特許第5883871号(P5883871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5883871懸架されたビーム及びビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を有するデバイス及びデバイスを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883871
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】懸架されたビーム及びビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を有するデバイス及びデバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/24 20060101AFI20160301BHJP
   H03H 3/007 20060101ALI20160301BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   H03H9/24 Z
   H03H3/007 Z
   B81B3/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-527626(P2013-527626)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-541273(P2013-541273A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2011065687
(87)【国際公開番号】WO2012034951
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年8月21日
(31)【優先権主張番号】1057249
(32)【優先日】2010年9月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ヘンツ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・アンドレッチ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・コリネ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・デュラフルグ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ラバルト
【審査官】 畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−021210(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/015963(WO,A1)
【文献】 特開2007−175577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/24
H03H 3/007
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ほぼ平面状の表面を含む支持部(14)、
−前記支持部から懸架され、前記支持部の表面の平面に対して平行に動作することが可能な直線状のビーム(16;64−66−68)、及び
−前記支持部から懸架された少なくとも2つのほぼ直線状のピエゾ抵抗ひずみゲージ(20、22;40、42、44、46;70、72、74、76;88、90、92、94)を含み、2つの前記ひずみゲージが互いに直線状に配置されない、ビームの変位を検出するための手段(18)を含み、
前記ビーム(16;64−66−68)が、前記検出手段(18)を通して前記支持部(14)から懸架され、そのため前記支持部に直接固定されておらず、
前記少なくとも2つのひずみゲージが、前記ビームの2つの対向する側面方向表面にそれぞれ位置することを特徴とする、懸架されたビーム及び前記ビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を有するデバイス。
【請求項2】
前記ひずみゲージのそれぞれが、少なくとも1つのピエゾ抵抗材料を含む積層体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ビーム(16;64−66−68)が、共振器を形成し、前記デバイスが、前記ビームを駆動する手段(34)をさらに含む、請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項4】
前記ビーム駆動手段(34)が、静電的である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ビーム(16)が、一定の断面を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ビーム(64−66−68)が、変化する断面を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ビーム(16)の2つの端部が、前記支持部(14)の表面の平面に対して平行に運動することができ、前記ひずみゲージ(40、42、44、46)が、前記ビームの2つの前記端部から離隔されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも2つのひずみゲージ(40−42、44−46;88−92、90−94)をそれぞれ含む2つのグループを含み、前記2つのグループが、前記ビーム(16)の2つの対向する側面上にそれぞれ配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ひずみゲージのすくなくとも1つ(88、90)が弾性的である、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ビーム及び前記ひずみゲージが、表面技術を用いて形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸架されたビーム、このビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を含むデバイス及びこのデバイスを製造する方法に関する。
【0002】
このデバイスは共振デバイスであってよく、その場合、ビームは共振器または非共振デバイスを形成するものであってよい。
【0003】
本発明の応用は、特にMEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems:マイクロ電気機械システム)及びNEMS(Nano−Electro−Mechanical Systems:ナノ電気機械システム)型のセンサの分野である。
【0004】
例えば、本発明は、静的または準静的な力の測定のための非共振センサに応用することができるが、特に例えば質量センサのような共振センサに応用できる。
【背景技術】
【0005】
ナノメートルスケールにおける変換の選択の問題(特に、静電容量、圧電及びピエゾ抵抗変換の間の)は、解決されていない。
【0006】
この選択は、設計される共振デバイスの変換増幅率、特に、このデバイスからの電気的出力信号の大きさとデバイスの一部を形成する共振器の変位の大きさとの間の比を増大することを求める場合に加わる。
【0007】
ピエゾ抵抗ゲージは、MEMS応用分野で通常用いられ、検出されるべき構造上に配置され、局所的にドープされたシリコン領域から形成される。
【0008】
しかしながらNEMS応用分野では、既存の製造方法では、残留応力なく数ナノメートル幅の構造上に配置させることができることができるほど小さな局所的にドープしたシリコンゲージを得ることは、ほとんど不可能である。
【0009】
そして、そのようなゲージを備える共振センサで従来用いられるブリッジのようなホイートストンブリッジを形成することさえ、容易ではなくなっている。
【0010】
それにもかかわらず、ピエゾ抵抗変換では、非特許文献1に説明されるように、この変換が平面外の運動を検出できるように金属材料を用いるか、平面内の運動を検出するためのエッチングされた半導体ゲージを用いるかに関わらず、優秀な増幅率が得られている。
【0011】
ピエゾ抵抗検出を有する共振デバイスもまた、特許文献1によって知られている。
【0012】
図1は、この文献に記載されるデバイスの一例の上面図を示している。このデバイスは基板上に形成され、
−少なくとも1つの埋め込み部4(実際には、図示されるように、示されている例では第2の埋め込み部5が提供されている)を通して基板に接続されたビームの形状である共振器2、
−共振器を駆動させる固定電極6、
−共振器に対して交流電圧を電極に伝達させ、このとき、図1の二重矢印9で示されるように、この共振器が基板表面の平面に対して平行に振動するようにする、交流電圧源8、
−ピエゾ抵抗材料からなる懸架されたひずみゲージ10、及び
−ゲージ10に印加された応力を測定する手段12を含む。
【0013】
このゲージ10は、共振器2に、埋め込み部4の外部である点で接続される。その結果、このゲージに印加されるひずみを増加させる梃子の腕となる。
【0014】
特に、共振器が自由な埋め込まれたビームである場合に、この種類の解決方法は、共振器がひずみゲージまたはピエゾ抵抗ゲージ近傍の少なくとも1つの埋め込み部を通して基板に接続される多くのNEMSに応用することができる(「埋め込み部」という言葉は、共振器を形成するビームの表面上の領域を指し、固定された固体部分に直接接続され、そのため基板に対するその変位は阻害される)。
【0015】
特許文献2に対応するP.Robertによる特許文献1は、そのような構造及び駆動手段並びに共振器の運動を検出するのに用いられる設定の図を記載している。
【0016】
上述のように、非特許文献1に記載されるデバイス内の共振器を形成するビームは、基板に対してビームを接続する少なくとも1つの埋め込み部を含む。このことが問題を生じる。
【0017】
デバイスがそのような2つ以上のゲージを含むときには単一または複数のピエゾ抵抗ゲージに印加される応力を最大化する必要があることは明らかであるにもかかわらず、梃子の腕によって増幅される応力の一部(埋め込み部とひずみゲージがビームに接続される点との間の距離に起因する)が埋め込み部の中で失われる。
【0018】
さらには、ビームの運動の減衰の原因の1つが、埋め込み部内のこの応力の損失の結果である。非特許文献1に示された共振デバイスのQ値はそのため低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0314148号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2008965号明細書
【特許文献3】国際公開第2010/015963号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】E.Mileら著、Nanotechnology,Vol.21 Issue 16,pp165504(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上述の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これは、本発明に従うデバイスの一部を形成するビームが埋め込み部によって直接基板に接続されないことで、達成される。ビームは、ビームの運動を検出するピエゾ抵抗検出手段を通して基板に接続される。
【0023】
特に、本発明の目的は、−ほぼ平面上の表面を含む支持部、−前記支持部から懸架され、前記支持部の表面の平面に対して平行に動作することが可能なビーム、及び−前記支持部から懸架された少なくとも2つのほぼ直線状のピエゾ抵抗ひずみゲージを含み、2つの前記ひずみゲージが互いに直線状に配置されない、ビームの変位を検出するための手段を含み、前記ビームが、前記検出手段を通して前記支持部から懸架され、そのため前記支持部に直接固定されておらず、前記少なくとも2つのひずみゲージが、前記ビームの2つの対向する側面方向表面にそれぞれ位置することを特徴とする、懸架されたビーム及び前記ビームの変位を検出するピエゾ抵抗手段を有するデバイスである。
【0024】
特許文献3には、2つのひずみゲージを通して支持部から懸架されたビームを含む電気機械変換器が開示されているが、これら2つのゲージは、ビームの同一の側に配置されている。
【0025】
そのような配置では、2つのゲージは同一ではありえない。もしそれらが同一であれば、ピエゾ抵抗信号は相殺されてしまう。さらに、2つのゲージのうちの一方は、もう一方よりもずっと大きくなければならず(この場合、非常に硬くなり、検出手段を通して間接的に懸架する利点が失われる)、または2つのゲージは互いに異なるように局所的にドープされなければならない。しかしながら、上述のように、ナノメートルスケールでは局所的なドーピングを達成することは困難である。
【0026】
本発明に従うデバイスは、これらの欠点を解決する。このデバイスにおいて、2つのゲージは、それぞれビームの対向する側面に配置される。このことは、同一の均一なドーピングを、2つのゲージに対して用いることができ、及び/または同一のゲージを用いることができ、そのため同じ細さであり、検出信号を最大化することができる。
【0027】
本発明の1つの特定の実施形態に従えば、前記ひずみゲージのそれぞれは、少なくとも1つのピエゾ抵抗材料を含む積層体を含む。
【0028】
本発明に従うデバイスの1つの特定の実施形態に従えば、前記ビームは共振器を形成し、前記デバイスは前記ビームを駆動する手段をさらに含む。
【0029】
前記ビーム駆動手段は、例えば静電的であってよい。
【0030】
前記ビームは、一定の断面を有するものであってよく、反対に、変化する断面を有するものであってよい。
【0031】
本発明の1つの特定の実施形態に従えば、前記ビームの2つの端部は自由端であり、従って前記支持部の表面の平面に対して平行に運動することができ、前記ひずみゲージは、これら2つの前記端部から離隔されている。
【0032】
1つの特定の実施形態に従えば、前記デバイスは、前記少なくとも2つのひずみゲージをそれぞれ含む2つのグループを含み、前記2つのグループは、前記ビームの2つの対向する側面上にそれぞれ配置される。
【0033】
本発明において、前記ひずみゲージのすくなくとも1つは弾性的である。
【0034】
本発明はまた本発明に従うデバイスを製造する方法に関し、前記ビーム及び前記ひずみゲージが、表面技術を用いて形成される。
【0035】
本発明は、純粋に情報のためであり限定的ではない以下に与えられる例示的な実施形態の説明を、添付した図面を参照して読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ピエゾ抵抗検出を有し、既に説明された従来のデバイスの上面図である。
図2】本発明に従うデバイスの1つの特定の実施形態の上面図である。
図3】自由端を有するビームを用いる、他の特定の実施形態の上面図である。
図4図3のデバイスの変形例の上面図である。
図5】ビームが変化する断面を有する本発明の他の一例の上面図である。
図6】弾性ピエゾ抵抗ゲージを用いる、本発明の他の一例の上面図である。
図7】本発明に従う非共振デバイスの上面図である。
図8A】本発明に従うデバイスを製造する方法におけるそれぞれの段階を図として示す。
図8B】本発明に従うデバイスを製造する方法におけるそれぞれの段階を図として示す。
図8C】本発明に従うデバイスを製造する方法におけるそれぞれの段階を図として示す。
図9A】本発明に従うデバイスを製造する他の方法のそれぞれの段階を図として示す。
図9B】本発明に従うデバイスを製造する他の方法のそれぞれの段階を図として示す。
図9C】本発明に従うデバイスを製造する他の方法のそれぞれの段階を図として示す。
図9D】本発明に従うデバイスを製造する他の方法のそれぞれの段階を図として示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2は、本発明に従うデバイスの特定の実施形態の上面図である。
【0038】
この図に示されるデバイスは、−表面がほぼ平面状である支持部または基板14、−一定の断面を有し、支持部14から懸架され、支持部の表面の平面に対して平行に運動することができるビーム16、及び−ビームの変位を検出する手段18を含む。
【0039】
図2に示される例において、これらの検出手段18は、2つのピエゾ抵抗ひずみゲージ20及び22を含む。これらの2つのゲージは、ビームの形状であり、従ってほぼ直線状である。加えて、これらは基板14から懸架されている。各ひずみゲージは、ピエゾ抵抗材料から形成されてもよく、または少なくとも1つのピエゾ抵抗材料を含む積層体を含んでもよい。
【0040】
本発明に従えば、ビーム16は、検出手段18を通して支持部16から懸架されており、そのため支持部14には直接固定されていない。
【0041】
検出手段は、アンカー24及び26を有し、それらを通してピエゾ抵抗ゲージ20及び22がそれぞれ支持部14に固定される。
【0042】
図に見られるように、2つのゲージ20及び22は、ビーム16の2つの対向する側面方向の面上に位置し、互いに一直線上にない。従って、これらは並べられていない。
【0043】
より正確には、2つのゲージ20及び22は、ビーム16に対して垂直に(そして支持部14の表面に対して平行に)配置される。ゲージ20の一端はビーム16の一端28に位置し、ゲージ20の他の一端はアンカー24に固定される。ゲージ22の一端はこのビームの端部28から離隔してビーム16上の点30に位置し、ゲージ22の他の一端はアンカー26に固定される。
【0044】
図2に示された例において、ビーム16は共振器を形成し、デバイスは共振する。この場合、このデバイスはまたビーム16を駆動させる手段32も含む。この例において、これらの駆動手段は、静電型であり、支持部14に固定された電極34を含む。
【0045】
交流電圧源36は、ビーム16に対して交流電圧を電極14に到達させるように提供される。そのためビーム16が励起されると、図2の二重矢印38によって示されるように、支持部14の表面の平面に対して平行に振動する。
【0046】
静電手段と異なる他の手段、例えば圧電、熱または電磁手段を、ビーム16の共振を励起するために用いることができる。
【0047】
本発明に従うデバイス、例えば図2に示されるデバイスと非特許文献1に記載されたデバイスとの間の設計上の差は、デバイスを読み出す方法をどのようにも変化させない。本発明の場合、ピエゾ抵抗ゲージの抵抗の変化が、常に読み出される。
【0048】
本発明において、機械的構造が改善されたにもかかわらず、読み出しはゲージ20及び22のアンカー24及び26へ読み出し手段39を接続することによって形成することができる。従って、これらのアンカー24及び26はまた、導電接続部も形成する。以下に示す全ての例において、間に読み出し手段が接続される2つのアンカーに関して同じである。
【0049】
従って、ゲージの抵抗の変化は、従来のように、電気的接続として用いられる2つのアンカーの間で読み出される。この読み出しは、−直接、−またはロックインアンプを用いて、−またはホイートストンブリッジを用いて(非特許文献1を参照)、−または参照される特許文献1において説明されるようにより洗練された技術を用いて、読み出されるものであってよい。
【0050】
ゲージの抵抗の変化は、互いにキャンセルしないように、同符号でなければならない。そのため、ゲージ20及び22は図2の場合、ビーム16の対向する面上に位置している。
【0051】
この図2の特別な場合において、仮にゲージ20及び22がビーム16の同一の側にあるとすると、ビームに沿ったこれらのそれぞれの位置を考慮すると、ビーム16が運動すると一方は引張となり、もう一方は圧縮となって、それらの対応する抵抗変化は反対となる。
【0052】
さらには、ゲージの大きさは各ゲージによって発生するジョンソンノイズ−このノイズはゲージの抵抗に比例する−と、ゲージの断面に反比例する、ゲージに印加される応力との間に可能な限り最良の妥協を与えるように選択されなければならない。
【0053】
従って、第一近似として、可能なかぎり最も小さい断面を有する非常に短いゲージが選択される。
【0054】
これらの相対的な位置もまた、これらのゲージに印加される応力を最大化するように選択される。そのため、この位置は、選択される適切な動作モードに依存する。
【0055】
例えば図2の場合、「モード1」と呼ばれる共振モードの最適な位置は、ビーム16の端部28と点30との間の距離L1が、ビーム16の長さLの10%程度であるようにすることであると見積もることができる。
【0056】
ビームが検出手段を通して支持部から懸架されることに従う本発明の原理はまた、境界条件が「自由端−自由端」であるビーム、換言すればビームの2つの端部が自由端である場合に応用することができ、これらは支持部の表面の平面に対して平行に運動することができる。
【0057】
この場合、ピエゾ抵抗ゲージは、ビームの2つの端部から離隔して位置する。
【0058】
図3は、ビーム16の2つの端部が自由端である発明の一例の上面図である。
【0059】
この例において、デバイスは、4つのピエゾ抵抗ゲージ40、42、44及び46を含む。図に見られるように、ゲージ40及び42は、ビーム16の1つの側面上に位置し、ゲージ44及び46は、対向する側面上に位置する。ゲージ40、42、44及び46のアンカーは、それぞれ参照符号48、50、52及び54として示される。
【0060】
図3の例において、ビーム16の駆動手段32は、4つの電極56、58、60及び62を含む。図に見られるように、2つの電極56及び58は、ビーム16のゲージ40及び42と同じ側に位置し、2つの電極60及び62は、ゲージ44及び46のように、反対側に位置する。
【0061】
さらに、図3の例において、ゲージ40及び44は、互いにほぼ直線状であり、ゲージ42および46についても同じである。電極56及び60は共にビーム16の一方の端部に対面し、電極58及び62は共にビーム16のもう一方の端部に対面する。
【0062】
図3に示されるデバイスにおいて、電源36は、2つの電極56及び58を励起するように設計され、読み出し手段39は、アンカー48と50との間に接続される(そして、電気的接続も形成する)。
【0063】
明らかに、電源36は、異なるように接続することができ、複数の電源を用いることさえも可能であり、読み出し手段の接続は、電源の接続に依存する。
【0064】
例えば、電極56及び58に接続される代わりに、電源36は、第1に、電極58に接続され、第2に、180°位相シフターを通して電極62に接続されることが可能である。または2つの励起源を用いることができ、1つは電極56に接続され、もう1つは電極60に接続される。
【0065】
同様に、読み出し手段39がアンカー48と50との間に接続されるのではなく、アンカー52と54との間に接続されることができる。読み出し手段は、アンカー48と50との間に接続されることができるとしても、他の読み出し手段がアンカー52と54との間に接続されることができる。この問題は、再度後述される。
【0066】
ビーム16の2つの端部が自由端である構成は、以下に示すように多数の利点を有する。
【0067】
1.この構成は、ゲージの抵抗の変化を常に読み出せることを意味する。
【0068】
2.この構成はまた、ゲージがビーム全体の長さに比べて互いに近接しているときは、梃子の腕の効果を得ることが可能になる。
【0069】
3.その他全ての場合において、1つまたは複数の静電駆動電極を用いることができる。このことは、いくつかの好適な構造の共振モードに対して優先度を与えることができることを意味し、または異なる周波数での2つの駆動調和を分離することさえ可能である。
【0070】
4.構造に関して用いられる共振モードに依存して、異なるゲージアンカー(これらのアンカーもまた電気的接続部として用いられる)の間の抵抗の変化を読み出すようにしてもよい。
【0071】
例えば、モード1(対称的である)に関して、読み出しは、アンカー48と50との間及び/またはアンカー52と54との間の抵抗からなるものとできる。
【0072】
非対称モードに関しては、アンカー48及び54並びに/またはアンカー50及び52が好適に用いられるであろう。
【0073】
アンカー50に電圧+V1を、及びアンカー54に電圧−V1を印加することによって、差分測定も行うことができ、例えば、ともに例えば「接合」技術を用いて接続されたアンカー48及び52への電流を測定できる。
【0074】
ビームのそれぞれの側に位置するゲージは、対ごとに軸に関してオフセットすることも可能である。この可能性の例が、図4に図面として示されている。
【0075】
この図4に示されるデバイスにおいて、ゲージ40及び44は、互いに直線状にない。これらの対応する軸X1及びX2は、一致しない。同様に、ゲージ42および46にそれぞれ対応する軸X3及びX4は一致しない(図3の場合と異なる)。図に見られるように、図4の例において、軸X1及びX3は、軸X2及びX4で区画される領域内にある。
【0076】
本発明において、ビーム端部にゲージを位置することも可能であろう。この時ゲージは同じ軸線に沿っていてもよく、または沿っていなくてもよい。
【0077】
さらに、一定の断面を有するのではなく、ビームは変化する断面を有するものであってもよい。
【0078】
次いで、ゲージがビーム端部に位置する場合で、このビームが共振器を形成するとき、非線形状態に到達する前のビームの最大振動強度が、埋め込み―埋め込み型共振器、換言すれば2つの端部が支持部に固定されているビームの最大振動よりも大きいという、デバイス(このとき、共振する)のもう1つの利点が、実際に存在する。
【0079】
図5は、ビーム16の断面が一定でない発明の一例の部分上面図を示している。この例において、図に見られるように、ビーム16は、中央部64並びに中央部のそれぞれの側に2つの端部66及び68を含み、これらは全て互いに一直線上にある。
【0080】
さらには、図5のデバイスは、互いに軸についてオフセットし、端部66に接続された2つのピエゾ抵抗ゲージ70及び72並びに一致する軸を有し端部68に接続された2つのピエゾ抵抗ゲージ74及び76を含む。そのためビーム16は、ゲージ70、72、74及び76を通して懸架されている。ゲージ70、72、74及び76のアンカーの参照符号はそれぞれ78、80、82および84である。
【0081】
図5のデバイスは、ビーム16を駆動する1つの電極のみを含む。励起源及び読み出し手段は図示されていない。
【0082】
本発明において、ピエゾ抵抗ゲージの少なくとも1つは弾性的であってよい。このことは、非線形なビーム変位状態が始まる閾値を取り除くことができることを意味する。
【0083】
この可能性の1つの例が、図6に図面として示されている。この図は、それぞれアンカー参照符号96、98、100及び102を有する4つのピエゾ抵抗ゲージ88、90、92及び94を有するビーム16を示している。
【0084】
ゲージ88及び90の軸は一致しており、ビームの一方の端部の対向する側面上にある。同様に、図に見られるように、ゲージ92及び94は、一致する軸を有し、ビーム16のもう一方の端部の対向する側面上にある。
【0085】
図6の例において、4つの電極、すなわち、図に見られるように、ゲージ88及び92と同じ側にある2つの電極104及び106並びにゲージ90及び94と同じ側にある2つの他の電極108及び110が、ビーム16を駆動するために用いられる。
【0086】
軸について並べられた2つのゲージは弾性的であり、例えばゲージ88及び90である。変形例として、4つのゲージ88、90、92及び94が弾性的である。
【0087】
例えば、デバイスの読み出し手段39は、アンカー96と100との間に接続され、例えば電源36は電極108及び110を励起する。
【0088】
ゲージが弾性的であることを必要とするのは、その長さが幅に対してずっと大きくなければならないこと、例えば幅の少なくとも10倍の長さでなければならないことだけであることに注意する必要がある。
【0089】
上述した本発明の例において、デバイスは共振するものであった。しかし、本発明はこの場合に限定されず、本発明に従うデバイスはまた非共振性であってもよい。
【0090】
そのようなデバイスの一例が、図7に図面として示されている。図に見られるように、どのような駆動手段も含まないことを除いて、図2に示されたデバイスと同一であり、図2の電極34(および電源32)は存在しない。同一の参照符号が、図7に現れる図2の要素に付されている。
【0091】
図7のデバイスは、静的または準静的な力を測定するために用いることができ、例えば、基板14上で部分的に支持され、ビーム16の自由端140上で部分的に支持される細胞138によって印加される力を測定することができる。この細胞は横軸方向38bにビーム16の静的または準静的な変位を引き起こす。
【0092】
本発明で用いられるピエゾ抵抗ゲージは、ドープされたシリコンからなるものであってよい。これらはまた金属からなるものであってもよく、このことを実現するために、シリコンをアモルファスになるまで非常に強くドープすることができる。例えばNiSiまたはPtSiのような金属−シリコン複合体からなるゲージもまた用いることができる。
【0093】
上に金属層、例えば金またはアルミニウム層が成膜されてゲージの感知部分を形成するシリコン要素からゲージを得ることもまた可能である。
【0094】
さらには、本発明のゲージは、同一(換言すれば同一の形状、同一の構成材料を有し、同一のドーピングがなされている)であってもよく、または異なるものであってもよい。
【0095】
本発明に従うデバイスは、表面技術によって形成することもできる。
【0096】
製造方法の例は、図8Aから8Cに図面として、部分的に示されている。
【0097】
第1の段階(図8A)は、シリコンのベース基板142、例えば0.4μmの厚さのSiO犠牲層144及び例えば4μmの厚さのシリコン層146を含むSOI基板上にTi/Ni/Au層を成膜するものである。コンタクト148のようなデバイスのコンタクトは、フォトリソグラフィ及びエッチングによって画定される。
【0098】
次の段階(図8B)は、フォトリソグラフィ及びDRIE(Deep Reaction Ion Etching)により、犠牲層144上で停止させ、デバイスの機械的構造149を画定するものである。
【0099】
次いで、デバイスの構成要素が、フッ酸(液体状または気体状)にさらされ、所定の時間後に停止し、リリースされる(図8C)。
【0100】
結果的に得られるものは、ゲージ150のようなピエゾ抵抗ゲージ、共振器152及び共振器の励起電極(図示されない)である。
【0101】
この方法において、フォトリソグラフィは、電子ビームを用いてなされてもよい。
【0102】
共振器自体、しかし特にピエゾ抵抗ゲージは、図9Aから9Dに図面として示される製造方法の他の例に従うトップダウン型表面技術によって形成されたナノワイヤーであってもよい。
【0103】
第1の段階は、SiO、SiGeまたはSiからなるものであってよい犠牲層154(図9A)を形成するものである。次いで活性層156が層154上に形成される。
【0104】
層156は、SiまたはSiGeからなるものであってもよい。これは、ビームやピエゾ抵抗ゲージのようなデバイスの様々な要素またはパターンが形成される層である。
【0105】
次いで、パターンを得るために必要な感光性樹脂マスク158が形成される。
【0106】
次いで、パターン160(図9B)のようなこれらのパターンが、フォトリソグラフィ及び活性層のエッチングによって形成される。その前にレジストトリミングが適用されてもよい。
【0107】
次の段階はパターン160の大きさを減少させ、丸くするための酸化、次いで酸化物の除去である(図9C)。
【0108】
次いで、パターン160は、SiOの場合にはフッ酸に、SiGeの場合にはメタン−酸素型プラズマにさらすことによってリリースされる(図9D)。
【符号の説明】
【0109】
2 共振器
4、5 埋め込み部
6 固定電極
8 交流電圧源
10 ひずみゲージ
12 応力測定手段
14 支持部
16 ビーム
18 変位検出手段
20、22 ピエゾ抵抗ひずみゲージ
24、26 アンカー
28 ビーム端部
30 ビーム上の点
32 駆動手段
34 電極
36 交流電圧源
39 読み出し手段
40、42、44、46 ピエゾ抵抗ゲージ
48、50、52、54 アンカー
56、58、60、62 電極
64 中央部
66、68 端部
70、72、74、76 ピエゾ抵抗ゲージ
78、80、82、84 アンカー
88、90、92、94 ピエゾ抵抗ゲージ
96、98、100、102 アンカー
104、106、108、110 電極
138 細胞
140 自由端
142 基板
144 犠牲層
146 シリコン層
149 機械的構造
150 ゲージ
152 共振器
154 犠牲層
156 層
158 感光性樹脂マスク
160 パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D