(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883559
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】車両用オープンルーフ構造
(51)【国際特許分類】
B60J 7/02 20060101AFI20160301BHJP
B60J 7/043 20060101ALI20160301BHJP
B60J 7/05 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
B60J7/02 A
B60J7/02 B
B60J7/043
B60J7/05 A
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-223879(P2010-223879)
(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公開番号】特開2011-79516(P2011-79516A)
(43)【公開日】2011年4月21日
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】09172240.5
(32)【優先日】2009年10月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】ルート・ゲウルツ
(72)【発明者】
【氏名】マーセル・ヨハン・クリスティアーン・ネレン
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第03603314(DE,A1)
【文献】
特開2000−301948(JP,A)
【文献】
特表2002−521267(JP,A)
【文献】
特開平02−279422(JP,A)
【文献】
特開2001−047866(JP,A)
【文献】
特開2000−313236(JP,A)
【文献】
米国特許第06419310(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
B60J 7/043
B60J 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ルーフ(1)に開口(2)を有する車両用のオープンルーフ構造であって、
前記ルーフ開口の両側の固定前後方向ガイドレール(5)を有する、前記ルーフに対する取り付けのための固定部(3)と、作動機構を備えたスライド可能なスライド(6)と、それが前記ルーフ開口を閉塞する閉ポジションと、それが前記ルーフ開口を少なくとも部分的に開放する第1および第2の開ポジションとの間で調整可能であるように前記作動機構によって支持された閉塞部材(4)と、を具備してなり、第1の開ポジションは前記閉ポジションの上方に位置し、第2の開ポジションは前記閉ポジションの下方に位置しており、
各作動機構は、前記閉塞手段(4)に互いに異なる第1の動作および第2の動作を生じさせるよう構成されており、かつ、前記閉塞部材に対して取り付けられると共に第1のガイドトラック(10)を有する湾曲プレート(11)を具備してなり、前記スライド(6)に対して連結された第1のガイド部材(9)は、前記第1のガイドトラック(10)と、前記閉塞部材の移動の経路の少なくとも一部に沿って係合状態であり、
前記スライド(6)は高さ調整部材(7)を備え、この高さ調整部材(7)は、前記第1のガイド部材(9)を備えると共に、さらに、前記ガイドレール(5)に対して少なくとも部分的に垂直方向に傾斜した第2のガイドトラック(16)と係合状態にある第2のガイド部材(15)を備え、
前記第2のガイドトラック(16)が、前記ガイドレール(5)内をスライドする前記スライド(6)に固定された湾曲部(13)に設けられており、
前記第1および第2のガイドトラック(10,16)は、それを通って延在する共通垂直前後方向平面をそれらが有するように相対的に配置されており、かつ、
前記ガイドトラック(10,16)は、前記第1および第2のガイドトラックが、互いに交差することなく高さ方向にオーバーラップすることを可能とするために、前記ガイドレール(5)と平行な方向に互いに対して選択的に移動可能であり、
前記高さ調整部材(7)の前記第1および第2のガイド部材(9,15)は、それぞれ、前記第1および第2のガイドトラック(10,16)と常時係合状態にあり、かつ前記高さ調節部材(7)は、前記閉塞手段(4)を前記閉ポジションから前記第1の開ポジションへ移動させるために前記閉塞手段(4)の前記第1の動作を生じさせるように前記第1のガイドトラック(10)に沿って移動し、かつ前記高さ調節部材(7)は、前記閉塞手段(4)を前記閉ポジションから前記第2の開ポジションへ移動させるために前記閉塞手段(4)の前記第2の動作を生じさせるように前記第2のガイドトラック(16)に沿って移動することを特徴とするオープンルーフ構造。
【請求項2】
前記第1および第2のガイドトラックは類似形状を有することを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項3】
前記第1および第2のガイドトラックは、少なくとも前記閉塞部材の閉ポジションにおいて、実質的に平行に延在していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオープンルーフ構造。
【請求項4】
前記閉塞部材の最大開ポジションにおいては、前記第1のガイド部材は前記第1のガイドトラックの最下方部分と係合状態にあると共に前記第2のガイド部材は前記第2のガイドトラックの最上方部分と係合状態にあることを特徴とする請求項2に記載のオープンルーフ構造。
【請求項5】
前記第1および第2のガイドトラックは前方および後方端部を有し、この前方および後方端部は、前記第1および第2のガイドトラックの最下方および最上方部分を形成すると共に、少なくとも前記第1および第2のガイド部材が前記前方および後方端部と係合状態にある前記閉塞部材のポジションにおいて、それぞれの前記ガイドレールと実質的に平行に延在しており、かつ、前記第1および第2のガイドトラックは、前記端部間の垂直方向に傾斜した中間部分を有することを特徴とする請求項4に記載のオープンルーフ構造。
【請求項6】
前記第1および第2のガイドトラックはそれぞれ所定の長さを有しており、これら長さは、前記第1および第2のガイドトラックの長さのうち最小長さの50%以下だけ異なることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のオープンルーフ構造。
【請求項7】
前記高さ調整部材は前記第1および/または第2のガイドトラックに対して選択的に動作可能であり、かつ、前記スライドは前記湾曲部に対して固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のオープンルーフ構造。
【請求項8】
前記高さ調整部材は、この高さ調整部材が前記第1および第2のガイドトラックの他方に対して動作するとき、前記第1および第2のガイドトラックの一方に対して、前記高さ調整部材を実質的にロックするためのロック機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項9】
前記高さ調整部材は、前記ロック機構を含むガイド部材‐ガイドカーブ接続部を介して、前記第1および第2のガイドトラックに連結されていることを特徴とする請求項8に記載のオープンルーフ構造。
【請求項10】
前記高さ調整部材は、前記湾曲プレートの第2のガイドカーブおよび前記湾曲部の第1のガイドカーブと係合状態にあるガイド部材を含むことを特徴とする請求項9に記載のオープンルーフ構造。
【請求項11】
前記ガイドカーブは、ロックおよび/またはロック解除部を備えることを特徴とする請求項10に記載のオープンルーフ構造。
【請求項12】
前記ガイド部材はピボットピンであり、かつ、前記高さ調整部材は前記ピボットピンを中心として回動可能なアームであることを特徴とする請求項9に記載のオープンルーフ構造。
【請求項13】
前記高さ調整部材はピボットピンを中心として回動可能なアームであり、かつ、前記アームの長さは前記第1および第2のガイドトラックのそれよりも大きなものであることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1のプレアンブルに記載のオープンルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
そうしたオープンルーフ構造は特許文献1から公知である。チルト‐スライダーの形態の、この従来型ルーフ構造は、湾曲プレートおよび湾曲部の両方の上の長尺なカーブが、閉塞部材の完全な平行移動(すなわち、閉塞部材がルーフ開口を閉じる閉ポジションから閉塞部材の後端が上方に回動させられた換気ポジションへと、そしてこの閉ポジションから閉塞部材の降下したスライドポジションへと向かう)機能を実現するようなものである。大きなパッケージング高を生じることなく、これを可能とするために、閉塞部材の上記降下ポジションにおいて、湾曲プレートは湾曲部の二つの脚間で降下する。機構の幅をかなりのものとしているのは、この特殊な機構、湾曲プレートを受ける湾曲部の離間した脚である。このかなりの幅寸法は好ましいものではない。なぜなら、それは、固定ルーフ内のある大きさの開口を考慮すると、横方向における、閉塞部材のデイライト開口、すなわちガラスパネルを縮減させるからである。さらに、垂直方向に関して、ある大きさの外側ボディ形状を考慮すると、車内の乗員のためのより大きなヘッドスペースを確保するために、機構のパッケージング高を小さなものとすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/06403号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した種類の改良されたオープンルーフ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を実現するために、本発明に基づくオープンルーフ構造は、請求項1の特徴部分に記載の特徴を備える。
【0006】
第1および第2のガイドトラックを互いに隣接させることは有利である。というのは、これは構造体の横方向パッケージを減少させるからである。
【0007】
第1のガイドトラックの形状および第2のガイドトラックのそれは、これらの形状がかなりの程度、類似しているようなものである。第1および第2のガイドトラックは、ガイドと平行な方向に、互いに対して選択的に動作可能である。こうして、選択的に、第1のトラックが下方に動くときにトラックが交差するのを抑止するために、前後方向に少なくとも部分的に他方の前方にガイドトラックの一方を位置させることが、あるいは第1のガイドトラックの下側部分が第2のガイドトラックの上側部分の上に位置するように互いに前後方向にトラックを位置させ、これによって閉塞部材のチルト高を最大化することが可能となる。これは、たとえば、第1および第2のガイドトラックが少なくとも閉塞部材の閉ポジションにおいて実質的に平行に延在する場合に考えられる。
【0008】
ある実施形態では、第1および第2のガイド部材は、そのそれぞれの第1および第2のガイドトラックと常時係合状態にあり、かつ、閉塞部材の最大開ポジションにおいては、第1のガイド部材は第1のガイドトラックの最下方部分と係合状態にあると共に第2のガイド部材は第2のガイドトラックの最上方部分と係合状態にある。
【0009】
さらなる実施形態では、第1および第2のガイドトラックは、前方および後方端部を有し、この前方および後方端部は、第1および第2のガイドトラックの最下方および最上方部分を形成すると共に、少なくとも第1および第2のガイド部材が前方および後方端部と係合状態にある閉塞部材のポジションにおいて、それぞれのガイドレールと実質的に平行に延在しており、かつ、第1および第2のガイドトラックは、上記端部間の垂直方向に傾斜した中間部分を有する。
【0010】
第1および第2のガイドトラック
はそれぞれ所定の長さを有しており、これら長さは、前記第1および第2のガイドトラックの長さのうち最小長さの50%以下だけ、特に10%以下だけ、異なっていてもよい。
【0011】
ある実施形態では、高さ調整部材は第1および/または第2のガイドトラックに対して選択的に動作可能であり、かつ、この場合、スライドは湾曲部に対して固定されている。
【0012】
このようにして、ガイドトラック間の長手方向の動作は、第2のガイドトラックを直に駆動することによって実現され、一方、高さ調整部材に対する動作は、第1および/または第2のガイドトラックに対する、その選択的動作によって達成される。
【0013】
この選択的動作は、高さ調整部材が、この高さ調整部材が第1および第2のガイドトラックの他方に対して動作するとき、第1および第2のガイドトラックの一方に対して、高さ調整部材を実質的にロックするためのロック機構を備えた場合に実現できる。
【0014】
高さ調整部材は、上記ロック機構を含むガイド部材‐ガイドカーブ接続部を介して、第1および第2のガイドトラックに対して連結されてもよい。ガイドカーブは、ロック機構の少なくとも一部を形成するために、ロックおよび/またはロック解除部を備えていてもよい。
【0015】
簡素な構造は、ガイド部材がピボットピンであり、かつ、高さ調整部材はピボットピンを中心として回動可能なアームである場合に実現される。ピボットピンはそれゆえ二重機能を有し、これによって作動機能の部品数が削減される。
【0016】
作動機構が、閉塞パネルに二つの互いに異なる動作を生じさせるよう構成された場合、高さ調整部材が、第1の動作の間、第1のガイドトラックに対して動き、かつ、高さ調整部材が、第2の動作の間、第2のガイドトラックに対して動く構成を採用することも可能である。
【0017】
たとえば、オープンルーフ構造体がスライド‐チルトルーフとして構成される場合、高さ調整部材は、閉ポジションからの閉塞部材の上向き傾動の間、第1のガイドトラックに対して動くことができ、かつ、高さ調整部材は、閉ポジションからの閉塞部材の下向き傾動の間、第2のガイドトラックに対して動くことができる。
【0018】
好ましくは、ロック機構は、それが、高さ調整部材が第1および第2のガイドトラックの両方に対して動くときに作動させられるように構成される。
【0019】
第1および第2のガイドトラックが上下に配置される場合、ガイドトラックの全体幅寸法を最小化できる。
【0020】
第1および第2のガイド部材が第1および第2のガイドトラックと一方側から係合する場合、幅寸法のさらなる低減が可能である。なぜなら、それらは一方が他方の上に同様に載ることができるからである。
【0021】
他の実施形態では、高さ調整部材は、ピボットを中心として回動可能なアームであり、アームの長さは第1および第2のトラックのそれよりも大きなものである。この結果、アームはロック機構と、たとえばそのピボットあるいはその付近と常時係合状態となり、一方、ロック機構は、このロック機構のためのさらなる幅が必要ではないように、ガイドトラックの前方(これが好ましい)あるいは後方に、十分な距離を置いて配置できる。
【0022】
以下、実例として、本発明に基づくオープンルーフ構造の一実施形態を示す図面を参照して本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に基づくオープンルーフ構造の実施形態の平面図であり、閉塞部材は閉ポジションにあり、そして、分かりやすくするために、閉塞部材は、その下方の作動機構が見えるように図の下半分において省略されている。
【
図2】対応するガイドレールを含む、
図1の作動機構の分解図である。
【
図3】
図1のIII‐IIIに沿った概略前後方向断面図であり、閉ポジションにある閉塞部材を示している。
【
図4】
図1のIII‐IIIに沿った概略前後方向断面図であり、換気ポジションにある閉塞部材を示している。
【
図5】
図1のIII‐IIIに沿った概略前後方向断面図であり、後方にスライドした開ポジションにある閉塞部材を示している。
【
図6】閉塞部材がその閉ポジションにあるポジションでの、
図2の作動機構およびガイドレールの平面図である。
【
図7】
図6のVII‐VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図6のVIII‐VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、車両用のオープンルーフ構造、特に乗用車用のスライド‐チルトルーフが示されている。車両あるいはオープンルーフ構造は、それ自体にルーフ開口2を有する固定ルーフ1を具備する。オープンルーフ構造の閉塞部材4は、ルーフ開口を選択的に開閉することができる。フレーム3すなわち別の固定部分が固定ルーフ1に取り付けられており、そして、それは、さらに詳しく説明する様式で閉塞部材4を支持している。
【0025】
上述したように、図示する実施形態は、いわゆるスライド‐チルトルーフであり、このものでは閉塞部材4は剛体パネルであり、それは、一方では、ルーフ開口2の閉ポジション(
図1および
図3)から(前方から後端へとそれが上向きに傾斜した)換気ポジション(
図4)へと動くことができ、かつ、それは、他方では、閉ポジションから下方へと(
図5)、そして固定ルーフの下方のポジション(図示せず)へと後方に動くことができる。
【0026】
上記動作を可能とするために、パネル4は両側に作動機構を備えるが、その一方が図示されており、同じ機構がパネル4の他方の前後方向縁部において鏡像実施として使用されている。作動機構はガイドレール5内に収容されているが、これは、フレーム3にマウントされるかあるいはその中に一体化されており、かつ、それは、ルーフ開口2の両側でかつ固定ルーフ1の下方でその後方に延在している。各作動機構はスライド6によって駆動されるが(
図2、
図3、
図4、
図5参照)、それは、ガイドレール5内でガイドされ、かつ、それは、電気モーター、手動クランクなどの駆動手段に対して連結されたプル‐プッシュケーブル(図示せず)あるいは他の連結要素によって、ガイドレール5内で移動できる。
【0027】
図2、
図3、
図4、
図5は、本発明に基づく作動機構の一実施形態を示している。
【0028】
スライド6上にマウントされているのは、この実施形態では長尺アームの形態の高さ調整部材7であり、これは、水平な、横方向に延在するピボット8によって、スライド6に対して連結されている。高さ調整部材7は、ピボット8から第1および第2のガイド部材9,15に向かって、後方に延在している。第1および第2のガイド部材9,15はガイドカムの形状であり、それは、横方向に実質的に水平に延在するリブの形態の第1および第2のガイドトラック10,16と係合しており、かつ、それは、ガイドレール5の前後方向に非水平トラックを形成している。前後方向における第1および第2のガイドトラック10,16のカーブは非常に近似しており、かつ、それらは、パネル4が閉ポジションにあるとき(
図3)、実質的に平行に延在する。第1および第2のガイドトラック10,16の主要あるいは中間部は、ガイドレール5に対して、ある角度をなすよう垂直方向に傾いた状態で延在する。ガイドトラック10,16のこの主要部は、それぞれの前方端部および後方端部と、その前端および後端において結合されているが、これは、特に、それぞれのガイド部材9,15がそれぞれの端部と係合状態にあるとき、ガイドレール5と実質的に平行に延在している。第1のガイド部材9は第1のガイドトラック10と係合状態にある。ガイドトラック10は湾曲プレート11から延在するが、これは、パネル4の下側に設けられている。
【0029】
その前側において、湾曲プレート11は、水平な、横方向に延在するスライドシュー12を備えるが、このシュー12によって、パネル4はその前側を中心として回動できる。スライドシュー12は、ガイドレール5内でスライド可能に支持されている。第2のガイド部材15は第2のガイドトラック16と係合状態にある。ガイドトラック16は湾曲部13から延在するが、これはスライド可能な部品であり、この実施形態では湾曲部13に対して固定されたスライド6と共にガイドレール5内でスライドする。第1および第2のガイド部材9,15は高さ調整部材7の同じ側に設けられており、かつ、同じ側から第1および第2のガイドトラック10,16と係合する。
【0030】
高さ調整部材7のピボット8は、第1および第2のガイドカーブ50,51と係合状態にある。第1のガイドカーブ50および第2のガイドカーブ51は、ここでは、湾曲プレート11の下側部分、湾曲部13の前側部分それぞれのプラスチックフランジによって取り囲まれた溝として形成されている。第1のガイドカーブ50は、長い前方部分50'と、
下向きに概ね垂直に延在する短い後方ロック部分50''とを含む。第2のガイドカーブ51は、長い前方部分51'と、
下向きに概ね垂直に延在する短い後方ロック部分51''とを含む。カーブ50,51および中間ピボット8および高さ調整部材7の複合幅は、ガイドトラック/ガイド部材のそれよりも小さく、かつ、作動機構の幅の増大がこれによって引き起こされないように十分な距離が置かれている。
【0031】
図示しかつ説明するオープンルーフ構造の機能は以下のとおりである。
【0032】
図3は、パネル4がルーフ開口2内でその閉ポジションにあるポジションで、作動機構を示している。高さ調整部材7のガイド部材9,15は、その後端付近のポジションにおいて、第1および第2のガイドトラック10,16と係合状態にある。第1および第2のガイドカーブ10,16は、前後方向および垂直方向に、ほとんど完全に互いにオーバーラップしているが、その平行な重ね合わせ可能な形状のために、それらは交差することはなく、この結果、それらはまた、その横方向にオーバーラップすることができ、そして
図8は、第1および第2のガイドトラック10,16が横方向に完全にオーバーラップしている状態を示しており、この結果、それらは横方向に最小スペースしか占有しておらず、一方、トラック10,16の重ね合わせ可能な機能はまた、作動機構のパッケージ高を制限する。
【0033】
高さ調整部材7のピボットピン8は、前方および後方部分51'および51''の間のポジションにおいて、第1のガイドカーブ50の後方ロック部分50''と、そして第2のガイドカーブ51と係合状態にある。
【0034】
図4は、パネル4の換気ポジションで、作動機構を示している。このポジションを実現するために、スライド6は、前方にある距離だけ移動させられる。湾曲部13がスライド6に固定されているので、それはスライド6と共に移動する。さらに、高さ調整部材7のピボット8は、湾曲部13内の第1のガイドトラック50のロック部分50''内に固定されており、そして、これは、高さ調整部材は湾曲部13と共に移動し、したがって、第2のガイド部材15は、やはり湾曲部13と共に移動した第2のガイドトラック16に対して実質的に静止状態にあることを意味する。
【0035】
スライド6の変位の間、パネル4は、図示していない(ただし公知である。たとえば、その内容が、この引用によって本明細書に組み込まれる国際公開第00/06403号参照)ロック機構によって前後方向に実質的に静止した状態で保持され、この結果、スライド6および湾曲部13は湾曲プレート11に対してスライドする。結果として、第1のガイドトラック10は、高さ調整部材7の、実質的に静止した、第1のガイド部材15に対して動作し、したがってパネル4は第1のガイドトラック10のカーブに依存して回動する。
図4に関して、第1のガイド部材9は第1のガイドトラック10の前側端部付近に配置されている。(第1のガイドトラック10のそれと類似した形状を有する)第2のガイドカーブ51が、湾曲プレートがピボットピン8に対して動くことを可能とする。パネル4はスライドシュー12の上で回動し、そして、その回動動作の結果としてパネル4の前側の前後方向動作を補償するパネルの僅かな前後方向動作を生じる公知の補償機構が設けられてもよい。
【0036】
図4のポジションでは、第1および第2のガイドトラックは、垂直方向にはオーバーラップしておらず、かつ、必要なチルト高さが実現された相対ポジションにある。
【0037】
図5は、作動機構を、ルーフ開口2の後方で固定ルーフ1の下方をスライドできるようにパネル4が下方に移動させられたポジションで示している。このポジションを実現するために、スライド6は閉ポジションから後方に移動させられている。ピボット8は第1のガイドカーブ50のロック部分50'に沿って運ばれ、この結果、第1のガイド部材9は第1のガイドトラック10に対して移動させられる。第1のガイドトラック10の関連部分は水平に延在しているので、パネル4は同じ垂直ポジションに留まり、そして、この結果、第2のガイドカーブ51のロック解除部51''は、それが第1のガイドカーブ50のロック部分50''を離れるようにピボット8を下方に押しやる。これによって、ピボットピン8が第1のガイドカーブ50の前方部分50'を経て移動することが可能となり、したがって、湾曲プレート13は、ピボットピン8およびそれと共に高さ調整部材7が前後方向に実質的に静止した状態を維持したまま動作する。これは、第2のガイドトラック16は第2のガイド部材15に対して動作し、一方、第1のガイド部材9が第1のガイドトラック10の後端において静止状態を維持することを意味する。第2のガイド部材15は下方に動いて、第2のガイドトラック16のカーブを追従し、そして高さ調整部材7の回動は、第1のガイド部材9、第1のガイドトラック10、湾曲プレート11、そしてこのようにして動作させられる、特に下方に回動させられるパネル4によって追随される。その間の垂直間隔がより大きくなる方向のガイドカーブ10,16の前後方向の相対移動によって、これらのカーブが互いに交差することなく、第2のガイドトラック16に対して第1のガイドトラック10をさらに降下させることが可能となり、この結果、ガイドトラックの相対的前後方向移動は、ガイドトラックが同じ横方向ポジションに存在する状態でさえ、パネル4の降下を可能にする。
【0038】
図4のポジション(このポジションではピン8はガイドカーブ50の後端に達している)からのスライド6のさらなる後方動作によって、完全な作動機構およびパネル4のユニットとしてのスライド動作を生じる。後方ポジションにおいては、ピボットピン8は、たとえば、オーバーヘッドフランジなどによる上向き動作の抑止によって、ガイドカーブ50,51の両方に対してロックされる。この場合、作動機構およびパネルはまた、
図5のポジションに再び達するまで、パネルの前方の移動の間、固定ユニットとして機能する。パネル4を再び閉じるための動作は逆の順序となる。
【0039】
本発明は、図面に示されたような上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇から逸脱することなく、さまざまな方法で変更可能である。
【0040】
したがって、本発明は、リフトルーフ、スポイラールーフ、およびパネルあるいは他の種類の単一あるいは複数の閉塞部材を具備してなるルーフなどの、他の種類のオープンルーフ構造と共に利用可能である。スライドの高さ調整部材はまた、一つのガイドピンあるいは他のタイプのガイド部材を介して、閉塞部材のガイドトラックと、そして溝として形成された固定部と係合していてもよい。ガイド部材およびガイドトラックはまた、動力学的に逆転可能であり、一方、第1および第2のガイド部材は一つの部品として一体化できる。
【0041】
閉ポジションからスライドオープンすなわち換気ポジションへと閉塞部材が移動する間、閉塞部材の水平および垂直動作を引き起こすために使用される作動機構は、互いに常時係合状態にあるそのそれぞれの接触ポイントを備えることが、動的および機能的静的騒音に関しては有益である。
【0042】
好ましくは、高さ調整部材の素材はスチールであるが、強化プラスチック素材なども使用可能である。
【0043】
高さ調整部材がプラスチック素材からなる実施形態においては、国際公開第00/06403号に示される機構に比べて、かなりの重量軽減が可能である。
【0044】
第1および第2のガイドトラックを湾曲プレートあるいは湾曲部の一方側においてのみそれぞれ延在させることは有利であるが、ガイドトラックが、その両側で延在して、ガイド部材の二重対と協働することも考えられる。二重ガイドトラックは、本明細書に開示した実施形態における単一ガイドトラックと同じ幅のものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 固定ルーフ
2 ルーフ開口
3 フレーム
4 閉塞部材
5 ガイドレール
6 スライド
7 高さ調整部材
8 ピボットピン
9,15 ガイド部材
10,16 ガイドトラック
11 湾曲プレート
12 スライドシュー
13 湾曲部
50,51 ガイドカーブ
50',51' 長い前方部分
50'',51'' 短い後方ロック部分