(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883951
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】固定要素及び固定要素を取り付けるための方法
(51)【国際特許分類】
F16B 13/04 20060101AFI20160301BHJP
F16B 13/14 20060101ALI20160301BHJP
F16B 19/10 20060101ALI20160301BHJP
F16B 5/08 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
F16B13/04 B
F16B13/14 B
F16B19/10 A
F16B5/08 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-553690(P2014-553690)
(86)(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公表番号】特表2015-508480(P2015-508480A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2013051184
(87)【国際公開番号】WO2013110630
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年9月10日
(31)【優先権主張番号】102012201041.6
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012204187.7
(32)【優先日】2012年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】フロック、 ダスティン
【審査官】
塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−162838(JP,A)
【文献】
特開昭59−086707(JP,A)
【文献】
特開2005−240280(JP,A)
【文献】
特開昭60−192109(JP,A)
【文献】
特公昭47−036062(JP,B1)
【文献】
特開昭64−087907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 13/04
F16B 13/14
F16B 5/04
F16B 5/08
F16B 17/00−19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブ状部分(2)を含む複合繊維成分(14)の上又は中における形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めの配置のための固定要素(1)であって、
前記スリーブ状部分(2)の第1の端部(3)において、鋭いテーパ状になった円錐の又は円錐状の部分(4)が形成され、
この円錐の又は円錐状の部分(4)において、前記固定要素(1)の長手範囲の方向に向けられ且つそれによって前記円錐の又は円錐状の部分(4)を個別のセグメント(6)に分割する複数の溝穴(5)が形成され、
前記スリーブ状部分(2)の第2の端部(8)において、前記スリーブ状部分(2)から離れて直角に曲げられ且つそれによって前記スリーブ状部分(2)の外径(A)を大きくして平坦な橋脚面(10,11)を形成する保持部分(9)が配置され、
前記スリーブ状部分(2)と前記円錐の又は円錐状の部分(4)との間の遷移領域(7)に材料弱体化部が形成され、前記複数の溝穴(5)は前記円錐の又は円錐状の部分(4)の先端から前記遷移領域(7)まで延びることを特徴とする、固定要素(1)。
【請求項2】
前記材料弱体化部は、穿孔及び/又は断面の低減として構築されることを特徴とする、請求項1に記載の固定要素(2)。
【請求項3】
前記スリーブ状部分(2)の上又は中に雌ねじ(13)が形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定要素(1)。
【請求項4】
前記スリーブ状部分(2)の領域の外側に表面構造(12)が形成されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の固定要素(1)。
【請求項5】
前記表面構造(12)は、粒状及び/又は波形に構築されることを特徴とする、請求項4に記載の固定要素(2)。
【請求項6】
前記固定要素(1)は、前記複合繊維成分(14)の熱可塑性マトリクスの融解温度よりも高い既定の温度に加熱されて、加熱状態において、前記固定要素(1)の保持部分(9)の第2の橋脚面(11)が前記複合繊維成分(14)の第1の側部(16)と平坦に当接して、前記固定要素(1)の円錐の又は円錐状の部分(4)がその第2の側部(17)において前記複合繊維成分(14)を超えて突出するように、複合繊維成分(14)を通して押し込まれ又は押し付けられ、
前記円錐の又は円錐状の部分(4)の個別のセグメント(6)が、スリーブ状部分(2)と前記円錐の又は円錐状の部分(4)との間の遷移領域(7)において前記スリーブ状部分(2)から離れて直角に曲げられるように変形されることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の固定要素(1)を組み立てる方法。
【請求項7】
加熱された固定要素(1)が前記複合繊維成分(14)を通して押し付けられている間、前記複合繊維成分(14)の繊維(15)は、破壊されないように、前記固定要素(1)の前記スリーブ状部分(2)の周囲に配置され、それにより新しい繊維配向が形成されるように、前記固定要素(1)の前記円錐の又は円錐状の部分(4)によって押し込まれることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スリーブ状部分(2)の中にねじ(19)が導入され、前記ねじ(19)のシャフト(20)が前記円錐の又は円錐状の部分(4)の個別のセグメント(6)を押し広げ、固定される構造要素18がその後に配置されて、ナット(22)が前記ねじ(19)の前記シャフト(20)にねじ込まれると、前記個別のセグメント(6)は、前記スリーブ状部分(2)から離れて直角に曲げられることで前記スリーブ状部分(2)の外径(A)を大きくして平坦な橋脚面(23,24)を形成する程度に変形されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記円錐の又は円錐状の部分(4)の前記個別のセグメント(6)はマンドレルによって折り曲げられ、前記固定要素(1)の前記スリーブ状部分(2)の上又は中に雌ねじ(13)が形成され、前記雌ねじ(13)の中に、ねじ(19)がねじ込まれ、前記ねじ(19)のねじ頭(21)が前記円錐の又は円錐状の部分(4)の前記個別のセグメント(6)によって形成される第1の橋脚面(23)に対して平坦に固定される構造要素(18)を押し付けることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の複合繊維成分の上又は中における形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め構成のための固定要素に関する。更に、本発明は、請求項7のプリアンブルに記載の固定要素を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、接続要素は、ねじ留め、リベット留め及び/又は接着結合によって複合繊維成分に適合される。このような複合繊維成分は、例えば、繊維補強熱可塑性プレートである。
【0003】
EP 1 158 186 A1には、中空のリベットとして構築され、雌ねじ及び多角形断面を有する固定要素が記載されている。固定要素は、スリーブ状部分の一端において、スリーブ状部分から離れて曲げられることでスリーブ状部分の外径Aを大きくして平坦な橋脚面を形成する保持部分が配置される。
【0004】
DE 1 781 630 Uには、2つの部分を含むリベットが開示されている。第1の部分は、上端及びフランジ状にするための端部を有する中空シリンダによって形成される。第2の部分は、外径がリベットの内径に対応する円筒ロッドを含む。ロッドは、一端において、最大直径がリベットの外径に対応する円錐状膨大部を有する。
【0005】
US 3,515,419 Aには、被加工物に配置するためのピン及びスリーブを含む2部品の固定要素が開示されている。ピンは、圧力嵌めでスリーブに保持される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、複合繊維成分における形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めの配置のための改善された固定要素、並びにこれを組み立てるための改善された方法を提供することである。
【0007】
複合繊維成分の上又は中における形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め配置のための固定要素に関しては、請求項1に記載の特長によってこの目的が達成される。
【0008】
固定要素を組み立てるための方法に関しては、請求項7に記載の特長によってこの目的が達成される。
【0009】
本発明の有利な発展が従属請求項に記載される。
【0010】
本発明によれば、複合繊維成分の上又は中における形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めの配置のための固定要素は、スリーブ状部分を含み、スリーブ状部分の第1の端部において、鋭いテーパ状になった円錐の又は円錐状の部分が形成され、この円錐の又は円錐状の部分において、固定要素の長手範囲の方向に向けられ且つそれによって円錐の又は円錐状の部分を個別のセグメントに分割する複数の溝穴が形成され、スリーブ状部分の第2の端部において、スリーブ状部分から離れて直角に曲げられ且つそれによってスリーブ状部分の外径を大きくして平坦な橋脚面を形成する保持部分が配置される。
【0011】
本発明による固定要素によって、例えば、衝突時に車両座席に発生する大きな力を伝達することが可能になる。従来型の接続要素は、その製造工程の間に複雑な方式で複合繊維成分に組み込まれるか、又はドリル加工を用いるねじ留めによって複合繊維成分に配置されなければならず、複合繊維成分の繊維が破壊された。本発明による固定要素を使用すると、固定要素と複合繊維成分との間で、繊維を破壊しない形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めによる結合が可能になる。特に、固定要素と複合繊維成分との間の力の伝達が著しく改善される。
【0012】
スリーブ状部分と円錐の又は円錐状の部分との間の遷移領域において、特に好ましくは、穿孔及び/又は断面の低減として形成される材料弱体化部が形成される。それによって、円錐の又は円錐状の部分の個別のセグメントの折り曲げが有利に促進される。
【0013】
特に有利な構造変種において、従来型のねじを固定要素に直接的に固定手段として配置できるようにスリーブ状部分の上又は中に雌ねじが形成される。
【0014】
別の有利な構造変種において、スリーブ状部分の領域の外側において、特に好ましくは、粒状及び/又は波形に構築される表面構造が形成される。このような表面構造によって、複合繊維成分の溶解した熱可塑性マトリクスと本発明による固定要素のスリーブ状部分との間に特に耐久性及び弾性のある接続が可能になる。
【0015】
固定要素を組み立てる方法において、本発明による固定要素は、複合繊維成分の熱可塑性マトリクスの融解温度よりも高い既定の温度に加熱されて、加熱状態において、固定要素の保持部分の橋脚面が複合繊維成分の一方の側部と平坦に当接して、固定要素の円錐の又は円錐状の部分が他方の側部において複合繊維成分を超えて突出するように、複合繊維成分を通して押し込まれ又は押し付けられる。この場合、加熱された固定要素が押し込まれている間に熱可塑性マトリクスが溶解して、冷却中に固定要素との形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め接続を形成する。
【0016】
それにより固定要素及び複合繊維成分との間に特に丈夫で耐久性のある形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め接続が形成されることで、複合繊維成分14の中に大きな力が導入され得る。
【0017】
加熱された固定要素が複合繊維成分を通して押し付けられている間、複合繊維成分の繊維は、破壊されないように、固定要素のスリーブ状部分の周囲に配置され、それにより新しい繊維配向が形成されて、固定要素の円錐の又は円錐状の部分により押し込まれる。この場合、この新しい繊維配向は、固定要素から複合繊維成分の中への特に有利な力の経路及び改善された力の導入を可能にする。
【0018】
第1の構造変種では、スリーブ状部分の中にねじが導入され、ねじのシャフトが円錐の又は円錐状の部分の個別のセグメント(6)を押し広げ、固定される構造要素がその後に配置されて、ナットがねじのシャフトにねじ込まれると、個別のセグメントは、スリーブ状部分から離れて直角に曲げられることでスリーブ状部分の外径を大きくして平坦な橋脚面を形成する程度に変形される。折り曲げ状態において、円錐の又は円錐状の部分の個別のセグメントは、従来型のワッシャを有利に置換してもよい。
【0019】
代替的な構造変種において、円錐の又は円錐状の部分の個別のセグメントはマンドレルによって折り曲げられ、固定要素のスリーブ状部分の上又は中に雌ねじが形成され、雌ねじの中に、従来型のねじがねじ込まれ、ねじのねじ頭が円錐の又は円錐状の部分の個別のセグメントによって形成される第1の橋脚面に対して平坦に固定される構造要素を押し付ける。
【0020】
このような接続によって、例えば、衝突時に車両座席に発生する大きな力を伝達することが可能になる。従来型の接続要素は、その製造工程の間に複雑な方式で複合繊維成分に組み込まれるか、又はドリル加工を用いるねじ留めによって複合繊維成分に配置されなければならず、複合繊維成分の繊維が破壊される。本発明による方法は、固定要素と複合繊維成分との間で、繊維を破壊しない形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めによる結合を可能にする。特に、固定要素1と複合繊維成分14との間の力の伝達が著しく改善される。
【0021】
以下、本発明の実施形態が図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による固定要素の概略的な平面図である。
【
図2】本発明による固定要素の概略的な断面図である。
【
図3】複合繊維成分及び複合繊維成分の繊維の繊維経路に配置される本発明による固定要素の概略的な平面図である。
【
図4】複合繊維成分と構造要素との間の接続であって、第1の構造変種における本発明による固定要素によってもたらされる接続の概略的な断面図である。
【
図5】複合繊維成分と構造要素との間の接続であって、第2の構造変種における本発明による固定要素によってもたらされる接続の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
互いに対応する構成要素は全ての図面において同じ参照番号が与えられる。
【0024】
図1は、本発明による固定要素1の概略的な平面図である。
【0025】
図2は、非組み立て状態にある本発明による固定要素1の概略的な断面図である。
【0026】
本発明による固定要素1は、その中央領域にスリーブ状部分2を有する。
【0027】
スリーブ状部分2の第1の端部3において、鋭いテーパ状になった円錐の又は円錐状の部分4が形成される。この円錐の又は円錐状の部分4において、固定要素1の長手範囲の方向に向けられる複数の溝穴5が形成され、それによって円錐の又は円錐状の部分4は個別のセグメント6に分割される。
【0028】
セグメント6は、好ましくは、三角形に形成される。
【0029】
より詳細には示されない特に有利な構造変種では、スリーブ状部分2と円錐の又は円錐状の部分4との間の遷移領域7において、材料の弱体化部、例えば、穿孔又は断面の低減が形成されてもよい。
【0030】
スリーブ状部分2の第2の端部8において、スリーブ状部分2から離れて直角に曲げられることでスリーブ状部分2の外径Aを大きくして平坦な橋脚面10,11を形成する保持部分9が配置される。
【0031】
この場合、第1の橋脚面10がスリーブ状部分2から離れた方を向き、第2の橋脚面11はスリーブ状部分2の方向に向く。
【0032】
保持部分9は、好ましくは、円形に構築され、代替的な構造変種では多角形又は楕円形に構築されてもよい。
【0033】
固定要素1は、好ましくは、金属材料から形成され、スリーブ状部分2の領域の外側に表面構造12を有してもよい。このような表面構造12は、例えば、粒状又は波形に形成されてもよい。
【0034】
特に有利な構造変種では、従来型の雌ねじ13がスリーブ状部分2の上又は中に形成される。
【0035】
図3は、複合繊維成分14及び複合繊維成分14の繊維15の繊維経路に配置される本発明による固定要素1の概略的な平面図である。
【0036】
本発明による方法によって、固定要素1が複合繊維成分14に配置される。複合繊維成分14は、好ましくは、熱可塑性樹脂材料の平坦な半仕上げの製品であり、ここには繊維15が熱可塑性樹脂材料で完全に濡らされるように、ガラス、カーボンの繊維及び/又はアラミド繊維又はこれらの混合形態が導入される。
【0037】
例えば、このような複合繊維成分14は、車両座席の座席構造、特に、所謂、有機シート(organic sheet)の座席背もたれの後壁であってもよい。
【0038】
形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めで複合繊維成分14に固定要素1を配置するために、本発明によって形成される固定要素1は、既定の温度に加熱されて、加熱状態において、円錐の又は円錐状の部分4で開始して、複合繊維成分14を通して押し込まれ又は押し付けられる。この場合、既定の温度は複合繊維成分14の熱可塑性マトリクスの融解温度より高く、これによりこの熱可塑性マトリクスは、加熱された固定要素1が押し込まれている間に融解し、冷却中に固定要素1との、特にその表面構造12との形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め接続を形成する。
【0039】
それにより固定要素1及び複合繊維成分14との間に特に丈夫で耐久性のある形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌め接続が形成されることで、複合繊維成分14の中に大きな力が導入され得る。
【0040】
この場合、固定要素1の保持部分9の第2の橋脚面11が複合繊維成分14の第1の側部16と平坦に当接するように、固定要素1は複合繊維成分14の中に押し込まれる。
【0041】
複合繊維成分14の厚みに対応するようにスリーブ状部分2の長さが形成され、これにより固定要素1の円錐の又は円錐状の部分4はその第2の側17において複合繊維成分14を超えて突出する。
【0042】
加熱された固定要素1が複合繊維成分14を通して押し付けられている間、複合繊維成分14の繊維15は、固定要素1のスリーブ状部分2の周囲に配置されるように固定要素1の円錐の又は円錐状の部分4を押し通され、それにより新しい繊維配向が形成されて、
図3に概略的に示されるように、特に有利な力の経路が可能になる。この場合、繊維15のこの強制は、非破壊的に特に有利な態様で行われる。
【0043】
図4は、本発明による固定要素1によってもたらされる第1の構造変種における複合繊維成分14と構造要素18との間の接続の概略的な断面図である。
【0044】
複合繊維成分14における固定要素1の配置の後で、第1の構造変種では、従来型のねじ19がスリーブ状部分2の中に導入可能であり、そのシャフト20が円錐の又は円錐状の部分4の個別のセグメント6を押し広げる。この場合、ねじ19は、ねじ頭21が保持部分9の第1の橋脚面10と平坦に当接して、シャフト20が円錐の又は円錐状の部分4を超えて突出するように、固定要素1に配置される。
【0045】
固定される構造要素18が実質的に配置されて従来型のナット22がねじ19のシャフト20にねじ込まれると、円錐の又は円錐状の部分4の個別のセグメント6は、スリーブ状部分2から離れて直角に曲げられることでスリーブ状部分2の外径Aを大きくしてセグメントの6の平坦な橋脚面23,24を形成する程度に変形される。
【0046】
この場合、各セグメント6の第1の橋脚面23がスリーブ状部分2から離れた方を向き、各セグメント6の第2の橋脚面24はスリーブ状部分2の方向に向く。
【0047】
固定される構造要素18はナット22によって第1の橋脚面23に押し付けられ、第2の橋脚面24はこのようにして複合繊維成分14に押し付けられる。
【0048】
結果として、角度のついた要素6は、複合繊維成分14と固定される構造要素18との間に配置され、それによって折り曲げ状態において従来型のワッシャを有利に置換することができる。
【0049】
円錐の又は円錐状の部分4の個別のセグメント6の折り曲げが、この場合、スリーブ状部分2と固定要素1の円錐の又は円錐状の部分4との間の遷移領域7を弱体化させる材料によって支持され得る。
【0050】
図5は、本発明による固定要素1によってもたらされる第2の構造変種における複合繊維成分14と構造要素18との間の接続の概略的な断面図である。
【0051】
この第2の構造変種では、固定要素1の円錐の又は円錐状の部分4の個別のセグメント6は、図示されないマンドレルによって折り曲げられる。固定要素1のスリーブ状部分2の上又は中で、対応するように形成された従来型のねじ19がねじ込まれる雌ねじ13が形成される。
【0052】
ねじ頭21が円錐の又は円錐状の部分4の個別のセグメント6の第1の橋脚面23に対して平坦に固定されるように構造要素18に押し付けられ、それによって個別のセグメント6の第2の橋脚面24は複合繊維成分14に対して押し付けられる。
【0053】
この場合、固定される構造要素18は、例えば、補強シート、ロック筐体、ベルトリダイレクト部材、後部座席の背もたれ支持又は他の機能要素として構築されてもよい。
【0054】
固定要素1と複合繊維成分14との間のこのような接続によって、例えば、衝突時に車両座席に発生する大きな力を伝達することが可能になる。従来型の接続要素は、その製造工程の間に複雑な方式で複合繊維成分14に組み込まれるか、又はドリル操作を用いるねじ留めによって複合繊維成分14に配置されなければならず、複合繊維成分14の繊維15は破壊された。本発明による方法は、固定要素1と複合繊維成分14との間で、繊維を破壊しない形状嵌め、材料係合及び/又は圧力嵌めによる結合を可能にする。特に、固定要素1と複合繊維成分14との間の力の伝達が著しく改善される。
【符号の説明】
【0055】
1 固定要素
2 スリーブ状部分
3 第1の端部
4 円錐の又は円錐状の部分
5 溝穴
6 セグメント
7 遷移領域
8 第2の端部
9 保持部分
10 第1の橋脚面
11 第2の橋脚面
12 表面構造
13 雌ねじ
14 複合繊維成分
15 繊維
16 第1の側部
17 第2の側部
18 構造要素
19 ねじ
20 シャフト
21 ねじ頭
22 ナット
23 第1の橋脚面
24 第2の橋脚面
A 外径