特許第5883791号(P5883791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883791薬物送達デバイス、薬物送達デバイス用のアセンブリ及び薬物送達デバイスをセットアップする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883791
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス、薬物送達デバイス用のアセンブリ及び薬物送達デバイスをセットアップする方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20160301BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   A61M5/28
   A61M5/315 550Z
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-531387(P2012-531387)
(86)(22)【出願日】2010年9月29日
(65)【公表番号】特表2013-506457(P2013-506457A)
(43)【公表日】2013年2月28日
(86)【国際出願番号】EP2010064410
(87)【国際公開番号】WO2011039219
(87)【国際公開日】20110407
【審査請求日】2013年9月19日
(31)【優先権主張番号】09171751.2
(32)【優先日】2009年9月30日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・アン・マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ビージー
(72)【発明者】
【氏名】ギャレン・コーヨムジャン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・イアン・ベイリー
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−523472(JP,A)
【文献】 特表2004−535255(JP,A)
【文献】 特表2005−532855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの明確なモード、プライミング前状態から始動するプライミングモード、及びプライミング後状態において作動する投与モード、において作動するように配置され、軸の方向に相隔たる遠位端(11)及び近位端(12)を有する、アセンブリを含んでなる、薬物送達デバイスであって、
−用量部材(2);
−本体(4);
−スリーブの形をした作動部材(3);及び
−薬物を含有する組み立てカートリッジ(9)の栓(8)上に作用するように構成されるピストンロッド(7);
を、含んでなり、
ここで、
−カートリッジ(9)またはカートリッジ(9)を含むカートリッジホルダ(14)が本体(4)に可逆的又は不可逆的に固定され、
−プライミング前状態において、作動部材(3)が、作動部材(3)の動きが用量部材(2)の動きを引き起こすように、使用者によって動かされ、そして用量部材(2)の動きがピストンロッド(7)の動きを引き起こすように構成され、そしてプライミング前状態において、作動部材(3)が本体(4)に隣接し、そして本体(4)に対して可動であり、
ここで
−プライミング後の状態において、用量部材(2)が、薬物送達デバイスの設定及び投与動作を行なうために、作動部材(3)の動きを引き起こすことなく、遠位方向及び近位方向に使用者によって動かされるように構成され、そしてプライミング後の状態において、作動部材(3)が少なくとも軸の方向に本体(4)に固定される、
上記薬物送達デバイス
【請求項2】
プライミング前状態において、作動部材(3)が第一の係合手段(15)によって用量部材(2)と係合され、ここで第一の係合手段(15)は、用量部材(2)及び作動部材
(3)が、作動部材(3)の動きによって係合解除されるように配置される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
プライミング前の状態において、用量部材(2)が、動きの如何なる方向にも作動部材(3)に固定される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
プライミング前の状態において、作動部材(3)が、相互連結手段によって用量部材(2)に固定され、ここで相互連結手段が軸の方向とは異なる空間方向に伸びており、そして作動部材(3)の動きによって、力が相互連結手段上にかけられ、その際に、相互連結手段と作動部材(3)及び用量部材(2)の少なくとも一つとの係合が解放され、そして用量部材(2)及び作動部材(3)が係合解除される、請求項1〜3の何れか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
作動部材(3)が第二の係合手段(16)によって本体(4)に係合される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
プライミング前状態において、第二の係合手段(16)が本体(4)に対する作動部材(3)の回転又は螺旋運動を可能にするように備え付けられる、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
駆動部品(6)を更に含んでなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の薬物送達デバイスであって、駆動部品(6)が、遠位方向へのピストンロッド(7)の動きを引き起こすように備え付けられ、ここで、
駆動部品(6)が、プライミング前状態において、作動部材(3)の動きが駆動部品(6)の第一の動きを引き起こすように構成され、そしてプライミング後状態において、駆動部品(6)が、使用者による用量部材(2)の如何なる動きによっても駆動部品(6)の第二の動きを引き起こすように、用量部材(2)に連結される、上記薬物送達デバイス。
【請求項8】
用量部材(2)が弾力エレメント(5)に係合され、ここで弾力エレメント(5)は、用量部材(2)及び作動部材(3)が作動部材(3)の運動中に係合解除されるとき、用量部材(2)と駆動部品(6)または本体(4)の間に直接配置され、そして用量部材(2)を作動部材(3)に対して突出させるように構成される、請求項1〜7の何れか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
用量部材(2)がその横の部分に作動領域(20)を含み、ここでプライミング後状態において、設定動作及び投与動作を行なうために、作動領域(20)が用量部材(2)の作動のために使用され、ここで、
プライミング前状態において、作動領域(20)が少なくとも部分的にアセンブリの構成部材によって覆われる、請求項1〜8の何れか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
作動部材(3)がスリーブである、請求項1〜9の何れか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
投与モードにおいて、用量部材(2)は、薬物送達デバイス中に含まれるカートリッジ(9)中に含有される薬物の用量を設定することを可能にするために、軸の近位方向に可動であり、そして用量部材(2)は、その後、用量を投与することを可能にするために、本体(4)に対して軸の遠位方向に可動である、請求項1〜10の何れか一項に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの明確なモード、プライミングモード及び投与モード、において作動するように構成される薬物送達デバイス用のアセンブリに関し、そしてこのアセンブリを含む薬物送達デバイスに更に関する。本発明は更に、薬物送達デバイス、特に、前述の薬物送達デバイスをセットアップする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスは、一般に、医薬品、特に、液体医薬品、例えば、インスリン又はヘパリン、そしてまた、患者による自己投与のための他の医薬品の投与のために使用されることが知られている。しばしば、薬物送達デバイスは、液体医薬品の事前に設定された用量を投与するペン型の注射器である。
【0003】
薬物送達デバイスの最初の使用の前に、薬物送達デバイスは通常、プライミングされなければならない。プライミング工程中に、部品の間で薬物送達デバイス中に含まれるギャップ、特に、薬物送達デバイス中に含有される薬物の投与のための機構において含まれる部品の間のギャップ(例えば、ピストンロッドとカートリッジ栓の間のギャップ)が閉じられ得る。これらのギャップは、デバイスの製造を通して生じ得る全ての組み立て部分に関する許容誤差、及び組み立てデバイスにおいて軸方向に栓を事前装填しないという要求事項の結果であり得る。通常、薬物送達デバイスの機構において含まれる部品の間の全てのギャップ、特に、ピストンロッドとカートリッジ栓の間のギャップは閉じられる。しかしながら、或る実施態様において、ギャップを或る程度に減少させることも可能であり得る。プライミング工程を実施した後、デバイスは、使用者がここで、最初に投与された用量を含む、意図された用量を正確に投与できるように、プライミングされた状態にある。
【0004】
そのような薬物送達デバイスの問題は、そのようなデバイスに慣れていない薬物送達デバイスの使用者が、最初の用量を投与する前に、デバイスをプライミングすることに失敗し得る又は不正確にプライミングし得ることである。もし、これが生じると、使用者は最初の用量においてプライミング流体を注射し得るか、または薬物の正確な容量が送達され得ない。特に、しばしば、使用者は用量の意図した注射の前に、自らがデバイスをプライミングし終わっているか否かを知らない。通常、不慣れな使用者は、デバイスを正確に使用する前に、自らがプライミング工程を実施しなければならないかどうかを知ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、使用者に対してより優しい薬物送達デバイスにおいて使用するためのアセンブリを供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の主題によって達成され得る。更なる特長は、従属請求項及び記述の主題である。
【発明の効果】
【0007】
第一の態様によれば、薬物送達デバイス用のアセンブリが備え付けられる。アセンブリは、二つの明確なモード、プライミング前状態から始動するプライミングモード、及びプライミング後状態において作動する投与モード、において作動するように配置される。ア
センブリは、軸の方向に相隔たる遠位端及び近位端を有する。この態様によるアセンブリは、用量部材、作動部材、及び薬物を含有する組み立てカートリッジの栓上に作用するように構成されるピストンロッドを含む。プライミング前状態において、作動部材は、作動部材の動きによって用量部材の動きが引き起こされるべく、使用者によって動かされ、用量部材の動きによってピストンロッドの動きが引き起こされる。プライミング後状態において、用量部材は、薬物送達デバイスの設定動作及び投与動作を実施するべく、作動部材の動きを引き起こすことなく、使用者によって動かされるように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によるアセンブリ、及びプライミング機構、並びに設定機構及び投与機構に各々含まれる部品によって、投与モードにおいて実施されるべき動作と比べて、プライミング工程において使用者によって実施されるべき区別された動作が可能になる。従って、使用者の注意は、薬物送達デバイスをプライミングする必要性に向けられ、そして使用者は、用量の設定及び投与の前の認識できる異なる動作を通して、デバイスをプライミングすることを強いられる。これによって、使用者がプライミング流体を注射することを思い留めさせることによって、そして、プライミング流体と患者のために意図された薬剤の用量とを区別することによって、プライミング工程に関連するリスクが軽減される。特に、プライミングするために要求される代替の操作は、意図的に着手することが困難であり、一方、デバイスは、例えば、両手による操作が要求されるであろうとき、本体中に挿入される。用量部材が可動であるか、特に、作動部材を動かすことなく、デバイスの遠位端と近位端の間で軸方向に可動であるか否かを定めると、使用者は、薬物送達デバイスがプライミングされた状態にあるか、またはプライミングされていない状態にあるかを容易に決定できる。
【0009】
本発明による「プライミングモード」は、プライミング工程が実行される最中のモードを意味するものとする。通常、プライミングモード中には、設定動作も投与動作も不可能である。プライミングモードはプライミング前状態から始まり、そしてプライミング後状態で終わる。プライミングモードの完了時点で(つまり、プライミング後状態において)、アセンブリ又は薬物送達デバイスは、プライミング工程が完了したモードそして設定動作及び投与動作が実行され得るモードにもたらされている。
【0010】
従って、本発明による用語「投与モード」は、通常、プライミングモードの際に直接、追随されるモード、つまり、プライミング後状態で投与モードが操作されるモードを意味するものとする。
【0011】
デバイス、又はデバイスの部品若しくはアセンブリの「遠位端」は、デバイスの投与端に最も近い端部を意味するものとする。デバイス、又はデバイスのアセンブリ若しくは部品の「近位端」は、デバイスの投与端から最も遠くに離れている端部を意味するものとする。
【0012】
本発明による「軸」は、近位端での点及び遠位端での点によって定義される軸を意味するものとする。これらの点は、例えば、用量部材の近位面の中心、及びカートリッジの遠位面、特に、針アセンブリを固定するためのネジ山を含むカートリッジ部分の遠位面の中心である。特に、そしてより詳細には、軸は、軸の交点及びデバイス又はアセンブリの直角の交叉面が、交叉面の幾何学的な中心又はこの中心の近くに置かれるように、デバイス又はアセンブリを通して近位端から遠位端に伸びる。
【0013】
本発明による用語「用量部材」は、投与モードにおいて、そして特に、設定動作及び投与動作を立ち上げる、薬物送達デバイス内での部品の軸方向の動き(つまり、近位方向又は遠位方向への前述の軸に沿った動き)を生み出すように、使用者によって操作されるように設計された如何なる部品をも意味するものとする。
【0014】
本発明による用語「作動部材」は、好ましくは、プライミングモード中に実質的に又は専用に使用され、そして通常、投与モード中に、設定動作及び投与動作において含まれない部品を意味するものとする。通常、作動部材は、プライミング工程を始めるために使用者によって操作されるであろう。作動部材は単体の物又は複数部品構造でもあり得て、そしてプライミング前状態においてそしてプライミングモードにおいて、そして通常、投与モードにおいても、使用者に対して完全に又は部分的に見ることができる。作動部材は、(遠位端と近位端の間で)軸が伸びる領域、つまり、アセンブリ又は薬物送達デバイスの中間部分(中央)に配置され得る。または、作動部材は薬物送達デバイス又はアセンブリの外面、つまり、横部分に配置され得て、そして前述の点の両方の間、つまり、中間位置にも配置され得る。作動部材はアセンブリ又は薬物送達デバイスの近位端を完全に覆い得る。しかしながら、通常、用量部材の近位面は使用者にとって、投与モードにおいてのみならずプライミング前状態及びプライミングモードにおいても見ることができるであろう。殆どの実施態様において、用量部材の近位端は薬物送達デバイスの近位端と等しくさえある。作動部材の動きを助けるために、プライミング前状態において作動部材の見ることができる表面はグリップエレメント、例えば、構造化された表面を含み得る。これらのグリップエレメントは投与モード中に見え得るか又は見えない。もし、それらのグリップエレメントが投与モード中に隠されるならば、特に、もし、作動部材が薬物送達デバイス内の真ん中又は中間の位置に配置されるならば、使用者は、プライミング工程が既に実行されたことを容易に理解できる。更に、グリップエレメントの、例えば、本体上に配置された対応するエレメント、又はハウジングの如何なる他の部品に対する非整列が、プライミング工程がまだ実施されていないことの指針として使用され得る。
【0015】
本発明による用語「ピストンロッド」は、動き、特に、軸方向の動きを、薬物送達デバイスを通して移すように設計された部品を意味するものとする。好ましくは、ピストンロッドは、注射された製品、特に、液体医薬品を投与する目的で、動きを用量部材からカートリッジ中に留められる栓に移す。通常、ピストンロッドは、プライミング流体を投与する目的でも動きを移す。ピストンロッドの動きは、軸方向のみへの動き(つまり、前に定義された軸の方向への動き)であり得るが;しかしながら、軸方向へのピストンロッドの動きはその縦軸の周りのピストンロッドの回転も含む。ピストンロッドは可撓性であり得るか又はあり得ないし、そして単純なロッド、親ネジ、ラックピニオンシステム、ウオーム歯車システムなどであり得る。ピストンロッドは円形の又は非円形の断面を有し得る。それは当業者に公知の如何なる適する材料でも作られ得て、そして単体の物又は複数部品構造でもあり得る。実施態様において、ピストンロッドは、横に間隔を置いて配置されるリブ及び/又はぎざぎざの一連の一つ又はそれ以上のセットを含
【0016】
アセンブリ又は薬物送達デバイス中に含まれるカートリッジは、投与されるべき医薬品の多くの用量を保持する。カートリッジは栓を留め、ピストンロッドの遠位方向への動きの際に、ピストンロッドは通常、栓に寄りかかり、そして薬物の用量の投与を引き起こす。
【0017】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0018】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0019】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0020】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0021】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
【0022】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0023】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0024】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0025】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は
互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0026】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0027】
実施態様によると、プライミング前状態において、作動部材は、第一の係合手段によって用量部材と係合される。第一の係合手段は、用量部材及び作動部材が(プライミングモード中に)作動部材の動きによって係合解除されるように配置される。
【0028】
第一の係合手段は、通常、プライミング工程中の、用量部材に対する作動部材の動きの方向が、設定動作中及び投与動作中の用量部材の動きの方向と異なるように配置される。もし、例えば、設定動作中及び投与動作中の用量部材の動きが軸の方向の動きであるならば、プライミング工程中の、用量部材に対する作動部材の動きも、軸の周りの作動部材の回転又は専ら軸の周りの回転を含む。もし、薬物を設定しそして投与するために用量部材が投与モード中に専ら回転されるならば、プライミング工程中の、用量部材に対する作動部材の動きは、軸の方向の動きを含み、又は専ら軸の方向の動きである。
【0029】
この実施態様による係合手段は、通常、作動部材の動きの際の用量部材の動きを直接、引き起こすように構成される。言い換えれば、用量部材及び作動部材は、もし、プライミング工程中の用量部材の動きが軸の方向の動きであるならば、係合手段によって、軸の方向への用量部材及び作動部材の動きが引き起こされるように、そして軸の周りの作動部材の回転が追加的に引き起こされるが、用量部材の回転が引き起こされないように構成され;従って、第一の係合手段は、作動部材及び用量部材が、作動部材及び用量部材の係合解除が起こる前に、前の例においては軸の方向に、「しばらくの間、一緒に走行する(travel)」ように構成される。従って、通常、第一の係合手段は(又は、第一の係合手段及び以下に述べる第二の係合手段の組合せは)、第一の方向への用量部材及び作動部材の共同の動き、及び第二の方向への作動部材のみの動きを引き起こすように構成され、ここで係合手段は、作動部材の第二の方向への或る距離だけの動きの際にのみ作動部材及び用量部材の係合解除が可能であるように更に構成される。
【0030】
第一の係合手段は、作動部材に面する5の表面において、用量部材又は溝(groove)に面する作動部材の表面において溝を含み得る。対応する部分は、溝と相互作用するために、棒又はピボット又はそれに類似する何かを含有し得る。しかしながら、第一の係合手段は、溝又は類似するエレメント、及びこの溝又は溝状のエレメント内に噛み合っている対応する部分のエレメントである表面エレメントに制限されるものではなく、第一の係合手段は、作動部材及び用量部材の面する表面上の切りこみ(rabbet)、又はその部材などの面する表面に置かれていない案内エレメントも含み得る。
【0031】
上述の実施態様の代替である実施態様において、用量部材は、プライミング前状態において、動きの如何なる方向にも作動部材に固定される。従って、プライミング工程の開始時期に、作動部材の動きによって、正確に同じ方向への用量部材の動きが引き起こされる、つまり、もし、その動きが回転及び遠位軸方向への動きを含むならば、両方の部材、作動部材及び用量部材、はこの動きを実行し:もし、その動きが遠位軸方向のみへの動きであれば、両方のエレメントは遠位軸方向のみへの動きを実行する。次いで、プライミング工程中に、用量部材から作動部材を解放する機構が始められ、その際、その後の設定動作及び投与動作において、用量部材は、作動部材をこの方向に動かすことなく、軸の方向に可動である。
【0032】
実施態様において、前の段落において述べられた機構は、作動部材を用量部材に固定している相互連結手段を含む。通常、これらの相互連結手段は、軸の方向とは異なる空間方向に伸びる。プライミング工程中に、その上で作動部材及び用量部材の少なくとも一つとの相互連結手段の係合が解放され、そしてその上で用量部材及び作動部材が係合解除される、(例えば、コッターピン、ボルト又は類似物であり得る)これらの相互連結手段の上に力がかけられ、そしてその際に、用量部材が作動部材から独立して可動である。力は、例えば、作動部材(及び用量部材)の動き、例えば、軸の方向の動きの際に、この部品が相互連結手段に近づきその後、接触し、そして最終的に相互連結手段の上に力をかけ、その結果、相互連結手段を動かし、そして作動部材及び用量部材の係合解除するように配置された薬物送達デバイスの部品から生じる。力をかける原因となった部品の部分は、ふくらみ(bulge)を含み得る。該部品は、例えば、薬物送達デバイスに含まれる本体であり得て、それは、薬物送達デバイスの内部部分、特に、デバイスの真ん中又は中間部分に配置される、例えば、駆動機能又はピストンロッドの一部であり得て、そして力をかけるだけの目的を果たすように設計された、そして薬物の用量の設定及び投与のための機構に関与しない部品でもあり得る。
【0033】
本発明のアセンブリは、(前の段落において既に述べられた通りの)本体を更に含み得る。本発明の更なる実施態様によれば、作動部材はこの本体に隣接し、そしてプライミング前状態において本体に対して可動である。
【0034】
通常、作動部材は、投与モード中に本体に固定され、又は、作動部材が、設定動作及び投与動作中に実行される用量部材の動きの方向とは異なる方向にのみ本体に対して可動であるように、投与モード中に本体と少なくとも係合される。殆どの実施態様において、用量部材は、設定動作及び投与動作中に軸に対して遠位方向及び近位方向に動かされるであろうし、従って、作動部材は少なくとも軸の方向に本体に固定されるが、次いで軸の周りの回転を実行し得る。
【0035】
少なくとも一つの方向への作動部材の本体への固定を可能にするために、本体及び作動部材は、その形が第一の係合手段に対して前述された通りに構成され得る第二の係合手段を含み得る。しかしながら、第二の係合手段も、プライミング工程中又はその終了時点で、作動部材及び本体の締め付けを可能にするように構成される。しかしながら、第二の係合手段の他に、上述の目的を果たす別のラッチ手段も存在し得る。
【0036】
実施態様において、第二の係合手段は、プライミング工程中に使用者にとって見ることができる特定の動きを実行することを作動部材に強いるように構成される。上述の通り、本体に対する作動部材のこの動きは、通常、用量部材に対する作動部材の動きとは異なる。従ってこの実施態様によれば、第二の係合手段は、やはり薬物送達デバイスの内部部品の動きをもたらして、最終的に、プライミング液の投与を引き起こす作動部材の動きを引き起こす原因となる。通常、これらの第二の係合手段も、第一の係合手段の係合解除、及び作動部材に対する用量部材の解放をもたらす方向への動きである、プライミング流体の投与を引き起こす動きと比べて異なる方向への作動部材の動きの原因となる。
【0037】
第二の係合手段は、例えば、プライミング前状態又はプライミングモード中、少なくともプライミング工程の開始時点において、本体に対する作動部材の回転又は螺旋の動きを可能にするように構成される。しかしながら、もし、プライミング液の投与を引き起こす用量部材の動き動きが軸の周りの回転であれば、第二の係合手段も、軸の方向のみへの、本体に対する作動部材の動きを可能にするように供され得る。
【0038】
更なる実施態様によれば、本発明のアセンブリは駆動機能を更に含む。駆動機能は、ピストンロッドの動き、特に、遠位方向への動きを引き起こすために備え付けられる。駆動機能は、プライミング前状態において、又はプライミング工程中に、(通常、用量部材の上に作用し、次いでそれが駆動機能の上に作用する)作動部材の動きによって駆動機能の動きが引き起こされるように構成される。駆動機能は、プライミング後状態において、駆動機能が用量部材に連結される、つまり、設定動作及び投与動作を実行するための使用者による用量部材の如何なる動きによっても駆動機能の動きが引き起こされるように更に構成される。
【0039】
本発明による用語「駆動機能」は、薬物送達デバイスのハウジングを通して/その中で働くように適合され、そして軸方向の動き又は時々薬物送達デバイスを通した/その中での回転も、好ましくは、用量部材からピストンロッドに、又は、プライミング工程中に、作動部材からピストンロッドにも移すように設計される如何なる部品をも意味するものとする。駆動機能は単体の物又は複数部品構造でもあり得る。実施態様において、駆動機能はピストンロッドと解放可能に係合される、つまり、駆動機能及びピストンロッドは、力又は動きが一つの方向にのみ移されるように相互作用する。
【0040】
実施態様において、駆動機能は少なくとも一つのラック、つまり、リブ又はぎざぎざ又は歯車形態の歯又は該機能の組合せの直線的な列を有する部品を含み得る。薬物送達デバイスは、駆動機能中には置かれないで、そしてラックに対応して駆動機能中に置かれる更なるラックを含み得る;この更なるラック、駆動機能中のラック又は両者は可撓性であるか又は一つ又はそれ以上の方向に、通常、一つの方向に可動である。しかしながら、更なるラックは、通常、薬物送達デバイスの本体又は薬物送達デバイスのハウジングの別の部品に固定され、さらにまた内部ハウジングの少なくとも一部である。
【0041】
本発明による用語「ハウジング」は、好ましくは、薬物送達デバイスの特定の部品の近位運動を防ぐための一方向性軸連結を有する如何なるハウジングをも意味するものとする。ハウジングは、薬物送達デバイス又はその機構の如何なる部品の安全で正確でそして快適な取り扱いを可能にするように設計され得る。通常、それは、液体、粉塵、ごみなどのような汚染物質への暴露を制限することによって、如何なる部品をも収容し、固定し、保護し、案内するように設計される。
【0042】
更に、それは薬物送達デバイスの如何なる部品とも係合されるように設計され得る。ハウジングは単体の物又は複数部品構造でもあり得る。前述の通り、本体はハウジングの部品であり;更なる部品はカートリッジホルダであり得て;作動部材も、もし、作動部材が薬物送達デバイスの横の部分において配置されるならば、通常、ハウジングの部品である。
【0043】
この実施態様によると、駆動機能は、通常、設定動作中に、動きの少なくとも一つの方向に、特に、用量部材の動きの方向に、用量部材に対して固定される。駆動機能はまた、投与モード中、動きの如何なる方向にも用量部材に固定され得る。
【0044】
プライミング前状態において、駆動機能は、作動部材の動きが駆動機能の動きに移されるように構成される。これは上で概略述べられた通り、駆動機能及び用量部材の相互作用のためである;しかしながら、特定の実施態様において、駆動機能及び作動部材の直接的な相互作用も可能であり得る。
【0045】
駆動機能及び用量部材の相互作用、又は用量部材への駆動機能の固定を可能にするために、第三の係合手段が供され得る。例えば、係合手段は、互いに面する用量部材及び駆動機能の表面の一つの上にふくらみ、及び他の部品の表面上に戻り止めを含み得る。もし駆動機能が作動部材と相互作用するならば、これら二つの部品の面する表面はしかるべく構成され得る。通常、プライミング工程中に、駆動機構に対する動き、例えば、近位方向への動きを実行することによって、用量部材は第三の係合手段によって駆動機能に固定されるであろう。例えば、第三の係合手段の二つの対応する部品は、駆動機構に対する用量部材の逆方向の動きがそれ以上不可能であるように相互作用し得る。
【0046】
更なる実施態様において、本発明によるアセンブリは弾力エレメントを更に含む。弾力エレメントは用量部材と係合され、そして通常、プライミング前状態で圧縮された状態にあり、そして通常、プライミング後状態で圧縮されていない状態にある。弾力エレメントは、プライミング工程中、作動部材の運動中に、用量部材及び作動部材が係合解除されるとき、用量部材が作動部材に対して突出させるように構成される。
【0047】
本発明による「弾力エレメント」は、好ましくは、圧縮された状態及び伸ばされた状態という異なる物質の状態にあり得るエレメントを意味するものとし、そして更にアセンブリの隣接する部品上に、少なくとも圧縮された状態又は伸ばされた状態の何れかにおいて力をかけ得る、特に、軸の方向に配置される隣接する部品上に力をかけ得るエレメントであり得る。弾力エレメントは如何なる材料でも、特に、如何なる金属材料でも作られ得る。弾力エレメントは、バネ、例えば、螺旋バネ及び片持ちバネ又は板バネに類似したバネであり得る;弾力エレメントは、用量部材を作動部材に対して突き出させるために使用できる、伸ばされた状態においてエネルギーの保存を可能にする弾性化合物も含み得る。
【0048】
通常、弾力エレメントはアセンブリの真ん中部分又は中間部分に配置される。特に、弾力エレメントは、完全に又は部分的に用量部材の内部に配置され得る、つまり、それは用量部材の近位端の内面から用量部材の遠位端に伸び得る。弾力エレメントは、通常、用量部材と駆動機能の間に直接、配置される;しかしながら、他の部品の間の配置、例えば、本体と用量部材の間の配置も可能である。通常、弾力エレメントも、プライミング前状態において、用量部材及び駆動機能又は本体上に各々力をかけるであろう。弾力エレメントはただ一つの部分であり得て;それは複数部分の部品、例えば、板バネの形をした二つ又はそれ以上のバネのアセンブリでもあり得る。
【0049】
本発明によると、アセンブリの内部での弾力エレメントの配置によって、プライミングがなされていない薬物送達デバイスからプライミングされた薬物送達デバイスを区別可能にする容易な方法が可能になる。用量部材がプライミング工程中に作動部材から突き出るとき、使用者はプライミングされたデバイスとプライミングがなされていないデバイスを容易に区別でき、そして突き出された用量部材を働くことによって、設定動作及び投与動作が実行され得ること知ることができる。もし、作動部材がプライミング前状態において用量部材によって部分的に覆われるならば、作動部材は使用者に対して、弾力エレメントの伸長後、「消える」ことさえあり得る。
【0050】
実施態様において、弾力エレメントは、プライミング工程が実行されると直ぐにそれ以上その物質の状態(state of matter)を変えない、つまり、弾力エレメントは、設定動作及び投与動作中に、圧縮されず又は伸ばされない。しかしながら、設定モード及び投与モード中に、用量部材の動きに弾力エレメントが関与する追加の実施態様も可能である。追加の実施態様は、例えば、弾力エレメント自身が設定操作を行うプッシュープッシュ実施態様であり得て、そして使用者はボタンを押すことによって投与するだけである。一旦、ボタンが解放されると、弾力エレメント、例えば、バネによってかけられた力によってボタンが外側に押し戻され、次の用量が設定される。
【0051】
本発明の更なる実施態様によると、用量部材はその横の部分において作動領域を含む。この作動領域は、用量部材を動かす(そしてそのことによって薬物の用量の送達を果たす)ための設定動作及び投与動作中に使用され得る。
【0052】
作動領域は、より良い取り扱いのための、例えば、溝又はリブを含み得て、そして追加的に又は代替的に、設定動作及び投与動作中に、用量部材の動きを実行することを簡略化するように、例えば、指先のサイズを有するへこみ状構造に形成され得る。
【0053】
実施態様において、作動領域は、プライミング工程中に、アセンブリの構成部材によって少なくとも部分的に覆われる。通常、作動領域は投与モードにおいて、アセンブリの如何なる部品によっても覆われない。従って、薬物送達デバイスの使用者は、プライミング前状態において、自らが作動領域全体を見ることができないので、又は、もし作動領域完全に覆われるならば、作動領域を全く見ることができないので、自らが設定動作及び投与動作を実施し得ないことを即座に理解するであろう。幾つかの実施態様によれば、プライミング前状態において、用量部材の横の表面全体が使用者にとって見られ得ないものではない。
【0054】
本発明の更なる実施態様によれば、作動部材はスリーブである。もし、スリーブが作動部材として使用されるならば、本発明のプライミング機構は如何なる公知の薬物送達デバイスにも容易に適用され得て:スリーブは、既存の薬物送達デバイスの設計及び機構を実質的に変えることなく、この既存の薬物送達デバイスの表面上に配置され得る。基本的に、通常、係合手段のみ及び、必要ならば前述の相互連結手段も、スリーブの表面上に配置されなければならないし、そして他の部品はスリーブと相互作用しなければならない。
【0055】
スリーブは一つの部分の部品であり得るが、多数の部分の部品でもあり得て;それは開口部、つまり透明部品を含み得て;それはスリーブの下方の隣接する部品を見えるようする如何なる領域もないようにも作られ得る。もし、開口部、つまり透明部品が含まれるならば、アセンブリ又は薬物送達デバイスは、使用者が、スリーブの下方の隣接する部品の表面から情報を得るように構成され得て、ここでその情報はプライミング前状態及び投与モードにおいて異なり、又はこれらの状態又はモードの一つにおいて存在しない。例えば、使用者は、自らがプライミング前状態においてデバイスをプライミングしなければならないという情報を見得て、そして同じ又は異なる開口部を通して、薬物送達デバイスが現在投与モードにあるという情報を見得る。
【0056】
更なる実施態様によれば、前述の情報は、部品、特に、プライミング前状態において、スリーブ(又は、一般に作動部材)によって全く覆われていない、そして投与モード中に覆われる本体の表面上にも配置され得る。例えば、プライミング工程中に実行されるべき動きの方向を示している矢印が、作動部材によって覆われていないこの表面上に配置され得る。薬物送達デバイスは、矢印又は情報がこの領域において見える限り、デバイスがプライミングされていない状態にあるという情報も含み得る。
【0057】
更なる実施態様によれば、本発明によるアセンブリは、投与モード中に、薬物の用量の設定を可能にするために、用量部材が軸の近位方向に可動であるように構成される。更に、この実施態様によれば、用量部材は、用量の投与を可能にするために、薬物の設定が実行された後、軸の遠近位方向に可動である。
【0058】
通常、アセンブリ又は薬物送達デバイスは、設定動作中に、近位方向への動き又は遠近位方向への動きのどちらかが可能であるように、そして投与動作中に、逆方向への動きのみが可能であるように構成される。
【0059】
更なる態様によれば、上述の通り、アセンブリを含む薬物送達デバイスが備え付けられる。
【0060】
薬物送達デバイスは注射デバイスであり得る。薬物送達デバイスはペン型のデバイス、例えば、一回使用の又は複数回使用の注射器であり得るペン型の注射器であり得る。カートリッジは薬物の複数の用量を保持し得る。好ましくは、薬物は、持続性又は即効性のインスリン、GLP−1、ヘパリン又は成長ホルモンのような液体薬剤を含む。薬物送達デバイスはそれが異なるサイズのカートリッジを収容し得るように設計され得る。追加として又は代替として、薬物送達デバイスは、それが異なる形のカートリッジを収容し得るように設計され得る。
【0061】
カートリッジ又はカートリッジホルダは、連結手段によって本体に恒久的に固定され得る。例えば、連結手段は溶接によって接合され得る。追加として又は代替として、連結は接着剤のような別の連結材料の使用を含み得る。カートリッジホルダは、本体に可逆的又は不可逆的に固定され得て、またはカートリッジは、本体に直接的に固定され得て、そしてカートリッジホルダの使用は余分なものであり得る。
【0062】
実施態様において、薬物送達デバイスは固定された用量のデバイスである。これはデバイスが、薬物の事前に与えられた、使用者が変更できない、例えば、一定の用量又は変更可能な容量を常に投与することを意味する。従って、薬物送達デバイスは、例えば、使用者によって同じ用量で常に投与されるべき薬物に対して使用され得る。特に、もし、薬物が固定された用量で常に投与されるべきであるならば、第一の用量が正確にその後の用量と同じ容量を有すること、そしてプライミング工程が正確に実行されることが都合がよい。一つの実施態様において、デバイスはペン型注射器である。
【0063】
薬物送達デバイスは、カートリッジからの体内への針を用いた用量の送達のためのペン注射器を用いて使用され得る。注射器ペンは使い捨てのペン、例えば、使い捨ての固定された用量の注射器であり得る。しかしながら、本発明は使い捨ての固定された用量の注射器に限定されるものではなく;変更可能な容量ペン及び再使用可能なデバイスも可能である。
【0064】
第三の態様によれば、薬物送達デバイスのセットアップ方法が備え付けられる。
【0065】
本方法は以下の工程を含む:
A)遠位端及び近位端を有する薬物送達デバイスを供すること、ここで遠位端及び近位端は軸の方向に相隔たる。更に、供された薬物送達デバイスは用量部材、初期に用量部材と連結される作動部材、及び薬物の少なくとも一つの用量を保持するカートリッジを含む。工程B)において、作動部材が動かされ、その際に、プライミング液体が投与され、そして用量部材からの作動部材の係合解除が引き起こされる。特に、本発明の第三の態様による薬物送達デバイスは、上述の通りの薬物送達デバイスであり、そして本明細書の前の部分において開示された通りのアセンブリを含む。
【0066】
勿論、上記の異なる態様に関する特長は互いに組合せられ得る。更なる特長、利点、及び便宜は、添付図面と関連した例示的実施態様の以下の記述から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1A】薬物送達デバイスのアセンブリの断面を示す。そして図1B図1Aのアセンブリの外観図を示す。
図2A】プライミング前状態における、図1Aのアセンブリを含む薬物送達デバイスの部分図の断面を示す。
図2B】プライミングモード中における、図1Aのアセンブリを含む薬物送達デバイスの部分図の断面を示す。
図2C】プライミング後状態における、図1Aのアセンブリを含む薬物送達デバイスの部分図の断面を示す。
図3A】用量を設定した後の、設定動作及び投与動作中の図2A〜2Cの薬物送達デバイスの部分図の断面を示す。
図3B】用量を投与した後の、設定動作及び投与動作中の図2A〜2Cの薬物送達デバイスの部分図の断面を示す。
図4A】プライミング前状態における、使用者に対して見ることができるものとしての薬物送達デバイスを示す。
図4B】プライミング後状態における、使用者に対して見ることができるものとしての薬物送達デバイスを示す。
図4C】用量を設定した後の投与モードにおける、使用者に対して見ることができるものとしての薬物送達デバイスを示す。
【0068】
同じ種類のエレメント及び同じように作用するエレメントには図において同じ参照符号が付与され得る。
【0069】
図1Aにおいて、薬物送達デバイス用のアセンブリが示される。アセンブリは、本体4、及び本体4に隣接するスリーブの形をした作動部材3を含む。この実施態様によるアセンブリを含む薬物送達デバイスのハウジングは、三つの主要な部分を含む:本体4、作動部材3及び(示されていない)カートリッジホルダ14。アセンブリは遠位端11B及び近位端12を有する。近位端12に用量部材2が配置される。用量部材2の横部分は作動部材3によって完全に覆われている。しかしながら、アセンブリの近位面で、用量部材2の近位部分を実質的に見ることができる。本体の外面は二つの主要領域、投与モードにおいて作動部材によって覆われた、(図の中ほどに置かれた)本体4の近位端からフランジ機能24に伸びている部分を含む。薬物送達デバイスの組立中に、カートリッジホルダ14が本体4の遠位端11Bの横の部分上に押し付けられなければ、フランジ機能24から本体の遠位端11Bの遠位端に伸びている本体4の部分も、投与モード中に使用者にとって見ることができる。
【0070】
プライミング工程中に、作動部材3は、遠位方向への更なる動きが全く可能でなくなるまで、フランジ機能24に向かって動かされる。この動きのための案内エレメントとして、(完全には示されていない)第二の係合手段16の一部であるスロット17が使用される。用量部材2は、プライミング工程が実行された後、用量部材を(ハッチが付けられた領域として示された)駆動機能6に固定するように構成されている第三の係合手段18を含む。用量部材の内部に、(螺旋バネの形態をした)弾力エレメント5が置かれる。バネの近位端に隣接して、用量部材の近位部分が置かれる。バネの遠位端に隣接して、駆動機構の近位部分が置かれる。駆動機能6は弾力エレメント5の遠位部分から歯車26に伸びる。駆動機構の遠位領域において、リブ又はぎざぎざを見ることができる(それらは、歯車26と相互作用するために配置されたピストンロッド7内の溝を通して見ることができる)。歯車26はキャリアー27を追加的に含む。アセンブリは、例えば、固定されたラックである内部ハウジング25を更に含む。
【0071】
一般に、本発明によれば、歯車は力又は動きを伝える部品、例えば、ラック又は別の歯車又は両者と共に使用される歯車を意味するものとする。本実施態様において、歯車はキャリアー27内に搭載された平歯車である。
【0072】
図1B図1Aのアセンブリの外観図を示す。アセンブリはプライムされていない状態で示される。従って、作動部材3によって覆われる本体4の領域はその後見ることができる。この領域において、プライミング工程中の遠位方向への作動部材3の動きのための案内エレメントとして役立つスロット17が置かれる(スロット17は、完全には示されていない第二の係合手段16の一部である)。このスロット17又は溝は、プライミング工程中の本体に対する作動部材の螺旋運動を可能にするために、作動部材3によって覆われることになる本体4のこの部分の表面上に螺旋状に置かれる。
【0073】
図2A〜2Cは、プライミング前、プライミングモード中及びプライミング後の薬物送達デバイスの断面を示す。全ての図において、薬物送達デバイスの遠位部分は簡明を期すために省略されている。
【0074】
図2Aにおいて、図1Aと比べて、栓8を留めるカートリッジ9を含むカートリッジホルダ14が図1Aのアセンブリに組立てられる。ふくらみの近位面12Cとピストンロッド7の遠位面11Pの間に、ギャップ10を見ることができ、それは全ての組みたられた部分に関する許容誤差、及びデバイスの組み立て中において軸方向に栓を事前装填しないという要求事項の結果である。薬物送達デバイスがプライミング前状態にあるとき、可動ラックの形態を有する(ハッチが付けられた領域として示された)駆動機能6は、内部ハウジング25に対して最も遠い近位方向におけるその位置に置かれる。この実施態様において、ハウジングは可動ラック(駆動機能6)に対して(平)歯車26の反対側上に歯車及びぎざぎざを有する固定されたラックである。通常、用量投与ストロークよりも小さなプライミングストロークが意図され;従って、可動ラックである駆動機構は固定されたラック(内部ハウジング25)に対して比例的に(pro-rata)近位位置において、その最も遠い位置から固定されたラックに対して遠位方向に向かっていくらか(some of the way)その走行を通して組立てられ得る。用量部材2は、それが回転できないが、例えば、スプライン係合のせいで駆動機能6に対して軸方向に動けるように駆動機能6に拘束される。用量部材2は、プライミング工程が少なくとも部分的に実行されるまで、それが作動部材3に対して軸方向に動けないように、第一の係合手段15、例えば、溝中の取っ手によって拘束され;通常、用量部材2は、プライミング流体が投与された後まで拘束される。プライミング前状態において、用量部材2は使用者によるアクセスが阻害される作動部材3から突き出ない。駆動機能6は、それが作動部材3に対して遠位方向に初期に動くことができないように、棚23よって、特に、作動部材3の内表面上に拘束される。螺旋バネである弾力エレメント5は、駆動機能6の近位端と用量部材2の近位端の内表面の間で圧縮される。作動部材3は(駆動機能6と比べて異なるようにハッチが付けられた領域として示された)本体4に対して最も遠い近位方向におけるその位置にあり、そして好ましくは、使用の前の機構のガタガタ音を防ぐために、そして予期せぬプライミングを防ぐことを助けるために作動部材3と本体4の間の位置に(示されていない)戻り止め機構によってその位置に保持される。如何なる追加の指標も使用者が見るために整列されるように作動部材3を正しいプライミング前の向きに保つことも望ましい。作動部材3は本体4中の溝17を通して動くように(完全には示されていない)第二の係合手段16によって拘束される。用量部材2に対して、作動部材3は回転でき、そして作動部材3の遠位方向への如何なる動きによっても、用量部材が軸方向に動き、続いて駆動機能6が遠位方向に動き、そして歯車26により動きを移すことを介して、ピストンロッド7が遠位方向に動く結果となるであろう(プライミング液の投与をもたらす)。最後に、作動部材3は、剛直にそして恒久的に、例えば、(示されていない)クリップ機構を用いて本体4にロックされ得る。
【0075】
デバイスをプライミングするために、使用者は、作動部材3の遠位端が図2Aにおいて示されたフランジ機能24に隣接する位置で終わる螺旋溝17に沿って、本体4上に作動部材3をねじ込むことを可能にするために、本体4に向かって作動部材3を同時に捩じって押す。図2Bは、作動部材3の遠位端が本体4のフランジ機能24と隣接する後の状況を示す。用量部材2は作動部材3と一緒に本体4に対して遠位方向に軸方向に走行するがそれと一緒に回転しない。棚23は作動部材3を動きの如何なる方向にも本体4に固定する部品として役立ち得る。プライミング流体を送達するために、用量部材2の遠位面は駆動機能6を遠位方向に駆動して主駆動機構を前進させる。図2Aにおいて存在するギャップ10は消え、そして図2Aに対して図2Bにおいては、ピストンロッド7の遠位端11Pは栓8の近位端12Cと隣接し、そして持っていかれるギャップ10に加えて栓8は少しばかり前方に動く。図2Bにおける状況は、まだ圧縮された物質の状態にある弾力エレメント5、つまり、バネを示し、そして作動部材3と用量部材の係合解除が既に起こり始めている位置にある用量部材2及び作動部材3を互いに対して示す。
【0076】
用量部材2及び作動部材3が互いに対して新しい向きを有するので、用量部材2及び作動部材3は係合解除され、そして(図2Aにおいてのみ見ることができ、図2Bにおいてはもはや見ることができない)第一の係合手段15は、用量部材2の作動部材3への拘束(restrain)をもはや引き起こさない。この係合のせいで、作動部材3は用量部材2が作動部材3に対して近位方向に軸方向に動くことを、もはや防がない。弾力エレメント5は、用量部材2がここで作動部材3から突き出るように伸びてそして用量部材2を近位方向に押す。用量部材2上に置かれる第三の係合手段18、例えば、用量部材2上の取っては、例えば、戻り止めである、駆動機能6上に配置された対応する部分(明確化のために、駆動機能上に配置された対応する部分は全ての図において「18」を付けられていない)に亘って滑り、その際、用量部材2及び駆動機能6は恒久的に一緒にロックされる。
【0077】
図2Cにおいて、用量部材2が作動部材3から突き出した後の状況が見られ得る。用量部材2は第三の係合手段18によって駆動機能6に恒久的にロックされる。図2Cは、伸ばされた物質の状態にある螺旋バネである弾力エレメント5を更に示し;バネ又はより一般的に弾力エレメント5は、通常、設定動作及び投与動作中にこの物質の状態において留まる。用量部材2の横部分はここで作動領域20を使用者に見えるようにする。作動領域20は、設定動作及び投与動作を使用者にとってより快適にするためのリブ及びぎざぎざを含む。
【0078】
図3A〜3Bは、設定動作中及び投与動作中の、つまり、プライミング工程が実行された後の物質の状態における、図2A〜2Cの薬物送達デバイスを示す。再び、薬物送達デバイスの遠位端は簡明を期すために省略されている。
【0079】
図3Aは用量の設定が実行された後の状況を示す。用量部材2は使用者によって本体4に対して近位方向に引かれており、そして用量部材2に固定された駆動機能6も近位方向に動かされている。駆動機能6を近位方向に動かすことによって、歯車26も近位方向に動かされ、そして歯車26に固定されたキャリアー27は、(図3Aにおいて見ることができないが、図1Aにおいては見ることができる)ピストンロッド7の内表面において配置されて近位方向に次のぎざぎざ上に締め付けられる。
【0080】
図3Bは薬物を投与した後の状況を示す。用量部材2は遠位方向に押されており、そうすることによって駆動機能6を遠位方向に押す。この動きは6を介して、やはり遠位方向に動いて栓8を移動させそして薬剤の用量を送達させるピストンロッド7に移される。ピストンロッド7の定義された動きは、更なる係合手段と、ピストンロッド7の外面上に配置されたぎざぎざ31との相互作用によって実現され得る。
【0081】
図4A〜4Cは、プライミング前状態(図4A)、プライミング後状態(図4B)及び用量を設定した後状態(図4C)における、薬物送達デバイスの外観図を示す。
【0082】
図4Aにおいて、ペン注射器である薬物送達デバイス1のハウジングが見られ得る。遠位端11に、カートリッジホルダ14が配置され、それは送達されるべき薬物を含有するカートリッジを含む。カートリッジは、好ましくは、薬物の複数の用量を含有する。薬物は、好ましくは、液体薬剤、例えば、インスリン、つまり、即効性又は持続性のインスリン、GLP−1、ヘパリン、又は成長ホルモンを含む。カートリッジホルダ14中に含まれるカートリッジは、(明確には示されていない)膜によって覆われ得る出口を含み得る。薬物は、膜が突き通されるとき、出口を通してカートリッジから投与され得る。更に、薬物送達デバイス1は(明確には示されていない)針アセンブリ、例えば、ネジ山を、特に、薬物送達デバイス1の遠位端11に置かれたカートリッジホルダ14に固定する手段を含み得る。針アセンブリは、薬物送達デバイス1が操作されるとき、膜を突き通し得る。
【0083】
ハウジングは、本体4及び作動部材3を更に含む。作動部材3の近位端は薬物送達デバイス1の近位端に一致する。フランジ機能24と作動部材3の遠位端の間で、プライミング工程を実施した後で覆われる本体4の部分を見ることができる。この部分において、デバイスのプライミングが完全に実行されなければならないことを使用者に知らしめるために、符号又は銘刻28が表面上に配置される。図4Aにおいて、特別に、矢印が符号又は銘刻28として示されている。最後に、プライミング工程の後、作動部材3によって覆われない本体4の表面上、また同様に作動部材3の表面上に、そろいの符号29A及び29Bが配置される。
【0084】
図4Bはプライミング工程が実施された後の状況を示す。そろいの符号29A及び29Bは一緒に連続したモチーフ又は構造を示す。好ましくは、これらの符号はプライミング工程を実行するためのグリップとしても使用され得る(従って、好ましくはリブ及びぎざぎざ構造を有する)。薬物送達デバイス1の近位端12で、用量部材2は作動部材3から突き出ており、そして作動領域20を見ることができる。再び、設定動作及び投与動作を容易にするために、作動領域は幾つかのリブ及びぎざぎざを含む。
【0085】
図4Cは用量が設定された後の薬物送達デバイスを示す。用量部材2は、図4Bにおける状況と比べて作動部材3から更に突き出ており;用量部材2は使用者によって近位方向に軸方向に引かれている。作動部材3は、この実施態様によれば、プライミング工程が、動きの如何なる方向にも本体4を作動部材3に固定することを含む故に、図4Bにおいてと同様、まだ固定されている。
【0086】
本実施例及び実施態様は説明的であり制限的ではないと考えられるべきであり、そして本発明は本明細書に詳細に述べられたことに限定されるべきではなく、この範囲内及び添付された請求項の同等物の範囲内で修正され得る。
【符号の説明】
【0087】
1 薬物送達デバイス
2 用量部材
3 作動部材
4 本体
5 弾力エレメント
6 駆動機能
7 ピストンロッド
8 栓
9 カートリッジ
10 ギャップ
11 遠位端
11B 本体の遠位端
11P ピストンロッドの遠位端
12 近位端
12C 栓の近位端
14 カートリッジホルダ
15 第一の係合手段
16 第二の係合手段
17 スロット
18 第三の係合手段
20 作動領域
23 棚
24 フランジ機能
25 内部ハウジング
26 歯車
27 キャリアー
28 符号/銘刻
29A、29B そろいの符号
31 ぎざぎざ
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C