【文献】
ETRI,Multi-cell PMI coordination for downlink CoMP[online],3GPP TSG-RAN WG1#58b R1-094313,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_58b/Docs/R1-094313.zip>,2009年10月 7日
【文献】
Fujitsu,Precoding for geographically separated antennas and related codebook[online],3GPP TSG-RAN WG1#66b R1-113463,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_66b/Docs/R1-113463.zip>,2011年10月 5日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択する前記ステップが、前記第1のセルによって引き起こされ、前記第2のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第1のプリコーディング行列を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択する前記ステップが、前記第2のセルによって引き起こされ、前記第1のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第2のプリコーディング行列を選択するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択するための前記手段が、前記第1のセルによって引き起こされ、前記第2のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第1のプリコーディング行列を選択するように構成される、請求項5に記載のユーザ機器。
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択するための前記手段が、前記第2のセルによって引き起こされ、前記第1のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第2のプリコーディング行列を選択する手段を含む、請求項7に記載のユーザ機器。
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択するように構成される前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第1のセルによって引き起こされ、前記第2のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第1のプリコーディング行列を選択するようにさらに構成される、請求項9に記載のユーザ機器。
前記第1のプリコーディング行列と前記第2のプリコーディング行列とを連動して選択するように構成される前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第2のセルによって引き起こされ、前記第1のセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために前記第2のプリコーディング行列を選択するようにさらに構成される、請求項11に記載のユーザ機器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面に関する下記の詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明される概念が実行され得る唯一の構成を表すように意図されているわけではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解をもたらす目的で、具体的な詳細を含んでいる。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実行され得ることが、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にするのを回避する目的で、周知の構造および構成要素がブロック図の形式で示されている。
【0017】
図1は、処理システム114を使用する装置100のハードウェア実装の一例を示す概念図である。本開示の様々な態様によれば、要素または要素の任意の一部分または要素の任意の組合せを、1つまたは複数のプロセッサ104を含む処理システム114で実装できる。プロセッサ104の例として、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、状態機械、ゲート論理、個別ハードウェア回路、および本開示全体にわたって説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアがある。
【0018】
この例では、処理システム114は、バス102によって全般的に表されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス102は、処理システム114の具体的な用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続するバスおよびブリッジを含むことができる。バス102は、(プロセッサ104によって全般に表される)1つまたは複数のプロセッサ、メモリ105、および(コンピュータ可読媒体106によって全般に表される)コンピュータ可読媒体を含む、様々な回路を互いにつなぐ。バス102は、タイミングソース、周辺機器、電圧調整器、および電力管理回路など、様々な他の回路をつなぐこともでき、これらの回路は当技術分野で知られているのでこれ以上は説明しない。バスインターフェース108は、バス102とトランシーバ110との間にインターフェースを提供する。トランシーバ110は、送信媒体上の様々な他の装置と通信するための手段を提供する。また、装置の性質に応じて、ユーザインターフェース112(たとえば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティックなど)が設けられてもよい。
【0019】
プロセッサ104は、バス102の管理、およびコンピュータ可読媒体106上に記憶されたソフトウェアの実行を含む全般的な処理を受け持つ。ソフトウェアは、プロセッサ104によって実行されると、任意の特定の装置の以下で説明する様々な機能を処理システム114に実行させる。コンピュータ可読媒体106は、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ104によって操作されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0020】
処理システム内の1つまたは複数のプロセッサ104は、ソフトウェアを実行できる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。ソフトウェアはコンピュータ可読媒体106上に常駐し得る。コンピュータ可読媒体106は、非一時的コンピュータ可読媒体であってよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(たとえば、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)またはデジタル多目的ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、またはキードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、取り外し可能ディスク、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を保存するための任意の他の適切な媒体を含む。また、コンピュータ可読媒体は、例として、搬送波、伝送路、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための任意の他の適切な媒体も含むことができる。コンピュータ可読媒体106は、処理システム114の中に常駐してもよく、処理システム114の外に常駐してもよく、または処理システム114を含む複数のエンティティに分散してもよい。コンピュータ可読媒体106は、コンピュータプログラム製品において具現化され得る。例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内のコンピュータ可読媒体を含むことができる。当業者は、具体的な用途およびシステム全体に課せられた全体的な設計制約に応じて、本開示全体にわたって示され説明される機能を最善の形で実装する方法を認識す
るだろう。
【0021】
本開示全体にわたって提示される様々な概念は、広範な遠隔通信システム、ネットワークアーキテクチャ、および通信規格にわたって実装され得る。ここで
図2を参照すると、限定ではなく例として、本開示の様々な態様は、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)システム200に関して示されている。UMTSネットワークは、コアネットワーク204、無線アクセスネットワーク(RAN)(たとえば、UMTS地上波無線アクセスネットワーク(UTRAN)202)、およびユーザ機器(UE)210という3つの対話する領域を含む。UTRAN202のために利用可能ないくつかのオプションの中で、本例では、図示のUTRAN202は、電話、ビデオ、データ、メッセージング、ブロードキャスト、および/または他のサービスを含む様々なワイヤレスサービスを可能にするためのWCDMA(登録商標)エアインターフェースを使用できる。UTRAN202は、無線ネットワークコントローラ(RNC)206などのそれぞれの無線ネットワークコントローラ(RNC)によって各々制御される、無線ネットワークサブシステム(RNS)207などの複数の無線ネットワークサブシステム(RNS)を含むことができる。ここで、UTRAN202は、示されるRNC206およびRNS207に加えて、任意の数のRNC206およびRNS207を含むことができる。RNC206は、とりわけ、RNS207内の無線リソースを割り当て、再構成し、解放することを受け持つ装置である。RNC206は、任意の適切なトランスポートネットワークを使用する、直接の物理接続、仮想ネットワークなど様々なタイプのインターフェースを介して、UTRAN202中の他のRNC(図示せず)に相互接続され得る。
【0022】
RNS207によってカバーされる地理的領域は、いくつかのセルに分けることができ、無線トランシーバ装置が各セルにサービスする。無線トランシーバ装置は、通常、UMTS用途ではノードBと呼ばれるが、当業者によって、基地局(BS)、トランシーバ基地局(BTS)、無線基地局、無線トランシーバ、トランシーバ機能、基本サービスセット(BSS)、拡張サービスセット(ESS)、アクセスポイント(AP)、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。明快にするために、各RNS207に3つのノードB208が示されているが、RNS207は、任意の数のワイヤレスノードBを含んでもよい。ノードB208は、ワイヤレスアクセスポイントを任意の数のモバイル装置のためのコアネットワーク204に提供する。モバイル装置の例には、携帯電話、スマートフォン、セッション開始プロトコル(SIP)電話、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、スマートブック、携帯情報端末(PDA)、衛星ラジオ、全地球測位システム(GPS)デバイス、マルチメディアデバイス、ビデオデバイス、デジタルオーディオプレーヤ(たとえば、MP3プレーヤ)、カメラ、ゲーム機、または任意の他の類似の機能デバイスなどがある。モバイル装置は、通常、UMTS用途ではユーザ機器(UE)と呼ばれるが、当業者によって、移動局(MS)、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、遠隔ユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、遠隔デバイス、モバイル加入者局、アクセス端末(AT)、モバイル端末、ワイヤレス端末、遠隔端末、ハンドセット、端末、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。UMTSシステムでは、UE210は、ネットワークへのユーザの加入情報を含む汎用加入者識別モジュール(USIM)211をさらに含むことができる。説明のために、1つのUE210がいくつかのノードB208と通信しているように示される。順方向リンクとも呼ばれるダウンリンク(DL)は、ノードB208からUE210への通信リンクを指し、逆方向リンクとも呼ばれるアップリンク(UL)は、UE210からノードB208への通信リンクを指す。
【0023】
コアネットワーク204は、UTRAN202のような1つまたは複数のアクセスネットワークとインターフェースをとることができる。示されるように、コアネットワーク204は、UMTSコアネットワークである。しかしながら、当業者が認識するように、UMTSネットワーク以外のタイプのコアネットワークへのアクセスをUEに提供するために、本開示全体にわたって提示される様々な概念を、RANまたは他の適切なアクセスネットワークにおいて実装できる。
【0024】
示されるUMTSコアネットワーク204は、回線交換(CS)領域およびパケット交換(PS)領域を含む。回線交換要素のいくつかは、モバイルサービス交換センタ(MSC)、ビジターロケーションレジスタ(VLR)、およびゲートウェイMSC(GMSC)である。パケット交換要素は、サービングGPRSサポートノード(SGSN)、およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)を含む。EIR、HLR、VLR、およびAuCのようないくつかのネットワーク要素は、回線交換領域とパケット交換領域の両方によって共有され得る。
【0025】
図示の例では、コアネットワーク204は、MSC212およびGMSC214によって回線交換サービスをサポートする。いくつかの用途では、GMSC214は、メディアゲートウェイ(MGW)とも呼ばれ得る。RNC206のような1つまたは複数のRNCが、MSC212に接続され得る。MSC212は、呼設定、呼ルーティング、およびUEモビリティ機能を制御する装置である。MSC212は、UEがMSC212のカバレージエリア内にある間、加入者関連の情報を格納する、ビジターロケーションレジスタ(VLR)も含む。GMSC214は、UEが回線交換ネットワーク216にアクセスするためのゲートウェイを、MSC212を通じて提供する。GMSC214は、特定のユーザが加入したサービスの詳細を反映するデータのような加入者データを格納する、ホームロケーションレジスタ(HLR)215を含む。HLRは、加入者に固有の認証データを格納する、認証センター(AuC)とも関連付けられている。特定のUEについて、呼が受信されると、GMSC214は、UEの位置を決定するためにHLR215に問い合わせ、その位置をサービスする特定のMSCに呼を転送する。
【0026】
示されるコアネットワーク204はまた、サービングGPRSサポートノード(SGSN)218およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)220によって、パケット交換データサービスをサポートする。汎用パケット無線サービス(GPRS)は、標準の回線交換データサービスで可能なものより速い速度でパケットデータサービスを提供するよう設計されている。GGSN220は、パケットベースネットワーク222へのUTRAN202の接続を提供する。パケットベースネットワーク222は、インターネット、プライベートデータネットワーク、または何らかの他の適切なパケットベースネットワークであってもよい。GGSN220の主要機能は、UE210にパケットベースネットワーク接続を提供することである。データパケットは、MSC212が回線交換領域において実行するのと同じ機能をパケットベース領域において主に実行するSGSN218を介して、GGSN220とUE210との間で転送され得る。
【0027】
ワイヤレス遠隔通信システムでは、通信プロトコルアーキテクチャは、特定のアプリケーションに応じて様々な形態をとることができる。たとえば、
図2に示し、上記で説明した3GPP UMTSシステムでは、シグナリングプロトコルスタックは、非アクセス層(NAS)とアクセス層(AS)とに分けられる。NASは、UE210とコアネットワーク204との間のシグナリングのために上位層を提供し、回線交換プロトコルとパケット交換プロトコルとを含むことができる。ASは、UTRAN202とUE210との間のシグナリングのために下位層を提供し、ユーザプレーンと制御プレーンとを含むことができる。ここで、ユーザプレーンまたはデータプレーンはユーザのトラフィックを搬送し、一方、制御プレーンは、制御情報(すなわちシグナリング)を搬送する。
【0028】
図3を参照すると、層1、層2および層3の3層を有するASが示されている。層1は最下層であり、様々な物理層の信号処理機能を実装する。層1は、本明細書では物理層306と呼ばれる。層2 308と呼ばれるデータリンク層は、物理層306の上にあり、物理層306を通じたUE210とノードB208との間のリンクを担う。
【0029】
層3において、RRC層316は、UE210とノードB208との間の制御プレーンのシグナリングを扱う。RRC層316は、高次層のメッセージのルーティング、ブロードキャスト機能および呼び出し機能の取り扱い、無線ベアラの確立および構成などのための、いくつかの機能的なエンティティを含む。
【0030】
示されるエアインターフェースでは、L2層308はサブレイヤに分割される。制御プレーンでは、L2層308は、メディアアクセス制御(MAC)サブレイヤ310および無線リンク制御(RLC)サブレイヤ312という、2つのサブレイヤを含む。ユーザプレーンでは、L2層308はさらに、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)サブレイヤ314を含む。示されないが、UEは、ネットワーク側のPDNゲートウェイで終端するネットワーク層(たとえばIP層)と、接続の他の端部(たとえば、遠端のUE、サーバなど)で終端するアプリケーション層とを含めて、L2層308より上にいくつかの上位層を有し得る。
【0031】
PDCPサブレイヤ314は、異なる無線ベアラと論理チャネルとの間の多重化を行う。PDCPサブレイヤ314はまた、無線送信のオーバーヘッドを低減するための上位層データパケットのヘッダ圧縮、データパケットの暗号化によるセキュリティ、および、ノードB間のUEのハンドオーバーのサポートを実現する。
【0032】
RLCサブレイヤ312は、一般に、確認型モード(AM)(肯定応答および再送信処理がエラー訂正のために使用され得る)、非確認型モード(UM)、およびデータ転送のための透過型モードをサポートし、上位層のデータパケットのセグメント化およびリアセンブリと、MAC層におけるハイブリッド自動反復要求(HARQ)による順序の乱れた受信を補償するためのデータパケットの並べ替え(reordering)を提供する。確認型モードでは、RNCおよびUEなどのRLCピアエンティティは、特にRLCデータPDU、RLCステータスPDU、およびRLCリセットPDUを含む様々なRLCプロトコルデータユニット(PDU)を交換できる。本開示では、「パケット」という用語は、RLCピアエンティティ間で交換される任意のRLC PDUを指すことがある。
【0033】
MACサブレイヤ310は、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間の多重化を行う。MACサブレイヤ310はまた、1つのセルの中の様々な無線リソース(たとえばリソースブロック)の複数のUEへの割り当てを担う。MACサブレイヤ310はまた、HARQ動作も担う。
【0034】
UTRAN202は、本開示によって使用され得るRANの一例である。
図4を参照すると、限定ではなく例として、UTRANアーキテクチャにおけるRAN400の簡略化された概略図が示されている。システムは、セル402、404、および406を含む複数のセルラー領域(セル)を含み、セルの各々は、1つまたは複数のセクタを含むことができる。セルは、(たとえばカバレージエリアによって)地理的に定義することができ、かつ/または、周波数、スクランブリングコードなどに従って定義することもできる。つまり、図示される地理的に定義されたセル402、404、および406は各々、たとえば異なるスクランブリングコードを利用することによって、複数のセルにさらに分割され得る。たとえば、セル404aは、第1のスクランブリングコードおよびセル404bを利用することができ、同じ地理的な領域にあり同じノードB444によってサービスされる場合、第2のスクランブリングコードを利用することによって区別され得る。
【0035】
セクタに分割されるセルでは、セル内の複数のセクタはアンテナのグループによって形成されてよく、各アンテナがセルの一部にあるUEとの通信を担う。たとえば、セル402において、アンテナグループ412、414、および416は、各々異なるセクタに対応し得る。セル404において、アンテナグループ418、420、および422は、各々異なるセクタに対応できる。セル406において、アンテナグループ424、426、および428は、各々異なるセクタに対応できる。
【0036】
セル402、404、および406は、各セル402、404、または406の1つまたは複数のセクタと通信していてもよい、いくつかのUEを含むことができる。たとえば、UE430および432は、ノードB442と通信していてもよく、UE 434および436は、ノードB444と通信していてもよく、UE438および440は、ノードB446と通信していてもよい。ここで、各ノードB442、444、および446は、それぞれのセル402、404、および406の中のすべてのUE430、432、434、436、438、および440のために、コアネットワーク204(
図2参照)へのアクセスポイントを提供するように構成され得る。
【0037】
ソースセルとの呼の間、または任意の他の時間において、UE436は、近隣のセルの様々なパラメータとともに、ソースセルの様々なパラメータを監視できる。さらに、これらのパラメータの品質に応じて、UE436は、近隣セルの1つまたは複数との通信を保つことができる。この期間において、UE436は、UE436が同時に接続されるセルのリストであるアクティブセットを保持できる(すなわち、ダウンリンク専用物理チャネルDPCHまたはフラクショナルダウンリンク専用物理チャネルF-DPCHを現在UE436に割り当てているUTRANセルが、アクティブセットを構成し得る)。
【0038】
UTRANエアインターフェースは、WCDMA(登録商標)規格を使用するような、スペクトラム拡散直接シーケンス符号分割多元接続(DS-CDMA)システムであってよい。スペクトラム拡散DS-CDMAは、チップと呼ばれる疑似ランダムビットの列との乗算によって、ユーザデータを拡散させる。UTRAN202のWCDMA(登録商標)エアインターフェースは、そのようなDS-CDMA技術に基づいており、さらに周波数分割複信(FDD)を必要とする。FDDは、ノードB408とUE210との間のアップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)に異なるキャリア周波数を使用する。DS-CDMAを利用し、時分割複信(TDD)を使用するUMTSの別のエアインターフェースは、TD-SCDMAエアインターフェースである。本明細書で説明する様々な例は、WCDMA(登録商標)エアインターフェースを指し得るが、基礎をなす原理はTD-SCDMAエアインターフェースまたは任意の他の適切なエアインターフェースに等しく適用可能であり得ることを、当業者は理解するだろう。
【0039】
High speed packet access(HSPA)エアインターフェースは、ユーザに対してスループットの向上および遅延の低減を支援する、UE210とUTRAN202との間の3G/WCDMAエアインターフェースに対する一連の強化を含む。前の規格に対する他の修正の中でも、HSPAは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)、チャネル送信の共有、ならびに適応変調および適応符号化を利用する。HSPAを定義する規格は、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)およびHSUPA(高速アップリンクパケットアクセス、改良型アップリンクまたはEULとも呼ばれる)を含む。
【0040】
たとえば、3GPP規格ファミリのリリース5では、HSDPAが導入された。HSDPAは、いくつかのUEによって共有され得る高速ダウンリンク共有チャネル(HS-DSCH)を、トランスポートチャネルとして利用する。HS-DSCHは、高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS-PDSCH)、高速共有制御チャネル(HS-SCCH)、および高速専用物理制御チャネル(HS-DPCCH)という、3つの物理チャネルによって実装される。
【0041】
HS-SCCHは、HS-DSCHの送信に関連するダウンリンク制御情報を搬送するために利用され得る、物理チャネルである。ここで、HS-DSCHは、1つまたは複数のHS-SCCHと関連付けられ得る。UEは、いつHS-DSCHからデータを読み取るべきかを決定するため、および、割り当てられる物理チャネルにおいて用いられる変調方式を決定するために、HS-SCCHを継続的に監視できる。
【0042】
HS-PDSCHは、いくつかのUEによって共有され得、かつ高速ダウンリンクに対するダウンリンクデータを搬送できる物理チャネルである。HS-PDSCHは、四位相偏移変調(QPSK)、16-直角位相振幅変調(16-QAM)、およびマルチコード送信をサポートできる。
【0043】
HS-DPCCHは、そのスケジューリングアルゴリズムにおいてノードBを支援するためにUEからのフィードバックを搬送できる、アップリンク物理チャネルである。フィードバックは、チャネル品質インジケータ(CQI)と、前のHS-DSCH送信の肯定応答または否定応答(ACK/NAK)と、MIMOおよび/またはビームフォーミングを利用する例におけるプリコーディング制御指示(PCI)とを含むことができる。
【0044】
リリース5のHSDPAと、前に規格化された回線交換エアインターフェースとの、ダウンリンクにおける1つの違いは、HSDPAにはソフトハンドオーバがないことである。このことは、HSDPAチャネルが、HSDPAサービングセルと呼ばれる単一のセルからUEに送信されることを意味する。ユーザが移動すると、またはあるセルが別のセルよりも好ましくなると、HSDPAのサービングセルは変わり得る。それでも、UEは関連するDPCH上でソフトハンドオーバの状態にあることがあり、複数のセルから同じ情報を受信する。
【0045】
リリース5のHSDPAでは、任意の瞬間において、UE210は1つのサービングセルを有し、E
c/I
0のUE測定によれば、そのサービングセルがアクティブセット中で最強のセルである。3GPP TS 25.331のリリース5で定められるモビリティ手順によれば、HSPDAサービングセルを変更するための無線リソース制御(RRC)シグナリングメッセージが、より強いセルであるとUEが報告するセル(すなわちターゲットセル)からではなく、現在のHSDPAサービングセル(すなわちソースセル)から送信される。
【0046】
3GPP規格のリリース7は、様々なエンハンスメントをダウンリンクに導入しており、それらのうちの1つは、多入力、多出力(MIMO)の実装を含む。MIMOは、複数のアンテナ、すなわち、複数の送信アンテナ(チャネルへの複数の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を利用する空間多重化の形態を指すために一般に使用される用語である。MIMOシステムは一般にデータ伝送パフォーマンスを高め、ダイバーシティ利得がマルチパスフェージングを低減させて伝送品質を高めること、および空間多重化利得がデータスループットを向上させることを可能にする。
【0047】
空間多重化は、同じ周波数で同時に様々なデータストリームを送信するために使用され得る。データストリームは、データレートを上げるために単一のUE210に送信されてよく、または全体的なシステム容量を拡大するために複数のUE210に送信されてもよい。これは、適切なプリコーディング行列を利用して各データストリームを空間的にプリコーディングし、次いで空間的にプリコードされた各ストリームをダウンリンクで異なる送信アンテナを介して送信することによって達成される。ここで、プリコーディング行列は、1次元のプリコーディングベクトルであってよく、または任意の適切な数の次元の行列であってもよい。送信アンテナ間の空間的差異によって、したがってそれぞれの信号によってとられる異なる経路によって、空間的にプリコードされたデータストリームが、異なる空間的シグネチャ(spatial signature)を有するUE210に到達し、UE210に向かう1つまたは複数のデータストリームをUE210の各々が復元することが可能になる。
【0048】
この多重アンテナ技術を用いて、空間多重化は、チャネル状態が良好なときに使用できる。チャネル状態がさほど好ましくないときは、ビームフォーミングを使用して送信エネルギーを1つもしくは複数の方向に集中させること、またはチャネルの特性に基づいて送信を改善できる。これは、複数のアンテナを介して送信するデータストリームを空間的にプリコードすることによって達成できる。セルの端において良好なカバレージを達成するために、シングルストリームビームフォーミング送信を送信ダイバーシティと組み合わせて使用できる。
【0049】
一般に、n個の送信アンテナを利用するMIMOシステムの場合、同じチャネル化コードを利用して同じキャリアでn個のトランスポートブロックが同時に送信され得る。n個の送信アンテナで送られる異なるトランスポートブロックは、互いに同じまたは異なる変調方式および符号化方式を有し得ることに留意されたい。
【0050】
一方、単入力多出力(SIMO)は一般に、単一の送信アンテナ(チャネルへの単一の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を利用するシステムを指す。それによって、SIMOシステムでは、単一のトランスポートブロックがそれぞれのキャリアで送られ得る。
【0051】
3GPP規格のリリース8は、ノードB208によって送信された、隣接する2つの5MHzダウンリンクキャリアをUE210がアグリゲートできるようにする、デュアルキャリアHSDPA(DC-HSDPA)を導入した。デュアルキャリアの手法は、マルチキャリアの位置におけるより高速なダウンリンクデータ速度およびより良好な効率を実現する。一般に、DC-HSDPAは1次キャリアおよび2次キャリアを利用し、1次キャリアはダウンリンクデータ送信のためのチャネルおよびアップリンクデータ送信のためのチャネルを提供し、2次キャリアはダウンリンク通信のためのHS-PDSCHおよびHS-SCCHの第2のセットを提供する。ここで、1次キャリアは、E
c/I
0のUE測定によれば、一般に、最良のサービングHS-DSCHセルである。
【0052】
上記で説明したように、DC-HSDPAは、ダウンリンクキャリアアグリゲーションを提供する。3GPPリリース8のDC-HSDPAで実現するキャリアアグリゲーション、およびその後の改良は、トラフィック集中時の遅延の低減を含めて、ユーザ体験において利益をもたらす。
【0053】
より最近では、ソフトアグリゲーションと呼ばれることがある別の形態のアグリゲーションが、HSDPAに導入されている。ソフトアグリゲーションは、それぞれのダウンリンクが異なる基地局から到来するダウンリンクアグリゲーションを提供する。
図5は、本開示のいくつかの態様による、ソフトアグリゲーションの例示的なシステムを示す。
図5では、2つ以上のセル514と516との間に地理的な重複があり得るので、UE510は、少なくともある期間、複数のセルによってサービスされ得る。ここで、再び
図2を参照すると、UE510は、本開示のいくつかの態様によるUMTSシステム200で利用され得るUE210の一例である。すなわち、本開示によるワイヤレス通信システムは、複数のセルからHSDPAサービスを提供できるので、UE510はソフトアグリゲーションを実行できる。ここで、UE510は、1次サービングセル514および少なくとも1つの2次サービングセル516からのダウンリンクをアグリゲートできる。たとえば、2つ以上のセルを利用するセットアップは、マルチフローHSDPA(MF-HSDPA)、多地点協調HSDPA(CoMP HSDPA)、または単にマルチポイントHSDPAと呼ばれることがある。同一周波数チャネル内でそれぞれのHSDPAダウンリンクキャリアを送信する2つのセルを利用するマルチフローHSPDAシステムの1つの特定の構成は、時々、シングル周波数デュアルセルHSPDA(SF-DC-HSPDA)と呼ばれる。しかし、他の用語も自由に使われ得る。この例では、セルの境界およびシステム全体において、ユーザは高いスループットによる利益を受けることができる。
【0054】
図5に示す方式では、2つのノードB502および504は、それぞれ、ダウンリンクチャネル506および508を提供する。UE510は、ダウンリンクチャネルを受信してアグリゲートし、ノードB502および504の一方または両方によって受信され得るアップリンクチャネル512を提供する。UE510からのアップリンクチャネル512は、対応するダウンリンクチャネル506および508の(たとえば、ダウンリンクチャネル状態に対応する)フィードバック情報を提供できる。
【0055】
本開示の態様によれば、
図5に示すようなマルチフローHSPDAシステムは、ダウンリンクチャネルのうちの1つまたは複数の上でMIMO伝送を利用できる。たとえば、ダウンリンクチャネル506および508の各々は、MIMO伝送であってよい。
【0056】
図6は、本開示のいくつかの態様による、マルチフローHSDPAネットワークにおいて使用するための例示的なUE510の構成要素のうちのいくつかを示す簡略ブロック図である。図において、UE510は、受信信号からキャリア周波数を取り除くために、RFフロントエンド602に結合された2つのアンテナを含む。当然、2つのアンテナを有する例は、本質的に単なる例にすぎず、UEは、本開示の範囲内で任意の適切な数のアンテナを含むことができる。
【0057】
受信チェーン602には、受信されたダウンリンクチャネルを、ベースバンドRXチェーン610によってさらに処理されるようにデジタルドメインに変換できる、アナログデジタル変換器606が結合され得る。ここで、Rxチェーン610におけるベースバンド処理は、その処理が、両方のアンテナから受信された信号に連動して作用するという意味で、連動できる。ベースバンド処理の後、受信された情報に従ってさらに処理されるために、1つまたは複数のトランスポートブロックがプロセッサ612に与えられてよい。いくつかの例では、プロセッサ612は、
図1に示す処理システム114と同じものでもよい。プロセッサ612は、1つまたは複数の送信機614にさらに結合することができ、送信機は、適したデュプレクサによって管理されるUEのアンテナのうちの1つまたは複数を利用できる。ノードBによって送信された基準信号からプロセッサ612によって導出されるチャネル推定が、1つまたは複数の送信機614によるアップリンク送信のために、適切なコーディング、変調、拡散、および/またはスクランブル方式を選択するために使用され得る。さらに、受信されたダウンリンク送信に関するフィードバック情報が、限定はしないが、確認応答情報(たとえば、HARQプロセスに対応する)、プリコーディング制御情報、および/またはチャネル品質情報などを含めて、プロセッサ612によって生成され、1つまたは複数の送信機614によって送信され得る。
【0058】
プロセッサ612は、さらに、情報の処理に有用な情報を記憶するためにメモリ618を利用できる。データソース620は、UE510内で稼働するアプリケーション、USBインターフェースなどの入力/出力インターフェース、および/またはユーザインターフェース616(たとえば、キーボード)などの様々なユーザインターフェースなどを表すことがある。データシンク622は、UE510内で稼働するアプリケーション、USBインターフェースなどの入力/出力インターフェース、および/または様々なディスプレイデバイスなど、受信されるデータのために適切な任意のシンクであってよい。
【0059】
次に
図7を参照すると、本開示のいくつかの態様による例示的なノードB502の簡略ブロック図が提供されている。ここで、ノードB502内の
図7に示す構成要素は、セルA514およびセルB516に対する構成要素と同じであってよく、またはネットワーク実装形態の詳細に従って変わってもよい。図示の例では、ノードB502は、1つまたは複数の受信アンテナ706を介して1つまたは複数のユーザデバイスからの信号を受信するための受信機710と、1つまたは複数の送信アンテナ708を介して1つまたは複数のユーザデバイスに送信するための送信機720とを含む。ここで、MIMO伝送を生成する場合、送信機720は、一般に、複数の送信アンテナ708に結合される。受信機710は、受信アンテナ706から情報を受信できる。シンボルは、上記のプロセッサ104または処理システム114と類似することがあり、ワイヤレスデータ処理に関連した情報を記憶するメモリ714に結合され得る、プロセッサ712によって分析され得る。プロセッサ712は、送信ダイバーシティ対応ユーザデバイスから受信された信号の処理を容易にすることができる、送信ダイバーシティ回路716にさらに結合され得る。一態様では、送信ダイバーシティ回路716は、1つまたは複数のユーザデバイスに送信されるべきMIMO伝送を生成できる。そのような態様では、送信ダイバーシティ回路716は、1つまたは複数のユーザデバイスに送信されるべきMIMO伝送をプリコードするために動作可能なプリコーディング回路718をさらに含むことができる。信号は、送信機720によって1つまたは複数の送信アンテナ708を介してユーザデバイスに送信するために、多重化され、および/または準備され得る。
【0060】
図6に示して上記で説明したマルチフロー動作では、UE510は、一般に、少なくとも2つの受信チェーン602および604を含み、タイプ3i受信機と呼ばれる干渉対応受信機(interference-aware receiver)を利用できる。すなわち、ダウンリンクキャリアが、SF-DC-HSPDAシステム内など、同じキャリア周波数内にある場合、タイプ3i受信機は、2つのセル間の干渉を効果的に除去し得、UE510が、それぞれのセルからの信号を効果的に分離することが可能になる。ここで、SF-DCネットワーク内のダウンリンクキャリアアグリゲーションに起因する性能改善は、UEの受信機における干渉除去の有効性に依存することがある。したがって、一方のキャリアが他方のキャリアを受信することによる干渉、またはその逆による干渉の低減を改善することで、両方のキャリアによるアグリゲートされたスループットが改善され得る。
【0061】
SF-DCを利用するネットワークが、1次サービングセル514および2次サービングセル516の各々からのダウンリンクMIMOを追加で利用する場合、それぞれのダウンリンクMIMOストリームのプリコーディングは、UE510における受信機の性能に影響することがあり、不十分なプリコーディング行列選択は、UEにおけるサービングセル間の干渉に悪影響を与えることがある。
【0062】
MIMO SF-DC動作では、UE510は受信アンテナを2つしか含まないので、最大多重化利得は2であり得る。ここで、最大多重化利得は、送信アンテナおよび受信アンテナの最小数に従って決定され得る。したがって、この例では、本開示のいくつかの態様によれば、1次サービングセル514および2次サービングセル516の各々は、UE510へのビームフォーミングを有するシングルストリーム伝送を予定することができる。すなわち、1次サービングセル514および2次サービングセル516の各々は、各ストリーム上でMIMOを利用するデュアルトランスポートブロックを送信するのではなく、任意の特定のTTI内でシングルトランスポートブロックを送信するためにビームフォーミングを利用できる。
【0063】
MIMO(またはビームフォーミング)が特定のセルに対して構成される場合、各ノードBは、MIMO動作の間にその電力を異なる複数の方向に送信できるので、干渉構造は、一般に、ビームフォーミングのない単入力多出力(SIMO)動作の間よりも複雑になる。
図8は、1次サービングセル514であってよい、セルAと呼ばれる第1のセルと、SF-DC動作における2次サービングセル516であってよい、セルBと呼ばれる第2のセルとにおいてMIMOまたはビームフォーミングを利用し、各セルが2つのアンテナを利用してダウンリンクを送信するようなシナリオを示す簡略ブロック図である。この例では、共通パイロットチャネル(CPICH)などのオーバーヘッドチャネル802-aおよび802-b、1次/2次同期チャネル(SCH)、ならびに1次共通制御物理チャネル(P-CCPCH)が1次アンテナから送信され得、1つまたは複数の2次共通パイロットチャネル(S-CPICH)804-aおよび804-bが2次アンテナから送信され得る。高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS-PDSCH)上で送信されるデータ806-aおよび806-bは、適切なプリコーディング行列を利用してビーム形成され得、第1および第2の両アンテナから送信され得る。
【0064】
図8に示すように、いずれかのセルからの送信の特性(選択されたプリコーディング行列など)は、その特定のセルからUE510において受信されたエネルギーに影響を与えることがあるばかりでなく、他のセルからUE510において受信される信号と干渉することもある。
【0065】
従来のダウンリンクMIMO動作では、特定のセルからの送信に対するプリコーディング行列の選択は、一般に、そのセルからの受信エネルギーまたは信号対雑音比(SNR)をいかにして最大化するかを考慮するのみである。すなわち、プリコーディング行列の従来の選択は、一般に、ビーム形成された送信が他のセルに対して引き起こすことがある干渉を考慮しない。UE510が唯一のサービングセルによってサービスされるときは、この手法で十分である。しかしながら、MIMO SF-DCが実装される本開示の態様によれば、2つのサービングセル間で引き起こされる干渉に起因して、プリコーディング行列の選択は、システムの干渉性能を改善するために、連動して実行され得る。
【0066】
本開示のいくつかの態様によるプリコーディング行列の選択を示すために、MIMO SF-DCシステムは、以下のシステム方程式によってモデル化され得る。
【0068】
ここで、下付き文字は、信号802-aおよび802-bとして上記で説明したオーバーヘッド(o)と、信号804-aおよび804-bとして上記で説明したS-CPICH (s)と、信号806-aおよび806-bとして上記で説明したデータ(d)、とを表す。さらに、上付き文字は、1次サービングセル514として上記で説明したセルA(A)と、2次サービングセル516として上記で説明したセルB(B)とを表す。
【0070】
は、UE510において受信された2×1の信号を表す。
H
Aは、セルA514とUE510との間の2×2のMIMOチャネルを表し、H
Bは、セルB516とUE510との間の2×2のMIMOチャネルを表す。
【0072】
は、オーバーヘッドチャネル802-aおよび802-b(たとえば、CPICH、SCH、P-CCPCHなど)のために利用され得るプリコーディング行列であり、
【0074】
は、S-CPICH804-aおよび804-bのために利用され得るプリコーディング行列である。
【0076】
は、セルA514から送信されるデータチャネル806-a(HS-PDSCH)のために利用されるプリコーディング行列を表し、
【0078】
は、セルB516から送信されるデータチャネル806-b(HS-PDSCH)のために利用されるプリコーディング行列を表す。これらのプリコーディング行列は、セルごとにインデックス表示され、それぞれのセルから送信されるデータチャネルをプリコードするために、異なるプリコーディング行列が利用され得ることを示していることに留意されたい。
【0079】
本開示の様々な態様では、プリコーディング行列
【0083】
の選択は、たとえば、プロセッサ612によってUE510において実施される計算によって行われ得、またはその計算に従って決定され得る。すなわち、上記で説明したように、UE510は、HS-DPCCH上でフィードバックを送信するために送信機614を利用することができ、HS-DPCCHは、
【0087】
のために基地局において利用され得るプリコーディング制御指示(PCI)を含むことができる。
【0088】
p
o、p
sおよびp
dは、それぞれ、オーバーヘッド802、S-CPICH804、およびHS-PDSCH806に対する電力を表す。一例では、p
o=0.25、p
s=0.05、およびp
d=0.7である。当然、任意の適切な値が、電力レベルに対して利用され得る。
【0090】
は、2×1のAWGN雑音808を表す。一例では、各エントリは、すべての他のセルからの干渉と熱雑音とを含む背景雑音をモデル化するために、
【0094】
は、セルAおよびBのそれぞれから送信されるオーバーヘッド802、S-CPICH804、およびHS-PDSCH806に対応するチップであり、単位エネルギーを有するものと見なされる。
【0095】
本開示の様々な態様では、上記のシステム方程式は、MIMO配備に対して、バーチャルアンテナマッピング(VAM)が利用される場合とVAMが利用されない場合の両方に等しく適用され得る。VAMの利用は、一般に、チャネル変数H
AおよびH
Bを単に変更するだけである。
【0096】
上記のシステム方程式を用いて、最適線形最小平均2乗誤差(MMSE)受信機が、セルA514から
【0100】
を検出するために計算され得る。最適線形受信機が与えられると、データチャネル806-aおよび806-bのSNRが、
【0105】
ここで、Iは、2×2の大きさの恒等行列を表す。計算または推定されたデータチャネル806のSNRを用いて、各ビーム選択に対して達成可能なスペクトル効率を決定するために、HSDPAスペクトル効率が、ターボコードに従って決定され得る。
【0106】
この例では、SNRおよび受信機の設計は、単一経路チャネルの場合に与えられ得る。しかしながら、本開示の範囲内で、この設計は、同様に、複数経路チャネルを取り扱うように簡単に一般化され得る。マルチパスチャネルに対して、H
AおよびH
Bは、MIMOチャネルの2L×2のオン時間成分を表し、Lはイコライザ長(equalizer length)を表す。チップ間干渉は、雑音項
【0109】
図9の上部に示す本開示のいくつかの態様では、MIMO SF-DCシステムは、プリコーディング行列
【0113】
の個々の選択を実装できる。すなわち、セルA514とセルB516の両方は、MIMOシングルストリームビームフォーミングを用いてUE510にそれぞれのダウンリンク信号を送信し得るが、それぞれのHS-PDSCH、
【0117】
に対するプリコーディング行列は、UEにおけるSNRまたは受信エネルギーを改善または最大化するために、複数の可能なMIMOシングルストリームプリコーディング行列の中から別々に選択され得る。すなわち、この例では、
【0124】
は、複数の可能なMIMOシングルストリームプリコーディング行列の中から選択され得る。
【0125】
図9の下部に示す本開示の別の態様では、MIMO SF-DCシステムは、プリコーディング行列
【0129】
の個々の選択を実装できる。ここで、シングルストリームビームフォーミングを利用してUE510をサービスするセルA514およびセルB516を用いて、
【0133】
が、複数の可能なペアの中から連動して選択され得る。本開示の範囲内の非限定的な一例では、各セルは、4つの異なる、可能なMIMOシングルストリームプリコーディング行列を有することができる。この例では、両セルのすべてのイタレーションの中から、両プリコーディング行列
【0137】
を連動して選択することで、16の異なる可能性が導かれる。ここで、連動設計は、セルA514とセルB516とを組み合わせると、最大の合計のスペクトル効率を与えるペアを選択できる。同様に、連動設計は、セルA514およびセルB516からのアグリゲートされたスループットに対応する一定のメトリックを最適化するペアを選択できる。
【0138】
SNRを計算するための上記の方程式から、各セルに対応するSNRは、そのセルに対して選択されたプリコーディング行列に依存するだけでなく、相対するセル内で利用されるプリコーディング行列にも依存することが分かる。たとえば、セルB516に対して選択されたプリコーディング行列
【0140】
は、セルB516からのデータチャネル806-bのSNRに影響を与えるだけでなく、セルA514からのデータチャネル806-aのSNRにも影響を与える。実際、特定のセルに対して選択されたプリコーディング行列は、SNR計算における分子である受信エネルギーに影響する一方で、相対するセルに対して選択されたプリコーディング行列は、SNR計算における分母として働く干渉レベルに影響を与える。
【0141】
再び
図9に戻ると、上部に示す、個々のプリコーディング行列選択を利用するMIMO SF-DCと、下部に示す、連動したプリコーディング行列選択を利用するMIMO SF-DCとの間の差を、簡略ブロック図が概念的に示している。すなわち、上部に見られる個々のプリコーディング行列選択は、それぞれのセルに対するプリコーディング行列選択間の相互接続を欠いている一方で、下部に見られる連動したプリコーディング行列選択は、それぞれのセルに対するプリコーディング行列選択間に、そのような相互接続を含む。
【0142】
個々のプリコーディング行列選択は、各セルにおいて利用される従来のMIMOプリコーディング行列設計に対応する。すなわち、個々のプリコーディング行列選択は、それ自体の信号の影響を任意の他のセルに対する干渉として考慮しない方式で、受信機のSNRおよび/または特定のセルから受信されたエネルギーを最大化しようと試みる。
【0143】
一方、本開示の様々な態様は、連動したプリコーディング行列選択を利用し得、したがって、プリコーディング行列の選択におけるファクタとして1つのセルの、別のセルに対する干渉を付加的に考慮できる。個々のプリコーディング行列選択とは対照的に、連動したプリコーディング行列選択は、相対するセルの干渉が考慮されるので、改善された性能を提供できる。
【0144】
本開示のいくつかの態様では、プリコーディング行列の連動した選択は、UE510によって、またはUE510に常駐する1つまたは複数のプロセッサ612によって実施され得る。すなわち、UE510は、マルチフロー無線アクセスネットワークにおけるそれぞれのダウンリンクMIMO伝送の特性を決定し、これらの特性を、後続のMIMO伝送に利用されるべきプリコーディング行列を決定するために利用できる。
【0145】
連動して選択されるプリコーディング行列に関連する情報は、UE510からのアップリンク送信上の、たとえば、プリコーディング制御指示(PCI)におけるHS-DPCCH上のフィードバックとして送信され得る。いくつかの例では、HS-DPCCH上の単一の送信におけるPCIは、両方のMIMO伝送に対するプリコーディング行列情報を含むことができる。他の例では、HS-DPCCH上の単一の送信におけるPCIは、一方または他方のMIMO伝送に対するプリコーディング行列情報を含むことがある。
【0146】
本開示の態様による追加の例では、プリコーディング行列の連動した選択は、ノードB(たとえば、ノードB502および/または504)における処理を伴うことがある。すなわち、UE510から要求されるプリコーディング行列選択のフィードバックを低減するために、かつより良好な干渉アラインメントのために、ノードB502および/または504は、ダウンリンク送信に対するプリコーディング行列の連動した選択において支援できる。この例では、UE510は、受信しているノードB(たとえば、ノードB502および/または504の一方または両方)が後続のMIMO伝送に利用するためにプリコーディング行列を計算し得るように、セルA514およびセルB516からのそれぞれのMIMO伝送に基づいて、1つまたは複数のメトリックに対応するフィードバック情報を送信するように適合され得る。
【0147】
それぞれのセルに対して選択するのに最も好ましいプリコーディング行列の組合せを決定するために、本開示のいくつかの態様では、利用可能なプリコーディング行列の各組合せに対して網羅的な試験が実施され得る。たとえば、各セルは、各組合せに従ってMIMOダウンリンクを送信し、UEは、それにより、どの組合せが最も好ましい特性をもたらすかを判断できる。
【0148】
図10は、本開示のいくつかの態様による、プリコーディング行列を決定するためのこの網羅的なプロセスを示す流れ図である。プロシージャが始まると、各セルに対して利用可能なプリコーディング行列が選択されるものと仮定される。ここで、ステップ1002で、セルA514は、1つの利用可能なプリコーディング行列を利用する第1のMIMO伝送を送信し得、ステップ1004で、セルB516は、1つの利用可能なプリコーディング行列を利用する第2のMIMO伝送を送信できる。様々な例では、ステップ1002および1004は、同時にまたは異なる時刻に実施され得る。しかしながら、同時実施は、相互干渉がよりよく判断され得るという点で有利であり得る。ステップ1006で、UE510は、第1および第2のMIMO伝送のそれぞれの特性を受信および決定し得、いくつかの例では、特性が、メモリ618に記憶され得る。ステップ1008で、UEは、すべての可能なプリコーディング行列の組合せがしつくされたかを判断し、そうでない場合は、ステップ1010で、UEは、次のプリコーディング行列の組合せを選択し、いくつかの例では、次のイタレーションで使用するために一方または両方のセルにその組合せを送信できる。次いで、ステップ1002と1008との間のプロセスが、あらゆる利用可能なプリコーディング行列の組合せが究明し尽されるまで繰り返され得る。すべての利用可能なプリコーディング行列の組合せがしつくされたものと判断されると、プロセスはステップ1012に進み、UE510は、最良のプリコーディング行列の組合せを選択できる。すなわち、UE510は、ステップ1006で、各イタレーションの間に決定され、記憶された特性を分析し、最も好ましい信号特性をもたらすプリコーディング行列の組合せを選択できる。
【0149】
しかしながら、いくつかの環境では、各組合せの好ましさを試験するためにプリコーディング行列の各組合せを送信することは、相対的にリソースの無駄遣いであり、したがって望ましいものではないことがある。したがって、本開示のいくつかの態様では、UE510は、限定はしないが、チャネル品質、干渉の測定値、SNR、受信された電力、または任意の他の適切な信号特性など、前に受信されたMIMO伝送の決定された特性に基づいて、それぞれのセルから後続するMIMO伝送に対して最も好ましいプリコーディング行列の組合せを予測できる。
【0150】
図11は、MIMOマルチフローサービスをUE510に送信するように構成された第1のセルおよび第2のセルによって使用するための、連動して選択されるプリコーディング行列に対してUE510において動作可能なプロセスを示す流れ図である。ここで、ステップ1102で、UE510は、第1のセル514(たとえば、1次サービングセル)から第1のMIMO伝送を受信し得、ステップ1104で、UE510は、第2のセル516(たとえば、2次サービングセル)から第2のMIMO伝送を受信し得、第2のMIMO伝送は、SF-DC無線アクセスネットワークにおけるように、第1のMIMO伝送と同じキャリア周波数を利用できる。ステップ1106で、UE510は、受信された信号強度、信号対雑音比、様々な干渉の測定値など、第1および第2のMIMO伝送の各々の1つまたは複数の特性を判断できる。たとえば、UE510における受信機の任意の適切な構成要素が、それぞれのMIMO伝送の1つまたは複数の特性を判断するために、プロセッサ612とは無関係にまたは協調して働くことができる。
【0151】
決定された特性に基づいて、ステップ1108で、UE510は、第1のセル514および第2のセル516に関連するプリコーディング行列を連動して選択できる。ここで、本開示のいくつかの態様では、プリコーディング行列の選択は、一方または両方のセルと協調してもよく、またはUE510によって単独で決定されてもよい。それぞれのプリコーディング行列の連動した選択は、複数の可能なプリコーディング行列の組合せの中から行われてよい。たとえば、各セルにおいて利用され得る4つの可能なプリコーディング行列が存在する場合、第1のセル514と第2のセル516との間で16の可能なプリコーディング行列の組合せが存在する。
【0152】
最も好ましいプリコーディング行列の組合せの決定は、1つまたは複数のファクタに従って行われ得る。たとえば、プリコーディング行列は、送信しているセルによって引き起こされ、相対するセルからの送信に影響を与える干渉を低減するために選択され得る。
すなわち、いくつかのプリコーディング行列は、他のプリコーディング行列よりも、相対するセルからの送信と干渉することがあり、プリコーディング行列は、それに応じて選択され得る。さらに、プリコーディング行列の組合せは、UEにおいて受信される両セルからの電力またはスペクトル効率の合計を増加させるように選択され得る。
【0153】
いくつかの態様では、第1および第2のプリコーディング行列の組合せの選択は、必ずしも、受信電力を最大化または最適化するもの、または特定の送信によって引き起こされた干渉を最小化するものではなく、低減される干渉と改善される受信信号エネルギーとの間の望ましい組合せまたはトレードオフの判断に基づくものである。すなわち、様々な重み係数が、干渉の低減と電力の増加との相対的重要性を判断するために利用され得る。
【0154】
プリコーディング行列が選択されると、プロセスは、ステップ1110に進み、UE510は、第1のプリコーディング行列および第2のプリコーディング行列に対応する1つまたは複数のPCIを送信し得、それにより、セルA514およびセルB516に対応するそれぞれのノードBが、選択されたプリコーディング行列を利用できる。
【0155】
WCDMA(登録商標)システムを参照して、電気通信システムのいくつかの態様を示してきた。当業者が容易に諒解するように、本開示全体にわたって説明される様々な態様は、他の電気通信システム、ネットワークアーキテクチャおよび通信規格に拡張され得る。
【0156】
例として、様々な態様は、TD-SCDMAおよびTD-CDMAのような、他のUMTSシステムに拡張され得る。様々な態様はまた、(FDD、TDD、またはこれら両方のモードの)Long Term Evolution(LTE)、(FDD、TDD、またはこれら両方のモードの)LTE-Advanced(LTE-A)、CDMA2000、Evolution-Data Optimized(EV-DO)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、Ultra-Wideband(UWB)、Bluetooth(登録商標)、および/または他の適切なシステムを利用する、システムに拡張され得る。実際の利用される遠隔通信規格、ネットワークアーキテクチャ、および/または通信規格は、具体的な用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0157】
開示した方法におけるステップの特定の順序または階層は例示的な処理を示していることを理解されたい。設計上の選好に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層は再構成可能であることを理解されたい。添付の方法クレームは、サンプル的順序で様々なステップの要素を提示しており、クレーム内で明記していない限り、提示した特定の順序または階層に限定されるように意図されているわけではない。
【0158】
上記の説明は、本明細書で説明される様々な態様を当業者が実施できるようにするために与えられる。これらの態様への様々な変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般的原理は他の態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は本明細書で示す態様に限定されるよう意図されているわけではなく、特許請求の範囲の文言と整合するすべての範囲を許容するように意図されており、単数の要素への言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」ではなく、「1つまたは複数の」を意味するよう意図されている。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は「1つまたは複数の」を意味する。項目の列挙「のうちの少なくとも1つ」という語句は、単一の要素を含め、それらの項目の任意の組合せを指す。一例として、「a、bまたはcのうちの少なくとも1つ」は、「a」、「b」、「c」、「aおよびb」、「aおよびc」、「bおよびc」、「a、bおよびc」を含むことが意図されている。当業者が知っているか、後に知ることになる、本開示全体にわたって説明された様々な態様の要素と構造的かつ機能的に同等のものはすべて、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。その上、本明細書で開示する内容は、そのような開示が特許請求の範囲で明記されているか否かにかかわりなく、公に供することは意図されていない。請求項のいかなる要素も、「のための手段」という語句を使用して要素が明記されている場合、または方法クレームで「のためのステップ」という語句を使用して要素が記載されている場合を除き、米国特許法第112条第6項の規定に基づき解釈されるべきではない。