特許第5883984号(P5883984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5883984
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】発振回路とPLL回路と信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   H03L 7/08 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   H03L7/08
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-230181(P2015-230181)
(22)【出願日】2015年11月26日
【審査請求日】2015年11月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505121187
【氏名又は名称】イメージニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】田倉 和好
【審査官】 ▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−256901(JP,A)
【文献】 特開2007−088898(JP,A)
【文献】 特開昭62−078917(JP,A)
【文献】 特開昭61−167222(JP,A)
【文献】 特開昭57−084625(JP,A)
【文献】 特開2013−062574(JP,A)
【文献】 実開平02−035538(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03L 7/08,7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLL回路の位相比較器に入力される基準信号のパルス幅と、前記PLL回路の発振器から出力されて前記位相比較器に入力される比較信号のパルス幅と、の差分を検出するパルス幅比較器と、
前記位相比較器からの信号と、前記パルス幅比較器からの信号と、のいずれか一方を前記発振器に入力させる切替器と、
を備え、
前記比較信号は、比較カウンタでカウントされて生成され、
前記パルス幅比較器からの信号が入力された前記発振器は、前記パルス幅比較器が検出したパルス幅の差分に基づいて決定される発振周波数の信号であって前記基準信号のパルス幅と同じパルス幅の信号を出力し、
前記パルス幅比較器からの信号が前記発振器に入力されたとき、前記比較カウンタのカウント値をリセットして前記基準信号と前記比較信号とを同位相にする、
ことを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記発振器から出力される信号は分周されて前記比較信号として前記位相比較器に入力される、
請求項1記載の発振回路。
【請求項3】
前記切替器は、前記基準信号と前記比較信号との位相差に基づいて前記発振器に入力される信号を決定する、
請求項1または2記載の発振回路。
【請求項4】
前記切替器は、前記位相差が基準値よりも大きいとき、前記パルス幅比較器からの信号を前記発振器に入力させる、
請求項3記載の発振回路。
【請求項5】
前記切替器は、前記位相差が基準値以下のとき、前記位相比較器からの信号を前記発振器に入力させる、
請求項3または4記載の発振回路。
【請求項6】
前記パルス幅比較器は、
前記基準信号の立下エッジを検出してカウントすることにより、前記基準信号のパルス幅を測る第1カウンタと、
前記比較信号の立下エッジを検出してカウントすることにより、前記比較信号のパルス幅を測る第2カウンタと、
前記第1カウンタのカウント値と前記第2カウンタのカウント値との差分に基づいて、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する減算器と、
を備える、
請求項1または2記載の発振回路。
【請求項7】
前記減算器は、前記第2カウンタのカウント値から前記第1カウンタのカウント値を減算することにより、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する、
請求項6記載の発振回路。
【請求項8】
前記減算器は、前記第1カウンタのカウント値から前記第2カウンタのカウント値を減算することにより、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する、
請求項6記載の発振回路。
【請求項9】
基準信号と比較信号との位相差を検出する位相比較器と、
前記位相差に基づいて決定される発振周波数の信号を出力する発振器と、
を有してなるPLL回路であって、
前記位相差が所定の位相差のとき、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分に基づいて決定される発振周波数の信号を前記発振器から出力させ、前記基準信号と前記比較信号とを同位相にする発振回路、
を備え、
前記発振回路は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発振回路である、
ことを特徴とするPLL回路。
【請求項10】
入力された信号を処理する信号処理回路と、
前記信号処理回路のクロック信号を生成するPLL回路と、
を有してなり、
前記PLL回路は、請求項9記載のPLL回路である、
ことを特徴とする信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路とPLL回路と信号処理装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
PLL(Phase Locked Loop)回路は、入力される基準信号の位相と同期した信号を出力する電子回路である。PLL回路は、位相比較器と、ループフィルタと、発振器と、分周器と、を有してなる。位相比較器は、基準信号と分周器からの信号との位相差を検出して、検出された位相差に比例した誤差信号を出力する。ループフィルタは、位相比較器から出力された誤差信号を平均化して、交流成分の少ない直流信号を出力する。ループフィルタは、例えば、ローパスフィルタである。発振器は、ループフィルタから出力された直流信号(直流電圧)に応じた周波数の信号を出力する。分周器は、発振器が出力した信号を分周する。分周された信号は、位相比較器に入力される(フィードバックされる)。
【0003】
このように、発振器は、位相比較器に入力された基準信号と、発振器が出力して分周器により分周された信号と、の位相差に基づいてループフィルタにより決定された発振周波数の信号を出力する。その結果、PLL回路は、位相比較器に入力された基準信号の位相と同期した信号が発振器から出力される状態となる。この状態が、PLL回路のロック状態である。一方、PLL回路のアンロック状態は、位相比較器に入力された基準信号の位相と同期していない信号が発振器から出力されている状態である。
【0004】
PLL回路は、ロック状態を維持するように動作する。つまり、PLL回路は、ロック状態からアンロック状態に移行すると、ロック状態に移行するように動作する。すなわち、例えば、PLL回路は、入力される基準信号が変化するなどして、基準信号と発振器から出力された信号との位相がずれて位相差が生じると、アンロック状態となる。アンロック状態となったPLL回路は、基準信号と発振器から出力される信号との位相差を解消するようにループフィルタが決定した発振周波数の信号が発振器から出力されてロック状態に移行する。
【0005】
PLL回路は、安定時間と出力ジッタとがトレードオフの関係にある。安定時間は、基準信号が入力されてから、基準信号の位相と同位相の信号が発振器から出力されるまでの時間である。出力ジッタは、基準信号と発振器から出力される信号との周期のずれである。安定時間や出力ジッタは、ループフィルタの遮断周波数に依存する。すなわち、安定時間が短くなるようにループフィルタの遮断周波数を高く設定すると、出力ジッタが大きくなる。つまり、発振器から出力される信号の周波数は基準信号の周波数と一旦は一致して、基準信号と発振器から出力される信号とは同位相になるものの、その後にこれらの信号の位相はずれてしまい安定しない。一方、出力ジッタが小さくなるようにループフィルタの遮断周波数を低く設定すると、安定時間は長くなる。つまり、発振器から出力される信号の周波数は、ゆっくりと変化して基準信号の周波数に一致して、その後は安定する。このような状況のもと、PLL回路の高速性と安定性との両立が求められる。
【0006】
これまでにも、複数のループフィルタを備えたPLL回路であって、基準信号と発振器から出力された信号との位相差に応じたループフィルタを選択するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−284132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、高速性と安定性との両立を図るために、基準信号と発振器から出力される信号との位相差に対応して複数のループフィルタを備えるとなると、PLL回路の構成が複雑となる。しかも、基準信号と発振器から出力される信号との位相差に応じて複数のループフィルタを段階的に切り替えるとなると、安定時間が長くなってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、高速性と安定性との両立を実現することができるPLL回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる発振回路は、PLL回路の位相比較器に入力される基準信号のパルス幅と、PLL回路の発振器から出力されて位相比較器に入力される比較信号のパルス幅と、の差分を検出するパルス幅比較器と、位相比較器からの信号と、パルス幅比較器からの信号と、のいずれか一方を発振器に入力させる切替器と、を備え、比較信号は、比較カウンタでカウントされて生成され、パルス幅比較器からの信号が入力された発振器は、パルス幅比較器が検出したパルス幅の差分に基づいて決定される発振周波数の信号であって基準信号のパルス幅と同じパルス幅の信号を出力し、パルス幅比較器からの信号が発振器に入力されたとき、比較カウンタのカウント値をリセットして基準信号と比較信号とを同位相にする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高速性と安定性との両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかる発振回路とPLL回路とのブロック図である。
図2図1のPLL回路の信号処理のフローチャートである。
図3図1のPLL回路のパルス幅比較処理のフローチャートである。
図4図1のPLL回路の位相比較処理のフローチャートである。
図5図1のPLL回路に入力される基準信号と比較信号との関係を示すタイミングチャートである。
図6図1のPLL回路に入力される基準信号と比較信号との別の関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる発振回路とPLL回路と信号処理装置の実施の形態について説明する。
【0014】
●発振回路とPLL回路の構成●
図1は、本発明にかかる発振回路とPLL回路とのブロック図である。
本発明にかかるPLL回路C1は、位相比較器11と、ループフィルタ12と、発振器13と、分周器14と、本発明にかかる発振回路C2と、を有してなる。発振回路C2は、パルス幅比較器15と、切替器16と、を有してなる。発振回路C2は、PLL回路C1の一部を構成する。
【0015】
位相比較器11と、ループフィルタ12と、発振器13と、分周器14と、は、従来のPLL回路が備えるものと同様である。すなわち、PLL回路C1は、発振回路C2を備える点において、従来のPLL回路とは相違する。
【0016】
位相比較器11は、不図示の外部機器から入力される基準信号P1と、分周器14から出力される比較信号P3と、の位相差を検出して、検出された位相差に比例した誤差信号を出力する。
【0017】
基準信号P1は、例えば、27MHzの基準クロックを1回に1度カウントして生成される。
【0018】
比較信号P3は、例えば、54MHzの比較クロックを2回に1度カウントして生成される。
【0019】
ループフィルタ12は、位相比較器11から出力された誤差信号を平均化して、交流成分の少ない直流の第2制御信号P4を出力する。第2制御信号P4については、後述する。
【0020】
発振器13は、切替器16が出力する制御信号P6に応じた周波数の発振信号P2を出力する。制御信号P6については、後述する。
【0021】
分周器14は、発振器13が出力した発振信号P7を分周して比較信号P3を出力する。比較信号P3は、位相比較器11と、パルス幅比較器15と、に入力される。
【0022】
パルス幅比較器15は、基準信号P1のパルス幅と、比較信号P3とのパルス幅と、のパルス幅の差分を検出して、検出されたパルス幅の差分に比例した第1制御信号P5出力する。第1制御信号P5については、後述する。
【0023】
パルス幅比較器15は、第1カウンタと、第2カウンタと、減算器と、を備える。
【0024】
第1カウンタは、基準信号P1の立下エッジを検出してカウントすることにより、基準信号P1のパルス幅を測る。
【0025】
第2カウンタは、比較信号P3の立下エッジを検出してカウントすることにより、発振信号P2のパルス幅を測る。
【0026】
減算器は、第1カウンタのカウント値と、第2カウンタのカウント値と、の差分に基づいて、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分を算出する。すなわち、例えば、減算器は、第2カウンタのカウンタ値から第1カウンタのカウント値を減算する、あるいは、第1カウンタのカウント値から第2カウンタのカウント値を減算する、ことで、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分を算出する。
【0027】
第1カウンタのカウント値と、第2カウンタのカウント値と、は、例えば、27MHzの測定用クロックを用いてカウントされる。
【0028】
切替器16は、ループフィルタ12からの第2制御信号P4と、パルス幅比較器15からの第1制御信号P5と、のいずれか一方を発振器13に入力する。切替器16は、基準信号P1と比較信号P3との位相差に基づいて、発振器13に入力される信号を、第2制御信号P4と第1制御信号P5とのいずれか一方に決定する。すなわち、例えば、切替器16は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が基準値以下のときには第2制御信号P4を発振器13に入力し、同位相差が基準値よりも大きいときには第1制御信号P5を発振器13に入力する。つまり、基準信号P1と比較信号P3との位相差が基準値以下のとき、制御信号P6は第2制御信号P4である。一方、基準信号P1と比較信号P3との位相差が基準値より大きいとき、制御信号P6は第1制御信号P5である。切替器16が第2制御信号P4と第1制御信号P5との選択に用いる基準値は、切替器16に予め設定されている。
【0029】
第2制御信号P4が入力された発振器13は、基準信号P1と比較信号P3との位相差に応じてループフィルタ12により決定された発振周波数の発振信号P2を出力する。ループフィルタ12により決定された発振周波数は、基準信号P1と比較信号P3との位相差を減少させる値である。
【0030】
第1制御信号P5が入力された発振器13は、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分に応じてパルス幅比較器15により決定された発振周波数の発振信号P2を出力する。パルス幅比較器15により決定された発振周波数は、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分を減少させる値である。
【0031】
すなわち、パルス幅比較器15は、パルス幅の差分と発振周波数との対応関係を保持していて、この対応関係に基づいて、検出された基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分に対応する発振周波数(後述する第1設定値)を決定する。
【0032】
●発振回路とPLL回路の動作●
図2は、PLL回路C1の信号処理のフローチャートである。
PLL回路C1は、基準信号P1と比較信号P3とが入力されている間、パルス幅比較処理(S1)と位相比較処理(S2)とを実行する。
【0033】
図3は、パルス幅比較処理(S1)のフローチャートである。
パルス幅比較器15は、基準信号P1を取得する(S11)と、第1カウンタを用いて基準信号P1のパルス幅をカウント(計測)する(S13)。同様に、パルス幅比較器15は、比較信号P3を取得する(S12)と、第2カウンタを用いて比較信号P3のパルス幅をカウントする(S14)。
【0034】
次いで、パルス幅比較器15は、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分を検出する(S15)。パルス幅の差分は、パルス幅比較器15の減算器が、第1カウンタのカウント値と第2カウンタのカウント値とを用いて検出(算出)される。すなわち、減算器は、第2カウンタのカウント値から第1カウンタのカウント値を減算する、あるいは、第1カウンタのカウント値から第2カウンタのカウント値を減算することで、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分を算出する。
【0035】
次いで、パルス幅比較器15は、減算器が算出した基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分に基づいて、第1設定値を算出する(S16)。第1設定値は、発振器13の発振周波数を決定する値である。すなわち、第1設定値が設定された発振器13は、第1設定値に応じた発振周波数の発振信号P2を出力する。パルス幅比較器15は、第1設定値に応じた第1制御信号P5を切替器16に出力する。つまり、発振器13は、切替器16から第1制御信号P5を取得すると、第1設定値に応じた発振周波数の発振信号P2を出力する。
【0036】
図4は、位相比較処理(S2)のフローチャートである。
位相比較器11は、基準信号P1と比較信号P3とを取得する(S21、S22)と、基準信号P1と比較信号P3との位相差を検出する(S23)。
【0037】
次いで、位相比較器11は、検出された基準信号P1と比較信号P3との位相差に基づいて、第2設定値を算出する(S24)。第2設定値は、発振器13の発振周波数を決定する値である。すなわち、発振器13に第2設定値が設定されると、発振器13は、第2設定値に応じた発振周波数の発振信号P2を出力する。位相比較器11は、第2設定値に応じた第2制御信号P4を切替器16に出力する。つまり、発振器13は、切替器16から第2制御信号P4を取得すると、第2設定値に応じた発振周波数の発振信号P2を出力する。
【0038】
図2に戻る。
切替器16は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差より大きいか否か判定する(S3)。切替器16は、例えば、位相比較器11から取得した第2制御信号P4に対応する第2設定値と、基準値と、の大小を比較して行われる。すなわち、例えば、第2設定値が基準値より大きいとき、切替器16は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいと判定する。一方、第2設定値が基準値以下のとき、切替器16は、基準信号P1と比較信号P3との位相差は所定の位相差以下である(同位相差は所定の位相差よりも大きくない)と判定する。
【0039】
基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいと判定されたとき(S3のYes)、切替器16は、第1設定値を発振器13に設定すると共に、比較カウンタのカウント値をリセットする(S4)。比較カウンタは、比較クロックをカウントして比較信号P3を生成する。
【0040】
すなわち、切替器16は、パルス幅比較器15からの第1制御信号P5を、制御信号P6として発振器13に出力する。
【0041】
また、切替器16は、リセット信号P7を分周器14に出力する。リセット信号P7は、比較カウンタのカウント値をリセットする信号である。すなわち、分周器14は、リセット信号P7を取得すると、比較カウンタのカウント値をリセットして、比較クロックのカウントを開始して比較信号P3を生成する。その結果、分周器14から出力される比較信号P3は、基準信号P1と同位相となる。
【0042】
基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいと判定されなかったとき(S3のNo)、切替器16は、第2設定値を発振器13に設定する(S5)。
【0043】
すなわち、切替器16は、ループフィルタ12からの第2制御信号P4を、制御信号P6として発振器13に出力する。
【0044】
発振器13は、第1設定値または第2設定値に基づいて、発振処理を実行する(S6)。すなわち、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいとき、発振器13は、パルス幅比較器15が検出した基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分に応じて決定された発振周波数の発振信号P2を出力する。一方、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きくないとき、発振器13は、位相比較器11が検出した基準信号P1と比較信号P3との位相差に応じて決定された発振周波数の発振信号P2を出力する。
【0045】
ここで、前述のとおり、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいとき、分周器14から出力される比較信号P3のパルス幅は、基準信号P1のパルス幅と同一(または略同一。以下、同じ)である。換言すれば、第1制御信号P5は、比較信号P3のパルス幅が基準信号P1のパルス幅と同一となるような発振周波数の発振信号P2を、発振器13に出力させる。
【0046】
また、前述のとおり、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいとき、比較カウンタのカウント値がリセットされるため、分周器14から出力される比較信号P3は、基準信号P1と同位相である。
【0047】
このように、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差よりも大きいとき、PLL回路C1は、比較信号P3のパルス幅を、基準信号P1のパルス幅と同一にすると共に、基準信号P1と比較信号P3とを同位相にする。
【0048】
図5は、基準信号P1と比較信号P3との関係を示すタイミングチャートであり、(a)は基準信号P1で、(b)は比較信号P3である。
同図は、時刻t1までは、周期T11の基準信号P1と、周期T21の比較信号P3と、に位相差が生じていない(同位相である)ことを示している。同図は、時刻t1以降、基準信号P1の周期がT11からT12に変化して、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅とに差分が生じていて、基準信号P1と比較信号P3とに位相差が生じていることを示している。
【0049】
図6は、基準信号P1と比較信号P3との別の関係を示すタイミングチャートであり、(a)は基準信号P1で、(b)は比較信号P3である。
同図は、時刻t2までは、周期T12の基準信号P1と、周期T21の比較信号P3と、に位相差が生じていることを示している。同図は、時刻t2以降、比較信号P3の周期がT21からT22に変化して、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅とが一致していて、基準信号P1と比較信号P3とに位相差が生じていないことを示している。この時刻t2は、分周器14が切替器16からリセット信号P7を取得して、比較カウンタをリセットした時刻である。
【0050】
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、PLL回路C1は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差より大きいとき、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅との差分に応じた発振周波数の発振信号P2を出力して、基準信号P1のパルス幅と比較信号P3のパルス幅とを同一にすると共に、基準信号P1と比較信号P3とを同位相にする。一方、PLL回路C1は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が所定の位相差より大きくないとき、基準信号P1と比較信号P3との位相差に応じた発振周波数の発振信号P2を出力する。
【0051】
すなわち、PLL回路C1は、基準信号P1と比較信号P3との位相差が大きくなったとき、基準信号P1と比較信号P3のパルス幅を同一にすると共に、基準信号P1と比較信号P3とを同位相にすることで、アンロック状態からロック状態への移行時間を短くすることができる。つまり、PLL回路C1は、高速性と安定性との両立を実現する。
【0052】
●信号処理装置●
次に、本発明にかかる信号処理装置の実施の形態について説明する。
本発明にかかる信号処理装置は、外部から入力された入力信号を処理する信号処理回路と、この信号処理回路のクロック信号を生成するPLL回路と、を有してなり、このPLL回路は、先に説明した本発明にかかるPLL回路である。
【0053】
先に説明したとおり、本発明にかかるPLL回路は、高速性と安定性との両立を実現することができるため、本発明にかかる信号処理装置は、入力信号と同期した信号を出力することができる。
【0054】
なお、本発明にかかる信号処理装置の例のとしては、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換する装置などがある。
【0055】
●本発明にかかる発振回路とPLL回路の特徴のまとめ●
以上説明した本発明にかかる発振回路とPLL回路との特徴について、以下にまとめて記載しておく。
【0056】
(特徴1)
PLL回路の位相比較器に入力される基準信号のパルス幅と、前記PLL回路の発振器から出力されて前記位相比較器に入力される比較信号のパルス幅と、の差分を検出するパルス幅比較器と、
前記位相比較器からの信号と、前記パルス幅比較器からの信号と、のいずれか一方を前記発振器に入力させる切替器と、
を備え、
前記パルス幅比較器からの信号が入力された前記発振器は、前記パルス幅比較器が検出したパルス幅の差分に基づいて決定される発振周波数の信号を出力し、
前記パルス幅比較器からの信号が前記発振器に入力されたとき、前記基準信号と前記比較信号とを同位相にする、
ことを特徴とする発振回路。
【0057】
(特徴2)
前記パルス幅比較器からの信号が入力された発振器は、前記基準信号のパルス幅と同じパルス幅の信号を出力する、
特徴1記載の発振回路。
【0058】
(特徴3)
前記比較信号は、比較カウンタでカウントされて生成され、
前記パルス幅比較器からの信号が前記発振器に入力されたとき、前記比較カウンタのカウント値はリセットされる、
特徴1または2記載の発振回路。
【0059】
(特徴4)
前記発振器から出力される信号は分周されて前記比較信号として前記位相比較器に入力される、
特徴1または2記載の発振回路。
【0060】
(特徴5)
前記切替器は、前記基準信号と前記比較信号との位相差に基づいて前記発振器に入力される信号を決定する、
特徴1または2記載の発振回路。
【0061】
(特徴6)
前記切替器は、前記位相差が基準値よりも大きいとき、前記パルス幅比較器からの信号を前記発振器に入力させる、
特徴5記載の発振回路。
【0062】
(特徴7)
前記切替器は、前記位相差が基準値以下のとき、前記位相比較器からの信号を前記発振器に入力させる、
特徴5または6記載の発振回路。
【0063】
(特徴8)
前記パルス幅比較器は、
前記基準信号の立下エッジを検出してカウントすることにより、前記基準信号のパルス幅を測る第1カウンタと、
前記比較信号の立下エッジを検出してカウントすることにより、前記比較信号のパルス幅を測る第2カウンタと、
前記第1カウンタのカウント値と前記第2カウンタのカウント値との差分に基づいて、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する減算器と、
を備える、
特徴1または2記載の発振回路。
【0064】
(特徴9)
前記減算器は、前記第2カウンタのカウント値から前記第1カウンタのカウント値を減算することにより、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する、
特徴8記載の発振回路。
【0065】
(特徴10)
前記減算器は、前記第1カウンタのカウント値から前記第2カウンタのカウント値を減算することにより、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分を検出する、
特徴8記載の発振回路。
【0066】
(特徴11)
基準信号と比較信号との位相差を検出する位相比較器と、
前記位相差に基づいて決定される発振周波数の信号を出力する発振器と、
を有してなるPLL回路であって、
前記位相差が所定の位相差のとき、前記基準信号のパルス幅と前記比較信号のパルス幅との差分に基づいて決定される発振周波数の信号を前記発振器から出力させ、前記基準信号と前記比較信号とを同位相にする発振回路、
を備え、
前記発振回路は、特徴1乃至10のいずれかに記載の発振回路である、
ことを特徴とするPLL回路。
【符号の説明】
【0067】
C1 PLL回路
C2 発振回路
P1 基準信号
P2 発振信号
P3 比較信号
P4 第2制御信号
P5 第1制御信号
P6 制御信号
P7 比較信号の比較カウンタのリセット信号
11 位相比較器
12 ループフィルタ
13 発振器
14 分周器
15 パルス幅比較器
16 切替器

【要約】
【課題】高速性と安定性との両立を実現する。
【解決手段】PLL回路の位相比較器(11)に入力される基準信号(P1)のパルス幅と、PLL回路の発振器(13)から出力されて位相比較器に入力される比較信号(P3)のパルス幅と、の差分を検出するパルス幅比較器(15)と、位相比較器からの信号と、パルス幅比較器からの信号と、のいずれか一方を発振器に入力させる切替器(16)と、を備え、パルス幅比較器からの信号が入力された発振器は、パルス幅比較器が検出したパルス幅の差分に基づいて決定される発振周波数の信号(P2)を出力し、パルス幅比較器からの信号が発振器に入力されたとき、基準信号と比較信号とを同位相にする、ことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6