(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記走行台車における少なくとも幅方向両側に、前記レールの頭頂部を転動する頭頂部用転動構造と、前記レールの軌間側側部を転動する側部用転動構造とで構成する転動手段を備えた
請求項1乃至5のうちいずれかに記載の計測装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、軌道周辺に設置する周辺設備の設置を規制する設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測できる計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、軌道周辺に設置する周辺設備の設置を規制する設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を計測する計測装置であって、
左右のレールを跨ぐとともに、該レールを走行可能な走行台車と、前記走行台車に配置し、前記計測対象点に対して可視光線を照射して、計測基準点から該計測対象点までの距離及び照射角度を計測する光波計測手段と、該光波計測手段によって計測された前記計測対象点の前記計測基準点に対する計測点位置情報に基づいて前記設置規制領域に対する離間距離を算出する離間距離算出手段とを備え、前記設置規制領域外の領域を複数分割し、前記設置規制領域の外縁となる規制領域境界線の一部を含む分割領域を構成するとともに、各分割領域に含まれる前記規制領域境界線を離間距離基準線とし、
前記分割領域に前記計測対象点が含まれる否かを判定する判定手段を備え、該判定手段で、前記計測対象点が含まれる否かを前記分割領域毎に判定し、前記離間距離算出手段が、前記計測対象点を含む前記分割領域が1本の前記離間距離基準線で設定されている場合、前記計測対象点を含む分割領域における前記離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を算出するとともに、前記計測対象点を含む前記分割領域が複数の前記離間距離基準線を跨いで設定されている場合、各離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離をそれぞれ算出し、算出された離間距離のうち小さい方を離間距離とすることを特徴とする。
【0009】
上記可視光線は、可視波長のレーザ光線や赤外線等の可視光線とすることができる。
上記光波計測手段は、計測手段の計測基準点から照射され、照射対象である計測対象点で反射した反射光を、計測手段で受光して、計測基準点から計測対象点までの距離を計測するとともに、測角手段で照射角度を計測する手段である。なお、測角手段で計測する照射角度は、水平方向に対する仰角や、基準面に対する角度とすることができる。
上記計測基準点は、光波計測手段から計測対象点までの計測する距離の基準となるポイントであり、左右のレールによる軌間の中心である軌道中心や、軌道中心からオフセットした光波計測手段の計測原点とすることができる。
【0010】
上記設置規制領域は、軌道を走行する列車の形状に応じて、周辺設備の設置を規制する建築限界や、トロリ線周囲において離隔距離に基づく規制領域、あるいはそれらが一体となった規制領域とすることができる。
【0011】
上記規制領域境界線は曲線や直線を含み、上記規制領域境界線の一部は曲線および/または直線で構成する規制領域境界線の一部や全部、規制領域境界線同士の交点、あるいは、複数本の規制領域境界線を跨ぐ場合等を含む概念とする。
【0012】
上記計測点位置情報は、水平方向及び鉛直方向を座標軸とする座標系における座標値、あるいは、例えばカントが設定されていれば、カントに応じて傾斜した座標系における座標値とすることができる。
【0013】
上記発明により、軌道周辺に設置する周辺設備の設置を規制する設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0014】
詳しくは、左右のレールを跨ぐとともに、該レールを走行可能な走行台車と、前記走行台車に配置し、前記計測対象点に対して可視光線を照射して、計測基準点から該計測対象点までの距離及び照射角度を計測する光波計測手段を備えたことにより、例えば、軌道に沿って構築されたプラットホーム等の構造物における計測対象点に対して、可視光線で照射し、距離及び照射角度を計測し、計測点位置情報を求めることができる。
【0015】
なお、光波計測手段から照射される光線を可視光線で構成しているため、目視で確認しながら確実に、計測対象点に対して光線を照射して距離を計測することができる。また、レールを走行可能な走行台車を備えているため、所望の計測断面まで容易に移動して計測することができる。
【0016】
また、前記設置規制領域外の領域を複数分割し、前記設置規制領域の外縁となる規制領域境界線の一部を含む分割領域を構成するとともに、各分割領域に含まれる前記規制領域境界線を離間距離基準線とし、光波計測手段によって計測された前記計測対象点の前記計測基準点に対する計測点位置情報に基づいて前記設置規制領域に対する離間距離を算出する離間距離算出手段により、前記計測点位置情報を含む分割領域を算出するとともに、当該分割領域における前記離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を算出する構成であるため、設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0017】
より具体的には、上述したように、設置規制領域の外縁は直線部分と曲線部分とで構成されているため、計測対象点の計測点位置情報に基づいて設置規制領域に対する離間距離を算出することは煩雑であり、離間距離を算出する算出処理の負荷が大きいが、離間距離算出手段によって、光波計測手段によって計測された前記計測対象点の前記計測基準点に対する計測点位置情報を含む分割領域を算出し、算出された分割領域における前記離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を算出するため、離間距離基準線が直線であっても曲線であっても、あるいは、直線と曲線とが連続する線であっても、計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0018】
また、前記分割領域に前記計測対象点が含まれる否かを判定する判定手段を備え、該判定手段で、前記計測対象点が含まれる否かを前記分割領域毎に判定し、前記離間距離算出手段を、前記計測対象点を含む分割領域における前記離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を算出する構成とすること
により、前記設置規制領域に対する前記計測対象点の離間距離を算出するための算出処理における負荷をより低減できる。詳しくは、前記計測対象点が含まれる否かを前記分割領域毎に判定手段で判定し、計測対象点を含むと判定された分割領域における前記離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を簡単な算出方法で算出することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記設置規制領域を、軌道中心からの離間距離に基づいて設定するとともに、前記計測基準点を、前記軌道中心からオフセットして設定し、前記離間距離算出手段を、前記計測点位置情報にオフセット量を反映させたオフセット計測点位置情報と前記離間距離基準線との離間距離を算出する構成とすることができる。
【0020】
上記軌道中心は、軌道の線形を構成する中心であり、スラックが設定されていない区間においては、左右のレールによる軌間の中心となる。逆に、スラックが設定されている区間においては、スラックが設定される前の軌道中心に一致し、例えば曲線の内側である内軌側にスラックが設定された場合、スラックの設定されていない場合のレールから軌道中心までの距離を外軌レールから追い出した中心である。
【0021】
上記構成により、光波計測手段の計測原点である前記計測基準点を前記軌道中心からオフセットした状態であっても、前記設置規制領域に対する前記計測対象点の離間距離を、正確に算出することができる。したがって、光波計測手段の計測原点を前記軌道中心に合わせてから計測する場合に比べて、容易に計測することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記設置規制領域を、軌道中心からの離間距離に基づいて設定するとともに、前記計測基準点を、前記軌道中心からオフセットして設定し、前記離間距離算出手段を、前記離間距離基準線に前記軌道中心に対する前記計測基準点のオフセット量を反映させたオフセット離間距離基準線と前記計測点位置情報との離間距離を算出することができる。
【0023】
上記構成により、光波計測手段の計測原点である前記計測基準点を前記軌道中心からオフセットした状態であっても、前記設置規制領域に対する前記計測対象点の離間距離を、正確に算出することができる。したがって、光波計測手段の計測原点前を前記軌道中心に合わせてから計測する場合に比べて、容易に計測することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、軌道にカントが設定されたカント設定範囲の軌道周辺における前記設置規制領域をカント範囲設置規制領域とし、該カント範囲設置規制領域を、前記設置規制領域を前記カントに応じて傾斜させるとともに、前記カント設定範囲における拡幅寸法に応じて拡幅することができる。
【0025】
上記構成により、軌道にカントが設定されたカント設定範囲であっても、カント範囲設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記オフセット量に前記カントを反映することができる。
上記構成により、前記計測基準点を前記軌道中心からオフセットした状態であっても、カント範囲設置規制領域に対する前記計測対象点の離間距離を、正確に算出することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記走行台車における少なくとも幅方向両側に、前記レールの頭頂部を転動する頭頂部用転動構造と、前記レールの軌間側側部を転動する側部用転動構造とで構成する転動手段を備えることができる。
【0028】
上記レールの頭頂部は、頭部、腹部及び底部で構成するレール断面のうち、頭部における最上部の上面部分をいう。
上記頭頂部を転動する頭頂部用転動構造は、レール断面を構成する頭部の上面である頭頂部上を転動するローラあるいは球体で構成し、また上記軌間側側部を転動する側部用転動構造は、レール断面を構成する頭部の側面である頭部側面のうち軌間側の側面を転動するローラあるいは球体で構成することができる。
【0029】
上記構成により、左右のレールに対して、確実に位置を固定して計測することができる。また、レールの頭頂部を転動する頭頂部用転動構造と、レールの軌間側側部を転動する側部用転動構造とで構成する転動手段を走行台車における少なくとも幅方向両側に備えたため、左右のレールから脱線することなく走行台車を走行することができる。したがって、容易に計測する所望断面に移動して計測することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記側部用転動構造を、レールと対向する側がレールの長手方向に沿って一列に整列配置した3以上のローラ体で構成することができる。
この発明の構成により、例えば、熱膨張のための遊間を設定した継ぎ目部分を跨ぐ場合であっても、3以上のローラ体のうち少なくとも2以上のローラが継ぎ目近傍のレール側面に当接しているため、ローラ体が遊間に嵌まり込んで計測基準レールに対する位置がずれることを防止し、レール頭頂面上における軌道中心と計測対象点との距離をさらに正確に計測することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、この発明は、軌道周辺に設置する周辺設備の設置を規制する設置規制領域に対する前記周辺設備における計測対象点の離間距離を正確、かつ簡単に計測できる計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
まずは、計測処理PC6とともに建築限界計測装置1を構成する建築限界計測器具2について、
図1乃至
図5とともに説明する。
【0034】
図1は建築限界計測器具2の正面図を示し、
図2は建築限界計測器具2の平面図を示し、
図3は建築限界計測装置1における光波計測器50部分の拡大斜視図を示し、要部に
図4は建築限界計測器具2の要部拡大図による説明図を示している。なお、
図4(a)は基準レール側ローラ部20bについての拡大側面図を示し、
図4(b)は反力レール側ローラ部20a及びスプリング部30についての拡大側面図を示している。また、
図1及び
図2では、建築限界計測器具2とともに建築限界計測装置1を構成する計測処理PC6の図示を省略している。
【0035】
また、
図5はローラ部20(20a,20b)についての説明図であり、ローラ部20が、レール120の継ぎ目部130を通過する態様を説明するための概略底面図を示している。詳しくは、
図5(a)は継ぎ目部130がローラ部20の間にある場合の底面図を示し、
図5(b)は、外側面大ローラ22aが継ぎ目部130を通過する場合の底面図を示し、
図5(c)は、内側面小ローラ22bが継ぎ目部130を通過する場合の底面図を示している。
【0036】
建築限界計測器具2は、軌道100に近接して構築する構造物200(
図7)について軌道100に対して設定された建築限界G(
図7)に対する離間距離を計測するための計測器具である。
【0037】
建築限界計測器具2は、レール120に平行な2本のフランジ部材10aaを所定間隔で組付けたフランジ構成部10a、及びレール120の軌間方向のウェブ部10bで構成する平面視略T字型の計測器本体10と、フランジ構成部10aの両端に配置されたスプリング部30と、各スプリング部30の先端に配置した反力レール側ローラ部20aと、T字型を構成するウェブ部10bの先端に配置した基準レール側ローラ部20bと、ウェブ部10bの中間部分の配置した光波計測器50とで構成している。
【0038】
なお、建築限界計測器具2は、軌道100の軌道中心CLに対する構造物200における計測対象点Tpの相対位置を光波計測器50で計測し、後述する建築限界Gに対する離間距離を計測する器具であり、軌道100を構成するレール120に載置して使用する構成である。
【0039】
また、軌道100は、スラブや路盤上において所定高さで設置された枕木110と、枕木110に所定の間隔(以下において軌間という)を隔てて左右に固定されているレール120とで構成している。
【0040】
そして、左右のレール120のうち、計測対象である構造物200が構築された側のレールを計測の基準となる基準レール120bとし、反対側のレールを、計測器本体10を基準レール120bに付勢するための反力となる反力レール120aとしている。
【0041】
また、レール120は、下から順に底部121、腹部122及び頭部123とで構成し、左右のレール120の頭部123における頭頂部123aを通る面をレール頭頂面RLとしている。したがって、カントが設定されていない区間の軌道100では、レール頭頂面RLは水平となり、カントが設定された区間の軌道100では、レール頭頂面RLはカントに応じて傾斜する傾斜面で構成することとなる。
【0042】
さらにまた、左右の頭部123の側面123b同士の間隔を軌間といい、原則、軌間の中心、即ち左右の頭部123の側面123b同士の中間を軌道中心CLとしている。なお、曲線区間などにおいて、軌間を拡げるためのスラックが設定された軌道100の場合、通常、内軌側のレール120がスラックに応じて軌間を拡げて固定されるため、軌道中心CLはスラックの設定されていない軌間の半分の間隔を外軌側のレール120から追い出した位置を軌道中心CLとしている。
【0043】
計測器本体10は、上述したように、レール120に平行なフランジ構成部10aと、レール120の軌間方向のウェブ部10bとで構成する平面視略T字型であり、絶縁性素材で構成している。なお、フランジ構成部10aは、反力レール120aより間隔を隔てて軌間側に配置される。
【0044】
そして、フランジ構成部10aの両端にはスプリング部30を備え、ウェブ部10bのフランジ構成部10aの反対側の端部、すなわち基準レール120b側の先端部には基準レール側ローラ部20bを備えている。
【0045】
スプリング部30は、
図4に示すように、筒状のケース部材31と、ケース部材31内部で軸方向の付勢力を発生するコイルスプリング32と、コイルスプリング32によって反力レール120a側に付勢される軸部材33とで構成している。なお、コイルスプリング32の先端には、2つのスプリング部30のコイルスプリング32の先端を跨ぐ態様の反力レール側ローラ部20aの台座23が配置固定されている。
【0046】
ローラ部20(20a,20b)は、レール120における頭部123の頭頂部123a上を転動する上面ローラ21と、頭部123における軌間側の側面123bに沿って転動する側面ローラ22と、これらを回転自在に固定する台座23とで構成している。
【0047】
なお、ローラ部20は、計測器本体10の反力レール120a側の反力レール側ローラ部20aと、基準レール120b側の基準レール側ローラ部20bとがあるが、反力レール側ローラ部20aは2つのスプリング部30に対して上面ローラ21と側面ローラ22とをそれぞれ備え、1本の台座23で一体的に構成している。
【0048】
また、側面ローラ22は、基準レール側ローラ部20bの側面ローラ22について図示する
図5に示すように、レール120の長手方向に4つのローラを配置しており、4つのうち外側の2つのローラを外側面大ローラ22aとし、内側の2つのローラを内側面小ローラ22bとし、外側面大ローラ22aを内側面小ローラ22bより大径のローラで構成している。
【0049】
さらに、外側面大ローラ22aと内側面小ローラ22bとは、前述したように径は異なるものの、頭部123の側面123bに当接する側が一直線上となるように、外側面大ローラ22aと内側面小ローラ22bとをレール120の長手方向に沿って整列配置している。なお、上面ローラ21及び側面ローラ22は絶縁性素材で構成している。
【0050】
なお、反力レール側ローラ部20a及び基準レール側ローラ部20bは、ウェブ部10bを内部に挿通し、ウェブ部10bに設けた位置決め挿通孔(図示省略)を貫通する位置決めピン24を挿着して位置固定している。なお、ウェブ部10bに設けた位置決め挿通孔は、軌道100の軌間が標準軌や広軌であっても、中心位置がズレない対応位置に設けている。
【0051】
ウェブ部10bの中間に装着する光波計測器50は、ウェブ部10bの中間に取り付けられた計測器台座40に装着する。
計測器台座40は、ウェブ部10bの長手方向に直交する方向且つフランジ構成部10aの長手方向に平行な回転軸Rcを回転中心として、ウェブ部10bの上面側で回動可能に構成するとともに、光波計測器50の装着を許容する装着ケース41と、任意の回転角度で固定する角度固定機構42を備えている。
【0052】
なお、計測器台座40はウェブ部10bの中間に取り付けられているため、計測器台座40の回転軸Rcは軌道中心CLと平面視方向において一致することとなる。
換言すると、両端にはスプリング部30を備えたフランジ構成部10aと、レール120の軌間方向のウェブ部10bとで構成する平面視略T字型に構成した計測器本体10において、スプリング部30の反力レール120aに対する付勢力により、基準レール側ローラ部20bが基準レール120bに押し付けられるため、計測器台座40が取り付けられるウェブ部10bの中間とは、計測器台座40の回転軸Rcが基準レール120bから反力レール120aに向かって軌間の半分の位置となり、軌道中心CLと平面視方向において一致する位置となる。
【0053】
光波計測器50は、前面に備えた表示部51と、表示部の下方に備えた操作ボタン52と、可視光線Bvを発光するとともに、計測対象点Tpで反射した反射光線を受光する光線送受光部53と、後述する計測処理PC6と無線通信する通信部(
図6参照)、姿勢センサー(図示省略)、並びに、送受光した可視光線Bv及び姿勢センサーで検出した傾斜角度から計測原点に対する計測対象点Tpの相対座標を算出する処理部(図示省略)を有している。
【0054】
なお、
図3に示すように、光波計測器50における計測原点は計測器台座40における回転軸Rcと一致するよう配置している。また、
図3では、光波計測器50とともに建築限界計測器具2を構成する計測器本体10の図示を省略している。
【0055】
計測処理PC6はコンピュータであり、PC本体部60、液晶モニタ又はCRTディスプレイ等で構成して各種情報を表示する表示部61、マウスやキーボード等の操作入力部62、各種データや各種プログラムを記憶する記憶部(図示省略)及び光波計測器50の通信部と通信する通信部(図示省略)等を備えている。
【0056】
PC本体部60は、CPU、ROM、及びRAMで構成し、記憶部に格納したプログラムに従って各種制御処理を実行する装置である。なお、記憶部には、入力データに基づいて建築限界Gとの離間距離を算出する算出プログラムや、予め設定された分割領域Raに計測対象点Tpが含まれるか判定する判定プログラムや、各種装置を制御する制御プログラム、あるいは各種データ等を記憶している。
【0057】
続いて、建築限界Gについて、建築限界Gと構造物200とについての概略正面図である
図7とともに説明する。
建築限界Gは、建築限界Gの側方を規制する鉛直方向上向きの直線である第1直線状建築限界外形線GL1、第1直線状建築限界外形線GL1の上端部から連続するとともに、レール幅方向内側に向かう径外方向凸状の第1円弧状建築限界外形線GL2、第1円弧状建築限界外形線GL2の上端から鉛直方向上向きの直線である第2直線状建築限界外形線GL3、第2直線状建築限界外形線GL3の上端部から連続するとともに、レール幅方向内側に向かう径外方向凸状の第2円弧状建築限界外形線GL4、第2円弧状建築限界外形線GL4の上端から水平方向向きの直線である第3直線状建築限界外形線GL5、及び列車の断面形状に応じて第1直線状建築限界外形線GL1の下端同士を結ぶ下部建築限界外形線GL6により軌道中心CLを対称軸として左右対称に構成した閉鎖領域である。
【0058】
なお、第1円弧状建築限界外形線GL2の円弧中心Ec1は軌道中心CL上にあり、第2円弧状建築限界外形線GL4の円弧中心Ec2は、軌道中心CL上において、第1円弧状建築限界外形線GL2の円弧中心Ec1より上方に位置している。
【0059】
また、中心第1直線状建築限界外形線GL1と第1円弧状建築限界外形線GL2との交点を第1交点Cr1、第1円弧状建築限界外形線GL2と第2直線状建築限界外形線GL3との交点を第2交点Cr2、第2直線状建築限界外形線GL3と第2円弧状建築限界外形線GL4との交点を第3交点Cr3、及び、第2円弧状建築限界外形線GL4と第3直線状建築限界外形線GL5との交点を第4交点Cr4としている。
【0060】
また、本実施例において、レール頭頂面RLと軌道中心CLとの交点を軌道原点Bpとするとともに、水平方向右側をXの+側とし、鉛直方向上側をYの+側とした座標系において、軌道中心CLの構造物200側において、第1直線状建築限界外形線GL1は、X=1900 (920≦Y≦3150)となり、第1円弧状建築限界外形線GL2は、X
2+(Y−2150)
2=2150
2 (1350≦X≦1900)となり、第2直線状建築限界外形線GL3は、X=1350 (3823≦Y≦4541)となり、第2円弧状建築限界外形線GL4は、X
2+(Y−3350)
2=1800
2 (1350≦X≦1900)となり、第3直線状建築限界外形線GL5は、Y=5050 (0≦X≦592)となる。なお、軌道100に対して構造物200の反対側の建築限界Gは、軌道中心CLを対称軸として左右対称である。
【0061】
さらに、建築限界Gの外側を、複数の分割領域Raに分けている。なお、本実施例においては、第1領域乃至第5領域の五つの領域に分けている。
第1直線状建築限界外形線GL1の左右方向外側において、第1交点Cr1を通る水平な第1領域境界線AL1より下方の領域を第1分割領域Ra1とし、第1領域境界線AL1より上方において、円弧中心Ec1と第1交点Cr1とを通り、左右方向外側上方に向かって傾斜する第2領域境界線AL2より下方の領域を第2分割領域Ra2としている。
【0062】
また、第2領域境界線AL2より上方、且つ、第1円弧状建築限界外形線GL2及び第2直線状建築限界外形線GL3の左右方向外側において、第3交点Cr3を通る水平な第3領域境界線AL3より下方の領域を第3分割領域Ra3としている。
【0063】
また、第3領域境界線AL3より上方において、円弧中心Ec2と第3交点Cr3とを通り、左右方向外側上方に向かって傾斜する第4領域境界線AL4より下方の領域を第4分割領域Ra4とし、第2円弧状建築限界外形線GL4及び第3直線状建築限界外形線GL5並びに第4領域境界線AL4より上方の領域を第5分割領域Ra5としている。
【0064】
なお、カント設定された軌道100の場合、
図8に示すように、軌道中心CLも上記カントに応じて傾斜し、上記建築限界Gにおける建築限界外形線GL(GL1〜GL6)、領域境界線AL(AL1〜AL4)及び分割領域Ra(Ra1〜Ra5)もカントに応じて傾斜する。さらに、カントに基づく拡幅寸法が設定された軌道100の場合、設定された拡幅寸法に応じて建築限界外形線GLは傾斜する軌道中心CLに対して直交する左右方向に設定される。
【0065】
続いて、計測処理PC6の表示部61に表示される計測画面70について、
図9とともに説明する。
表示部61に表示する計測画面70は、測定値や測定条件を入力する入力表示部71と、離間距離を表示する一覧表示部72と、計測対象点Tpの建築限界Gに対する相対位置を図示する結果図示部73とで構成している。
【0066】
入力表示部71は、計測結果入力部71a、オフセット量入力部71b、曲線半径入力部71c、カント入力部71d、及び拡幅寸法表示部71eで構成している。
【0067】
計測結果入力部71aは、光波計測器50で計測し、通信部で光波計測器50と通信して計測結果を自動入力してもよいし、表示部51に表示された計測結果を操作入力部62で直接入力してもよい。
【0068】
オフセット量入力部71b、及びカント入力部71dは、操作入力部62で直接入力する構成である。
曲線半径入力部71cは、拡幅寸法表示部71eに表示する拡幅寸法(w)を算出するために入力する要素であり、拡幅寸法を拡幅寸法表示部71eに直接入力する場合は、不要となる。
【0069】
なお、曲線半径入力部71c、カント入力部71d、及び拡幅寸法表示部71eに代わりに、計測処理PC6に計測対象である軌道100の路線情報を格納しておき、計測ポイントにおけるキロ程等の位置情報を入力し、記憶された路線情報からカントや拡幅寸法を抽出する構成であってもよい。
【0070】
一覧表示部72は、第1分割領域Ra1乃至第5分割領域Ra5について、計測結果及び計測条件に基づいて、計測対象点Tpの建築限界Gに対する離間距離を表示する表であり、左から順に、計測対象点Tpが含まれる領域に「○」を表示する列、領域を表示する列、離間距離を算出する算出式を表示する列、計測結果、計測条件及び算出式に基づいて算出した離間距離を表示する列で構成している。
【0071】
離間距離を表示する列は、計測対象点Tpが含まれる領域にのみ数値を表示し、その他の領域には「NG」を表示する。また、第3分割領域Ra3については、上述したように、第1円弧状建築限界外形線GL2及び第2直線状建築限界外形線GL3を跨ぐため、第1円弧状建築限界外形線GL2及び第2直線状建築限界外形線GL3に応じた二つの算出式に基づいて離間距離を算出し、二行構成している。そして、
図9に示すように、二つの算出式それぞれで算出した離間距離のうち小さい数値が第3分割領域Ra3における離間距離となる。また、離間距離を表示する列に負の数値が表示された場合、計測対象点Tpが建築限界Gに侵入していることを示している。
【0072】
なお、分割領域Raにおける建築限界外形線GLや建築限界外形線GL同士の交点Crと、計測対象点Tpの計測結果との算出離間距離とを、すべての領域について算出して表示する列を設け、離間距離を表示する列には、その算出離間距離のうち、計測対象点Tpが含まれる領域の算出離間距離を離間距離として表示し、その他の領域においては「NG」を表示する構成であってもよい。
【0073】
結果図示部73は、建築限界G及び分割領域Raと、建築限界Gに対する計測対象点Tpを模式的に表示している。なお、結果図示部73において、建築限界Gに対する計測した計測対象点Tpの相対位置は、算出した離間距離を厳密に反映して表示してもよいが、計測対象点Tpの建築限界Gに対する位置を視覚的に認識できるように表示するため、建築限界Gに対する離間距離を誇大表示してもよい。
【0074】
上述したように構成した建築限界計測装置1を用いるとともに、外側を上述のように領域分けした建築限界Gについて、構造物200における計測対象点Tpの離間距離を計測する計測方法について、
図10に示す計測方法のフロー図に基づいて、以下で詳述する。
【0075】
まず、計測したい計測対象点Tpの近傍の軌道100に建築限界計測器具2をセットする。なお、建築限界計測器具2のウェブ部10bの両側のローラ部20を、軌道100の軌間に合わせてその間隔を調整しておく。このとき、反力レール120a側の反力レール側ローラ部20aを付勢するスプリング部30を介して計測器本体10に固定しているため、反力レール120aを反力として、基準レール側ローラ部20bを基準レール120bに付勢することで、左右のレール120に対して計測器本体10を正確な位置に設置することができる。したがって、光波計測器50は、軌道中心CLに対応する位置にセットされる。なお、軌道原点Bpと、光波計測器50の計測原点である計測器台座40の回転軸Rcとの離間距離をオフセット量とする。
【0076】
そして、光波計測器50の光線送受光部53から可視光線Bvを照射し、計測器台座40を角度調整し、光波計測器50から照査される可視光線Bvの照射先に計測対象点Tpを合わせて、計測器台座40を角度固定機構42で固定する。さらに、計測対象点Tpで反射した反射光を光線送受光部53で受光し、光波計測器50の計測原点である回転軸Rcから計測対象点Tpまでの距離及び、水平に対する光波計測器50の照射角度を計測し、
図6に示すように、図示省略する通信部を介して計測処理PC6に無線通信で計測結果を送信する(ステップs1)。
【0077】
このとき、光波計測器50は、水平方向の構造物200側をX座標の+側、垂直方向の上側をY座標の+側とするXY座標の座標値として計測結果を換算し、送信する。
なお、計測結果は、光波計測器50から計測処理PC6に送信せずとも、光波計測器50の表示部51で表示された計測結果を、操作入力部62で操作者が入力してもよい。
【0078】
また、このステップs1で、計測結果のみならず、上記オフセット量や、軌道100に設定されていればカントや曲線半径を計測画面70の入力表示部71に入力する。さらに、曲線半径入力部71cに曲線半径の入力を受け付けた計測処理PC6は、拡幅寸法を算出し、算出した拡幅寸法を拡幅寸法表示部71eに表示する。
【0079】
なお、本実施例においては、曲線半径Rが300m以上の場合における拡幅寸法Wは、W=23100/R(mm)として算出し、曲線半径Rが300m以上の場合はW=(33450/R)−34.5(mm)として算出する。
また、これらオフセット量、カント及び拡幅寸法を以下において計測条件とする。
【0080】
ステップs1で計測結果を受け付けた計測処理PC6は、上記計測条件のうちオフセット量が入力されていれば(ステップs2:Yes)、入力された計測結果にオフセット量を考慮する、つまり軌道原点Bpを基準とする計測結果に変換するオフセット換算処理を施す(ステップs3)。なお、軌道原点Bpと、光波計測器50を装着した計測器台座40の回転軸Rcとが一致する場合、オフセット量は0となり、ステップs1でオフセット量を入力する必要はなく(ステップs2:No)、ステップs4に移行する。
【0081】
また、上記計測条件のうちカントがカント入力部71dに入力されていれば(ステップs4:Yes)、計測結果にカントを考慮する、つまり上記XY座標系で計測した計測結果を、カントを考慮した軌道原点Bpを基準とする傾斜座標系に変換するカント換算処理を施す(ステップs5)。また、曲線半径や拡幅寸法が入力されていなくとも、拡幅寸法が0として、ステップs7で拡幅換算処理を施してもよい。
【0082】
さらに、上記計測条件のうち曲線半径が入力され、拡幅寸法が算出されていれば(ステップs6:Yes)、建築限界外形線GLに拡幅寸法を考慮する拡幅換算処理を施す(ステップs7)。なお、曲線半径や拡幅寸法が入力されていなくとも、拡幅寸法を0として、ステップs7で拡幅換算処理を施してもよい。
【0083】
このように、ステップs1で入力された計測条件を反映させた計測結果、あるいはステップs1で計測条件が入力されなかった場合には、ステップs1で入力された計測結果について、領域境界線AL及び建築限界外形線GLで規定される分割領域Raに含まれるか判定する(ステップs8)。
【0084】
なお、本実施例においては、計測結果が下記式1を満たす場合には計測対象点Tpは第1分割領域Ra1に含まれると判定され、計測結果が式2を満たす場合には第2分割領域Ra2に、計測結果が式3を満たす場合には第3分割領域Ra3に、計測結果が式4を満たす場合には第4分割領域Ra4に、計測結果が式5を満たす場合には第5分割領域Ra5に含まれると判定する。
【0085】
なお、本実施例においては、計測結果が下記式1を満たす場合には計測対象点Tpは第1分割領域Ra1に含まれると判定され、計測結果が式2を満たす場合には第2分割領域Ra2に、計測結果が式3を満たす場合には第3分割領域Ra3に、計測結果が式4を満たす場合には第4分割領域Ra4に、計測結果が式5を満たす場合には第5分割領域Ra5に含まれると判定する。
【0090】
【数5】
そして、含まれる分割領域Ra(ステップs9:Yes)について、建築限界Gを構成する建築限界外形線GLに対する離間距離を算出する(ステップs10)。
なお、本実施例においては、ステップs9において計測対象点Tpが第1分割領域Ra1に含まれると判定された場合は計測結果及び下記式6により離間距離を算出し、同様に、第2分割領域Ra2に含まれる場合は式7により算出し、第4分割領域Ra4に含まれる場合は式10により算出し、第5分割領域Ra5に含まれる場合は式11により算出する。また、第3分割領域Ra3に含まれる場合については、第3分割領域Ra3が第1円弧状建築限界外形線GL2及び第2直線状建築限界外形線GL3を跨ぐため、式8及び式9の両方でそれぞれ離間距離を算出する。
【0096】
【数11】
そして、算出結果を、一覧表示部72において、該当する分割領域Raの離間距離を表示し、その他の分割領域Raにおいては「NG」を表示して(ステップs11)、建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離計測を終了する。
【0097】
なお、上述の離間距離計測においては、計測対象点Tpが含まれる分割領域Raを判定してから、含まれる分割領域Raにおける建築限界外形線GLに対する離間距離を算出したが、各分割領域Raについて、計測対象点Tpが含まれるか否かの判定を行うととともに、その分割領域Raにおける建築限界外形線GLに対する計測対象点Tpの離間距離を算出し、これを全ての分割領域Raに対して順次実行し、最終的に、計測対象点Tpが含まれる分割領域Raにおける離間距離を一覧表示部72に表示してもよい。
【0098】
詳しくは、左右のレール120を跨ぐとともに、レール120を走行可能な計測器本体10と、計測器本体10に配置し、計測対象点Tpに対して可視光線Bvを照射して、軌道原点Bp(計測原点である回転軸Rc)から計測対象点Tpまでの距離及び照射角度を計測する光波計測器50を備えたことにより、例えば、軌道100に沿って構築された構造物200における計測対象点Tpに対して、可視光線Bvで照射し、距離及び照射角度を計測することができる。
【0099】
なお、光波計測器50から照射される光線を可視光線Bvで構成しているため、目視で確認しながら確実に、計測対象点Tpに対して光線を照射して距離や照射角度を計測することができる。また、レール120を走行可能な計測器本体10を備えているため、所望の計測断面まで容易に移動して計測することができる。
【0100】
また、建築限界G外側の領域を、建築限界Gの外縁となる建築限界外形線GLの一部を含む分割領域Raに分割するとともに、光波計測器50によって計測された計測対象点Tpの軌道原点Bpに対する計測結果に基づいて建築限界Gに対する離間距離を算出する計測処理PC6により、計測対象点Tpの計測結果を含む分割領域Raを算出するとともに、分割領域Raにおける建築限界外形線GLと計測対象点Tpの計測結果との離間距離を算出するため、建築限界Gに対する構造物200における計測対象点Tpの離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0101】
より具体的には、上述したように、建築限界Gの建築限界外形線GLは直線部分と曲線部分とで構成されているため、計測対象点Tpの建築限界Gに対する離間距離を算出することは煩雑であり、離間距離を算出する算出処理の負荷が大きいが、計測処理PC6が、光波計測器50によって計測された計測対象点Tpの軌道原点Bpに対する計測対象点Tpの計測結果を含む分割領域Raを算出し、算出された分割領域Raにおける建築限界外形線GLと計測対象点Tpの計測結果との離間距離を算出するため、建築限界外形線GLが直線であっても曲線であっても、計測対象点Tpの離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0102】
また、計測処理PC6で、計測対象点Tpが含まれる否かを分割領域Ra毎に判定するとともに、計測処理PC6により、計測対象点Tpを含む分割領域Raにおける建築限界外形線GLと計測対象点Tpの計測結果との離間距離を算出するため、簡単な算出方法で建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を算出することができ、建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を算出するための算出処理における負荷をより低減できる。
【0103】
また、建築限界Gを、軌道中心CLに基づいて設定するとともに、光波計測器50の計測原点となる回転軸Rcを、軌道中心CLからオフセットして設定し、計測処理PC6によりオフセット換算処理された計測対象点Tpの計測結果と建築限界外形線GLとの離間距離を算出するため、軌道原点Bpを軌道中心CLからオフセットした状態であっても、建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を、正確に算出することができる。したがって、光波計測器50の回転軸Rcを軌道中心CLに合わせてから計測する場合に比べて、容易に計測することができる。
【0104】
また、オフセット量にカントを反映するため、計測原点となる回転軸Rcを軌道中心CLからオフセットした状態であっても、建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を、正確に算出することができる。
【0105】
また、建築限界Gをカントに応じて傾斜させるとともに、拡幅寸法に応じて拡幅した場合であっても、軌道100にカントが設定されたカント設定範囲であっても、カントがついた建築限界Gに対する構造物200における計測対象点Tpの離間距離を正確、かつ簡単に計測することができる。
【0106】
また、計測器本体10における少なくとも幅方向両側に、レール120の頭頂部を転動する上面ローラ21と、レール120の軌間側側部を転動する側面ローラ22とで構成するローラ部20を備えたことにより、左右のレール120に対して、確実に位置を固定して計測することができる。
【0107】
また、レール120の頭頂部を転動する上面ローラ21と、レール120の軌間側側部を転動する側面ローラ22とで構成するローラ部20を計測器本体10における少なくとも幅方向両側に備えたため、左右のレール120から脱線することなく計測器本体10を走行することができる。したがって、容易に計測する所望断面に移動して計測することができる。
【0108】
また、側面ローラ22を、レール120と対向する側がレール120の長手方向に沿って一列に整列配置した4つのローラ部20で構成することにより、例えば、熱膨張のための遊間を設定した継ぎ目部分を跨ぐ場合であっても、4つのローラのうち少なくとも2以上のローラが継ぎ目近傍のレール120側面に当接しているため、ローラが遊間に嵌まり込んで計測基準レール120に対する位置がずれることを防止でき、レール120頭頂面上における軌道中心CLと計測対象点Tpとの距離をさらに正確に計測することができる。
【0109】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の周辺設備は、構造物200に対応し、
以下同様に、
設置規制領域は、建築限界Gに対応し、
計測装置は、建築限界計測装置1に対応し、
走行台車は、計測器本体10に対応し、
光波計測手段は、光波計測器50に対応し、
計測基準点は、軌道原点Bpあるいは軌道原点Bpからオフセット処理し、光波計測器50の計測原点となる回転軸Rcに対応し、
計測点位置情報は、計測結果入力部71aに入力する計測対象点Tpの計測結果及びステップステップs5でカント換算処理された計測結果に対応し、
離間距離算出手段は、ステップs10を実行する計測処理PC6に対応し、
分割領域は、分割領域Ra,第1分割領域Ra1,第2分割領域Ra2,第3分割領域Ra3,第4分割領域Ra4,第5分割領域Ra5に対応し、
規制領域境界線及び離間距離基準線は、建築限界外形線GL,第1建築限界外形線GL1,第2建築限界外形線GL2,第3建築限界外形線GL3,第4建築限界外形線GL4,第5建築限界外形線GL5に対応し、判定手段は、ステップs8,9を実行する計測処理PC6に対応し、
オフセット計測点位置情報は、ステップs3でオフセット換算処理された計測対象点Tpの計測結果に対応し、
カント範囲設置規制領域は、ステップs5でカント換算処理された建築限界Gに対応し、
頭頂部用転動構造は、上面ローラ21に対応し、
側部用転動構造は、側面ローラ22、外側面大ローラ22a、内側面小ローラ22bに対応し、
転動手段及びローラ体は、ローラ部20に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0110】
例えば、上述の説明では、建築限界Gの外側を5つの分割領域Ra(Ra1乃至Ra5)に分割したが、この分割パターンに限定されず、さまざまな分割方法が想定される。少なくとも、各分割領域に、建築限界Gを構成する建築限界外形線GLか、建築限界外形線GL同士の交点Crが含まれていればどのような分割方法でもよく、分割パターンに応じて、領域境界線ALを設定すればよい。
【0111】
また、上述の説明では、計測器本体10において左右のローラ部20がそれぞれ、計測器台座40が計測器本体10の中央となるように位置規制して、軌道中心CLと計測器台座40の回転軸Rcが一致する構成であったが、ウェブ部10bに対して基準レール側ローラ部20bは固定され、反力レール側ローラ部20aのみがウェブ部10bに対する位置をスライド可能に構成してもよい。この場合、計測器台座40の回転軸Rcと軌道中心CLとは軌間方向において位置ズレするが、位置ズレ分のオフセット量を計測画面70のオフセット量入力部71bに入力することで軌道原点Bpに基づいて定まる建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を算出することができる。
【0112】
また、上述の説明では、ステップs3で計測結果にオフセット量を反映させたが、計測結果に反映させずとも、建築限界外形線GLや領域境界線ALにオフセット量を反映させて建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を算出してもよい。
【0113】
また、上述の説明では、軌道原点Bpから定まる建築限界Gに対する計測対象点Tpの離間距離を算出したが、これに限定されず、例えば、トロリ線周囲において離隔距離に基づく規制領域、あるいはそれらが一体となった規制領域に対する離間距離を算出する構成であってもよい。
【0114】
また、ローラ部20を上面ローラ21及び側面ローラ22で構成したが、球体で構成してもよい。また、側面ローラ22を2つの外側面大ローラ22aと2つの内側面小ローラ22bの計4つのローラで構成したが、3つ以上のローラであれば配置数は限定しない。
【0115】
さらには、光波計測器50を装着した計測器本体10と、計測処理PC6とで建築限界計測装置1を構成したが、計測処理PC6の機能を光波計測器50に備え、計測処理PC6の機能を備えた光波計測器50を装着した計測器本体10のみで建築限界計測装置1を構成してもよい。