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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒲鉾の焙焼にあたっては、例えばガスによる直火のバーナーや、電気ヒーターによる加熱を行うブロックが複数連続された焙焼部を使用して、蒲鉾の焙焼が行われる。
【0005】
この焙焼部では、一般的にブロックごとに温度の制御が可能であり、製造工程を管理する管理者が自らの経験や勘に基づいて最適な焼き加減をブロックごとに設定しながら行うやり方が主流であった。
【0006】
しかしながら、管理者の経験や勘に依存していることから、管理者毎に製品品質にむらが生じる可能性があるので、このような方式は好ましくない。
このため、近年では自動制御による焙焼の管理が望まれている。
ここで、蒲鉾の自動焙焼にあたっては、焙焼部内の温度を取得する温度センサを設けて、この温度センサから取得した焙焼部内の温度に基づいて、加熱部が制御される。
【0007】
ところで、蒲鉾においては、左右両面からの加熱によって、表面に適度な焼き色を付けることが望まれる。
しかしながら、焙焼部内の温度に基づく自動制御では焙焼部内の温度を一定に保つことは可能であっても、このような両側の焼き加減を適度に調整することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、左右両表面に対して均等に焙焼を行うことのできる焙焼制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の焙焼制御装置は、搬送された蒲鉾を搬送路に対して左右両側面から加熱して焙焼する焙焼部と、前記焙焼部を所定の目標温度となるように焙焼部に対する加熱の出力の制御を行う制御部と、を備えた焙焼制御装置であって、前記焙焼部は、複数の焙焼単位に区分けされ、前記焙焼単位ごとに出力の制御が可能であって、前記焙焼単位ごとに、電気制御で出力調整が可能な左右の加熱部と、前記加熱部の上方側を覆う上蓋部と、前記焙焼単位ごとに設けられ、前記左右の加熱部間の略中央に設けられた温度検出部と、を備える。
【0010】
前記制御部は、焙焼単位ごとに目標温度を設定することのできる温度設定部と、焙焼単位ごとに、前記温度検出部によって検出された温度が目標温度となるように前記左右の加熱部の出力の調整を行う自動制御部と、前記左右の加熱部のうち、一方の出力の増減の設定を行うことができる出力設定部と、前記出力設定部によって設定された出力の増減の設定に従って、設定がされた前記加熱部の出力を変更する出力調整部と、を備える。
【0011】
この構成によれば、焙焼している蒲鉾の左右両面のうち、一方の焼き目が強く、焼け過ぎのおそれがある場合、この一方の加熱部に対する出力を低減し、また逆に一方の焼き目が弱い場合には、この一方の加熱部に対する出力を増加する。
【0012】
これにより、出力設定部により一方の加熱部の出力を増減するように設定して、この設定に基づいて出力調整部により一方の加熱部の出力を増減させることによって、蒲鉾の左右両面を均等に焙焼することができる。
【0013】
本発明による焙焼制御装置は、好ましくは、前記出力調整部が、前記出力設定部で出力が増加された前記左右の対の加熱部のうち、増加されない側の加熱部に対して、出力の増加分に対応する分だけ出力を減少するように制御する。
【0014】
この構成によれば、左右の加熱部のうち、一側の加熱部の出力を増加することにより、蒲鉾の搬送路の温度が上昇して、蒲鉾の他側の表面の焼き目も強くなるが、これに対応して他側の加熱部の出力を減少させることによって、搬送路全体の温度上昇を抑制し、蒲鉾の他側の表面における焼き目をそのまま保持しつつ、蒲鉾の両面を均等に焙焼することができる。
【0015】
本発明による焙焼制御装置は、好ましくは、前記上蓋部が前記焙焼部から開放されたことを検知する上蓋検知部と、をさらに備え、前記自動制御部が、前記上蓋部の開放が検知された場合に、前記加熱部の自動制御を停止する。
この構成によれば、例えば原料となるすり身の水分が時間経過と共に減少し、あるいは周囲温度が何らかの原因により急激に変化した場合に、上蓋を開けて、蒲鉾の搬送路内の温度上昇を抑制すると、この上蓋の開放が上蓋検知部により検知されて、この検知に基づいて、自動制御部が、加熱部の自動制御を停止する。これにより、上蓋が開放されたときに、自動制御部が自動制御に基づいて加熱部に対する出力を急激に増加させることがなく、蒲鉾の搬送路における焙焼中の焼き過ぎが防止され得る。
【発明の効果】
【0016】
このようにして、本発明によれば、左右両表面に対して均等に焙焼を行うことのできる焙焼制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による焙焼制御装置を図面を参照して説明する。
図1は、本発明による焙焼制御装置を蒲鉾製造装置1として実現した実施形態を上方からみた平面図である。
図1において、蒲鉾製造装置1は、成型部2、串起立部3、搬送部4、整形部5、焙焼部6、串抜き部7、串掃除部8及び串整列部9を備えている。
【0019】
成型部2は、蒲鉾の原材料となるすり身を蒲鉾の形に成型する部位である。
成型部2は、串整列部9によって所定の位置に整列された串を中心に成型を行う。
なお、笹蒲鉾としては、杉などの小板に半円筒形にいわゆる蒲鉾型にもりつけた板蒲鉾、麦わらなどに巻きつけた巻蒲鉾、薄く削った蒲鉾を乾燥した削り蒲鉾なども含まれるため、成型部2による成型は串を中心に成型しない場合も含まれる。
【0020】
串起立部3は、成型部2によって成型された蒲鉾を串を起点として、搬送しやすいように起立させる。
搬送部4は、串の端部を保持して起立した状態の蒲鉾を各部に向けて搬送するものであって、ベルトコンベアなどによって実現されている。
なお、搬送時、蒲鉾は、そのほぼ平らな面の両側が、搬送方向に対して略平行になるように搬送されている。搬送部4によって搬送される蒲鉾は、その途中で整形部5によって、整形される。
【0021】
整形部5は、搬送部4の搬送炉に対して両側に配置され且つ表面がシリコーン樹脂製の整形ローラーから構成されており、蒲鉾は、これらの成形ローラーにより両側から潰されて整形される。
ここで、整形ローラーは複数セット設けられている。これにより、蒲鉾は、一度にすり身1を潰して所定の形状に整形されるのではなく、それぞれの整形ローラーの間を順次に通過することによって徐々に所定の形状に整形される。
その後、整形された蒲鉾は、搬送部4によって焙焼部6へと搬送される。
【0022】
図2は、焙焼部6の詳細な構成を示す断面図である。
焙焼部6は、搬送部4により搬送されるすり身状の蒲鉾100を側方両側から焙焼する。ここで、焙焼部6は、
図1に示すように、焙焼単位ごとに焙焼ブロック6a〜6oの全15ブロックに区分されている。
【0023】
焙焼部6は、搬送部4の搬送方向からみて左側に位置する左側加熱部21a〜35aと、右側に位置する右側加熱部21b〜35bとを備えている。
左側加熱部21a〜35aと右側加熱部21b〜35bは、電気ヒーターから構成されており、電気信号に基づく制御で出力を調整することができる。
さらに、焙焼部6は、上蓋部11を有しており、上蓋部11は焙焼部6から取り外し可能となっている。
【0024】
焙焼部6の内部には、温度センサ36(温度検出部)と上蓋センサ37(上蓋検知部)とが設けられている。
温度センサ36は、焙焼部6の左右方向の略中央位置に設けられている。このような位置に設けられる理由としては、例えばどちらかの加熱部に偏った位置に設けられた場合、焙焼部6内の温度を正確に取得できないためである。例えば、温度センサ36が左側焙焼部21aに近い位置に設けられた場合、熱源に近いため温度が高く測定され、この温度に基づいて制御を行うと、実際の焙焼部6内温度が設定値に達する前に出力を弱める制御が行われてしまう。
【0025】
上蓋センサ37は、上蓋部11が取り外された場合に、検知するためのセンサである。
これらのセンサは、焙焼部6のそれぞれの焙焼ブロック内に設けられている。
なお、これらの焙焼部6に関する制御単位としては、各焙焼ブロック毎に制御を行ってもよいし、複数の焙焼ブロックをグループ化し、各グループ毎に制御を行うようにしても良い。
【0026】
本実施形態では、焙焼ブロック6a〜6hがグループ1、焙焼ブロック6i〜6lがグループ2、焙焼ブロック6m〜6oがグループ3と、3つのグループ単位で制御を行っている場合について説明する。
【0027】
図3は、焙焼制御装置1の制御部の構成を示すブロック図である。
制御部40は、自動制御部41、及び出力調整部42を備えている。
また制御部40は、温度センサ36、上蓋センサ37、温度設定部60及び出力設定部70と電気的に接続されており、それぞれ各部からの信号が入力される。
温度設定部60は、焙焼部6内における上述したグループ単位ごとの目標温度を設定する。
出力設定部70は、左側焙焼部と右側焙焼部の出力をそれぞれグループ単位ごとに個別に調整することができる。
【0028】
図4は、焙焼部6における温度設定部60によるグループ単位での設定温度の設定と、出力設定部70による左右の加熱部間での出力調整を行う操作画面を示す図である。
図4に示される、「設定温度」は、焙焼部6温度をグループ単位毎に5度単位で増減するように設定するために操作用のインタフェースであり、上下の矢印を押すことによって、自動制御部41によって左右の加熱部が自動的に制御され、設定温度を目標に出力の調整が行われる。
【0029】
ここで、「左右出力調整」は、左右いずれかの加熱部の出力を増減させるための操作部であり、まず出力を増加させたい方の加熱部を「左」「右」のいずれかから選択する。
次いで、上矢印、下矢印のいずれかを操作し、1回の操作によって出力を1%ずつ増減させることができる。
このような左右出力調整によって、設定された増加分だけ、出力調整部42によって、増加側の加熱部の出力が増加される。
【0030】
また、出力調整部42は、上述した左右一側の出力増加設定の際に、出力が増加されなかった側の加熱部の出力を、同じ調整量(例えば、増加分が2%である場合には、−2%)だけ減少させる制御を行う。
なお、この際の増加分の調整量は、装置の管理者が蒲鉾などの焼き加減を目視で確認し、必要な場合に手作業で調整することを想定している。
【0031】
例えば
図4においては、焙焼ブロック6a〜6hのグループ1は、設定温度が200度、左側の加熱部が2%出力が増加するように設定されている。
焙焼ブロック6i〜6lのグループ2は、設定温度が180度、左側の加熱部が3%出力が増加するように設定されている。
焙焼ブロック6m〜6oがグループ3は、設定温度が185度、右側の加熱部が1%出力が増加するように設定されている。
【0032】
図5は、複数の製品ごとに各焙焼グループの設定温度を一覧で示す操作画面である。
製品A〜製品Dそれぞれに各焙焼グループにおける設定温度が設定されており、蒲鉾製造装置1の管理者は焙焼する製品を選択することで、製品ごとに設定した設定温度を一括で変更することができる。
【0033】
図6は、各焙焼部のグループ単位での出力状況を示す図である。
図中、PVは、温度センサ30による測定値に10をかけたものであり、例えばPV=2013は、201.3度を示している。
SVは、設定された設定温度である。MVは、測定値と、設定温度とから算出された各加熱部の操作量を示す値である。
操作量は0〜100%までの間で調整されて決定される。この操作量は、後述するPID(Proportional-Integral-Derivative Controller)制御を利用して算出が行われる。
【0034】
図7は、本装置における加熱部の出力制御に係る処理の流れを示すフロー図である。
ステップS101〜ステップS108は、加熱部の温度、及び出力の調整の設定に係る処理であり、ステップS201〜ステップS206は、設定値と測定値に基づき出力を制御する処理である。
【0035】
まず、ステップS101〜S108の処理について説明する。ステップS101において、まずは焙焼の対象とする製品が
図5で示された製品選択画面から選択される。そして、選択された製品に基づいて、温度設定部60により制御用の各焙焼部の設定温度が設定される(ステップS102〜ステップS105)。次いで、左右の加熱部において、出力調整がされているか否かが判定される(ステップS106)。ここで、出力調整がされている(ステップS106:Yes)場合には、出力設定部70により加熱部の出力の増減の調整の設定がされる(ステップS107)。そして、温度設定部60は、最終的な加熱部における目標とする設定温度を決定する(ステップS108)。尚、出力調整がされていない(ステップS106:No)場合には、ステップS107をパスして、ステップS108に進む。
【0036】
次に、ステップS201〜S206の処理について説明する。
これらの処理(ステップS201〜S206)は、焙焼部6の各加熱部における焙焼開始に伴って開始され、まず焙焼部6の炉内温度調整が自動になっているか否かが判定される(ステップS201)。
ここで、温度調整が自動の設定になっていない(ステップS201:No)場合には、焙焼部6内の加熱部の出力の制御は自動で行われずに、手動で出力が設定され(ステップS202)、ステップS201に戻る。
これに対して、温度調整が自動の設定になっている(ステップS201:Yes)場合には、続いて焙焼部6の上蓋部11が閉まっているか否かが、上蓋センサ31からの信号によって判断される(ステップS203)。
【0037】
ここで、上蓋部6が閉まっていないと判定された(ステップS203:No)場合には、自動制御部41による自動温度制御が停止されて(ステップS204)、ステップS203に戻る。
これに対して、上蓋部が閉まっていると判定された(ステップS203:Yes)場合には、前述したステップS108で決定された設定温度で焙焼が行われている焙焼部6の炉内温度が温度センサ30により測定され(ステップS205)、続いて自動制御部41による自動温度制御が開始され(ステップS206)、ステップS205に戻る。
このようにして、自動制御部41による設定値と測定値に基づいて出力の制御が行われる。
【0038】
ところで、上述したPID制御による操作量の調整は、以下のようにして行われる。
図8は、このPID制御で用いられる演算回路のブロック図である。
図8に示されるように、演算回路80は、所謂不完全微分のPID制御回路として構成されており、偏差EV(=設定値SV−測定値PV)を比例及び積分回路81により演算した結果から、偏差EVを不完全微分回路82により部分的に微分した結果を減算して、さらにアンプ83で増幅して、操作量MVを算出する。
このようにして得られた操作量MVを制御対象84(即ち、各加熱部21a〜35a及び21b〜35b)に出力し、温度センサ30により焙焼炉6の炉内温度が測定され、測定値PVとしてフィードバックされる。
【0039】
ここで、今回サンプル時の偏差をEV
n,一周期前の偏差をEV
n−1,今回サンプル時の測定値をPV
fn,一周期前の測定値をPV
fn−1,二周期前の測定値をPV
fn−2,出力変化量をΔMV,今回の操作量をMV
n,今回の微分項をD
n,一周期前の微分項をD
n−1,サンプリング周期をT
s,比例定数をKp,積分定数をT
I,微分定数をT
D,微分ゲインをK
Dとし、さらにフィルタ後の測定値PV
fnは、PV
fn=PVn+α(PV
fn−1−PV
n)(ただし、αはフィルタ係数,PV
fn−1は一周期前のフィルタ後の測定値)で与えられるとすると、正動作時における偏差EVn,出力変化量ΔMV,微分項D
n及び操作量MV
nは、それぞれ
【数1】
により演算される。
また、逆動作時には、上記値は、それぞれ
【数2】
により演算される。
【0040】
串抜き部7は、焙焼が完了した蒲鉾から、串を抜く工程を行う。
串抜き部7により串が抜かれた蒲鉾は、そのまま製品として包装などの工程へと回される。
一方、抜かれた串は、串掃除機8に搬送され、付着したすり身などが清掃された後、搬送路4上を搬送され、串整列部9へと送られ、再度蒲鉾の製造工程において利用される。
【0041】
このような構成の蒲鉾製造装置1によれば、蒲鉾の原料であるすり身が、串整列部9によって所定の一に整列された串を中心に成型部2で蒲鉾100に成型され、続いてこの蒲鉾100が串起立部3で串を起点として起立される。
次に、このように起立された蒲鉾100は、その串の端部を保持して起立した状態で、搬送部4により
図1にて右方に向かって搬送され、途中で整形部5により両側から潰されて笹の葉上に整形される。
さらに、蒲鉾100は、搬送部4によって焙焼部6内に搬送され、焙焼部6内の各加熱部によって加熱され焙焼される。
【0042】
ここで、焙焼部6内における蒲鉾の焙焼は、前述したように制御部40の自動制御部41によりPID制御されて、出力調整部42の出力が制御される。
このとき、制御部40が所謂不完全微分のPID制御を行うことによって、焙焼部6の各焙焼グループ毎の炉内温度の変動に対して、それぞれ比較的迅速に出力を調整することができると共に、炉内温度の急激な変化に対しては、過大に調整して炉内温度が高くまたは低くなりすぎるようなことがなく、迅速且つ安定的に出力を調整することができる。
【0043】
その際、作業者が、蒲鉾の焙焼状態を視認して、何れかのグループ内において、蒲鉾の左右両面のうち、一方の焼き目が強く、焼き過ぎのおそれがあると判断した場合、作業者は、
図4に示した操作画面にて適宜の入力操作を行うことによって、当該グループに関して、この一方の側の加熱部、即ち左側加熱部21a〜35aまたは右側加熱部21b〜35bに対する出力を所定量だけ減少させる。
これにより、焼き目の強い側の焙焼温度が低下し、焼き目が弱められることになり、蒲鉾の100の両面が均等に焙焼されることになる。
【0044】
このとき、制御部40は、他側の加熱部21b〜35bまたは21a〜35aの各グループに対する出力を、それぞれ前述した一側の加熱部21a〜35aまたは21b〜35bの対応するグループに対する出力の減少分に対応する分だけ増加させる。
これにより、各グループごとに、一側の加熱部21a〜35aまたは21b〜35bのみの出力を調整することにより、加熱部全体に対する出力が減少することによる焙焼部6の炉内温度の低下のおそれがあるが、他側の21b〜35bまたは21a〜35aに対する出力を対応して増加させることにより、焙焼部6の炉内温度が低下してしまうことがないので、蒲鉾の他側の面の焼き目については調整前の状態を保持することができる。
【0045】
逆に、何れかのグループ内で、一方の焼き目が弱いと判断した場合には、作業者は、同様に、当該グループに関して、一方の側の加熱部、即ち左側加熱部21a〜35aまたは右側加熱部21b〜35bに対する出力を所定量だけ増加させる。
これにより、焼き目の弱い側の焙焼温度が上昇し、焼き目が強められることになり、蒲鉾の100の両面が均等に焙焼されることになる。
【0046】
このとき、制御部40は、他側の加熱部21b〜35bまたは21a〜35aの対応するグループに対する出力を、前述した一側の加熱部21a〜35aまたは21b〜35bに対する出力の増加分に対応する分だけ減少させる。
これにより、加熱部全体に対する出力が増加することによる焙焼部6の炉内温度の上昇のおそれがあるが、他側の21b〜35bまたは21a〜35aに対する出力を対応して減少させることにより、焙焼部6の炉内温度が上昇してしまうことがないので、蒲鉾の他側の面の焼き目については焼きすぎになることはなく、調整前の焙焼状態を保持することができる。
【0047】
さらに、蒲鉾の原料であるすり身の水分が時間経過により減っていたり、あるいは周辺温度が何らかの原因により急激に変化したりする等により、蒲鉾が焙焼部6内での焙焼中に焼き過ぎになった場合には、作業者は、上蓋部11を取り外してと、焼き過ぎを防止する。
このとき、上蓋センサ37が上蓋の取り外しを検知することによって、検知信号が制御部40に入力されと、制御部40は、上蓋部11が取り外されている間は、自動制御部41による自動温度制御を停止し、手動の温度制御に切り替わる。
これにより、上蓋部11の取り外しにより焙焼部6の炉内温度が急激に低下しても、これに追従して、制御部40の自動制御部41が、出力を急激に高く調整するようなことがない。従って、上蓋部11の取り外し時の自動温度制御による蒲鉾の焼き過ぎを防止することができる。
【0048】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、焙焼部6は、焙焼単位毎に15のブロックに区分されているが、これに限らず、14以下または16以上のブロックに区分されていてもよい。また、焙焼の単位を構成するグループは適宜変更することができる。
【解決手段】搬送された蒲鉾を焙焼する焙焼部は、複数の焙焼単位6a〜6oに区分けされ、焙焼単位ごとに焙焼の制御が可能であって、焙焼単位ごとに、電気制御で加熱の出力調整が可能な左右の加熱部21a〜35a,21b〜35bと、加熱部の上方側を覆う上蓋部と、焙焼単位6a〜6o毎に設けられ、左右の加熱部21a〜35a,21b〜35b間の略中央に設けられた温度検出部と、を備え、制御部は、焙焼単位に目標温度を設定することのできる温度設定部と、焙焼単位ごとに温度検出部によって検出された温度が目標温度となるように左右の加熱部の出力の調整を行う自動制御部と、左右の加熱部のうち、一方の出力の増減の設定を行うことができる出力設定部と、出力設定部によって設定された出力の増減の設定に従って、設定がされた加熱部の出力を変更する出力調整部とを備える焙焼制御装置。