特許第5883935号(P5883935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883935
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】歯牙ホワイトストリップ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20160301BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160301BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/02
   A61K8/22
   A61K8/66
   A61K8/37
   A61K8/35
   A61K8/34
   A61Q11/00
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-530637(P2014-530637)
(86)(22)【出願日】2011年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-526504(P2014-526504A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2011051546
(87)【国際公開番号】WO2013039495
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ボイド
(72)【発明者】
【氏名】シュイ・グオフォン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・アダムス
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ピアス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・ビシオ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06419906(US,B1)
【文献】 特表2006−508923(JP,A)
【文献】 特表2006−504783(JP,A)
【文献】 特表平06−505765(JP,A)
【文献】 特表2010−526909(JP,A)
【文献】 特開平07−265398(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/094497(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0024246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面および第二の面を有する加水分解性接着フィルムを含む歯牙ホワイトストリップであって、該第一の面が歯牙をホワイトニングするのに有効な量でそこに付着された顆粒状漂白成分を有する歯牙ホワイトストリップであって、顆粒状漂白成分が固体過酸化物、および固体過酸化物塩類または複合体から選択され、加水分解性接着フィルムがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびカルボマーを乾燥重量で10〜20:2〜10:1(HMPC:PVAc:カルボマー)の比率で含み、顆粒状漂白成分が、加水分解性接着フィルムおよびそこに付着した顆粒状漂白成分の総重量の1.0重量%以下であり、該顆粒状漂白成分が該加水分解性接着フィルムの表面に付着し、更にバッキング層を含む、歯牙ホワイトストリップ。
【請求項2】
顆粒状漂白成分が、迅速に溶解する物質を含有するマトリックスで被覆されるか、またはその内部に包含される、請求項1記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項3】
顆粒状漂白成分が、ペルオキソリン酸塩、ペルオキソ炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシケイ酸塩、過硫酸塩類、ペルオキソリン酸カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ硫酸カリウム、次亜塩素酸塩、過酸化尿素、過酸化水素ポリマー複合体、過酸化水素ポリビニルピロリドンポリマー複合体、金属過酸化物、過酸化亜鉛、過酸化カルシウム、過酸、フタルイミドペルオキソヘキサン酸(P.A.P.)、およびそれらの組合せから選択される、請求項1または2記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項4】
顆粒状漂白成分が過酸化尿素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項5】
顆粒状漂白成分の粒径(D50)が10μm〜500μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項6】
顆粒状漂白成分が、加水分解性接着フィルムおよびそこに付着した顆粒状漂白成分の総重量の0.1重量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項7】
顆粒状漂白成分を、加水分解性接着フィルムおよびそこに付着した顆粒状漂白成分の総重量の0.02重量%〜0.08重量%で含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項8】
加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量が0.001mg/cm〜1mg/cmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項9】
(i)ペルヒドロラーゼ、および(ii)カルボキシルドナーをさらに含み、使用時に、顆粒状漂白成分により放出される過酸化物が、ペルヒドロラーゼ存在下でカルボキシルドナーと反応し、過酸を形成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項10】
カルボキシルドナーが、(i)ヒドロキシルおよび/またはC1−4アルコキシルで置換されていてもよい1以上のC2−18カルボン酸;(ii)許容される1以上のその加水分解性エステル、および(iii)その混合物から選択される、請求項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項11】
カルボキシルドナーが、1,2,3−トリアセトキシプロパンである、請求項9記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項12】
経口上許容されるケトンをさらに含み、当該ストリップが使用されたときに、該ケトンが対応するジオキシランに酸化される、請求項1〜11のいずれかに記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項13】
過酸を含む、または使用時に過酸を生成する、請求項1〜12のいずれかに記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項14】
前記顆粒状漂白成分が、混合時に、歯牙をホワイトニングするのに効果的な量および濃度で該漂白剤を与えるのに十分な量で存在する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項15】
加水分解性接着フィルムが可塑剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項16】
プロピレングリコールをさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の歯牙ホワイトストリップ。
【請求項17】
セミドライ加水分解性接着フィルムを提供すること、該フィルムの1つの表面に顆粒状漂白成分を加えること、および該顆粒が該フィルムの該表面に付着するようにフィルムを乾燥させることを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載のストリップを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
減少した総量の過酸化物を有するが向上したホワイトニング作用を与える、家庭での使用に適したホワイトストリップ(whitening strip)に関する需要がある。
【背景技術】
【0002】
(概要)
本発明の幾つかの実施形態は、製剤賦形剤から実質的に希釈することなく、歯牙に直接固体過酸化物質を送達し、それにより、より少ない総量の過酸化物でもって向上した漂白を可能にするホワイトストリップを提供する。幾つかの実施形態において、該ストリップは、水中または唾液中で加水分解し、歯牙にくっつく接着フィルムを含む。さらなる実施形態において、該ストリップは、その漂白成分を歯牙に直接置き(すなわち、歯牙と接着層との間に)、該顆粒が口腔環境中で迅速に溶解することにより、確実に過酸化物の放出を可能にする方式で適用される。該漂白成分は、場合により、迅速に溶解する物質、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、コーンスターチまたはアラビアゴムを含むマトリックスにより被覆されていてよく、または該マトリックス内部に包含されていてよい。
【0003】
幾つかの実施形態において、該ストリップは、ペルヒドロラーゼ(perhydrolase)(例えば、カルボン酸および過酸化水素の反応を触媒し、過酸を形成することができる酵素)およびカルボキシルドナー、例えばカルボン酸およびアシル化合物から選択されるカルボキシルドナーをさらに含み、ここで、該カルボキシルドナーは該ストリップ中の過酸化物供給源とペルヒドロラーゼの存在下で反応して過酸を形成し、それが前記ストリップの漂白作用をさらに増強する。さらなる実施形態において、該ストリップは、顆粒形態のペルオキシジェン(peroxygen)化合物および経口上許容されるケトンを含み、それらは反応してジオキシランを与え、それによって、該ストリップの漂白作用を増強する。
【0004】
本発明の応用可能なさらなる領域は、以下に示す詳しい説明により明らかになるであろう。以下の詳しい説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものであるが、それらは単に例示を目的とするものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明の概要】
【0005】
(詳しい説明)
本明細書中で用いられる「範囲」は、その範囲内にあるすべての数値それぞれを表す短縮形として用いられる。範囲内に存在する値はすべて、該範囲の上限下限として選択され得る。
【0006】
本明細書中で引用される文献はすべて引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0007】
本開示中の定義と引用文献中の定義とに齟齬がある場合、本開示により調整される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の例示として、例えば、歯牙ホワイトストリップおよび歯牙をホワイトニングする方法、例えば:
1. 第一の面および第二の面を有する加水分解性接着フィルム(hydratable adhesive film)を含み、該第一の面が、歯牙をホワイトニングするのに有効な量でそこに付着された顆粒状漂白成分(granular bleaching ingredient)を有する、歯牙ホワイトストリップ(ストリップ1);例えば、
1.1. バッキング層(backing layer)をさらに含むストリップ1。幾つかの実施形態において、該バッキング層は該加水分解性接着フィルムの溶解性を調節する。
1.2. 該顆粒状漂白剤が、迅速に溶解する物質、例えばコーンスターチまたはアラビアゴムを含有するマトリックスで被覆されるか、またはその内部に包含される、ストリップ1または1.1。幾つかの実施形態において、該マトリックスは、該加水分解性接着フィルムよりも迅速に溶解する。幾つかの実施形態において、該マトリックスは該加水分解性接着フィルムの溶解速度と実質的に同じ速度で溶解する。
1.3. 該顆粒状漂白成分が、固体過酸化物および固体過酸化物ドナーから選択され、例えば過酸化物塩類または複合体(例えば、ペルオキソリン酸塩(peroxyphosphate)、ペルオキソ炭酸塩(peroxycarbonate)、過ホウ酸塩、ペルオキシケイ酸塩(peroxysilicate)、または過硫酸塩類(persulphate salt);例えば、ペルオキソリン酸カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、および過硫酸カリウム);ヒポクロリット;過酸化尿素;過酸化水素ポリビニルピロリドン・ポリマー複合体などの過酸化水素ポリマー複合体;金属過酸化物、例えば過酸化亜鉛および過酸化カルシウム;過酸、例えば6−フタルイミドペルオキシヘキサン酸(P.A.P.);およびそれらの組合せから選択される、前記のいずれかのストリップ。
1.4. 顆粒状漂白成分が過酸化尿素を含む、前記いずれかのストリップ。
1.5. 顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約10μm〜約500μm、例えば約60μm〜約150μmである前記いずれかのストリップ。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約15μm〜約450μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約20μm〜約400μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約25μm〜約350μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約30μm〜約300μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約35μm〜約250μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約40μm〜約225μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約45μm〜約200μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約50μm〜約175μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約55μm〜約160μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約65μm〜約145μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約70μm〜約140μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約75μm〜約135μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約80μm〜約125μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約85μm〜約120μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約90μm〜約110μmである。幾つかの実施形態において、顆粒状漂白成分の粒径(D50)が約95μm〜約100μmである。
1.6. 顆粒状漂白成分が、加水分解性接着フィルムおよびそこに付着した顆粒状漂白成分の総重量の約1.0重量%以下、例えば約0.01重量%〜約1.0重量%、例えば約0.2重量%〜約0.8重量%を含む、前記いずれかのストリップ。
1.7. 顆粒状漂白成分が、加水分解性接着フィルムおよびそこに付着した顆粒状漂白成分の総重量の約1.0重量%以下、例えば約0.01重量%〜約1.0重量%、例えば約0.02重量%〜約0.08重量%を含む、前記いずれかのストリップ。
1.8. 加水分解性接着フィルムの第1の面上の顆粒状漂白剤の量が、約0.001mg/cm〜約1mg/cm、例えば約0.001mg/cm〜0.1mg/cm、例えば約0.005mg/cm〜約0.015mg/cmである、前記いずれかのストリップ。
1.9. 幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量が約0.01mg/cm〜約0.75mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.05mg/cm〜約0.7mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.075mg/cm〜約0.65mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.1mg/cm〜約0.6mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.15mg/cm〜約0.55mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.2mg/cm〜約0.5mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.25mg/cm〜約0.45mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は約0.3mg/cm〜約0.4mg/cmである。
1.10. 幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.005mg/cm〜約0.1mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.0075mg/cm〜約0.095mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.01mg/cm〜約0.09mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.015mg/cm〜約0.085mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.02mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.025mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.03mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.035mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.04mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.045mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.05mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.055mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.06mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.065mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.07mg/cm〜約0.08mg/cmである。
1.11. 幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.075mg/cm〜約0.08mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.078mg/cmである。
1.12. 幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.005mg/cm〜約0.25mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.005mg/cm〜約0.1mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.005mg/cm〜約0.075mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.005mg/cm〜約0.05mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.0075mg/cm〜約0.04mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.009mg/cm〜約0.035mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.01mg/cm〜約0.03mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.01mg/cm〜約0.025mg/cmである。幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムの第一の面上の顆粒状漂白剤の量は、約0.01mg/cm〜約0.02mg/cmである。
1.13. (i)ペルヒドロラーゼ(例えば、カルボン酸および過酸化水素の反応を触媒し、過酸を形成することができる酵素)、例えばリパーゼ、セリンヒドロラーゼまたは炭水化物エステラーゼ(carbohydrate esterase)由来のSer−His−Aspの触媒三残基を含むペルヒドロラーゼ、および(ii)例えば、カルボン酸およびアシル化合物から選択されるカルボキシルドナーをさらに含み、ここで、使用時に、該顆粒状漂白成分により放出される過酸化物が、ペルヒドロラーゼ存在下でカルボキシルドナーと反応し、過酸を形成する、前記いずれかのストリップ。
1.14. 該カルボキシルドナーが、(i)ヒドロキシルおよび/またはC1−4アルコキシルで置換されていてもよい、1以上のC2−18カルボン酸、例えばC2−6カルボン酸(例えば、酢酸)、例えば低級の直鎖もしくは分枝鎖アルキルカルボン酸;(ii)許容される1以上のその加水分解性エステル(例えば、モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドおよびアセチル化サッカライド)、および(iii)その混合物から選択される、前記ストリップ。
1.15. 該カルボキルドナーが、1,2,3−トリアセトキシプロパン(本明細書中で、場合により、トリアセチンまたはグリセリントリアセテート)およびアシル化サッカライド、例えばアセチル化サッカライドから選択される、前記ストリップ。
1.16. 25℃の水中で少なくとも5ppmの可溶性を有するエステル化合物を含有するカルボキシルドナーを含む、前記いずれかのストリップ。
1.17. 経口上許容されるケトン、例えばC3−8アルキルケトン化合物、例えばメチルエチルケトンを含み、該ケトンが、該ストリップを使用する場合に対応するジオキシランに酸化される、前記いずれかのストリップ。
1.18. 過酸を含むか、または使用時に過酸を生成し、ここで、例えば該過酸が、過酢酸およびフタルイミドペルオキソヘキサン酸(phthalimidoperoxyhexanoic acid:P.A.P.)から選択される、前記いずれかのストリップ。
1.19. 該成分が、混合時に、歯牙をホワイトニングするのに効果的な量および濃度で漂白剤(bleaching agent)を与えるのに十分な量で存在する、前記いずれかのストリップ。
1.20. 該加水分解性接着フィルムが、親水性セルロースエーテル(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ酢酸ビニル、カルボマー(例えば、Carbopol971P)、多糖類樹脂(例えば、キサンタンガム)、改良植物デンプン(modified food starch)、ゼラチン(例えば、動物もしくは魚ベースのゼラチン)、架橋カルボキシビニル共重合体(cross-linked carboxyvinyl copolymer)、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド(別名、Polyox)、ポリアクリル酸およびポリアクリレート、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、カゼイン、プルランおよびそれらの組合せから選択される1以上の水溶性ポリマーを含む、上記いずれかのストリップ。
1.21. 該加水分解性接着フィルムが、親水性セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ酢酸ビニルおよびカルボマー(例えばCarbopol971P)およびそれらの組合せから選択される1以上の水溶性ポリマーを含む、上記いずれかのストリップ。
1.22. 該加水分解性接着フィルムが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニルおよびカルボマーを、例えば10〜20のHMPC:2〜10のPVAc:1のカルボマーの乾燥重量比で含む、前記いずれかのストリップ。
1.23. 該加水分解性接着フィルムが、可塑剤、例えばプロピレングリコールをさらに含む、前記いずれかのストリップ。
1.24. 該加水分解性接着フィルムの第一の面が使用前に保護カバーにより被覆されている、前記いずれかのストリップ。
1.25. 該加水分解性接着フィルムが適用前に実質的に乾燥している、前記いずれかのストリップ。
1.26. 該加水分解性接着フィルムの厚みが約0.5mil〜約15milであり、ここで、1mil=0.001インチである、前記いずれかのストリップ。
1.27. およその全体の寸法が、長さ:約3cm〜約9cm×幅:約0.5cm〜約2.5cm×厚み:約0.5mil〜15milである前記いずれかのストリップ、例えば、1つの面の表面積が約5cm〜約15cm、例えば約10cm〜約12cmのストリップ。
1.28. およその全体の寸法が、長さ:約5cm〜約7cm×幅:約1.5cm〜約2.5cm×厚み:2mil〜7milである前記いずれかのストリップ、例えば一つの面の表面積が約7.5cm〜約16cm、例えば約10cm〜約12cmのストリップ。
2. 本発明の幾つかの実施形態は、前記のストリップ、例えばストリップ1(別名)の第一の面を直接歯牙に適用すること、および該ストリップを、歯牙をホワイトニングするのに十分な時間、例えば少なくとも5分間、例えば10〜30分間置くことを含む、歯牙をホワイトニングする方法を提供する。
3. 他の実施形態は、歯牙ホワイトニング用ストリップ、例えば前記したストリップ1(別名)の製造方法であって、セミドライ加水分解性接着フィルムを、例えば前記したように提供すること、例えば該フィルムは水から造形され完全に乾燥されているか、または該フィルムは湿っている;該フィルムの1つの表面に顆粒状漂白成分の顆粒を、例えば前記したように加えること、および1つの表面に加えられた該顆粒を有する該フィルムを乾燥させることを含む、方法を提供する。
【0009】
例えば、該ストリップは、最初に、通常の方法を用いて加水分解性接着フィルムを作成し、次いで、顆粒化ホワイトニング成分(granulated whitening ingredient)を1つの表面に加えることにより製造することができる。該加水分解性接着フィルムストリップは、当該分野で公知の種々の方法、例えば押出しによって、または水懸濁液(例えば、固形物濃度10〜30%)から加熱ベルト(heated belt)上で造形し(casting)、そこから水を蒸発させることによって造形することができる。あるいは、該フィルムを乾燥させた後に、湿らせる。該顆粒はこのフィルム表面に加えることができ、フィルムがセミドライであるため、すなわち、粘着性であるのに十分に湿っており、その結果、該顆粒は該フィルム表面にくっつく。あるいは、該顆粒それ自体が湿っており、一次的手段として、または上記アプローチのいずれかとの組合せのいずれかにより、粘着性を改善することができる。ひとたび、該フィルムを完全に乾燥させ、室温にまで冷却したら、該顆粒は、該フィルム表面に継続して付着する。従って、使用前に、該加水分解性接着フィルムおよびストリップは全体として実質的に乾燥している。過酸化物が該フィルム表面に存在するため、比較的少量の顆粒が該表面で有効濃度を与えるために必要とされる。単一層ストリップにおいて過酸化水素0.1%当量のために、表面積10cmで乾燥重量7.75mg/cmのベースフィルムでは、わずかに約0.078mgの漂白顆粒を要するだけであろう。
【0010】
唾液または他の水供給源(例えばシンク)に曝されたときに、該顆粒は活性となる。該加水分解性接着フィルムも活性化され、歯牙に効果的にくっつく。
【0011】
幾つかの実施形態において、加水分解性接着フィルムは、水溶性の経口上許容される1以上のポリマー、例えば親水性セルロースエーテル(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ酢酸ビニル、カルボマー(例えばCarbopol971P)、多糖類樹脂(例えばキサンタンガム)、改良植物デンプン、ゼラチン(例えば動物もしくは魚ベースのゼラチン)、架橋カルボキシビニル共重合体、架橋ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド(別名、Polyox)、ポリアクリル酸およびポリアクリレート、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、カゼイン、プルラン、ならびにそれらの組合せから選択されるポリマーを含む。歯牙ホワイト試薬と共に使用する粘着性ゲル製剤は当分野で公知であり、例えば米国特許第7,862,801号;第5,746,598号;第6,730,316号;第7,128,899号に記載のものがある。該加水分解性接着フィルムは、漂白剤が拡大された期間歯牙と接触した状態にあるようにし、軟組織を保護することを可能にする。
【0012】
第二のフィルム層(例えば、担体またはバッキング層)を用いて、迅速な分解または溶解から該加水分解性接着フィルムを保護する場合、該担体またはバッキング層は、織物(textile)、布、木質複合材、樹脂、エラストマー、紙、不溶性もしくは可溶性でないセルロース誘導体、例えばエチルセルロースおよび酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ワックス、Parafilms(商標)、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、テフロン(商標)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルおよびそれらの誘導から作製され得る。
【0013】
顆粒状漂白成分が、固体過酸化物または固体過酸化物ドナーまたは他の活性酸素ドナー、例えば過酸化物塩類または複合体(例えば、ペルオキソリン酸塩、ペルオキソ炭酸塩、過ホウ酸塩、ペルオキシケイ酸塩、ペルオキシ一硫酸塩(peroxymonosulphate)またはペルオキシ二硫酸塩類(peroxydisulphate salt);例えば、ペルオキソリン酸カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソ二リン酸ナトリウム、およびペルオキソ硫酸カリウム)、ヒポクロリット;過酸化尿素;過酸化水素ポリマー複合体、例えば過酸化水素−ポリビニルピロリドン・ポリマー複合体、および金属過酸化物、例えば過酸化亜鉛および過酸化カルシウム、固体過酸、例えばフタルイミドペルオキソヘキサン酸(P.A.P.);およびそれらの組合せから選択されるものであってよい。特定の実施形態において、該顆粒状漂白成分は過酸化尿素である。
【0014】
本発明に有用なペルオキシカルボン酸(「過酸」)は、効果的な抗菌物質および漂白剤として知られている。Viscio,D.に対する米国特許第5,302,375号は、ビヒクルに溶解された過酢酸を含むホワイトニング用口腔組成物を開示し、該過酢酸はインサイチュで水と組合せることにより該ビヒクル内で、アセチルサリチル酸および水溶性の過炭酸アルカリ金属を生成する組成物を開示する。Churchら、に対する米国特許第5,279,816号は、着色もしくは脱色した歯をホワイトニングするために、過酢酸を含む組成物の使用を開示する。Montgomery,R.に対する米国特許第6,221,341号および第7,189,385号は、歯をホワイトニングする方法に使用するのに適したペルオキシ酸歯牙ホワイトニング組成物を開示する。より具体的には、過酢酸組成物は、化学的前加水分解(perhydrolysis)を介して過酢酸を生成させるために、過酸化水素前駆体、酢酸エステルのグリセリンおよび水を組合せることによって製造することができる。ペルヒドロラーゼ酵素も、例えば国際特許公報第2005/056782号に報告されている。
【0015】
多くの加水分解酵素およびエステラーゼ、例えばリパーゼ、セリン加水分解酵素および炭水化物エステラーゼが前加水分解を触媒し、カルボン酸および過酸化水素からの過酸の可逆的な形成を触媒する。ペルヒドロラーゼ、エステラーゼおよびリパーゼは、一般に、セリン(Ser)、グルタミン酸(Glu)もしくはアスパラギン酸(Asp)およびヒスチジン(His)からなる触媒三残基を含む。多くのペルヒドロラーゼ(例えば、金属フリーのハロペルオキシダーゼ)は、Ser−His−Aspの触媒三残基を含み、過酸化水素およびカルボン酸からの過酸の可逆的な形成を触媒する。理論に拘泥されるものではないが、前加水分解は、カルボン酸が活性部位のセリンと反応してアシル酵素中間体を形成し、次いで、それが過酸化水素と反応して過酸を形成するエステラーゼ様の機序で起こると考えられる。
【0016】
多くのペルヒドロラーゼが当該分野で記載されている。ペルヒドロ活性(perhydrolytic activity)を有する具体的なバリアント・サブチリシン・カールスバーグ(Carlsberg)プロテアーゼをボディーケア製品に含有させることは、Wielandら、に対する米国特許第7,510,859号に開示されている。その具体的なバリアントプロテアーゼ以外のペルヒドロ酵素(perhydrolytic enzyme)は記載されていないし、パーソナルケアに有効な試薬として過酸の酵素的産生を実証する実施例もない。
【0017】
本発明に使用するためのカルボキシルドナー、例えば過酸化物との反応時に過酸を形成するカルボキシルドナーは、(i)ヒドロキシルおよび/またはC1−4アルコキシルで置換されていてもよいC2−18カルボン酸、例えばC2−6カルボン酸(例えば、酢酸)、例えば低級の直鎖もしくは分枝鎖アルキルカルボン酸;(ii)許容されるその加水分解性エステル(例えば、モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドおよびアシル化サッカライド)、および(iii)その混合物から選択される。例えば、カルボキシルドナーは、1,2,3−トリアセトキシプロパン(本明細書中、場合により、トリアセチンまたはグリセリントリアセテート)およびアシル化サッカライド、例えばアセチル化サッカライドを含む。具体的な実施形態において、この使用のためのエステルは、例えば、25℃の水で少なくとも5ppmの可溶性を有するエステルであってよい。
【0018】
該カルボキシルドナーおよび/または酵素は、場合によりカプセルに封入されていてよい。当分野で周知のカプセル化の選択肢は種々存在し、天然物および合成物の両方がある。改良セルロース、改良デンプン、およびアラビアゴムが特に好ましのは、それらが、食品グレードで、比較的高価ではなく、迅速に溶解し、適正に多くの液体油を吸収できるからである。
【0019】
本明細書中に記載のストリップに使用するための成分はすべて経口上許容されるものであるべきである。本明細書中で使用される用語「経口上許容される」により、前記したストリップ中に存在する成分が、口腔内での使用に該ストリップを安全でないものとしない、量および形態であることを意味する。
【0020】
特に言及しない限り、本開示および本明細書中のいずれかに表されるパーセンテージおよび量はすべて、重量あたりのパーセンテージを意味するものと理解されるべきである。所定の量は、物質の実質的な重量(active weight)に基づく。
【0021】
実施例
実施例1
ストリップは、表1の成分を用いて上記のように、加水分解性接着フィルムを形成し、次いで、該フィルムを粘着性のままにしつつ、顆粒化ホワイトニング剤(granulated whitening agent)をその1つの面の表面に加えることにより調製する。該ストリップは、適用に際して口内でゆっくりと損なわれるため、取り除く必要がない。
【表1】
【0022】
実施例2
ストリップは、表2の成分を用いて、上記のように、加水分解性接着フィルムを形成し、次いで、該フィルムを粘着性のままにしつつ、顆粒化ホワイトニング剤をその1つの面の表面に、および保護バッキング層をその反対の面に加えることにより調製する。該バッキング層は溶解しないため、使用者は、ストリップをホワイトニングが生じるのに十分な期間、典型的には約10〜30分経過した後に取り除かなければならない。その2つの層は、押出しにより又は溶媒ベースの造形(casting)によって同時に造形することができ、次いで、顆粒化ホワイトニング剤を該加水分解性接着フィルム表面に加えてもよい。
【表2】
【0023】
当業者には理解されるように、本発明の思想を逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して多くの変更および改変を行うことが可能である。そのような変形はすべて添付の特許請求の範囲内にあると意図される。