(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分光算出手段により前記複数のピーク波長の光の強度が算出される毎に、前記透過波長可変型フィルタによる分光光のピーク波長が変化するように、該透過波長可変型フィルタを駆動制御するフィルタ駆動制御手段
を更に備える、
請求項1に記載の分光データ採取システム。
前記透過波長可変型フィルタと、該透過波長可変型フィルタとは異なる分光特性を持つ少なくとも一つのフィルタと、が円周方向に配置された回転式フィルタターレットと、
前記回転式フィルタターレットを駆動制御して、該回転式フィルタターレット内の何れか一つのフィルタを、前記光源と前記撮像素子との間の光路に選択的に挿置するターレット駆動制御手段と、
を更に備える、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の分光データ採取システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の電子内視鏡システムは、狭帯域光で照射された被写体像から推定される擬似的な分光画像を生成するにすぎない。そのため、特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、分光画像を用いた分光解析等の精度が低いという問題が指摘される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、被写体に照射される照射光を射出する光源と、照射光又は被写体からの反射光を複数のピーク波長を持つ分光光に分光するフィルタであって、分光する光のピーク波長が可変な透過波長可変型フィルタと、撮像素子面上に、所定の複数種類のカラーフィルタの配列からなるカラーフィルタ配列群が設置され、透過波長可変型フィルタの分光特性が付与された被写体像をカラーフィルタ配列群を通して撮影することでカラー情報を持つ撮像信号を生成する撮像素子と、撮像素子により生成された被写体の撮像信号、及び、被写体の撮影時に透過波長可変型フィルタにて設定されていた各ピーク波長に対する各カラーフィルタの分光特性に基づいて、被写体から撮像素子に入射する、各ピーク波長の光の強度を算出する分光算出手段とを備えることを特徴としたシステムである。
【0007】
本発明によれば、光学的な分光フィルタを用いることにより品質の高い分光データ(各ピーク波長の光の強度)を採取することができ、しかも、近年広く普及しているカラー撮像素子と、複数の透過ピーク波長を設定可能な透過波長可変型フィルタとを用いることにより、複数のピーク波長の分光データを同時に採取することが可能となっている。そのため、分光データの採取時間を短縮することができる。すなわち、本発明によれば、高品質な分光データを限られた時間内でより多く採取することができるため、分光解析等の分光データを用いた処理の精度が向上する。
【0008】
また、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、透過波長可変型フィルタにより分光された分光光の分光特性を測定する分光測定手段を更に備えたものであってもよい。この場合、分光算出手段は、撮像素子により生成された被写体の撮像信号、被写体の撮影時に透過波長可変型フィルタにて設定されていた各ピーク波長に対する各カラーフィルタの分光特性、及び、分光測定手段により測定された分光光の分光特性に基づいて、被写体から撮像素子に入射する、各ピーク波長の光の強度を算出することができる。
【0009】
また、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、分光算出手段により複数のピーク波長の光の強度が算出される毎に、透過波長可変型フィルタによる分光光のピーク波長が変化するように、透過波長可変型フィルタを駆動制御するフィルタ駆動制御手段を更に備えた構成としてもよい。
【0010】
また、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、透過波長可変型フィルタと、透過波長可変型フィルタとは異なる分光特性を持つ少なくとも一つのフィルタと、が円周方向に配置された回転式フィルタターレットと、回転式フィルタターレットを駆動制御して、回転式フィルタターレット内の何れか一つのフィルタを、光源と撮像素子との間の光路に選択的に挿置するターレット駆動制御手段とを更に備えた構成としてもよい。
【0011】
また、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、照射光を透過又は反射するミラーと、ミラーにて照射光を透過又は反射させることにより、照射光を第一又は第二の光路に導くミラー駆動制御手段とを更に備えた構成としてもよい。透過波長可変型フィルタは、例えば第一の光路に配置されており、第一の光路に導かれた照射光は、透過波長可変型フィルタを介して被写体を照射し、第二の光路に導かれた照射光は、透過波長可変型フィルタを介さずに被写体を照射する。
【0012】
また、本発明の一形態に係る分光データ採取システムは、反射光を透過又は反射するミラーと、ミラーにて反射光を透過又は反射させることにより、反射光を第一又は第二の光路に導くミラー駆動制御手段とを更に備えた構成としてもよい。透過波長可変型フィルタは、例えば第一の光路に配置されており、第一の光路に導かれた反射光は、透過波長可変型フィルタを介して撮像素子に入射し、第二の光路に導かれた照射光は、透過波長可変型フィルタを介さずに撮像素子に入射する。
【0013】
また、本発明の一形態に係る電子内視鏡システムは、上記分光データ採取システムが組み込まれたものであり、プロセッサと、電子内視鏡とを備える。電子内視鏡は、撮像素子を備えており、プロセッサは、少なくとも、光源、透過波長可変型フィルタ、分光算出手段を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る分光データ採取システム及び電子内視鏡システムによれば、光学的な分光フィルタを用いることにより品質の高い分光データを採取することができる。また、複数のピーク波長の分光データを同時に採取することができるため、分光データの採取時間を短縮することができる。すなわち、本発明に係る分光データ採取システム及び電子内視鏡システムによれば、高品質な分光データを限られた時間内でより多く採取することができるため、分光解析等の分光データを用いた処理の精度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムについて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用の撮像システムであり、電子スコープ100、プロセッサ200、及びモニタ300を備えている。電子スコープ100の基端は、プロセッサ200と光学的・電気的に接続されている。プロセッサ200は、電子スコープ100が出力する撮像信号を処理して画像を生成する画像処理装置と、自然光の届かない体腔内を電子スコープ100を介して照射する光源装置とを一体に備えた一体型プロセッサである。別の実施形態では、画像処理装置と光源装置とを一体型装置でなく別体の装置で構成してもよい。
【0018】
図1に示されるように、プロセッサ200は、システムコントローラ202、及びタイミングコントローラ204を有している。システムコントローラ202は、電子内視鏡システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ204は、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各種回路に出力する。
【0019】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、白色光を放射する。ランプ208には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが適している。ランプ208から放射された照射光は、分光ユニット210に入射する。
【0020】
ここで、一般に、診断に有用な分光画像の波長帯域は、診断対象となる部位及び病変部に応じて異なる。また、部位や病変部の種類によっては、異なる波長帯域で撮像された複数の分光画像を必要とするものもある。本実施形態の電子内視鏡システム1は、このような要請に応えるべく、任意の波長帯域にて分光画像を撮像可能に構成されている。具体的には、分光ユニット210は、ギャップ可変式エタロンを搭載する分光器210aを有している。ギャップ可変式エタロンは、ファブリペロー干渉計と同じ原理で透過スペクトルを可変するものであり、一面に反射膜が形成された一対の透過基板を反射膜同士が向かい合わせとなるように平行に並べられており、透過基板に入射した光を反射膜間で多重反射及び干渉させ、特定の複数の波長にピークを持つ光(以下、「帯域制限光」と記す。)に分光する。ギャップ可変式エタロンより射出される帯域制限光が持つ複数のピーク波長は、反射膜同士のギャップ、すなわち透過基板同士のギャップによって決まる。透過基板同士のギャップは、分光器210aに内蔵されている圧電アクチュエータを駆動制御することにより、変化させることができる。
【0021】
また、ギャップ可変式エタロンは、微小で精密なメカ部品であるため、温度変化や経年変化による僅かな機械的特性又は電気的特性の変化により光学性能が大きく変動する虞がある。例えば透明基板を保持する枠体が熱膨張により僅かに変形しただけでギャップが変動して分光特性(透過スペクトル)が大きく変化することがある。そのため、本実施形態において、分光ユニット210には、分光器210aより射出される帯域制限光の分光特性を測定する分光測定器210bが備えられている。分光測定器210bは、ハーフミラー210dの反射成分を測定し、その測定値を分光器制御ユニット210cに出力する。分光器制御ユニット210cは、分光測定器210bより入力された測定値に基づいて分光器210a(圧電アクチュエータ)を駆動して透過基板同士のギャップを調節し、帯域制限光の分光特性が目標値に収束するようにフィードバック制御する。目標値は、例えば術者によるユーザインタフェース212の目標値設定操作に従って設定され、又は、後述する分光データ採取処理の実行時に設定される。
【0022】
分光器210aは、アクチュエータ210ACTにより、照射光の光路に挿置され又は光路より退避される。本明細書中、分光器210aを光路に挿置し、分光器210aを用いて分光データを採取するモードを「分光データ採取モード」と記し、分光器210aを光路より退避させ、分光器210aを用いずに通常のカラー画像を生成するモードを「通常観察モード」と記す。電子スコープ100に設けられたモード切替ボタン114、又はプロセッサ200に設けられたユーザインタフェース212を操作してアクチュエータ210ACTを駆動させることにより、分光器210aを光路に選択的に挿置することができる。なお、
図1において、図面を簡明化する便宜上、モード切替ボタン114と他の回路との結線は省略している。
【0023】
ここではまず、通常観察モードについて説明する。通常観察モードでは、分光器210aは、照射光の光路より退避される。そのため、分光ユニット210に入射した照射光は、分光器210aを透過することなくLCB(Light Carrying Bundle)102の入射端に入射する。なお、本実施形態中、ランプ208とLCB102との間に配置されている絞りやカップリングレンズ等は便宜上、その説明及び図示を省略する。
【0024】
LCB102の入射端に入射した照射光は、LCB102内を全反射を繰り返すことによって伝播する。LCB102内を伝播した照射光は、電子スコープ100の先端に配されたLCB102の射出端から射出する。LCB102の射出端から射出した照射光は、配光レンズ104を介して被写体を照射する。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0025】
固体撮像素子108は、例えば補色市松型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、イエローYe、シアンCy、グリーンG、マゼンタMgの各補色に対応する撮像信号を得る。変換された撮像信号は、プリアンプ110による信号増幅後、ドライバ信号処理回路112を介して信号処理回路220に入力する。なお、固体撮像素子108は、例えばベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCDイメージセンサであってもよい。また、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の他のイメージャであってもよい。
【0026】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0027】
信号処理回路220に入力した撮像信号は、クランプ、ニー、γ補正、補間処理、AGC(Auto Gain Control)、AD変換等の処理後、各色信号別にフレーム単位でR、G、Bの各色対応のフレームメモリ(不図示)にバッファリングされる。バッファリングされた各色信号は、タイミングコントローラ204によって制御されたタイミングでフレームメモリから掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換される。変換された映像信号がモニタ300に順次入力することにより、被写体の通常のカラー画像がモニタ300の表示画面に表示される。
【0028】
なお、信号処理回路220は、分光算出部220a、分光解析部220b、分光データ保存部220c、画像統合部220dを備えている。これらは、分光データ採取モードの実行に必要な構成であり、通常観察モード中は例えば待機電力を抑えるため、電力供給がオフされてスリープ状態にある。
【0029】
次に、分光データ採取モードについて説明する。分光データ採取モードでは、分光器210aが照射光の光路に挿置され、分光算出部220a、分光解析部220b、分光データ保存部220c、画像統合部220dが起動される。そのため、分光ユニット210に入射した照射光は、分光器210aを透過して帯域制限光に分光されて、LCB102、配光レンズ104を介して被写体を照射する。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108にて受光されて撮像信号に変換後、プリアンプ110、ドライバ信号処理回路112を介して信号処理回路220(分光算出部220a)に入力する。以下、説明の便宜上、分光データ採取モード(すなわち、ランプ208と固体撮像素子108との間の光路に分光器210aが配置されている)時に固体撮像素子108に入射する被写体からの反射光を「分光反射光」と記す。この分光反射光の強度データが採取すべき分光データである。
【0030】
ここで、本実施形態のように、複数のピーク波長(例えば波長λ1〜λ4)を持つ帯域制限光で照射された被写体をカラー撮像素子によって撮像すると、各画素の出力値は、カラーフィルタを透過した波長λ1〜λ4の分光反射光強度を積算した値となる。例えば
図2に、Yeフィルタの分光特性と、イエロー画素Yeの出力値との関係を示す。
図2中、縦軸は、分光反射光強度及びYeフィルタの透過率を示し、横軸は、波長(単位:nm)を示す。また、実線(細線)は、Yeフィルタ入射前の分光反射光強度を示し、実線(太線)は、Yeフィルタ透過後の分光反射光強度(すなわちイエロー画素Yeの出力値)を示し、破線は、Yeフィルタの分光特性を示す。
図2に示されるように、イエロー画素Yeにはピーク波長λ1〜λ4の分光反射光が入射し、その出力値は、実線(太線)にて示されるピーク波長λ1〜λ4の分光反射光強度の積算値であって、各波長成分が混在した値となる。画素の出力値をピーク波長単位の分光データとして採取するためには、画素の出力値をピーク波長毎に分解する必要がある。
【0031】
そこで、分光算出部220aは、illumi(λn)(n=1〜4)を、ピーク波長λnの分光反射光強度と定義し、Cy(λn)、Mg(λn)、Ye(λn)、G(λn)を夫々、ピーク波長λnに対するCyフィルタ、Mgフィルタ、Yeフィルタ、Gフィルタの透過率と定義し、Cy、Mg、Ye、Gを夫々、シアン画素Cy、マゼンタ画素Mg、イエロー画素Ye、グリーン画素Gの出力値と定義した場合に、次式(1)に示される演算を行う。なお、分光算出部220aは、ユーザインタフェース212の目標値設定操作等によって決定された目標値のピーク波長λ1〜λ4を次式(1)に適用する。また、分光算出部220aは、分光データの精度を向上させるため、目標値に代えて実測値(すなわち、分光測定器210bにより測定されたピーク波長λ1〜λ4)を次式(1)に適用してもよい。また、分光算出部220aは、分光データの精度を向上させるため、例えばCy(λn)を、ピーク波長λnに対するCyフィルタの透過率と、分光測定器210bにより測定されたピーク波長λnの強度とを乗算した値としてもよい。Mg(λn)、Ye(λn)、G(λn)についても同様である。
【0033】
上記式(1)により、各色画素の出力値からピーク波長λ1〜λ4の分光反射光強度illumi(λ1)〜illumi(λ4)、すなわち被写体の分光データが4つ同時に算出される。なお、ベイヤ型画素配置の固体撮像素子はRGBの三色フィルタであるため、RGBの各画素の出力値を用いて上記式(1)の同様に演算を行うと、最大で3つの分光データを同時に算出することができる。すなわち、同時に算出することができる最大の分光データ数は、固体撮像素子のカラーフィルタを構成する色数と等しい。
【0034】
<分光データ採取処理>
図3は、本実施形態の電子内視鏡システム1にて実行される分光データ採取処理を示すフローチャートである。分光データ採取処理では、所定の波長範囲(例えば400nm〜700nm)において被写体の分光データを5nm刻みで(合計で61の分光データを)採取する。説明の便宜上、本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0035】
<
図3のS1(分光器210aへの初期印加電圧算出)>
分光データ採取処理の実行が開始されると、分光器制御ユニット210cは、所定の初期目標ピーク波長に基づいて分光器210aに印加する初期電圧を算出する。初期電圧は、例えば、被写体の分光データを4つ同時に算出するため、400nm〜700nmのうち4箇所にピークが現れるような値に設定されている。なお、分光データ採取処理の実行は、例えば、通常観察モードから分光データ採取モードへの移行、又はユーザインタフェース212への開始操作をトリガーとして開始される。
【0036】
また、ギャップ可変式エタロンにおいて、ピーク波長は、原理上、分光分布内の離散した位置に周期的に現れる。そのため、400nm〜700nm内の連続する4つの5nm刻みの波長にだけピークを持たせることはできない。従って、
図3の分光データ採取処理では、400nm〜700nm内の離散的な複数のピーク波長の分光データを採取し、この採取作業を未採取のピーク波長の分光データが無くなるまで繰り返す。最終的に、400nm〜700nm内で5nm刻みの合計61の分光データが採取されると、本分光データ採取処理が終了することとなる。なお、一度に採取する分光データ数(言い換えると、目標ピーク波長の数であり、帯域制限光内のピーク波長の数でもある。)は、常に4つとは限らず、未採取の分光データの分布や残数等に応じて1つ〜3つに減らされることもある。
【0037】
<
図3のS2(分光器210aへの電圧印加)>
分光器制御ユニット210cは、算出された電圧を分光器210aに印加する。電圧が印加された分光器210aは、ランプ208より入射した照射光を、目標ピーク波長と略一致するピーク波長を持つ帯域制限光に分光する。
【0038】
<
図3のS3(帯域制限光の分光特性の測定)>
分光測定器210bは、分光器210aより射出される帯域制限光の分光特性を測定する。分光測定器210bによる測定値は、分光器制御ユニット210cに入力する。
【0039】
<
図3のS4、5(実測ピーク波長の制御)>
分光器制御ユニット210cは、分光測定器210bより入力された帯域制限光の分光特性からピーク波長(以下、「実測ピーク波長」と記す。)を算出する。分光器制御ユニット210cは、算出した実測ピーク波長が目標ピーク波長を基準とする許容公差に収まるか否かを判定する。目標ピーク波長が複数設定されている場合は、対応する各実測ピーク波長の全てが許容公差に収まるか否かを判定する。実測ピーク波長(複数の場合は少なくとも1つ)が許容公差から外れる場合は(
図3のS4:NO)、実測ピーク波長と目標ピーク波長との差分に基づく補正電圧値を算出して(
図3のS5)、補正後の電圧を分光器210aに印加する(
図3のS2)。
図3のS4、S5、S2、S3、S4・・・のループは、実測ピーク波長が許容公差に収まるまで継続する。実測ピーク波長(複数の場合は全て)が許容公差に収まると(
図3のS4:YES)、処理は
図3のS6に進む。
【0040】
<
図3のS6(分光データの採取)>
分光器制御ユニット210cは、許容公差に収まる実測ピーク波長の情報(波長及び強度)を分光算出部220aへ転送する。分光算出部220aは、実測ピーク波長に対するCyフィルタ、Mgフィルタ、Yeフィルタ、Gフィルタの各透過率をデータ保存部220c等の記憶媒体から読み出して実測ピーク波長の強度を乗算し、乗算した値と、ドライバ信号処理回路112を介して入力する固体撮像素子108による撮像信号とを用いて、最大で4つのピーク波長λnの分光反射光強度(分光データ)を算出する。算出された分光データは、分光解析部220bに転送されると共にデータ保存部220cに保存される。
【0041】
<
図3のS7、8(採取完了判定)>
分光算出部220aは、未採取のピーク波長の分光データが存在しないか、すなわち、400nm〜700nm内で5nm刻みに分布する計61のピーク波長の分光データを全て採取したか否かを判定する。未採取のピーク波長の分光データが存在する場合(
図3のS7:NO)、分光器制御ユニット210cは、分光算出部220aの判定結果を受けて、次の目標ピーク波長に応じた印加電圧を算出し(
図3のS8)、算出された電圧を分光器210aに印加する(
図3のS2)。また、計61のピーク波長の分光データが全て採取されている場合は(
図3のS7:YES)、
図3の分光データ採取処理が終了する。なお、設定される目標ピーク波長の順序は予め決められており、順序通りに全ての目標ピーク波長に対応する分光データが採取された時点で、計61の実測ピーク波長の分光データが揃うことになる。
【0042】
分光解析部220bは、
図3の分光データ採取処理により採取された分光データ群を解析して被写体(例えば被疑病変部等)の健常や異常を検出し、検出結果を用いて解析画像(例えば異常部位を強調した画像等)を生成する。生成された解析画像は、例えば画像統合部220dをスルーしてモニタ300に出力され、表示画面に表示される。また、解析画像は、画像統合部220dにより、通常観察モード時に撮影された通常のカラー画像と合成されたうえでモニタ300の表示画面に表示される。合成表示には、例えば、解析画像と通常のカラー画像とを並列に表示する態様や、解析画像と通常のカラー画像とを重ね合わせて表示する態様が想定される。また、解析画像は、データ保存部220cに保存され、データ保存部220cを介して外部装置(例えばPCやファイルサーバ、外部記憶媒体、サブディスプレイ等)に転送される。なお、データ保存部220cは、
図3の分光データ採取処理により採取された分光データそのものを外部装置(例えばPCやファイルサーバ、外部記憶媒体等)に転送することもできる。
【0043】
本実施形態によれば、分光器210aを用いることにより品質の高い分光データを採取することができ、しかも、近年広く普及しているカラー撮像素子(固体撮像素子108)と、複数の透過ピーク波長を設定可能な分光器210aとを用いることにより、複数のピーク波長の分光データを同時に採取することが可能となっている。そのため、分光データの採取時間を短縮することができる。すなわち、本発明によれば、高品質な分光データを限られた時間内でより多く採取することができるため、分光解析等の分光データを用いた処理の精度が向上する。
【0044】
また、本実施形態の電子スコープ100は、分光データを採取するための専用の構成要素を備える必要がないため、既存の構成で足りる。
【0045】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、本実施形態では、アクチュエータ210ACTを駆動して、分光器210a自体を照射光の光路に選択的に挿置するように構成されているが、別の実施形態では、
図4に示される回転式フィルタターレットを備えた構成に代えてもよい。具体的には、回転式フィルタターレット210FTは、分光器210aに代えて設置されており、
図4(a)に示されるように、分光フィルタ(ギャップ可変式エタロン等)と、白色用フィルタとを円周方向に配置したものである。白色用フィルタは、例えばランプ208より放射された照射光を所定の可視光域に制限する。また、回転式フィルタターレット210FT’は、
図4(b)に示されるように、分光フィルタ、白色用フィルタ、特殊観察用フィルタを円周方向に配置したものである。特殊観察用フィルタは、特定の狭帯域観察に最適化された分光特性を有している。アクチュエータ210ACTは、回転式フィルタターレット210FTや210FT’を回転させて、何れか一つのフィルタを照射光の光路に選択的に挿置することができる。
図4(a)に示される例では、回転式フィルタターレット210FTを所定の周期で回転させることにより、分光データの採取と通常のカラー画像の取得とを交互に行うことができる。
【0046】
図5は、本実施形態の電子内視鏡システム1の変形例1(電子内視鏡システム1Ma)の構成を示すブロック図である。本変形例1をはじめ、以降の変形例において、
図1の電子内視鏡システム1と同一の又は同様の構成には同一の又は同様の符号を付して説明を簡略又は省略する。
【0047】
図5に示されるように、電子内視鏡システム1Maは、ランプ208から分光器210aに直進する光路を迂回するように配置されたミラー210M1〜M4を備えている。ミラー210M1及び210M4は、例えば可動式スイッチングミラーであり、第一のスイッチング状態では光路より退避する。そのため、ランプ208より放射された照射光は、ミラー210M1をスルーして分光器210aを透過し、帯域制限光とされた後、ミラー210M4をスルーしてLCB102の入射端に入射する。また、ミラー210M1及び210M4は、第二のスイッチング状態では光路に挿置される。ミラー210M1は、ランプ208より放射された照射光をミラー210M2側に反射する。ミラー210M2及び210M3は固定ミラーである。ミラー210M1で反射された照射光は、ミラー210M2〜M4を順に反射して、LCB102の入射端に入射する。すなわち、この場合、LCB102には、分光器210aを介さない白色光がLCB102に供給される。なお、ミラー210M1とM4は、可動式スイッチングミラーに代えて、例えば印加電圧に応じて透過率(透明状態と反射状態)をスイッチングすることが可能な調光ミラーであってもよい。
【0048】
図6は、本実施形態の電子内視鏡システム1の変形例2(電子内視鏡システム1Mb)の構成を示すブロック図である。
図6に示されるように、本変形例2の電子内視鏡システム1Mbでは、電子スコープ100が分光ユニット210を備えている。分光ユニット210は、例えば対物光学系106と固体撮像素子108との間の光路に設置される。なお、分光ユニット210に加えて分光算出部220aも、電子スコープ100内に設置してもよい。
【0049】
図6に示す本変形例2の電子内視鏡システム1Mbでは、通常のカラー画像を撮影することができない。そこで、
図7、
図8に、夫々、本実施形態の電子内視鏡システム1の変形例3(電子内視鏡システム1Mc)、変形例4(電子内視鏡システム1Md)の構成を例示する。
【0050】
図7に示されるように、本変形例3の電子内視鏡システム1Mcも、電子スコープ100が分光ユニット210を備えている。但し、本変形例3では、対物光学系106と分光器210aとの間の光路にミラー210M1が配置されており、スイッチング状態に応じて被写体からの反射光を透過又は反射する。第一のスイッチング状態では反射光が分光器210aにスルーされるため、固体撮像素子108には、分光器210aを透過した帯域制限光が入射する。第二のスイッチング状態では反射光がミラー210M2側に反射される。ミラー210M1で反射された反射光は、更に、ミラー210M2で反射されて、固体撮像素子108に入射する。すなわち、固体撮像素子108には、分光器210aを介さない反射光が入射する。
【0051】
また、
図8に示されるように、本変形例4の電子内視鏡システム1Mdも、電子スコープ100が分光ユニット210を備えている。本変形例4では、本変形例3のミラー210M2に代えて、固体撮像素子108Mが配置されている。そのため、第一のスイッチング状態では、分光器210aを透過した帯域制限光が固体撮像素子108に入射し、第二のスイッチング状態では、分光器210aを介さない反射光が固体撮像素子108Mに入射する。また、ミラー210M1(調光ミラー)の透過率:反射率を例えば1:1とすることにより、固体撮像素子108と108Mの両方に被写体からの反射光が入射する。そのため、分光データの採取とカラー画像の取得とを同時に行うことができる。