特許第5883693号(P5883693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883693
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置の減速装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/02 20060101AFI20160301BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20160301BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   F16H7/02 A
   F16H25/20 E
   B62D5/04
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-66343(P2012-66343)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194901(P2013-194901A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】酒井田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】石毛 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正信
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−27577(JP,A)
【文献】 特開2007−126114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16H 7/00− 7/24
25/22−25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにラック軸を直線移動可能に支持するとともに、ハウジングに電動モータを取付け、電動モータの回転軸に結合した駆動側歯付プーリの回転力を、該駆動側歯付プーリに歯付ベルトを介して接続された従動側歯付プーリを含む動力伝達機構を介してラック軸に伝えるものであり、
上記動力伝達機構が、ラック軸にボールねじを設け、ボールねじにボールを介して噛合うボールナットを、ハウジングに支持した軸受により支持し、このボールナットに従動側歯付プーリを固定してなる電動パワーステアリング装置の減速装置において、
駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けた歯付ベルトと、ボールナットと、ボールナットの軸受とを、ラック軸の軸方向に沿う同一位置に配置してなることを特徴とする電動パワーステアリング装置の減速装置。
【請求項2】
前記ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に、ボールナットと、ボールナットの軸受を配置してなる請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の減速装置。
【請求項3】
前記駆動側歯付プーリが、プーリ本体に備えた歯部の両側に軸受を設け、これらの軸受を介してハウジングに両持ち支持されてなる請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置の減速装置。
【請求項4】
前記従動側歯付プーリが、カップ状のプーリ本体の外筒部の外周に歯部を備え、カップ状のプーリ本体のカップ底部の中央から上記外筒部に囲まれるカップ内側に向けて突き出る内筒部を備え、この内筒部をボールナットに挿着して固定してなる請求項1〜3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置の減速装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の減速装置を備えた電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動パワーステアリング装置の減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置の減速装置として、特許文献1、2に記載の如く、ハウジングにラック軸を直線移動可能に支持するとともに、ハウジングに電動モータを取付け、電動モータの回転軸に結合した駆動側歯付プーリの回転力を、該駆動側歯付プーリに歯付ベルトを介して接続された従動側歯付プーリを含む動力伝達機構を介してラック軸に伝えるものがある。
【0003】
特許文献1、2に記載の減速装置の動力伝達機構は、ラック軸にボールねじを設け、ボールねじにボールを介して噛合うボールナットを、ハウジングに支持した軸受により支持し、このボールナットに従動側歯付プーリを固定している。これにより、電動モータによる駆動側歯付プーリの回転を、ラック軸の直線移動に変換するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-291830
【特許文献2】特開2004-314770
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置の減速装置では、ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に、ボールナットと、ボールナットの軸受をともに配置していない。
【0006】
特許文献2に記載の電動パワーステアリング装置の減速装置では、ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に、ボールナットを配置しているものの、ボールナットの軸受を配置していない。
【0007】
ところで、ボールナットは、ボールねじ及びボールに対し、組付性やフリクションの制限から、ガタをゼロにできず、そのガタが半径方向の隙間になる。このため、ボールナット及び/又はその軸受が、ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に配置されず、オフセットされたものでは、従動側歯付プーリを介してボールナットに作用する歯付ベルトの張力が、ボールナットの軸受まわりの回転モーメントになり、ボールナットをボールねじに対して傾けるものになる。ボールナットの傾きは、ボールナットとボールとボールねじの間のこじれの原因になり、フリクション性能や作動音を損なう。
【0008】
本発明の課題は、歯付ベルトを用いた減速装置を有する電動パワーステアリング装置において、歯付ベルトの張力によるボールナットの傾きを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、ハウジングにラック軸を直線移動可能に支持するとともに、ハウジングに電動モータを取付け、電動モータの回転軸に結合した駆動側歯付プーリの回転力を、該駆動側歯付プーリに歯付ベルトを介して接続された従動側歯付プーリを含む動力伝達機構を介してラック軸に伝えるものであり、上記動力伝達機構が、ラック軸にボールねじを設け、ボールねじにボールを介して噛合うボールナットを、ハウジングに支持した軸受により支持し、このボールナットに従動側歯付プーリを固定してなる電動パワーステアリング装置の減速装置において、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けた歯付ベルトと、ボールナットと、ボールナットの軸受とを、ラック軸の軸方向に沿う同一位置に配置してなるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に、ボールナットと、ボールナットの軸受を配置してなるようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記駆動側歯付プーリが、プーリ本体に備えた歯部の両側に軸受を設け、これらの軸受を介してハウジングに両持ち支持されてなるようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記従動側歯付プーリが、カップ状のプーリ本体の外筒部の外周に歯部を備え、カップ状のプーリ本体のカップ底部の中央から上記外筒部に囲まれるカップ内側に向けて突き出る内筒部を備え、この内筒部をボールナットに挿着して固定してなるようにしたものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の減速装置を備えた電動パワーステアリング装置である。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1、5)
(a)歯付ベルトを用いた減速装置を有する電動パワーステアリング装置において、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けた歯付ベルトと、ボールナットと、ボールナットの軸受とを、ラック軸の軸方向に沿う同一位置に配置した。これにより、従動側歯付プーリを介してボールナット(ボールナットにおいて、ボールねじとの間にボールがある範囲)に作用する歯付ベルトの張力が、ボールナット及びその軸受を通る軸直角方向に作用するものになり、ボールナットの軸受まわりの回転モーメントになることがなく、ボールナットをボールねじに対して傾けることがない。即ち、ボールナットとボールとボールねじの間のこじれの原因となるボールナットの傾きがないから、フリクション性能や作動音を損なうことがない。
【0015】
(請求項2)
(b)前記ラック軸の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けられている歯付ベルトのベルト幅内に、ボールナットと、ボールナットの軸受を配置した。これにより、上述(a)を確実に実現できる。
【0016】
(請求項3)
(c)前記駆動側歯付プーリが、プーリ本体に備えた歯部の両側に軸受を設け、これらの軸受を介してハウジングに両持ち支持された。これにより、駆動側歯付プーリがラック軸まわりの従動側歯付プーリ、ボールナット、ボールナットの軸受に対して安定的に平行配置され、駆動側歯付プーリに巻き掛けられる歯付ベルトの張力が、確実に、ボールナット及びその軸受を通る軸直角方向に作用するものになる。
【0017】
(請求項4)
(d)前記従動側歯付プーリが、カップ状のプーリ本体の外筒部の外周に歯部を備え、カップ状のプーリ本体のカップ底部の中央から上記外筒部に囲まれるカップ内側に向けて突き出る内筒部を備え、この内筒部をボールナットに挿着して固定した。この従動側歯付プーリを用いることにより、上述(a)、(b)を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は電動パワーステアリング装置の全体を示す正面図である。
図2図2は減速装置を示す断面図である。
図3図3は減速装置の要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電動パワーステアリング装置10は、図1に示す如く、ギヤハウジング11を分割した、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bを有するものにし、このギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A)にステアリング入力軸12を支持し、入力軸12にトーションバー13を介して出力軸(不図示)を連結し、この出力軸にピニオン(不図示)を設け、このピニオンに噛合うラック軸14をギヤハウジング11に左右方向に直線移動可能に支持している。入力軸12と出力軸の間には、不図示の操舵トルクセンサを設けている。操舵トルクセンサは、ステアリングホイールに加えた操舵トルクに起因するトーションバーの弾性ねじり変形により、入力軸12と出力軸の間に生ずる相対回転変位に基づき、操舵トルクを検出する。
【0020】
電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14の両端部をギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A、第2ギヤハウジング11B)の両側に突出し、それらの端部にタイロッド15A、15Bを連結し、ラック軸14の直線移動に連動するタイロッド15A、15Bを介して、左右の車輪を転舵可能にする。
【0021】
電動パワーステアリング装置10は、電動モータ20を有する。電動モータ20は、第1ギヤハウジング11Aに固定された軸受ハウジング21に取付けられ、電動モータ20の回転軸20Aのセレーション孔に駆動側歯付プーリ30の駆動軸32のセレーションを同軸的に結合している。
【0022】
電動パワーステアリング装置10は、電動モータ20が付与する駆動側歯付プーリ30の回転力を、小径駆動側歯付プーリ30に歯付ベルト50を介して接続された大径従動側歯付プーリ40を含む動力伝達機構を介してラック軸14に伝えることにより、減速装置を構成する。
【0023】
駆動側歯付プーリ30は、図2図3に示す如く、プーリ本体31の駆動軸32が備える歯部31Aの両側に、該歯部31Aより外径の大きなフランジ部材33、34を固定して備える。両側のフランジ部材33、34は、歯部31Aに巻き掛けられた歯付ベルト50の巻掛け位置を規制し、その脱落を防止する。
【0024】
駆動側歯付プーリ30は、プーリ本体31の歯部31Aの両側に延びる駆動軸32のそれぞれにころがり軸受35、36を装填し、これらの軸受35、36を介して軸受ハウジング21に両持ち支持される。
【0025】
軸受35は、軸受ハウジング21のモータ寄りの軸受保持孔に装填されて固定される。軸受35は、外輪35Aの両端面を、軸受ハウジング21のモータ寄りの軸受保持孔の段差部21Jと軸受ハウジング21のその軸受保持孔に係着した止め輪35Cに挟まれて位置規制されて固定される。軸受35は、プーリ本体31の歯部31Aの一側に延在させた駆動軸32にフランジ部材33とともに装填した内輪35Bを、該駆動軸32に係着した止め輪35Dとプーリ本体31の歯部31Aのモータ寄り端面との間に、フランジ部材33とともに挟み込み固定される。
【0026】
軸受36は、軸受ハウジング21の反モータ寄りの軸受保持孔に装填されて固定される。軸受36は、外輪36Aを軸受ハウジング21の反モータ寄りの軸受保持孔に固定的に装填される。軸受36は、内輪36Bをプーリ本体31の歯部31Aの他側に延在させた駆動軸32に装填されて固定され、この内輪36Bとプーリ本体31の歯部31Aの反モータ寄り端面との間にフランジ部材34を挟み込み固定している。
【0027】
従動側歯付プーリ40は、図2図3に示す如く、カップ状のプーリ本体41の外筒部aの外周に歯部41Aを備える。従動側歯付プーリ40は、カップ状のプーリ本体41のカップ底部の中央から上記外筒部aに囲まれるカップ内側に向けて突き出る内筒部bを備える。この内筒部bは、外筒部aと同軸をなす中空筒状のボス42を構成し、ボス42は後述するボールナット62に挿着して固定される。従動側歯付プーリ40は、カップ状のプーリ本体41において、外筒部aと内筒部bをカップ底部に対し軸方向の同一側に配置するものになる。
【0028】
電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14にボールねじ60を設け、ボールねじ60にボール61を介して噛合うボールナット62を有し、ギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A)に支持したころがり軸受63によりボールナット62を回転自在に支持する。ボールナット62の外周には、従動側歯付プーリ40のボス42が固定される。ここで、軸受63は、外輪63Aの両端面を第1ギヤハウジング11Aの軸受保持孔の段差部11Jと第1ギヤハウジング11Aのその軸受保持孔に螺着した軸受ナット64とに挟まれて位置規制されて固定されている。従動側歯付プーリ40のボス42と軸受63の内輪63Bは、ボールナット62の外周で、該ボールナット62の外周の一端側段差部62Jとボールナット62の外周の他端側に螺着された止めナット65との間に挟持されて固定されている。
【0029】
電動パワーステアリング装置10は、電動モータ20の側の駆動側歯付プーリ30のプーリ本体31の歯部31Aと、ボールナット62の側の従動側歯付プーリ40のプーリ本体41の歯部41Aに歯付ベルト50を巻き掛け、駆動側歯付プーリ30の回転力を歯付ベルト50から従動側歯付プーリ40経由でボールナット62に伝え、ひいてはラック軸14に伝えて該ラック軸14を直線移動させる。
【0030】
以下、電動パワーステアリング装置10の動作について説明する。
(1)操舵トルクセンサが検出した操舵トルクが所定値より低いとき、操舵アシスト力は不要であり、電動モータ20は駆動されない。
【0031】
(2)操舵トルクセンサが検出した操舵トルクが所定値を超えるとき、操舵アシスト力を必要とするから、電動モータ20が駆動される。電動モータ20の発生トルクに基づく駆動側歯付プーリ30の回転力が、歯付ベルト50から従動側歯付プーリ40経由でボールナット62に伝えられ、ボールねじ60を介してラック軸14を直線移動させる操舵アシスト力になる。
【0032】
しかるに、電動パワーステアリング装置10にあっては、歯付ベルト50の張力によるボールナット62の傾きを防止するため、以下の構成を具備する。
【0033】
電動パワーステアリング装置10は、図3に示す如く、駆動側歯付プーリ30と従動側歯付プーリ40に巻き掛けた歯付ベルト50と、ボールナット62(ボールナット62において、ボールねじ60との間にボール61がある範囲)と、ボールナット62の軸受63とを、ラック軸14の軸方向に沿う同一位置に配置している。
【0034】
即ち、電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14の軸直角方向から視て(図3)、駆動側歯付プーリ30と従動側歯付プーリ40に巻き掛けられている歯付ベルト50のベルト幅W内に、ボールナット62(ボールナット62において、ボールねじ60との間にボール61がある範囲)と、ボールナット62の軸受63を配置している。
【0035】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)歯付ベルト50を用いた減速装置を有する電動パワーステアリング装置10において、駆動側歯付プーリ30と従動側歯付プーリ40に巻き掛けた歯付ベルト50と、ボールナット62と、ボールナット62の軸受63とを、ラック軸14の軸方向に沿う同一位置に配置した。これにより、従動側歯付プーリ40を介してボールナット62(ボールナット62において、ボールねじ60との間にボール61がある範囲)に作用する歯付ベルト50の張力が、ボールナット62及びその軸受63を通る軸直角方向に作用するものになり、ボールナット62の軸受63まわりの回転モーメントになることがなく、ボールナット62をボールねじ60に対して傾けることがない。即ち、ボールナット62とボール61とボールねじ60の間のこじれの原因となるボールナット62の傾きがないから、フリクション性能や作動音を損なうことがない。
【0036】
(b)前記ラック軸14の軸直角方向から視て、駆動側歯付プーリ30と従動側歯付プーリ40に巻き掛けられている歯付ベルト50のベルト幅W内に、ボールナット62と、ボールナット62の軸受63を配置した。これにより、上述(a)を確実に実現できる。
【0037】
(c)前記駆動側歯付プーリ30が、プーリ本体31に備えた歯部31Aの両側に軸受35、36を設け、これらの軸受35、36を介して軸受ハウジング21に両持ち支持された。これにより、駆動側歯付プーリ30がラック軸14まわりの従動側歯付プーリ40、ボールナット62、ボールナット62の軸受63に対して安定的に平行配置され、駆動側歯付プーリ30に巻き掛けられる歯付ベルト50の張力が、確実に、ボールナット62及びその軸受63を通る軸直角方向に作用するものになる。
【0038】
(d)前記従動側歯付プーリ40が、カップ状のプーリ本体41の外筒部aの外周に歯部41Aを備え、カップ状のプーリ本体41のカップ底部の中央から上記外筒部aに囲まれるカップ内側に向けて突き出る内筒部bを備え、この内筒部bをボールナット62に挿着して固定した。この従動側歯付プーリ40を用いることにより、上述(a)、(b)を確実に実現できる。
【0039】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ハウジングにラック軸を直線移動可能に支持するとともに、ハウジングに電動モータを取付け、電動モータの回転軸に結合した駆動側歯付プーリの回転力を、該駆動側歯付プーリに歯付ベルトを介して接続された従動側歯付プーリを含む動力伝達機構を介してラック軸に伝えるものであり、上記動力伝達機構が、ラック軸にボールねじを設け、ボールねじにボールを介して噛合うボールナットを、ハウジングに支持した軸受により支持し、このボールナットに従動側歯付プーリを固定してなる電動パワーステアリング装置の減速装置において、駆動側歯付プーリと従動側歯付プーリに巻き掛けた歯付ベルトと、ボールナットと、ボールナットの軸受とを、ラック軸の軸方向に沿う同一位置に配置した。これにより、歯付ベルトを用いた減速装置を有する電動パワーステアリング装置において、歯付ベルトの張力によるボールナットの傾きを防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 電動パワーステアリング装置
11 ギヤハウジング
14 ラック軸
20 電動モータ
20A 回転軸
21 軸受ハウジング
30 駆動側歯付プーリ
31 プーリ本体
31A 歯部
35、36 軸受
40 従動側歯付プーリ
41 プーリ本体
41A 歯部
50 歯付ベルト
60 ボールねじ
61 ボール
62 ボールナット
63 軸受
a 外筒部
b 内筒部
w ベルト幅
図1
図2
図3