【文献】
Huawei,Remaining issues of Multiplexing Schemes of control and data in multi-layer PUSCH transmission, 3GPP TSG-RAN WG1#61b R1-103451,2010年 6月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第1のコードワードの送信に用いる上り共有チャネル(PUSCH)の送信帯域幅と、前記第1のコードワードの送信に用いるシンボル数との積であり、
前記第2のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第2のコードワードのPUSCHの送信帯域幅と、前記第2のコードワードの送信シンボル数との積である、
請求項1又は2に記載の端末装置。
前記第1のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第1のコードワードの送信に用いる上り共有チャネル(PUSCH)の送信帯域幅と、前記第1のコードワードの送信に用いるシンボル数との積であり、
前記第2のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第2のコードワードのPUSCHの送信帯域幅と、前記第2のコードワードの送信シンボル数との積である、
請求項5又は6に記載の基地局装置。
前記第1のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第1のコードワードの送信に用いる上り共有チャネル(PUSCH)の送信帯域幅と、前記第1のコードワードの送信に用いるシンボル数との積であり、
前記第2のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第2のコードワードのPUSCHの送信帯域幅と、前記第2のコードワードの送信シンボル数との積である、
請求項9又は10に記載の送信方法。
前記第1のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第1のコードワードの送信に用いる上り共有チャネル(PUSCH)の送信帯域幅と、前記第1のコードワードの送信に用いるシンボル数との積であり、
前記第2のコードワードの送信に用いられるリソース量は、前記第2のコードワードのPUSCHの送信帯域幅と、前記第2のコードワードの送信シンボル数との積である、
請求項13又は14に記載の受信方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0025】
[実施の形態1]
[通信システムの概要]
以下の説明では、後述する基地局100及び端末200を含む通信システムは、例えば、LTE-Aシステムであり、基地局100は、例えば、LTE-A基地局であり、端末200は、例えば、LTE-A端末である。また、この通信システムは、FDD(Frequency Division Duplex)システムを想定する。また、端末200(LTE-A端末)はNon-MIMO送信モード及びSU-MIMO送信モードの切替が可能な構成を備える。
【0026】
[基地局の構成]
図4は、本実施の形態に係る基地局100の構成を示すブロック図である。
【0027】
図4に示す基地局100において、設定部101は、設定対象端末の端末送受信能力(UE Capability)又は伝搬路状況に基づいて、設定対象端末との間の通信における上り回線の上り回線データチャネル(PUSCH)で送信される制御情報(ACK/NACK信号又はCQIを少なくとも含む)のリソース割当に関する制御パラメータを設定する。制御パラメータとしては、例えば、設定対象端末が送信する制御情報のリソース割当時に用いるオフセット量(例えば、式(2)に示すオフセット量β
offsetPUSCH)等が挙げられる。そして、設定部101は、設定した制御パラメータを含む設定情報を、符号化・変調部102及びACK/NACK・CQI受信部111に出力する。
【0028】
また、設定部101は、Non-MIMO送信を行う端末に対して、1つのCW(又はトランスポートブロック)に対するMCS情報、及び、リソース(RB(Resource Block))割当情報を含む割当制御情報を生成する。また、設定部101は、SU-MIMO送信を行う端末に対しては、2つのCW(又はトランスポートブロック)に対するMCS情報等を含む割当制御情報を生成する。
【0029】
ここで、設定部101によって生成される割当制御情報には、端末の上り回線データを割り当てる上り回線リソース(例えば、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel))を示す上り回線割当制御情報、および、端末宛ての下り回線データを割り当てる下り回線リソース(例えば、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel))を示す下り回線割当制御情報が含まれる。また、下り回線割当制御情報には、下り回線データに対するACK/NACK信号のビット数を示す情報(ACK/NACK情報)が含まれる。そして、設定部101は、上り回線割当制御情報を符号化・変調部102、受信部107−1〜107−Nの各受信処理部109、及び、ACK/NACK・CQI受信部111に出力し、下り回線割当制御情報を送信信号生成部104及びACK/NACK・CQI受信部111に出力する。
【0030】
符号化・変調部102は、設定部101から入力される設定情報及び上り回線割当制御情報を符号化後に変調して、変調後の信号を送信信号生成部104に出力する。
【0031】
符号化・変調部103は、入力される送信データを符号化後に変調して、変調後のデータ信号(例えば、PDSCH信号)を送信信号生成部104に出力する。
【0032】
送信信号生成部104は、設定部101から入力される下り回線割当制御情報に基づいて、符号化・変調部102から入力される信号、及び、符号化・変調部103から入力されるデータ信号を、周波数リソースに割り当てて周波数領域の信号を生成する。そして、送信信号生成部104は、周波数領域の信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理を施して時間波形に変換し、この時間波形にCP(Cyclic Prefix)を付加することによりOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を得る。
【0033】
送信部105は、送信信号生成部104から入力されるOFDM信号に対して送信無線処理(アップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換など)を施し、アンテナ106−1を介して送信する。
【0034】
一方、受信部107−1〜107−Nは、アンテナ106−1〜106−Nにそれぞれ対応して備えられる。また、各受信部107は、無線処理部108及び受信処理部109を有する。
【0035】
具体的には、受信部107−1〜107−Nの各無線処理部108は、それぞれに対応するアンテナ106を介して受信した受信無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換など)を施し、得られた受信信号を受信処理部109に出力する。
【0036】
受信処理部109は、受信信号からCPを除去し、CP除去後の受信信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を施して周波数領域信号に変換する。また、受信処理部109は、設定部101から入力される上り回線割当制御情報に基づいて、周波数領域信号から各端末の上り信号(データ信号及び制御信号(ACK/NACK信号及びCQI)を含む)を抽出する。なお、受信処理部109は、受信信号が空間多重されている場合(つまり、複数のCWが用いられている場合(SU-MIMO送信時))には、各CWを分離して合成する処理も実施する。そして、受信処理部109は、抽出(又は、抽出及び分離)した信号に対してIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)処理を施して時間領域信号に変換する。そして、受信処理部109は、時間領域信号をデータ受信部110及びACK/NACK・CQI受信部111に出力する。
【0037】
データ受信部110は、受信処理部109から入力される時間領域信号を復号する。そして、データ受信部110は、復号後の上り回線データを受信データとして出力する。
【0038】
ACK/NACK・CQI受信部111は、設定部101から入力される、設定情報(制御パラメータ)、上り回線のデータ信号のMCS情報(SU-MIMO送信の場合は各CWのMCS情報)、及び、下り回線割当制御情報(例えば、下り回線データに対するACK/NACK信号のビット数を示すACK/NACK情報)に基づいて、ACK/NACK信号が割り当てられた上り回線リソースのリソース量を算出する。なお、ACK/NACK・CQI受信部111は、CQIについては、予め設定されたCQIのビット数に関する情報を更に用いて、CQIが割り当てられた上り回線リソース(PUSCH)のリソース量を算出する。そして、ACK/NACK・CQI受信部111は、算出したリソース量に基づいて、上り回線のデータ信号が割り当てられたチャネル(例えば、PUSCH)から、下り回線データ(PDSCH信号)に対する各端末からのACK/NACK又はCQIを抽出する。
【0039】
なお、基地局100がカバーするセルのトラフィック状況が変化しない場合、又は、平均的な受信品質を測定したい場合等には、基地局100が端末200に通知する制御パラメータ(例えば、オフセット量β
offsetPUSCH)を、通知間隔が長い上位レイヤ(RRCシグナリング)で通知することがシグナリングの観点から好ましい。また、これらの制御パラメータの一部又は全てを報知情報として通知することで、通知に要するリソース量をより低減することができる。一方、基地局100がカバーするセルのトラフィック状況に応じて動的に制御パラメータを変更する必要がある場合には、これらの制御パラメータの一部又は全てを、通知間隔が短いPDCCHで通知することが好ましい。
【0040】
[端末の構成]
図5は、本実施の形態に係る端末200の構成を示すブロック図である。端末200はLTE-A端末であり、データ信号(下り回線データ)を受信し、そのデータ信号に対するACK/NACK信号をPUCCH(Physical Uplink Control Channel)又はPUSCHを用いて基地局100へ送信する。また、端末200は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)で通知される指示情報に従って、CQIを基地局100へ送信する。
【0041】
図5に示す端末200において、受信部202は、アンテナ201−1を介して受信した無線信号(ここでは、OFDM信号)に対して受信無線処理(ダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換など)を施し、得られた受信信号を受信処理部203に出力する。なお、受信信号には、データ信号(例えばPDSCH信号)、割当制御情報、及び、設定情報を含む上位レイヤの制御情報が含まれる。
【0042】
受信処理部203は、受信信号からCPを除去し、CP除去後の受信信号に対してFFT処理を施してCP除去後の受信信号を周波数領域信号に変換する。そして、受信処理部203は、周波数領域信号を、設定情報を含む上位レイヤの制御信号(例えば、RRC signaling等)と、割当制御情報と、データ信号(つまり、PDSCH信号)とに分離し、分離した各信号に対して復調及び復号を行う。また、受信処理部203は、データ信号に対して誤り検出処理を行い、誤り検出の結果、受信データに誤りがある場合には、ACK/NACK信号としてNACKを生成する一方、受信データに誤りが無い場合には、ACK/NACK信号としてACKを生成する。そして、受信処理部203は、ACK/NACK信号、割当制御情報に含まれるACK/NACK情報、及び、割当制御情報に含まれるMCS情報をリソース量決定部204及び送信信号生成部205に出力し、設定情報(例えば、制御パラメータ(オフセット量))をリソース量決定部204に出力し、割当制御情報に含まれる上り回線割当制御情報(例えば上り回線リソース割当結果)を、送信部206−1〜206−Mの各送信処理部207に出力する。
【0043】
リソース量決定部204は、受信処理部203から入力されるACK/NACK情報(ACK/NACK信号のビット数)、MCS情報、及び、制御情報(ACK/NACK信号)のリソース割当に関する制御パラメータ(オフセット量など)に基づいて、ACK/NACK信号の割当に必要なリソース量を決定する。なお、リソース量決定部204は、CQIについては、予め設定されたCQIのビット数、及び、受信処理部203から入力されるMCS情報、及び、制御情報(CQI)のリソース割当に関する制御パラメータ(オフセット量など)に基づいて、CQIの割当に必要なリソース量を決定する。ここで、SU-MIMO送信を行う場合(ここでは、2つのCW(CW#0及びCW#1)を異なる複数のレイヤで送信する場合)、リソース量決定部204は、2つのCW(CW#0及びCW#1)に配置される制御情報(ACK/NACK信号)に割り当てられる、複数のレイヤ毎のリソース量を決定する。具体的には、リソース量決定部204は、2つのCWの符号化率の内のより低い符号化率、又は、2つのCWの符号化率の逆数の平均値に基づいて制御情報のリソース量を決定する。なお、リソース量決定部204における制御情報(ACK/NACK又はCQI)の割当に必要なリソース量の決定方法の詳細については後述する。そして、リソース量決定部204は、決定したリソース量を送信信号生成部205に出力する。
【0044】
送信信号生成部205は、受信処理部203から入力されるACK/NACK情報(ACK/NACK信号のビット数)及びMCS情報に基づいて、ACK/NACK信号(下り回線データの誤り検出結果)、データ信号(上り回線データ)及びCQI(下り回線品質情報)を、1つ又は複数のレイヤにそれぞれ割り当てられたCWに配置することにより、送信信号を生成する。
【0045】
具体的には、送信信号生成部205は、まず、リソース量決定部204から入力されるリソース量(ACK/NACK信号のリソース量)に従って、ACK/NACK信号を変調する。また、送信信号生成部205は、リソース量決定部204から入力されるリソース量(CQIのリソース量)に従って、CQIを変調する。また、送信信号生成部205は、リソース量決定部204から入力されるリソース量(CQIのリソース量)を用いて特定されるリソース量(各スロットのリソース量からCQIのリソース量を除いたリソース量)に従って、送信データを変調する。
【0046】
ここで、Non-MIMO送信を行う場合には、送信信号生成部205は、上記リソース量を用いて変調された、ACK/NACK信号、データ信号及びCQIを1つのCWに配置することにより、送信信号を生成する。また、SU-MIMO送信を行う場合には、送信信号生成部205は、上記リソース量を用いて変調された、ACK/NACK信号及びデータ信号を2つのCWに配置するとともに、CQIを2つのCWの内の一部のCWに配置することにより、送信信号を生成する。また、送信信号生成部205は、Non-MIMO送信を行う場合には、1つのCWを1つのレイヤに割り当て、SU-MIMO送信を行う場合には、2つのCWを複数のレイヤに割り当てる。例えば、SU-MIMO送信を行う場合、送信信号生成部205は、2つのCW#0及びCW#1について、CW#0をレイヤ#0及びレイヤ#1に割り当て、CW#1をレイヤ#2及びレイヤ#3に割り当てる。
【0047】
また、送信信号生成部205は、送信すべきデータ信号及びCQIが存在する場合には、複数のCWのうち1つのCWにおいて、
図1に示すように、レートマッチングを用いてデータ信号及びCQIを時間多重・周波数多重で上り回線データチャネル(PUSCH)に割り当てる。また、送信信号生成部205は、送信すべきデータ信号及びACK/NACK信号が存在する場合には、複数のレイヤ全てにおいて、データ信号の一部分をACK/NACK信号で上書き(パンクチャリング)する。つまり、ACK/NACK信号は、全てのレイヤで送信される。なお、送信すべきデータ信号が存在しない場合には、送信信号生成部205は、上り回線制御チャネル(例えばPUCCH)にCQI及びACK/NACK信号を割り当てる。そして、送信信号生成部205は、生成した送信信号(ACK/NACK信号、データ信号又はCQIを含む)を送信部206−1〜206−Mにそれぞれ出力する。
【0048】
送信部206−1〜206−Mは、アンテナ201−1〜201−Mにそれぞれ対応して備えられる。また、各送信部206は、送信処理部207及び無線処理部208を有する。
【0049】
具体的には、送信部206−1〜206−Mの各送信処理部207は、送信信号生成部205から入力される送信信号(各レイヤに対応する信号)にDFT(Discrete Fourier Transform)処理を施しデータ信号、ACK/NACK信号、CQIを周波数領域に変換する。そして、送信処理部207は、受信処理部203から入力される上り回線リソース割当情報に基づいて、DFT処理により得られる複数の周波数成分(PUSCH上で送信されるACK/NACK信号及びCQIを含む)を、上り回線データチャネル(PUSCH)にマッピングする。そして、送信処理部207は、PUSCHにマッピングされた複数の周波数成分を時間領域波形に変換し、その時間領域波形にCPを付加する。
【0050】
無線処理部208は、CPが付加された信号に送信無線処理(アップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換など)を施してアンテナ201−1〜201−Mのそれぞれを介して送信する。
【0051】
[基地局100および端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100および端末200の動作について説明する。ここでは、主に、端末200のリソース量決定部204における制御情報(ACK/NACK又はCQI)の割当に必要なリソース量の決定方法の詳細について説明する。なお、以下の説明では、SU-MIMO送信を行う場合、すなわち、制御情報が配置された複数のCWを異なる複数のレイヤで送信する場合におけるリソース量の決定方法について説明する。
【0052】
また、以下の説明では、端末200(送信信号生成部205)は、制御情報であるACK/NACK信号を2つのCW(CW#0及びCW#1)に配置する。
【0053】
以下、制御情報のリソース量の決定方法1〜5について説明する。
【0054】
<決定方法1>
決定方法1では、リソース量決定部204は、制御情報が配置される2つのCWの符号化率のうちのより低い符号化率に基づいて、各レイヤで制御情報の割当に必要なリソース量を決定する。具体的には、リソース量決定部204は、次式(3)に従って、CW#0の符号化率及びCW#1の符号化率のうち、より低いCWの符号化率(符号化率r
lowMCS)に基づいて、各レイヤで制御情報の割当に必要なリソース量Q
CW#0+CW#1を決定する。
【数3】
【0055】
式(3)において、Oは制御情報のビット数を示し、Pは制御情報に対して誤り訂正用として追加されるビット数(例えば、CRCのビット数。ただしP=0の場合もある。)を示し、Lは総レイヤ数(各CWが配置されるレイヤ数の合計)を示す。
【0056】
つまり、リソース量決定部204は、式(3)に示すように、式(1)と同様にして符号化率r
lowMCSの逆数(1/r
lowMCS)にオフセット量β
offsetPUSCHを乗算した乗算結果を、総レイヤ数Lで除算することにより、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0057】
こうすることで、全てのレイヤにおいて、各CWで要求される受信品質を確保することができる。具体的には、CW#0及びCW#1のうち符号化率がより低いCW(符号化率r
lowMCSのCW)が配置されたレイヤでは、符号化率r
lowMCSに基づいて決定されたリソース量Q
CW#0+CW#1、すなわち、適切なリソース量を用いて送信されるので、そのCWに配置された制御情報に対して所要の受信品質を満たすことができる。また、CW#0及びCW#1のうち符号化率がより高いCWが配置されたレイヤでは、符号化率r
lowMCS(つまり、他のCWの符号化率)に基づいて決定されたリソース量Q
CW#0+CW#1を用いて送信されるものの、適切なリソース量以上のリソース量を用いて送信されるので、そのCWに配置された制御情報に対して所要の受信品質を十分に満たすことができる。
【0058】
このように、決定方法1では、リソース量決定部204は、複数のCWのうち、符号化率がより低いCWを基準として、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。換言すると、リソース量決定部204は、複数のCWのうち、劣悪な伝搬路環境のレイヤに割り当てられたCWに基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。これにより、劣悪な伝搬路環境のレイヤに割り当てられたCWを含む全てのCWで所要の受信品質を確実に確保することができる。すなわち、基地局100では、全てのCWで要求される受信品質(LTEシステムにおける制御情報で要求される受信品質)を満たすことができる。よって、基地局100では、CW#0及びCW#1を合成することで、合成後の制御情報において所要の受信品質を確実に満たすことができ、制御情報の受信品質の劣化を防止することができる。
【0059】
<決定方法2>
決定方法2では、リソース量決定部204は、2つのCWの符号化率の逆数の平均値に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。具体的には、リソース量決定部204は、次式(4)に従って、各レイヤにおける制御情報のリソース量Q
CW#0+CW#1を決定する。
【数4】
【0060】
式(4)において、r
CW#0はCW#0の符号化率を示し、r
CW#1はCW#1の符号化率を示す。
【0061】
つまり、リソース量決定部204は、式(4)に示すように、式(1)と同様にして符号化率r
CW#0の逆数(1/r
CW#0)及び符号化率r
CW#1の逆数(1/r
CW#1)の平均値にオフセット量β
offsetPUSCHを乗算した乗算結果を、総レイヤ数Lで除算することにより、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0062】
ここで、CW#0に配置される制御情報1ビットは(1/r
CW#0)ビットに符号化される。同様に、CW#1に配置される制御情報1ビットは(1/r
CW#1)ビットに符号化される。すなわち、各CWに配置される制御情報1ビットの符号化後のビット数の平均値((1/r
CW#0)+(1/r
CW#1)/2)は、CW#0及びCW#1の合成に適するビット数の平均値に相当する。よって、各CWの符号化率の逆数の平均値((1/r
CW#0)+(1/r
CW#1)/2)は、CW#0及びCW#1を合成した合成CWの符号化率の逆数に相当する。
【0063】
ここで、決定方法1(式(3))では、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(より低い符号化率)に基づいてリソース量が決定される。そのため、CW#0及びCW#1のうち一方のCW(符号化率がより低いCW)が配置されたレイヤに対しては適切なリソース量が決定されるが、他方のCW(符号化率がより高いCW)が配置されたレイヤに対しては適切なリソース量以上のリソース量が決定され、リソースの無駄な使用が発生してしまう。
【0064】
これに対して、決定方法2では、リソース量決定部204は、CW#0及びCW#1を合成した合成CWの符号化率の逆数(各CWの符号化率の逆数の平均値)に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0065】
これにより、CW#0及びCW#1のうち、符号化率がより高いCWに配置されたレイヤに対しては、決定方法1の場合よりも少ないリソース量が決定される。つまり、符号化率がより高いCWに配置されたレイヤに対しては、決定方法1の場合よりも、無駄に使用されるリソース量を低減することができる。一方、符号化率がより低いCWに配置されたレイヤに対しては、適切なリソース量よりも少ないリソース量が決定される。しかし、リソース量決定部204では、上述したように、全てのCWの合成後において所要の受信品質を満たすためのリソース量が決定されるので、基地局100では、CW#0及びCW#1を合成することで、合成後の制御情報において所要の受信品質を満たすことができる。
【0066】
このように、決定方法2では、リソース量決定部204は、複数のCWの符号化率の逆数の平均値に基づいて、各レイヤで制御情報の割当に必要なリソース量を決定する。これにより、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0067】
<決定方法3>
決定方法3では、リソース量決定部204は、2つのCWのうち一方のCWの符号化率の逆数、及び、基地局100から通知される補正係数に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。具体的には、リソース量決定部204は、次式(5)に従って、各レイヤにおける制御情報のリソース量Q
CW#0+CW#1を決定する。
【数5】
【0068】
式(5)において、r
CW#0はCW#0の符号化率を示し、γ
offsetは基地局100から制御パラメータとして通知される補正係数を示す。
【0069】
つまり、リソース量決定部204は、式(5)に示すように、式(1)と同様にして符号化率r
CW#0の逆数(1/r
CW#0)にオフセット量β
offsetPUSCHを乗算して算出されるリソース量に補正係数γ
offsetを乗算した乗算結果を、総レイヤ数Lで除算することにより、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0070】
ここで、基地局100から通知される補正係数γ
offsetの一例を
図6に示す。基地局100は、2つのCW#0及びCW#1の符号化率差(受信品質の差)又は符号化率比(受信品質の比)に応じて、補正係数γ
offsetを選択する。
【0071】
具体的には、基地局100は、制御情報のリソース量の決定に用いられる、一方のCWの符号化率(ここではCW#0の符号化率r
CW#0)が他方のCWの符号化率(ここではCW#1の符号化率r
CW#1)より低い場合には、1.0より小さい値の補正係数γ
offset(
図6に示すシグナリング#A〜#Cの補正係数)を選択する。
【0072】
一方、基地局100は、制御情報のリソース量の決定に用いられる、一方のCWの符号化率(ここではCW#0の符号化率r
CW#0)が他方のCWの符号化率(ここではCW#0の符号化率r
CW#1)より高い場合には、1.0より大きい値の補正係数γ
offset(
図6に示すシグナリング#E、#Fの補正係数)を選択する。
【0073】
ただし、基地局100は、CWの符号化率差(受信品質の差)が小さいほど、1.0により近い値の補正係数γ
offset(CWの符号化率差が無い場合(同一の場合)には
図6に示すシグナリング#Dの補正係数(1.0))を選択する。
【0074】
そして、基地局100は、選択した補正係数γ
offset(補正係数γ
offsetのシグナリング番号)を含む制御パラメータを含む設定情報を上位レイヤを介して端末200に通知する。
【0075】
このように、リソース量決定部204は、2つのCWの符号化率差(受信品質の差)に応じて設定される補正係数γ
offsetを用いて、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(逆数)に基づいて決定されるリソース量を補正する。
【0076】
例えば、上述したように、2つのCWの符号化率のうち、より低い符号化率(ここではCW#0の符号化率r
CW#0)の逆数に基づいてリソース量が決定されると、他方のCW(ここではCW#1)に対しては過剰なリソース量が設定される。そこで、リソース量決定部204は、より低い符号化率の逆数に基づいて決定されたリソース量に、1.0より小さい値の補正係数γ
offsetを乗算することで、他方のCW(ここではCW#1)に対する過剰なリソースの使用を低減することができる。同様に、2つのCWの符号化率のうち、より高い符号化率の逆数に基づいてリソース量が決定されると、他方のCWに対してはリソース量が不足する。そこで、リソース量決定部204は、より高い符号化率の逆数に基づいて決定されたリソース量に、1.0より大きい値の補正係数γ
offsetを乗算することで、他方のCWに対するリソース量を増加させることができる。
【0077】
このように、式(5)では、一方のCWの符号化率(ここではCW#0の符号化率r
CW#0)のみで決定されるリソース量を、2つのCWの符号化率差に応じて設定された補正係数γ
offsetを用いて補正することにより、2つのCW(2つのCWの合成後の所要の受信品質)に基づくリソース量を求めることが可能となる。
【0078】
また、換言すると、リソース量決定部204は、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(逆数)を2つのCWの符号化率差に応じて補正する。具体的には、リソース量決定部204は、2つのCWの符号化率差が大きいほど、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(逆数)の補正量(γ
offset)をより大きくすることで、補正後の符号化率が2つのCWの符号化率の平均値に近似する値になるように調整する。つまり、補正後の符号化率の逆数(式(5)ではγ
offset/r
CW#0)は、2つのCWの符号化率の逆数の平均値(近似する値)に相当する。そして、リソース量決定部204は、2つのCWの符号化率の逆数の平均値(補正後の符号化率の逆数(
図5ではγ
offset/r
CW#0))に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0079】
このようにして、決定方法3では、リソース量決定部204は、一方のCWの符号化率の逆数、及び、2つのCWの符号化率差に応じて設定された補正係数に基づいて、各レイヤで制御情報の割当に必要なリソース量を決定する。これにより、2つのCWの双方を考慮したリソース量を決定することができるので、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0080】
また、決定方法3によれば、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(式(5)ではCW#0の符号化率r
CW#0)が極端に小さい場合(例えば、r
CW#0が限りなく0に近い場合)でも、その符号化率r
CW#0に基づいて算出されるリソース量に、2つのCWの符号化率差に応じて設定された補正係数
offsetを乗算することにより、制御情報のリソース量が膨大になることを防ぐことができる。すなわち、補正係数によって、過剰なリソースの割当を制限することができる。
【0081】
なお、式(5)に示すCW#0の符号化率r
CW#0の代わりに、2つのCWの符号化率のうち、より低い符号化率を用いてリソース量Q
CW#0+CW#1を決定することを予め決定しておけば、補正係数γ
offsetの候補としては1.0以下の値のみを設定すればよい。例えば、
図6に示す補正係数γ
offsetの候補のうち、シグナリング#A〜#Dの補正係数γ
offsetのみを設定すればよい。これにより、補正係数γ
offsetを通知するためのシグナリング量を削減することができる。
【0082】
同様に、式(5)に示すCW#0の符号化率r
CW#0の代わりに、2つのCWの符号化率のうち、より高い符号化率を用いてリソース量Q
CW#0+CW#1を決定することを予め決定しておけば、補正係数γ
offsetの候補としては1.0以上の値のみを設定すればよい。例えば、
図6に示す補正係数γ
offsetの候補のうち、シグナリング#D〜#Fの補正係数γ
offsetのみを設定すればよい。これにより、補正係数γ
offsetを通知するためのシグナリング量を削減することができる。
【0083】
また、式(5)に示すCW#0の符号化率r
CW#0が、2つのCWの符号化率のうち低い符号化率であるか高い符号化率であるかに応じて、補正係数γ
offsetの候補テーブルを切り替えて使用してもよい。例えば、式(5)に示すCW#0の符号化率r
CW#0が、2つのCWの符号化率のうち低い符号化率の場合には、
図6に示すシグナリング#A〜#Dの補正係数γ
offsetが設定された候補テーブルを用いてもよく、式(5)に示すCW#0の符号化率r
CW#0が、2つのCWの符号化率のうち高い符号化率の場合には、
図6に示すシグナリング#D〜#Fの補正係数γ
offsetが設定された候補テーブルを用いてもよい。
【0084】
<決定方法4>
決定方法4において、2つのCWのうち一方のCWの符号化率(逆数)に基づいて算出される制御情報のリソース量に補正係数を乗算する点は決定方法3(式(5))と同様である。ただし、決定方法4では、補正係数の算出方法が決定方法3と異なる。
【0085】
以下、決定方法4について具体的に説明する。
【0086】
上述したように、制御情報が配置される2つのCWは、基地局100側で合成されるので、2つのCWのうち「一方のCWの受信品質」に着目すると、2つのCWの合成後には(「合成されたCWの受信品質」/「一方のCWの受信品質」)倍の受信品質が得られる。なお、「合成されたCWの受信品質」は2つのCWが合成された際に得られる受信品質である。
【0087】
よって、全体のCWで要求される受信品質を維持するためには、一方のCWの符号化率(逆数)に基づいて算出される制御情報のリソース量に対する補正係数として、(「一方のCWの受信品質」/「合成されたCWの受信品質」)を設定すればよい。これにより、2つのCWの合成後には、制御情報が配置された各CWで要求される受信品質を維持するために必要な受信品質を、必要最小限のリソース量で確保することができる。
【0088】
また、一般に、受信品質と符号化率との間には、信号の受信品質が増加するほど、その信号の符号化率は高くなるという関係がある。このため、補正係数としては、(「一方のCWの受信品質」/「合成されたCWの受信品質」)の代わりに、(「一方のCWの符号化率」/「合成されたCWの符号化率」)と置き換えることが可能となる。つまり、「合成されたCWの符号化率」は2つのCWが合成された際の合成CWの符号化率である。
【0089】
そこで、リソース量決定部204は、まず、次式(6)に従って、(「一方のCWの符号化率(r
CW#0)」/「合成CWの符号化率(r
CW#0+CW#1)」)で表される補正係数γ
offsetを設定する。なお、式(6)では上記「一方のCWの符号化率」として、CW#0及びCW#1のうちCW#0の符号化率r
CW#0を用いる。
【数6】
【0090】
式(6)において、M
CW#0SCPUSCH-initialはCW#0のPUSCHにおける送信帯域幅を示し、M
CW#1SCPUSCH-initialはCW#1のPUSCHにおける送信帯域幅を示し、N
CW#0SymbPUSCH-initialはCW#0のPUSCHにおける単位送信帯域幅あたりのPUSCHの送信シンボル数を示し、N
CW#1SymbPUSCH-initialはCW#1のPUSCHにおける単位送信帯域幅あたりのPUSCHの送信シンボル数を示す。また、C
CW#0はCW#0に配置されるデータ信号をコードブロックに分割する際の分割数を示し、C
CW#1はCW#1に配置されるデータ信号をコードブロックに分割する際の分割数を示し、K
rCW#0はCW#0の各コードブロック内のビット数を示し、K
rCW#1はCW#1の各コードブロック内のビット数を示す。例えば、CW#0が2つのレイヤに割り当てられ、各レイヤで12送信シンボル、かつ、12サブキャリアに割り当てられる場合は、CW#0のリソース量(M
CW#0SCPUSCH-initial・N
CW#0SymbPUSCH-initial)は288(RE)となる。詳細には、M
CW#0SCPUSCH-initialは12サブキャリアとし、12送信シンボルが2レイヤ分であるため、N
CW#0SymbPUSCH-initialは24送信シンボルとして扱うと、CW#0のリソース量(M
CW#0SCPUSCH-initial・N
CW#0SymbPUSCH-initial)は288(=12×24)となる。なお、M
CW#0SCPUSCH-initial,M
CW#1SCPUSCH-initial,N
CW#0SymbPUSCH-initial,N
CW#1SymbPUSCH-initialは初回送信時の数値である。
【0091】
すなわち、式(6)に示す、(M
CW#0SCPUSCH-initial・N
CW#0SymbPUSCH-initial+M
CW#1SCPUSCH-initial・N
CW#1SymbPUSCH-initial)はCW#0及びCW#1のそれぞれのデータ信号の送信リソース量の合計を示し、(ΣK
rCW#0+ΣK
rCW#1)はCW#0及びCW#1のそれぞれのデータ信号(全コードブロック)が割り当てられるPUSCHの送信シンボル総数(又はCW#0及びCW#1の合計ビット数)を示す。よって、式(6)に示す(M
CW#0SCPUSCH-initial・N
CW#0SymbPUSCH-initial+M
CW#1SCPUSCH-initial・N
CW#1SymbPUSCH-initial)/(ΣK
rCW#0+ΣK
rCW#1)は、合成されたCWの符号化率の逆数(1/(合成CWの符号化率(r
CW#0+CW#1)))を意味する。
【0092】
そして、リソース量決定部204は、式(6)に示す補正係数γ
offsetを、例えば式(5)に代入する。つまり、リソース量決定部204は、次式(7)に従って、各レイヤにおける制御情報のリソース量Q
CW#0+CW#1を決定する。
【数7】
【0093】
つまり、リソース量決定部204は、式(7)に示すように、式(1)と同様にして符号化率r
CW#0の逆数(1/r
CW#0)にオフセット量β
offsetPUSCHを乗算して算出されるリソース量に補正係数γ
offsetを乗算した結果を、総レイヤ数Lで除算することにより、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0094】
ここで、式(5)における「一方のCWの符号化率(r
CW#0)」の逆数(1/r
CW#0)に、式(6)に示す補正係数γ
offset(「一方のCWの符号化率(r
CW#0)」/「合成CWの符号化率(r
CW#0+CW#1)」)を乗算した結果は、CW#0及びCW#1を合成した合成CWの符号化率の逆数(1/(合成CWの符号化率(r
CW#0+CW#1)))となる。すなわち、2つのCWのうち一方のCWの符号化率の逆数(1/r
CW#0)を補正係数γ
offset(式(6))で補正することにより、合成CWの符号化率の逆数(1/(合成のCWの符号化率(r
CW#0+CW#1)))、つまり、2つのCWの符号化率の逆数の平均値が得られる。すなわち、リソース量決定部204は、合成CWの符号化率の逆数を、2つのCWの符号化率の逆数の平均値として用いて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0095】
このようにして、決定方法4では、リソース量決定部204は、一方のCWの符号化率の逆数、及び、2つのCWの受信品質比(符号化率比)により算出される補正係数に基づいて、各レイヤで制御情報の割当に必要なリソース量を決定する。つまり、リソース量決定部204は、補正係数として、一方のCWの符号化率(受信品質)と合成された2つのCWの符号化率(受信品質)との比、すなわち、2つのCWの符号化率比(受信品質比)を用いる。これにより、リソース量決定部204は、制御情報が配置された各CWで要求される受信品質を維持するために必要な受信品質を、必要最小限のリソース量で確保することができる。このように、決定方法4では、2つのCWの双方を考慮したリソース量を決定することができるので、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0096】
さらに、決定方法4では、端末200側で2つのCWの符号化率(受信品質)に基づいて補正係数を算出することができるので、決定方法3のように基地局100から端末200への補正係数の通知が不要となる。すなわち、決定方法4では、決定方法3と比較して基地局100から端末200へのシグナリング量を低減することができる。
【0097】
また、決定方法4では、式(6)に示す補正係数γ
offsetの分母は、CW#0及びCW#1のそれぞれのビット数の合計を表す。このため、CW#0及びCW#1のいずれか一方のCWの符号化率が極端に低い(データサイズが極端に小さい)場合でも、他方のCWの符号化率も考慮された補正係数γ
offsetが設定されるので、制御情報のリソース量が膨大になることを防ぐことができる。
【0098】
<決定方法5>
複数のレイヤで同一の制御情報が同一時間・同一周波数で送信される場合、つまり、Rank1送信の場合、複数のレイヤで送信される制御情報に割り当てられるリソース量は全てのレイヤで同一となる。
【0099】
よって、この場合、リソース量決定部204は、各レイヤにおける同一リソース量(例えば、或るRE(例えば1RE))で送信できるビット数に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定することが好ましい。
【0100】
具体的には、CW#0の符号化率r
CW#0は1REを用いて送信できるCW#0のビット数を表し、CW#1の符号化率r
CW#1は1REを用いて送信できるCW#1のビット数を表す。ここで、CW#0が配置されるレイヤ数をL
CW#0とし、CW#1が配置されるレイヤ数をL
CW#1とすると、全レイヤ(つまり、(L
CW#0+L
CW#1)個のレイヤ)において1REずつを用いて送信できるビット数W
REは、次式(8)のようになる。
【数8】
【0101】
つまり、各レイヤでは1REを用いて平均で(W
RE/(L
CW#0+L
CW#1))ビットのデータ信号を送信できることを意味する。換言すると、各レイヤに割り当てられるCWの符号化率(1REを用いて送信できるビット数)の平均値として(W
RE/(L
CW#0+L
CW#1))を用いればよい。これにより、複数のレイヤで送信された2つのCWの合成後には、制御情報が配置された各CWで要求される受信品質を維持するために必要な受信品質を、必要最小限のリソース量で確保することができる。
【0102】
そこで、リソース量決定部204は、次式(9)に従って、各レイヤに割り当てられるCWの符号化率の平均値((r
CW#0×L
CW#0+r
CW#1×L
CW#1)/(L
CW#0+L
CW#1))の逆数に基づいて、各レイヤにおける制御情報のリソース量Q
CW#0+CW#1を決定する。
【数9】
【0103】
つまり、リソース量決定部204は、式(9)に示すように、式(1)と同様にして各レイヤに割り当てられるCWの符号化率の平均値の逆数((L
CW#0+L
CW#1)/(r
CW#0×L
CW#0+r
CW#1×L
CW#1))にオフセット量β
offsetPUSCHを乗算した乗算結果を、総レイヤ数Lで除算することにより、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。
【0104】
ここで、式(9)に示す各レイヤに割り当てられるCWの符号化率の平均値((r
CW#0×L
CW#0+r
CW#1×L
CW#1)/(L
CW#0+L
CW#1))は、r
CW#0×(L
CW#0/(L
CW#0+L
CW#1))+r
CW#1×(L
CW#1/(L
CW#0+L
CW#1))と表すことができる。すなわち、CW#0の符号化率r
CW#0に対して、全レイヤ数(L
CW#0+L
CW#1)に対するCW#0が割り当てられるレイヤ数(L
CW#0)の割合に対応する重み付けがなされ、CW#1の符号化率r
CW#1に対して、全レイヤ数(L
CW#0+L
CW#1)に対するCW#1が割り当てられるレイヤ数(L
CW#1)の割合に対応する重み付けがなされることを意味する。
【0105】
すなわち、リソース量決定部204は、複数のCWが割り当てられた全てのレイヤに対する各CWが割り当てられたレイヤ数の割合に応じて、各CWの符号化率の重み付けを行う。具体的には、複数のCWが割り当てられた全てのレイヤに対して、CWが割り当てられたレイヤ数の割合が大きいほど、そのCWの符号化率に付される重みはより大きくなる。例えば、決定方法2(式(4))では、2つのCWの符号化率の平均値を単に求めており、各CWが割り当てられるレイヤ数が考慮されていない。これに対して、決定方法5(式(9))では、CWが配置される全てのレイヤにおけるCWの符号化率の平均値を正確に得ることができる。
【0106】
このようにして、決定方法5では、リソース量決定部204は、各レイヤにおいて同一リソース量(例えば、1RE)で送信できるビット数の平均値を、各レイヤに割り当てられるCWの符号化率の平均値として用いて、各レイヤにおける制御情報のリソース量を決定する。これにより、複数のレイヤに割り当てられる2つのCWの双方を考慮したリソース量を決定することができるので、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0107】
なお、制御情報に対してRank1送信が用いられるため各レイヤでリソース量が同一となるが、データ信号ではRank1送信以外の送信モードが用いられる場合があり、この場合には各レイヤでリソース量が異なることになる。このとき、決定方法5のように、各レイヤで同一リソース量を想定して、送信できるビット数の平均値を求めることでリソース量を過不足なく算出することができる。すなわち、決定方法5は、データ信号の送信帯域幅が異なる場合にも適用することができる方法である。例えば、初回送信時(サブフレーム0)におけるCW#0がACKとなり、CW#1がNACKとなり、再送時(サブフレーム8)におけるCW#0で新規パケットが割り当てられ、CW#1で再送パケットが発生すると、サブフレーム8では、新規パケットと再送パケットとの送信帯域幅が異なる場合が発生する。この場合、サブフレーム8では、CW#0情報としてサブフレーム8で初回送信されるCW#0に関する情報、CW#1情報としてサブフレーム0で初回送信されたCW#1に関する情報を式(9)などにそれぞれ代入することにより、制御情報のリソース量が算出される。また、各レイヤで同一のリソース量を用いて制御情報を送信することを仮定して算出している方法であり、複数のレイヤで同一の制御情報を、同一時間・同一周波数で送信する場合、つまり、Rank1送信を行う場合において効果的な方法である。
【0108】
さらに、決定方法5では、端末200側で2つのCWの符号化率(受信品質)に基づいて補正係数を算出することができるので、決定方法3のように基地局100から端末200への補正係数の通知が不要となる。すなわち、決定方法5では、決定方法3と比較して基地局100から端末200へのシグナリング量を低減することができる。
【0109】
また、決定方法5では、式(9)に示す符号化率の逆数に対応する部分((L
CW#0+L
CW#1)/(r
CW#0×L
CW#0+r
CW#1×L
CW#1))の分母は、CW#0及びCW#1がそれぞれ割り当てられた全てのレイヤにおいて1REを用いて送信できるビット数の合計を表す。このため、CW#0及びCW#1のいずれか一方のCWの符号化率が極端に低い(データサイズが極端に小さい)場合でも、他方のCWの符号化率も考慮されるので、制御情報のリソース量が膨大になることを防ぐことができる。
【0110】
なお、CWを割り当てる各レイヤに対して同じリソース量を割り当てることを想定すると、M
CW#0SCPUSCH-initial・N
CW#0SymbPUSCH-initial=M
SCPUSCH-initial(0)・N
SymbPUSCH-initial(0)・L
CW#0、および、M
CW#1SCPUSCH-initial・N
CW#1SymbPUSCH-initial=M
SCPUSCH-initial(1)・N
SymbPUSCH-initial(1)・L
CW#1と表現できる。ここで、M
SCPUSCH-initial(0)・N
SymbPUSCH-initial(0)はCW#0を割り当てる各レイヤにおけるレイヤあたりのデータ信号の初回送信時のリソース量を表し、M
SCPUSCH-initial(1)・N
SymbPUSCH-initial(1)はCW#1を割り当てる各レイヤにおけるレイヤあたりのデータ信号の初回送信時のリソース量を表す。これらを用いて、式(9)を単純変換すると式(10)となる。また、L
CW#0+L
CW#1=Lであるため、式(10)は式(11)と等価である。
【数10】
【数11】
【0111】
また、CWが割り当てられる各レイヤのリソース量を同一としてW
layer(=M
SCPUSCH-initial・N
SymbPUSCH-initial)とすると、式(9)は、次式(12)のように表される。
【数12】
【0112】
なお、式(12)において、((L
CW#0+L
CW#1)×W
layer)は、次式(13)と同一である。
【数13】
【0113】
なお、W
layer=M
SCPUSCH-initial・N
SymbPUSCH-initial、および、L
CW#0+L
CW#1=Lであるため、式(10)は単純変換すると次式(14)となる。
【数14】
【0114】
以上、制御情報のリソース量の決定方法1〜5について説明した。
【0115】
なお、基地局100のACK/NACK・CQI受信部111は、リソース量決定部204における決定方法1〜5と同様にして、受信信号に含まれる制御情報(ACK/NACK信号又はCQI)のリソース量を決定する。そして、ACK/NACK・CQI受信部111は、決定したリソース量に基づいて、上り回線のデータ信号が割り当てられたチャネル(例えば、PUSCH)から、下り回線データ(PDSCH信号)に対する各端末からのACK/NACK又はCQIを抽出する。
【0116】
このようにして、本実施の形態によれば、SU-MIMO送信方法が採用される場合でも、制御情報の受信品質の劣化を防止することができる。
【0117】
[実施の形態2]
実施の形態1では、2つのCW(コードワード)の符号化率の内のより低い符号化率、又は、2つのCWの符号化率の逆数の平均値に基づいて制御情報のリソース量を決定した。これに対して、実施の形態2では、実施の形態1の処理に加え、データ信号と制御情報とに存在するレイヤ間干渉の違いを考慮して制御情報のリソース量を決定する。
【0118】
実施の形態2に係る基地局及び端末の基本構成は、実施の形態1と共通するので、
図4、5を援用して説明する。
【0119】
実施の形態2に係る基地局100の設定部101(
図4)は、実施の形態1と同様の処理に加え、補正係数(α
offset(L))を設定する。
【0120】
ACK/NACK・CQI受信部111は、実施の形態1と同様の処理に加え、設定部101から入力される補正係数(α
offset(L))を使用してリソース量を決定する。
【0121】
一方、実施の形態2に係る端末局200のリソース量決定部204(
図5)は、基地局100から通知される補正係数(α
offset(L))を使用してリソース量を決定する。
【0122】
[基地局100および端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100および端末200の動作について説明する。
【0123】
<決定方法6>
制御情報のレイヤ数又はRank数と、データ信号のレイヤ数又はRank数とが同一である場合、データ信号と制御情報との間では同一のレイヤ間干渉が発生する。例えば、制御情報が配置されるCW#0をレイヤ#0に割り当て、データ信号が配置されるCW#1をレイヤ#1に割り当てて空間多重する場合、データ信号と制御情報はRank2となり同程度のレイヤ間干渉となる。
【0124】
一方、制御情報のRank数とデータ信号のRank数とが異なる場合、データ信号と制御情報とでは異なるレイヤ間干渉が発生する。同一の制御情報がCW#0、CW#1に配置され、レイヤ#0、レイヤ#1で送信される場合、すなわちRank1送信される場合、異なるデータ信号がCW#0、CW#1に配置され、レイヤ#0、レイヤ#1に配置される場合と比較してレイヤ間干渉が少ない。
【0125】
そこで、リソース量決定部204は、データ信号と制御情報のRank数又はレイヤ数に応じて上記定式(例えば式(1)等)で算出されるリソース量を増減させる。
【0126】
具体的には、リソース量決定部204は、次式(15)に示すように、各レイヤの制御情報のリソース量を一方のCW(CW#0またはCW#1)または両方のCWの符号化率から上記式(1)を用いて決定し、決定したリソース量に、Rank数またはレイヤ数に依存する補正係数α
offset(L)を乗算し、乗算結果を総レイヤ数Lで除算して、リソース量Q
CW#0+CW#1を算出する。
【数15】
【0127】
なお、式(15)において、α
offset(L)はデータ信号と制御情報のレイヤ数またはRank数に依存する補正係数を表す。
【0128】
例えば、データ信号のRank数又はレイヤ数が制御情報のRank数又はレイヤ数よりも大きい場合、補正係数α
offset(L)は、
図7に示すように、データ信号と制御情報との間のRank数又はレイヤ数の差が増加するにつれて暗示的に減少する。なお、データ信号と制御情報との間のRank数又はレイヤ数の差が小さいほど補正係数を1.0に近づける。
【0129】
一方、データ信号のRank数又はレイヤ数が制御情報のRank数又はレイヤ数よりも小さい場合、補正係数α
offset(L)は、
図8に示すように、データ信号と制御情報との間のRank数又はレイヤ数の差が増加するにつれて暗示的に増加する。
【0130】
なお、レイヤ間干渉は伝搬路変動またはチャネル行列などに依存するため、Rank数またはレイヤ数が同一の場合でもレイヤ間干渉は異なる。そのため、1つの設定値では適切な補正をすることが困難である。そこで、基地局100と端末200との間で共有する複数の補正係数α
offsetを各レイヤで用意し、基地局100が複数の設定値から1つを選択し、上位レイヤまたはPDCCHで端末200へ通知してもよい。端末200は基地局100からの補正係数α
offsetを受信し、決定方法6と同様にして、補正係数α
offsetを用いてリソース量を算出する。さらに、基地局100がオフセット量β
offsetPUSCHを各レイヤ(または各Rank数)に対して通知できるとしてもよい。
【0131】
これにより、データ信号と制御情報とのレイヤ間干渉の差を考慮してリソース量を設定できるため、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0132】
なお、レイヤ間干渉は伝搬路変動(チャネル行列)などに依存するため、上位レイヤでは頻繁に変更することができない。そこで、頻繁に変化する伝搬路変動に対応するために、補正係数の有無を上位レイヤよりも通知間隔が短いPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の1ビットで通知してもよい。PDCCHは各サブフレームで通知されるため、柔軟な切替が可能となる。また、PDCCHの1ビットを用いて補正係数の有無の切替のみを指示することでシグナリング量も軽減することができる。
【0133】
なお、前記補正係数は各制御情報(ACK/NACK信号及びCQI等)で異なる設定値を持つが、各制御情報(ACK/NACK信号及びCQI等)に対して共通通知(共通の設定値を用いた通知)を用いてもよい。例えば、端末に設定値1を通知する場合、端末ではACK/NACK信号用の設定値1に対応する補正係数が選択され、CQI用の設定値1に対応する補正係数が選択される。これにより、複数の制御情報に対して1つの設定値を通知すればよいため、補正係数を通知するシグナリング量を軽減することができる。
【0134】
また、本実施の形態では、データ信号と制御情報のRank数又はレイヤ数に応じて補正係数を増減させるとしたが、レイヤ数及びRank数はCWと関連が深いので、データ信号と制御情報のCW数に応じて補正係数を増減させてもよい。また、データ信号と制御情報のRank数、レイヤ数またはCW数が1、又は、1より大きいかに応じて補正係数を増減させてもよい。
【0135】
[実施の形態3]
実施の形態1では、初回送信時と再送時とでレイヤ数が同じになる場合を想定した。これに対して、実施の形態3では、実施の形態1の処理において、初回送信時と再送時とのレイヤ数の違いを考慮して制御情報のリソース量を決定する。
【0136】
実施の形態3に係る基地局及び端末の基本構成は、実施の形態1と共通するので、
図4、5を援用して説明する。
【0137】
実施の形態3に係る基地局100のACK/NACK・CQI受信部111(
図4)は、実施の形態1とほぼ同様の処理を行い、初回送信時および再送時のレイヤ数に基づいて、制御情報の割当に必要なリソース量を算出する。つまり、ACK/NACK・CQI受信部111では、制御情報のリソース量の算出式が拡張される点が実施の形態1と異なる。
【0138】
一方、実施の形態3に係る端末局200のリソース量決定部204(
図5)は、実施の形態1とほぼ同様の処理を行い、初回送信時および再送時のレイヤ数に基づいて、制御情報の割当に必要なリソース量を算出する。つまり、リソース量決定部204では、制御情報のリソース量の算出式が拡張される点が実施の形態1と異なる。
【0139】
[基地局100および端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100および端末200の動作について説明する。
【0140】
<決定方法7>
決定方法1〜6では、初回送信と再送時とでレイヤ数が同一である場合を想定した。また、初回送信時には制御情報のリソース量を、例えば式(9)(決定方法5)で設定することにより、制御情報に対して一定以上の受信品質(所要の受信品質)を満たすことができる。
【0141】
しかしながら、決定方法1〜6(例えば式(9)など)では、初回送信時でも再送時でも各レイヤにおける制御情報のリソース量が同一であるため、再送時におけるデータ信号のレイヤ数が変更(例えば、減少)される場合には、レイヤ数の減少により制御情報の全レイヤでの総リソース量も減少する。そのため、再送時には初回送信時よりも制御情報の受信品質が低下する(例えば、
図9参照)。例えば、
図9に示すように、割当通知情報(UL grant)を用いてレイヤ数を4(初回送信時)から2(再送時)に変更する場合、データ信号のリソース量が減少するのに伴い、制御情報(例えば、ACK/NACK信号)に対する全レイヤでの総リソース量も減少する。
【0142】
そこで、リソース量決定部204は、再送時に各CWが配置されるレイヤ数に応じて、再送時における制御情報のリソース量を再設定する。具体的には、リソース量決定部204は、再送時には、初回送信時に算出したレイヤあたりのリソース量を用いず、再送時(現在)に各CWが配置されるレイヤ数を式(9)に代入して、再送時(現時点)のレイヤあたりのリソース量を再計算する。ここで、レイヤ数以外の情報(M
CW#0SCPUSCH-initial,M
CW#1SCPUSCH-initial,N
CW#0SymbPUSCH-initial,N
CW#1SymbPUSCH-initial,ΣK
rCW#0,ΣK
rCW#)は一定の誤り率(例えば10%)を満たすように設定される初回送信時の数値を用いる。具体的には、L
CW#0+L
CW#1=Lであることも考慮すると、再送時(現在)における式(9)は、式(16)となる。
【数16】
【0143】
ここで、L
CW#0current,L
CW#1currentは、CW#0, CW#1を割り当てる再送時(現在)のレイヤ数を表し、L
CW#0initial,L
CW#1initialはCW#0, CW#1を割り当てる初回送信時のレイヤ数を表す。なお、決定方法1〜6においては、初回送信時と再送時とで同一のレイヤ数を想定しているため、初回送信時と再送時とでレイヤ数を区別していないが、決定方法1〜6で用いたレイヤ数は、各CWのビット数、リソース量などと同様、初回送信時の情報を表すものである。
【0144】
また、式(16)は式(9)における分母の各項に対し、初回送信時と再送時とのレイヤ数の比(L
CW#0current/L
CW#0initial,L
CW#1current/L
CW#1initial)を掛け合わせたものであり、式(11)に合わせると式(17)となる。
【数17】
【0145】
これにより、データ信号を送信するレイヤ数が減少する場合にはレイヤあたりの制御情報のリソース量が増加する。すなわち、制御情報が配置される各レイヤの総リソース量は初回送信時と再送時とで同程度(つまり、(制御情報が配置されるレイヤ数×レイヤあたりの制御情報のリソース量)が同程度)となり、再送時においても制御情報に対して一定以上の受信品質(所要の受信品質)を満たすことができる(
図10参照)。
【0146】
これにより、初回送信時と再送時とで、データ信号を送信するレイヤ数が異なる場合でも、再送時(現在)のレイヤ数を考慮して制御情報のリソース量を設定できるため、制御情報の受信品質の劣化を防止しつつ、リソースの無駄な使用を低減することができる。
【0147】
なお、初期送信時のレイヤ数と再送時のレイヤ数との比率(再送時のレイヤ数/初回送信時のレイヤ数)が、CW#0及びCW#1の双方で1/A(A:整数)倍である場合には、式(17)の代わりに次式(18)を用いてもよい。
【数18】
【0148】
ここで、L
initial,L
currentは初回送信時、再送時における総レイヤ数をそれぞれ表す。なお、上記の条件((再送時のレイヤ数/初回送信時のレイヤ数)=1/A)以外では、制御情報のリソース量が過剰または不足となるため、リソース量の無駄または低品質となる場合がある。ただし、上記条件以外の確率が低い場合、または、発生回避できる設計である場合、リソース量決定部204は、式(18)を用いて制御情報のリソース量を算出すればよい。
【0149】
また、上記では再送時の方が初回送信時よりも総リソース量(例えば、レイヤ数)が減少する場合を説明した。しかし、再送時の方が初回送信時よりも総リソース量(例えば、レイヤ数)が増加する場合においても、リソース量決定部204では、制御情報のリソース量が過剰になることを抑えるために、式(16)、式(17)または式(18)を適用してもよい。
【0150】
また、レイヤ数はアンテナポート数と置き換えてもよい。例えば、上記説明における初期送信時のレイヤ数(
図10では4)を初期送信時のアンテナポート数(
図10では4本)と置き換え、再送時(現在)のレイヤ数(
図10では2)を再送時(現在)のアンテナポート数(
図10では2本)と置き換え、総レイヤ数を総アンテナポート数と置き換える。つまり、リソース量決定部204は、式(16)、式(17)または式(18)におけるレイヤ数をアンテナポート数に置き換えて、制御情報のリソース量を計算する。
【0151】
ここで、レイヤ数を、異なる信号系列が送信されるアンテナポート数と定義する場合には、レイヤ数とアンテナポート数とは必ずしも同一ではない。例えば、4アンテナポートでrank1送信される場合には、4アンテナポートに対して同一の信号系列が送信されるため、レイヤ数は1である。このとき、初回送信時に4アンテナポートで4レイヤ送信されていたのに対し、再送時に4アンテナポートで1レイヤ送信(rank1送信)される場合には、制御情報のリソース量を補正する必要がない。一方、初回送信時に4アンテナポートで4レイヤ送信されていたのに対し、再送時に1アンテナポートで(1レイヤで)送信される場合には制御情報のリソース量を補正する必要がある。
【0152】
また、再送時に用いるアンテナポート数が減少した分、アンテナポートあたりの送信電力を増加させることにより制御情報のリソース量の補正を回避することもできる。例えば、アンテナポート数が4から2に減少する場合にはアンテナポートあたりの送信電力を3dB(つまり、2倍)だけ増加させ、アンテナポート数4から1に減少する場合にはアンテナポートあたりの送信電力を6dB(つまり、4倍)だけ増加させればよい。
【0153】
また、再送時に用いられるアンテナポート数が初回送信時と同じであるプリコーディングベクトル(またはマトリクス)が用いられる場合には、例えば、式(11)または式(14)を用いてもよい。また、再送時に用いられるアンテナポート数が初回送信時と異なるようなプリコーディングベクトル(またはマトリクス)が用いられる場合には式(16)、式(17)または式(18)のレイヤ数をアンテナポート数と置き換えて用いてもよい。
【0154】
また、式(16)、式(17)は、一方のCWがACKとなり、他方のCWがNACKとなり、CW数が減少する場合にも適用できる。具体的には、初回送信のCW#0がACKとなり、CW#1がNACKとなり、CW#1のみが再送となる場合には、式(16)または式(17)でL
CW#0current=0を代入することになり、制御情報のリソース量は式(19)となる。なお、式(19)は、CW1のみがNACKの場合を表すが、逆に、CW0のみがNACKの場合には、式(19)におけるCW1情報をCW0情報に置き換えればよい。
【数19】
【0155】
また、2つのCWで送信される場合には式(11)または式(14)を用い、1つのCWで再送される場合には例外処理として式(19)を用いるとしてもよい。例えば、初回送信時が2CWを用いる4アンテナポート送信で、再送時が1CWの2アンテナポート送信となる場合に、再送時に式(19)を用いるとする。また、受信品質が極端に低下した場合などに使用するFallbackモードなどに、再送時が1CWの1アンテナポート送信となる場合があり、その場合には例外処理として式(19)を用いるとしてもよい。なお、式(19)は、式(20)に示すように補正値を用いる定式としてもよい。
【数20】
【0156】
ここで、式(20)におけるWは補正値を表す。補正値Wは、初回送信時と再送時におけるCW0またはCW1のレイヤ数(またはアンテナポート数)に基づき決定される場合もある。例えば、式(20)における補正値Wとして、初回送信時のCW0またはCW1を割り当てるアンテナポート数に対する、再送時のアンテナポート数の比とする。また、補正値Wは、オフセット量β
offsetPUSCHに含めてもよい。例えば、オフセット量β
offsetPUSCHが初回送信時と再送時におけるCW0またはCW1のレイヤ数(またはアンテナポート数)に基づき決定される。
【0157】
なお、上記では再送時にも初期送信時のCW情報を用いてリソース量を算出する場合について説明した。再送時にも初期送信時のCW情報を用いてリソース量を算出する理由は、再送時のデータ信号の誤り率が10%など一定の値に設定されない可能性が高いためである。具体的には、基地局は、初回送信時にはデータ信号の誤り率が10%になるように、各端末にリソースを割り当てる一方、再送時には初回データ信号の誤りを改善できればよいため、初回送信時よりも少ないリソースをデータ信号に割り当てる可能性が高い。すなわち、制御情報のリソース量の算出式において、再送時のデータ信号のリソース量(M
SCPUSCH- retransmission・N
SymbPUSCH-retransmission)が少なくなると、制御情報のリソース量も少なくなり、制御情報の受信品質が低下することになる。そこで、初回送信時の情報を用いてリソース量を決定することで、制御情報に対して一定以上の受信品質(所要の受信品質)を保つようにしている。なお、ΣK
r、ΣK
rCW#0、ΣK
rCW#1は初回送信と再送時とで等しい。
【0158】
また、初回送信時にデータ誤り率を10%(0.1)に設定する場合でも、再送時は時間遅延によりデータ信号の誤り率が10%から遠ざかる可能性がある(更に誤り率が増加する可能性がある)。そのため、再送時にはリソース量を決定する際に補正値(K)を乗算することが好ましい。例えば、式(21)のように、各CWにおける初回送信時のレイヤ数(L
CW#0initial,L
CW#1initial)と再送時のレイヤ数(L
CW#0current,L
CW#1current)との比に対し、各CWで生成される項に対して異なる補正値(K
CW#0, K
CW#1)を乗算してもよい。または、式(22)のように、初回送信時のレイヤ数(L
initial)と再送時のレイヤ数(L
current)との比に対して補正値(K)を乗算してもよい。また、これらに限定せず、1つまたは複数の時間遅延に対する補正値を乗算すればよい。
【数21】
【数22】
【0159】
また、決定方法1〜7とは異なる方法として、再送時には初回送信時と同一のレイヤ数を常に使用するという制限を加えてもよい。例えば、再送時における各CWのレイヤ数を割当情報(UL grant)等で変更することを禁止してもよい。また、再送時に各CWのレイヤ数が減少する場合でもACK/NACKは初回送信時と同一のレイヤ数で送信するとしてもよい。
【0160】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0161】
[他の実施の形態]
(1)上記実施の形態におけるMIMO送信モードは、LTEで規定されるTransmission mode 3、 4、つまり2CWの送信がサポートされる送信モードとし、non-MIMO送信モードは、それ以外のTransmission mode、つまり1CWのみが送信される送信モードとしても良い。また、上記実施の形態では、複数のCWで送信するMIMO送信モード、および、1つのCWで送信するNon-MIMO送信モードを想定して説明した。詳細には、上述したように、MIMO送信モードでは信号が複数のレイヤ(または複数のRank)で送信され、Non-MIMOでは信号が1つのレイヤ(または1つのRank)で送信されることを想定して説明した。しかしながら、これに限定する必要はなく、MIMO送信モード(例えばSU−MIMO送信)では信号が複数のアンテナポートで送信され、Non-MIMOでは信号が1つのアンテナポートで送信されるとしてもよい。
【0162】
また、上記実施の形態におけるコードワードは、トランスポートブロック(TB:Transport Block)と置き換えても良い。
【0163】
(2)上記実施の形態では、制御情報としてACK/NACK及びCQIを取り上げたが、これらに限定されるものではなく、データ信号よりも高い受信品質が要求される情報(制御情報)であれば適用可能である。例えば、CQIまたはACK/NACKをPMI(プリコーディングに関する情報)やRI(ランクに関する情報)に置き換えてもよい。
【0164】
(3)上記実施の形態における「レイヤ」とは、空間上の仮想的な伝搬路を指すものである。例えば、MIMO送信では各CWで生成されるデータ信号が、同一時間および同一周波数において、空間上の異なる仮想的な伝搬路(異なるレイヤ)によって送信される。なお、「レイヤ」は、ストリームと呼ばれることもある。
【0165】
(4)上記実施の形態では、端末が制御情報を配置した2つのCWの符号化率の差(又は符号化率の比)に基づいて制御情報のリソース量を決定する場合について説明したが、2つのCWの符号化率の差(又は符号化率の比)の代わりに、2つのCWのMCSの差(又はMCSの比)を用いてもよい。又は、符号化率として、符号化率と変調方式との組み合わせを用いてもよい。
【0166】
(5)なお、上記オフセット量を補正係数と称してもよく、補正係数をオフセット量と称してもよい。また、上記実施の形態で用いられた補正係数及びオフセット量(α
offset(L)、β
offsetPUSCH、γ
offset)はいずれか2つ又は3つを組み合わせて1つの補正係数又はオフセット量として用いてもよい。
【0167】
(6)上記実施の形態においては、アンテナとして説明したが、本発明はアンテナポート(antenna port)でも同様に適用できる。
【0168】
アンテナポートとは、1本又は複数の物理アンテナから構成される、論理的なアンテナを指す。すなわち、アンテナポートは必ずしも1本の物理アンテナを指すとは限らず、複数のアンテナから構成されるアレイアンテナ等を指すことがある。
【0169】
例えば3GPP LTEにおいては、アンテナポートが何本の物理アンテナから構成されるかは規定されず、基地局が異なる参照信号(Reference signal)を送信できる最小単位として規定されている。
【0170】
また、アンテナポートはプリコーディングベクトル(Precoding vector)の重み付けを乗算する最小単位として規定されることもある。
【0171】
またレイヤ数は空間上で同時に送信される異なるデータ信号の数と定義してもよい。さらに、レイヤは、データ信号若しくはパイロット信号に関連付けられたアンテナポートから送信される信号(またはその空間上の通信路)としてもよい。例えば、LTE−Aにおいて上り回線の復調用パイロット信号で検討されているウェイト制御に用いるベクトル(プリコーディングベクトル)では、レイヤとプリコーディングベクトルとが1対1に対応する。
【0172】
(7)上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0173】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0174】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0175】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0176】
2010年6月21日出願の特願2010−140751および2010年9月30日出願の特願2010−221392の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。