(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883873
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイのための投影スクリーンからなるディスプレイユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20160301BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-528679(P2013-528679)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-543598(P2013-543598A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】EP2011066065
(87)【国際公開番号】WO2012035128
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年4月30日
(31)【優先権主張番号】102010046007.9
(32)【優先日】2010年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ホープ、 クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル、 アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルンプ、 ホルスト
【審査官】
小林 俊久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−143125(JP,A)
【文献】
特開昭62−137236(JP,A)
【文献】
特開平07−238996(JP,A)
【文献】
特開2006−069266(JP,A)
【文献】
特開2002−340141(JP,A)
【文献】
特開2005−186913(JP,A)
【文献】
米国特許第05394203(US,A)
【文献】
特開平08−156646(JP,A)
【文献】
米国特許第03802764(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008054376(DE,A1)
【文献】
特開2008−128287(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00871280(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドアップディスプレイのための投影スクリーン(3)からなるディスプレイユニット(1)であって、投影スクリーン(3)が、傾斜軸(X)の周りを旋回可能にキャリアエレメント(2)上に載置されて配置されており、旋回デバイス(4)によってその傾斜を調節されることができ、キャリアエレメント(2)がディスプレイユニット(1)中で
投影スクリーン(3)を担持するエレメントであり、旋回デバイス(4)が2段ウォームギアからなり、第1のウォーム(6)が、駆動ユニット(7)の出力シャフトに結合され、第1の回転軸(R1)の周りを回転し、第1のウォーム(6)が、第2のウォーム(8)に動作的に接続されており、第2のウォーム(8)が、キャリアエレメント(2)中に回転可能に載置された第2の回転軸(R2)の周りを回転し、旋回デバイス(4)が、キャリアエレメント(2)に留め付けられた少なくとも1つのばねエレメント(10)を使って、キャリアエレメント(2)に、留め付けられて弾力的に載置されており、ばねエレメント(10)が、キャリアエレメント(2)上に置かれたU字形状の構成であり、回転軸(R2)の方向での第2のウォーム(8)の動きが、ばねエレメント(10)によって発生された予応力により補償され弱められることができるように、U字形状のばねエレメント(10)が、回転軸(R2)の両端部において予応力を発生するために、各端部面上で回転軸(R2)上に働くことを特徴とする、ディスプレイユニット(1)。
【請求項2】
第2のウォーム(8)が第1の領域(8.1)と第2の領域(8.2)を有し、第1の領域(8.1)は、その歯が第1のウォームホイール(6)とマッチするようにデザインされたギアホイールとしてデザインされており、第2の領域(8.2)は、ウォームホイール状のセクションを有することを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット(1)。
【請求項3】
2つのウォーム(6、8)の回転軸(R1、R2)が、お互いと本質的に直角に走ることを特徴とする、請求項1または2に記載のディスプレイユニット(1)。
【請求項4】
トランスミッションエレメント(9)が、投影スクリーン(3)の下方端部において配置されており、トランスミッションエレメント(9)が旋回デバイス(4)の働きを投影スクリーン(3)に伝送するエレメントであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のディスプレイユニット(1)。
【請求項5】
第2のウォーム(8)が第1の領域(8.1)と第2の領域(8.2)を有し、第1の領域(8.1)は、その歯が第1のウォームホイール(6)とマッチするようにデザインされたギアホイールとしてデザインされており、第2の領域(8.2)は、ウォームホイール状のセクションを有することと、
トランスミッションエレメント(9)が、投影スクリーン(3)の下方端部において配置されており、トランスミッションエレメント(9)が旋回デバイス(4)の働きを投影スクリーン(3)に伝送するエレメントであることと、
トランスミッションエレメント(9)と第2のウォーム(8)の第2の領域(8.2)の係合が、旋回デバイス(4)の働きを投影スクリーン(3)に伝送することをトランスミッションエレメント(9)に可能とするように、トランスミッションエレメント(9)が、トランスミッションエレメント(9)と動作的に接続された第2のウォーム(8)の第2の領域(8.2)に対向するサイド上の円の弧の一セグメントの形でデザインされていることを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット(1)。
【請求項6】
トランスミッションエレメント(9)が、投影スクリーン(3)の下方端部において配置されており、トランスミッションエレメント(9)が旋回デバイス(4)の働きを投影スクリーン(3)に伝送するエレメントであることと、
トランスミッションエレメント(9)の歯が、円の弧の一セグメントの形でトランスミッションエレメント(9)の下方表面上に提供され、第2のウォーム(8)とマッチするようにデザインされていることを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット(1)。
【請求項7】
トランスミッションエレメント(9)が、投影スクリーン(3)の下方端部において配置されており、トランスミッションエレメント(9)が旋回デバイス(4)の働きを投影スクリーン(3)に伝送するエレメントであることと、
トランスミッションエレメント(9)は、回転軸(R2)の周りの第2のウォーム(8)の回転動きが傾斜軸(X)の周りの投影スクリーン(3)の旋回動きに繋がるようなやり方で、第2のウォーム(8)に動作的に接続されていることを特徴とする、請求項1記載のディスプレイユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、請求項1の前文の特徴によるヘッドアップディスプレイのための投影スクリーンからなるディスプレイユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のヘッドアップディスプレイは、一般的に従来技術から知られており、その上に撮像ユニットによっておよびもし適切であれば光学モジュールによって車両情報が投影されるところの投影スクリーンを有するディスプレイユニットからなる。投影スクリーンは、この場合には透明であるようにデザインされており、車両ドライバーの視野範囲中に配置される。
【0003】
特に情報の幾何学形状的に歪みのない描写によって際立つ最適化されたディスプレイを車両ドライバーに提供するために、特にサイズと結果として得られる車両ドライバーの着座位置に依存して、水平に走る傾斜軸の周りの投影スクリーンの傾斜を設定する必要がある。非常に繊細な設定がこの場合には要求される。同時に、ヘッドアップディスプレイの動作中の位置の変化を避けるために、投影スクリーンを設定された位置にしっかりと固定することが必要である。
【発明の概要】
【0004】
その上に発明が基づいているところの目的は、ヘッドアップディスプレイのための投影スクリーンからなる改善されたディスプレイユニットを指定することである。
【0005】
ディスプレイユニットに関しては、目的は発明に従って、請求項1の特徴を有するヘッドアップディスプレイのための投影スクリーンからなるディスプレイユニットによって達成される。
【0006】
発明の好ましい洗練および発展は、従属請求項に指定される。
【0007】
発明による、ヘッドアップディスプレイのための投影スクリーンからなるディスプレイユニットでは、投影スクリーンが、傾斜軸の周りを旋回可能にキャリアエレメント中に載置されて配置されており、旋回デバイスによってその傾斜を調節されることができ、旋回デバイスが少なくとも1つのウォームギアからなる。投影スクリーンの傾斜の非常に繊細で厳密な設定がそれにより行われることができる一方で、同時にヘッドアップディスプレイの動作中および車両の動作中の投影スクリーンのしっかりした固定が実装される。
【0008】
ウォームギアは、一方において、厳密な再現可能性と共に、投影スクリーンの傾斜の非常に繊細な分解能で、連続し、厳密な設定を有することを可能とする。他方において、ウォームギアを使うことの結果は、ウォームホイールのギアホイールとの噛み合いとウォームホイールの駆動ユニットへの結合のおかげと、ウォームギアの自己ロックと結果として得られる駆動ユニットの機械的抵抗のために、投影スクリーンがその設定位置にしっかりと固定されることである。更には、ウォームギアの使用と結果として得られる高い削減により、設定の目的のために低いパワーの駆動ユニットを使うことが可能である。よって、ディスプレイユニットについての構築スペース要求と、投影スクリーンの傾斜を設定するための必要な電気的エネルギー量を低減することが可能である。
【0009】
旋回デバイスは、好ましくは2段ウォームギアから形成されている。そのような2段ウォームギアは、その高い削減のために、投影スクリーンの傾斜の特に繊細で厳密な設定を有することを可能とする。
【0010】
第1のウォームは、駆動ユニットの出力シャフトに積極的に、実質的に一体的におよび/または非積極的に結合され、第1の回転軸の周りを回転する。この場合には、駆動ユニットは、好ましくは従来のステッピングモーターとしてデザインされる。
【0011】
第1のウォームは便宜的に、第2のウォームに動作的に接続され、それはキャリアエレメント中に回転可能に載置された第2の回転軸の周りを回転する。
【0012】
好ましいデザインバリエーションでは、第2のウォームが第1の領域と第2の領域を有し、第1の領域は、その歯が第1のウォームとマッチするようにデザインされたギアホイールとして、特に螺旋状に歯の付けられたウォームホイールとしてデザインされており、第2の領域は、ウォームホイール状のフライトを有する。結果として、1ピースのコンポーネントによって2つの機能が行われることができるので、ディスプレイユニットの構造的エレメントの数が削減される。
【0013】
低摩擦動作を許容するために、2つのウォームホイールの回転軸は、好ましくはお互いと本質的に直角に走る。
【0014】
特に好ましいデザインバリエーションでは、トランスミッションエレメントが、投影スクリーンかまたは投影スクリーンのマウントの下方端部において配置され、トランスミッションエレメントは、第2のウォームの第2の領域に対向するサイド上の円の弧の一セグメントの形でデザインされている。
【0015】
特に好ましくは、歯が、円の弧の一セグメントの形のトランスミッションエレメント中に導入され、第2のウォームとマッチするようにデザインされているので、トランスミッションエレメントは、回転軸の周りの第2のウォームの回転動きが傾斜軸の周りの投影スクリーンの旋回動きに繋がるようなやり方で、第2のウォームに動作的に接続されている。削減された数のコンポーネンツでの単純な運動力学がよって投影スクリーンを旋回することの目的のために可能とされる。
【0016】
旋回デバイスは便宜的に、少なくとも1つのばねエレメントによってキャリアエレメントに、弾力的に載置されて留め付けられている。駆動ユニット、ウォームホイールおよび/またはトランスミッションエレメントの揺動、振動および/または加速と、結果として得られる駆動ユニット、ウォームおよび/またはトランスミッションエレメント上の摩擦および/または擦り減りが、それにより避けられるかまたは少なくとも低減される。
【0017】
特に好ましくは、回転軸の縦方向での第2のウォームの補償的動きが、ばねエレメントによって補償され弱められることができる。これを単純なやり方で可能とするために、ばねエレメントは、留め金状のやり方で少なくとも部分的に駆動ユニットまたはキャリアエレメントを取り囲み、同時に各場合において端部面上の回転軸上に働いて予応力を発生する。
【0018】
発明の例示的実施形態が図面によって以下により詳細に説明される。
【0019】
お互いに対応する部分は、全ての図面において同じ参照符号が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、ヘッドアップディスプレイのためのディスプレイユニットの詳細を斜視図で図式的に示す。
【
図2】
図2は、
図1によるディスプレイユニットの投影スクリーンと旋回デバイスの大幅に簡略化された断面描写を図式的に示す。
【
図3】
図3は、
図2による旋回デバイスの第1の斜視図を図式的に示す。
【
図4】
図4は、
図2による旋回デバイスの第2の斜視図を図式的に示す。
【
図5】
図5は、
図2による旋回デバイスの第3の斜視図を図式的に示す。
【
図6】
図6は、
図2による旋回デバイスの第4の斜視図を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ヘッドアップディスプレイのためのディスプレイユニット1の詳細を斜視図で描く。ディスプレイユニット1はキャリアエレメント2からなり、その中には投影スクリーン3が、水平に走る傾斜軸Xの周りを旋回可能に載置されて配置されている。
【0022】
キャリアエレメント2は、好ましくはより詳細には描かれていないやり方で、車両のインストルメントパネル中または上に留め付けられている。投影スクリーン3は、この場合には、それが車両ドライバーの視野範囲中では常時インストルメントパネルの上に位置するようなやり方でデザインされている。代替的に、投影スクリーン3は、より詳細には描かれていないやり方で完全に動かされることができる、つまり、特に、後者の表面の下方でインストルメントパネル内部の空洞中に導入されることができ、その使用が望まれた時には、この空洞から伸ばし出されることができる。
【0023】
旋回デバイス4は、投影スクリーン3を傾斜軸Xの周りで旋回させるために設けられている。
【0024】
図2は、投影スクリーン3と旋回デバイス4の大幅に簡略化された断面描写を示す。
図3から6は、旋回デバイス4を様々なビューで示す。
【0025】
旋回デバイス4は、第1のウォーム6から形成されたウォームギア5からなる。第1のウォーム6は、駆動ユニット7に結合されている。駆動ユニット7は、特に電気モーターとして、好ましくはステッピングモーターとしてデザインされており、第1のウォーム6は、より詳細には描かれていないやり方で駆動ユニット7の出力シャフトに積極的に、実質的に一体的におよび/または非積極的に結合されている。
【0026】
第1のウォーム6は、キャリアエレメント2中にその回転軸R2をもって載置されている第2のウォームに動作的に接続されている。2つのウォーム6、8の回転軸R1、R2は、この場合には、お互いと本質的に直角に走る。
【0027】
第1と第2のウォーム6、8の間の動作的接続を作るために、第2のウォーム8は、第1の領域8.1を有し、それは歯を有していて、よってギアホイール、特に螺旋状に歯の付けられたウォームホイール、を形成し、それは第1のウォーム6のフライト中に係合し、後者と噛み合う。
【0028】
駆動ユニット7によって第1のウォーム6中に導入されている回転軸R1の周りの回転動きによって、回転軸R2の周りの第2のウォーム8の回転動きがよって生成される。
【0029】
傾斜軸Xの周りの投影スクリーン3の旋回動きを生成するために、第2のウォーム8は第2の領域8.2を有する。フライト、特にウォームホイール状のフライトが、この第2の領域8.2中に導入され、投影スクリーン3の下方端部において配置されたトランスミッションエレメント9に動作的に接続される。このトランスミッションエレメント9は、第2のウォームホイール8の第2の領域8.2に対向するサイド上の円の弧の一セグメントの形でデザインされており、歯がトランスミッションエレメント9中に導入されており、第2のウォームホイール8の第2の領域8.2とマッチするようにデザインされている。歯は、この場合には、回転軸R2の周りの第2のウォームホイール8の回転動きが傾斜軸Xの周りの投影スクリーン3の旋回動きに繋がるようなやり方で、配置されている。
【0030】
駆動ユニット7、ウォーム6、8および/またはトランスミッションエレメント9の揺動、振動および/または加速と、結果として得られる駆動ユニット7、ウォーム6、8および/またはトランスミッションエレメント9上の摩擦および擦り減りを避けるために、旋回デバイス4は、キャリアエレメント2に、留め付けられて弾力的に載置される。
【0031】
この目的のために、少なくとも1つのばねエレメント10が設けられ、それがキャリアエレメント2に実質的に一体的に、非積極的におよび/または積極的に留め付けられる。ばねエレメント10は、この場合には、それが回転軸R2の縦方向での第2のウォーム8の補償的動きを許容するようなやり方でデザインされている。例えば、ばねエレメント10は、留め金状のやり方で少なくとも部分的に駆動ユニット7またはキャリアエレメント2を取り囲み、同時に各場合において端部面上の回転軸R2上に働く。
【0032】
投影スクリーン3が空洞中のインストルメントパネル内部に完全に降ろされることができるディスプレイユニット1の描かれていないバージョンでは、旋回デバイス4は好ましくは、投影スクリーン3を導入することおよび/または伸長することの動きを実行するためにデザインされて設けられる。
【符号の説明】
【0033】
1 ディスプレイユニット
2 キャリアエレメント
3 投影スクリーン
4 旋回デバイス
5 ウォームギア
6 第1のウォーム
7 駆動ユニット
8 第2のウォーム
8.1 第1の領域
8.2 第2の領域
9 トランスミッションエレメント
10 ばねエレメント
R1 回転軸
R2 回転軸
X 傾斜軸