(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5883986
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】流体機械のためのスクリュー冷却
(51)【国際特許分類】
F01D 25/12 20060101AFI20160301BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
F01D25/12 D
F01D25/24 K
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-502200(P2015-502200)
(86)(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公表番号】特表2015-511683(P2015-511683A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2013055506
(87)【国際公開番号】WO2013143894
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年12月10日
(31)【優先権主張番号】12161469.7
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルト・イェニケユー
(72)【発明者】
【氏名】エヴゲン・コステンコ
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−119109(JP,A)
【文献】
特開昭54−132008(JP,A)
【文献】
実開昭54−142704(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0180140(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0003071(US,A1)
【文献】
実開昭59−131906(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/12
F01D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを備えているターボ機械であって、
前記ハウジングが、上側ハウジング部分(1)、下側ハウジング部分(2)、及び前記ハウジング内に配置されている流れダクト(13)から成る、前記ターボ機械において、
前記流れダクト(13)が、流れダクト排出蒸気空間を有しており、
前記上側ハウジング部分(1)が、ボルト(3)を介して前記下側ハウジング部分(2)に接続可能とされ、
前記ボルト(3)が、スタッドボルトとして構成されており、前記スタッドボルトのアキシアル方向に沿った冷却ダクト(4)を有しており、
前記冷却ダクト(4)が、冷却ダクト入口(5)及び冷却ダクト出口(6)を有しており、
前記冷却ダクト入口(5)が、前記流れダクト(13)に流通しており、
前記冷却ダクト出口(6)が、前記スタッドボルトと前記ハウジングとの間に配置されているボルト冷却ダクト(14)を介して、前記流れダクト排出蒸気空間に流通しており、
前記スタッドボルトが、ナット(7)を備えており、
前記ナット(7)が、前記冷却ダクト(4)を前記流れダクト排出蒸気空間に流通させている冷却ダクトスロット(8)を備えており、
前記ナット(7)が、ネジ部(11)を有しており、冷却ダクトスロット(8)が、前記ネジ部(11)の領域に配置されていることを特徴とするターボ機械。
【請求項2】
前記下側ハウジング部分(2)が、前記冷却ダクト入口(5)を前記流れダクト(13)に接続しているボアを有していることを特徴とする請求項1に記載のターボ機械。
【請求項3】
前記冷却ダクト入口(5)が、前記下側ハウジング部分(2)内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のターボ機械。
【請求項4】
前記冷却ダクト出口(6)が、前記上側ハウジング部分(1)内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のターボ機械。
【請求項5】
前記ターボ機械が、蒸気タービンとして構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングを備えているターボ機械であって、ハウジングが、上側ハウジング部分、下側ハウジング部分、及びハウジング内に配置されている流れダクトから成る、ターボ機械において、流れダクトが、流れダクト排出蒸気空間を有しており、上側ハウジング部分が、ボルトを介して下側ハウジング部分に接続されており、ボルトが、スタッドボルトとして構成されており、スタッドボルトのアキシアル方向に沿った冷却ダクトを有しており、冷却ダクトが、冷却ダクト入口及び冷却ダクト出口を有している、ターボ機械に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気発電所は、最大1600メガワットの電力を供給可能とされる蒸気タービンを利用している。熱力学上の理由によって、蒸気タービンは、共通するシャフトを有している、いわゆるタービンセクションに分割されている。
【0003】
一般に、高圧タービンセクションは、上側部分及び下側部分から成る内側ハウジングであって、ボルト接続によって共に保持されている内側ハウジングを備えている。高温の影響及び温度変化による過渡的な性質の影響の結果として、時間依存性の緩和及び温度依存性の緩和が生じる。この結果として、ハウジングが締め付けられ、運転中にシールが劣化するので、漏損が生じ、効率が低下する。
【0004】
従って、あらゆる蒸気のパラメータについて、締付を可能な限り一定に維持することが望ましい。このような締付は、設計の改善によって、又は良質の―高価ではあるが―ボルト材料によって実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、様々な蒸気のパラメータに対して良好な締付を実現する改善されたボルト接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該目的は、上側ハウジング部分、下側ハウジング部分、及びハウジング内に配置されている流れダクトから成る当該ハウジングを備えているターボ機械であって、流れダクトが、流れダクト排出蒸気空間を有しており、上側ハウジング部分が、ボルトを介して下側ハウジング部分に接続されており、ボルトが、スタッドボルトとして構成されており、スタッドボルトのアキシアル方向に沿った冷却ダクトを有しており、冷却ダクトが、冷却ダクト入口及び冷却ダクト出口を有しており、冷却ダクト入口が、流れダクトに流通しており、冷却ダクト出口が、冷却ダクト排出蒸気空間に流通している、ターボ機械によって達成される。
【0007】
従って、本発明は、ボルト接続部のために利用されるスタッドボルト内において、流れダクト内の蒸気を供給すると共に冷却ダクト出口を介して流れダクト排出蒸気空間に接続されている冷却ボアを用いることを提案する。流れダクトからの蒸気は、流れダクト排出蒸気空間の蒸気より高圧であるので、スタッドボルトの冷却ダクトを通過する強制流を発生させ、ボルト全体を冷却することができる。
【0008】
優位な発展形態は、従属請求項に示されている。
【0009】
従って、第1の優位な実施例では、スタッドボルトは、ナットを備えており、ナットは、冷却ダクトを冷却ダクト排出蒸気空間に流通させている冷却ダクトスロットを備えている。
【0010】
従って、本発明は、ボルト内の冷却ダクトを通過する冷却蒸気流を迂回させるためのスロットをナット内に機械加工すること、及び、冷却ダクト排出蒸気空間に接続された流れダクト出口に当該冷却蒸気流を接続することを提案する。従って、冷却蒸気は漏出することができないので、シールが改善される。
【0011】
一の優位な発展形態では、下側ハウジング部分は、冷却ダクト入口を流れダクトに接続するためのボアを有している。
【0012】
当該ボアは、上側ハウジング部分及び下側ハウジング部分のアキシアル方向に形成されている。本発明では、当該ボアは、冷却蒸気として利用すべき蒸気を運搬するための流体接続部を適切な位置に有していることに留意すべきである。
【0013】
本発明について、典型的な実施例を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明におけるボルト締結式接続部の部分的な詳細図である。
【
図5】上側ハウジング部分及び下側ハウジング部分の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、上側ハウジング部分1及び下側ハウジング部分2の一部分を表わす概略図である。上側ハウジング部分1及び下側ハウジング部分2が共に、ターボ機械(詳細には図示しない)で利用されるハウジングを形成している。流れダクト(詳細には図示しない)は、上側ハウジング部分1と下側ハウジング部分2との間に配置されている。蒸気の熱エネルギをロータの回転エネルギに変換するロータブレード及び案内ベーンは、当該流れダクト内に配置されている。上側ハウジング部部分1及び下側ハウジング部分2は、ボルト3を介して互いに対して接続されている。このような接続を実現するために、ボルト3は、スタッドボルトの形態とされる。すなわち、ボルト3は、ボルト頭を有していないが、両端にネジ部を有している。冷却ダクト4は、その一方の側において冷却ダクト入口5に接続されており、その他方の側において冷却ダクト出口6に接続されており、スタッドボルトのアキシアル方向に沿って形成されている。
【0016】
従って、冷却ダクト入口5に流入する蒸気は、冷却ダクト4を通じてアキシアル方向に流れ、スタッドボルトを通過するので、その際にスタッドボルトを冷却する。最後に、冷却蒸気が冷却ダクト出口6に到達する。
【0017】
冷却蒸気を冷却ダクト4から冷却ダクト出口6に流入させるために、蒸気が冷却ダクト6に流入する際に通過するスロット8が、ナット7内に配置されいている。冷却ダクト出口6は、第1の流体接続部9を介して、流れダクトの排出蒸気空間(詳細には図示しない)に流通している。
【0018】
冷却ダクト出口6は、スタッドボルトとハウジング、特に上側ハウジング部分1との間に配置されているボルト冷却ダクト14を介して、流れダクトの排出蒸気空間に流通している。
【0019】
同様に、
図3に表わすように、冷却ダクト入口5は、第2の流体接続部10を介して流れダクトに接続されている。便宜上、第2の流体接続部は、ロータブレード段又は案内ベーン段の下流に形成されている。ロータブレード段又は案内ベーン段では、蒸気のパラメータが冷却ダクト系統にとって理想的とされる。
【0020】
図2は、冷却ダクト出口6及び第1の流体接続部9を具備する上側ハウジング部分1を表わす。
【0021】
図3は、第2の流体接続部10及び冷却ダクト入口5を具備する下側ハウジング部分2を表わす。
【0022】
図4は、ボルト3のためのナット7を表わす。ナット7は、ネジ部11の領域において、冷却蒸気が流れる際に通過する少なくとも1つのスロット8を有している。
【0023】
図5は、ターボ機械のアキシアル方向12における側面図である。
図5は、流れダクト13、冷却ダクト入口5、冷却ダクト出口6、第1の流体接続部9、及び第2の流体接続部10の配置を表わす。
【符号の説明】
【0024】
1 上側ハウジング部分
2 下側ハウジング部分
3 ボルト
4 冷却ダクト
5 冷却ダクト入口
6 冷却ダクト出口
7 ナット
8 スロット
9 第1の流体接続部
10 第2の流体接続部
11 ネジ部
12 アキシアル方向
13 流れダクト
14 ボルト冷却ダクト