特許第5883544号(P5883544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883544電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする方法、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にするユーザ機器、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする基地送受信局、及びプログラム
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  • 特許5883544-電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする方法、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にするユーザ機器、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする基地送受信局、及びプログラム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883544
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする方法、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にするユーザ機器、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする基地送受信局、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/02 20090101AFI20160301BHJP
   H04W 52/38 20090101ALI20160301BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20160301BHJP
【FI】
   H04W12/02
   H04W52/38
   H04W92/18
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-524794(P2015-524794)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-529054(P2015-529054A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】EP2013066222
(87)【国際公開番号】WO2014020125
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】12005625.4
(32)【優先日】2012年8月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595135947
【氏名又は名称】ドイチェ テレコム アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Deutsche Telekom AG
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ブッセル,ハン
(72)【発明者】
【氏名】クラット,アクセル
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0203582(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/023781(WO,A1)
【文献】 特開2011−014017(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/145990(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気通信ネットワーク(100)における合法的傍受を可能にする方法であって、前記電気通信ネットワーク(100)はコアネットワーク(120)及びアクセスネットワーク(110)を備え、前記電気通信ネットワーク(100)にキャンプオンしているユーザ機器(20)はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記電気通信ネットワーク(100)の前記アクセスネットワーク(110)は基地送受信局(111)を備え、前記ユーザ機器(20)は前記基地送受信局(111)に接続され、該基地送受信局(111)は前記ユーザ機器(20)がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器(20)が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、
前記ユーザ機器(20)が合法的傍受観察を受け、かつ
前記ユーザ機器(20)が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)を前記基地送受信局(111)に送信している場合、
第1のメッセージ(202)が前記基地送受信局(111)から送信されて前記ユーザ機器(20)に信され、前記第1のメッセージ(202)は、前記ユーザ機器(20)によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、
前記第1のメッセージ(202)、又は、
前記基地送受信局(111)から送信されて前記ユーザ機器(20)に信される第2のメッセージ(203)、
のいずれかは、送信電力情報を更に含み、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器(20)の前記最小送信電力の値を示し、それにより、前記ユーザ機器(20)の前記最小送信電力が、該ユーザ機器(20)によって、前記基地送受信局(111)における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定される電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする方法。
【請求項2】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、近接送信(301)を送信することの要求である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、直接モード送信(305)を確立することの要求である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更なるユーザ機器(21)が前記電気通信ネットワーク(100)にキャンプオンしており、前記更なるユーザ機器(21)はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記更なるユーザ機器(21)は前記基地送受信局(111)に接続され、該基地送受信局(111)は前記更なるユーザ機器(21)がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、前記更なるユーザ機器(21)が、前記ユーザ機器(20)が合法的傍受観察を受けている間に該ユーザ機器(20)との直接モードのデバイスツーデバイス通信を行うことの更なる要求(211)を前記基地送受信局(111)に送信している場合、
前記基地送受信局(111)から前記更なるユーザ機器(21)に更なる第1のメッセージ(212)が送信され、該更なる第1のメッセージ(212)は、前記更なるユーザ機器(21)による、前記ユーザ機器(20)とのデバイスツーデバイス通信を行うことの許可の前記インジケーションを含み、
前記更なる第1のメッセージ(212)、又は
前記基地送受信局(111)から前記更なるユーザ機器(21)に送信される更なる第2のメッセージ(213)、
のいずれかが更なる送信電力情報を含み、該更なる送信電力情報は、前記ユーザ機器(20)との前記直接モードのデバイスツーデバイス通信を行うときの前記更なるユーザ機器(21)の前記最小送信電力を示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
電気通信ネットワーク(100)における合法的傍受を可能にするユーザ機器(20)であって、前記電気通信ネットワーク(100)はコアネットワーク(120)及びアクセスネットワーク(110)を備え、前記電気通信ネットワーク(100)にキャンプオンしている前記ユーザ機器(20)はデバイスツーデバイス通信に対応し、該ユーザ機器(20)は前記電気通信ネットワーク(100)の前記アクセスネットワーク(110)の基地送受信局(111)に接続され、該基地送受信局(111)は該ユーザ機器(20)がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、該ユーザ機器(20)は、
該ユーザ機器(20)が合法的傍受観察を受け、かつ該ユーザ機器(20)が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)を前記基地送受信局(111)に送信している場合、
第1のメッセージ(202)が該ユーザ機器(20)によって前記基地送受信局(111)から受信されるように構成され、前記第1のメッセージ(202)は、該ユーザ機器(20)によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、該ユーザ機器(20)は、最小送信電力レベルが、該ユーザ機器(20)が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応するように構成され、前記最小送信電力は、該ユーザ機器(20)によってデバイスツーデバイス通信を行うときに用いられ、
前記最小送信電力は、
該ユーザ機器(20)によって受信される送信電力情報によって、
前記第1のメッセージ(202)、又は、
前記基地送受信局(111)から該ユーザ機器(20)に送信される第2のメッセージ(203)、
のいずれかによって示され、
それにより、該ユーザ機器(20)が、該ユーザ機器(20)の前記最小送信電力を、前記基地送受信局(111)における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定する、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にするユーザ機器。
【請求項6】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、近接送信(301)を送信することの要求である、請求項5に記載のユーザ機器(20)。
【請求項7】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、直接モード送信(305)を確立することの要求である、請求項5又は6に記載のユーザ機器(20)。
【請求項8】
電気通信ネットワーク(100)における合法的傍受を可能にする基地送受信局(111)であって、前記電気通信ネットワーク(100)はコアネットワーク(120)及びアクセスネットワーク(110)を備え、前記電気通信ネットワーク(100)にキャンプオンしているユーザ機器(20)はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記ユーザ機器(20)は前記電気通信ネットワーク(100)の前記アクセスネットワーク(110)の前記基地送受信局(111)に接続され、該基地送受信局(111)は前記ユーザ機器(20)がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器(20)が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、前記基地送受信局(111)は、
前記ユーザ機器(20)が合法的傍受観察を受け、かつ前記基地送受信局(111)が、前記ユーザ機器(20)による、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)を受信している場合、
第1のメッセージ(202)が前記基地送受信局(111)によって前記ユーザ機器(20)に送信されるように構成され、前記第1のメッセージ(202)は、前記ユーザ機器(20)によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、前記基地送受信局(111)は、
前記第1のメッセージ(202)、又は、
前記基地送受信局(111)から前記ユーザ機器(20)に送信される第2のメッセージ(203)、
のいずれかが、送信電力情報を更に含むように構成され、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器(20)の前記最小送信電力を示し、それにより前記ユーザ機器(20)の前記最小送信電力が、該ユーザ機器(20)によって、前記基地送受信局(111)における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定されるようにする、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする基地送受信局。
【請求項9】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、近接送信(301)を送信することの要求である、請求項8に記載の基地送受信局(111)。
【請求項10】
前記デバイスツーデバイス通信を行うことの要求(201)は、直接モード送信(305)を確立することの要求である、請求項8又は9に記載の基地送受信局(111)。
【請求項11】
コンピュータ可読プログラムコードを含むプログラムであって、該コンピュータ可読プログラムコードは、コンピュータ又はユーザ機器(20)又は基地送受信局(111)において実行されると、前記コンピュータ又は前記ユーザ機器(20)又は前記基地送受信局(111)に請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読プログラムコードを含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信ネットワーク、特に公衆陸上移動ネットワークにおける合法的傍受を可能にする方法に関する。
【0002】
本発明は、電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にするユーザ機器、及び電気通信ネットワークにおいて合法的傍受を可能にする基地送受信局に更に関する。
【背景技術】
【0003】
公衆陸上移動ネットワークを介した任意の通信について、事業者は国家機関に対し、合法的傍受手段を提供する法的義務を有する。通常、ネットワークは、合法的傍受を受ける端末デバイスとの間でやりとりされるトラフィックを取り出すことを可能にする特殊な合法的傍受インタフェースを提供する。合法的傍受要件、合法的傍受アーキテクチャ及び合法的傍受インタフェースの詳細は、3GPPによってTS33.106、TS33.107及びTS33.108に規定されている。3GPPでは、インタフェースは「合法的傍受のためのハンドオーバインタフェース」と呼ばれる。サービス領域(回路交換かパケット交換か)に依拠して、合法的傍受インタフェースに転送されるトラフィックを提供するインタフェースは、例えばCS音声トラフィックの場合、MSC(移動交換局)、又はパケットデータサービスの場合、GGSN(GPRS(グローバルパケット無線システム)ゲートウェイサポートノード)に生じる。
【0004】
デバイスツーデバイス通信は、セルラネットワーク内のユーザ機器(又は端末デバイス)間で直接新たな通信サービスを規定するので、新たな認証及び管理手順が必要である。ネットワークへの認証の他に、特定のユーザ機器(又は端末)がブロードキャストのように送信して近接範囲内の多数の端末デバイスによる受信を可能にすることを認可する制御手段を提供しなくてはならない。
【0005】
セルラネットワークにおける従来の通信と対照的に、デバイスツーデバイス通信の実現は、無線アクセスネットワークもコアネットワークもデバイスツーデバイスユーザデータ通信パスの一部でない状況が生じる可能性があることを意味する。
【0006】
これは、合法的傍受の要件を満たすための課題である。なぜなら、現行の方法は、合法的傍受エンティティに対してトラフィックを複製することができるようになるには、電気通信ネットワーク、特に電気通信ネットワークのアクセスネットワークが、少なくとも基本的にユーザデータ通信パスにアクセスすることができることを必要とするためである。デバイスツーデバイス通信の枠組みでは、ユーザデータ通信パスのそのようなアクセスは、デバイスツーデバイス通信リンクが確立される場合、特に直接モードのデバイスツーデバイス通信が確立される場合に提供されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電気通信ネットワーク、特に公衆陸上移動ネットワークにおける合法的傍受を可能にするための、技術的に単純で、効果的であり、特にコスト効率がよい解決策を提供することである。この解決策において、電気通信ネットワークはデバイスツーデバイス通信サービスを提供(又は、例えば電気通信ネットワークのアクセスネットワークの一部の中で少なくとも部分的に提供)する。そして、電気通信ネットワークにキャンプオンし、そのようなデバイスツーデバイス通信サービスを要求して使用しているユーザ機器は、合法的傍受が、公衆陸上移動ネットワーク等のセルラ無線通信ネットワークについて一般に知られているとおりに実現することができるように挙動する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする方法であって、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークは基地送受信局を備え、前記ユーザ機器は前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は前記ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、
前記ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ
前記ユーザ機器が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を前記基地送受信局に送信している場合、
第1のメッセージが前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信され、前記第1のメッセージは、前記ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかは、送信電力情報を更に含み、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器の前記最小送信電力の値を示す、方法により達成される。
【0009】
代替的に、本発明の目的は、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする方法であって、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークは基地送受信局を備え、前記ユーザ機器は前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は前記ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、
前記ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ
前記ユーザ機器が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を前記基地送受信局に送信している場合、
第1のメッセージが前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信され、前記第1のメッセージは、前記ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかは、送信電力情報を更に含み、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器の前記最小送信電力の値を示し、それにより、前記ユーザ機器の前記送信電力が、該ユーザ機器によって、前記基地送受信局における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定されるようにする、方法により達成される。
【0010】
したがって、本発明によれば、デバイスツーデバイス通信に対応しているユーザ機器間で交換されるデータトラフィック、特に、デバイスツーデバイス通信に対応している2つのユーザ機器(又は端末)間で直接(又はデバイスツーデバイス通信目的に対応している2つより多く、例えば3つ、4つ、又は更に多くのユーザ機器(又は端末)間で直接)送信されるデータトラフィックが、合法的傍受目的で捕捉されることが有利には可能である。そのようなデータトラフィックは、(ユーザ機器間の)直接パス上で、ブロードキャストのような方式か、又は2つのデバイスツーデバイス対応ユーザ機器(又は多数のデバイスツーデバイス対応ユーザ機器/端末デバイス)間の専用通信(直接モード)において送信される。
【0011】
本発明によれば、2つ以上のユーザ機器がデバイスツーデバイス通信手順に従って互いに直接通信する状況であっても合法的傍受を行えることが有利には可能である。合法的傍受観察に従って監視されなくてはならないユーザ機器へ、又はそのユーザ機器から送信されるユーザトラフィックデータは、電気通信ネットワークのアクセスネットワーク、すなわち、少なくとも基地送受信局にアクセス可能であることが保証されなくてはならない。本発明によれば、特に直接モードのデバイスツーデバイス通信状況において、合法的傍受監視を受けるユーザ機器、及び監視されるユーザ機器と通信しているユーザ機器に増大した送信電力レベルを課すことが提案される。
【0012】
合法的傍受観察を受けるユーザ機器によって用いられる増大した送信電力レベルは、ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最小送信電力に対応する最小送信電力レベルを設定することによって規定される。
【0013】
通常、デバイスツーデバイス通信は、電気通信ネットワーク、特にセルラ公衆陸上移動ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器によって、このユーザ機器が電気通信ネットワークの構成要素、特にアクセスネットワークの構成要素、通常は基地送受信局の、デバイスツーデバイス通信がその特定のユーザ機器に対して認可されるという同意を含むメッセージを受信することなく開始することができない。これは、ユーザ機器が、デバイスツーデバイス通信を開始する前に、少なくとも(おそらくとりわけ)、デバイスツーデバイス通信を行う可能性を認可するコンテンツを有するメッセージ(以降「第1のメッセージ」とも呼ばれる)を受信することを意味する。
【0014】
基地送受信局から受信されるこの第1のメッセージ、又は基地送受信局から受信される別のメッセージ(以降「第2のメッセージ」とも呼ばれる)のいずれかにおいて、最小送信電力レベルがユーザ機器に通信される。これは、送信電力情報の送信によって行われる。この送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときのユーザ機器の最小送信電力の値を示す。
【0015】
本発明によれば、最小送信電力レベルは、デバイスツーデバイス通信を行うときに、合法的傍受観察を受けるユーザ機器によって送信される無線信号の、それぞれの基地送受信局による信頼性のある受信が可能であるように選択されるべきである。最小送信電力レベルは、例えば、符号化された情報、例えば8つの異なる最小送信電力レベルの場合3ビット、又は16個の異なる最小送信電力レベルの場合4ビット等を用いるバイナリ値の形態で、送信電力情報によって示すことができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求は、近接送信を送ることの要求又は直接モード送信を確立することの要求である。
【0017】
したがって、様々なデバイスツーデバイス通信状況において最小の送信電力レベルを用いることが有利には可能である。
【0018】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、更なるユーザ機器が前記電気通信ネットワークにキャンプオンしており、前記更なるユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記更なるユーザ機器は前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は前記更なるユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、前記更なるユーザ機器が、前記ユーザ機器が合法的傍受観察を受けている間に該ユーザ機器との直接モードのデバイスツーデバイス通信を行うことの更なる要求を前記基地送受信局に送信している場合、
前記基地送受信局から前記更なるユーザ機器に更なる第1のメッセージが送信され、該更なる第1のメッセージは、前記更なるユーザ機器による、前記ユーザ機器とのデバイスツーデバイス通信を行うことの許可の前記インジケーションを含み、
前記更なる第1のメッセージ、又は
前記基地送受信局から前記更なるユーザ機器に送信される更なる第2のメッセージ、
のいずれかが更なる送信電力情報を含み、該更なる送信電力情報は、前記ユーザ機器との前記直接モードのデバイスツーデバイス通信を行うときの前記更なるユーザ機器の前記最小送信電力を示す。
【0019】
したがって、合法的傍受観察を受けるユーザ機器のデバイスツーデバイス通信全体、また、デバイスツーデバイス通信のうちの、ユーザ機器が合法的傍受観察を受けない別のユーザ機器と通信する部分を傍受することが有利には可能である。
【0020】
更に、本発明は、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にするユーザ機器に関し、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしている該ユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、該ユーザ機器は前記電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークの前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は該ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、該ユーザ機器は、
該ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ該ユーザ機器が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を前記基地送受信局に送信している場合、
第1のメッセージが該ユーザ機器によって前記基地送受信局から受信されるように構成され、前記第1のメッセージは、該ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、該ユーザ機器は、最小送信電力レベルが、該ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応するように構成され、前記最小送信電力は、該ユーザ機器によってデバイスツーデバイス通信を行うときに用いられ、
前記最小電力は、
該ユーザ機器によって受信される送信電力情報によって、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から該ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかによって示される。
【0021】
代替的に、本発明はまた更に、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にするユーザ機器に関し、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしている該ユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、該ユーザ機器は電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークの前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は該ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、該ユーザ機器は、
該ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ該ユーザ機器が、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を前記基地送受信局に送信している場合、
第1のメッセージが該ユーザ機器によって前記基地送受信局から受信されるように構成され、前記第1のメッセージは、該ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、該ユーザ機器は、最小送信電力レベルが、該ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応するように構成され、前記最小送信電力は、該ユーザ機器によってデバイスツーデバイス通信を行うときに用いられ、
前記最小電力は、
該ユーザ機器によって受信される送信電力情報によって、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から該ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかによって示され、
それにより、該ユーザ機器の前記送信電力が、該ユーザ機器によって、前記基地送受信局における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定される。
【0022】
したがって、合法的傍受観察を受けるユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことができること、及びそれでもなおデータトラフィックを傍受することができることが有利には可能である。
【0023】
本発明によれば、ユーザ機器に関しても、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求は、近接送信を送ることの要求又は直接モード送信を確立することの要求であることが更に好ましい。
【0024】
さらに、本発明は、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする基地送受信局に関し、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記ユーザ機器は前記電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークの前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は前記ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、前記基地送受信局は、
前記ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ前記基地送受信局が、前記ユーザ機器による、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を受信している場合、
第1のメッセージが前記基地送受信局によって前記ユーザ機器に送信されるように構成され、前記第1のメッセージは、前記ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、前記基地送受信局は、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかが、送信電力情報を更に含むように構成され、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器の前記最小送信電力を示す。
【0025】
代替的に、本発明はまた更に、電気通信ネットワークにおける合法的傍受を可能にする基地送受信局に関し、前記電気通信ネットワークはコアネットワーク及びアクセスネットワークを備え、前記電気通信ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器はデバイスツーデバイス通信に対応し、前記ユーザ機器は前記電気通信ネットワークの前記アクセスネットワークの前記基地送受信局に接続され、該基地送受信局は前記ユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことを許可することを可能にされ、最小送信電力レベルは、前記ユーザ機器が無線信号を送信するときに用いる最も小さい送信電力に対応し、前記基地送受信局は、
前記ユーザ機器が合法的傍受観察を受け、かつ前記基地送受信局が、前記ユーザ機器による、デバイスツーデバイス通信を行うことの要求を受信している場合、
第1のメッセージが前記基地送受信局によって前記ユーザ機器に送信されるように構成され、前記第1のメッセージは、前記ユーザ機器によるデバイスツーデバイス通信を行うことの許可のインジケーションを含み、前記基地送受信局は、
前記第1のメッセージ、又は、
前記基地送受信局から前記ユーザ機器に送信される第2のメッセージ、
のいずれかが、送信電力情報を更に含むように構成され、該送信電力情報は、デバイスツーデバイス通信を行うときの前記ユーザ機器の前記最小送信電力を示し、それにより前記ユーザ機器(20)の前記送信電力が、該ユーザ機器によって、前記基地送受信局における前記デバイスツーデバイス通信の受信を可能にするのに十分高く設定される。
【0026】
基地送受信局は、合法的傍受観察を受けるユーザ機器がデバイスツーデバイス通信を行うことができること、及びそれでもなおデータトラフィックを傍受することができることを有利には可能にする。
【0027】
加えて、本発明は、コンピュータ又はユーザ機器又は基地送受信局において実行されると、当該コンピュータ又は当該ユーザ機器又は当該基地送受信局に本発明の方法を実行させるコンピュータ可読プログラムコードを含むプログラムに関する。
【0028】
更に加えて、本発明は、ユーザ機器を基地送受信局とともに用いるコンピュータプログラム製品に関し、記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを含み、このコンピュータプログラムは、コンピュータ又はユーザ機器又は基地送受信局において実行されると当該コンピュータ又は当該ユーザ機器又は当該基地送受信局に本発明の方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0029】
本発明のこれらの特性、特徴、及び利点、並びに他の特性、特徴、及び利点は、添付図面とともに用いられた以下の詳細な説明から明らかになる。これらの添付図面は、本発明の原理を例として示している。説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、例示のためにのみ与えられている。以下で引用される参照図は、添付図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】電気通信ネットワーク、特に公衆陸上移動ネットワークにキャンプオンしているユーザ機器に、デバイスツーデバイス通信を行う可能性を許可することを可能にされた電気通信ネットワークを概略的に示す図である。
図2】本発明による、基地送受信局とユーザ機器との間の通信図を概略的に示す図である。
図3】本発明による、基地送受信局とユーザ機器との間の通信図を概略的に示す図である。
図4】本発明による、基地送受信局とユーザ機器との間の通信図を概略的に示す図である。
図5】本発明による、基地送受信局とユーザ機器との間の通信図を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、特定の実施形態に関して或る特定の図面を参照して説明されるが、本発明は、これらの実施形態及び図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明する図面は、概略的なものにすぎず、非限定的である。図面において、要素のうちの幾つかのもののサイズは、誇張されている場合があり、例示の目的で一律の縮尺で描かれていない場合がある。
【0032】
数量が特定されていない名詞は、特に別段の指定がない限り、その名詞の単数及び複数を含む。
【0033】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3等の用語は、同様の要素を区別するために用いられており、必ずしも、連続した順序又は時間順を説明するために用いられているとは限らない。そのように用いられる用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書において説明する本発明の実施形態は、本明細書において説明又は図示するもの以外の順序で動作することができることが理解されるべきである。
【0034】
図1において、電気通信ネットワーク100、特に公衆陸上移動ネットワーク100が概略的に示され、電気通信ネットワーク100はアクセスネットワーク110及びコアネットワーク120を備える。電気通信ネットワーク100は、通常は複数のネットワークセルを含むセルラ電気通信ネットワークであることが好ましく、それらの複数のネットワークセルのうちの1つが図1において描画された線及び参照符号10で表される。電気通信ネットワーク100では、通常、複数のユーザ機器20、21、22が電気通信ネットワーク100においてネットワークセル10内にキャンプオンしており、すなわち、ユーザ機器20、21、22はセル10にサービス提供している基地送受信局111に接続されるか又はキャンプオンしている。基地送受信局111は通常、基地局、例えばNodeB又はeNodeB基地送受信局である。
【0035】
電気通信ネットワーク100は、少なくとも電気通信ネットワーク100の一部においてユーザ機器20、21、22がデバイスツーデバイス通信サービスを用いることを許可する。特に、基地送受信局111は、ユーザ機器20、21、22がデバイスツーデバイス通信サービスを行うことを許可することを可能にされる。ユーザ機器20、21、22はデバイスツーデバイス通信も可能にされる。
【0036】
コアネットワーク120は、クラウド表現によって概略的にしか示されない。公衆陸上移動ネットワーク100(特にコアネットワーク120)は通常、MSC(移動交換センタ)、SGSN(サービングGPRSサポートノード)、MME(モビリティ管理エンティティ)、好ましくはその複数のネットワーク要素等の様々なネットワーク要素を含む。これらのネットワーク要素は、基地送受信局111よりも階層的に高いネットワーク要素である。
【0037】
図2図5において、本発明による基地送受信局111とユーザ機器20及び21との間の通信図が概略的に示されている。本発明によれば、参照符号20によって示されるユーザ機器は、合法的傍受観察を受けるユーザ機器であり、第1のユーザ機器20とも呼ばれる。さらに、本発明によれば、参照符号21によって示されるユーザ機器は、合法的傍受観察を受けないがユーザ機器20(すなわち第1のユーザ機器20)と通信しているいわゆる更なるユーザ機器(第2のユーザ機器21とも呼ばれる)である。
【0038】
前提は、ユーザ機器20及び更なるユーザ機器21が、基地送受信局111によってサービス提供されている無線セル10にキャンプオンしていることである。基地送受信局111は、任意のセルラ無線技術の制御基地局である。基地送受信局111(又は基地局)(及び任意選択で、コアネットワーク120の接続されたネットワーク要素)の目的は、デバイスツーデバイス通信を用いる1つ又は複数のサービスのユーザ機器20、21、22(又は対応する加入者)を認証し、この1つ又は複数のデバイス(すなわち1つ又は複数のユーザ機器)のデータ送信を認可することである。基地送受信局111は、チャネル配分(すなわち、いずれの無線リソースが、1つ又は複数のユーザ機器20、21、22によってデバイスツーデバイス送信、特に関連ユーザデータ送信に用いられることになるかであり、この点に関して、無線技術、周波数、タイムスロット、送信コード等が基地送受信局111によって定義され、配分される)を更に制御する。さらに、基地送受信局111は、ユーザ機器20又は複数のユーザ機器20、21、22に、例えばスクランブリングコード、変調及び符号化方式、場合によっては、無線識別子、及びデータレート、最大許容送信電力等のような送信パラメータ等の、用いられる送信パラメータを通知する。デバイスツーデバイス通信の通常動作中、制御基地送受信局111は、デバイスツーデバイスユーザ機器20、21、22のアクセス認証試行を許可することができ、そして、送信リソースを定義するのに必要なパラメータを割り当てる。これらのパラメータは、(部分的に)所定とすることもできるし、複数の送信にわたって有効とすることもできる。
【0039】
通常、デバイスツーデバイス通信は、様々な通信コンテキストで又は様々な通信状況に従って生じる可能性があるが、これらはデバイスツーデバイス通信送信の認可について区別される必要がある。
−ここで、第1のものは、「デバイスツーデバイス近接送信」と呼ばれ、「デバイスツーデバイス近接送信」とはすなわち、ユーザ(第1の)機器20による((第1の)ユーザ機器20の周囲の)近接範囲内のデータの送信であり、この送信により、送信しているデバイスツーデバイス対応デバイスの近傍の(すなわち、(第1の)ユーザ機器20の近傍の)単一の又は多数のデバイスツーデバイス対応ユーザ機器21、22によるそのようなデータの受信が可能になる。
−さらに、デバイスツーデバイス対応端末(又はユーザ機器)間の直接ユーザデータ送信(デバイスツーデバイス直接モード送信とも呼ばれる)は、基地送受信局111(すなわち、制御している電気通信ネットワーク)によって認可することができ、この場合、ユーザデータ交換は、関係するユーザ機器20、21、22間、例えば(第1の)ユーザ機器20と(第2の)更なるユーザ機器21との間で直接行われ、すなわち、基地送受信局111が関与しない(基地送受信局111との制御情報又はシグナル伝達情報の交換が必要とされる場合を除く)。
さらに、基地送受信局111及び任意選択でコアネットワーク120も介した2つの移動端末(又はユーザ機器)間の従来の送信が生じる場合があり、これは、本発明との関連では「デバイスツーデバイスデフォルトデータパス送信」という表現で呼ばれる。この「デフォルトデータパス送信」は、データパス内のコアネットワーク120を除外するように最適化することができ、このため「局所的にルーティングされたデータパス」と呼ばれる。
【0040】
一方、本発明は、他の2つのデバイスツーデバイス通信モード、すなわちデバイスツーデバイス近接送信及びデバイスツーデバイス直接モード送信の処理、特に合法的傍受目的に関する処理に焦点を当てる。
【0041】
図2及び図3において、デバイスツーデバイス近接送信を用いてユーザ機器20と更なるユーザ機器21との間の(すなわち第1のユーザ機器20と第2のユーザ機器21との間の)デバイスツーデバイス通信が生じる。図2に示す状況において、デバイスツーデバイス近接送信301がユーザ機器20(すなわち第1のユーザ機器20)によって開始される。ユーザ機器20のこのデバイスツーデバイス近接送信301は、近接送信301に対する近接送信応答302によって、更なるユーザ機器21(すなわち第2のユーザ機器21)により応答される。図3に示す状況では、更なるデバイスツーデバイス近接送信303が更なるユーザ機器21(すなわち第2のユーザ機器21)によって開始される。この更なるユーザ機器21の更なるデバイスツーデバイス近接送信303は、更なる近接送信303に対する更なる近接送信応答304によって、ユーザ機器20(すなわち第1のユーザ機器20)により応答される。
【0042】
図2及び図3に示す双方の場合に、基地送受信局111との(第1の)ユーザ機器20及び更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21の通信の予備ステップにおいて、すなわち、デバイスツーデバイス近接送信301、303及びそれぞれの近接送信応答302、304の送信前に、ユーザ機器20は、デバイスツーデバイスサービスを用いることの許可を要求する要求201を基地送受信局111に送信し、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービスへのアクセスを認可する第1のメッセージ202を(第1の)ユーザ機器20に送信する。第1のメッセージ202又は追加の第2のメッセージ203において、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービス、すなわち、デバイスツーデバイス近接送信301(図2の通信状況)及びデバイスツーデバイス近接送信応答304(図3の通信状況)に用いられる最小送信電力を更に示す。
【0043】
図4及び図5において、デバイスツーデバイス直接モード送信を用いてユーザ機器20と更なるユーザ機器21との間の(すなわち第1のユーザ機器20と第2のユーザ機器21との間の)デバイスツーデバイス通信が生じる。図4に示す状況では、更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21に向けたデバイスツーデバイス直接モード送信305がユーザ機器20(すなわち第1のユーザ機器20)によって開始される。ユーザ機器20によるこの要求は、更なるユーザ機器21(すなわち第2のユーザ機器21)によって、開始されたデバイスツーデバイス直接モード送信306により応答される。図5に示す状況では、(第1の)ユーザ機器20に向けたデバイスツーデバイス直接モード送信307は、更なるユーザ機器21(すなわち第2のユーザ機器21)によって開始される。更なるユーザ機器21(すなわち第2のユーザ機器21)によるこの要求は、ユーザ機器20(すなわち第1のユーザ機器20)によって、開始されたデバイスツーデバイス直接モード送信308により応答される。
【0044】
図4及び図5に示す双方の場合に、基地送受信局111との(第1の)ユーザ機器20及び更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21の通信の予備ステップにおいて、すなわち、それぞれの他方のユーザ機器へのデバイスツーデバイス直接モード送信確立要求の送信前に、デバイスツーデバイス直接モード送信を開始するユーザ機器(すなわち、図4に示す事例では第1のユーザ機器20、及び図5に示す事例では第2のユーザ機器21)は、デバイスツーデバイスサービスを用いること及び他方のユーザ機器への直接モード送信をセットアップすることの許可を要求する要求を基地送受信局111に送信する。この要求は、図4に示す事例では、更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21に向けた直接モードのデバイスツーデバイス送信が要求されることを示す、基地送受信局111に向けた(第1の)ユーザ機器20の要求201に対応し、図5に示す事例では、この要求は、(第1の)ユーザ機器20に向けた直接モードのデバイスツーデバイス送信が要求されることを示す、基地送受信局111に向けた更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21の要求211に対応する。図4に示す状況では、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービスへのアクセスを許可する第1のメッセージ202を(第1の)ユーザ機器20に送信する。第1のメッセージ202又は追加の第2のメッセージ203のいずれかにおいて、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービス、すなわちデバイスツーデバイス直接モード送信305に用いられることになる最小送信電力を更に示す。図5の状況において、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービスへのアクセスを認可する更なる第1のメッセージ212を更なる(すなわち第2の)ユーザ機器21に送信する。更なる第1のメッセージ212又は追加の第2のメッセージ213のいずれかにおいて、基地送受信局111は、デバイスツーデバイス通信サービス、すなわちデバイスツーデバイス直接モード送信307に用いられる最小送信電力を更に示す。
【0045】
通常のデバイスツーデバイス通信状況では、すなわち合法的傍受観察のない状況では、制御基地局は、送信しているデバイスツーデバイス対応ユーザ機器の近傍範囲内の複数のデバイスツーデバイス通信対応デバイスが、そのユーザ機器のブロードキャスト送信を受信することができるように、無線セル内の又は互いに近接したそれぞれのユーザ機器の送信電力を制御する。これは主に、送信しているデバイスツーデバイスユーザ機器の定義された範囲内で送信を受信することができることを確実にするとともに、デバイスツーデバイス対応ユーザ機器によって用いられる送信電力が過度に高い場合に生じる可能性がある、他の送信に関する干渉問題を制限するためのものである。無線セル内の又は互いに近接したそれぞれのユーザ機器の送信電力のそのような制御は、例えば、
−基地送受信局によって課される、(全てのそのようなデバイスツーデバイス通信対応デバイスについての)1つの定義された送信電力レベル若しくは値、又はそれぞれのデバイスツーデバイス通信対応ユーザ機器につき1つずつの、複数の定義された送信電力レベル若しくは値の設定によって実行することができるか、
−又は、1つの定義された送信電力範囲(すなわち、低い送信電力レベルと高い送信電力レベルとの間)が(例えば全てのそのようなデバイスツーデバイス通信対応デバイスについて)設定されるか、又はそれぞれのデバイスツーデバイス通信対応ユーザ機器につき1つずつの、複数の定義された送信電力範囲が基地送受信局によって設定され、それぞれの1つ又は複数のユーザ機器によって、用いられる実際の送信電力レベルが定義されるように実行することができ、
それによって、送信しているデバイスツーデバイス対応ユーザ機器の近接範囲内のデバイスツーデバイス通信対応デバイスが、そのユーザ機器のブロードキャスト送信を受信することができるようにする。
一方、デバイスツーデバイスデータ送信(デバイスツーデバイス近接送信(若しくは近接メッセージ)又はデバイスツーデバイス直接モード送信)が、合法的傍受要件の対象のユーザ機器によって開始されることになる場合、送信されるデータのコンテンツを、電気通信ネットワーク100の合法的傍受インタフェースに更にルーティングするために電気通信ネットワーク100の無線アクセスネットワーク110内のどこかで受信することができることを確実にする必要がある。これは、例えば、基地送受信局によって最小送信電力を直接課すこと、又は基地送受信局によって、上述した定義された送信電力範囲若しくは複数の定義された送信電力範囲を、より低い送信電力レベルが最小送信電力に対応するように設定すること(若しくは課すこと)によって保証することができる。
【0046】
合法的傍受観察下のユーザ機器がデバイスツーデバイス近接送信のための認証を要求する場合(すなわち図2に示す状況において)、制御ネットワーク(すなわち、基地送受信局)は、要求されたデバイスツーデバイス近接送信に対する認可を、基地送受信局111も近接送信301を受信することができることが確実になるように構成する。本発明によれば、これは、ユーザ機器20の用いられる送信電力を、基地送受信局111もこの近接送信を受信することができるように十分高い値に設定することによって行われる。制御基地送受信局111は、そのカバレッジエリア(例えば無線セル)下での全ての無線リソース利用の制御を担当しているので、観察下のユーザ機器20のための実際のデバイスツーデバイス直接モード(又は直接パス)送信のための専用送信リソースも割り当て、それによって干渉問題を最小限にすることができる。
【0047】
図3に示す)更なる例示的な状況では、合法的傍受観察を受けるユーザ機器20は、デバイスツーデバイス近接送信303を始めるユーザ機器21ではない。合法的傍受観察を受けるユーザ20は、単に(更なるユーザ機器21、すなわち発信者から)デバイスツーデバイス近接送信303を受信し、例えば更なるデバイスツーデバイス直接通信のために発信者(更なるユーザ機器21)に接続している。この場合、デバイスツーデバイス近接送信303(すなわち、第1のユーザ機器20)の受信機は、「接続要求」メッセージを制御基地送受信局111に送信し、そして制御基地送受信局111は、このユーザをデバイスツーデバイス近接送信303の発信者(すなわち、第2のユーザ機器21)にリンクする。
【0048】
図4及び図5に示す別の状況によれば、デバイスツーデバイス対応ユーザ機器は、別のデバイスツーデバイス対応ユーザ機器へのデバイスツーデバイス直接モード送信(又は直接モードパス)のセットアップを要求し、制御基地送受信局111は、基地送受信局111が(例えば双方のユーザ機器20、21の送信電力を、ユーザ機器20、21間の直接データ送信に通常必要とされるような、より高い値に設定することによって)双方の端末の送信を受信することができるようにして双方の端末の送信の構成を設定することができるか、又は、データトラフィックが基地送受信局111若しくは更にはコアネットワーク120を介して交換され、従来の合法的傍受を用いることができることを確実にするために、「デフォルトデータパス送信」若しくは「局所的にルーティングされたデータパス」をセットアップすることができる。
【0049】
本発明は、特に、デバイスツーデバイス近接送信及び/又はデバイスツーデバイス直接モード送信を傍受することによって、所与のエリア(例えば、電気通信ネットワーク100の無線セル10)において全ての端末(又はユーザ機器)の合法的傍受が必要とされる状況も指す。この場合、それぞれのエリア内の任意の端末(このため、例えばIMSI(国際移動加入者アイデンティティ)に基づく個々の加入者の選択を伴わない)のデバイスツーデバイス近接送信が、制御基地送受信局におけるデバイスツーデバイスメッセージの受信を可能にするのに十分高い送信電力に設定される。これは、特殊な法的観察下の人物の集会、又はデバイスツーデバイス通信の特殊な観察を要するエリア(例えば刑務所)の場合に、関係当局に有用であることができる。
【0050】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ユーザ機器は、デバイスツーデバイス通信を用いてデバイスツーデバイス対応ユーザ機器間で送信されるデータパスデータの中継目的で用いることができる。これは、以下のような状況、すなわち、
−合法的傍受を受けるユーザ機器のデバイスツーデバイス近接送信又は直接モード送信を(ユーザ機器が既に可能な最大送信電力を適用しているにもかかわらず)基地送受信局111において受信することができず、
−しかし、第3のユーザ機器22において受信することができ、
−第3のユーザ機器22と基地送受信局111との間の無線送信が可能である、
状況において、第3のユーザ機器22を、基地送受信局111に向けたこのデバイスツーデバイス送信の中継器として用いることができることを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5