(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1基板は、前記画素電極に対して前記ゲート配線が延びる方向の一方側に配置された前記ソース配線と前記画素電極との電気的接続を切替えるスイッチング素子と、前記ゲート配線と略平行に延びるとともに前記主画素電極および前記ソース配線に沿って分岐した補助容量線と、をさらに備え、
前記スイッチング素子は、分岐した前記補助容量線と絶縁層を介して重なるように延びた半導体層を備える請求項1記載の液晶表示装置。
前記第1基板は、前記第1画素電極の他方側であって前記第2画素電極の一方側に配置された前記ソース配線の部分の上層に配置されたシールド層を更に備える請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の液晶表示装置。
前記第2基板は、前記第1画素電極の一方側であって前記第2画素電極の他方側に配置された前記ソース配線の部分と対向する第2シールド層を更に備える請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0010】
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0011】
液晶表示パネルLPNは、アクティブエリアACTにおいて、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。ゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って並んで配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
【0012】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSD(駆動回路)の少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0013】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、補助容量CSなどを備えている。補助容量CSは、例えば補助容量線Cとスイッチング素子SWの半導体層との間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0014】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
【0015】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層は、例えば、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0016】
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
【0017】
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧を印加するための給電部VSを備えている。この給電部VSは、例えば、アクティブエリアACTの外側に形成されている。共通電極CEは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部VSと電気的に接続されている。
【0018】
図2は、
図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときに、第1方向Xに並んだ2つの画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0019】
図示した画素PXのそれぞれは、破線で示したように、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1乃至ソース配線S3は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間、及び、ソース配線S2とソース配線S3との間にそれぞれ配置されている。また、画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置されている。
【0020】
図示した例では、画素PXは第1画素電極PE1が配置された第1画素PX1と、第2画素電極PE2が配置された第2画素PX2とを有している。第1画素PX1と第2画素PX2とは第1方向Xに並んで配置されている。
【0021】
第1画素PX1において、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該第1画素PX1とその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該第1画素PX1とその右側に隣接する第1画素PX2との境界に跨って配置されている。
【0022】
第2画素PX2において、ソース配線S2は左側端部に配置され、ソース配線S3は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S2は当該第2画素PX2とその左側に隣接する第1画素PX1との境界に跨って配置され、ソース配線S3は当該第2画素PX2とその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0023】
また、ゲート配線G1は当該第1画素PX1および第2画素PX2の上側端部に沿って配置され、ゲート配線G2は当該第1画素PX1および第2画素PX2の下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該第1画素PX1および第2画素PX2とその上側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ゲート配線G2は当該第1画素PX1および第2画素PX2とその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0024】
補助容量線C1は、ゲート配線G1とゲート配線G2との間において、ゲート配線G2近傍に第1方向Xに延びるとともに、ソース配線S1及びソース配線S3に沿って分岐してゲート配線G1側に延びている。
【0025】
なお、本実施形態では補助容量線Cは画素PXの境界を遮光する遮光層としても用いられている。アレイ基板10に遮光層を設けることにより、対向基板CTとアレイ基板10とを貼り合わせる際のズレにより開口率が低下することを回避することができる。また、補助容量線Cに共通電極CEと同じ電圧を印加することにより、上層に配置されたソース配線Sからの漏れ電界の液晶の配向に対する影響を抑制することができる。
【0026】
スイッチング素子SWは、第1方向Xにおいて画素電極PEの一方側のソース配線Sと当該画素電極PEとの電気的接続を切替える。スイッチング素子SWは、ゲート電極EGと、ソース電極ESと、ドレイン電極EDと、半導体層PSとを備えている。ゲート電極EGは、対応するゲート配線Gと電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。ソース電極ESは対応するソース配線Sと電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。ドレイン電極EDは、対応する画素電極PEと電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。半導体層PSは、一端がソース配線Sと電気的に接続し、他端が画素電極PEと電気的に接続し、一端と他端との間でゲート電極EGとゲート絶縁膜(図示せず)を介して対向している。図示した例では、半導体層PSとゲート電極EGとはゲート絶縁膜を介して2箇所で対向している。
【0027】
第1画素PX1のスイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G2及びソース配線S1に電気的に接続されている。スイッチング素子SWは、ゲート配線G2とソース配線S1との交点近傍に設けられている。
【0028】
スイッチング素子SWのソース電極ESはソース配線S1と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ゲート配線G2を越えて隣接する画素側でコンタクトホールCH3において半導体層PSと電気的に接続している。
【0029】
スイッチング素子SWのゲート電極EGは、ゲート配線G2と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、第2方向Yに延びた半導体層PSと2箇所で対向している。すなわち、スイッチング素子SWはダブルゲート型のスイッチング素子である。
【0030】
第1画素PX1のスイッチング素子SWにおいて、半導体層PSは、画素電極PEと接続した端部がソース配線S1に沿って延長され、分岐した補助容量線C1の下層に沿って延びている。半導体層PSはゲート配線G1近傍まで補助容量線C1と重なって配置されている。
【0031】
半導体層PSは、ゲート配線G2近傍に形成されたコンタクトホールCH1においてコンタクト電極ECと電気的に接続されている。コンタクト電極ECは、ゲート配線G2近傍に形成されたコンタクトホールCH2において画素電極PEと電気的に接続されている。
【0032】
第2画素PX2のスイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G2及びソース配線S2に電気的に接続されている。スイッチング素子SWは、ゲート配線G2とソース配線S2との交点に設けられている。
【0033】
スイッチング素子SWのソース電極ESは、ソース配線S2と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ゲート配線G2を越えて隣接する画素側でコンタクトホールCH3において半導体層PSと電気的に接続している。
【0034】
スイッチング素子SWのゲート電極EGは、ゲート配線G2と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、第2方向Yに延びた半導体層PSと2箇所で対向している。すなわち、スイッチング素子SWはダブルゲート型のスイッチング素子である。
【0035】
第2画素PX2のスイッチング素子SWにおいて、半導体層PSは、画素電極PEと接続した端部がソース配線S3に沿って延長され、分岐した補助容量線C1の下層に沿って延びている。半導体層PSはゲート配線G1近傍まで補助容量線C1と重なって配置されている。
【0036】
半導体層PSは、ゲート配線G2近傍に形成されたコンタクトホールCH1においてコンタクト電極ECと電気的に接続されている。コンタクト電極ECは、ゲート配線G2近傍に形成されたコンタクトホールCH2において画素電極PEと電気的に接続されている。
【0037】
このようなスイッチング素子SWは、ソース配線Sおよび主画素電極PAと重なる領域に設けられ、表示に寄与する開口部の面積の低減を抑制している。
【0038】
画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを備えている。
主画素電極PAは、コンタクト部PCから画素PXの上側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。主画素電極PAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
【0039】
コンタクト部PCは、コンタクトホールCH1、CH2においてコンタクト電極ECおよびスイッチング素子SWの半導体層PSと電気的に接続されている。コンタクト部PCは、主画素電極PAよりも幅広に形成されている。
【0040】
本実施形態では、第1画素電極PE1の主画素電極PAは、第1画素PX1のスイッチング素子SWが接続されたソース配線S1近傍に第2方向Yに沿って配置されている。第2画素電極PE2の主画素電極PAは、第2画素PX2のスイッチング素子SWが接続されないソース配線S3近傍に第2方向Yに沿って配置されている。
【0041】
すなわち、第1画素電極PE1の主画素電極PAは第1方向Xの一方側のソース配線S1に沿って配置され、第2画素電極PE2の主画素電極PAは第1方向Xの他方側のソース配線S3に沿って配置されている。
【0042】
換言すると、ソース配線S1の第1方向Xにおける両脇には、左側の画素の主画素電極PAと右側の第1画素PX1の主画素電極PAとが第2方向Yに延びて配置されている。ソース配線S2の第1方向Xにおける両脇には主画素電極PAが配置されない。ソース配線S3の第1方向Xにおける両脇には、左側の第2画素PX2の主画素電極PAと右側の画素の主画素電極PAとが第2方向に延びて配置されている。
【0043】
シールド層SLDは、ゲート配線G1、G2と対向するように配置されているとともに、ソース配線S2と対向するように配置されている。すなわち、シールド層SLDは、主画素電極PAが両脇に配置されていないソース配線S2と、ゲート配線G1、G2とに対向している。シールド層SLDは、例えば共通電極CEと同電位である。
【0044】
共通電極CEは、主共通電極CAを備えている。主共通電極CAは、X−Y平面内において、主画素電極PA間において主画素電極PAと所定の距離をおいて配置され、主画素電極PAと略平行な第2方向Yに延びている。あるいは、主共通電極CAは、X−Y平面内において、両脇に主画素電極PAが配置されないソース配線Sと対向するとともに主画素電極PAと略平行に延出している。主共通電極CAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。
【0045】
図示した例では、主共通電極CAは、第1画素PX1と第2画素2との境界に跨って配置されている。主共通電極CAはソース配線S2と対向している。主共通電極CAは、アクティブエリア内あるいはアクティブエリア外において他の主共通電極と互いに電気的に接続されている。
【0046】
第1画素PX1において、主共通電極CAは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CAは当該第1画素PX1とその右側に隣接する第2画素PX2との境界に跨って配置されている。
【0047】
第1画素PX1の画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、主画素電極PAは第1画素PX1の左側端部に配置され、主共通電極CAは第1画素PX1の右側端部に配置されている。主画素電極PAと主共通電極CAとは互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAは画素電極PEとは重ならない。
【0048】
第2画素PX2において、主共通電極CAは左側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CAは当該第2画素PX2とその左側に隣接する第1画素PX1との境界に跨って配置されている。
【0049】
第2画素PX2の画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、主画素電極PAは第2画素PX2の右側端部に配置され、主共通電極CAは第2画素PX2の左側端部に配置されている。主画素電極PAと主共通電極CAとは互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAは画素電極PEとは重ならない。
【0050】
すなわち、隣接する第1画素PX1の主画素電極PAと第2画素電極PX2の主画素電極PAとの間には、1本の主共通電極CAが位置している。換言すると、第1画素PX1の主画素電極PAと第2画素PX2の主画素電極PAとは、主共通電極CAと対向する位置を挟んだ両側に配置されている。このため、第1画素PX1の主画素電極PA、主共通電極CA、及び、第2画素PX2の主画素電極PAは、第1方向Xに沿って左から右へこの順に配置されている。
【0051】
これらの主画素電極PAと主共通電極CAとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CAと第1画素PX1の主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は、主共通電極CAと第2画素PX2の主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0052】
本実施形態では、ソース配線S1、S3と対向する位置にシールド層CSLが配置されている。シールド層CSLは、第1方向Xにおける両脇に主画素電極PAが配置されたソース配線Sと対向する位置に配置されている。シールド層CSLは共通電極CEと同層に配置され、共通電極CEと同じ材料で同時に形成される。
【0053】
図3は、
図2に示した液晶表示パネルLPNをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
【0054】
液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライト4が配置されている。バックライト4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0055】
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。スイッチング素子SWの半導体層PSは、第1絶縁基板10の上に形成され、ゲート絶縁膜11に覆われている。補助容量線Cは、ゲート絶縁膜11上に形成され、第1層間絶縁膜12に覆われている。ソース配線Sは、第1層間絶縁膜12の上に形成され、第2層間絶縁膜13によって覆われている。ゲート絶縁膜11を介して半導体層PSと補助容量線Cとが対向する部分で補助容量CSが形成される。
【0056】
なお、図示しないゲート配線は、例えば、補助容量線Cと同層のゲート絶縁膜11と第1層間絶縁膜12との間に配置されている。コンタクト電極ECは、例えばソース配線Sと同層の第1層間絶縁膜12と第2層間絶縁膜13との間に配置されている。
【0057】
画素電極PEおよびシールド層SLDは、第2層間絶縁膜13の上に形成されている。画素電極PEは、隣接するソース配線Sのそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。シールド層SLDはソース配線Sと対向して配置されている。
【0058】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEなどを覆い、第2層間絶縁膜13の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0059】
なお、アレイ基板ARは、さらに、共通電極CEの一部を備えていても良い。
【0060】
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、シールド層CSL、第2配向膜AL2などを備えている。
【0061】
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていても良い。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
【0062】
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタCFRは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタCFBは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタCFGは、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
【0063】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
【0064】
共通電極CE及びシールド層CSLは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。共通電極CEと画素電極PEとの第3方向Zに沿った間隔は略一定である。第3方向Zとは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向、あるいは、液晶表示パネルLPNの法線方向である。
【0065】
なお、主画素電極PAに挟まれたソース配線Sと対向するようにシールド層CSLを配置することにより、第1方向Xに隣接する画素PX同士が互いに電界の影響を受けることを抑制することができ、表示品位を改善することができる。また、シールド層CSLは、設計に応じて省略してもよい。
【0066】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、アクティブエリアACTの略全体に亘って延在している。第2配向膜AL2は、共通電極CE及びオーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0067】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)がなされている。第1配向膜AL1が液晶分子を初期配向させる第1配向処理方向PD1、及び、第2配向膜AL2が液晶分子を初期配向させる第2配向処理方向PD2は、互いに平行であって、互いに逆向きあるいは同じ向きである。例えば、これらの第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、
図2に示したように、第2方向Yと略平行であって、同じ向きである。
【0068】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。また、液晶層の厚みであるセルギャップは、主画素電極PAと主共通電極CAとの間隔よりも小さい。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、アクティブエリアACTの外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
【0069】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。液晶層LQは、例えば、誘電率異方性が正(ポジ型)の液晶材料によって構成されている。
【0070】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライト4と対向する側に位置しており、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)AX1を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
【0071】
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)AX2を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
【0072】
第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1と、第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係(クロスニコル)にある。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向つまり第1配向処理方向PD1あるいは第2配向処理方向PD2と平行または直交するように配置されている。初期配向方向が第2方向Yと平行である場合、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Xと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
【0073】
図2において、(a)で示した例では、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0074】
また、
図2において、(b)で示した例では、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0075】
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について、図面を参照しながら説明する。
【0076】
すなわち、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成されていない状態(OFF時)では、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の第1配向処理方向PD1及び第2配向膜AL2の第2配向処理方向PD2を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
【0077】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、プレチルトしている場合が多い。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0078】
ここでは、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、ともに第2方向Yと略平行な方向である。OFF時においては、液晶分子LMは、
図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0079】
図示した例のように、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が平行且つ同じ向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、液晶層LQの中間部付近で略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向し、ここを境界として第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0080】
ここで、第1配向膜AL1を第1配向処理方向PD1に配向処理した結果、第1配向膜AL1の近傍における液晶分子LMは第1配向処理方向PD1に初期配向され、第2配向膜AL2を第2配向処理方向PD2に配向処理した結果、第2配向膜AL2の近傍における液晶分子LMは第2配向処理方向PD2に初期配向される。そして、第1配向処理方向PD1と第2配向処理方向PD2は互いに平行で且つ同じ向きである場合には、上述のように液晶分子LMはスプレイ配向になり、上記したように液晶層LQの中間部を境界として、アレイ基板AR上の第1配向膜AL1の近傍での液晶分子LMの配向と対向基板CT上の第2配向膜AL2の近傍での液晶分子LMの配向は、上下で対称となる。このため、基板の法線方向から傾いた方向においても光学的に補償される。したがって、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行、且つ、同じ向きである場合には、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができ、表示品位を向上することが可能となる。
【0081】
なお、第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2が互いに平行且つ逆向きである場合、液晶層LQの断面において、液晶分子LMは、第1配向膜AL1の近傍、第2配向膜AL2の近傍、及び、液晶層LQの中間部において略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0082】
バックライト4からのバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0083】
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差(あるいは電界)が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0084】
図2に示した例では、第2画素電極PE2と主共通電極CAとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。第1画素電極PE1と主共通電極CAとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
【0085】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEと重なる位置を境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
【0086】
ON時には、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライト光は、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライト光は、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0087】
OFF状態では、液晶分子LMは、第2方向Yに略平行な方向に初期配向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が形成されたON状態では、液晶分子LMのダイレクタ(あるいは液晶分子LMの長軸方向)が、X−Y平面内で、第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1及び第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2に対して概ね45°ずれた状態となったときに、液晶の光学的な変調率が最も高くなる(つまり、開口部APでの透過率が最大となる)。
【0088】
ON状態となったとき、主共通電極CAと第2画素PX2の画素電極PEとの間の液晶分子LMのダイレクタはX−Y平面内で45°−225°の方位と略平行となり、主共通電極CAと第1画素電極PEとの間の液晶分子LMのダイレクタはX−Y平面内で135°−315°の方位と略平行となり、ピーク透過率が得られる。このとき、一画素あたりの透過率分布に着目すると、画素電極PE上及び共通電極CE上においては透過率が略ゼロとなる一方で、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙では、略全域に亘って高い透過率が得られる。
【0089】
上記液晶表示パネルLPNの動作において、ソース配線S、ゲート配線Gに供給される電位の影響により液晶の配向が乱れる場合がある。特に、画素電極PEがソース配線Sと略平行に配置される場合、ソース配線Sからの漏れ電界により、画素電極PEの電位と共通電極CEの電位とにより決定される所望の液晶配向状態から、液晶の配向が乱れてクロストークなどの表示品位低下を招くことがある。
【0090】
例えば液晶を駆動する画素極性反転方式として、1行1列ごとに画素の極性を反転させる1H1V反転駆動方式(ドット反転駆動方式)や、列単位で画素の極性を反転させるカラム反転駆動方式などがある。
【0091】
1H1V反転駆動の場合、1行ごとにソース配線Sの極性が反転するため、ソース配線Sからの漏れ電界が発生したとしても液晶の応答が追随せず、漏れ電界の影響は比較的小さくなる。一方、カラム反転駆動の場合、1フレーム期間でソース配線Sの極性が同じになるため極性反転が少なく低消費電力に有効であるが、例えばフレーム周波数60Hzの場合、1フレームが16.7msであり、ソース配線Sからの漏れ電界により液晶が十分応答する。そのため、カラム反転駆動方式を採用した液晶表示パネルでは、縦クロストークが顕在化する可能性があった。
【0092】
クロストークを改善するためにソース配線S上に共通電極CEと同電位のシールド層を配置することも可能である。しかしながら、シールド層上は透過率に寄与しない領域となるため、所定の透過率を維持する場合には十分な大きさのシールド層を配置することが困難となる。そこで、本実施形態では、透過率の低下を回避するとともにクロストークの改善を実現する液晶表示装置を提供する。
【0093】
例えば
図2に示す第1画素PX1と第2画素PX2との画素電位が保持される期間において、第1画素PX1の主画素電極PAに印加される電圧の極性が正極性であり、第2画素PX2の主画素電極PAに印加される電圧の極性が負極性であり、ソース配線S2に印加される電圧が負極性であるとする。
【0094】
このとき、第1画素PX1では主画素電極PAとソース配線S2との電位差が比較的大きくなるため、第1画素PX1の主画素電極PAと主共通電極CAとの間に生じる電界は、ソース配線S2からの漏れ電界の影響を受けて液晶の配向が乱れることがある。
【0095】
一方、第2画素PX2では主画素電極PAとソース配線S2との電位差が比較的小さくなるため、第2画素PX2の主画素電極PAと主共通電極CAとの間に生じる電界へのソース配線S2からの漏れ電界の影響が抑制されて、液晶の配向が乱れることが回避される。
【0096】
図4は、中間調の画面の中央に白色の窓WWを表示するときにソース配線の電位波形の一例を示す図である。ここでは、カラム反転駆動方式を採用した液晶表示パネルPNLにおいて、第1方向Xに並んで配置された2本のソース配線Sの電位波形の一例を示している。
図5は、中間調の画面の中央に白色の窓WWを表示した一例を示す図である。
ソース配線Sk、Sk+1(kは正の整数)が白色の窓WWを含む列に配置される場合、N番目のフレーム期間において、最初の期間t1においてソース配線Skには共通電極電位Vcom(例えば0V)に対して正極性の中間調表示に対応する電圧(例えば2V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して負極性の中間調表示に対応する電圧(例えば−2V)が印加される。この期間t1において、白色の窓WWの上部(画素P1)に中間調の信号が書き込まれる。
【0097】
続く期間t2において、ソース配線Skには共通電極電位Vcomに対して正極性の白表示に対応する電圧(例えば4V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して負極性の白表示に対応する電圧(例えば−4V)が印加される。この期間t2において、白色の窓WW部分に白表示に対応する信号が書き込まれる。
【0098】
続く期間t3において、ソース配線Skには共通電極電位Vcomに対して正極性の中間調表示に対応する電圧(例えば2V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して負極性の中間調表示に対応する電圧(例えば−2V)が印加される。この期間t3において、白色の窓WWの下部(画素P2)に中間調の信号が書き込まれる。
【0099】
次にN+1番目のフレーム期間では、ソース配線Skに印加される電圧とソース配線Sk+1に印加される電圧との極性が逆になる。すなわち、N+1番目のフレーム期間の最初の期間t4において、ソース配線Skには共通電極電位Vcomに対して負極性の中間調表示に対応する電圧(例えば−2V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して正極性の中間調表示に対応する電圧(例えば2V)が印加される。この期間t4において、白色の窓WWの上部(画素P1)に中間調の信号が書き込まれる。
【0100】
続く期間t5において、ソース配線Skには共通電極電位Vcomに対して負極性の白色表示に対応した電圧(例えば−4V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して正極性の白表示に対応する電圧(例えば4V)が印加される。この期間t5において、白色の窓WW部分に白表示に対応する信号が書き込まれる。
【0101】
続く期間t6において、ソース配線Skには共通電極電位Vcomに対して負極性の中間調表示に対応する電圧(例えば−2V)が印加され、ソース配線Sk+1には共通電極電位Vcomに対して負極性の中間調表示に対応する電圧(例えば−2V)が印加される。この期間t6において、白色の窓WWの下部(画素P2)に中間調の信号が書き込まれる。
【0102】
このとき、ソース配線Skとソース配線Sk+1との間に配置された第1画素PX1では、主画素電極PAはソース配線Sk側に配置され、ソース配線Sk+1と対向する位置に配置された主共通電極CAと主画素電極PAとの間の電界により液晶の配向が制御される。
【0103】
この第1画素PX1が白色の窓WWの上部に位置する場合、画素電極PEに供給される中間調の信号は、ソース配線Skと同じ極性であり、ソース配線Sk+1と逆の極性である。したがって、主画素電極PAとソース配線Sk+1との電位差が比較的大きくなり、主画素電極PAと主共通電極CAとの間の電界はソース配線Sk+1からの漏れ電界による影響を受ける。その結果、白色の窓WWの上部に位置する第1画素PX1は所望の中間調よりも明るい表示となる。
【0104】
一方、この第1画素PX1が白色の窓WWの下部に位置する場合、ソース配線Skとソース配線Sk+1との極性が次のフレーム期間で反転するため、画素電極PEに供給される中間調の信号は、ソース配線Sk+1と同じ極性であり、ソース配線Skと逆の極性となる期間が比較的長くなる。したがって、主画素電極PAとソース配線Sk+1との電位差が比較的小さくなり、主画素電極PAと主共通電極CAとの間の電界に対するソース配線Sk+1からの漏れ電界による影響が抑制される。その結果、白色の窓WWの下部に位置する第1画素PX1は所望の中間調表示となる。
【0105】
また、ソース配線Skとソース配線Sk+1との間に配置された第2画素PX2では、主画素電極PAはソース配線Sk+1側に配置され、ソース配線Skと対向する位置に配置された主共通電極CAと主画素電極PAとの間に生じる電界により液晶の配向が制御される。
【0106】
この第2画素PX2が白色の窓WWの上部に位置する場合、画素電極PEに供給される中間調の信号は、ソース配線Skと同じ極性であり、ソース配線Sk+1と逆の極性である。したがって、主画素電極PAとソース配線Skとの電位差が比較的小さくなり、主画素電極PAと主共通電極CAとの間の電界に対するソース配線Skからの漏れ電界による影響が抑制される。その結果、白色の窓WWの下部に位置する第2画素PX2は所望の中間調表示となる。
【0107】
一方、この第1画素PX1が白色の窓WWの下部に位置する場合、ソース配線Skとソース配線Sk+1との極性が次のフレーム期間で反転するため、画素電極PEに供給される中間調の信号は、ソース配線Sk+1と同じ極性であり、ソース配線Skと逆の極性となる期間が比較的長くなる。したがって、主画素電極PAとソース配線Skとの電位差が比較的大きくなり、主画素電極PAと主共通電極CAとの間の電界はソース配線Skからの漏れ電界による影響を受ける。その結果、白色の窓WWの下部に位置する第2画素PX1は所望の中間調よりも明るい表示となる。
【0108】
なお、第2方向Yにおける中央部分に白色の窓WWがない列のソース配線Sには、各フレーム期間において一定レベルの中間調表示に対応する電圧が印加され、フレーム毎に極性が反転することになる。この列に位置する画素PXでは、白色の窓WWがある列に比べて主画素電極PAとソース配線Sとの電位差が大きくならず、液晶の配向乱れも顕著ではない。
【0109】
すなわち、各画素PXにおいて、開口部APの第1方向Xにおける両端に位置する主画素電極PAとソース配線Sとの電位差が小さくなるように主画素電極PAの位置を決定することにより、液晶の配向が乱れることを回避して、クロストークの発生を抑制することができる。また、ソース配線Sからの漏れ電界の影響が小さくなるため、シールド層SLDを大きくする必要もなく、開口率の低下も回避することができる。
【0110】
なお、シールド層SLDが配置されていないソース配線Sの上層には、主画素電極PAが配置されるため、主画素電極PAによりソース配線Sからの漏れ電界を遮ることができる。
【0111】
図6は、アクティブエリアACTにおける第1画素PX1と第2画素PX2との配置の一例を示す図である。なお、
図6には説明に必要なアレイ基板10の構成のみを概略的に記載し、他の構成は省略している。
【0112】
上述したように、主画素電極PAとソース配線Sとの電位差の大小は、画素PXの走査方向に対するアクティブエリアACTにおける位置や表示画像により変わる。そこで、本実施形態では、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿って第1画素PX1と第2画素PX2とを交互に並べて配置し、第2方向Yに沿って第1画素PX1と第2画素PX2とを交互に並べて配置している。
【0113】
このように第1画素PX1と第2画素PX2とを配置することにより、例えば
図5に示す白色の窓WWの上部および下部に位置する場合であっても、明るく表示される画素(「明」と記載した画素)は第1画素PX1と第2画素PX2とのいずれか一方であり、他方は所望の表示となる画素(「―」と記載した画素)である。さらに、液晶の配向が乱れる画素と所望の表示となる画素とが第1方向Xおよび第2方向Yに沿って交互に配置されるため、輝線や暗線が視認されることがなく表示品位の劣化が抑制される。
【0114】
すなわち、このような本実施形態によれば、透過率の低下を抑制するとともにクロストークの発生を回避することが可能となる。これにより、表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態によれば、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。
【0116】
また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更することで、透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
【0117】
また、本実施形態によれば、ブラックマトリクスBMと重なる領域での透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0118】
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの合わせずれが生じた際に、画素電極PEとの共通電極CEとの水平電極間距離に差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての第1画素PX1で共通であり全ての第2画素PX2で共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態によれば、主共通電極CAは、それぞれソース配線Sと対向している。特に、主共通電極CAがそれぞれソース配線Sの直上に配置されている場合には、主共通電極CAがソース配線Sよりも画素電極PE側に配置された場合と比較して、開口部APを拡大することができ、画素PXの透過率を向上することが可能となる。
【0120】
また、主共通電極CAをそれぞれソース配線Sの直上に配置することによって、画素電極PEと主共通電極CAとの間の電極間距離を拡大することが可能となり、より水平に近い横電界を形成することが可能となる。このため、従来の構成であるIPSモード等の利点である広視野角化も維持することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。
【0122】
なお、上記の例では、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、
図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
【0123】
また、上記の例では、液晶層LQが正(ポジ型)の誘電率異方性を有する液晶材料によって構成された場合について説明したが、液晶層LQは、誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料によって構成されていても良い。但し、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記したなす角度θ1が45°〜90°、望ましくは70°以上とすることが好ましい。
【0124】
なお、ON時においても、画素電極PE上あるいは共通電極CE上では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び共通電極CEがITOなどの光透過性の導電材料によって形成されていても、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び共通電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀、銅などの導電材料を用いて形成しても良い。
【0125】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の劣化を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0126】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]ゲート配線と、前記ゲート配線と交差するソース配線と、前記ゲート配線間および前記ソース配線間に配置され、前記ゲート配線が延びる方向に並んで配置されるとともに、前記ソース配線と略平行に延びた主画素電極を備えた画素電極と、を備えた第1基板と、
前記ソース配線と略平行に延びた共通電極を備えた第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記画素電極は、前記主画素電極が前記ゲート配線の延びる方向の一方側に配置された前記ソース配線に沿って配置された第1画素電極と、前記ゲート配線の延びる方向の他方側の前記ソース配線に沿って配置された第2画素電極と、を備え、
前記共通電極は、前記ゲート配線が延びる方向において前記第1画素電極の他方側に配置されるとともに前記第2画素電極の一方側に配置された液晶表示装置。
[2]前記第1画素電極と前記第2画素電極とは、前記ゲート配線が延びる方向に交互に並んで配置されるとともに、前記ソース配線が延びる方向に交互に並んで配置される[1]記載の液晶表示装置。
[3]前記第1基板は、前記画素電極に対して前記ゲート配線が延びる方向の一方側に配置された前記ソース配線と前記画素電極との電気的接続を切替えるスイッチング素子と、前記ゲート配線と略平行に延びるとともに前記主画素電極および前記ソース配線に沿って分岐した補助容量線と、をさらに備え、
前記スイッチング素子は、分岐した前記補助容量線と絶縁層を介して重なるように延びた半導体層を備える[1]又は[2]記載の液晶表示装置。
[4]前記共通電極は、前記ソース配線と対向するように配置されている[1]乃至[3]のいずれか1記載の液晶表示装置。
[5]前記第1基板は、前記第1画素電極の他方側であって前記第2画素電極の一方側に配置された前記ソース配線の部分の上層に配置されたシールド層を更に備える[1]乃至[4]のいずれか1記載の液晶表示装置。
[6]前記第2基板は、前記第1画素電極の一方側であって前記第2画素電極の他方側に配置された前記ソース配線の部分と対向する第2シールド層を更に備える[1]乃至[5]のいずれか1記載の液晶表示装置。
[7]前記ゲート配線および前記ソース配線を駆動する駆動回路を更に備え、
前記駆動回路は、1フレーム期間において前記ゲート配線が延びる方向に隣接した前記ソース配線に異なる極性の電圧を印加するとともに、フレーム期間単位で前記ソース配線に印加する電圧の極性を反転する[1]乃至[6]のいずれか1記載の液晶表示装置。