特許第5883504号(P5883504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883504
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】インテリジェントなスートブロワ
(51)【国際特許分類】
   F23J 3/00 20060101AFI20160301BHJP
   F22B 37/56 20060101ALI20160301BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   F23J3/00 101A
   F23J3/00 101B
   F22B37/56 B
   B08B3/02 F
【請求項の数】19
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-513487(P2014-513487)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2014-519591(P2014-519591A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2011038996
(87)【国際公開番号】WO2012166146
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2014年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】513201435
【氏名又は名称】クライド・バーグマン・パワー・グループ・アメリカズ・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】Clyde Bergemann Power Group Americas Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】タンドラ,ダニー・エス
(72)【発明者】
【氏名】シヤー,サンデイープ
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05615953(US,A)
【文献】 国際公開第2009/139714(WO,A1)
【文献】 実開昭60−086932(JP,U)
【文献】 特開平03−148514(JP,A)
【文献】 実開昭60−054940(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0006841(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0005786(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01939569(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0212608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F22B 37/56
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ内の伝熱面を洗浄するためのシステムであって:
伝熱面から炉端堆積物を除去するために、洗浄流体を1もしくは複数のノズルを介して伝熱面に対して向けている間、ボイラ内を移動するように構成された細長いランスチューブを備えた温度センシングスートブロワと;
ランスチューブがボイラ内に位置する間、ボイラ内の燃焼ガスの温度測定値を得るように構成された、ボイラ内のランスチューブにより保持された温度センサーと;および
ボイラ洗浄コントローラであって、
1回目の通過中に伝熱面に近接する温度を測定するためにスートブロアを作動して、温度センサーに伝熱面の温度プロファイルを作成させ、その際、1回目の通過中にランスチューブの過熱を防ぐために十分な洗浄流体の最少洗浄流をスートブロアに放出させ
少なくとも一部は測定された温度に基づき洗浄が必要である領域として伝熱面の領域を同定し、
浄が必要な領域の同定に応答して、スートブロアのランスチューブを作動して2回目の通過中に伝熱面に近接するように移動して、スートブロアにその領域を洗浄させるように構成されたボイラ洗浄コントローラと;
を有する該システム。
【請求項2】
温度センサーがランスチューブと共に回転し、さらに温度センサーからのデータを非回転装置に送るデータ転送装置を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
データ転送装置がスリップリングを有する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
非回転装置がボイラ洗浄コントローラ、またはボイラ洗浄コントローラと通信するデータ収集ユニットを有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
さらにランスチューブに保持されたランスチューブ温度センサーを有する請求項に記載のシステムであって、ボイラ洗浄コントローラが、ランスチューブ温度センサーにより測定されたランスチューブの温度に応答して、1回目の通過中に洗浄流体の流れをスートブロアに調整させる該システム。
【請求項6】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度と比較することにより、洗浄が必要な領域を同定する、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、汚れた状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく汚れた面の閾値温度と比較することにより、洗浄が必要な領域を同定する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度と、および汚れた状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく汚れた面の閾値温度と比較することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
ボイラ洗浄コントローラが、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度より高い領域であると決定することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
温度センサーが伝熱面から燃焼ガス経路の下流に配置され;そして
ボイラ洗浄コントローラが、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき清浄面の閾値温度より低い領域であると決定することにより、洗浄が必要な領域を同定する、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
スートブロアが伝熱面の第一面に近接した第一スートブロアである請求項に記載のシステムであって;
さらに伝熱面の第二面に近接した第二スートブロアを有し;そして
ボイラ洗浄コントローラが、第一および第二スートブロアにより測定された温度間の示差温度を決定することにより洗浄が必要な領域を同定する、
該システム。
【請求項12】
ボイラ内の伝熱面を洗浄する方法であって;
伝熱面から炉端堆積物を除去するために、洗浄流体を1もしくは複数のノズルを介して伝熱面に対して向けている間、ボイラ内を移動するように構成された細長いランスチューブを備えた温度センシングスートブロワを提供する工程と;
ランスチューブがボイラ内に位置する間、ボイラ内の燃焼ガスの温度測定値を得るように構成された、ボイラ内のランスチューブにより保持される温度センサーを提供する工程と;そして
1回目の通過中に伝熱面に近接する温度を測定するためにスートブロアを作動して、温度センサーに伝熱面の温度プロファイルを作成させ、その際、1回目の通過中にランスチューブの過熱を防ぐために十分な洗浄流体の最少洗浄流をスートブロアに放出させる工程と;
少なくとも一部は測定された温度に基づき洗浄が必要である領域として伝熱面の領域を同定する工程と;そして
洗浄が必要な領域の同定に応答して、スートブロアのランスチューブを作動して2回目の通過中に伝熱面に近接するように移動して、スートブロアにその領域を洗浄させる工程と;
を有する該方法。
【請求項13】
ランスチューブに保持されたランスチューブ温度センサーにより測定されたランスチューブの温度に応答して、1回目の通過中に洗浄流体の流れを調整する工程をさらに有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度と比較することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、汚れた状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく汚れた面の閾値温度と比較することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ボイラ洗浄コントローラが、伝熱面の温度プロファイルを、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度と、および汚れた状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく汚れた面の閾値温度と比較することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ボイラ洗浄コントローラが、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づく清浄面の閾値温度より高い領域であると決定することにより洗浄が必要な領域を同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
温度センサーが伝熱面から燃焼ガス経路の下流に配置され;そして
ボイラ洗浄コントローラが、清浄状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき清浄面の閾値温度より低い領域であると決定することにより、洗浄が必要な領域を同定する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
スートブロアが伝熱面の第一面に近接した第一スートブロアである請求項12に記載の方法であって;
さらに伝熱面の第二面に近接した第二スートブロアを提供する工程を有し;そして
ボイラ洗浄コントローラが、第一および第二スートブロアにより測定される温度間の示差温度を決定することにより洗浄が必要な領域を同定する、
該方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
工業用ボイラの低炉からのフライアッシュ粒子の、ボイラの対流部へのエントレインメントは必然的な過程である。これら粒子の炉端熱交換面での蓄積は、ボイラの熱効率を下げ、ボイラのチューブ表面に潜在的な腐食環境を作り、そしてこの蓄積が正しく制御されなければ、ガス通路の詰まりにより経費がかかる予期せぬ運転停止を生じる恐れもある。
【0002】
したがってボイラの伝熱面をわたる燃焼ガス温度に関する知識は、炉端堆積物(fireside deposit)の特性を評価し、インテリジェントな堆積物の除去法を介してボイラの洗浄操作を改善し、そしてボイラの操作および燃焼プロセスを至適化するために使用することができる1つの重要な情報である。ボイラの壁に、または他の内部ボイラ構造の固定した場所に配置された従来の温度センサーは、ボイラの伝熱面をわたる燃焼ガス温度をモニターしない。したがって工業用ボイラ内側の伝熱面をわたる燃焼ガスの内部温度をモニタリングする効果的方法についての必要性が依然として存在する。
【0003】
スートブロワは、重油燃焼、石炭燃焼、廃棄物燃焼での廃棄物焼却炉のような工業用ボイラ、ならびに製紙、石油精製、製鋼およびアルミニウム製錬および他の工業的事業で使用されるボイラで炉端堆積物の蓄積を除去するために、断然最も広く使用されている装置である。スートブロワは1もしくは複数のノズルを持つランスチューブからなる。堆積物の除去工程中、スートブロワのランスは回転し、そしてボイラの壁の小さい穴を介して伸びると同時に、高圧洗浄流体(例えば蒸気、空気または水)を管群に吹き付ける。ランスが完全に延長した後、ランスは元の非活動状態に引き込まれる時に反対方向に回転する。
【0004】
スートブロワ可動部は、1もしくは2個の電気モータ、ギアボックスおよびパッキンハウジングからなる。電気モータは、洗浄サイクル中にランスチューブを前方および後方に動かす主駆動装置である。モータは電気エネルギーを回転運動に変換し、次いでこれはランスチューブをギアラックに沿って回転し、そして動かすためにギアボックスに使用される。蒸気がスートブロワに入る時、蒸気は以下の順序で4つの構成要素に向けられる:ポペット弁、送管(feed tube)、ランスチューブおよびノズル。ランスチューブは、ボイラ内を移動する主構成要素であり、ボイラ内を移動すると同時にボイラチューブに対して噴射する高圧蒸気がスートブロワのノズルに供給される。ランスの移動にはボイラへの挿入およびそれからの引き込みを含む。洗浄工程中、ランスはボイラ内に延び、そして片持ちビーム(cantilevered beam)に似た構造を形成する。したがってランスはそれ自体の重量を高温の環境で支持するために十分な強度を有するように設計されなければならない。
【0005】
内部ボイラの操作中に、ランスチューブの過熱を回避するために、冷却媒質としても作用する吹き付け流体は、ランスに連続的に供給される必要がある。ランスの過熱を防ぐために必要な洗浄媒質の最少量は、最少冷却流として知られている。ランスチューブの最少冷却流は、ランスチューブの材料、長さ、蒸気および燃焼ガス温度に依存する。ランスがボイラ内側の熱い燃焼ガスに暴露されている時、ランスチューブの温度に関する知識は、ランスチューブの過熱を防ぎ、しかも緊急のスートブロワ引き込み制御法を考案するために大変重要である。したがってランスがボイラ内側の熱い燃焼ガスに暴露されている時、ランスチューブの温度をモニタリングするための効果的方法についての必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0006】
発明の要約
本発明は、ボイラ内の伝熱面を洗浄するためのインテリジェントなスートブロア法およびシステムで上記の必要性を満たすものである。このインテリジェントなスートブロアは、ボイラ内を移動すると同時に炉端堆積物を伝熱面から除去するために洗浄流体を1もしくは複数のノズルを通して伝熱面に向けるように形成された細長いランスチューブを含む。ボイラ内でランスチューブが保持する温度センサーは、ランスチューブがボイラ内に配置されている間、ボイラ内の燃焼ガスの温度測定値を得る。ボイラ洗浄コントローラは伝熱面に近接する温度を測定するためにスートブロアを作動し、少なくとも一部は測定した温度に基づき洗浄が必要な領域として伝熱面の領域を同定し、そして洗浄が必要な領域の同定に応答してその領域を洗浄するためにスートブロアを作動する。
【0007】
スリップリングのようなデータ転送装置を使用して、温度センサーから非回転装置にデータを伝達することができる。非回転装置にはボイラ洗浄コントローラまたはボイラ洗浄コントローラと通信するデータ収集ユニットを含むことができる。
【0008】
ボイラ洗浄コントローラは、1回目の通過中に伝熱面に近接して移動するようにランスチューブを作動して、温度センサが伝熱面の温度プロファイルを作成するようにさせることができる。次いでボイラ洗浄コントローラは、2回目の通過中に伝熱面に近接して移動するようにランスチューブを作動して、洗浄が必要と同定された領域をスートブロアに洗浄させる。ボイラ洗浄コントローラは一般に、最初の通過中にランスチューブの過熱を防ぐために十分な最少の洗浄流をスートブロアに噴出させる。またこのシステムはランスチューブにより保持されるランスチューブ温度センサを含むことができる。この場合、次にボイラ洗浄コントローラは、ランスチューブ温度センサにより測定されたランスチューブの温度に応答して、1回目の通過中にスートブロアが最少洗浄流を増すようにさせる。
【0009】
ボイラ洗浄コントローラは一般に、清浄な状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき、伝熱面の温度プロファイルを清浄な面の閾値温度と比較することにより、洗浄が必要な領域を同定する。またボイラ洗浄コントローラは、汚れた状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき、伝熱面の温度プロファイルを汚れた面の閾値温度と比較することにより、洗浄が必要な領域を同定することもできる。
【0010】
加えて、ボイラ洗浄コントローラは、清浄な状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき、清浄面の閾値温度よりも熱い領域を決定することにより、洗浄が必要な領域を同定することができる。温度センサが伝熱面から下流の燃焼ガス経路に配置されている場合、ボイラ洗浄コントローラは、清浄な状態の伝熱面に関する温度プロファイルに基づき、清浄面の閾値温度よりも冷たい領域を決定することにより、洗浄が必要な領域を同定することができる。
【0011】
またスートブロアは伝熱面の第一面(side)に近接する第一スートブロアであることもでき、そしてこのシステムは伝熱面の第二面に近接する第二スートブロアを含むことができる。この場合、ボイラ洗浄コントローラは第一および第二スートブロアにより測定される温度間の示差温度を決定することにより、洗浄が必要な領域を同定することができる。
【0012】
前記観点では、本発明が従来のボイラ温度測定システムの欠点を回避し、しかも改善された温度センシングスートブロワを提供することが認められる。この温度センシングスートブロワを作成するための具体的技術および構造、ならびにそれによって達成される上記の利点は、以下の態様の詳細な説明および添付する図面および請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】温度センシングスートブロワの概略的図解である。
図2】ボイラ内の伝熱面をわたる燃焼ガスの温度を測定する温度センシングスートブロワの概念的図解である。
図3】スリップリングデータ転送装置の位置を示す温度計測スートブロワの側面図である。
図4】温度センシングスートブロワランスの斜視図である。
図5】温度センシングスートブロワランスの末端を示す図7の詳細Aの拡大図である。
図6】温度センシングスートブロワランスの末端図である。
図7】熱電対温度センサー、保護溶接ワイヤおよび肉盛を示す図6の詳細Bの拡大図である。
図8】熱電対温度センサー、保護溶接ワイヤおよび肉盛を持つ温度センシングスートブロワ内の溝のさらなる拡大図である。
図9】ボイラガスのモニタリング位置および非修飾ランスチューブの末端を示す温度計測ランスチューブの末端断面図である。
図10】ランス内側の洗浄流体の温度を測定する温度センサーを保持するスートブロワランスの概念的な断面側面図である。
図11】ボイラ内側の温度プロファイルを測定するスートブロアランスの概念的図解である。
図12】最適な温度閾値に対して測定した温度プロファイルを比較するスートブロワ洗浄法を具体的に説明するグラフである。
図13】洗浄が必要な汚れた熱交換領域を示す最適温度より低い領域を検出するガス温度センサを含むスートブロアの概念的図解である。
図14】洗浄が必要な汚れた熱交換領域を示す最適温度より高い領域を検出するガス温度センサを含むスートブロアの概念的図解である。
図15】熱交換器表面から上流で測定された温度プロファイルを、熱交換器表面から下流で測定された温度プロファイルと比較するスートブロア洗浄法を具体的に説明するグラフである。
図16】温度センシングスートブロワで測定された燃焼ガスの温度に応答して、ボイラの洗浄操作を作動させるためのルーチンを具体的に説明する論理的流れ図である。
図17】過熱からランスを保護するためにランスを引き込むためのルーチンを具体的に説明する論理的流れ図である。
図18】熱交換器表面が清浄であることを同定するためのガス温度センサーを含むスートブロアランスを使用するためのルーチンを具体的に説明する論理的流れ図である。
図19】汚れた熱交換器表面を洗浄するためのルーチンを具体的に説明する論理的流れ図である。
図20】熱交換器表面が清浄かどうかを確認するためのルーチンを具体的に説明する論理的流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、既存のスートブロワまたは特別に構築されたスートブロワに対する改良として形成することができ、それはその通常の煤吹き機能に加えて、燃焼ガス、ランスチューブおよび/または洗浄流体の温度を測定する能力を有する温度センシングスートブロワで具体化することができる。1もしくは複数の熱電対または他の温度測定装置は、ボイラ内を移動するスートブロワランスチューブに保持される。これにより燃焼ガス、ランスチューブおよび/または洗浄流体の温度は、スートブロワランスチューブがボイラに挿入およびそれから引き込まれる時に測定できるようになる。伝熱面を渡る温度およびランスチューブに沿った様々な位置での温度を測定するために、複数の温度測定装置をスートブロワランス上に配置することができる。ボイラ内の洗浄および他の操作に使用するために、データ転送装置は回転している熱電対からの温度測定値を、非回転データ収集ユニットに転送する。
【0015】
スリップリングのようなデータ転送装置は、熱電対からの信号をスートブロワの非回転部に位置するデータ収集ユニットに転送するために使用する。本発明はボイラ内に一部挿入されるスートブロワでも使用することができる(ハーフトラック(half−track)スートブロワと呼ぶこともある)。またボイラのガス路に連続的に挿入されるスートブロワに使用することもできる。温度センサーは熱電対、測温抵抗体(RTD)またはスートブロワのランスチューブに付けられる適当な他の種類の計測装置であることができる。
【0016】
図1は、ノズルから放出される流体の噴射によりランスにかかる力のつり合いを取るために、互いに向かいあうランスチューブの一端を支持するフランジ16からノズル14に延びるランスチューブ12を含む温度センシングスートブロワ10の概略的図解である。このランスチューブは、ボイラ壁の穴を通ってボイラ内部に挿入され、ここでボイラ内側の伝熱面を洗浄するために延ばされ、そして引き込まれる。ノズルは、ランスチューブの任意の場所に設置でき、ここで内部ボイラの伝熱面から炉端堆積物を洗浄するために、1もしくは複数の洗浄流体、例えば蒸気、空気または水がノズルに供給される。ランスチューブは挿入方向に(フランジからランスの先端に向かって)移動する時に回転し、ランスチューブが近接する伝熱面を渡って移動する時に洗浄流体をらせん状に吹き付ける。ランスチューブは引き込み方向に(ランスの先端からフランジに向かって)移動する時、反対方向に回転する。
【0017】
燃焼ガスおよびボイラ内側のランスチューブの温度を測定するために、温度センシングスートブロワ10は温度センサー、この説明ではランスチューブの長手方向に沿って延びるマルチストランド熱電対20を保持する。この熱電対はデータ転送装置、この説明では熱電対がランスチューブと回転している間に熱電対からの温度測定値をデータ収集ユニット24に転送するスリップリング22に接続されている。次にこのデータ収集ユニット24は、温度測定値をボイラ洗浄コントローラ25に、あるいはボイラ内側の伝熱面をわたる温度プロファイルを表示すること、スートブロワおよび他のボイラ洗浄装置を作動させること、ボイラ操作を調節すること、過熱を防ぐためにランスチューブを引き込むことなどの様々な目的にこの測定値を使用できる他のプロセッサーに伝達する。データ収集ユニット24がプロセッサーを含む場合、温度を設定し(create)、そしてこれら機能の幾つかを行うことができる。
【0018】
熱電対20は、一般に複数の2線式の熱電対を含むより線であり、ランスチューブに沿って複数の温度計測位置26で計測できるようにする。例えば熱電対は6本のワイヤを含み、3個のK型熱電対を提供することができる。これがランスチューブの温度に関する知識を提供するので、過熱を防ぐためにランスチューブを引き込むことができる。ランスチューブに沿った温度は、所望により複数の位置でモニターすることができる。
【0019】
また熱電対は、ランス挿入方向にランスの先端を越えて配置されるボイラガスモニタリング位置30も含むことができる。ランスチューブではなくボイラの燃焼ガス温度を得るために、ランスチューブの延長部28はランス挿入方向にランスの先端を越えた熱電対を支持する。またこの熱電対はランスチューブ延長部28をわずかに越えて延びるので、温度モニタリング位置30はランスチューブ延長部に物理的に接することなく燃焼ガス中で支持される。例えばランスチューブ延長部28はランスの先端を4〜6インチ越えて延びることができ、そして熱電対20はボイラガスモニタリング位置30へとさらに0.5インチ延びることができる。このランスチューブ延長部28は、冷却目的で1もしくは複数の孔34も含むことができる。このランスチューブ延長部は、一般にランスチューブと同じ種類の材料で作られ、そしてランスの先端に溶接される。
【0020】
図2はボイラ内の伝熱面32をわたる燃焼ガス温度を測定する温度センシングスートブロワ10の概念的図解である。熱電対20のボイラガス温度モニタリング位置30は、スートブロワランス12が伝熱面32に近接し、そしてそれを渡って移動する時、燃焼ガスの温度を測定する。データ収集ユニット24(図1)、ボイラ洗浄コントローラ25(図1)、または他のプロセッサーは、伝熱面をわたるボイラの内部温度プロファイルを作成する。温度プロファイルは一般に、伝熱面の熱伝達能を下げる炉端堆積物を伝熱面が有するのかどうかについて示し、インテリジェントなスートブロワ操作を含むインテリジェントなボイラ操作を可能にする。またこの温度モニタリング位置(1もしくは複数)26は、ランスチューブの温度も測定し、過熱を防ぐためにランスチューブを引き込むことができるようにする。
【0021】
一般に清浄な表面の参照温度(最適)より上または清浄な表面の参照温度(最適)より下の測定温度は、洗浄が必要な熱交換器上の汚れた領域を示す。特に清浄な表面の参照温度より上の測定温度は、洗浄が必要な熱交換器上の汚れた領域を示す。一方、清浄な表面の参照温度より下の測定温度は、ランスが熱交換器表面より上流の場合には清浄な熱交換器表面を示すことができ、あるいはランスが熱交換器表面より下流の場合には洗浄が必要な熱交換器上の汚れた領域を示すことができる。図16〜20を参照にして記載したボイラ洗浄のアルゴリズムは、この状況の観点でボイラ洗浄を実行する。
【0022】
図3〜7は、実質的に一定の比率に縮小した温度センシングスートブロワの説明的態様を示す。図3は温度センシングスートブロワ10の側面図であり、スリップリングデータ転送装置22の位置およびフランジ16を示す。スリップリングは一般に、フランジからの蒸気が漏れた場合にスリップリングに対する損傷を防ぐために、フランジ16の約6インチ先に配置された非回転板に取り付けられる。このスリップリングは、ランスチューブと回転するインナースリーブおよびこの板に固定された非回転アウタースリーブを持つボールベアリングまたは類似のレースを含む。インナースリーブに連結したワイヤは熱電対に連結され、同時にアウタースリーブに連結されたワイヤはデータ収集ユニットに接続される。これによりスリップリングは回転している熱電対からの温度測定値を非回転データ転送ユニットに伝達できるようになる。しかし、熱電対とデータ収集ユニットとの間のワイヤレスデータリンク、または他の適切な種類のデータ転送装置のような別の種類のデータ転送装置を使用してもよい。
【0023】
図4は溝40を含む温度センシングスートブロワランス12のランス部分の先端の斜視
図である。図5図4の詳細Aの拡大図であり、ランスチューブ延長部28を含む温度センシングスートブロワランスの末端を示す。図6は温度センシングスートブロワランス12の末端図であり、そして図8図7の詳細Bの拡大図であり、溝40を示す。図8は熱電対20、保護溶接ワイヤ42、および肉盛44を有する溝40のさらなる拡大図である。スリップリングからランスチューブ延長部の末端へ延びる溝は、機械で作るかまたは鋸でランスチューブに掘り込むことができる。熱電対20は溝40の底に配置され、保護用溶接ワイヤ42が熱電対の上に配置される。肉盛44は熱電対を溝内に密閉するために溝(grove)上に溶接される。保護用溶接ワイヤは熱電対が溶接工程中に損傷されることを防ぐ。溝44は保護用溶接ワイヤとほぼ同じサイズに切断され、溝と溶接ワイヤとの間に振込み締まり嵌め(snug interference fit)を提供する。熱電対は溶接ワイヤと同じサイズか、またはそれより小さくてよい。
【0024】
図9は温度センシングスートブロワランスチューブ12の末端の拡大切断図であり、ランスチューブ延長部28の末端を越えて延びる熱電対の末端にボイラガス温度モニタリング位置30を示す。図9はまた、非修飾ランスチューブの丸型末端60も示す。
【0025】
図10は、すでに記載したように溝40内にマルチストランド熱電対20を保持するスートブロワランス12の壁11の概念的な断面側面図である。この例ではスートブロワは、壁11を通って溝から延びる穴41を含む。これにより熱電対がランス壁を通ってランスチューブの内部に延びることができ、ここで熱電対はランス内側の洗浄流体の温度を測定する。任意の数の熱電対を配備してランスチューブ、ランスチューブ外側のガスおよび/またはランスチューブ内側の洗浄流体の温度を、ランスチューブに沿って任意の所望する位置で測定することができると考えられる。また熱電対はランスチューブの温度を内面、外面またはランスチューブ壁の任意の所望の深さで測定するために使用することができる。
【0026】
図11は、熱交換面32を渡って移動する場合に、温度プロファイル100を測定する温度センシングスートブロワランスの概念的図解である。スートブロアランス12は、ランスが熱交換面32を通過して移動する場合、ランスを通る流体の最少冷却流を維持する。この目的は、洗浄が必要な表面の汚れた領域を同定するために、この表面の清浄な表面参照プロファイル(最適)と比較する温度プロファイル100を測定することである。測定した温度プロファイル100は、洗浄が必要な表面の汚れた領域の同定にさらに役立つように、典型的な汚れた状態の熱交換面に関する参照プロファイルとも比較することができる。同定された汚れた領域は、一般に高流量の洗浄流体の放出が温度測定を妨害しないように、続く通過により洗浄される。
【0027】
図12は領域AおよびCにおいて最適温度プロファイル102よりも低い、および領域Bにおいて最適温度プロファイルより高い測定温度プロファイル100を具体的に説明するグラフである。熱交換器の汚れた領域は、温度を測定するスートブロアランスがボイラのガス流路中で熱交換面から上流か、または下流かを考慮しながらグラフ100および102を比較することにより同定される。図12の領域Bのような最適な測定温度より高い熱交換領域は、洗浄が必要な汚れた熱交換領域である。特にランスが熱交換面から上流にある場合、熱交換器32上の炉端堆積物104は燃焼ガスの流れを遮断し、堆積物の領域から上流のランスを加熱する加熱の増大を引き起こす。
【0028】
最適測定温度より低い熱交換領域は、不確定な状況を表す。ランスが熱交換面から下流にある場合、測定温度プロファイル100が最適温度プロファイル102より下にある領域AおよびCは汚れた熱交換面の存在を示す。この状況は図13で具体的に説明され、ここで熱交換器32上の炉端堆積物104は、燃焼ガスが堆積物の領域のランス12を加熱することを効果的に遮断する。一方、ランスが熱交換面から上流にある場合、測定した温
度プロファイル100が最適温度プロファイル102より下である領域AおよびCは、清浄な熱交換面の存在を示す。
【0029】
結果として目的温度より上の測定温度は、洗浄する必要がある熱交換領域を示し、一方、目的温度より下の測定温度は、ランスが熱交換面より上流にあるならば清浄な熱交換領域を示す可能性があり、あるいはランスが熱交換面から下流にある場合は汚れた熱交換面を示す可能性がある点で曖昧である。いかなる曖昧さも解決するために、図14は2つの温度センシングスートブロア12Aおよび12Bの使用を具体的に説明し、スートブロア12Aは熱交換器32の下流に配置され、そしてスートブロア12Bは熱交換器の上流に配置される。炉端堆積物はこの形式で温度プロファイルを取るスートブロアの組み合わせを用いて正確に位置を定めることができ、これはまた熱交換面の両側の洗浄も可能とする。図15は、熱交換面から上流で測定された温度プロファイル106と熱交換面の下流で測定された温度プロファイル100とを比較するスートブロアの洗浄法を具体的に説明するグラフである。この示差温度108を次に示差温度閾値と比べて洗浄が必要な汚れた熱交換領域を同定することができる。この与えられた入熱条件について、熱交換面の予想した示差温度より上の閾値より多い測定された示差温度は、洗浄が必要な汚れた熱交換面を示す。
【0030】
図16は温度センシングスートブロアで測定した燃焼ガスの温度に応答してボイラ洗浄操作を作動させるためのルーチン1600を具体的に説明する論理的流れ図である。工程1610では、一般に伝熱面が清浄状態であると知られている時のその温度を測定することにより、またはコンピューターのシミュレーションを介して、清浄な伝熱面の参照温度が得られる。工程1610に工程1612が続き、ここで蓄積したスラグ(炉端堆積物)を持つ伝熱面の参照温度が、ここでも伝熱面が影響を受けた(impacted)状態であると知られている時のその温度を測定することにより、またはコンピューターのシミュレーションを介して、得られる。工程1612に工程1614が続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、清浄および汚れた参照温度に基づく洗浄閾値温度を用いてプログラムされる。例えば洗浄閾値温度は清浄と影響を受けた参照温度との間の中間に設定することができる。工程1614に工程1616が続き、ここでボイラ洗浄コントローラが温度センシングスートブロワを作動してボイラの温度を測定すると同時に、ランスの過熱を回避するために必要な最少の洗浄流体流を維持する。図17に示すルーチン1700は、温度プロファイルを測定しながらランスの過熱を防ぐために、最小流速を制御する方法論である。工程1616に工程1618が続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、測定した温度が洗浄閾値温度より高いかどうかを決定する。測定した温度が洗浄閾値温度より高い場合、“イエス”ブランチが工程1620へと続き、ここでスートブロワを作動して検出した影響を受けた表面を洗浄する。測定した温度が洗浄閾値温度の上ではない場合、“ノー”ブランチが工程1622へと続き、ここでスートブロワ洗浄コントローラは別の計画された検査のために待つ。また工程1620に工程1622が続き、これは工程1616にループし、ここでボイラ温度が温度センシングスートブロワにより測定される。
【0031】
図17は、潜在的過熱を回避するために温度センシングスートブロワを保護するルーチン1700を具体的に説明する論理的流れ図であり、これは最少の冷却流を放出しながらランスが温度プロファイルを得ている間に適用することができる(図16、工程1616を参照)。工程1710では、ボイラ洗浄コントローラは、ランスチューブの過熱を回避するためにランスチューブを保護する閾値温度を用いてプログラムされ、これは一般にランスチューブの材料の仕様および経験に基づく。例えば、閾値温度は1,200°Fに設定することができる。工程1710に工程1712が続き、ここで温度センシングスートブロワは一般に洗浄または温度計測操作のためにボイラ内に位置し、同時にランスの過熱を回避するために最少の洗浄流体流が維持される。工程1712に工程1714が続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、ランスチューブの測定温度が閾値温度の上であり、ラ
ンスチューブの潜在的過熱を示しているかどうかを決定する。測定した温度が閾値温度の上である場合、“イエス”ブランチが工程1716へと続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、スートブロワを通る洗浄流体流がその最大レベルに設定されているかどうかを決定する。測定された温度がその最大レベルに設定されていない場合、“ノー”ブランチが工程1718へと続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、スートブロワを通る最大洗浄流体流の10%のような増分量により、スートブロワを通る洗浄流体流を上げる。測定された温度がその最大レベルに設定されている場合、“イエス”ブランチが工程1720へと続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、過熱を防止するためにスートブロワランスを引き込む。工程1714に戻り、測定した温度が閾値温度の上ではない場合、“ノー”ブランチが工程1722へと続き、ここでボイラ洗浄コントローラは、次に計画された検査のために待つ。また工程1718は工程1720へと続き、これは工程1712へとループを戻し、ここでランスの温度が測定される。
【0032】
図18は、洗浄する熱交換面を同定するために、ガス温度センサーを含むスートブロアランスを使用するルーチン1800を具体的に説明する論理的流れ図である。工程1810ではスートブロア制御システムが与えられた入熱条件に関するガス温度プロファイルの目標を得る。これには一般に、できる限り多くの汚れた熱交換器を洗浄すること、または単に所望する伝熱効率を達成できる洗浄することを含む。これはできる限り多くの汚れた熱交換器を常に洗浄しようとすることが経費効果があるわけではなく、場合によっては単に所望の伝熱効率を得るために十分である洗浄が最も効率的な洗浄法となることもあり得るからである。目標となるガス温度プロファイルは与えられた入熱条件に依存し、そして洗浄時にボイラに存在する入熱条件に適切となるように慎重に選択されなければならないことに留意されたい。すなわち所望する目標ガス温度プロファイルは、洗浄時に存在する入熱条件に依存して変動するということである。様々な入熱条件に対応するために、スートブロアの制御システムは、様々な入熱条件に関して特定の熱交換面の多くの目標ガス温度プロファイルを保存することができる。またこのスートブロア制御システムは、保存されたプロファイル間に内挿することにより、またはボイラのシュミレーションソフトウェアを使用することにより、その動作中(on the fly)に関する目標ガス温度プロファイルも作成することができる。
【0033】
工程1810に工程1812が続き、ここでスートブロアランスは、洗浄すべき熱交換面の温度プロファイルを得るために挿入され、そして引き込まれる。この測定工程は、温度測定に及ぼす放出流体の効果を最少に維持しながら、しかもランスの過熱を防ぐために、ランスを通る最小の流速で実施される。図17に示すルーチン1700は、ランスの過熱を防ぐと同時に温度プロファイルを測定するための最小流速を制御する方法論である。工程1812に工程1814が続き、ここでスートブロア制御システムは、測定したガス温度プロファイルが目的温度プロファイルより下の領域を同定し、そして記録する。これらの領域は図12の領域AおよびCに対応する。工程1814に工程1816が続き、ここでスートブロア制御システムは、測定したガス温度プロファイルが目的温度プロファイルより上の領域を同定し、そして記録する。これらの領域は図12の領域Bに対応する。
【0034】
一般に領域Bは洗浄が必要であり、一方、領域AおよびCはスートブロアランスが洗浄する熱交換面から下流にある場合には洗浄が必要であるが、スートブロアランスが洗浄する熱交換面から上流にある場合には洗浄が必要ではない。これは汚れた熱交換面を洗浄するためのルーチン1900を具体的に説明する論理的流れ図である図19を参照にしてより詳細に説明される。図18からの工程1816に工程1910が続き、ここでスートブロア制御システムは特定の場所で測定した温度プロファイルが目標温度プロファイルの上かどうかを決定する。特定の場所で測定した温度プロファイルが目標の温度プロファイルの上の場合、“イエス”ブランチが工程1910から工程1912へと続き、ここでその領域は洗浄が必要な領域としてフラグが立てられる(flagged)。工程1912に
工程1914が続き、ここでスートブロア制御システムは熱交換面のフラグが立てられた領域について洗浄を実施する。工程1914に工程1916が続き、ここでスートブロア制御システムは、熱交換器への入熱が変化したかどうかを決定する。熱交換器への入熱が変化した場合、“イエス”ブランチが工程1916から図18の工程1810へと続いて、新たな入熱レベルについて再検査を開始する。熱交換器への入熱が変化しなかった場合、“ノー”ブランチが工程1916から工程1924へと続き、ここでシステムは次に計画した検査を待ち、次いで図18の工程1812に戻って次に計画された検査を開始する。
【0035】
工程1910に戻り、特定の位置で測定した温度プロファイルが目標の温度プロファイルより下の場合、“ノー”ブランチが工程1910から工程1918へと続き、ここでこの領域にはさらに清浄化が必要な領域としてフラグが立てられる。工程1918に、図20に示す洗浄条件のルーチン2000である工程1920が続く。工程1920に工程1922が続き、ここでスートブロア制御システムは、熱交換面がルーチン2000により清浄であると考えられるかどうかを決定する。熱交換面が清浄と考えられる場合、“イエス”ブランチが工程1922から工程1916へと続き、ここでスートブロア制御システムは入熱が変化したかどうかを決定する。熱交換面が清浄と考えられない場合、“ノー”ブランチが工程1922から工程1912へと続き、ここで熱交換面は洗浄のためにフラグが立てられる。
【0036】
図20は熱交換面が清浄かどうかを確認するためルーチン2000を具体的に説明する論理的流れ図である。工程2010では、スートブロア制御システムは上流の温度測定が利用可能であるかどうかを決定する。上流の温度測定が可能である場合、“イエス”ブランチが工程2010から工程2012へと続き、ここでスートブロア制御システムは清浄状態での熱交換面について最大の示差温度(上流温度対下流温度)を得る(例えば清浄状態の熱交換面について、予想される示差温度より上の閾値、または十分に清浄な熱交換面について予想される示差温度より上の閾値)。工程2012に工程2014が続き、ここでスートブロア制御システムは熱交換面に関して測定された示差温度(上流温度対下流温度)を計算する。工程2014に工程2016が続き、ここでスートブロア制御システムは目標と測定された示差温度との間の差を決定する。測定された示差温度が目標とする示差温度の下である場合、“ノー”ブランチが工程2016から工程2018へと続き、ここで熱交換器の領域は清浄であるとフラグが立てられる。工程2018に図19の工程1922が続き、熱交換器の領域は清浄であるとフラグが立てられる。測定された示差温度が目標の示差温度の上である場合、“イエス”ブランチが工程2016から工程2020へと続き、ここで熱交換器の領域はかなり汚れており、そして洗浄が必要であるとフラグが立てられる。工程2020に図19の工程1912が続き、熱交換器の領域は汚れているとフラグが立てられる。
【0037】
工程2010に戻り、上流の温度測定が利用できない場合、“ノー”ブランチは工程2010から工程2022へと続き、ここでスートブロア制御システムはデッドゾーン設定点(dead zone set point)を得る。工程2022に工程2024が続き、ここでスートブロア制御システムは測定した温度がデッドゾーン設定点の温度の下かどうかを決定する。デッドゾーン設定点は、洗浄すべき熱交換面から下流で予想される温度より下の閾値レベルを表す。デッドゾーン設定点より下の測定温度は、図13に示すように温度センサーから上流の熱交換面上に炉端堆積物を示した。測定された温度がデッドゾーン設定点の温度より下である場合、“イエス”ブランチが工程2024から工程2020へと続き、ここで熱交換器の領域はかなり汚れ、そして洗浄が必要であるとフラグが立てられる。工程2020に図19の工程1912が続き、熱交換器の領域は汚れているとフラグが立てられる。測定温度がデッドゾーン設定点の温度の上である場合、“ノー”ブランチが工程2024から工程2018へと続き、ここで熱交換器の領域はかなり汚
れており、そして洗浄が必要であるとフラグが立てられる。工程2018に図19の工程1922が続き、熱交換器の領域は清浄であるとフラグが立てられる。
【0038】
前述の観点から、本発明がスートブロアおよびボイラ温度監視システムに重要な改善を提供し、そしてそれらの多くの変更が以下の特許請求の範囲により定められる本発明の精神および範囲から逸脱せずに成され得ると認められる。
図1
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