特許第5883973号(P5883973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5883973
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】布体留め具
(51)【国際特許分類】
   A44B 6/00 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   A44B6/00 K
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-82901(P2015-82901)
(22)【出願日】2015年4月14日
【審査請求日】2015年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515102415
【氏名又は名称】杉山 璃花子
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】杉山 璃花子
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許発明第2656508(FR,A)
【文献】 特開2000−14414(JP,A)
【文献】 特開2010−142484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 6/00
A44B 99/00
A41D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身飾具として用いられる布体を留める留め具であって、
前記布体を挿通し挟み込んで固定するための挿通路にスリット部を設けた断面形状を略C型形状とする略筒状体からなり、
前記略筒状体は、開口部と引抜穴を有し、
前記開口部は、指を案内するために上方及び下方に設けられた略V字形状又は略U字形状のくびれ形状を有し、
前記引抜穴は、前記開口部から挿入された前記布体を挿通方向に対して周方向に少なくとも1以上の引き抜くために設けられ、
前記引抜穴と開口部の縁部は、丸められていることを特徴とする布体留め具。
【請求項2】
前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々1箇所ずつ設けられていることを特徴とする前記請求項1に記載の布体留め具。
【請求項3】
前記引抜部が周方向であって両側に其々1箇所ずつ設けられていると共に、前面方向にも1箇所設けられていることを特徴とする前記請求項1に記載の布体留め具。
【請求項4】
前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々2箇所以上設けられていることを特徴とする前記請求項1に記載の布体留め具。
【請求項5】
前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々2箇所以上設けられていると共に、前面方向にも1箇所以上設けられていることを特徴とする前記請求項1に記載の布体留め具。
【請求項6】
前記挿通路が開口部から内部に向かって絞られる形状を有していることを特徴とする前記請求項1乃至前記請求項5の何れかに記載の布体留め具。
【請求項7】
前記スリット部が少なくとも1以上のブリッジによって連結されていることを特徴とする前記請求項1乃至請求項6の何れかに記載の布体留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、スカーフやストール及び肩掛けといった布体の留め具であって、身飾具である布体を着衣に装着しても痛ませること無く固定が容易で、多種多様な美的演出形状を創出することが可能な布体留め具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身飾品の分野では、このようなスカーフ等を留める留め具には、環状のゴム材やクリップなどがあり、これらに装飾性を持たせた物が一般的である。しかし、これらの留め具では、多くの物が環状部材で構成されている。しかしながら、係る環状形状の場合、穴部に布体を通して引抜くため、折り返しや、結び目等の強い屈曲により、生地を痛めることが少なくない。
【0003】
また、これらの留め具には、その機能として、留め具と布体の位置を保持する緩み止め効果が発揮されることが必要である。
【0004】
そこで、このような問題点を解決すべく、従来からも種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、「身体からずれ落ちることなく、きわめて容易 に身体に美しい形状保持状態で装着し得るスカーフを提供することを目的とする。」と、その目的が記載され、「環状に織成された、或は帯状織物の長手方向両端縁を縫合して環状に形成されたスカーフ本体1と、弾性を有する環状留め具2との組み合わせとにより構成されている」とする発明が公知技術となっている。
【0005】
また、係る発明では、スカーフが体よりずれ落ちることなく、かつ、高齢者であっても容易に美しく身体に装着し易くなるという効果を発揮するものであり、本願発明とその効果において共通する点がある。しかしながら係る発明は、本願発明と比較して、装飾効果が記載されておらず、その美しく装着しうるという点については不明である。また、環状の留め具であることから、先端から端部を挿通して引き込まなければならない点において、取り扱いは決して容易ではない。
【0006】
これに対し本願発明では、スリット部があることから、取り付けが容易であり、また、装飾効果を発揮させるための引抜穴を設けていることから、多種多様な造形に変形させて高い美的装飾効果を発揮することが可能である点で大きく相違している。
【0007】
また特許文献2には、「首巻き本体とスカーフのような帯状体とが組み合わされるだけでなく、組み合わされることによって斬新なデザインを生み出すようにした首巻きを提供する。」とする留め具が記載され、具体的には、「本首巻きは、芯紐を綴じることによって多数のループ部を直列に配列し、各ループ部に起毛小片を取り付けた首巻き本体Aが備えられている。この首巻き本体Aの各ループ部に、スカーフのような帯状体Bが挿通される。帯状体Bが首巻き本体Aに絡むように一体的に組み合わされることにより、それぞれが単体で使用される場合と全く異なる斬新なデザインが生み出される。」とする考案が記載され公知技術となっている。
【0008】
係る考案は、「斬新なデザインが生み出されることにより、お洒落を楽しむことができる。」という点で本願と共通する点がある。しかしながら、係る考案は、装着される被装着物との関係において、長く大きいため、図4〜8に示された実施例をみても、独自のデザイン性が大きく影響しすぎるという問題点がある。これに対し本願発明は、小型であり、外部からはほとんど目立たないワンポイント的な全体での配置構成でありながら、創作されるデザインの種類の多さや、創作される造形美は、被装着物そのものの質感や、模様などを生かすものである点で大きく相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−292509号
【特許文献2】実用新案登録第3126281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明に係る布体留め具は、布体自身から創出される多数のバリエーションによるデザイン的装飾機能が発揮され、特に布体を扱う際に、生地を傷めず容易に操作が可能であって、且つ、長時間使用しても布体の緩み止め効果が高い留め具の提供を計るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、身飾具として用いられる布体を留める留め具であって、前記布体を挿通し挟み込んで固定するための挿通路にスリット部を設けた断面形状を略C型形状とする略筒状体からなり、前記略筒状体は、開口部と引抜穴を有し、前記開口部は、指を案内するために上方及び下方に設けられた略V字形状又は略U字形状のくびれ形状を有し、前記引抜穴は、前記開口部から挿入された前記布体を挿通方向に対して周方向に少なくとも1以上の引き抜くために設けられ、前記引抜穴と開口部の縁部は、丸められている形状を採用している。
【0012】
また、本願発明は、前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々1箇所ずつ設けられた形状である構成を採用することもできる。
【0013】
また、本願発明は、前記引抜部が周方向であって両側に其々1箇所ずつ設けられていると共に、前面方向にも1箇所設けられた形状である構成を採用することもできる。
【0014】
また、本願発明は、前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々2箇所以上設けられていると共に、前面方向にも1箇所設けられた形状である構成を採用することもできる。
【0015】
また、本願発明は、前記布体留め具において、前記引抜部が周方向であって両側に其々2箇所以上設けられた形状である構成を採用することもできる。
【0016】
また、本願発明は、前記挿通路が開口部から内部に向かって絞られる形状である構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本願発明に係る布体留め具は、布体自身から創出される多数のバリエーションによるデザイン的装飾機能が発揮され、特にその取扱いにおいて、布体を扱う際に生地を傷めず容易に操作が可能であって、且つ、長時間使用しても高い布体の緩み止め効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願発明に係る布体留め具の基本構成を示す構成説明図である。
図2】本願発明に係る引抜き部が両側に其々1箇所ずつ設けられている状態を示す状態説明図である。
図3】本願発明に係る引抜き部が両側に其々1箇所ずつ設けられているとともに、前面方向にも1箇所設けられている状態を示す状態説明図である。
図4】本願発明に係る引抜き部が両側に其々2箇所以上設けられている状態を示す状態説明図である。
図5】本願発明に係る引抜き部が両側に其々2箇所以上設けられていると共に、前面方向にも1箇所以上設けられている状態を示す状態説明図である。
図6】本願発明に係る挿通路の絞られる形状を説明する構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明に係る布体留め具1は、開口部に指を案内するために上方及び下方に設けられた略V字形状又は略U字形状のくびれ形状を有し、該開口部から指を挿入して引抜穴から引き抜きやすいように案内できる形状を採用したことを最大の特徴とする。以下、本願発明の構成を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本願発明に係る布体留め具1の全体構成を示す説明図である。
図1(a)は、本願発明に係る布体留め具1の基本的構成を示し、図1(b)は、本願発明に係る挿通路10が絞られている絞り形状挿通路100の実施例を示し、図1(c)は、人200に本願発明に係る布体留め具1を用いてスカーフ等の布体100を両肩から上方開口部20へ左右から挿入し、下方開口部20から引抜いた後、正面に設けられた引抜穴30から布体100を引抜いて、正面下方に向かってリボン状の装飾を施した装着例を示いている。
【0021】
図2は、本願発明に係る布体留め具1の左右側部に其々一つずつの引抜穴30が設けられた場合の実施例を示している。
図2(a)は、基本的構成を示し、図2(b)は、人200への装着状態を示している。引抜穴30が左右に設けられている場合の、人200への装着は、スカーフ等の布体100を両肩から上方開口部20へ上方から挿入し、下方開口部20から引抜いた後、左右両側部に設けられた引抜穴30から布体100を其々左右に引抜いて、其々の側部からリボン状の装飾が横方向に広がるような造形を創出させた装着例を示している。
【0022】
図3は、本願発明に係る布体留め具1の左右側部に其々一つずつの引抜穴30が設けられ、更に正面に一つの引抜穴30を設けた場合の実施例を示している。
図3(a)は、基本的構成を示し、図3(b)は、人200への装着状態を示している。引抜穴30が左右両側部及び正面に設けられている場合の、人200への装着は、スカーフ等の布体100を両肩から上方開口部20へ上方から挿入し、下方開口部20から引抜いた後、左右両側部及び正面に設けられた引抜穴30から布体100を其々左右及び正面に引抜いて、其々の引抜穴30からリボン状の装飾が広がると共に正面から引抜いた布体との立体的造形を創出させた装着例を示している。
【0023】
図4は、本願発明に係る布体留め具1の左右側部に2つずつの引抜穴30が設けられた場合の実施例を示している。
図4(a)は、基本的構成を示し、図4(b)は、人200への装着状態を示している。引抜穴30が左右両側部に2つずつ設けられている場合の、人200への装着は、スカーフ等の布体100を両肩から上方開口部20へ上方から挿入し、下方開口部20から引抜いた後、左右両側部に設けられた引抜穴30から布体100を其々左右に引抜いて、其々の引抜穴30からリボン状の装飾が広がる立体的造形を創出させた装着例を示している。
【0024】
図5は、本願発明に係る布体留め具1の左右側部に其々2つずつの引抜穴30が設けられ、更に正面に1つの引抜穴30を設けた場合の実施例を示している。
図5(a)は、基本的構成を示し、図5(b)は、人200への装着状態を示している。引抜穴30が左右両側部及び正面に設けられている場合の、人200への装着は、スカーフ等の布体100を両肩から上方開口部20へ上方から挿入し、下方開口部20から引抜いた後、左右両側部及び正面に設けられた引抜穴30から布体100を其々左右及び正面に引抜いて、其々の引抜穴30からリボン状の装飾が広がると共に正面から引抜いた布体との立体的造形を創出させた装着例を示している。
【0025】
図6は、本願発明に係るスリット部40にブリッジ60を設けて挿通路10 の弾力を制限する構成を示している。係る構成を採用した場合は、挿通路内が広がりにくくなる為、緩みにくくなる効果を発揮する。
【0026】
本願発明に係る布体留め具1は、開口部20と引抜穴30を有する略筒状態によってその全体が形成されている。係る全体形状を構成する素材には、弾性力を有するゴム又は樹脂等が用いられる。但し、係る素材には、これらのゴム又は樹脂等に限定するものではなく、弾性力があれば金属でもよい。
【0027】
また本願発明に係る布体留め具1の開口部20は、前記挿通路10の最も外側に位置する穴であって、前記布体を指で容易に挿通させる穴形状である。
また、前記開口部は、端部から内部に向かう曲面を有する構成とすることも有効である。係る構成を採用した場合、内部中心付近と、開口部との径の差が絞り形状となり、より緩み止め効果を発揮することができる。
【0028】
また更に、前記開口部は指を案内するために上方及び下方に設けられた略V字形状又は略U字形状のくびれ形状を有して形成されている。係る形状を採用することで、絹等の傷のつきやすい材料が用いられているスカーフ等に傷を付けにくく、前記引抜穴まで指で押し込むことで、引抜穴の外側から用意に布体を突き出させて引抜き易くするように案内することが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本願発明に係るスカーフ等の身飾用布体のみならず、カーテンや旗等の布体全般の留め具として用いることができる。また、花束や賞状を入れる筒等の装飾に用いる等、極めて高い美的効果を発揮し、これを購入しようとする者が多く現れることが推察される。
【符号の説明】
【0030】
1 布体留め具
10 挿通路
20 開口部
21 縁部
30 引抜穴
40 スリット部
50 絞り形状挿通路
60 ブリッジ部
100 布体
200 人
201 指
【要約】
【課題】
本願発明に係る布体留め具は、布体自身から創出される多数のバリエーションによるデザイン的装飾機能が発揮され、特にその取扱いにおいて、布体を扱う際に生地を傷めず容易に操作が可能であって、且つ、長時間使用しても布体の緩み止め効果高い留め具の提供。
【解決手段】
布体を挿通し挟み込んで固定するための挿通路にスリット部を設けた断面形状を略C型形状とする略筒状体からなり、略筒状体は、開口部と引抜穴を有し、開口部は、指を案内するために上方及び下方に設けられた略V字形状又は略U字形状のくびれ形状を有し、引抜穴は、開口部から挿入された布体を挿通方向に対して周方向に少なくとも1以上の引き抜くために設けられ、引抜穴と開口部の縁部は、丸められていること構成を採用した。

【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6