(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
(参考例)
図1はミキサ車1の概略構成を示す側面図である。これに示すように、生コンクリート積載用のミキサ車1は、車体2上に生コンクリートを攪拌するミキサドラム装置9を搭載している。
【0017】
ミキサドラム装置9は、車体2の前後に設けられた支持装置3、4と、この支持装置3、4によって回転中心軸Oまわりに回転自在に支持されるドラム10と、このドラム10に図示しないエンジンの動力を伝える駆動装置とを備え、ドラム10が正逆両方向に回転駆動される。
【0018】
中空紡錘状のドラム10は、その中程に設けられる直円筒部17と、この直円筒部17から前方(
図1の左側)に向けて縮径する前方円錐部16と、直円筒部17から
後方(
図1の右側)に向けて縮径する後方円錐部18とを有する。
【0019】
ドラム10の後部には、生コンクリートを投入、排出するための開口端11(投入排出口)が設けられる。ドラム10は、その回転中心軸Oが水平線に対して傾斜するように配置される。これにより、ドラム10の開口端11は、斜め上方を向いて開口している。
【0020】
ドラム10の開口端11の後方上部には、生コンクリートが投入されるホッパ5が設けられる。ドラム10の開口端11の内側には、入口シール(シールパイプ)40が設けられる。ホッパ5に投入される生コンクリートは、入口シール40によってドラム10の開口端11からドラム10内へと導かれる。
【0021】
ドラム10の開口端11の後方下部には、スクープ6及びシュート7が設けられる。開口端11から排出される生コンクリートは、スクープ6によってシュート7に導かれ、シュート7によって所定の方向に排出される。
【0022】
ドラム10の内側には、その内壁12から突出して螺旋状に延びる帯状の第一、第二ブレード(ブレード)20、30が設けられる。一対の第一、第二ブレード20、30は、回転中心軸Oについて互いに180度の位相差をもって螺旋帯状に延びている。
【0023】
第一、第二ブレード20、30は、ドラム10の内壁12に結合される螺旋状の外周縁部(基端)25、35と、ドラム10内に突出する螺旋状の内周縁部(先端)24、34とをそれぞれ有する。
【0024】
ドラム10に対する生コンクリートの投入及び攪拌、混練時には、ドラム10を後方(
図1の右端側)から見て
反時計回り方向に回転する正転駆動が行われる。ドラム10内の生コンクリートは、回転する第一、第二ブレード20、30によりドラム10の後方から前方(
図1の右方から左方)へ送られる。これにより、生コンクリートの攪拌、混練が行われ、その固化が防止される。
【0025】
ドラム10に対する生コンクリートの排出時には、ドラム10を後方から見て
時計回り方向に回転する逆転駆動が行われる。ドラム10内の生コンクリートは、回転する第一、第二ブレード20、30によりドラム10の前方から後方へ送られ、ドラム10の開口端11から排出される。
【0026】
図2において、第一、第二ブレード20、30を破線と実線でそれぞれ示している。螺旋帯状の第一、第二ブレード20、30は、ドラム10の開口端11の近傍へと延びるテーパ状の第一、第二ブレード先端部(ブレード先端部)21、31をそれぞれ有する。第一、第二ブレード先端部21、31は、ドラム10の内壁12に対する高さがドラム10の前側(奥側)から開口端11に向けて次第に低くなる。
【0027】
図3、
図4に示すように、ドラム10の開口端11の近傍には、その内壁12から突出する一対の補助ブレード29、39が設けられる。この補助ブレード29、39は、互いに180度の位相差をもち、第一、第二ブレード先端部21、31に対してそれぞれ所定の位相差をもつように配置される。
【0028】
ドラム10が逆転する生コンクリートの排出時には、第一、第二ブレード20、30によってドラム10の開口端11の近傍に送られる生コンクリートが、テーパ状の第一、第二ブレード先端部21、31と補助ブレード29、39によってドラム10の開口端11からスクープ6へと押し出される。
【0029】
以下、入口シール40の構成について説明する。
図5は、入口シール40の展開図であり、
図6は、入口シール40の斜視図である。入口シール40は、円環状の入口シールパイプ41と、この入口シールパイプ41から三角湾曲板状に延びる第一、第二入口シールパネル42、43とを有する。
図3、
図4、
図6において、第一、第二入口シールパネル42、43は、便宜上ドットを入れて示している。
【0030】
入口シールパイプ41は、回転中心軸Oを中心とする円環状に形成される。入口シールパイプ41の開口端には、ホッパ5の出口(図示せず)が接続される。入口シールパイプ41の内側にホッパ5に連通して生コンクリートを導入する入口空間28が画成される。
【0031】
ドラム10が正転する生コンクリートの投入時には、ホッパ5に投入される生コンクリートが、入口シールパイプ41によって第一、第二ブレード先端部21、31を越えてドラム10の前側(奥側)へと導かれる。
【0032】
第一、第二入口シールパネル42、43は、互いに回転中心軸Oについて180度の位相差をもつように配置される。第一、第二入口シールパネル42、43は、入口シールパイプ41の前端と第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34との間をそれぞれ結ぶように延びる三角湾曲板状にそれぞれ形成される。
【0033】
入口シールパイプ41と第一、第二入口シールパネル42、43とは、金属板によって別体で形成され、互いに溶接等によって結合される。なお、これに限らず、入口シールパイプ41と第一、第二入口シールパネル42、43とがそれぞれ一体に形成される構成としてもよい。
【0034】
生コンクリートが最高レベル付近まで達する積載状態において、ドラム10が正転する生コンクリートの攪拌、混練時には、ドラム10の開口端11の近傍にて第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を越えた生コンクリートが入口シール40の第一、第二入口シールパネル42、43の上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11からスクープ6へと排出されることが抑えられる。
【0035】
ところで、従来のミキサ車では、
図2に2点鎖線で示すように、入口シールの入口シールパネル142、143が、ドラムの後方円錐部(18)に沿って拡径する円錐面状(テーパ筒状)に形成されるとともに、ドラムの開口端の近傍にて前後に並ぶ一対のブレードの突出高さが略等しく形成されていた。このため、入口シールパネル142、143をドラムの開口端近傍の広い範囲に設けて、ブレードを乗り越える生コンクリートが排出されることを防止する必要があった。しかし、このような従来装置にあっては、前後に並ぶブレード間の空間が入口シールパネルによってトンネル状に覆われるため、ブレード間に生コンクリートが付着しやすく、ミキサ車の洗浄時に、ブレード間に付着した生コンクリートを洗浄しにくいという問題点があった。
【0036】
これに対処して、本発明の入口シール40は、ドラム10の回転中心軸O方向に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間を開放し、第一、第二ブレード20、30の間をトンネル状に覆わない構成とする。
【0037】
図4、
図5に示す領域A、Bは、ドラム端中心線Zを境界とし、回転中心軸Oについて180°の角度範囲に設定される。領域A、Bは、第一、第二ブレード20、30が入口シールパイプ41から離れる領域であって、第一、第二ブレード先端部21、31が存在する。
【0038】
環状の出口空間27は、前述したように、入口シールパイプ41とドラム10の開口端11との間に画成される。出口空間27は、領域A、Bにおいて、第一、第二ブレード先端部21、31がそれぞれ入口シールパイプ41から離れることによってドラム10の外部に対して開かれている。
【0039】
第一、第二入口シールパネル42、43は、第一、第二ブレード20、30の間をトンネル状に覆わない領域A、Bにそれぞれ配置される。
【0040】
第一開口部(開口部)26は、領域Bにおいて、第一入口シールパネル42の第一シール辺部42aによって画成され、第一、第二ブレード20、30の間を開放する(
図3、
図4参照)。
【0041】
第二開口部(開口部)36は、領域Aにおいて、第二入口シールパネル43の第二シール辺部43aによって画成され、第二、第一ブレード30、20の間を開放する(
図3、
図4参照)。
【0042】
これにより、第一、第二入口シールパネル42、43が前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間をトンネル状に覆うことがないため、第一、第二ブレード20、30の間に生コンクリートが付着しにくく、ドラム10内の洗浄時に、第一、第二ブレード20、30の間を洗浄することが容易に行える。
【0043】
入口シールパイプ41は、第一、第二ブレード20、30の内周縁部(先端)24、34に結合される第一、第二ブレード結合部(ブレード結合部)24a、34aをそれぞれ有する。
【0044】
第一入口シールパネル42は、この入口シールパイプ41からドラム10の奥側(前方)へと延びて第二ブレード30の内周縁部34に結合される前側シール端部(前端部)42bを有する。
【0045】
同様に、第二入口シールパネル43は、入口シールパイプ41からドラム10の奥側(前方)へと延びて第一ブレード20の内周縁部24に結合される前側シール端部(前端部)43bを有する。
【0046】
ドラム端中心線Zは、ドラム10の回転中心軸Oと直交する直線である。第一、第二入口シールパネル42、43は、ドラム端中心線Zに接してドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる第一、第二シール辺部42a、43aをそれぞれ有する。
【0047】
図5の展開図には、本発明の第一、第二入口シールパネル42、43を実線で示している。
図5において、入口シールパイプ41からドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる直線を基準線L1、L2とすると、第一シール辺部42aと第二シール辺部43aは、基準線L1、L2に沿って延びる略直線状に形成される。
【0048】
第一入口シールパネル42は、第一シール辺部42aと入口シールパイプ41の前端41aと第二ブレード30の内周縁部34との間を結ぶように延びる三角湾曲板状に形成される。第二ブレード結合部34aが第一入口シールパネル42の鋭角状の先端(頂点)となる。第一シール辺部42aは、第二ブレード結合部34aに対して第二ブレード先端部31寄りにオフセットされる(
図5参照)。これにより、第一入口シールパネル42は、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30間を結ぶ部位を持たない。なお、これに限らず、第一シール辺部42aは、第二ブレード結合部34aに接続される構成としてもよい。
【0049】
同様に、第二入口シールパネル43は、第二シール辺部43aと入口シールパイプ41の前端41aと第一ブレード20の内周縁部24との間を結ぶように延びる三角湾曲板状に形成される。第一ブレード結合部24aが第二入口シールパネル43の鋭角状の先端(頂点)となる。第二シール辺部43aは、第一ブレード結合部24aに対して第一ブレード先端部21寄りにオフセットされる(
図5参照)。これにより、第二入口シールパネル43は、前後に並ぶ第二、第一ブレード30、20間を結ぶ部位を持たない。なお、これに限らず、第二シール辺部43aは、第一ブレード結合部24aに接続される構成としてもよい。
【0050】
第一、第二入口シールパネル42、43が設けられない第一、第二開口部26、36では、第一、第二入口シールパネル42、43によって前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30間の空間が開放される。
【0051】
第一開口部26は、第一入口シールパネル42の第一シール辺部42aと、第一ブレード20の内周縁部24と、第二ブレード30の内周縁部34との間に螺旋状に画成される。
【0052】
同様に第二開口部36は、第二入口シールパネル43の第二シール辺部43aと、第二ブレード30の内周縁部34と、第一ブレード20の内周縁部24との間に螺旋状に画成される。
【0053】
第一、第二開口部26、36は、ドラム10の回転中心軸Oについて互いに180度の位相差を持って周方向に並び、それぞれ回転中心軸Oを中心とする半円筒面を螺旋状に切り欠いた形状を有する。
【0054】
本発明の第一、第二入口シールパネル42、43は、第一、第二ブレード20、30の間にトンネル状の空間を設けることがなく、第一、第二ブレード20、30の間に生コンクリート(収容物)が付着しにくい。また、第一、第二ブレード20、30の間が開放されているため、ドラム10内の洗浄時に、第一、第二ブレード20、30の間に散水してこれを洗浄することが容易に行える。
【0055】
図5の展開図には、従来装置の入口シールパネル142、143を2点鎖線で示している。本発明の第一、第二入口シールパネル42、43は、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間を開放するのに対して、従来装置の入口シールパネル142、143は、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間をトンネル状に覆うように設けられる。
【0056】
本発明の第一、第二入口シールパネル42、43は、ドラム10の回転中心軸Oと略平行に延び、入口シールパイプ41と連続する直円筒面に沿って形成される。
【0057】
この第一、第二入口シールパネル42、43の形状に合わせて、第一、第二入口シールパネル42、43の前側シール端部(前端部)42b、43bと第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34が段差なく結合するように、ドラム10の内壁12に対する第一、第二ブレード20、30の突出高さが設定される。
【0058】
これにより、ドラム10の開口端11の近傍にて前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30は、開口端11から遠い前側の方(奥側)が、開口端11の近接する後側より高くなるように形成される。このため、ドラム10の開口端11の近傍にて生コンクリートが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越えることが抑えられる。
【0059】
生コンクリートが最高レベル付近まで達する積載状態でドラム10が正転する生コンクリートの攪拌、混練時にて、ドラム10の開口端11の近傍にて生コンクリートが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える状況において、領域A、Bでは、第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、第一、第二入口シールパネル42、43及び入口シール40の上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと落下することが防止される。このとき、第一、第二入口シールパネル42、43が設けられない領域では、第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30間の空間に落下し、回動する第一、第二ブレード20、30によってドラム10の前側(奥側)へと戻されることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと向かうことが防止される。これにより、ドラム10は、大型の入口シールを備える従来装置と同等の積載量が確保される。
【0060】
(第一の実施形態)
次に
図7、
図8、
図9、
図10に示す
第一の実施形態を説明する。
図7は、ドラムを左斜め後方から見た斜視図である。
図8は、ミキサドラム装置9の概略構成を示す断面図である。
図9は、入口シール40の展開図である。
図10は、入口シール40の斜視図である。この入口シール40が設けられるミキサドラム装置は、
参考例と基本的に同じ構成を有し、相違する部分のみを説明する。なお、
参考例と同一構成部には同一符号を付す。
【0061】
第一、第二入口シールパネル42、43は、前方の第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34に沿うように延長される第一、第二延長部(延長部)42e、43eを有する。
【0062】
第一入口シールパネル42は、基準線L1と、第二ブレード30の内周縁部34と、に沿うように湾曲して延びる第一シール辺部(シール辺部)42cを有する。第二入口シールパネル43は、基準線L2と、第一ブレード20の内周縁部24と、に沿うように湾曲して延びる第二シール辺部(シール辺部)43cを有する。
【0063】
第一、第二延長部42e、43eは、それぞれの後端42g、43gが入口シールパイプ41の前端41aに配置され、それぞれの前端42h、43hが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34の基準線L1、L2から前方へ離れた部位に配置される。
【0064】
第一、第二延長部42e、43eが基準線L1、L2からドラム10の回転周方向に延長される延長幅は、後端42g、43gから前方(奥側)にかけて次第に大きくなっている。
【0065】
第一、第二延長部42e、43eが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34からドラム10の回転軸方向に延長される延長幅は、前端42h、43hから後方(開口端11側)にかけて次第に大きくなっている。
【0066】
攪拌、混練時であって、第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、第一、第二入口シールパネル42、43の第一、第二延長部42e、43e上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと向かうことが抑えられる。これにより、ドラム10は、大型の入口シールを備える従来装置と同等以上の積載量が確保される。
【0067】
図9の展開図には、本発明の第一、第二入口シールパネル42、43を実線で示し、従来装置の第一、第二入口シールパネル142、143を2点鎖線で示している。本発明の第一、第二入口シールパネル42、43は、従来装置の第一、第二入口シールパネル142、143に比べて、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間を開放する構成のため、第一、第二ブレード20、30の間に生コンクリート(収容物)が付着しにくい。また、第一、第二ブレード20、30の間が開放されているため、ドラム10内の洗浄時に、第一、第二ブレード20、30の間に散水してこれを洗浄することが容易に行える。
【0068】
以上のように、
第一の実施形態は、
参考例と同等にドラム10内の洗浄が容易に行われるとともに、
参考例より積載量が増やすことができ、
参考例と同一積載量の場合には、ドラム10の小型化がはかれる。
【0069】
(第二の実施形態)
次に
図11に示す第二の実施形態を説明する。
図11は、入口シール40の斜視図である。この入口シール40が設けられるミキサドラム装置は、
参考例と基本的に同じ構成を有し、相違する部分のみを説明する。なお、
参考例と同一構成部には同一符号を付す。
【0070】
入口シール40は、前記実施形態の入口シールパイプ41が廃止され、三角湾曲板状の第一、第二入口シールパネル42、43のみによって構成される。
【0071】
第一入口シールパネル42は、第一ブレード結合部34
aと、第二ブレード30の内周縁部34とを結ぶように延びる三角湾曲板状に形成される。
【0072】
第一入口シールパネル42は、第一ブレード結合部24aからドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる第一シール辺部42aと、第二ブレード30の内周縁部34に結合される前側シール端部42bと、第一ブレード結合部24aと第二ブレード結合部34aとを結ぶ後側シール端部42cと、を有する。
第二ブレード結合部34aが第一入口シールパネル42の鋭角状の先端(頂点)となる。
【0073】
第二入口シールパネル43は、第二ブレードブレード結合部34aと、第一ブレード20の内周縁部24とを結ぶように延びる三角湾曲板状に形成される。
【0074】
第二入口シールパネル43は、第二ブレード結合部34aからドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる第二シール辺部43aと、第一ブレード20の内周縁部24に結合される前側シール端部43bと、第二ブレード結合部34aと第一ブレード20のブレード結合部24aとを結ぶ後側シール端部43cと、を有する。
第一ブレード結合部24aが第二入口シールパネル43の鋭角状の先端(頂点)となる。なお、これに限らず、第一、第二入口シールパネル42、43は、前方の第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34に沿うように延長される第一、第二延長部42e、43e(
図8参照)を有する構成としてもよい。
【0075】
これにより、三角湾曲板状の第一、第二入口シールパネル42、43は、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30の間をそれぞれトンネル状に覆うことがなく、第一、第二シール辺部42a、43aが第二、第一ブレード30、20の間を開放する第一、第二開口部26、36を画成する。
【0076】
ミキサドラム装置9の攪拌、混練時であって、ドラム10の開口端11の近傍にて生コンクリートが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える状況において、領域A、Bでは、第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、第一、第二入口シールパネル42、43の上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと落下することが防止される。このとき、第一、第二入口シールパネル42、43が設けられない領域では、第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30間の空間に落下し、回動する第一、第二ブレード20、30によってドラム10の前側(奥側)へと戻されることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと向かうことが防止される。
【0077】
第一、第二入口シールパネル42、43が設けられない領域では、第一、第二入口シールパネル42、43によって前後に並ぶ第一、第二ブレード20、30間の空間が開放される。これにより、第一、第二ブレード20、30の間にトンネル状の空間が設けられることがなく、第一、第二ブレード20、30の間に生コンクリートが付着しにくい。また、第一、第二ブレード20、30の間が開放されているため、ドラム10内の洗浄時に、第一、第二ブレード20、30の間に散水してこれを洗浄することが容易に行える。
【0078】
さらに他の実施形態として、ミキサドラム装置9は、対の第一、第二ブレード20、30を備えるものに限らず、一つのブレード(20)を備える構成としてもよい。この場合に、入口シール(40)は、一つの入口シールパネル(42)を有し、この入口シールパネル(42)が回転中心軸O方向に並ぶ一つのブレード(20)の間を開放する開口部(26)を画成するシール辺部(42a)を有する構成とする。
【0079】
以上のように、第三の実施形態は、入口シールパイプを持たない構成のため、生コンクリートの投入時に、設備側のホッパをドラム10内に差し込むことが可能となり、ドラム10の入口にホッパを持たない仕様に対応できる。
【0080】
さらに他の実施形態として、ミキサドラム装置9は、三つ以上のブレードを備える構成としてもよい。この場合に、入口シール(40)は、三つ以上の入口シールパネルを有し、これらの入口シールパネルが回転中心軸O方向に並ぶ三つのブレードの間を開放する三つ以上の開口部を画成するシール辺部をそれぞれ有する構成とする。
【0081】
なお、ミキサドラム装置9に収容される収容物は、生コンクリートに限らず、他のものであってもよい。
【0082】
以下、各実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
【0083】
(ア)収容物を攪拌するミキサドラム装置9であって、一端に開口した開口端11を有し、内部に収容物を収容し回転自在なドラム10と、このドラム10の内部に位相差をもって設けられる螺旋形状をした複数のブレード20、30と、ドラム10の開口端11に設けられ、ブレード20、30の一部分に接続する入口シール40と、を備え、ブレード20、30間に位置する入口シール40によって収容物を通過させる開口部26、36が形成される構成とした(
図1〜9参照)。
【0084】
上記構成に基づき、生コンクリートの投入時には、ドラム10内に投入される生コンクリート(収容物)が、入口シール40によってブレード先端部21、31よりドラム10の前側(奥側)へと導かれる。
【0085】
ドラム10が正転する生コンクリートの攪拌、混練時には、ドラム10の開口端11の近傍にてブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越えた生コンクリートが入口シール40の上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11から排出されることが抑えられる。
【0086】
一方、ドラム10が逆転する生コンクリートの排出時には、生コンクリートが回転するブレード20、30によりドラム10の前方から後方へ送られ、ドラム10の開口端11から排出される。
【0087】
入口シール40によって形成される開口部26、36は、ドラム10の回転中心軸O方向に並ぶブレード20、30の間を開放するため、入口シール40によって前後に並ぶブレード20、30間の空間がトンネル状に覆われない。これにより、ドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30の間に生コンクリート(収容物)が付着しにくく、ドラム10内の洗浄時に、ドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30の間を洗浄することが容易に行える。この結果、ブレード20、30に対する付着物によってミキサドラム装置9の攪拌、混練性能、排出性能が悪化することを防止できる。
【0088】
(イ)入口シール40は、ドラム10の回転中心軸O方向(ドラム10の前後方向)に並ぶブレード20、30の間を開放する開口部26、36を画成するシール辺部42a、43aを有し、このシール辺部42a、43aは、ドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる基準線L1、L2に沿って略直線状に延びる構成とした(
図5参照)。
【0089】
上記構成に基づき、シール辺部42a、43aによってドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30間が開放されるため、ドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30の間に生コンクリート(収容物)が付着しにくく、ドラム10内の洗浄時に、ドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30の間を洗浄することが容易に行える。
【0090】
シール辺部42a、43aがドラム10の回転中心軸Oと略平行に延びる構成により、ブレード20、30は、開口端11から遠い前側の方(奥側)が、開口端11の近接する後側より高くなるように形成されるため、ドラム10の開口端11の近傍にて生コンクリートが第一、第二ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越えることが抑えられる。これにより、ドラム10は、大型の入口シールを備える従来装置と同等の積載量が確保される。
【0091】
(ウ)入口シール40は、ドラム10の開口端11の近傍にてブレード20、30に結合されるブレード結合部24a、34aを有し、このブレード結合部24a、34aからドラム10の奥側に位置するブレード30、20へと延びる三角湾曲板状に形成される構成とした(
図11参照)。
【0092】
上記構成に基づき、三角湾曲板状の入口シール40は、入口シールパイプを持たないため、生コンクリートの投入時に、設備側のホッパをドラム10内に差し込むことが可能となり、ドラム10の入口にホッパを持たない仕様に対応できる。
【0093】
(エ)入口シールパネル42、43は、シール辺部42a、43a(基準線L1、L2)とブレード20、30との両方に沿って形成される延長部42e、43eを有する構成とした(
図7〜10参照)。
【0094】
上記構成に基づき、攪拌、混練時に、ブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越える生コンクリートが、入口シールパネル42、43の延長部42e、43e上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11側(出口空間27)へと向かうことが抑えられる。これにより、洗浄性と積載性を両立して高められる。
【0095】
(オ)入口シール40は、ドラム10の開口端11の近傍にてブレード20、30に結合される環状の入口シールパイプ41と、この入口シールパイプ41からドラム10の奥側に位置するブレード20、30へと延びる入口シールパネル42、43と、を有する構成とした(
図1〜6参照)。
【0096】
上記構成に基づき、投入される生コンクリートが入口シールパイプ41によってドラム10内へと導かれる。攪拌、混練時にドラム10の開口端11の近傍にてブレード20、30の内周縁部24、34を乗り越えた生コンクリートが入口シールパネル42、43上に乗り上げることにより、ドラム10の開口端11から排出されることが抑えられる。入口シールパネル42、43によってブレード20、30の間が開放されるため、入口シール40によって前後に並ぶブレード20、30間の空間がトンネル状に覆われることがなくドラム10の前後方向に並ぶブレード20、30の間に生コンクリート(収容物)が付着しにくく、ドラム10内の洗浄時に、ブレード20、30の間を洗浄することが容易に行える。
【0097】
上記構成に基づき、入口シール40は、環状の入口シールパイプ41が廃止されることにより、構造の簡素化がはかれる。
【0098】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。