特許第5883435号(P5883435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883435ショートニング組成物、ならびにそれを作製する方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883435
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】ショートニング組成物、ならびにそれを作製する方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20160301BHJP
   A21D 13/08 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   A23D9/00 502
   A21D13/08
【請求項の数】28
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-510327(P2013-510327)
(86)(22)【出願日】2011年5月13日
(65)【公表番号】特表2013-526282(P2013-526282A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011036375
(87)【国際公開番号】WO2011143520
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月1日
(31)【優先権主張番号】13/072,599
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/780,769
(32)【優先日】2010年5月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512213929
【氏名又は名称】バンジ オイルズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BUNGE OILS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ニール,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ,ロジャー,エル.
【審査官】 田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−500075(JP,A)
【文献】 特表平05−508314(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/139266(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0271790(US,A1)
【文献】 特開2006−325541(JP,A)
【文献】 特開2002−241784(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0086626(US,A1)
【文献】 安田耕作,外3名,新版 油脂製品の知識,幸書房,1993年,p.180-182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 9/00
A21D 13/08
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維、硬質脂肪および液状油の混和物を含んでいるショートニング組成物であって、上記ショートニング組成物は、当該組成物の総重量に基づいて0.1重量%未満の水を含んでおり、
上記セルロース繊維は、上記組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量において存在している、ショートニング組成物。
【請求項2】
上記セルロース繊維は植物原料から得られている、請求項1に記載のショートニング組成物。
【請求項3】
上記セルロース繊維は、木材パルプ、タケ、エンドウマメ、柑橘類の果実またはサトウダイコンから得られたセルロース繊維を含んでいる、請求項1または2に記載のショートニング組成物。
【請求項4】
上記セルロース繊維の量は、上記組成物の総重量に基づいて3〜10重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項5】
上記セルロース繊維の量は、上記組成物の総重量に基づいて3〜6重量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項6】
上記硬質脂肪は、完全に硬化された油もしくは部分的に硬化された油、固体の高ステアリン酸画分、ジグリセリド、モノグリセリド、ワックスまたはそれらの混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項7】
上記完全に硬化された油は、完全に硬化された魚油、完全に硬化された動物油、完全に硬化されたヤシ油、完全に硬化された高エルカ酸のナタネ油、完全に硬化されたダイズ油、完全に硬化されたヒマワリ油、完全に硬化されたトウモロコシ油、完全に硬化されたラッカセイ油、完全に硬化されたベニバナ油、完全に硬化されたオリーブ油、完全に硬化されたヤシの硬脂ステアリン酸、完全に硬化されたヤシのオレイン、それらの誘導体およびそれらの混合物から選択される、請求項6に記載のショートニング組成物。
【請求項8】
上記部分的に硬化された油は、部分的に硬化された魚油、部分的に硬化された動物油、部分的に硬化されたヤシ油、部分的に硬化された高エルカ酸のナタネ油、部分的に硬化されたダイズ油、部分的に硬化されたヒマワリ油、部分的に硬化されたトウモロコシ油、部分的に硬化されたラッカセイ油、部分的に硬化されたベニバナ油、部分的に硬化されたオリーブ油、部分的に硬化されたヤシの硬脂ステアリン酸、部分的に硬化されたヤシのオレイン、部分的に硬化された綿実油、それらの誘導体およびそれらの混合物から選択される、請求項6に記載のショートニング組成物。
【請求項9】
上記硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪、ダイズ油の硬質脂肪、綿の硬質脂肪、ヤシの硬脂ステアリン酸およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項10】
上記硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪およびダイズ油の硬質脂肪のブレンドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項11】
上記硬質脂肪は、上記組成物の総重量に基づいて5〜20重量%の量において存在している、請求項1〜10のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項12】
上記硬質脂肪は、上記組成物の総重量に基づいて8〜15重量%の量において存在している、請求項1〜11のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項13】
上記液状油は、キャノーラ、高オレイン酸のキャノーラ、ダイズ、トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、ラッカセイ、ベニバナ、オリーブ、綿実またはそれらの混合物を含んでいる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項14】
上記液状油は、上記組成物の総重量に基づいて75〜90重量%の量において存在している、請求項1〜13のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項15】
上記組成物の総重量に基づいて、4.5重量%のセルロース繊維、8.3重量%のヤシの硬質脂肪、2.4重量%のダイズの硬質脂肪、および84.8重量%の高オレイン酸のキャノーラ油を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項16】
上記組成物の総重量に基づいて、4.4重量%のセルロース繊維、8.1重量%のヤシの硬質脂肪、2.4重量%のダイズの硬質脂肪および82.2重量%のキャノーラ油、ならびにヤシ油から得られた3gのモノグリセリドを含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項17】
上記組成物の総重量に基づいて、4.5重量%のセルロース繊維、8.3重量%のヤシの硬質脂肪、2.4重量%のダイズの硬質脂肪、および84.8重量%のキャノーラ油を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項18】
上記組成物の総重量に基づいて、4.5重量%のセルロース繊維、7.21重量%のヤシの硬質脂肪、2.09重量%のダイズの硬質脂肪、および86.20重量%のキャノーラ油を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項19】
上記組成物の総重量に基づいて、4.5重量%のセルロース繊維、7.2重量%のヤシの硬質脂肪、2.1重量%のダイズの硬質脂肪、84.2重量%のキャノーラ油、ヤシ油から得られた0.8重量%の精製されたモノグリセリド、1.2重量%のポリグリセロールエステルの乳化剤、および0.1重量%の酸化防止剤を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のショートニング組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載のショートニング組成物を含んでいる、食品。
【請求項21】
ポップコーン、ケーキ、クッキー、パイ皮またはビスケットから選択される、請求項20に記載の食品。
【請求項22】
ショートニングを調製する方法であって、
セルロース繊維、硬質脂肪の画分および液状油を含んでいる組成物をもたらす段階であって、上記組成物は当該組成物の総重量に基づいて0.1重量%未満の水を含んでおり、上記セルロース繊維は、上記組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量において存在している、段階、ならびに
ショートニング組成物をもたらすために上記組成物を混合する段階を包含している、方法。
【請求項23】
上記セルロース繊維および上記液状油は、上記硬質脂肪の添加の前に混合される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記硬質脂肪および上記液状油は、上記セルロース繊維の添加の前に混合される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記組成物は、混合する段階の間に、45℃〜90℃の温度まで加熱される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
混合された上記組成物を冷却する段階をさらに包含している、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
冷却する段階は、熱交換器において行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記熱交換器は、スクレープドサーフェイス(scraped surface)熱交換器である、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、米国特許出願番号第12/780,769(出願日:2010年5月14日、Higgins et al.)および米国特許出願番号第13/072,599(出願日:2011年3月25日)の一部継続出願であり、これらの出願に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書に示されているのは、低レベルの飽和脂肪およびトランス脂肪を有しているショートニング組成物である。上記組成物は、セルロース繊維、硬質脂肪および液状油を含んでいる。また、示されているのは、そのような組成物を調製する方法およびそれらの使用である。
【背景技術】
【0003】
ショートニングは、種々の要素の混合物の適切な熱処理および機械的処理によって製造されている。従来の可塑性のショートニングの製造において、少し硬化された植物油および中程度に硬化された油は、完全に硬化された硬質のストックとともに種々の比率においてブレンドされて、室温において85%の油および15%の固体である製品をもたらす。ショートニングの品質および口当りは、取り込まれたガス、可塑性および均一性、ならびに液体に対する固体の割合に依存する。これらの物理特性は、使用された脂肪の結晶相および調製の方法によって決定される。
【0004】
ショートニングにとって所望されるベータプライム(beta prime)結晶形態を得る方法は、好適なベータプライムの傾向がある高度に硬化されているか、または飽和されている硬質のストックを使用することである。ベータプライムの傾向がある従来の硬質ストックは、ストレス条件下における処理ならびに保存および/または温度変化によって、種々の変換および結晶サイズの変化を受け得るトリグリセリドを含有している。この変換は、外観の悪さ、小さな体積および低い能力を有しているショートニングを生じる。さらに、硬化処理は、一価不飽和物および多価不飽和物のトランス異性体を形成させる。
【0005】
トランス脂肪酸および飽和脂肪酸の消費は体内のLDLコレステロールの量を増大させ得ること、ならびにまたトランス脂肪酸の消費はHDLコレステロールのレベルを低下させ得ることが示唆されている。ショートニングにおけるトランス脂肪酸および飽和脂肪酸の含有量を低下させる試みにおいて提案されている種々のショートニング組成物がある。例示的な組成物は、米国特許出願公開第2005/0271790号、米国特許第5,106,644号、米国特許第6,033,703号、米国特許第5,470,598号、米国特許第4,156,021号および米国特許第6,461,661号に記載されている。利用可能な種々のショートニング調合物のなかでも、部分的に硬化された油および多量に硬化された油を用いて調合されているVREAM(登録商標)は、約50%であるの部分的に硬化された油および多量に硬化された油の総量を含有しており、硬化を使用することなく調合されているVREAM(登録商標)NHは、約52%であるトランス脂肪酸および飽和脂肪酸の総量を含有しており、硬化されたベースのストックおよび完全に硬化された油を用いて形成されているVREAM RighT(登録商標)は、約32%であるトランス脂肪酸および飽和脂肪酸の総量を含有している。
【0006】
低レベルの飽和脂肪およびトランス脂肪、ならびに取扱いおよび食品調製にとって許容可能な物理特性を有しているショートニングに対する継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
ある実施形態において、本明細書に示されているのは、セルロース繊維、硬質脂肪および液状油の混和物を含んでいるショートニング組成物である。ある実施形態において、セルロース繊維の使用は、繊維なしのショートニング組成物と比べて低レベルのトランス脂肪酸および飽和脂肪酸の両方をともなって、可塑性のショートニングのような材料が製造されることを可能にする。
【0008】
セルロース繊維は、水と水和させていない組成物、または他の添加剤(例えば、増粘剤または乳化剤)を用いて処理していない組成物に使用される。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、当該組成物の総重量に基づいて約1重量%未満の水を含んでいる。本明細書に示されているショートニング組成物は、当該組成物の総重量に基づいて約0.1重量%未満、0.3重量%未満、0.5重量%未満、0.7重量%未満、1重量%未満、1.5重量%未満、2重量%未満、2.5重量%未満または3重量%未満の水を含んでいる。種々の平均の長さを有しており、異なる原材料から加工された異なる程度の純度のセルロース繊維が使用され得る。
【0009】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、完全に硬化された油もしくは不完全に硬化された油、固体の高ステアリン酸画分、部分エステル(例えばジグリセリドおよびモノグリセリド)、ワックスまたはそれらの混合物を含んでいる。ある実施形態において、本明細書に使用される液状油は、キャノーラ油、高オレイン酸のキャノーラ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ラッカセイ油、ベニバナ油、オリーブ油、綿実油またはそれらの混合物を含んでいる。
【0010】
他の実施形態において、本明細書に示されているのは、本明細書に記載されているショートニング組成物を調製するための方法である。ある実施形態において、調製の当該方法は、セルロース繊維、硬質脂肪および液状油を含んでいる組成物をもたらす段階、ならびにショートニング組成物をもたらすために組成物を混合する段階を包含している。混合する段階の間に、組成物は、混和物が均一になるような溶けた状態にされる。成分を加える順序および成分を加熱する順序は、特定の処理によって求められる通りに変更され得る。溶けた均一な組成物は、所望の物理特性をショートニングに付与する結晶構造を促すために、一実施形態において撹拌しながら、冷却される。熱交換器、一実施形態においてスクレープドサーフェイス熱交換器は、撹拌をともなった所望の冷却をもたらし得る。
【0011】
ある実施形態において、そのように製造されたショートニングは、当該技術に公知のショートニングより低レベルの飽和脂肪およびトランス脂肪を有している。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、部分的に硬化された従来のショートニングの代わりに、ベーカリー製品(例えば、クッキー、ケーキ、パイ皮、パンおよび他の製品)に使用される。
【0012】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明を単に目的としており、限定ではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に示されているのは、セルロース繊維、結晶のマトリックスをもたらすための硬質脂肪、および液状油を含んでいるショートニング組成物である。さらに示されているのは、上記組成物を作製する方法および上記組成物の使用である。当該方法および組成物は、以下の項目において詳細に記載されている。
【0014】
(定義)
特に断りがない限り、本明細書に使用される技術用語および科学用語のすべては、当業者によって一般に理解される通りの同じ意味を有している。すべての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、参照によってその全体が本明細書に援用される。本明細書における用語にとって複数の定義付けがある場合、特に断りがない限り、この項目における定義付けが優先される。
【0015】
本明細書に使用されるとき、“可塑性”という用語は、室温において固体であるショートニング組成物を示すために利用される。
【0016】
本明細書に使用されるとき、“脂肪”という用語は、由来にかかわらず、または室温においてそれらが固体もしくは液体であるかにかわらず、すべての食用の脂肪酸トリグリセリドを包含していると意図される。したがって、“脂肪”という用語は、通常は液体および通常は固体の、植物性および動物性の脂肪および油を包含していると意図されている。
【0017】
本明細書に使用されるとき、“硬質脂肪”または“硬化脂肪”という用語は、完全に硬化された(複数の)油または部分的に硬化された(複数の)油、固体の高ステアリン酸画分、部分エステル(例えば、ジグリセリドおよびモノグリセリド)、ワックスまたはそれらの混合物を指す。
【0018】
本明細書に使用されるとき、“油”という用語は、それらの未変性の状態において液体であるそれらの脂肪を指すと意図されている。天然および合成の脂肪および油はこれらの用語に包含されている。
【0019】
本明細書に使用されるとき、“食用油”“基油”または“液状油”という用語は、室温において実質的に液体である油を指す。基油または液状油は、非硬化油もしくは部分的に硬化された油、変性油またはそれらの混合物を指す。
【0020】
本明細書に使用されるとき、“セルロース繊維”という用語は、植物原料から得られる繊維状のセルロース材料を指す。材料の繊維状の性質および油を取込み得る毛細管の存在は、本明細書に使用されるセルロース繊維にとって重要な特徴である。例示的なセルロース繊維は、木材パルプ、エンドウマメおよびタケから得られる。
【0021】
明細書および添付の特許請求の範囲に使用されるとき、“a”、“an”および“the”という単数形は、特に断りがない限り、複数の対象を包含している。したがって、例えば、“植物油(a vegitable oil)”に対する言及は、そのような植物油などの2つ以上の混合物を包含している。一実施形態において、“植物油”に対する言及は、エステル交換された油および/または系統的に改変された油を包含している。
【0022】
すべてのパーセントの値は、特に断りがない限り、重量パーセントとして示されている。
【0023】
(組成物)
ある実施形態において、本明細書に示されているのは、セルロース繊維、硬質脂肪および液状油を含んでいるショートニング組成物である。組成物における硬質脂肪は、組成物にとっての結晶マトリックスをもたらす。任意の特定の理論に縛られることなく、ある実施形態において、セルロース繊維は、少なくとも部分的に以下の(1)によって、部分的に以下の(2)によって、ショートニングの構造化に役立っていると考えられている。(1)毛細管にいくらかの油を取り入れることおよび繊維の表面を湿らせているいくらかの油を固定すること、(2)組成物に組み込まれているより融点の高い画分によって形成される結晶構造補強するために物的に作用すること。ある実施形態において、セルロース繊維の使用は、セルロース繊維なしのショートニングと比べて低レベルのトランス脂肪酸および飽和脂肪酸の両方をともなって、可塑性のショートニングが製造されることを可能にする。ある実施形態において、セルロース繊維の使用は、当該技術に公知のショートニング組成物と比べて、可塑性のショートニングにおけるトランス脂肪酸および飽和脂肪酸のレベルを約75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、32重量%、30重量%、25重量%、20重量%、18重量%、15重量%、10重量%または5重量%まで低減させることを可能にする。ある実施形態において、セルロース繊維の使用は、ショートニング組成物VREAM RighT(登録商標)と比べて、可塑性のショートニングにおけるトランス脂肪酸および飽和脂肪酸のレベルを約25重量%、20重量%、18重量%、15重量%、10重量%または5重量%まで低減させることを可能にする。
【0024】
セルロース繊維は、水と水和させていない組成物、または他の添加剤(例えば、増粘剤または乳化剤)を用いて処理していない組成物に使用される。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%未満、0.3重量%未満、0.5重量%未満、0.7重量%未満または1重量%未満の水を含んでいる。種々の平均の長さを有しており、異なる原材料から加工された異なる程度の純度のセルロース繊維が使用され得る。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%未満の水を含んでいる。
【0025】
ある実施形態において、本明細書における使用のためのセルロース繊維は、植物原料(木材パルプ、タケ、エンドウマメ、柑橘類の果実およびサトウダイコンが挙げられるがこれらに限定されない)から得られる。ある実施形態において、本明細書において使用されるセルロース繊維としては、Norben Company, Inc.によって製造されているUPTAKE 80、CENTU-TEXおよびCeREAFill、CREAFILL Fibers Corp.によって製造されているCREAFIBE QC 150およびCREACLEAR SC 150、ならびにInternational Fiber Corporationによって製造されているSOLKA FLOC(登録商標)900 FCC、SOLKA FLOC(登録商標)300 FCC、およびSOLKA FLOC(登録商標)40 FCCが挙げられる。ある実施形態において、セルロース繊維は、藻類の原料から得られる。繊維状の性質および油を取込み得る毛細管を有している任意のセルロース材料は、本明細書に示されている組成物に使用され得る。文献(例えば米国特許出願公開第2005/0271790号)に公知の組成物と異なり、本明細書における組成物は、高純度のセルロース繊維を必要としない。
【0026】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて約1〜15重量%の量においてセルロース繊維を含んでいる。ある実施形態において、組成物におけるセルロース繊維の量は、組成物の総重量に基づいて約1〜15重量%、約1〜10重量%、約1〜7重量%、約1〜4重量%、約2〜10重量%、約2〜7重量%または約2〜5重量%である。ある実施形態において、組成物におけるセルロース繊維の量は、組成物の総重量に基づいて約3〜5重量%または約4〜5重量%である。ある実施形態において、組成物におけるセルロース繊維の量は、組成物の総重量に基づいて約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるセルロース繊維の量は、組成物の総重量に基づいて約3、4、4.5、5、6または7重量%である。
【0027】
セルロース繊維は、水と水和させていない組成物、または他の添加剤(例えば、増粘剤または乳化剤)を用いて処理していない組成物に使用される。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%未満の水を含んでいる。ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、上記組成物の総重量に基づいて約0.1重量%未満、0.3重量%未満、0.5重量%未満、0.7重量%未満、1重量%未満、1.5重量%未満、2重量%未満、2.5重量%未満または3重量%未満の水を含んでいる。種々の平均の長さを有しており、異なる原材料から加工された異なる程度の純度のセルロース繊維が用いられ得る。
【0028】
ある実施形態において、本明細書に示されている硬質脂肪としては、完全に硬化された油もしくは部分的に硬化された油、固体の高ステアリン酸画分、部分エステル(例えばジグリセリドおよびモノグリセリド)、ワックスまたはそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態において、完全に硬化された油は、完全に硬化された魚油、完全に硬化された動物油、完全に硬化されたヤシ油、完全に硬化された高エルカ酸のナタネ油、完全に硬化されたダイズ油、完全に硬化されたヒマワリ油、完全に硬化されたトウモロコシ油、完全に硬化されたラッカセイ油、完全に硬化されたベニバナ油、完全に硬化されたオリーブ油、完全に硬化されたヤシの硬脂ステアリン酸、完全に硬化されたヤシのオレイン、それらの誘導体およびそれらの混合物から選択される。ある実施形態において、部分的に硬化された油は、部分的に硬化された魚油、部分的に硬化された動物油、部分的に硬化されたヤシ油、部分的に硬化された高エルカ酸のナタネ油、部分的に硬化されたダイズ油、部分的に硬化されたヒマワリ油、部分的に硬化されたトウモロコシ油、部分的に硬化されたラッカセイ油、部分的に硬化されたベニバナ油、部分的に硬化されたオリーブ油、部分的に硬化されたヤシの硬脂ステアリン酸、部分的に硬化されたヤシのオレイン、部分的に硬化された綿実油、それらの誘導体およびそれらの混合物から選択される。ある実施形態において、硬脂ステアリン酸画分またはモノグリセリドおよび/またはジグリセリドは、食品等級の天然の脂肪(植物脂肪(例えばココナッツ油、ヤシ油およびヤシ仁油など)が挙げられる)または完全に硬化された脂肪から入手され得る。したがって、ある実施形態において、高ステアリン酸画分、またはモノグリセリドおよび/またはジグリセリドは、天然の飽和脂肪または天然の飽和油から得られる。ある実施形態において、高ステアリン酸画分、またはモノグリセリドおよび/またはジグリセリドは、ヤシ油から得られる。
【0029】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物に使用される硬質脂肪の総量は、組成物の総重量に基づいて約5〜約20重量%である。ある実施形態において、組成物における硬質脂肪の総量は、組成物の総重量に基づいて約7〜15重量%、約7〜13重量%、約8〜15重量%、約8〜12重量%、約8〜11重量%または約9〜11重量%である。ある実施形態において、組成物における硬質脂肪の総量は、組成物の総重量に基づいて約8〜10重量%または約9〜10重量%である。ある実施形態において、組成物における硬質脂肪の総量は、組成物の総重量に基づいて約5、6、7、8、9、10、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25重量%である。ある実施形態において、組成物における硬質脂肪の総量は、組成物の総重量に基づいて約9、9.5、10、10.5、10.75、11、11.5、12、12.5または13重量%である。
【0030】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪、ダイズ油の硬質脂肪、綿の硬質脂肪、ヤシの硬脂ステアリン酸、ダイズ油から製造されており、飽和するまで硬化されたトリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグリセリドのブレンドならびに、綿の硬質脂肪から選択される。ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪およびダイズ油の硬質脂肪のブレンドを含んでいる。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約65〜85重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約70〜80重量%、70〜85重量%、75〜80重量%、75〜85重量%または76〜79重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約70、72、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84または85重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約76、77、77.5、78、78.5、79、79.5、80、80.5、81、81.5、82、82.5、83、83.5、84、84.5または85重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約60〜85重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約15〜35重量%、17〜32重量%、20〜30重量%または20〜25重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約15、17、20、22、24、26、28、30、32、34または35重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約20、20.5、21.5、22、22.5、23、23.5,24、24.5または25重量%である。
【0031】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪およびダイズ油の硬質脂肪のブレンドを含んでいる。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約6〜12重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約6〜10重量%、7〜10重量%、7〜9重量%または7〜8重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約6、7、7.5、8または8.5重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約1〜5重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約1〜3重量%または2〜3重量%である。ある実施形態において、硬質脂肪のブレンドにおけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約2、2.09、2.2、2.3、2.4、2.5、2.7、2.9または3重量%である。
【0032】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は綿の硬質脂肪を含んでいる。ある実施形態において、組成物における綿の硬質脂肪の量は組成物の総重量に基づいて約7〜20重量%である。ある実施形態において、組成物における綿の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約7〜20重量%、7〜17重量%または9〜17重量%である。ある実施形態において、組成物における綿の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約7、9、11、13、15、17、19または20重量%である。
【0033】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ダイズ油の硬質脂肪を含んでいる。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約5〜20重量%である。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約7〜20重量%、7〜17重量%、9〜17重量%または10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約8、10、12、14、16、18または20重量%である。
【0034】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ヤシの硬質脂肪を含んでいる。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約5〜20重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約7〜20重量%、7〜17重量%、9〜17重量%または10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約8、10、12、14、16、18または20重量%である。
【0035】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ヤシの硬質ステアリン酸の硬質脂肪を含んでいる。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質ステアリン酸の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約15〜30重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質ステアリン酸の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約15〜25重量%、17〜25重量%、20〜25重量%または20〜30重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質ステアリン酸の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるヤシの硬質ステアリン酸の硬質脂肪の量は、組成物の総重量に基づいて、約15、17、20、21、22、23、24、25、26、28または30重量%である。
【0036】
ある実施形態において、本明細書に使用される硬質脂肪は、ダイズ油から製造されており、飽和するまで硬化されたトリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグリセリドのブレンドを含んでいる。ある実施形態において、本明細書に示されている組成物におけるダイズ油から得られたブレンドの量は、組成物の総重量に基づいて、約5〜20重量%である。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油から得られたブレンドの量は、組成物の総重量に基づいて、約7〜20重量%、7〜17重量%、9〜17重量%または10〜15重量%である。ある実施形態において、組成物におけるダイズ油から得られたブレンドの量は、組成物の総重量に基づいて、約8、10、12、14、16、18または20重量%である。
【0037】
ある実施形態において、本明細書に使用される液状油は、キャノーラ、高オレイン酸のキャノーラ、ダイズ、トウモロコシ、ヒマワリ、ナタネ、ラッカセイ、ベニバナ、オリーブ、綿実またはそれらの混合物を含んでいる。ある実施形態において、組成物における液状油の量は、組成物の総重量に基づいて、約70〜90重量%である。ある実施形態において、組成物における液状油の量は、組成物の総重量に基づいて、約75〜90重量%、80〜90重量%、75〜85重量%または82〜88重量%である。ある実施形態において、組成物における液状油の量は、組成物の総重量に基づいて、約75、77、79、80、82、83、84、85、86、87、88、89または90重量%である。ある実施形態において、組成物における液状油の量は、組成物の総重量に基づいて、約83、83.5、84、84.5、85、85.25、85.5、86、86.5、87、87.5、88、88.5、89または90重量%である。ある実施形態において、組成物におけるキャノーラ油の量は、組成物の総重量に基づいて、約83、83.5、84、84.2、84.5、85、85.25、85.5、86、86.2、86.5、87、87.5、88、88.5、89または90重量%である。
【0038】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含んでいる。本明細書に示されているショートニング組成物に添加され得る一般的な添加剤としては、安定剤、芳香剤、乳化剤、抗スパッタリング(spattering)剤、着色剤または酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な添加剤は、例えば、Campbell et al., Food Fats and Oils, 8th Ed., Institute of Shortening and Edible Oils, Washington, D.C.に記載されている。
【0039】
ある実施形態において、ショートニング調合物は、酸化防止剤をさらに含んでいる。広範な酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、第3級ブチルヒドロキノン(TBHQ)、エチレンジアミン四酢酸、没食子エステル(すなわち、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等)、トコフェロール、クエン酸、クエン酸エステル(すなわちクエン酸イソプロピルなど)、グアヤク脂、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、チオジプロピオン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸エステル(すなわち、パルミチン酸アスコルビル、オレイン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル等)、酒石酸、レシチン、メチルシリコン、重合体の酸化防止剤(アノキソマー)、植物(またはスパイスおよびハーブ)抽出物(すなわちローズマリー、セージ、オレガノ、タイム、マヨラナ等)およびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない)は、使用にとって好適である。
【0040】
ある実施形態において、ショートニング調合物は、乳化剤をさらに含んでいる。広範な乳化剤(モノグリセリド、ジグリセリド、精製されたモノグリセリド、C12〜C22脂肪酸のポリグリセロールエステル、C12〜C22脂肪酸のプロピレングリコールモノエステルおよびプロピレングリコールジエステル、C14〜C22脂肪酸のスクロースモノエステルおよびスクロースジエステルが挙げられるが、これらに限定されない)は、使用にとって好適である。
【0041】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて、約4.5重量%のセルロース繊維、約8.33重量%のヤシの硬質脂肪、約2.42重量%のダイズの硬質脂肪、約84.75重量%の高オレイン酸のキャノーラ油を含んでいる。
【0042】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて、約4.37重量%のセルロース繊維、約8.08重量%のヤシの硬質脂肪、約2.35重量%のダイズの硬質脂肪および約82.21重量%のキャノーラ油、ならびに約3gのモノグリセリドDIMODAN(登録商標)P-T-K-A(精製された食用のヤシ油から作られた、法的に承認されている精製されたモノグリセリド)を含んでいる。
【0043】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて、約4.5重量%のセルロース繊維、約8.33重量%のヤシの硬質脂肪、約2.42重量%のダイズの硬質脂肪、および約84.75重量%のキャノーラ油を含んでいる。
【0044】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて、約4.5重量%のセルロース繊維、約7.21重量%のヤシの硬質脂肪、約2.09重量%のダイズの硬質脂肪、および約86.20重量%のキャノーラ油を含んでいる。
【0045】
ある実施形態において、本明細書に示されている組成物は、組成物の総重量に基づいて、約4.5重量%のセルロース繊維、約7.21重量%のヤシの硬質脂肪、約2.09重量%のダイズの硬質脂肪、約84.20重量%のキャノーラ油、ヤシ油から得られた約0.75重量%の精製されたモノグリセリド、1.15重量%のポリグリセロールエステルの乳化剤のPGE TGMSH-K(LONZA, Incによって製造されている)、および約0.10重量%の酸化防止剤20 TBHQを含んでいる。
【0046】
ある実施形態において、ショートニング調合物は、付加的な成分(例えば、バターの香料、肉または獣脂の香料、オリーブオイルの香料、ならびに他の天然または合成の香料)をさらに含んでいる。ある実施形態において、ビタミンが本明細書に示されている組成物に含まれ得る。ある実施形態において、種々の他の添加剤は、それらが食用であり、美的に好ましい場合に、ショートニングに使用され得る。
【0047】
(調製の方法)
ある実施形態において、調製の方法は、セルロース繊維、硬質脂肪および液状油を含んでいる組成物をもたらす段階、ならびにショートニング組成物をもたらすために当該組成物を混合する段階を包含している。混合する段階の間において、上記組成物は、混和物が均一になるような溶けた状態にされる。成分を加える順序および成分を加熱する順序は、特定の処理によって求められる通りに変更され得る。成分は、使用される特定の系に依存して、周囲温度またはより高い温度において加えられ得、本明細書に添付の特許請求の範囲が加熱する段階および混合する段階の順序によって限定されるべきではないと意図される。溶けた均一な組成物は、所望の物理特性をショートニングに付与する結晶構造を促すために、一実施形態において撹拌しながら、冷却される。熱交換器、一実施形態においてスクレープドサーフェイス熱交換器は、撹拌をともなった所望の冷却をもたらし得る。
【0048】
一実施形態において、本明細書に示されているのは、ショートニング組成物を調製する方法である。当該方法は、(a)液状油およびセルロース繊維をともにブレンドして、セルロース繊維および油のブレンドを得ること、ならびに(b)上記ブレンドに硬質脂肪を混合することを包含している。ある実施形態において、段階(a)および(b)は、約40〜95℃、50〜75℃、60〜75℃または60〜70℃の温度において実施される。ある実施形態において、混合する段階(b)は、固体化されているショートニングを得るために、必要に応じて撹拌をともなった、冷却の後に行われる。ある実施形態において、外部からの水は上記組成物の調製の間に加えられない。
【0049】
ある実施形態において、機械的な撹拌器は、段階(a)および(b)において上記ブレンドを撹拌するために使用される。一実施形態において、段階(a)は、セルロース繊維が上記油に分散するまで実施される。ある実施形態において、段階(a)は室温において開始され、上記油は、約45、50、53、55、57、59、61、63、65、67、70、73または75℃の温度まで混合の間に加熱される。ある実施形態において、上記硬質脂肪は、約50、53、55、57、59、61、63、65、67、70、73または75℃において液状油およびセルロース繊維のブレンドに加えられる。完全なブレンドは、約3〜15分または3〜10分のさらなる時間にわたって混合され、それから必要に応じて撹拌しながら、冷却されて固体化する。
【0050】
他の実施形態において、上記方法は、(a)液状油および硬質脂肪をともにブレンドすること、ならびに(b)セルロース繊維を混合することを包含している。ある実施形態において、段階(a)および(b)は、約40〜95℃、50〜75℃、50〜70℃、60〜75℃または60〜70℃のの温度において実施される。ある実施形態において、混合する段階(b)は、固体化されているショートニングを得るために、必要に応じて撹拌をともなった、冷却の後に行われる。ある実施形態において、外部からの水は上記組成物の調製の間に加えられない。
【0051】
セルロース繊維、硬質脂肪および液状油の混和は、当該分野に公知の技術を用いて達成され得る。ある実施形態において、混和物は、それからショートニング製造の技術に公知のスクレープドサーフェイス熱交換器による撹拌に供される。ある実施形態において、スクレープドサーフェイス熱交換器の内部における処理条件は、調節されて、ショートニングの所望の特性を向上させる。スクレーパのブレードは、熱交換を低下させ得、運転時間を増大させ得る結晶および他の大きな粒子のシリンダー上における形成を防ぐ。スクレープドサーフェイス熱交換器における異なる動作パラメータの多くは、ショートニングの1つ以上の特性(例えば、硬さ、融解)を最適化するために変更され得る。例えば、掻き取りブレードの速度、スクレープドサーフェイス熱交換器を通る排出速度、および熱交換器からお排出温度は、以下の実施例に示されているショートニングの硬さを最適化するために変更され得る。
【0052】
本明細書に示されているショートニングは、種々の食品(ポップコーン、焼いた料理、糖衣、ビスケット、パン、パイ皮、デニッシュ、クロワッサン、またはペストリーパフ(pastry puff)が挙げられるが、これらに限定されない)を製造するために使用され得る。飽和脂肪およびトランス脂肪の総含有量の低下にともなって、本明細書に記載のショートニング組成物を用いて製造された食品は、健康に対する利益をもたらし得る。
【0053】
ある実施形態において、本明細書に示されているショートニング組成物は、当該技術に公知の方法を用いて、マイクロ波ポップコーン袋に加えられる。ある実施形態において、ポップコーン袋から得られたサンプルの顕微鏡的な評価によって、マイクロ波袋における塩およびショートニングの均一な分布が証明される。
【0054】
以下の実施例は、例示的なある実施形態を表しており、限定ではなく例証を目的として意図されている。本明細書における実施例のそれぞれにおいて、パーセンテージは、特に断りがない限り、全体の混合物の重量パーセントを表している。
【実施例】
【0055】
以下の実施例は、本願において説明されており、請求されている化合物、組成物および方法がどのようになされており、評価されているかについての完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されており、単に例示として意図されており、請求されている内容の範囲を限定するとは意図されていない。特に断りがない限り、部は質量部であり、温度は、℃の単位であるか、または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはその近傍である。反応条件(例えば、成分濃度、温度、圧力、ならびに説明されている方法から得られる生成物の純度および収量を最適化するために使用される他の反応の範囲および条件)の多くの変更および組合せがある。
【0056】
(実施例1〜2)
【0057】
【表1】
【0058】
実施例1および2において、HOCおよびセルロース繊維を、約500RPMにおいて機械的な撹拌器を用いて室温において混合した。混合を室温において開始し、混合を続けている間、油状物を加熱した。30分後に、硬質脂肪ブレンドを、各成分のフレークとして約93℃において加えた。加熱を継続させ、約9分後に温度を約93℃に戻した。硬質脂肪を加えた後に約30分にわたって加熱を弱めた。温度が85℃まで下がると、加熱をやめた。温度が63℃まで下がると、混合物を、Cuisinart Frozen Yogurt-ICE cream & Sorbet Maker(ICE-20モデル)に注ぎ、結晶化させた。混合物がアップルソースのような粒状を呈し、柔らかいマッシュポテトと同様の粘度になると、混合物を、32オンスのガラスジャーに注ぎ、掻き取り、保存した。
【0059】
(実施例3)
【0060】
【表2】
【0061】
高オレイン酸のキャノーラ油およびセルロース繊維を、ホットプレート上にある2500mlのビーカーにおいて、機械的な撹拌器を用いて混合した。撹拌は、セルロース繊維を油状物に分散させるために十分であった。混合を室温において開始し、油状物を加熱し、約63℃の温度まで混合を続け、それから溶かした硬質脂肪ブレンドを加えた。硬質脂肪を加えた後の温度は約64℃であった。完全なブレンドをさらなる5分にわたって混合し、それからCuisinart Frozen Yogurt-ICE cream & Sorbet Makerに注ぎ、結晶化させた。混合物がアップルソースのような粒状を呈し、柔らかいマッシュポテトと同様の粘度になると、混合物を、32オンスのガラスジャーに注ぎ、掻き取り、70°Fに維持された場所に保存した。
【0062】
(実施例4)
【0063】
【表3】
【0064】
高オレイン酸のキャノーラ油およびセルロース繊維を、室温においてビーカーに混合し、機械的な撹拌器を用いてホットプレート上において撹拌を続けた。撹拌を4時間にわたって続けた。溶かした硬質脂肪を約147°Fにおいて加えた。完全なブレンドをさらなる5分間にわたって混合し、それからCuisinart Frozen Yogurt-ICE cream & Sorbet Maker(ICE-20モデル)に注ぎ、結晶化させた。混合物がアップルソースのような粒状を呈し、柔らかいマッシュポテトと同様の粘度になると、混合物を、32オンスのガラスジャーに注ぎ、掻き取り、70°Fに維持された場所に保存した。
【0065】
(実施例5〜33)
以下の方法にしたがって実施例5〜33を調製した。所望の量の液状油を2500mLのビーカーに加えた。ビーカーをホットプレート上に置き、撹拌器を取り付けた。撹拌器を作動させ、300RPMに設定した。ホットプレートを200℃にした。所望の量のセルロースを加え、約20分にわたって混合した。油状物の温度が70℃に達すると、所望の量の硬質脂肪を加え、撹拌を続けた。混合を約5分にわたって続けた。加熱および撹拌を5分後にやめた。組成物を実施例1〜4に記載の通りに冷却した。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
(実施例34〜35)
実施例34〜35において、綿の硬質脂肪を使用し、組成物を実施例5〜33に記載されている方法によって調製した。
【0069】
【表6】
【0070】
(実施例36〜38)
実施例36〜38において、硬質脂肪および液状油を、セルロース繊維を加える前に以下のように調合した。2500mLのビーカーにおいて、所望の量の液状油の重量を測定した。ビーカーをホットプレート上に置き、撹拌器を取り付けた。攪拌機を作動させ、速度を300RPMに設定した。ホットプレートを200℃にした。所望の量の硬質脂肪を加え、70℃に達するまで撹拌を続けた。所望の量のセルロースを混合しながら加えた。約5分にわたって混合を続けた。撹拌器の速度は300RPMであった。加熱および撹拌を5分後にやめた。組成物を実施例1〜4に記載の通りに冷却した。
【0071】
混合物を70℃まで冷却し、それからアイスクリームメーカにおいて結晶化させた。
【0072】
【表7】
【0073】
(実施例39〜40)
実施例39〜40において、硬質脂肪としてヤシの硬脂ステアリン酸を使用し、より多い量のセルロース繊維を使用した。少量の調合物を、−20℃におけるウォークイン冷凍室の内部において、アイスクリームメーカにおいて撹拌した。
【0074】
【表8】
【0075】
(実施例41)
実施例41において、ダイズから生成され、それから飽和するまで硬化されたトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドの構造化ブレンドを、構造化脂肪として使用した。
【0076】
【表9】
【0077】
この実施例は、飽和トリグリセリド以外の成分がセルロース繊維とともに構造化するために使用され得ることを証明している。
【0078】
(実施例42〜45)
実施例42〜45において、種々のセルロース繊維を、調合物に対するそれらの作用を調べるために使用した。
【0079】
【表10】
【0080】
(実施例46)
実施例46において、水が調合物の構造化を促進するか否かを確認するために、少量の水を加えた。
【0081】
【表11】
【0082】
この程度の添加において、ショートニングは、水なしで作製したショートニングと特に変わらなかった。
【0083】
(実施例47)
実施例47において、グリセリンが調合物の構造化を促進するか否かを確認するために、少量のグリセリンを加えた。
【0084】
【表12】
【0085】
この程度の添加において、ショートニングは、グリセリンなしで作製したショートニングと特に変わらなかった。
【0086】
(実施例48〜50)
実施例48〜50において、部分的に硬化された基本の油を調合物に使用した。
【0087】
【表13】
【0088】
(実施例51〜54)
実施例51〜54において、乳化剤を、ケーキおよび糖衣加工のためのショートニング調合物に使用した。
【0089】
【表14】
【0090】
(実施例55)
実施例55において、試験工場の運転を、以下の成分を用いて実施した。
【0091】
【表15】
【0092】
200lbの単回処理を開始した。組成物を、HOC、硬質脂肪ブレンドおよびセルロースを混合することによって調合した。完全なブレンドを、冷却ユニットに進める前に、30分にわたってポンプおよび固定式のミキサを通して再循環させた。固定式のミキサを付け加えて、冷却ユニットに進める前に、ブレンドを再循環させてセルロース繊維の分散を促進させた。
【0093】
ラインの構成:A−C−B−充填
AユニットおよびCユニットは冷却ユニットであり、Bユニットは、ロータ上にあるピンおよび円筒壁から突出しているピンを有している運転ユニットである。
【0094】
【表16】
【0095】
【表17】
【0096】
(実施例56)
実施例56において、ケーキおよび糖衣のショートニングのための試験工場の運転を、以下の成分を用いて実施した。
【0097】
【表18】
【0098】
200lbの単回処理を開始した。組成物を、HOC、硬質脂肪ブレンドおよびセルロースを混合することによって調合した。完全なブレンドを、冷却ユニットに進める前に、30分にわたってポンプおよび固定式のミキサを通して再循環させた。固定式のミキサを付け加えて、冷却ユニットに進める前に、ブレンドを再循環させてセルロース繊維の分散を促進させた。
【0099】
ラインの構成:A−C−B−充填
【0100】
【表19】
【0101】
【表20】
【0102】
(実施例57)
実施例57において、すべての目的のショートニングのための試験工場の運転を、以下の成分を用いて実施した。
【0103】
【表21】
【0104】
150lbの単回処理を開始した。組成物を、HOC、硬質脂肪ブレンドおよびセルロースを混合することによって調合した。完全なブレンドを、冷却ユニットに進める前に、30分にわたってポンプおよび固定式のミキサを通して再循環させた。固定式のミキサを付け加えて、冷却ユニットに進める前に、ブレンドを再循環させてセルロース繊維の分散を促進させた。
【0105】
ラインの構成:A−C−B−充填
【0106】
【表22】
【0107】
【表23】
【0108】
実施例55および56において調製されたすべての目的のショートニングならびにケーキおよび糖衣のショートニングのサンプルを、70°Fにおいて72時間にわたって保存し、それから検査した。すべてのサンプルは、可塑性の柔軟なショートニングであった。各組のキューブを70°Fの保存に戻し、より気温の高い月の間における輸送をシミュレートするために、各組のキューブを、85°Fに制御された温度の場所に移した。8日後に、85°Fに保存したキューブを試験した。油状化は観察されなかった。材料の約半分を、新たな袋および箱に集め、85°Fにおいて保存するために戻した。残りの半分を70°Fにおいて保存するために元に戻した。すべての時間において70°Fに保存した油状物を実用試験した。72時間にわたって70°Fに保存し、8日にわたって85°Fに移し、70°Fに戻した油状物を、特定の用途において評価した。70°Fに保持し、85°Fに移して保持した油状物を特定の用途において評価した。70°Fに保持した油状物は十分に機能し、85°Fに移し、70°Fに戻した油状物は十分に機能した。ケーキおよび糖衣のショートニングの場合に、85°Fに移し、85°Fに維持させた油状物は、ケーキにはなったが、糖衣にはならなかった。
【0109】
ケーキおよび糖衣の調合物は、パウンドケーキの調合物にはならなかった。
【0110】
上述のショートニング組成物を、種々のパン菓子の用途において試験した。クッキーの用途において、ショートニング組成物における繊維の含量、およびベーキングの間における広がりの間に関連性があると考えられた。繊維の含量が多いほど、広がりが悪かった。
【0111】
パイ皮の試験において、繊維を含んでいるショートニングは、薄片のパイ皮になりにくいが、縮む程度が小さく、ベーキング後により大きな質量を有していた。
【0112】
小さなチョコレートのチップ(1lbにつき4000個のチップ)は、繊維を含んでいるショートニングを使用した焼いたクッキーにおいて、より視認し易かった。チップのサイズまたは封入物のサイズが大きいほど、より視認し易いこの特性は、速やかに、必須に等しくなった。
【0113】
乳化されたショートニングのうち実施例53および55のショートニングは、全体的に最も良好な性質を有していた。
【0114】
また、ショートニングは、伸ばしたシュガークッキーにおいて試験され、上首尾であった。
【0115】
(実施例58)
すべての目的の2つのショートニング調合物を、上述の実施例55〜57に記載されている手法と類似の手法を用いて調製した。
【0116】
以下の成分を使用した。
【0117】
【表24】
【0118】
調合物1は約14.96%の飽和レベルを有しており、調合物2は約19%の飽和レベルを有していた。また、調合物2は200ppmの抗酸化剤TBHQ(植物油の担体における20% TBHQの、0.1%)を含有していた。上述のショートニング調合物を、メトラーの滴点、種々の温度における固体脂肪の含量(SFC)プロファイル、飽和の%、およびトランスの%について定法を用いて分析した。
【0119】
以下の表は、すべての目的のショートニング調合物1についての分析値を示している。
【0120】
【表25】
【0121】
以下の表は、すべての目的のショートニング調合物2についての、約19%の飽和状態の調合物における分析値を示している。
【0122】
【表26】
【0123】
(実施例59)
ケーキおよび糖衣のショートニング調合物を、上述の実施例55〜57に記載されている手法と類似の手法を用いて調製した。
【0124】
以下の成分を使用した。
【0125】
【表27】
【0126】
抗酸化剤TBHQを、植物油の担体における20% TBHQとして加えた。
【0127】
ケーキおよび糖衣の上述のショートニング調合物を、メトラーの滴点、種々の温度における固体脂肪の含量(SFC)プロファイル、飽和の%、およびトランスの%について定法を用いて分析した。
【0128】
実施例58および59に記載されているすべての目的ならびにケーキおよび糖衣のショートニング調合物を、種々のパン菓子用途(すべての目的のショートニングにとってのチョコレートチップクッキー、パイ皮、ならびにケーキおよび糖衣の調合物にとってのレイヤーケーキ、糖衣およびパウンドケーキ調合物が挙げられる)において試験した。両方の調合物は条件を満たした生成物をもたらした。
【0129】
(実施例60)
Kroger Microwave Popcornの袋(Movie Theater Butter Brand、袋ごとに約3人前を有している焼いていない33gの1盛りの分量)を空け、トウモロコシのすべて、ならびにショートニングおよび塩のほとんどを、Buchnerファンネルの上に置いた。Buchnerファンネルをオーブンにおいて、トウモロコシから離して脂肪を溶かした。紙タオルを用いてトウモロコシを拭って、脂肪のほとんどを除去した。トウモロコシの重量は70.73gであった。袋の3つの主な内容物は、70.73gのトウモロコシ、2.67gの塩、25.60gのショートニングであった。
【0130】
実施例59の90.6gのショートニングを、9.47gの商標Mortonのポップコーン塩と混ぜた。ショートニングを、約1/2インチまでの厚さのホイルの上に広げ、塩をその上に振りかけ、それからスパチュラを用いて混ぜた。ショートニングおよび塩のこの混合物28.27gを70.7gのポップコーンに混ぜた。
【0131】
Kroger Microwave Popcornの他の袋を焼いてはじけさせ、袋の端部における上部を開いてトウモロコシおよびショートニングを取り出した。段落[0094]において調製したポップコーン混合物を空の袋に加え、袋を、商標white scotchのテープを用いて塞ぎ、使用説明書にしたがって袋に適したマイクロ波加熱炉においた。ポップコーンを焼いている間に袋を切れ目において開き、焼けたトウモロコシおよび焼けていないトウモロコシを袋から出した。焼けたトウモロコシの風味を調べた。ショートニング由来のセルロースは焼けたトウモロコシの風味または口当たりに影響を与えないことが分かった。
【0132】
ポップコーンの他の袋を用いて実験を繰り返した。このとき、ポップコーンの袋から約1.5インチの帯を切り取った。袋の内容物を空にし、段落[0094]において調製した混合物を空の袋に入れた。袋における切り口の全体に上記帯を当て、白いダクトテープを用いて所定の位置に帯を止めた。この構成は焼いている間にポップコーンを収納していた。
【0133】
混合物を、GE Profile 2.2 Cu. Ft. Countertop Microwave Ovenを用いたマイクロ波加熱炉において、ポップコーンの設定にしたがって、焼いてはじけさせた。
【0134】
(実施例61)
マイクロ波ポップコーンを焼くための空の袋を、SNAPPY(登録商標) POPCORN Co., Inc.から購入し、実施例60に記載されているような類似の実験を、これらの袋を用いて実施した。Orvillie Redenbacher’s Originalポップコーンをこの試験に使用した。段落[0094]において調製された99gのポップコーン混合物を可塑性のカップにおいて計量し、それから空の袋に移した。ポップコーン混合物を袋に入れた後、混合物を、手のひらを用いて袋の外側から下に押すことによって平らにした。35の袋を同様にして充填した。袋を、インパルスシーラ(Midwest Pacific Impulse Sealer Model MP-12)を用いて密閉した。
【0135】
各袋に、平均して440のトウモロコシの穀粒を入れた。これらの袋を、Magic Chef Microwave(オーブンモデルMCB110B)のオーブンのポップコーン設定を用いて、1つずつ焼いてはじけさせた。2つの袋から得られた焼けたポップコーンを、試食に割り当てた。風味は良好であり、セルロースの存在は焼いた生成物の対して大きな問題を起こさないと判定された。
【0136】
3つの袋を焼いてはじけさせ、焼けていない穀粒を数えた(48が焼けていない)。
【0137】
30の空の袋を、上述のように満たし、パーチメント紙を敷いたフルサイズの6つのシートパンの上に、シートパンごとに5つの袋があるようにおいた。これらのシートパンの2つ1組を、保存のために70°Fの場所におき、2つのパンの他の組を85°Fの場所において保存し、3組目を100°Fの場所において保存した。3週間の保存の後に、油状物の逃げは保存においていずれの袋にも認められなかった。
【0138】
ポップコーン、ショートニングおよび塩の混合物の他の単回量を段落[0094]に記載の通りに作った。2つの袋を上述のように満たし、焼いてはじけさせ、焼けていない穀粒を数えた。2つの袋には、49および22の焼けていない穀粒が入っていた。
【0139】
ろ紙(Whatman 4 Qualitative Circles 150 mm、カタログ番号1004 150)を用いて、3つの15cmのBuchnerファンネルを配置した。ろ紙の各片および各ファンネルの重量を計った。4インチのクッキーの抜き型のリングを各ファンネルの中央においた。段落[00102]におけるポップコーン混合物の約80g(80.2g、80.5g、80.4g)を、リングに入れ、4インチの直径の均一な厚さの集りにスパチュラを用いて紙の上に押しつけた。それからリングを外した。ファンネルを24時間にわたって100°Fの場所においた。加重した受け入れビーカーを各ファンネルの下においた。24時間後に、受け入れビーカーのいずれにも油状物は認められなかった。ポップコーンおよび油状物の集合は、ショートニングの柔軟なマトリクスによって、24時間の後にリング形状に依然として保持されていた。油状物は各ろ紙の端部に漏れており、ろ紙を取り除いたとき、いくらかの液体の油状物がろ紙の表面に見られた。ポップコーンの集りは、ろ紙によって擦られ、ろ紙は3つの組のそれぞれについて重くなっていた。紙は、1.88g、1.91gおよび2.17gの油状物の重量を増していた。ファンネルはそれぞれ0.08g、0.06gおよび0.05gの重量を増していた。
【0140】
ポップコーン、塩およびショートニングを混合する順序および方法はともに、マイクロ波ポップコーン製品にとって重要ではないと考えられる。ある実施形態において、種々の香料をポップコーン混合物に加えた。ある実施形態において、ポップコーンおよび塩を空の袋に入れ、それからショートニングを入れた。混合物は、入れる圧力によって大まかに混合され得る。
【0141】
(実施例62)
この実験において、マイクロ波ポップコーンにおける繊維および塩の分布を調べるために、少ないマトリクス、中程度のマトリクスおよび多いマトリクスにおける堆積したショートニングの顕微鏡評価を行った。空の袋にポップコーンを詰めた。ショートニング系(すなわち実施例61に記載されているショートニングおよび塩の混合物)を、約110°F〜135°Fにおいて各袋に加えた。ショートニングおよび塩の混合物を、3つの設定:少ないショートニング系の設定、中程度のショートニング系の設定、および多いショートニング系の設定において加えた。少ないショートニング系の設定において、加えられたショートニング系の量は袋におけるすべての内容物の重量に対して2.5〜3.5重量%であり、中程度のショートニング系の設定において、加えられたショートニング系の量は袋におけるすべての内容物の重量に対して10〜15重量%であり、多いショートニング系の設定において、加えられたショートニング系の量は袋におけるすべての内容物の重量に対して30〜35重量%であった。
【0142】
ポップコーンの袋の内容物を室温まで冷やした後に、ショートニングサンプルを、マイクロ波ポップコーンサンプルの袋の4つの異なる場所から回収した。各サンプルは約5μLであった。等量の各サンプルを、顕微鏡用のスライドの上に載せ、顕微鏡評価の前にスライドカバーを用いて覆った。顕微鏡評価を、偏光顕微鏡のもとに100倍において行った。
【0143】
少ないショートニング系のマトリクス:
異なる2種類の塩:1〜4ミクロンの長さを有している立方晶および六方晶が観察された。存在している繊維は、異なる直径、および集塊を形成する傾向を有していた。
【0144】
中程度のショートニング系のマトリクス:
異なる2種類の塩:2〜3ミクロンの長さを有している立方晶および六方晶が観察された。塩は均一に分散していた。存在している繊維は、異なる直径、および集塊を形成する傾向を有していた。
【0145】
多いショートニング系のマトリクス:
異なる2種類の塩:1〜4ミクロンの長さを有している立方晶および六方晶が観察された。塩は均一に分散していた。繊維の直径は、少ないショートニング系のマトリクスおよび中程度のショートニング系のマトリクスと比べて、均一であり、より小さい。少ないショートニング系のマトリクスおよび中程度のショートニング系のマトリクスより、繊維の良好な分布が観察された。
【0146】
本明細書に示されている組成物は、塩およびショートニングの均一な分布をもたらす。
【0147】
本願の全体を通して、種々の公開物が参照されている。それらの全体におけるこれらの公開物の開示内容は、本明細書に記載されている化合物、組成物および方法をより完全に説明するために、参照によって本明細書に援用される。
【0148】
種々の改良および変更は、本明細書に記載されている化合物、組成物および方法に対してなされ得る。本明細書に記載されている化合物、組成物および方法の他の局面は、明細書ならびに本明細書に記載されている化合物、組成物および方法の実施の検討から明らかである。明細書および実施例は例示とみなされることが意図されている。