(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883792
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】一体型集塵器を備える動力鋸装置
(51)【国際特許分類】
B23D 47/00 20060101AFI20160301BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20160301BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20160301BHJP
B28D 1/04 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
B23D47/00 A
B23D45/16
B28D7/02
B28D1/04 Z
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-532143(P2012-532143)
(86)(22)【出願日】2010年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-506568(P2013-506568A)
(43)【公表日】2013年2月28日
(86)【国際出願番号】US2010051365
(87)【国際公開番号】WO2011041799
(87)【国際公開日】20110407
【審査請求日】2013年9月30日
(31)【優先権主張番号】12/587,234
(32)【優先日】2009年10月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512086091
【氏名又は名称】ジェイピーエル グローバル,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】512086105
【氏名又は名称】ポール ダブリュー. ガス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール ダブリュー. ガス
【審査官】
五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−058127(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0262978(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0107633(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00793988(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/00
B27G 3/00
B23D 45/16
B28D 1/00− 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力鋸であって、
上部及び下部を有するブレード・ガードに結合された、前記ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームと、
前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合された集塵ハウジングと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジと、
前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続されたファンであって、前記ブレード・ガード下部で大気圧に対する負圧を提供して、動力鋸の使用により副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集するファンと
を有する動力鋸において、
前記ブレード・ガード下部が、
枢動点を中心として枢動する格納可能なシュラウドと、
前記格納可能なシュラウドの前縁にある隆起ジョーと、
前記隆起ジョーの最下点に構成されたローラであって、前記加工物を横断して移動するときに前記格納可能なシュラウドを安定に保つためローラと
を有している、動力鋸。
【請求項2】
動力鋸であって、
上部及び下部を有するブレード・ガードに結合された、前記ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームと、
前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合された集塵ハウジングと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジと、
前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続されたファンであって、前記ブレード・ガード下部で大気圧に対する負圧を提供して、動力鋸の使用により副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集するファンと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、
前記構造アームと前記円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成されたファン・ハウジングと、
前記ファン・ハウジングと前記円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成された真空吸引チューブと、
前記円筒形フィルタ・カートリッジを回転させてその有用な表面積を最適化するための、前記円筒形フィルタ・カートリッジに機械的に結合されたスピン・ハンドルと
を有している、動力鋸。
【請求項3】
前記集塵ハウジングが、
前記構造アームを受け入れるためのスロットであって、前記構造アームを所定の角度で受け入れるためのスロープ部分を有するスロットと、
第1の側で前記真空吸引チューブと結合し、第2の側で前記円筒形フィルタ・カートリッジと結合し、それによって可動構成要素間でそれぞれ並進支持及び軸方向支持を提供するフィルタ軸受と、
構成要素間の滑り嵌めを提供する前記フィルタ軸受に隣接するガスケットと、
前記ガスケットに隣接する当接部材と
をさらに有している、請求項2に記載の動力鋸。
【請求項4】
動力鋸であって、
上部及び下部を有するブレード・ガードに結合された、前記ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームと、
前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合された集塵ハウジングと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジと、
前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続されたファンであって、前記ブレード・ガード下部で大気圧に対する負圧を提供して、動力鋸の使用により副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集するファンと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、
ラッチを有し且つ圧縮ばねによって固定されたダンプ・ドアと、
前記ラッチを解放するためのダンプ・ドア引金と
を有している、動力鋸。
【請求項5】
動力鋸であって、
駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、
前記駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、
前記駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、
フィルタを収納するための集塵ハウジングであって、前記動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する集塵ハウスと、
上部と下部を有するブレード・ガードに結合された、該ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームであって、前記集塵ハウジングが前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合される構造アームと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジであって、前記ファンが、前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続され、また前記ファンが前記ブレード・ガードの下部で大気圧に対する負圧を提供して、前記動力鋸の使用による副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集する円筒形フィルタ・カートリッジと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、
前記構造アームを受け入れるためのスロットであって、前記構造アームを所定の角度で受け入れるためのスロープ部分を有するスロットと、
第1の側で真空チューブと結合し、第2の側で前記円筒形フィルタ・カートリッジと結合し、それによって可動構成要素間でそれぞれ並進支持及び軸方向支持を提供するフィルタ軸受と、
構成要素間の滑り嵌めを提供する前記フィルタ軸受に隣接するガスケットと、
前記ガスケットに隣接する当接部材と
を有している、動力鋸。
【請求項6】
動力鋸であって、
駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、
前記駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、
前記駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、
フィルタを収納するための集塵ハウジングであって、前記動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する集塵ハウスと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、
ラッチを有し且つ圧縮ばねによって固定されたダンプ・ドアと、
前記ラッチを解放するためのダンプ・ドア引金と、
ばね作動式のドアを有する集塵ビンであって、前記集塵ハウジングから塵を取り除いて前記集塵ビン内に収容するために、前記集塵ビン内に嵌るように前記ダンプ・ドアが構成される集塵ビンと
を有している、動力鋸。
【請求項7】
動力鋸であって、
駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、
前記駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、
前記駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、
フィルタを収納するための集塵ハウジングであって、前記動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する集塵ハウスと、
上部と下部を有するブレード・ガードに結合された、該ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームであって、前記集塵ハウジングが前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合される構造アームと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジであって、前記ファンが、前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続され、また前記ファンが前記ブレード・ガードの下部で大気圧に対する負圧を提供して、前記動力鋸の使用による副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集する円筒形フィルタ・カートリッジと
を有する動力鋸において、
前記ブレード・ガードの下部が、
枢動点を中心として枢動する格納可能なシュラウドと、
前記格納可能なシュラウドの前縁にある隆起ジョーと、
前記隆起ジョーの最下点に構成されたローラであって、前記ローラが、前記加工物を横断して移動するときに前記格納可能なシュラウドを安定に且つ最適な位置に保ち、それによって摩擦も減少させるためのものであり、前記ブレード・ガードの下部が、前記真空ファンによって提供される大気圧に対する負圧によって真空チャンバを形成するローラと
を有している、動力鋸。
【請求項8】
動力鋸であって、
駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、
前記駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、
前記駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、
フィルタを収納するための集塵ハウジングであって、前記動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する集塵ハウスと、
上部と下部を有するブレード・ガードに結合された、該ブレード・ガードに実質的に平行な構造アームであって、前記集塵ハウジングが前記構造アーム及び前記ブレード・ガードに結合される構造アームと、
前記集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジであって、前記ファンが、前記円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続され、また前記ファンが前記ブレード・ガードの下部で大気圧に対する負圧を提供して、前記動力鋸の使用による副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集する円筒形フィルタ・カートリッジと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、
前記構造アームと前記円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成されたファン・ハウジングと、
前記ファン・ハウジングと前記円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成された真空吸引チューブと、
前記円筒形フィルタ・カートリッジを回転させてその有用な表面積を最適化するための、前記円筒形フィルタ・カートリッジに機械的に結合されたスピン・ハンドルと
を有している、動力鋸。
【請求項9】
動力鋸であって、
駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、
前記駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、
前記駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、
フィルタを収納するための集塵ハウジングであって、前記動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する集塵ハウスと
を有する動力鋸において、
前記集塵ハウジングが、前記フィルタの形状に部分的に追従するフィルタ・ガードを有している、動力鋸。
【請求項10】
加工物を切断するための方法であって、
鋸用モータに結合された駆動ベルトを回転させるステップと、
前記駆動ベルトによって丸鋸ブレードを回転させるステップと、
下部を有するブレード・ガードによって前記丸鋸ブレードを覆うステップと、
前記ブレード・ガード下部に、大気圧に対する負圧を与えるステップと、
前記加工物の切断による副生成物として生成された塵であって、集塵ハウジング内部のフィルタを通してフィルタされた塵を該集塵ハウジング内部に捕集するステップと
を含む方法において、
前記フィルタが円筒形フィルタであり、
前記加工物を切断するための方法が、
前記円筒形フィルタにスピン・ハンドルを結合させるステップと、
前記円筒形フィルタの使用可能な面積を増加させるために前記円筒形フィルタを回転させるステップと、
フィルタ洗浄フラップを用いて前記円筒形フィルタを洗浄するステップと
をさらに含む、加工物を切断するための方法。
【請求項11】
加工物を切断するための方法であって、
鋸用モータに結合された駆動ベルトを回転させるステップと、
前記駆動ベルトによって丸鋸ブレードを回転させるステップと、
下部を有するブレード・ガードによって前記丸鋸ブレードを覆うステップと、
前記ブレード・ガード下部に、大気圧に対する負圧を与えるステップと、
前記加工物の切断による副生成物として生成された塵であって、集塵ハウジング内部のフィルタを通してフィルタされた塵を該集塵ハウジング内部に捕集するステップと
を含む方法において、
構造アーム内部に前記駆動ベルトを収納するステップと、
前記集塵ハウジングにスロットを開けるステップと、
前記スロットを介して前記構造アームを前記集塵ハウジングに結合させるステップと
をさらに含む、加工物を切断するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、国際協定に従って過去1年以内に出願された先の出願のすべての利益を主張する。具体的には、2009年10月2日に出願された「Power Saw Apparatus with Integrated Dust Collector」という名称の米国特許出願第12/587234号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般には動力式メーソンリー工具、並びに切断及び研削のための関連デバイスに関する。より詳細には、本発明は、内燃機関又は電動機によって駆動され、シンダーブロック、コンクリート、れんが、粘土、石、タイルなどを切断する一方で塵低減機能を有する持ち運び可能なタイプの動力鋸に関する。
【背景技術】
【0003】
回転する丸鋸ブレードを使用する丸鋸が以前より知られている。初期のタイプの丸鋸には、製材するために製材所で採用されるものが含まれる。また、手持ち式の丸鋸も数十年にわたって知られており、これらは最初は主に木材加工の用途で使用されていた。鋸ブレード設計及び材料の改良により、メーソンリー、プラスチック、さらには金属を含め、持ち運び可能な鋸の用途は広がっている。多くのそのような鋸は、現在、電動機によって動力供給される。しかしまた、内燃モータを使用することもできる。
【0004】
また、加工物の切断によって空中に浮遊した塵及び粒子状物質の無制御の解放及びそれらへの曝露といった問題が知られている。したがって、OSHAなどの政府機関は、湿式及び乾式切断に関する安全性基準及び健康基準を公布している。カリフォルニア州労働安全衛生法(The California Occupational Safety and Health Act of 1973)は、安全で健康的な職場を提供することを雇用者に要求し、カリフォルニア州のすべての公的及び個人雇用者に及ぶカリフォルニア州/OSHA管轄区域を設けた。それ以来、雇用者は、カリフォルニア州規制条例(The California Code of Regulations)の第8章(Title 8)に記載されているすべての法令を遵守しなければならない。健康上の問題に加えて、塵副生成物は、囲まれた環境内ですべての人が人工呼吸器を着用している場合でさえ、浄化の問題も生じる。
【0005】
湿式切断デバイス及び方法の開発は、塵低減に対する1つの解決策である。この解決策を行うために、ブレード切刃に水がかけられ、そこで、塵が流体に同伴されて収容領域に向けられる。ほとんどの湿式切断法は比較的良く機能するが、それらは排水汚染及び環境に対する懸念といった追加の問題を生み出す。さらに、生成されるスラリが切断工具の材料及び構成要素に付着し、これらはまた定期的な洗浄を必要とする。
【0006】
特に持ち運び可能な手持ち式の鋸において塵を制御するために乾式手段を採用する多くの従来技術の解決策が提案されている。どちらもKioritz Corporationに譲受されているYamami他の「Dust Collector−Equipped Power Cutter」という名称の米国特許第6047693号及び「Power Cutter」という名称の米国特許第6155246号によって提案されている2つの例に、塵を除去するために真空ファンを有する持ち運び可能な動力鋸が記載されている。より具体的には、従来の持ち運び可能な動力鋸は、モータを有する本体と、円形切断ブレードと、ブレードの上部と下部を取り囲む安全カバーとを含む。さらに、安全カバーが、塵除去のための経路を提供する。これら及び他の多くの例に関わる問題は、集塵するために外部バッグが必要であり、そのため装置が持ち運びにくくなることである。従来技術における別の問題は、塵を含む空気が、ファンを通って連続的に吸引され、これが、可動構成要素の摩耗を高めることである。従来技術にはない別の構成は、静止している加工物に沿って移動しながら適切な位置合わせを保つための格納可能なシュラウド(囲い)を有する設計である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6047693号
【特許文献2】米国特許第6155246号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことに鑑みて、本発明の目的は、従来技術の解決策に比べて持ち運びしやすく軽量である、一体型集塵器を備える動力鋸装置を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、1つの持ち運び可能なユニットに集塵機能を組み込んだ動力鋸を提供することである。本発明のさらなる目的は、塵が蓄積したときに容易に保守される乾式集塵設計を提供することである。さらに、本発明の目的は、手持ち式の動力鋸設計にフィルタを実装することによって、塵をより効率的に制御することである。さらに、本発明の目的は、加工物に沿って移動しながらより大きな自由度を提供する格納可能なブレード・ガードを提供することである。さらに、本発明の目的は、従来の設計に勝る多様な革新的な構成を含む設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特に上述した不備に対処してそれを軽減する。より詳細には、本発明は、第1の観点において、上部と下部を有するブレード・ガードに結合され且つブレード・ガードに実質的に平行な構造アームと、構造アーム及びブレード・ガードに結合された集塵ハウジングと、集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジと、円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続されたファンとを有する動力鋸であって、ファンがブレード・ガードの下部に大気圧に対する負圧を提供して、動力鋸の使用により副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタ及び捕集する動力鋸である。
【0010】
第1の好ましい実施例の動力鋸は、駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介してファンに機械的に結合されたファン・プーリと、駆動ベルトに対して適切な張力及び位置合わせを提供する張力付与ローラとをさらに有することを特徴とする。
【0011】
動力鋸はさらに、ファン・プーリが、ファン・プーリの前部、後部、及び下部で軸受ブロックによって取り囲まれており、軸受ブロックが、ファン駆動シャフトに対する回転支持及び並進支持を提供するファン軸受を有することを特徴とすることがある。ブレード・ガードの下部は、枢動点を中心として枢動する格納可能なシュラウドと、格納可能なシュラウドの前縁にある隆起ジョーと、隆起ジョーの最下点に構成されたローラとをさらに有し、ローラは、加工物を横切って移動するときに格納可能なシュラウドを安定に保つ。
【0012】
動力鋸はさらに、集塵ハウジングが、構造アーム及び円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成されたファン・ハウジングと、ファン・ハウジング及び円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成された真空吸引チューブと、円筒形フィルタ・カートリッジを回転させてその有用な表面積を最適化するための、円筒形フィルタ・カートリッジに機械的に結合されたスピン・ハンドルとを有することを特徴とすることがある。
【0013】
集塵ハウジングはさらに、構造アームを受け入れるためのスロットであって、構造アームを所定の角度で受け入れるためのスロープ部分を有するスロットと、第1の側で真空チューブと結合し、第2の側で円筒形フィルタ・カートリッジと結合し、それによって可動構成要素間でそれぞれ並進支持及び軸方向支持を提供するフィルタ軸受と、構成要素間の滑り嵌めを提供するフィルタ軸受に隣接するガスケットと、ガスケットに隣接する当接部材とをさらに有することを特徴とする。集塵ハウジングはさらに、ラッチを有し且つ圧縮ばねによって固定されたダンプ・ドアと、ラッチを解放するためのダンプ・ドア引金とを有する。
【0014】
第2の観点では、本発明は、駆動プーリの周りで駆動ベルトを回転させる原動力プーリに機械的に結合された鋸用モータと、駆動プーリに機械的に結合された丸鋸ブレードと、駆動ベルトによって回転可能であり、ファン駆動シャフトを介して真空ファンに機械的に結合されたファン・プーリと、フィルタを収納するための集塵ハウジングとを有する動力鋸であって、集塵ハウスが、動力鋸の使用の副生成物として生成された塵を集めるための領域を提供する動力鋸である。
【0015】
第2の観点ではさらに、動力鋸が、上部及び下部を有するブレード・ガードに結合され且つブレード・ガードに実質的に平行な構造アームであって、集塵ハウジングが、構造アーム及びブレード・ガードに結合された構造アームと、集塵ハウジング内部の円筒形フィルタ・カートリッジであって、ファンがこの円筒形フィルタ・カートリッジの下流に接続されて、ブレード・ガードの下部に大気圧に対する負圧を提供し、それによって、動力鋸の使用の結果副生成物として生成される加工物からの塵をフィルタして捕集する円筒形フィルタ・カートリッジとをさらに有する。
【0016】
本発明はさらに、集塵ハウジングが、構造アームを受け入れるためのスロットであって、構造アームを所定の角度で受け入れるためのスロープ部分を有するスロットと、第1の側で真空チューブと結合し、第2の側で円筒形フィルタ・カートリッジと結合し、それにより可動構成要素間でそれぞれ並進支持及び軸方向支持を提供するフィルタ軸受と、構成要素間の滑り嵌めを提供するフィルタ軸受に隣接するガスケットと、ガスケットに隣接する当接部材とをさらに有することを特徴とすることがある。集塵ハウジングはさらに、ラッチを有し且つ圧縮ばねによって固定されたダンプ・ドアと、ラッチを解放するためのダンプ・ドア引金と、ばね作動式のドアを有する集塵ビンとを有し、ダンプ・ドアは、集塵ハウジングから塵を取り除いて集塵ビン内に収容するために、ばね作動式のドアを有する集塵ビン内に適合するように構成される。
【0017】
本発明はさらに、ブレード・ガード下部が、枢動点を中心として枢動する格納可能なシュラウドと、格納可能なシュラウドの前縁にある隆起ジョーと、隆起ジョーの最下点に構成されたローラとを有し、ローラは、加工物を横切って移動するときに格納可能なシュラウドを安定に且つ最適な位置に保ち、それによって摩擦も減少させるためのものであり、ブレード・ガード下部は、真空ファンによって提供される大気圧に対する負圧によって真空チャンバを形成することをさらに特徴とすることがある。集塵ハウジングはさらに、構造アーム及び円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成されたファン・ハウジングと、ファン・ハウジング及び円筒形フィルタ・カートリッジの間に構成された真空吸引チューブと、円筒形フィルタ・カートリッジを回転させてその有用な表面積を最適化するための、円筒形フィルタ・カートリッジに機械的に結合されたスピン・ハンドルとを有する。
【0018】
さらに、動力鋸は、集塵ハウジングが、フィルタを定期的に保守して洗浄するためのフィルタ洗浄フラップをさらに有することを特徴とすることがある。
【0019】
第3の観点では、本発明は、加工物を切断するための方法であって、鋸用モータに結合された駆動ベルトを回転させるステップと、駆動ベルトによって丸鋸ブレードを回転させるステップと、下部を有するブレード・ガードによって丸鋸ブレードを覆うステップと、ブレード・ガード下部に大気圧に対する負圧を与えるステップと、加工物の切断による副生成物として生成された塵をフィルタするステップと、集塵ハウジング内部に塵を捕集するステップとを含む方法である。
【0020】
この方法はさらに、フィルタを襞状にするステップであって、それによって円筒形フィルタの使用可能な表面積を増加させるステップと、駆動ベルトによって真空ファンを回転させるステップであって、真空ファンがブレード・ガード下部に負圧を提供するステップをさらに含むことを特徴とすることがある。さらに、この方法においてフィルタが円筒形フィルタであり、またこの方法が、円筒形フィルタにスピン・ハンドルを結合させるステップと、フィルタの使用可能な面積を増加させるために円筒形を回転させるステップと、フィルタ洗浄フラップを用いて円筒形フィルタを洗浄するステップとをさらに含むことを特徴とする。
【0021】
この方法はさらに、構造アーム内部に駆動ベルトを収納するステップと、集塵ハウジングにスロットを開けるステップと、スロットを介して構造アームを集塵ハウジングに結合させるステップとをさらに含む。
【0022】
文法的な円滑さのために、機能の説明によって本発明の装置及び方法をここまで説明しており、以降でもそうするが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条又は同様の該当する法律の下で明示的に定められていない限り、「手段」又は「ステップ」に限定した構造によっては何ら限定されないものと解釈すべきであり、法的均等論の下で特許請求の範囲によって与えられる定義の意味及び均等物の全範囲を与えられるものとし、特許請求の範囲が米国特許法第112条に明示的に定められている場合には、米国特許法第112条又は同様の該当する法律の下でのすべての法的均等範囲を与えられるものと明確に理解すべきである。ここで、以下の図面を見ることによって、本発明をより良く視覚的に理解することができる。図面において、同様の要素は同様の参照番号を付されている。
【0023】
本発明の新規の特徴及び本発明自体は、構造と動作の両面に関して、以下の説明に関連付けて見れば、添付図面から最良に理解されよう。図面において、同様の参照符号は同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の好ましい実施例の動力鋸の左側面図である。
【
図2B】
図2Aと比較するための、好ましい動力鋸の切断部分の左側面図である。
【
図2C】
図2Aと比較するための、好ましい動力鋸の切断部分の右側面図である。
【
図4A】本発明の集塵ハウジング実施例の前面図である。
【
図4B】
図4Aに示される集塵ハウジング実施例の左側面図である。
【
図4C】
図4Aに示される集塵ハウジング実施例の右側面図である。
【
図4E】
図4Dに関連するものとして図示される集塵ハウジングの左側面図である。
【
図4F】
図4Dに関連するものとして図示される集塵ハウジングの右側面図である。
【
図5A】集塵ハウジングに構成された本発明の構造アームの側面図である。
【
図5B】本発明のブレード・ガード部分にさらに構成された集塵ハウジングに対して構成された構造アームの上面図である。
【
図6】
図4Dにも示される集塵ハウジングの拡大図である。
【
図7A】本発明の好ましい実施例の真空ファン及び駆動構成要素を示す図である。
【
図7B】本発明の好ましい実施例の真空ファン及び駆動構成要素を示す図である。
【
図7C】本発明の好ましい実施例の真空ファン及び駆動構成要素を示す図である。
【
図7D】本発明の好ましい実施例の真空ファン及び駆動構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず
図1Aを参照すると、本発明による動力鋸の左側面図が示されている。好ましい実施例100は、金属、プラスチック、又はメーソンリーを切断する目的で構成された持ち運び可能な手持ち式の鋸を備える。より具体的には、メーソンリーは、石、コンクリート、れんが、及び他の素材を含む。動力鋸及び集塵システム100は、鋸の後部にあるモータによって動力供給される。作業端部は、上部と下部を有するブレード・ガード150によって保護された回転ブレード151を備える。重要なことに、下側ブレード・ガードは、塵及び微粒子が流れるための真空チャネル110を形成し、塵の閉じ込めを開始する。さらに、下側ブレード・ガードは、枢動点111aを中心として枢動する調節可能な格納可能なシュラウド111を備える。シュラウド111は湾曲可能な材料から形成することができるが、シュラウド111の前縁は隆起ジョー(ridged jaw)112を有する。さらに、隆起ジョー112の最下部は、加工物に沿って移動しながら位置合わせを補助するためのローラ113を備える。
【0026】
引き続き
図1Aに関して、真空チャネル110を形成する助けとなるように上側障壁114が含まれる。矢印120は、気流がデバイス内部で動く様子を示す。粒子状物質を含む空気120は、真空チャンバ110の後部に沿って移動するとき、ユニットの集塵ハウジング400に入る。
図4A〜
図4Fにさらに示されるように、集塵ハウジングは、一体型のユニットであり、本発明独自のものである。最終的には、粒子状物質を含む空気のフィルタリング後、塵は、集塵領域420に溜まる。デバイスを長時間使用した後、
図3にさらに示されるように、ダンプ・ドア430によって集塵領域から塵を除去することができる。
【0027】
図1Bを参照すると、動力鋸の実施例の右側面図が示されている。デバイスのこの側では、丸鋸151用の駆動構成要素を収納する構造アーム500が示されている。好ましくは、構造アーム500は、アルミニウム、又は複合材など他の適切な材料から形成することができ、それにより装置100の重量を最小限に保つ。重量の大部分は、デバイス100の後部に含まれる。したがって、平坦面上に置いたときにデバイス100のバランスが保たれるように、前側及び後側モータ脚220、210が重心の両側に設けられる。
【0028】
図2Aは、デバイスの前面図を示す。さらに、ハンドル200を、アルミニウム又は比較的軽量の材料から形成することができる。ハンドル200の形状及び構造は、概して陸上競技トラックの形状である。すなわち、より具体的には、ハンドル200は、デバイスの周りで、陸上競技トラックと同様の隅のカーブを有する長方形又は正方形にさらに形作られた細長い円筒形材料である。また、
図2Aで、集塵ハウジング400の前面も見ることができる。また、
図4を
図2Aと相互参照することができ、
図4は、集塵ハウジング400の前部を別の詳細さのレベルで示す。
図2B及び
図2Cは、
図2Aを考察するための参照枠を提供する。
【0029】
図3に関して、ダスト・ビン460が図示され、ダスト・ビン460は、集塵領域420内に蓄積された塵を除去するために提供される。ダンプ・ドア430の周囲の領域は、図示されるように、ビン・ドア461の周囲及び内部の領域と対合するように構成される。好ましい実施例では、引金499が作動されてラッチ431を解放するまで、ラッチ431によってダンプ・ドア430が所定位置で保持される。ラッチ431は、閉じた位置では、ばね432の力に反して保持されているので、ラッチ431が引金499によって解放されるとダンプ・ドアが開く。塵462の除去及びビン460内への収容後、ドア430をその閉止位置に手動で戻すことができる。
【0030】
図4Aに関して、好ましい集塵ハウジング400が、前の図よりも詳細に示されている。この特定の実施例では、円筒形フィルタ440が採用される。円筒形フィルタ440を保守及び洗浄することに加えて、フィルタ440を回転させてその使用可能な表面積を増加させるために、スピン・ハンドル410が提供される。塵462及び粒子状物質を含む空気をフィルタするために、様々な形状及びサイズを有する他のフィルタを採用することもできる。円筒形フィルタ440に隣接してファン・ハウジング600が提供され、大気圧に対して負圧の領域を提供する。さらに、使用可能な表面積をさらに増加させるために、円筒形フィルタ440を襞状にすることができる。デバイスの右側に構造アーム500を構成するために、スロット450が提供される。
図4B及び
図4Cは、
図4Aのための参照図として示されている。さらに、集塵ハウジング400を製造するための金型を形成することができることが想定されている。したがって集塵ハウジング400は、射出成形によって適切なプラスチックから形成することができ、それによりこの構成要素400を軽量にし、簡単に大量生産できるようにする。
【0031】
また、本発明によれば、集塵ハウジング400は、円筒形フィルタ440と接触するフィルタ洗浄フラップ480をさらに備える。使用者がスピン・ハンドル410を回転させるとき、フィルタ洗浄フラップ480は、フィルタ440に付着された塵を除去して集塵領域420内に溜める働きをする。さらに、
図4Cに示されるように、フィルタ・ガード481が円筒形フィルタを部分的に取り囲む。
【0032】
図5Aを参照すると、集塵ハウジング400に対して構成された構造アーム500が図示され、アーム500の機械的な内部構成要素も見える。始めに、原動力プーリ511が、電動機又は内燃モータ(図示せず)のシャフト出力に結合される。さらに、原動力プーリ511は駆動ベルト510に結合され、鋸ブレード駆動プーリ514を回転させ、プーリ514が、最終的に動力を伝達して丸鋸ブレード151を回転させる。鋸ブレード151を駆動させるために動力を供給することに加えて、駆動ベルトはファン・プーリ512にも結合され、
図5Bに示されるように、ファン・プーリ512がさらに真空ファン610に動力を伝達する。さらに、
図5Bで、構造アーム500がブレード・ガード150に結合されている様子を見ることができ、ブレード・ガード150は集塵ハウジング400に結合され、集塵ハウジング400は、ファン・ハウジング600を間に挟んで構造アーム500に戻るように結合される。
【0033】
図6は、
図2A及び
図4Aにも示される集塵ハウジング400の拡大図を示す。この図で、矢印699は気流の方向を示す。ファン610は、気流699を引き起こすために負圧を提供する。ファン・ハウジング600は、真空チューブ620を介して、円筒形フィルタ440の内部領域に接続される。フィルタ軸受441が、可動部品間の支持を提供し、ガスケット630を介して当接部材631に対して位置する。また、フィルタ軸受441は、図示されるように、2つの側で真空チューブ620に対する支持を提供し、さらに、反対側/隣接する側で円筒形フィルタ410を支持する。また、
図6を参照すると、ファン・プーリ512が、底部、前部、及び後部でファン軸受ブロック520の内部に部分的に囲まれている。さらにこの図において、スロット450が、所定の角度で構造アームを受け入れるスロープ451を有していることを見ることができる。
【0034】
図7A、
図7B、
図7C、及び
図7Dは、ファン軸受ブロック520と、真空ファン610と、ファン軸受521と、ファン駆動シャフト530とのより詳細な図を示す。
【0035】
本願において図示して詳細に開示した特定の一体型集塵器を備える動力鋸装置は、本明細書で前述した目的を達成して利点を提供することが十分に可能であるが、これは、本発明の現在好ましい実施例の例示にすぎず、添付の特許請求の範囲に記載される以外の本願に示される構成又は設計の詳細への限定は意図されていないことを理解すべきである。
【0036】
特許請求する主題から当業者が考案する、現在知られている又は今後開発される本質的でない変更は、特許請求の範囲の範囲内に均等に含まれるものと明確に意図される。したがって、当業者に現在知られている、又は今後知られる明らかな代用物は、定義される要素の範囲内にあるものと定義される。