濁度まで製造した。
【0085】
【表11】
【0086】
各々の微生物サスペンションの100μl容量を、微量定量プレートのウェルに入れた。(対応ブイヨンを含有する)実施例5又は実施例6の溶液の同等容量を、各々のウェルに入れて、原液の最終濃度4%(v/v)〜0.0078125%(v/v)を提供した。対照としての役割を果たすための、原液及び/又は微生物を全く含有しないウェルをも製造した。各々の微量定量プレートを、適切な雰囲気条件の下、37℃で24時間定温放置した。定温放置の後、分光光度計を使用して544nmの波長での吸光度を読み取り、各々のウェル中の抱く度を測定することによって、各々の細菌種の相対量を評価した。吸光度を読み取り値は、微生物の存在しない対照を使用して、ブランク補正した。
【0087】
最小阻害濃度(MIC)を、結果的に、原液の不存在下で微生物を増殖させた対照と比較して微生物が著しく減少した量(即ち、50%を超える減少)となる、原液の最小濃度として定義した。実験を3回繰り返しで行い、実施例5及び実施例6の配合物について、各々の微生物種の存在の下、MICを決定した。
【0088】
結果
実施例5と実施例6との両方の配合物に対応する13種類の微生物について観察された最小阻害濃度(MIC)値を、以下の表12にまとめる。
【0089】
検討したそれら微生物の各々の増殖は、Candida glabrataは例外として、実施例5と実施例6との両方の配合物によって抑制された。この酵母種の増殖は、実施例6の配合物が、本研究で使用した最大濃度である、8%(v/v)の濃度で存在した場合でも、その配合物によって少しも抑制されないようであった。
【0090】
実施例5及び実施例6の2種類の配合物からの最小阻害濃度(MICs)を比較することによって、実施例5の配合物は、微生物の増殖を抑制する上で、実施例6の配合物よりも効果的であることが示唆された。各々の微生物に対するMICは、Porphyromonas gingivalisは例外として、実施例5の配合物を使用した場合、実施例6の配合物を使用した場合よりも小さい。Porphyromonas gingivalisに対する両方の配合物は、1%という同等の値を有した。更に、実施例5の配合物は、1%(v/v)の濃度で、たとえ増殖の減少が50%(MICを定義するために本研究で設定された基準)をあまり超えなかったとしても、各々の微生物の増殖を抑制した。このことによって、将来の生成物及び研究における好ましい使用濃度(working concentration)として、実施例5の原液の1%(v/v)を使用することが提案される。
【0091】
【表12】