(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、収縮フィルムである。本発明に係る多層収縮フィルムは、2つのスキン層および少なくとも1つのコア層を含む少なくとも3つの層を含み;少なくとも1つの層は、(a)100重量%以下のエチレン由来単位;および(b)30重量%未満の1以上のα−オレフィンコモノマー由来単位:を含むエチレン系ポリマー組成物に由来する10〜100重量パーセントの単位を含み;前記エチレン系ポリマー組成物は、75〜220の範囲のCDC、エチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たり30〜100個のビニルのビニル不飽和;少なくとも2.5〜15の範囲のZSVR;0.924〜0.940g/cm
3の範囲の密度、0.1〜1g/10分の範囲のメルトインデックス(I
2)、2.5〜10の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜4の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とし;かつ、前記多層フィルムは、少なくとも50%の45度光沢度、15%以下の全ヘイズ、8%以下の内部ヘイズ、43,000psi以上の1% CD割線係数、38,000psi以上の1% MD割線係数、少なくとも0.7psiのCD収縮張力、および/または少なくとも10psiのMD収縮張力からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を示す。
【0007】
本発明に係る多層収縮フィルムは、2つのスキン層および少なくとも1つのコア層を含む少なくとも3つの層を含み;少なくとも1つの層は、エチレン系ポリマー組成物に由来する10〜100重量パーセントの単位を含む。10〜100重量パーセントの全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される。例えば、少なくとも1つの層は、エチレン系ポリマー組成物由来単位を、10、20、30、40、50、60、70、80または90重量パーセントの下限値から20、30、40、50、60、70、80、90、または100重量パーセントの上限値まで含むことができる。例えば、少なくとも1つの層中のエチレン系ポリマー組成物由来単位の量は、10〜100重量パーセントの範囲内、または20〜65重量パーセント、または30〜70重量パーセントであり得る。
【0008】
エチレン系ポリマー組成物は、(a)100重量パーセント以下、例えば、少なくとも70重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントのエチレン由来単位;および(b)30重量パーセント未満、例えば、25重量パーセント未満、または20重量パーセント未満、または10重量パーセント未満の1以上のα−オレフィンコモノマー由来単位を含む。用語「エチレン系ポリマー組成物」とは、50モルパーセントよりも多くの重合エチレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づく)を含有し、所望により少なくとも1つのコモノマーを含有することのできるポリマーをさす。α−オレフィンコモノマーは、一般に20個の炭素原子しか有さない。例えば、α−オレフィンコモノマーは、好ましくは3〜10個の炭素原子、より好ましくは3〜8個の炭素原子を有する。例となるα−オレフィンコモノマーとしては、限定されるものではないが、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、および4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。1以上のα−オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から選択されるか;または代わりに、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択されてよい。
【0009】
もう一つの実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、100万部のエチレン系ポリマー組成物あたり、100重量部以下、例えば、10重量部未満、8重量部未満、5重量部未満、4重量部未満、1重量部未満、0.5重量部未満、または0.1重量部未満の、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む触媒系から残留する金属錯体残基を含む。エチレン系ポリマー組成物中の多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む触媒系から残留する金属錯体残基は、X線蛍光(XRF)によって測定されることができ、これは標準品に対して較正される。ポリマー組成物の顆粒は、好ましい方法でのX線測定のために約3/8インチの厚さを有するプラックに高温下で圧縮成形され得る。極めて低濃度の金属錯体、例えば0.1ppm未満では、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ−原子発光分析)が、エチレン系ポリマー組成物中に存在する金属錯体残基を決定するための適した方法となる。
【0010】
エチレン系ポリマー組成物は、追加の成分、例えば1以上のその他のポリマーおよび/または1以上の添加剤などをさらに含むことができる。かかる添加剤としては、限定されるものではないが、 帯電防止剤、増色剤、染料、滑沢剤、充填剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、UV安定剤、粘着防止剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、およびその組合せが挙げられる。エチレン系ポリマー組成物は、かかる添加剤を含むエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、総合重量で約0.1〜約10重量パーセントのかかる添加剤を含有することができる。
【0011】
一実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、パージを除いて35〜120℃の温度範囲の単峰性分布または二峰性分布を含むコモノマー分布プロフィールを有する。
【0012】
いずれの従来のエチレン(共)重合反応プロセスも、エチレン系ポリマー組成物を生成するために用いることができる。かかる従来のエチレン(共)重合反応プロセスとしては、限定されるものではないが、1以上の従来の反応器、例えば、ループ反応器、撹拌槽反応器、バッチ反応器を、平行で、直列で、かつ/またはその任意の組合せで用いる、スラリー相重合プロセス、溶液相重合プロセス、およびその組合せが挙げられる。
【0013】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、(a)第1の反応器または多段階反応器の第1の部分で、エチレンと、所望により1以上のα−オレフィンとを、第1の触媒系の存在下で重合して半結晶性エチレン系ポリマーを形成する工程;および(b)新しく供給されたエチレンと、所望により1以上のα−オレフィンとを、有機金属触媒を含む第2の触媒の存在下で反応させ、それにより、少なくとも1つのその他の反応器、または多段階反応器の後の部分で、エチレン系ポリマー組成物を形成する工程:を含むプロセスによって調製され、この際、工程(a)または(b)の触媒系の少なくとも1つは、次式に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む:
【化1】
〔式中、M
3は、Ti、HfまたはZr、好ましくはZrであり;Ar
4は、独立に、各出現において置換C
9−20アリール基であり、この際、置換基は、独立に各出現において、アルキル;シクロアルキル;およびアリール基;ならびにそのハロ−、トリヒドロカルビルシリル−およびハロヒドロカルビル−置換誘導体からなる群から選択される、ただし、少なくとも1つの置換基は、それが結合しているアリール基との共平面性を欠く;T
4は、独立に各出現においてC
2−20アルキレン、シクロアルキレンまたはシクロアルケニレン基、あるいはその不活性置換誘導体であり;R
21は、独立に各出現において水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子の、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、アルコキシもしくはジ−(ヒドロ−カルビル)アミノ基であり;R
3は、独立に各出現において水素、ハロ、水素を数に含めずに50個までの原子の、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロ−カルビル、アルコキシまたはアミノであるか、あるいは、同じアリーレン環上の2つのR
3基は一緒に、または、同じもしくは異なるアリーレン環上のR
3およびR
21基は一緒に、2つの位置でアリーレン基に結合した二価のリガンド基を形成するか、または2つの異なるアリーレン環を1つに結合し;かつ、R
Dは、独立に各出現においてハロまたは水素を数に含めずに20個までの原子のヒドロ−カルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、あるいは、2つのR
D基は一緒に、ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル、ジエン、またはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である〕。
【0014】
エチレン系ポリマー組成物は、以下の例となるプロセスに従う溶液重合によって生成することができる。全ての原材料(エチレン、1−オクテン)およびプロセス溶媒(エクソンモービルコーポレーションよりIsopar Eの商標名で市販されている沸点範囲の狭い高純度イソパラフィン系溶媒)は、反応環境への導入の前にモレキュラーシーブスで精製される。水素は、加圧シリンダー中に高純度等級として供給され、さらに精製されない。反応器のモノマー供給(エチレン)流は、機械的コンプレッサーによって、反応圧力よりも高い圧力、約750psigに加圧される。溶媒およびコモノマー(1−オクテン)供給は、機械的容積移送式ポンプによって、反応圧力よりも高い圧力、約750psigに加圧される。個々の触媒成分は、精製溶媒(Isopar E)で指定された成分濃度に手作業でバッチ希釈されることができ、反応圧力よりも高い圧力、約750psigに加圧される。全ての反応供給流は、質量流量計で測定されることができ、コンピュータにより自動化された弁制御システムで独立に制御される。本発明に係る連続溶液重合反応器システムは、直列配置で動作する、2個の、液体で満たされた非断熱型の等温の循環する独立制御ループで構成され得る。各々の反応器は、全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分の供給のために独立した制御を有する。各々の反応器への、組み合わせた溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素の供給は、供給流を熱交換器に通過させることにより、5〜50℃の間のどこか、一般に40℃に独立して温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマーの供給は、3つの選択肢、つまり第1の反応器、第2の反応器、または共通する溶媒の1つにコモノマーが添加されるように手動で調整し、その後、溶媒供給分割に比例して両方の反応器に分割することができる。各々の重合反応器への全ての新鮮な供給は、各々の注入位置間で大体等しい反応器容積で、1つの反応器あたり2つの位置で反応器に注入される。新鮮な供給は、一般に各々のインジェクターが全ての新鮮な供給質量流の半分を受けるように制御される。触媒成分は、特別に設計された注入針によって重合反応器に注入され、反応器より前に接触する時間はなく、反応器の同じ相対位置に各々個別に注入される。主な触媒成分供給は、コンピュータ制御されて反応器のモノマー濃度を指定目標値に維持する。2つの共触媒成分は、主な触媒成分に対して計算された指定モル比に基づいて供給される。各々の新鮮な注射位置(供給かまたは触媒のいずれか)の直後に、供給流は、静的混合要素によって循環する重合反応器の内容物と混合される。各々の反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去することを担う熱交換器を通じて、指定された温度で等温反応環境を維持することを担う冷却液側の温度で継続的に循環される。各々の反応器ループの周囲の循環は、スクリューポンプによって提供される。第1の重合反応器からの流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有)は、第1の反応器ループを出て、制御弁(第1の反応器の圧力を指定された目標値で維持することを担う)を通過し、同様の設計の第2の重合反応器に注入される。この流れが反応器を出る時に、それは失活剤、例えば水と接触して反応を停止させる。その上、様々な添加剤、例えば酸化防止剤をこの時点で添加することができる。その後、この流れはもう1組の静的混合要素を通過して、触媒失活剤および添加剤を均一に分散させる。添加剤の添加に続いて、流出液(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有)を熱交換器に通過させて、ポリマーをその他の低温沸騰反応成分から分離するのに備えて流れの温度を上昇させる。次に、流れは二段階分離および脱揮システムに入り、そこでポリマーは溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーから除去される。再循環した流れは、再び反応器に入る前に精製される。分離され脱揮されたポリマー溶融物は、水中ペレット化のために特別に設計されたダイを通じてポンプで送られ、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに送られる。
【0015】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、75〜220の範囲のCDCを特徴とする。75〜220の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物のCDCは、75、95、115、135、155、175、または195の下限値から、80、100、120、140、160、180、または220の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物のコモノマー分布定数は、75〜200、または100〜180、または110〜160、または120〜155の範囲であり得る。
【0016】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、エチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たり30〜100個のビニルのビニル不飽和(ビニル/1,000,000C)を特徴とする。30〜100個のビニル/1,000,000Cの全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、ビニル 不飽和は、30、40、50、60、70、80、または90ビニル/1,000,000Cの下限値から、35、45、55、6、75、85、95、または100ビニル/1,000,000Cの上限値までであり得る。例えば、ビニル不飽和は、30〜100、または40〜90、または50〜70、または40〜70ビニル/1,000,000Cの範囲であり得る。
【0017】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、少なくとも2.5〜15の範囲のZSVRを特徴とする。2.5〜15の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物のZSVRは、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、9.5、10.5、11.5、12.5、13.5、または14.5の下限値から3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物のZSVRは、2.5〜15、または4〜12、または3.5〜13.5、または5〜11の範囲であり得る。
【0018】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、0.924〜0.940g/cm
3の範囲の密度を特徴とする。0.924〜0.940g/cm
3の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物の密度は、0.924、0.925、0.930、または0.935g/cm
3の下限値から0.925、0.930、0.935、または0.940g/cm
3の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物の密度は、0.924〜0.940、または0.925〜0.936、または0.924〜0.928、または0.932〜0.936g/cm
3の範囲であり得る。
【0019】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、0.1〜1g/10分の範囲のメルトインデックス(I
2)を特徴とする。0.1〜1g/10分の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物のI
2は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9g/10分の下限値から0.15、0.25、0.35、0.45、0.55、0.65、0.75、0.85、0.95、または1g/10分の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物のI
2は、0.1〜1、または0.2〜0.8、または0.4〜0.7、または0.4〜0.6g/10分の範囲であり得る。
【0020】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、2.5〜10の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。2.5〜10の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物のMw/Mnは、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、または9.5の下限値から3、4、5、6、7、8、9、または10の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物のMw/Mnは、2.5〜10、または2.5〜7.5、または2.75〜5、または2.5〜4.5の範囲であり得る。
【0021】
本発明の実施形態において有用なエチレン系ポリマー組成物は、1.5〜4の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を特徴とする。1.5〜4の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、エチレン系ポリマー組成物のMz/Mwは、1.5、1.75、2、2.5、2.75、3または3.5の下限値から1.65、1.85、2、2.55、2.9、3.34、3.79、または4の上限値までであり得る。例えば、エチレン系ポリマー組成物のMz/Mwは、1.5〜4、または2〜3、または2.5〜3.5、または2.2〜2.4の範囲であり得る。
【0022】
本発明の多層収縮フィルムの実施形態は、少なくとも50%の45度光沢度、15%以下の全ヘイズ、8%以下の内部ヘイズ、43,000psi以上の1% CD割線係数、38,000psi以上の1% MD割線係数、少なくとも0.7psiのCD収縮張力、および少なくとも10psiのMD収縮張力からなる群から選択される1以上の特性を示す。多層収縮フィルムは、これらの特性のいずれか1つ、これらの特性任意の組合せまたはあるいは、これらの特性の全てを示すことができる。例えば、一実施形態では、多層フィルムは、少なくとも50%の45度光沢度、8%以下の内部ヘイズ、および43,000psi以上の1% CD割線係数を示すことができる。代替実施形態では、多層収縮ラップフィルムは、38,000psi以上の1% MD割線係数、少なくとも0.7psiのCD収縮張力、および15%以下の全ヘイズを示すことができる。
【0023】
少なくとも50%の45度光沢度の全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムの45度光沢度は、50、55、60、65、または70%の下限値からであり得る。15%以下の全ヘイズの全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムの全ヘイズは、10、12、14、または15%の上限値であり得る。8%以下の内部ヘイズの全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムの内部ヘイズは、4、5、6、7、または8%の上限値であり得る。43,000psi以上の1% CD割線係数の全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムの1% CD割線係数は、43,000psi;または44,000psi;または45,0000psi;または50,000psi;または55,000psiの下限値からであり得る。38,000psi以上の1% MD割線係数の全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムの1% MD割線係数は、38,000psi;または48,000psi;または50,0000psi;または55,000psiの下限値からであり得る。少なくとも0.7psiのCD収縮張力の全ての個々の値および下位範囲は、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムのCD収縮張力は、0.7psi;または0.8psi;または0.9psi;または1.0psiの下限値からであり得る。少なくとも10psiのMD収縮張力の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、多層収縮フィルムのMD収縮張力は、10psi;または12psi;または15psi;または18psiの下限値からであり得る。
【0024】
本発明の多層収縮フィルムの一実施形態は、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含む;この際、コア層は、15〜85重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含む。15〜85重量パーセントの全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、コア層中のエチレン系ポリマー組成物の量は、15、20、30、40、50、60、または75重量パーセントの下限値から25、35、45、55、60、70、80、または85重量パーセントの上限値までであり得る。例えば、コア層中のエチレン系ポリマー組成物の量は、15〜85重量パーセント、または20〜65重量パーセント、または30〜80重量パーセント、または40〜75重量パーセントの範囲であり得る。
【0025】
本発明の多層収縮フィルムの一実施形態では、各々の層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、オレフィンプラストマーおよびエラストマーからなる群から選択される1以上のポリマーを各々の層が合計92.5重量パーセント以上の全ポリマーを含むような量でさらに含む。92.5〜100重量パーセントの全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、各々の層の全ポリマーの総量は、92.5、94.5、96.5、98.5、または99.5重量パーセントの下限値から93、95、97、99、または100重量パーセントの上限値までであり得る。例えば、各々の層の全ポリマーの総量は、92.5〜100重量パーセント、または94〜98重量パーセント、または94〜96重量パーセントの範囲であり得る。
【0026】
本発明の多層収縮フィルムの代替実施形態は、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含み;この際、少なくとも1つのスキン層は、20〜65重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含む。20〜65重量パーセントの全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、少なくとも1つのスキン層中のエチレン系ポリマー組成物の量は、20、30、40、50または60重量パーセントの下限値から25、35、45、55、または65重量パーセントの上限値までであり得る。例えば、少なくとも1つのスキン層中のエチレン系ポリマー組成物の量は、20〜65重量パーセント、または25〜55重量パーセント、または35〜55重量パーセント、または45〜55重量パーセントの範囲であり得る。
【0027】
特定の実施形態では、多層収縮フィルムで使用されるエチレン系ポリマー組成物は、120〜180の範囲のCDC、40〜60個のビニル/1,000,000Cのビニル不飽和;4〜8の範囲のZSVR;0.924〜0.931g/cm
3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I
2)、2.0〜3.3の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜2.5の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とする。
【0028】
もう一つの実施形態では、多層収縮フィルムで使用されるエチレン系ポリマー組成物は、90より大きく130までの範囲のCDC、55〜70個のビニル/1,000,000Cのビニル不飽和;8〜12の範囲のZSVR;0.930〜0.940g/cm
3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I
2)、2〜4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜3の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とする。
【0029】
もう一つの実施形態では、多層収縮フィルムで使用されるエチレン系ポリマー組成物は、120未満のエチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たりの総不飽和度(総不飽和度/1,000,000C)を特徴とする。120未満の全ての個々の値および下位範囲が、本明細書に含められ、本明細書において開示される;例えば、総不飽和度/1,000,000Cは、90、100、110、または120の上限値からであり得る。
【0030】
エチレン系ポリマー組成物は、多層収縮フィルムの層の1以上に存在してよい。多層収縮フィルムが3層よりも多くの層を含む場合、最も中心の層をコア層と呼び、最外層をスキン層と呼び、残りの層をサブスキン層と呼ぶ。一実施形態では、エチレン系ポリマー組成物はコア層に存在する。代替実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、1以上のスキン層に存在する。さらに別の実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、1以上のサブスキン層に存在する。さらに別の実施形態では、1以上のスキン層は、20〜60重量%のエチレン系ポリマー組成物を含む。さらに別の実施形態では、1以上のサブスキン層および/またはコア層は、20〜80重量%のエチレン系ポリマー組成物を含む。
【0031】
ある種の実施形態では、多層収縮フィルムは、1つのスキン層の厚さのコア層の厚さに対する比が1:20〜1:2である。特定の実施形態では、多層収縮フィルムは、1つのスキン層の厚さがコア層の厚さに対して1:10〜1:3である。
【0032】
単層収縮フィルムの製造は、米国特許出願公開第20110003940号に記載され、その開示は参照によりその前文が本明細書に組み込まれる。
【0033】
ある種の実施形態では、多層収縮フィルムの両方のスキン層は、0.912〜0.925g/cm
3の密度および0.2〜2g/10分のI
2を有するエチレン系ポリマー組成物以外の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。一実施形態では、多層収縮フィルムの両方のスキン層は、0.915〜0.922g/cm
3の密度および0.5〜1.5g/10分のI
2を有するエチレン系ポリマー組成物以外のLLDPEを含む。本明細書において、用語「エチレン系ポリマー組成物以外の、LLDPE」とは、次の特徴:75〜220の範囲のコモノマー分布定数、エチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たり30〜100個のビニルのビニル不飽和;少なくとも2.5〜15の範囲のゼロ剪断粘度比(ZSVR);0.924〜0.940g/cm
3の範囲の密度、0.1〜1g/10分の範囲のメルトインデックス(I
2)、2.5〜10の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜4の範囲の分子量分布(Mz/Mw)の各々を示さないポリマーを含有するエチレンを意味する。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、収縮フィルムの1以上の層を含むポリマー組成物は、1以上の安定剤、例えば、酸化防止剤、例えばIRGANOX 1010およびIRGAFOS 168(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ;Glattbrugg、Switzerland)などで処理される。通常、ポリマーは、押出またはその他の溶融プロセスの前に1以上の安定剤で処理される。その他の実施形態のプロセスでは、その他のポリマー添加剤には、限定されるものではないが、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、滑沢剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調節剤および粘着防止剤が含まれる。本発明のエチレン系ポリマー組成物は、例えば、本発明のエチレン系ポリマー組成物およびかかる添加剤の重量に基づいて、総合重量の10パーセント未満の1以上の添加剤を含んでよい。
【0035】
一部の実施形態では、1以上の酸化防止剤が、多層フィルムの層の1以上のポリマーにさらに配合されてよく、配合されたポリマーは次に、ペレット化されてよい。例えば、エチレン系ポリマー組成物は、100万部のエチレン系ポリマー当たり約200〜約600部の1以上のフェノール性酸化防止剤を含んでよい。その上、エチレン系ポリマー組成物は、100万部のエチレン系ポリマー当たり約800〜約1200部の亜リン酸系酸化防止剤を含んでよい。
【0036】
多層収縮フィルムの層のいずれか1以上のポリマー組成物に加えてよいその他の添加剤には、耐発火性添加剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、および可塑剤が含まれた。
【0037】
本明細書において考察されル実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムは、インフレーション成形法または共押出法のいずれかを用いて生成されてよい。インフレーション成形法は、ダイまで通常の押出プロセスと本質的に同じである。インフレーション成形法のダイは、通常、パイプ型ダイに類似した円形の開口部を備える直立型の円柱である。直径は数センチメートルから幅3メートル超であり得る。溶融したプラスチックは、ダイの上方の一組のニップロールによってダイから上方に(必要な冷却量に応じてダイの上方に4メートルから20メートル以上まで)引き上げる。これらのニップロールの速度の変化が、フィルムのゲージ(肉厚)を変えることになる。ダイの周囲には冷却環が位置する。冷却環は、それが上方に移動する時にフィルムを冷却する。ダイの中心には空気出口があり、そこから圧縮された空気が押出された円形の輪郭の中心に押し進められ、泡を生じる。これは、押出された円形の断面をいくらかの比(ダイ直径の倍数)で拡大する。この比は、「ブローアップ比」または「BUR」と呼ばれ、元の直径の僅か数パーセントから200パーセント超であり得る。ニップロールは泡を平らにして、その幅(「レイフラット」と呼ばれる)が泡の円周の1/2に等しい、二重層のフィルムとする。次に、このフィルムはスプールされるかまたは印刷され、形状に切断され、ヒートシールされてバッグまたはその他の品目にされることができる。
【0038】
一部の例では、所望の数よりも多くの層を生成する能力のあるインフレーションフィルムラインが用いられてよい。例えば、5層のラインを用いて3層の収縮フィルムを生成することができる。そのような場合、収縮フィルム層の1以上は、2以上のサブ層を含み、各々のサブ層は同一の組成を有する。
【0039】
一実施形態では、本発明は、各々の層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、オレフィンプラストマーおよびエラストマーからなる群から選択される1以上のポリマーを、各々の層が合計92.5〜100重量%の全ポリマーを含むような量でさらに含むことを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、収縮フィルムが、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含み;前記コア層が15〜85重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含むことを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。
【0040】
代替実施形態では、本発明は、収縮フィルムが、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含み;少なくとも1つのスキン層が20〜65重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含むことを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、フィルムがインフレーションフィルム共押出法を用いて生成されることを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が、120〜180の範囲のコモノマー分布定数、エチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たり40〜60ビニルのビニル不飽和;4〜8の範囲のZSVR、0.924〜0.931g/cm
3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I
2)、2.0〜3.3の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜2.5の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とすることを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が、90〜130の範囲のコモノマー分布定数、エチレン系ポリマー組成物の骨格に存在する炭素原子100万個当たり55〜70ビニルのビニル不飽和;8〜12の範囲のゼロ剪断粘度比(ZSVR);0.93〜0.94g/cm
3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I
2)、2〜4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜3の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とすることを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、1つのスキン層の厚さのコア層の厚さに対する比が1:20〜1:2であることを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、1つのスキン層の厚さのコア層の厚さに対する比が1:10〜1:3であることを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、両方のスキン層が、0.912〜0.925g/cm
3の密度および0.2〜2g/10分のI
2を有するLLDPEを含むことを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、両方のスキン層が、0.915〜0.922g/cm
3の密度および0.5〜1.5g/10分のI
2を有するLLDPEを含むことを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。代替実施形態では、本発明は、エチレン系ポリマー組成物が、0.3〜0.8g/10分のI
2および0.930〜0.940g/cm
3の密度を有することを除いて、先行する実施形態のいずれかに係る多層収縮フィルムを提供する。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0042】
本発明の実施例で使用されるエチレン系ポリマー組成物の生成
本発明の組成物実施例(Inv.Comp.Ex.)1〜3は、表1〜3に示される条件下、直列の2つの溶液重合反応器で作成されたエチレン系ポリマー組成物であった。表4は、表3に言及される触媒および触媒成分を要約する。本発明の組成物実施例4は、同様の条件下、直列の2つの溶液重合反応器で作成されたエチレン系ポリマー組成物であった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
本発明の組成物実施例1〜4の様々な特性は表5〜14に示される。
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
【表11】
【0054】
【表12】
【0055】
【表13】
【0056】
【表14】
比較フィルム実施例1および本発明のフィルム実施例1〜8の生成
【0057】
比較フィルム実施例1および本発明のフィルム実施例1〜8を、Alpine American7層共押出インフレーションフィルムラインで作成した。このラインは、バリアスクリューおよび250mm(9.9インチ)共押出(co−ex)ダイを利用する7つの50mm 30:1溝付供給押出機(grooved feed extruder)からなる。このダイは、次の層分布:15/15/13/14/13/15/15で機械加工されたものであり、内部泡冷却部を装備している。各々の押出機は、Maguire4成分混合機を装備している。適切なダイピンを使用して2mm(78ミル)のダイギャップを実現した。ゲージ制御は、非接触NDC後方散乱ゲージ測定システムを利用するAlpine自動プロフィールエアリングシステム(auto−profile air ring system)によって実現した。Brampton Engineering 64”デュアルタレットスタック(dual turret stacked)ワインダーを用いてフィルムを巻き取った。同じ押出温度プロフィールを、7つの押出機の全てに設定した:ゾーン1 70°F/ゾーン2 380°F/ゾーン3 380°F/ゾーン4 380°F/ゾーン5 380°F/ゾーン6 450°F/ゾーン7 450°F/ゾーン8 450°F/ダイ 450°F。本発明のフィルム実施例(Inv.Film Ex.)1〜8および比較フィルム実施例(Comp.Film Ex.)1の各々は、3層収縮フィルムであった。下の表16および17は、比較フィルム実施例1および本発明のフィルム実施例1〜8の光学的性質および機械的性質を要約する。表20は、本発明および比較フィルム実施例で使用される本発明の組成物以外の各々のポリマー組成物の密度およびI
2を提供する。
【0058】
【表16】
【0059】
【表17-1】
【表17-2】
【0060】
本発明のフィルム実施例9〜12および比較フィルム実施例2の各々は、次の条件:ダイギャップ=1.8mm;出力=140kg/h;およびBUR=3.5において、Reifenhauser3層共押出インフレーションフィルムラインで作成した。インフレーションフィルムラインの温度条件(℃)は、表18に示される。
【0061】
【表18】
【0062】
表19は、本発明のフィルム実施例9〜12および比較フィルム実施例2の組成情報を提供する。
【0063】
【表19】
【0064】
表20は、本発明のフィルム実施例および比較フィルム実施例で用いられる(本発明の組成物実施例以外の)ポリマー組成物の密度およびメルトインデックス(I
2)を提供する。
【0065】
【表20】
【0066】
DOWLEX NG XUS 61530.02(「LLDPE−1」)、LDPE132I、DOWLEX2045G LLDPE、ELITE 5111GおよびELITE 5400Gは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(米国ミシガン州ミッドランド)より市販されている。表21は、本発明のフィルム実施例9〜12および比較フィルム実施例2の光学的性質および機械的性質を要約する。
【0067】
【表21】
*表21中の破断データは、使用したプローブ直径が0.75インチでなく0.5インチであったことを除いて、ASTM D5748に従って得た。
【0068】
組成物の試験方法には、以下のものがある:密度:密度を測定するためのサンプルをASTM D−1928に従って調製する。ASTM D−792、方法Bを用いてサンプルをプレスする1時間以内に測定を行う。メルトインデックス:メルトインデックス、すなわちI
2は、ASTM−D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定され、10分当たりに溶離したグラム数で報告される。I
10は、ASTM−D1238、条件190℃/10kgに従って測定され、10分当たりに溶離したグラム数で報告される。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):高温GPC測定器(モデルPL220、現アジレントであるポリマーラボラトリーズ社)でサンプルを分析した。従来のGPC測定を用いてポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、分子量分布、MWDまたはMw/Mnを求めた。z平均分子量、Mzも求めた。この方法は、流体力学的体積の概念に基づく周知の一般的な較正法を用い、較正は、狭いポリスチレン(PS)標準品を、140℃のシステム温度で動作する3つの10μm混合Bカラム(現アジレントであるポリマーラボラトリーズ社)とともに用いて実施した。ポリエチレンサンプルは、1,2,4−トリクロロベンゼン溶媒中2mg/mlの濃度で、TCB中のサンプルを160℃で4時間ゆっくりと撹拌することにより調製した。流量は1.0mL/分であり、注入サイズは200マイクロリットルであった。クロマトグラフィー溶媒およびサンプル調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有した。両方の溶媒源を窒素スパージした。ポリスチレン標準品の分子量を、文献に考察されるように0.4316の補正係数を用いてポリエチレン等価分子量に変換した(T. Williams and I.M. Ward, Polym. Letters, 6, 621−624 (1968))。三次多項式を用いて、標準品のそれぞれのポリエチレン等価分子量を観察される溶離体積に当てはめた。結晶化溶離分画(CEF)法:コモノマー分布分析は、結晶化溶離分画(CEF)(スペイン、PolymerChar)で実施する(B Monrabal et al, Macromol. Symp. 257, 71−79 (2007))。600ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含むオルト−ジクロロベンゼン(ODCB)を溶媒として使用する。サンプル調製は、(特に指定されない限り)オートサンプラーによって4mg/mlで振盪下、160℃で2時間行われる。注入量は300μlである。CEFの温度プロフィールは:110℃から30℃まで3℃/分で結晶化、30℃で5分間熱平衡化、30℃から140℃まで3℃/分で溶離である。結晶化中の流量は0.052ml/分である。溶離中の流量は0.50ml/分である。データは1データポイント/秒で収集される。CEFカラムは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが1/8インチステンレス管を用いて125μm±6%のガラスビーズ(MO−SCI Specialty Products)で充填する。ガラスビーズは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからの要請によってMO−SCI Specialtyが酸洗浄する。カラム容積は2.06mlである。カラム温度の較正は、ODCB中、NIST標準物質線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)およびエイコサン(2mg/ml)の混合物を使用することによって実施する。温度は、NIST線状ポリエチレン1475aが101.0℃のピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように溶離加熱速度を調節することにより較正する。CEFカラム分解能は、NIST線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)およびヘキサコンタン(Fluka,purum、≧97.0%、1mg/ml)の混合物を用いて算出する。ヘキサコンタンおよびNISTポリエチレン1475aのベースライン分離を実現する。ヘキサコンタンの面積(35.0〜67.0℃)対67.0〜110.0℃のNIST1475aの面積は、50対50であり、35.0℃未満の可溶性画分の量は<1.8重量%である。CEFカラム分解能は、次式に定義される:
【数1】
ここでカラム分解能は6.0である。
【0069】
コモノマー分布定数(CDC)法:コモノマー分布定数(CDC)を、CEFによりコモノマー分布プロフィールから算出する。CDCは、次式に示されるように、コモノマー分布指数をコモノマー分布形状係数で除算し100を乗じた数として規定される:
【数2】
【0070】
コモノマー分布指数は、35.0〜119.0℃の0.5のコモノマー含量中央値(C
median)から1.5のC
medianの範囲のコモノマー含量をもつポリマー鎖の全重量分率を表す。コモノマー分布形状係数は、コモノマー分布プロフィールの半値幅を、ピーク温度(T
p)から得られるコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算した比として定義される。
【0071】
CDCは、CEFによるコモノマー分布プロフィールから算出され、CDCは、次式に示されるように、コモノマー分布指数をコモノマー分布形状係数で除算し100を乗じた数として規定される:
【数3】
この際、コモノマー分布指数は、35.0〜119.0℃の0.5のコモノマー含量中央値(C
median)から1.5のC
medianの範囲のコモノマー含量をもつポリマー鎖の全重量分率を表し、コモノマー分布形状係数は、コモノマー分布プロフィールの半値幅を、ピーク温度(Tp)から得られるコモノマー分布プロフィールの標準偏差で除算した比として定義される。
【0072】
CDCは、次のステップに従って算出される:
(A)次式に従って、CEFから、0.200℃の段階的温度増加で35.0〜119.0℃の各々の温度(T)での重量分率(w
T(T))を得るステップ:
(B)次式に従って、0.500の累積重量分率での温度中央値(T
median)を算出するステップ、
【数4】
(C)温度中央値(T
median)での対応するコモノマー含量中央値(モル%)(C
median)
【数5】
を、次式に従って、コモノマー含量較正曲線を使用することにより、算出するステップ:
【数6】
(D)既知量のコモノマー含量をもつ一連の基準物質を使用することにより、コモノマー含量較正曲線を構築するステップ。すなわち、0.0モル%から7.0モル%に及ぶコモノマー含量で35,000〜115,000の重量平均M
w(従来GPCで測定)を有する狭いコモノマー分布(35.0〜119.0℃のCEFでの単峰性コモノマー分布)を有する11の基準物質を、CEF実験の項に明記される同じ実験条件のCEFによって分析するステップ;
(E)各々の基準物質のピーク温度(T
p)およびそのコモノマー含量を使用することによりコモノマー含量較正を計算するステップ;較正は、次式に従って、各々の基準物質から算出される:
【数7】
この際:R
2は、相関定数である;
(F)コモノマー分布指数を、0.5
*C
median〜1.5
*C
medianの範囲のコモノマー含量を有する全重量分率から算出するステップ、ここで、T
medianが98.0℃よりも高い場合には、コモノマー分布指数は、0.95と定義される;
(G)35.0〜119.0℃の最大ピークに対する各々のデータポイントを探索することによって、CEFコモノマー分布プロフィールから最大ピーク高さを得るステップ(2つのピークが同一の場合には、低いほうの温度ピークが選択される);半値幅は、最大ピーク高さの半分での前方温度と後方温度との間の温度差として定義され、最大ピークの半分での前方温度は35.0℃から前方に探索され、一方、最大ピークの半分での後方温度は、119.0℃から後方に探索され、ピーク温度の差が各々のピークの半値幅の合計に等しいかまたはその1.1倍よりも大きい明確な二峰性分布の場合には、本発明のエチレン系ポリマー組成物の半値幅は、各々のピークの半値幅の相加平均として算出される;
(H)次式に従って温度の標準偏差(Stdev)を算出するステップ:
【数8】
【0073】
クリープゼロ剪断粘度測定法
ゼロ剪断粘度は、直径25mmの平行プレートを190℃で使用するAR−G2応力制御レオメーター(TAインスツルメント;デラウエア州ニューキャッスル)で行ったクリープ試験によって得られる。レオメータ・オーブンは、取付具のゼロ点調整(zeroing fixtures)の前に少なくとも30分間、試験温度に設定する。試験温度で、圧縮成形したサンプルディスクをプレート間に挿入し、5分間平衡状態にする。次に、上側のプレートを、所望の試験ギャップ(1.5mm)の50μm上まで下げる。不必要な材料を切り落とし、上側のプレートを所望のギャップまで下げる。測定は、窒素パージ下、5L/分の流量で行う。デフォルトクリープ時間は2時間に設定する。20Paの一定の低剪断応力を全てのサンプルに加えて、定常状態の剪断速度が確実にニュートン領域内にあるほど低いようにする。得られる定常状態の剪断速度は、この実験のサンプルに関して10
−3〜10
−4s
−1の範囲内である。定常状態は、log(J(t))対log(t)(ここで、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)のプロットの最後の10%の時間窓の中の全てのデータに関する線形回帰を考慮に入れることによって決定される。線形回帰の傾きが0.97よりも大きい場合、定常状態に達したと考えてクリープ試験を停止する。この実験の全ての例において、傾きは2時間以内に基準を満たす。定常状態の剪断速度は、ε対t(式中、εは歪みである)のプロットの最後の10%の時間窓の中の全てのデータポイントの線形回帰の傾きから決定される。ゼロ剪断粘度は、加えられた応力の定常状態剪断速度に対する比から決定される。サンプルがクリープ試験の間に分解されるかどうかを判定するために、クリープ試験の前後に同じ試験片で0.1〜100rad/秒で小振幅振動剪断試験を実施する。2回の試験の複素粘度値を比較する。0.1rad/秒での粘度値の差が5%よりも大きい場合、サンプルはクリープ試験の間に分解したとみなされ、結果は廃棄される。
【0074】
ゼロ剪断粘度比(ZSVR)は、次式に従って、分枝ポリエチレン材料のゼロ剪断粘度(ZSV)の、同等の重量平均分子量(Mw−gpc)での線状ポリエチレン材料のZSVに対する比として定義される:
【数9】
【0075】
ZSV値は、上記の方法によって190℃のクリープ試験から得られる。Mw−gpc値は、従来のGPC法により決定される。線状ポリエチレンのZSVとそのMw−gpcとの間の相関関係を、一連の線状ポリエチレン基準物質に基づいて確立した。ZSV−Mwの関係についての記述は、ANTEC proceeding: Karjala, Teresa P.; Sammler, Robert L.; Mangnus, Marc A.; Hazlitt, Lonnie G.; Johnson, Mark S.; Hagen, Charles M., Jr.; Huang, Joe W. L.; Reichek, Kenneth N. Detection of low levels of long−chain branching in polyolefins. Annual Technical Conference − Society of Plastics Engineers(2008), 66th 887−891に見出すことができる。
【0076】
1H NMR法:3.26gの原液を、10mmのNMR管中、0.133gのポリオレフィンサンプルに添加する。この原液は、テトラクロロエタン−d
2(TCE)およびペルクロロエチレン(50:50、w:w)の混合物であり、0.001M Cr
3+を含む。管の中の溶液をN
2で5分間パージして酸素の量を減らす。蓋をしたサンプル管を室温にて一晩放置してポリマーサンプルを膨潤させる。サンプルを110℃で振盪しながら溶解させる。サンプルは、不飽和の原因となり得る添加剤、例えばエルカ酸アミドなどのスリップ剤を含まない。
1H NMRは、Bruker AVANCE 400MHzスペクトロメーターで120℃にて10mmクライオプローブを用いて行う。2回の実験:対照実験およびダブルプリサチュレーション(double pre−saturation)実験を行って不飽和を得る。対照実験のために、データをLB=1Hzを用いる指数窓関数で処理し、ベースラインを7から−2ppmまで補正した。TCEの残留
1Hからのシグナルを100に設定し、−0.5から3ppmまでの積分I
totalを対照実験におけるポリマー全体からのシグナルとして使用する。ポリマー中のCH
2基、NCH
2の数を次の通り計算する:NCH
2=I
total/2。ダブルプリサチュレーション実験のために、データをLB=1Hzを用いる指数窓関数で処理し、ベースラインを6.6から4.5ppmまで補正した。TCEの残留
1Hからのシグナルを100に設定し、不飽和について対応する積分、(I
vinylene、I
trisubstituted、I
vinylおよびI
vinylidene)を、下に示す領域に基づいて積分した。
【0077】
【化2】
ビニレン、三置換、ビニルおよびビニリデンの不飽和単位の数を算出する:
N
vinylene=I
vinylene/2;N
trisubstituted=I
trisubstitute;N
vinyl=I
vinyl/2;N
vinylidene=I
vinylidene/2;不飽和単位/1,000,000炭素は、次の通り計算する:N
vinylene/1,000,000C=(N
vinylene/NCH
2)
*1,000,000;N
trisubstituted/1,000,000C=(N
trisubstituted/NCH
2)
*1,000,000;N
vinyl/1,000,000C=(N
vinyl/NCH
2)
*1,000,000;N
vinylidene/1,000,000C=(N
vinylidene/NCH
2)
*1,000,000。不飽和NMR分析の要件には:定量化のレベルが、3.9重量%のサンプル(Vd2構造に対して、Macromolecules, vol. 38, 6988, 2005参照)、10mm高温クライオプローブを用いて、200スキャンで(対照実験を実行するまでの時間を含めて1時間未満のデータ獲得)、Vd2に対して0.47±0.02/1,000,000炭素であることが含まれる。定量化のレベルは、10のシグナル対ノイズ比として定義される。化学シフト基準は、TCT−d2の残留プロトンからの
1Hシグナルに対して6.0ppmに設定する。対照は、ZGパルス、TD 32768、NS 4、DS 12、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 14sで実行する。ダブルプリサチュレーション実験は、変更したパルス配列、O1P 1.354ppm、O2P 0.960ppm、PL9 57db、PL21 70db、TD 32768、NS 200、DS 4、SWH 10,000Hz、AQ 1.64s、D1 1s、D13 13sで実行する。Bruker AVANCE 400MHzスペクトロメーター(spectrometerare)による不飽和のための変更したパルス配列を、下に示す:
【表21】
【0078】
DSC結晶化度:示差走査熱量測定(DSC)を用いて、広い温度範囲にわたってポリマーの溶融および結晶化挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷凍冷却システム)およびオートサンプラーを装備したTAインスツルメント Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験の間、50L/分の窒素パージガス流を使用する。各々のサンプルを、約175℃で薄膜に溶融プレスする;次に、溶融したサンプルを室温(約25℃)に空冷する。3〜10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)の中に入れ、クリンプして閉じる。次に、分析を実施してその熱特性を決定する。サンプルの熱挙動は、サンプル温度を上下に傾斜させて熱流対温度プロフィールを作り出すことにより測定する。まず、サンプルを180℃に急速加熱し、その熱履歴を除くために3分間等温に保持する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間等温に保持する。その後、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する(これが「第2の加熱」ランプである)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から−20℃までにベースラインの端点を設定することにより分析する。加熱曲線は、−20℃から溶融の開始までにベースラインの端点を設定することにより分析する。決定される値は、ピーク融解温度(T
m)、ピーク結晶化温度(T
c)、融解熱(H
f)(ジュール/グラム)、および次式を用いて、ポリエチレンサンプルについて計算された結晶化度%である:
% 結晶化度=((H
f)/(292J/g))×100。融解熱(H
f)およびピーク融解温度は第2加熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
【0079】
動的機械的分光法(DMS)周波数掃引:樹脂を、空気中1500psi圧力下、350°Fで5分間、厚さ3mm×1インチの円形のプラックに圧縮成形した。次に、サンプルをプレスから取り出し、カウンターの上に置いて冷却する。一定温度の周波数掃引を、窒素パージ下、25mm平行プレートを装備したTAインスツルメント「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて実施する。サンプルをプレートの上に置き、190℃で5分間溶融させる。次に、プレートは2mmまで近づき、サンプルをトリミングした後、試験を開始する。この方法は、温度平衡を可能にするために、追加の5分の遅延が組み込まれている。実験は、190℃で0.1〜100rad/秒の周波数範囲にわたって実施する。歪み振幅は10%で一定である。応力応答を振幅および位相に関して分析し、それから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G
*)、動的溶融粘度η
*、tan(δ)すなわちtanデルタを算出する。
【0080】
溶融強度:溶融強度は、Goettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;サウスカロライナ州ロックヒル)を使用して190℃で測定され、長さ30mmおよび直径2mmの平らな流入角(180度)を装備したGoettfert Rheotester 2000細管レオメーターによって溶融供給される。ペレットをバレル(L=300mm、直径=12mm)に送り込み、圧縮し、10分間溶融させた後に0.265mm/sの一定のピストン速度で押出する。これは所与ダイ直径で38.2s
−1の壁剪断速度に相当する。押出物は、ダイ出口の100mm下方に位置するRheotensのホイールを通過し、ホイールによって下向きに2.4mm/s
2の加速度で出る。ホイールで用いられる力(単位cN)をホイールの速度(単位mm/s)の関数として記録する。溶融強度は、鎖分解の前の平坦域の力(cN)として記録する。
【0081】
フィルム試験法には、以下のものが含まれた:全(全体的な)ヘイズおよび内部ヘイズ:内部ヘイズおよび全ヘイズは、ASTM D1003−07に従って測定した。内部ヘイズは、鉱油(茶匙1〜2杯)を用いる屈折率整合によって得られ、鉱油はフィルムの各々の表面上の被膜として適用した。ヘイズガード・プラス(BYK−ガードナーUSA;メリーランド州コロンビア)を試験に使用する。各々の試験に対して、5つのサンプルを調べ、平均を報告した。サンプル寸法は、「6インチ×6インチ」であった。45度光沢度:ASTM D2457−08(5つのフィルムサンプルの平均;各サンプルは「10インチ×10インチ」)。透明性:ASTM D1746−09(5つのフィルムサンプルの平均;各サンプルは「10インチ×10インチ」)。1%および2%割線係数−MD(縦方向)およびCD(横方向):ASTM D882−10(各方向の5つのフィルムサンプルの平均;各サンプルは「1インチ×6インチ」)。CDおよびMD極限引張強度、CDおよびMD引張ピーク荷重、CDおよびMD極限伸び、CDおよびMD引張降伏歪、CDおよびMD引張降伏強さ:(各方向の5つのフィルムサンプルの平均;各サンプルは「1インチ×6インチ」)。CDおよびMD引張厚さ:ASTM D882−10。MDおよびCDエルメンドルフ引裂強さ:ASTM D1922−09(各方向の15のフィルムサンプルの平均;各サンプルは「3インチ×2.5インチ」の半月形)。ダート衝撃強度:ASTM D1709−09(50%破断を実現するために最小20滴;一般に10枚の「10インチ×36インチ」のストリップ)。破断強度:破断強度(表21中のデータは除く)は、シンテック・テストワークス・ソフトウェア・バージョン3.10を備えたINSTRON4201型で測定した。試験片サイズは、「6インチ×6インチ」であり、4回の測定を行って平均破断値を決定した。フィルムは、フィルム製造後に40時間状態調節され、少なくとも24時間は、ASTM制御実験室(23℃および相対湿度50%)に置かれる。「100ポンド」ロードセルを直径4インチの円形の試験片ホルダーとともに使用した。破断プローブは、「最大移動距離7.5インチ」を有する、「直径1/2インチ」の研磨ステンレス鋼球(2.5インチのロッド上)である。ゲージ長はなく、プローブは可能な限り試験片に近接しているが、試験片に接触しない(プローブは、それが試験片に接触するまでプローブを上昇させることによって設定する)。次に、試験片に接触しなくなるまでプローブを徐々に下降させた。次に、クロスヘッドをゼロに設定した。最大移動距離を考えると、この距離は約0.10インチとなる。クロスヘッド速度は10インチ/分であった。厚さは、試験片の中央で測定した。フィルムの厚さ、クロスヘッド移動距離、およびピーク負荷を用いて、ソフトウェアによって破断強度を決定した。各々の試験片の後に「キムワイプ」を用いて破断プローブを清浄した。収縮張力:収縮張力は、Y. Jin, T. Hermel−Davidock, T. Karjala, M. Demirors, J. Wang, E. Leyva, and D. Allen, “Shrink Force Measurement of Low Shrink Force Films”, SPE ANTEC Proceedings, p. 1264 (2008)に記載される方法に従って測定した。フィルムサンプルの収縮張力は、フィルム固定具を備えたRSA−III動的機械分析器(TAインスツルメント;デラウエア州ニューキャッスル)で実施される温度傾斜試験によって測定した。「幅12.7mm」および「長さ63.5mm」のフィルム試験片を、試験のために縦方向(MD)かまたは横方向(CD)のいずれかにフィルムサンプルからダイカットした。フィルム厚さは、ミツトヨAbsoluteデジマチックインジケータ(モデルC112CEXB)によって測定した。このインジケータは、12.7mmの最大測定範囲を有し、分解能は0.001mmであった。各々のフィルム試験片の異なる位置での3回の厚さ測定の平均、および試験片の幅を用いて、フィルムの断面積(A)を算出し、この際「A=(フィルム試験片の)幅×厚さ」を収縮フィルムの試験に使用した。標準的なTAインスツルメント製フィルム張力固定具を測定に使用した。RSA−IIIのオーブンを、ギャップおよび軸力を零点調整する前に、25℃で少なくとも30分間平衡化させた。初期ギャップは20mmに設定した。次に、フィルム試験片を上方の固定具と下方の固定具の両方に取り付けた。一般に、MDの測定は、1層のフィルムだけを必要とする。CD方向の収縮張力は一般に低いので、信号対雑音比を改善するために各々の測定について2層または4層のフィルムを一緒に積み重ねる。そのような場合、フィルム厚さは、全ての層の合計である。この研究では、単一の層をMD方向に使用し、2層をCD方向に使用した。フィルムが25℃の初期温度に達した後、上側の固定具を手動で上昇させるか僅かに下降させて−1.0gの軸力を得た。これは、試験の開始時にフィルムのしわまたは過剰な伸長が起こっていないことを確保するためのものであった。次に試験を開始した。全ての測定の間、一定の固定具ギャップを維持した。温度傾斜は、90℃/分の速度で、25℃から80℃まで開始し、それに続いて20℃/分の速度で80℃から160℃まで行った。80℃から160℃までの傾斜の間、フィルムが収縮したので、力変換器によって測定される収縮力を温度の関数としてさらなる分析のために記録した。「ピーク力」と「収縮力ピークの開始前のベースライン値」との間の差は、フィルムの収縮力(F)と考えられる。フィルムの収縮張力は、フィルムの収縮力(F)の断面積(A)に対する比である。自由収縮:サンプルの4×4インチの試験片をフィルムホルダーの中に入れ、次に所望の温度の熱油浴に30秒間浸漬した。使用した油はダウ・コーニング210Hである。30秒後、フィルムホルダー/サンプルを取り出し、冷却させた後、試験片を機械方向と横方向の両方で測定する。次に、サンプルの初期長さLoの、上記手順ごとに熱油浴に入れた後に新しく測定した長さLfに対する測定値から収縮%を算出する。収縮%=[(Lf−Lo)/Lo]
*100
【0082】
別に指定されるか、文脈から暗示されるかまたは当技術分野において習慣的である場合を除いて、全ての部および百分率は重量に基づく。全ての特許出願、刊行物、特許、試験手順、および、優先権書類を含む引用されるその他の文書は、かかる開示が開示される組成物および方法と矛盾しない程度まで、かつかかる組み込みが許容される全ての権限において、参照により完全に組み込まれる。
【0083】
本発明は、その精神および本質的な特性から逸脱することなくその他の形態で具体化されてよく、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりも添付される特許請求の範囲が参照されるべきである。
なお、本発明には以下の態様も含まれる。
[1] 2つのスキン層および少なくとも1つのコア層を含む少なくとも3つの層を含む、多層収縮フィルムであって;
少なくとも1つの層が、75〜220の範囲のCDC、30〜100ビニル/1,000,000Cのビニル不飽和;少なくとも2.5〜15の範囲のZSVR;0.924〜0.940g/cm3の範囲の密度、0.1〜1g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)、2.5〜10の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜4の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とする1以上のエチレン系ポリマー組成物に由来する10〜100重量パーセントの単位を含み;かつ
前記多層フィルムが、少なくとも50%の45度光沢度、15%以下の全ヘイズ、8%以下の内部ヘイズ、43,000psi以上の1%CD割線係数、38,000psi以上の1%MD割線係数、少なくとも0.7psiのCD収縮張力、および/または少なくとも10psiのMD収縮張力からなる群から選択される少なくとも1つの特徴を示す、多層収縮フィルム。
[2] 各々の層が、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、オレフィンプラストマーおよびエラストマーからなる群から選択される1以上のポリマーを、各々の層が合計92.5〜100重量パーセントの全ポリマーを含むような量でさらに含む、[1]記載の多層収縮フィルム。
[3] 前記収縮フィルムが、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含み;かつ、前記コア層が、30〜60重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含む、[1]〜[2]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[4] 前記コア層が、40重量%のエチレン系ポリマー組成物、ならびに、0.918〜0.960g/cm3の密度および0.2〜2のI2を有する、60重量%のポリエチレンを含む、[3]記載の多層収縮フィルム。
[5] 前記収縮フィルムが、2つのスキン層および1つのコア層を含む合計3層を含み;少なくとも1つのスキン層が、30〜60重量パーセントのエチレン系ポリマー組成物を含む、[1]記載の多層収縮フィルム。
[6] 前記フィルムが共押出法を用いて製造される、[1]〜[5]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[7] 前記エチレン系ポリマー組成物が、120より大きく180までの範囲のCDC、40〜60ビニル/1,000,000Cのビニル不飽和;4〜8の範囲のZSVR;0.924〜0.931g/cm3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I2)、2.0〜3.3の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜2.5の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[8] 前記エチレン系ポリマー組成物が、90より大きく130までの範囲のCDC、55〜70ビニル/1,000,000Cのビニル不飽和;8〜12の範囲のZSVR;0.930〜0.940g/cm3の範囲の密度、0.3〜0.6g/10分のメルトインデックス(I2)、2〜4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)、および1.5〜3の範囲の分子量分布(Mz/Mw)を有することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[9] 1つのスキン層の厚さのコア層の厚さに対する比が、1:20〜1:2である、[1]〜[8]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[10] 1つのスキン層の厚さのコア層の厚さに対する比が、1:10〜1:3である、[1]〜[9]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[11] 両方のスキン層が、0.912〜0.925g/cm3の密度および0.2〜2g/10分のI2を有する、エチレン系ポリマー組成物以外のLLDPEを含む、[1]〜[10]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[12] 両方のスキン層が、0.915〜0.922g/cm3の密度および0.5〜1.5g/10分のI2を有する、エチレン系ポリマー組成物以外のLLDPEを含む、[1]〜[11]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[13] 前記エチレン系ポリマー組成物が、0.2〜2.0g/10分のI2および0.925〜0.955g/cm3の密度を有する、[1]〜[12]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。
[14] 前記エチレン系ポリマー組成物が、0.3〜0.8g/10分のI2および0.930〜0.940g/cm3の密度を有する、[1]〜[13]のいずれか一項記載の多層収縮フィルム。