特許第5883917号(P5883917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5883917
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】着座センサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/16 20060101AFI20160301BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   H01H13/16 B
   B60N2/44
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-261696(P2014-261696)
(22)【出願日】2014年12月25日
【審査請求日】2015年9月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】川平 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中崎 滋
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−258182(JP,A)
【文献】 特開2013−016285(JP,A)
【文献】 実開昭60−101347(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/16
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の絶縁シート上に配置されると共に前記一対の絶縁シート間に配置されるスペーサに形成される開口を介して対向する一対の電極を有する感圧スイッチを少なくとも1つ有するスイッチ部及び前記一対の絶縁シート間に配置され前記スイッチ部に電気的に並列に接続される抵抗素子を有する少なくとも1つの回路部と、
前記一対の絶縁シート間に配置され前記少なくとも1つの回路部に対しグランド側に接続されるグランド配線と、
を備え、
前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に少なくとも1つの前記回路部を囲み、
前記開口は、前記スペーサに形成されるエアベントを介して外部の空間に接続され、
前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記エアベントと重なる位置に設けられる
ことを特徴とする着座センサ。
【請求項2】
前記グランド配線における前記エアベントと重なる部位は、前記グランド配線における前記エアベントと重ならない部位の少なくとも一部よりも幅が広い
ことを特徴とする請求項に記載の着座センサ。
【請求項3】
前記エアベントは、前記スペーサに形成されるスリットを含んで形成され、
前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記スリットと重なる位置に設けられる
ことを特徴とする請求項またはに記載の着座センサ。
【請求項4】
前記エアベントは、前記一対の絶縁シートの一方に形成される開口を含んで形成され、
前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記エアベンドの前記開口と重なる位置に設けられる
ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項5】
前記抵抗素子と前記グランド配線とは互いに同層となる位置に形成される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着座センサ。
【請求項6】
一対の絶縁シート上に配置されると共に前記一対の絶縁シート間に配置されるスペーサに形成される開口を介して対向する一対の電極を有する感圧スイッチを少なくとも1つ有するスイッチ部及び前記一対の絶縁シート間に配置され前記スイッチ部に電気的に並列に接続される抵抗素子を有する少なくとも1つの回路部と、
前記一対の絶縁シート間に配置され前記少なくとも1つの回路部に対しグランド側に接続されるグランド配線と、
を備え、
前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に少なくとも1つの前記回路部を囲み、
前記抵抗素子は、前記一対の絶縁シートのうち一方の絶縁シートの面上に配置され、
前記抵抗素子が配置される前記絶縁シートにおける前記抵抗素子が配置される面と反対側の面上には、当該絶縁シートよりも高防湿性の防湿部材が前記抵抗素子を覆うように配置される
ことを特徴とする着座センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席に静電気が生じる場合に好適な着座センサに関する。
【背景技術】
【0002】
車両における安全システムの一つとして、乗車時にシートベルトが非着用であることを警告するアラームシステムが実用化されている。このアラームシステムでは、人の着座が感知されている状態でシートベルトの着用が非感知となる場合に、警告が発せられる。この人の着座を感知するセンサとして、着座による荷重を感知する着座センサが用いられる場合がある。
【0003】
下記特許文献1には、複数の座席のうちどの座席に乗員が着座しているかを検知する着座センサが記載されている。この着座センサは、センサ部と、センサ部に並列に接続される抵抗素子との組を一対の端子間に複数備えており、これら複数の組が互いに直列に接続されている。そして、これら複数の組のそれぞれにおける抵抗素子の抵抗値は互いに異なり、かつ、それら抵抗素子の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なる。
【0004】
この様な構成により、各組のセンサ部における検知又は非検知の組み合わせごとに端子間の抵抗が異なることになる。従って、センサ部と抵抗素子との組が各座席に1つずつ割り当てられることにより、センサ部に接続される一対の端子から出力される信号に基づいて、複数の座席に対する着座の有無を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−16285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に記載の着座センサは、抵抗値により乗員が着座している座席を検知することができる。従って、それぞれの抵抗の抵抗値が変化しないことが重要となる。ところで、座席に乗員が着座する際等において、静電気が発生する場合がある。この静電気による電流が着座センサ内の抵抗素子に流れると、抵抗素子が発熱し、抵抗素子の抵抗値が変化することがある。
【0007】
そこで、本発明は、静電気に対する耐性に優れる着座センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の着座センサは、一対の絶縁シート上に配置されると共に前記一対の絶縁シート間に配置されるスペーサに形成される開口を介して対向する一対の電極を有する感圧スイッチを少なくとも1つ有するスイッチ部及び前記一対の絶縁シート間に配置され前記スイッチ部に電気的に並列に接続される抵抗素子を有する少なくとも1つの回路部と、前記一対の絶縁シート間に配置され前記少なくとも1つの回路部に対しグランド側に接続されるグランド配線と、を備え、前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に少なくとも1つの前記回路部を囲むことを特徴とするものである。
【0009】
メンブレンスイッチ等のように絶縁シート間に電極を配置した感圧スイッチを用いる着座センサに抵抗素子が配置される場合、一般的に当該抵抗素子は特許文献1に記載の着座センサのように絶縁シート間に配置される。この抵抗素子はどの回路部のスイッチ部がオンとなるのかを検出するためのものであり、スイッチ部と電気的に並列に接続される。このような構成の着座センサに静電気が落ちる場合、静電気は、絶縁シートを面に垂直に抜けるのではなく、一対の絶縁シート間から内部の回路に流れる。このとき、本発明の着座センサによれば、一対の絶縁シート間に配置されるグランド配線が感圧スイッチや抵抗素子を有する回路部を囲んでいるので、外部から静電気が一対の絶縁シート間を介して落ちる場合であっても、静電気はグランド配線に流れる傾向にある。従って、少なくともグランド配線で囲まれる回路部には、静電気が落ちることが抑制される。しかも、グランド配線は回路部に対しグランド側に接続されるため、グランド配線に流れる静電気は回路部に流れることが抑制される。つまり静電気が抵抗素子に流れることが抑制される。このため、上記着座センサは、静電気により抵抗値が変化することが抑制できるので、静電気に対する耐性に優れる。
【0010】
また、前記開口は、前記スペーサに形成されるエアベントを介して外部の空間に接続され、前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記エアベントと重なる位置に設けられることが好ましい。
【0011】
エアベンドを介して一対の電極間の開口による所定の空間内の空気を外部に放出する構造においては、当該エアベンドから静電気が電極間に侵入する傾向がある。そこで、上記のようにエアベンドと重なる位置にグランド配線が配置されることにより、エアベンドから侵入する静電気をグランド配線に流れ易くすることができる。
【0012】
この場合、前記グランド配線における前記エアベントと重なる部位は、前記グランド配線における前記エアベントと重ならない部位の少なくとも一部よりも幅が広いことが好ましい。
【0013】
グランド配線における静電気の侵入が起こり易いエアベンドと重なる位置の幅を広くすることにより、当該位置での電気的な耐圧を高くすることができる。また、静電気をより吸収しやすくなる。従って、静電気に対する耐性をより高くすることができる。
【0014】
また、前記エアベントは、前記スペーサに形成されるスリットを含んで形成され、前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記スリットと重なる位置に設けられることとしても良い。
【0015】
スペーサに形成されるスリットは、スペーサの面方向に延在する。このようにエアベンドをスペーサの面方向に延在させることで、着座センサを折り曲げて使用する際など、グランド配線の位置が多少ずれた場合にエアベンドとグランド配線とが重ならなくことを抑制することができる。
【0016】
また、前記エアベントは、前記一対の絶縁シートの少なくとも一方に形成される開口を含んで形成され、前記グランド配線は、前記一対の絶縁シートを平面視する場合に前記絶縁シートに形成される前記開口と重なる位置に設けられることとしても良い。
【0017】
このようにエアベンドが絶縁シートの面方向に垂直に形成されることで、絶縁シート間から入ってくる静電気だけでなく、絶縁シートの表面から絶縁シート間に入ってくる静電気も吸収し易くすることができる。
【0018】
また、前記抵抗素子と前記グランド配線とは互いに同層となる位置に形成されることが好ましい。
【0019】
抵抗素子とグランド配線とが同層となる位置に形成されることで、絶縁層とグランド層とが別の層に形成されるよりも、絶縁層の面方向に沿って流れる静電気が抵抗素子に流れることをより一層低減することができる。従って、このような構成とすることで、抵抗素子を静電気からより一層保護することができる。
【0020】
また、前記抵抗素子は、前記一対の絶縁シートのうち一方の絶縁シートの面上に配置され、前記抵抗素子が配置される前記絶縁シートにおける前記抵抗素子が配置される面と反対側の面上には、当該絶縁シートよりも高防湿性の防湿部材が前記抵抗素子を覆うように配置されることが好ましい。
【0021】
着座センサが、多湿な環境下に配置されると絶縁シートを介して空気中の水分が着座センサ内に侵入する場合がある。この場合、絶縁シートの面上に抵抗素子が配置されていると抵抗素子の抵抗値が侵入する水分により変化する傾向がある。そこで、上記の様に防湿部材を配置することで、多湿な環境下であっても抵抗素子の抵抗値が変化することを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、静電気に対する耐性に優れる着座センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す斜視図である。
図2図1に示す着座センサの分解図である。
図3図1に示す着座センサを示す平面図である。
図4図3に示す感圧スイッチを通る面における着座センサの断面図である。
図5図1に示す着座センサの等価回路図である。
図6図3のV−V線を通る面における着座センサの断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る着座センサを図3と同様の方法で示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る着座センサを図2と同様の方法で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、接続という場合には、電気的に接続されることを意味する場合がある。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す斜視図である。図1に示すように、着座センサ1は、一方の電極シートとしての第1電極シート10と、他方の電極シートとしての第2電極シート20と、スペーサ30と、防湿部材41〜43とを主な構成要素として備える。なお、本実施形態の着座センサ1は、車両の後部座席等の3人掛けシートに配置される着座センサである。
【0026】
図2は、図1の着座センサの分解図である。具来的には、図2(A)は第2電極シート20を示す図であり、図2(B)はスペーサ30を示す図であり、図2(C)は第1電極シート10を示す図であり、図2(D)は防湿部材41〜43を示す図である。なお、図2は、第2電極シート20側からそれぞれのシートを見た図である。
【0027】
一方の電極シートである第1電極シート10は、一方の絶縁シートとしての第1絶縁シート10sと、第1電極11〜16と、端子En,Epと、抵抗素子R1〜R3と、これら第1電極11〜16、端子En、Ep、抵抗素子R1〜R3を電気的に接続する配線とを主な構成要素として備える。
【0028】
第1絶縁シート10sは、可橈性を有するシートから成り、略長方形状のメインブロックBmと、そのメインブロックBmの長手方向の一端に連結され、メインブロックBmよりも小さい面積の略長方形状のサブブロックBsとから成る。また、第1絶縁シート10sは絶縁性の材料から成り、このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等の樹脂を挙げることができる。
【0029】
第1電極11〜16は、それぞれ略円形の形状とされ、第1絶縁シート10sの一方の面上において、直線状に並ぶ状態で配置されている。なお、第1電極11〜16が配置される面は、第2電極シート20と対向する側の面である。
【0030】
抵抗素子R1〜R3は、第1絶縁シート10sの上記第1電極11〜16が設けられる一方の面上に設けられる。抵抗素子R1は、第1電極11と第1電極12との間に配置され、抵抗素子R2は、第1電極13と第1電極14との間に配置され、抵抗素子R3は、第1電極15と第1電極16との間に配置される。これら抵抗素子R1〜R3の抵抗値は互いに異なり、かつ、抵抗素子R1〜R3の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なっている。例えば、単位長あたりの抵抗値が同程度である抵抗素子R1〜R3の長さが、4:2:1とされることで、抵抗素子R1〜R3の抵抗値が、R1:R2:R3=4:2:1とされる。
【0031】
なお、抵抗素子R1〜R3は、例えば印刷抵抗で構成され、配線よりも抵抗値が高い材料から成り、例えば導電粒子と樹脂バインダとの混合物から成る。導電粒子としては、金属粒子、インジュウムドープ酸化スズなどの半導体粒子、および、グラファイトやカーボンブラックなどのカーボン系粒子などが挙げられ、抵抗値を調整することが容易なカーボン系粒子が好ましい。また、樹脂バインダとしては、シリコーンゴム系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0032】
そして、第1電極11と抵抗素子R1とは配線51aで互いに接続され、抵抗素子R1と第1電極12とは配線51bで互いに接続される。また、第1電極12と第1電極13とは配線52により互いに接続される。また、第1電極13と抵抗素子R2とは配線52aで互いに接続され、抵抗素子R2と第1電極14とは配線52bで互いに接続される。また、第1電極14と第1電極15とは配線53により互いに接続される。また、第1電極15と抵抗素子R3とは配線53aで互いに接続され、抵抗素子R3と第1電極16とは配線53bで互いに接続される。このため、第1電極11、抵抗素子R1、第1電極12、第1電極13、抵抗素子R2、第1電極14、第1電極15、抵抗素子R3、第1電極16は、この順に接続される。
【0033】
端子En,Epは、略四角形の形状とされ、第1絶縁シート10sのサブブロックBsのうち、第1電極11〜16が配置されている面と同じ面上に配置されている。端子Epは、プラス端子とされ、着座センサ1が接続される機器の正極側の端子に接続される。一方、端子Enはグランド端子とされ、着座センサ1が接続される機器のグランド側の端子に接続される。
【0034】
端子Epと第1電極11とは、配線51により互いに接続される。一方、端子Enはグランド配線60に接続される。グランド配線60は、第1電極11〜16が配置されている面と同じ面上に配置され、第1配線部分61と、第2配線部分62と、第3配線部分63とから成る。第1配線部分は、第1絶縁シート10sを平面視する場合に、第1電極11〜16及び抵抗素子R1〜R3の並びに対して概ね平行に延在し、第1絶縁シート10sの面方向において第1電極11〜16及び抵抗素子R1〜R3と重なる。また、第2配線部分62は、第1電極16を基準とした端子En側と反対側において第1配線部分61に対して概ね垂直に延在し、一端が第1配線部分61に接続する。また、第3配線部分63は、第1電極11〜16及び抵抗素子R1〜R3を基準として第1配線部分61側と反対側において第1配線部分61に対して概ね平行に延在して第2配線部分62の他端と接続され、第1絶縁シート10sの面方向において第1電極11〜16及び抵抗素子R1〜R3と重なる。こうして、グランド配線60は、第1絶縁シート10sを平面視する場合に、第1電極11〜16及び抵抗素子R1〜R3を囲む。
【0035】
他方の電極シートである第2電極シート20は、他方の絶縁シートとしての第2絶縁シート20sと、第2絶縁シート20sの表面に形成される第2電極21〜26と、配線71〜73とを主な構成要素として有する。
【0036】
第2絶縁シート20sは、可橈性を有するシートから成り、第1絶縁シート10sにおけるメインブロックBmと合同の形状とされる。第2絶縁シート20sは、絶縁性を有し、例えば第1絶縁シート10sと同様の材料からなる。第2絶縁シート20sにおける可撓性は、第1絶縁シート10sと同程度とされるが、異なっていても良い。
【0037】
第2電極21〜26は、第1電極11〜16と同様の構成とされ、第1電極シート10と対向する側の面上に配置される。さらに、第2電極シート20が第1電極シート10のメインブロックBmと重ね合わせられたときに、第1電極11と第2電極21とが重なり、第1電極11と第2電極21とが重なり、第1電極11と第2電極21とが重なり、第1電極12と第2電極22とが重なり、第1電極13と第2電極23とが重なり、第1電極14と第2電極24とが重なり、第1電極15と第2電極25とが重なり、第1電極16と第2電極26とが重なるように、第2電極21〜26は配置されている。
【0038】
第2電極21と第2電極22とは配線71により互いに接続され、第2電極23と第2電極24とは配線72により互いに接続され、第2電極25と第2電極26とは配線73により互いに接続されている。
【0039】
スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなり、例えば第1絶縁シート10sと同様の材料からなる。そして、スペーサ30は、外形が第2電極シート20と概ね一致している。
【0040】
スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口31〜36が形成されている。開口31〜36は、周縁が略円形の形状であり、第1電極11〜16及び第2電極21〜26の直径よりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、スペーサ30を第1電極シート10のメインブロックBm及び第2電極シート20と重ね合わせて、スペーサ30を平面視する場合に、開口31が第1電極11及び第2電極21の周縁の内側に位置し、開口32が第1電極12及び第2電極22の周縁の内側に位置し、開口33が第1電極13及び第2電極23の周縁の内側に位置し、開口34が第1電極14及び第2電極24の周縁の内側に位置し、開口35が第1電極15及び第2電極25の周縁の内側に位置し、開口36が第1電極16及び第2電極26の周縁の内側に位置するように、開口31〜36は形成されている。
【0041】
さらにスペーサ30には、エアベンドであるスリット31s〜36sが形成されている。スリット31sは開口31をスペーサ30の外部と空間的に接続し、スリット32sは開口32をスペーサ30の外部と空間的に接続し、スリット33sは開口33をスペーサ30の外部と空間的に接続し、スリット34sは開口34をスペーサ30の外部と空間的に接続し、スリット35sは開口35をスペーサ30の外部と空間的に接続し、スリット36sは開口36をスペーサ30の外部と空間的に接続している。なお、本実施形態では、スペーサ30を平面視する場合に、スリット31s、33s、35sがスペーサ30の一方の側面側に形成され、スリット32s、34s、36sがスペーサ30の他方の側面側に形成されている。
【0042】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着材が塗布されている。
【0043】
防湿部材41〜43は、本実施形態では、略長方形の形状をしており、第1絶縁シート10sよりも透湿性が低いすなわち防湿性に優れるシート状の部材とされる。第1絶縁シート10sが、上記のような樹脂から成るシートである場合、防湿部材41〜43を構成するシートとしては、例えば、金属箔、ガラス箔、樹脂性のシートの表面に金属層やガラス層が設けられたシート等を挙げることができる。金属層が設けられたシートとしては、例えば、樹脂シートの表面上にアルミニウム等の金属が蒸着されたシートを挙げることができる。また、ガラス層が設けられたシートとしては、樹脂シートの表面上に薄いガラス層が貼着されたシートを挙げることができる。また、防湿部材41〜43として、第1絶縁シート10s上に蒸着等により金属層が形成されてなるものを挙げることができる。この金属層の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましい。金属の厚さが5nm以上とされることで十分に防湿性を担保できる。なお、防湿部材41〜43に金属箔が用いられる場合には、金属箔の厚さは10μm以上0.1mm以下とされることが好ましい。、金属箔の厚さが10μm以上とされることで十分な強度を確保でき、金属箔の厚さが0.1mm以下とされることで着座センサ1が湾曲した際に復元性を十分に確保できる。
【0044】
図3は、着座センサ1を第1電極シート10側から平面視する図である。なお、理解の容易のため、第1電極シート10の第1電極11〜16、抵抗素子R1〜R3、配線、及び、第2電極シート20の第2電極21〜26、配線を破線で示し、スペーサ30の開口31〜36、スリット31s〜36sを点線で示す。
【0045】
図3に示すように、第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とがこの順に貼着された状態で、第1電極シート10の第1電極11〜16、抵抗素子R1〜R3、配線、及び、第2電極シート20の第2電極21〜26、配線は、第1絶縁シート10sと第2絶縁シート20sとの間に位置する。そして、第1電極11と第2電極21と対向して感圧スイッチSW1を構成する。図4は、感圧スイッチSW1を通る面における着座センサ1の断面図である。なお、図4では、第1電極シート10が上側の様子を示している。図4に示すように、第1電極11と第2電極21とは、開口31を介して互いに対向し、特に圧力が付加されていない状態では互いに離間している。同様に、第1電極12と第2電極22とが開口32を介して対向して感圧スイッチSW2を構成し、第1電極13と第2電極23とが開口33を介して対向して感圧スイッチSW3を構成し、第1電極14と第2電極24とが開口34を介して対向して感圧スイッチSW4を構成し、第1電極15と第2電極25とが開口35を介して対向して感圧スイッチSW5を構成し、第1電極16と第2電極26とが開口36を介して対向して感圧スイッチSW6を構成する。
【0046】
図5は、着座センサ1の等価回路を示す図である。図5に示すように、感圧スイッチSW1、感圧スイッチSW2は直列に接続され、感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2で第1スイッチ部SWB1を形成する。同様に、感圧スイッチSW3、感圧スイッチSW4は直列に接続され、感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4で第2スイッチ部SWB2を形成し、感圧スイッチSW5、感圧スイッチSW6は直列に接続され、感圧スイッチSW5と感圧スイッチSW6で第3スイッチ部SWB3を形成する。また、抵抗素子R1と第1スイッチ部SWB1とが電気的に並列に接続され、抵抗素子R2と第2スイッチ部SWB2とが電気的に並列に接続され、抵抗素子R1と第3スイッチ部SWB3とが電気的に並列に接続される。
【0047】
本実施形態では、感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2とからなる第1スイッチ部SWB1と抵抗素子R1とで着座を検出する1つの検出回路部CI1が形成され、感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4とからなる第2スイッチ部SWB2と抵抗素子R2とで着座を検出する他の1つの検出回路部CI2が形成され、感圧スイッチSW5と感圧スイッチSW6とからなる第3スイッチ部SWB3と抵抗素子R3とで着座を検出する更に他の1つの検出回路部CI3が形成される。これら3つの検出回路部CI1〜CI3は直列に接続される。
【0048】
また、図3から明らかなように、検出回路部CI1では、抵抗素子R1が、感圧スイッチSW1及び感圧スイッチSW2に挟まれる位置に配置され、感圧スイッチSW1と抵抗素子R1と感圧スイッチSW2とが直線状に並んでいる。同様に、検出回路部CI2では、抵抗素子R2が、感圧スイッチSW3及び感圧スイッチSW4に挟まれる位置に配置され、感圧スイッチSW3と抵抗素子R2と感圧スイッチSW4とが直線状に並んでいる。また同様に、検出回路部CI3では、抵抗素子R3が、感圧スイッチSW5及び感圧スイッチSW6に挟まれる位置に配置され、感圧スイッチSW5と抵抗素子R3と感圧スイッチSW6とが直線状に並んでいる。
【0049】
また、図3図5から明らかなように、グランド配線60は、これら3つの検出回路部CI1〜CI3に対してグランド側に接続されることとなる。また、グランド配線60は、第1絶縁シート10sを平面視する場合に、上記のように第1電極11〜16、抵抗素子R1〜R3を囲むため、第1絶縁シート10s及び第2絶縁シート20sから成る一対の絶縁シートを平面視する場合に、それぞれの検出回路部CI1〜CI3を囲む。更に、当該一対の絶縁シートを平面視する場合にグランド配線60のうち、第1配線部分61はスペーサ30の一方の側面側に形成されるスリット32s、34s、36sと重なり、第3配線部分63はスペーサ30の他方の側面側に形成されるスリット31s、33s、35sと重なる。また、グランド配線60及び抵抗素子R1〜R3はそれぞれ第1絶縁シート10sの一方の面上に設けられているため、グランド配線60と抵抗素子R1〜R3とは互いに同層に設けられている。
【0050】
図6は、図3のV−V線を通る面、すなわち抵抗素子R1を通る面における着座センサ1の断面図である。なお、図4では、第1電極シート10が上側の様子を示している。図3図6より明らかなように、防湿部材41は、第1電極シート10の第1電極11や抵抗素子R1が配置されている側の面と反対側の面上に貼着される。そして、第1絶縁シート10sを平面視する場合に、防湿部材41は少なくとも抵抗素子R1を覆う位置に貼着される。同様に、防湿部材42及び防湿部材43は、第1電極シート10の防湿部材41が貼着される面に貼着され、第1絶縁シート10sを平面視する場合に、防湿部材42は抵抗素子R2を覆い、防湿部材43は抵抗素子R3を覆っている。
【0051】
次に着座センサ1による着座の検出について説明する。
【0052】
上記のように、本実施形態の着座センサ1は、車両の後部座席等の3人掛けシートに配置される着座センサである。このため、3人掛けシートにおいて、一方の端の座席に検出回路部CI1が位置し、中心の座席に検出回路部CI2が位置し、他方の端の座席に検出回路部CI3が位置するように、着座センサ1は配置される。そして、端子Epが外部の図示しない測定器の正極端子に接続され、端子Enが当該測定器のグランド端子に接続される。
【0053】
この状態で、例えば、一方の端の座席に乗員が着座する場合、感圧スイッチSW1及び感圧スイッチSW2がオンとなる。このため、抵抗素子R1と配線71とが並列に接続され、感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2との間の抵抗値が下がる。同様に、中の座席に乗員が着座する場合、感圧スイッチSW3及び感圧スイッチSW4がオンとなり、抵抗素子R2と配線72とが並列に接続されて、感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4との間の抵抗値が下がる。同様に、他方の端の座席に乗員が着座する場合、感圧スイッチSW5及び感圧スイッチSW6がオンとなり、抵抗素子R3と配線73とが並列に接続され、感圧スイッチSW5と感圧スイッチSW6との間の抵抗値が下がる。
【0054】
上記のように、抵抗素子R1〜R3の抵抗値は互いに異なり、かつ、抵抗素子R1〜R3の組み合わせごとに合計の抵抗値が異なっている。例えば、抵抗素子R1の抵抗値が4であり、抵抗素子R2の抵抗値が2であり、抵抗素子R3の抵抗値が1である場合、乗員の着座によって次のように着座センサ1の抵抗値が異なる。なお、次の説明において抵抗素子R1〜R3以外の抵抗は無視できるものとする。乗員が座っていない状態では、着座センサ1の抵抗は7となる。乗員が一方の端の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は3となる。乗員が中の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は5となる。乗員が他方の端の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は6となる。乗員が一方の端の座席及び中の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は1となる。乗員が一方の端の座席及び他方の端の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は2となる。乗員が中の座席及び他方の端の座席に着座する場合、着座センサ1の抵抗は4となる。乗員が3つの座席全てに着座している状態では、着座センサ1の抵抗は0となる。こうして何処の座席に乗員が着座しているかを検出することができる。
【0055】
次に着座センサ1の耐久性について説明する。
【0056】
乗員が着座する際に乗員の衣服と座席の表皮との摩擦等により、静電気が発生することがあり、この静電気が着座センサ1内に侵入することがある。この場合、静電気は、第1絶縁シート10sや第2絶縁シート20sを面に垂直に抜けるのではなく、第1絶縁シート10sと第2絶縁シート20sとの間から内部の回路に落ちる。しかし、本実施形態の着座センサ1によれば、第1絶縁シート10sと第2絶縁シート20sから成る一対の絶縁シート間に配置されるグランド配線60が感圧スイッチSW1〜SW6や抵抗素子R1〜R3を有する検出回路部CI1〜CI3を囲んでいる。従って、着座センサ1の外部から静電気が一対の絶縁シート間を介して内部の回路に落ちる場合であっても、静電気はグランド配線60に流れる傾向にある。従って、少なくともグランド配線60で囲まれる検出回路部CI1〜CI3に静電気が流れることが抑制される。しかも、グランド配線60は、検出回路部CI1〜CI3に対しグランド側に接続される。このため、グランド配線60に流れる静電気は、抵抗素子R1〜R3を含む検出回路部CI1〜CI3に流れることが抑制される。従って、本実施形態の着座センサ1は、静電気に対する耐性に優れ、静電気により抵抗素子R1〜R3の抵抗値が変化することが抑制できる。
【0057】
また、本実施形態の着座センサ1のようにエアベンドが形成されている場合には、静電気は当該エアベンドから着座センサ1内の回路に侵入する傾向がある。しかし、本実施形態の着座センサ1では、一対の絶縁シートを平面視する場合に、上記のように、グランド配線60の第1配線部分61がエアベンドであるスリット32s、34s、36sと重なり、第3配線部分63がエアベンドであるスリット31s、33s、35sと重なる。従って、エアベンドを介して着座センサ1内に侵入する静電気は、グランド配線60に流れ易い。こうして、本実施形態の着座センサ1は、静電気が検出回路部CI1〜CI3に流れることがより抑制され、抵抗素子R1〜R3の抵抗値が変化することがより抑制されている。
【0058】
また、エアベンドがスペーサ30の面方向に延在するスリット31s〜36sから成るため、着座センサを折り曲げて使用する際や着座センサ1を製造する際に、グランド配線60の位置が多少ずれた場合にエアベンドとグランド配線60とが重ならなくことを抑制することができる。
【0059】
更に、本実施形態の着座センサ1では、上記のように、一対の絶縁シートを平面視する場合に、検出回路部CI1〜CI3を囲むグランド配線60のうち第1配線部分61はスペーサ30に形成されるスリット32s、34s、36sと重なり、第3配線部分63はスペーサ30に形成されるスリット31s、33s、35sと重なる。つまり本実施形態の着座センサ1は、複数の感圧スイッチSW1〜SW6を有し、少なくとも1つの感圧スイッチSW2,SW4,SW6のそれぞれの開口32,34,36に繋がるスリット32s、34s,36sが複数の感圧スイッチSW1〜SW6の並びの一方側に延在し、他の少なくとも1つの感圧スイッチSW1,SW3,SW5のそれぞれの開口31,33,35に繋がるスリット31s、33,35sが複数の感圧スイッチSW1〜SW6の並びの他方側に延在し、グランド配線60は、感圧スイッチSW1〜SW6の並びの一方側に延在するスリット32s、34s,36s及び他方側に延在するスリット31s、33,35sの両方と重なる。このため静電気が着座センサ1内に侵入する場合であっても、検出回路部CI1〜CI3を基準とした両側から静電気が侵入し易く、グランド配線60の一部のみに高圧が印加されることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態の着座センサ1では、上記のように、グランド配線60と抵抗素子R1〜R3とは互いに同層に設けられている。従って、グランド配線60と抵抗素子R1〜R3とは互いに同層に設けられていない場合よりも、静電気が抵抗素子R1〜R3に流れることを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の着座センサ1は、第1絶縁シート10sよりも防湿性に優れる防湿部材41〜43を有しており、これらの防湿部材41〜43が第1絶縁シート10s上における抵抗素子41〜43が配置される側の面と反対側の面上における抵抗素子R1〜R3を覆う位置に配置されている。従って、第1絶縁シート10sを透過してしまうような空気中の水分を防湿部材41〜43がブロックし、抵抗素子R1〜R3に水が侵入することを抑制している。このように抵抗素子R1〜R3に水が侵入することが抑制されることで、水により抵抗素子R1〜R3の抵抗値が変化することを抑制することができる。特に抵抗素子R1〜R3にバインダ樹脂が含まれ、当該バインダ樹脂がポリエステル樹脂等の加水分解を起こしやすい材料から成る場合には、抵抗素子R1〜R3に水が侵入すると抵抗値が大きく変化する傾向があるため、本実施形態のように防湿部材41〜43で抵抗素子R1〜R3が覆われることが好ましい。
【0062】
また、本実施形態の着座センサ1では、抵抗素子41が感圧スイッチSW1と感圧スイッチSW2との間に配置される。従って、第1絶縁シート10sと第2絶縁シート20sとの間に水分が侵入しても、感圧スイッチSW1を基準とした抵抗素子41側と反対側に位置する水分や、感圧スイッチSW2を基準とした抵抗素子41側と反対側に位置する水分が、抵抗素子41に到達することを感圧スイッチSW1や感圧スイッチSW2により阻止することができる。同様に抵抗素子42が感圧スイッチSW3と感圧スイッチSW4との間に配置され、抵抗素子43が感圧スイッチSW5と感圧スイッチSW6との間に配置される。従って、第1絶縁シート10sと第2絶縁シート20sとの間に水分が侵入しても、感圧スイッチSW3を基準とした抵抗素子42側と反対側に位置する水分や、感圧スイッチSW4を基準とした抵抗素子42側と反対側に位置する水分が、抵抗素子42に到達することを感圧スイッチSW3や感圧スイッチSW4により阻止することができ、感圧スイッチSW5を基準とした抵抗素子43側と反対側に位置する水分や、感圧スイッチSW6を基準とした抵抗素子43側と反対側に位置する水分が、抵抗素子43に到達することを感圧スイッチSW5や感圧スイッチSW6により阻止することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0064】
図7は、本実施形態の着座センサを図3と同様の方法で示す図である。着座センサ2は、グランド配線60におけるエアベンドであるスリット31s〜36sと重なる部位が、グランド配線60におけるスリット31s〜36sと重ならない部位の少なくとも一部よりも幅が広い点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。具体的には、グランド配線60において、スリット31sと重なる部位60aは、当該部位60aよりも細いグランド配線で挟まれている。同様にスリット32sと重なる部位60b、及び、スリット33sと重なる部位60c、及び、スリット34sと重なる部位60d、及び、スリット35sと重なる部位60e、及び、スリット36sと重なる部位60fは、それぞれこれら部位よりも細い配線に挟まれている。
【0065】
エアベンドから静電気が侵入してグランド配線に流れる場合、エアベンドとグランド配線とが重なる部位の電圧は他の部位よりも高くなる。このため本実施形態の様な構成により、スリット31s〜36sから侵入する静電気に対する耐圧を向上させることができる。従って、本実施形態の着座センサ2は、静電気に対する耐性をより高くすることができる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0067】
図8は、本実施形態の着座センサを図2と同様の方法で示す図である。図8に示すように、本実施形態着座センサでは、開口31〜36に連結されるエアベンドが、第2絶縁シート20sに形成される開口と、スペーサ30に形成されるスリット及び開口31〜36とは別に形成された開口とから形成される。
【0068】
具体的には、第2絶縁シート20sには、第2電極21,23,25を第2電極21〜26の並び方向と垂直な方向に移動させる場合における第1配線部分61と重なる位置に、第2電極21,23,25よりも小径でグランド配線60の線幅よりも大径の開口21h,23h,25hが形成されている。同様にして、第2電極22,24,26を第2電極21〜26の並び方向と垂直な方向に移動させる場合における第3配線部分63と重なる位置に、第2電極22,24,26よりも小径でグランド配線60の線幅よりも大径の開口22h,24h,26hが形成されている。
【0069】
また、スペーサ30における第2絶縁シート20sの開口21h〜26hと重なる位置には開口31h〜36hが形成されている。さらにスペーサ30には、開口31〜36と開口31h〜36hとを接続するスリット31s〜36sが形成されている。
【0070】
またさらに、第1電極シート10の第1配線部分61における開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重なるそれぞれの部位60a〜60fは、当該開口の形状に合わせた形状とされている。この結果、グランド配線60における開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重なる部位60a〜60fが、グランド配線60における開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重ならない部位よりも幅が広くされている。
【0071】
本実施形態の着座センサでは、第1電極11〜16と第2電極21〜26の互いに対向する電極同士が接触して乗員の着座を検出する際、開口31〜36による所定の空間内の空気は、スリット31s〜36s、開口31h〜36h及び開口21h〜26hを通過して外部に放出される。つまり、本実施形態では、スリット31s〜36s、開口31h〜36h及び開口21h〜26hにより開口31〜36のそれぞれに対するエアベンドが形成されている。
【0072】
ところで、このようなエアベンドが形成されると、当該エアベンドから静電気が侵入する傾向がある。しかし、本実施形態の着座センサでは、開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重なる位置にグランド配線60が配置されている。しかも、グランド配線60の第1配線部分61における開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重なる部位60a〜60fは、開口21h〜26h及び開口31h〜36hと重なる部分よりも幅が広くされる。従って、開口21h〜26hから侵入する静電気はグランド配線60に流れる傾向にある。こうして、本実施形態の着座センサによれば、それぞれの検出回路部CI1〜CI3に静電気が流れて、抵抗素子R1〜R3の抵抗値が静電気により変化することを抑制することができる。
【0073】
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0074】
上記実施形態では、検出回路部が3つの場合を示したが、本発明はこれに限らない。例えば検出回路部が1つのみであり、この1つの検出回路部をグランド配線で囲っても良い。
【0075】
また、複数の検出回路部を有する場合であっても、グランド配線は少なくとも1つの検出回路部を囲むものであっても良い。この場合、少なくともグランド配線で囲まれる検出回路部に静電気が流れることが抑制され、当該検出回路部の抵抗素子の抵抗値が変化することを抑制することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、グランド配線60が検出回路部CI1〜CI3の外周を概ね全周に渡って囲んだ。しかし、グランド配線60は、例えば、検出回路部CI1〜CI3の外周の50%以上を囲む程度とされても良く、75%以上を囲む程度とされることがより好ましく、上記実施形態の様に概ね全周に渡って囲むことがより好ましい。例えば、上記実施形態において、第1配線部分61と第3配線部分63とが何らかの方法で電気的に接続され、第2配線部分62が省略されても良い。
【実施例】
【0077】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0078】
(実施例)
図3に記載の着座センサ1の検出回路部CI1と同様の検出回路部を有し、着座センサ1と同様にして検出回路部がグランド配線に囲まれたサンプルを準備した。この検出回路部の一方の感圧スイッチの一方の電極(第1電極11に相当)を正極の端子に接続し、他方の感圧スイッチの一方の電極(第1電極12に相当)をグランド電極に接続し、グランド電極を接地した。また、この検出回路部の抵抗素子の抵抗値は1025Ωであった。このサンプルに25kV、330pF、出力抵抗330Ωの静電気を10回落した。その後、抵抗素子の抵抗値を測定すると、抵抗値に変化はなかった。
【0079】
(比較例)
グランド配線が検出回路部を囲まず、抵抗素子の抵抗値が1023Ωであることを除き実施例と同様のサンプルを準備した。このサンプルに実施例と同様にして静電気を落とした。その後、抵抗素子の抵抗値を測定すると708Ωとなった。従って、比較例では、静電気により抵抗素子の抵抗値が変化することが分かった。
【0080】
以上より、本発明の着座センサによれば、静電気が流れる場合であっても抵抗素子の抵抗値の変化を抑制できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本発明によれば静電気に対する耐性に優れる着座センサが提供され、車両用座席装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1,2・・・着座センサ
10・・・第1電極シート
10s・・・第1絶縁シート
11〜16・・・第1電極
20・・・第2電極シート
20s・・・第2絶縁シート
21〜26・・・第2電極
21h〜26h・・・開口
30・・・スペーサ
31〜36・・・開口
31h〜36h・・・開口
31s〜36s・・・スリット
41〜43・・・防湿部材
60・・・グランド配線
CI1〜CI3・・・検出回路部
En,Ep・・・端子
R1〜R3・・・抵抗素子
SW1〜SW6・・・感圧スイッチ
SWB1〜SWB3・・・第1〜第3スイッチ部

【要約】
【課題】 静電気に対する耐性に優れる着座センサを提供することを目的とする。
【解決手段】 一対の絶縁シート10s,20s上に配置されると共に一対の絶縁シート間に配置されるスペーサ30に形成される開口31を介して対向する一対の電極を有する感圧スイッチSW1、SW2を少なくとも1つ有するスイッチ部SWB1及び一対の絶縁シート10s,20s間に配置されスイッチ部SWB1に電気的に並列に接続される抵抗素子R1を有する回路部CI1と、一対の絶縁シート間に配置され回路部CI1に対しグランド側に接続されるグランド配線60と、を備える。グランド配線60は、一対の絶縁シート10s,20sを平面視する場合に回路部CI1を囲む。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8