【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1と、平板状可撓性配線コネクタ1に接続される相手コネクタ100とを示した斜視図である。
図2は、
図1に示した相手コネクタ100の相手端子111周辺を拡大した斜視図である。
図3は、
図1に示した平板状可撓性コネクタ1を斜め下方から視た分解斜視図である。
図4は、
図1に示したFPC10の上面図である。
図5は、
図4に示したFPC10の側面図である。
図6は、
図1に示した平板状可撓性配線コネクタ1を斜め下方から視た斜視図である。
図7は、
図6に示した突出片部40周辺を拡大した図である。
図8は、
図7に示した平板状可撓性配線コネクタ1のA−A線断面図である。
図9は、
図1に示した平板状可撓性配線コネクタ1を斜め下方から視た斜視図である。
図10は、
図9に示した突出片部40周辺を拡大した図である。
なお、便宜上、図中に示した互いに直交する矢印の方向を前後左右上下方向とする。
【0018】
本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1は、平板状可撓性配線としてのフレキシブル配線基板10(以下、FPCという。)と、FPC10が取り付けられ、かつ相手コネクタ100内に挿入されることによってFPC10の端部10aに形成された端子11と相手コネクタ100内の相手端子111とが接続される端子挿入部30を有してなるスライダ20と、FPC10がスライダ20とで挟持されるようにスライダ20に組み付けられるスライダカバー50と、を有してなる。
【0019】
まず、公知の相手コネクタ100について説明する。
相手コネクタ100は、
図1および
図2に示すように、スライダ20の端子挿入部30が挿入される開口部110aが後端部に形成されてなる箱型形状のハウジング部110と、ハウジング部110内の収容空間に設けられ、FPC10の各端子11に接続される複数の相手端子111とを有してなる。各相手端子111は、例えば、ハウジング部110の下部で不図示の回路基板に電気的に接続されるようになっている。
ハウジング部110の上面にはスライダ20の後述するコネクタ係合部22に係合される係止突起112が設けられ、この係止突起112とコネクタ係合部22とが係合されることによって、平板状可撓性配線コネクタ1が相手コネクタ100に固定されるようになっている。
【0020】
次に、FPC10について説明する。
FPC10は、
図4および
図5に示すように、導電性の金属膜がパターン形成されてなる回路配線12を有し、この回路配線12の両面が絶縁性薄膜フィルム13によって覆われてなる平板状可撓性の回路基板である。
このFPC10の端部10aには複数の端子11が並んで形成され、各端子11が各相手端子111との接続を可能とするため、各端子11の接続側の接続面11aを露出させるように、絶縁性薄膜フィルム13の一部が除去されている。
【0021】
また、FPC10の左右方向の両側端部10bには円形状の位置決め孔14が形成されている。FPC10がスライダ20に組み付けられる際、スライダ20の後述する取付面21cから突起された後述する各位置決め突起21eが各位置決め孔14に挿通されることによって、スライダ20に対するFPC10の取り付け位置の位置決めがなされるようになっている。
【0022】
次に、スライダ20について説明する。
スライダ20は、絶縁性材からなり、
図1および
図3に示すように、スライダ基部21と、スライダ基部21の上部21aに設けられたコネクタ係合部22と、端子挿入部30とを有してなる。
【0023】
スライダ基部21は、略直方体形状に形成されてなる基部であり、下面21bにFPC10が取り付けられる取付面21cを有してなる。この取付面21cの長手方向の両端部21dには、
図3に示すように、取付面21cから下方に向けて突起された位置決め突起21eが形成されている。FPC10がスライダ20に組み付けられる際、各位置決め突起21eがFPC10の各位置決め孔14に挿通されることによって、スライダ20に対するFPC10の取り付け位置の位置決めがなされるようになっている。
【0024】
コネクタ係合部22は、相手コネクタ100に設けられた係止突起112に係合されることによって、平板状可撓性配線コネクタ1と相手コネクタ100とを固定させるものである。
【0025】
端子挿入部30は、FPC10が取り付けられ、かつ相手コネクタ100内に挿入されることによって端子11と相手コネクタ100内の相手端子111とを接続させる部分である。この端子挿入部30は、
図6−
図10に示すように、取付面21cが前方に延びるようにスライダ基部21の下部前端21fから突出されて設けられ、
図8に示すように、前端部30aに段差部31が形成されてなる。
【0026】
段差部31は、端子挿入部30の前端部下面30bを形成し、かつ前端部下面30bと取付面21cとの段差SがFPC10の厚みとほぼ等しくなるように形成されてなる。
このような段差部31によって、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入された際、相手端子111が段差部31に当接され、FPC10の下面10c位置と略等しい高さに相手端子111の接点が位置されるようになっている。このため、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入される際、FPC10の端部10aの縁10dが各相手端子111に当接されることによって端部10aが変形されないようになっている。
【0027】
また、端子挿入部30は、FPC10の端部10aを保持する複数の突出片部40を有してなる。
各突出片部40は、前端部下面30bの面位置P1に上面40dの面位置P2が揃えられるようにして段差部31から後方に向けて延び、かつ取付面21c側から視て端子11に重ならないように端部10aの幅方向に沿って分散配置されてなる。
なお、この実施例では、各突出片部40は、取付面21c側から視て、隣り合う端子11の間の全てに配置されている。
【0028】
また、各突出片部40の前端部40bには傾斜面40aが形成されている。
傾斜面40aは、前端40cに向けて突出片部40の高さ方向の厚みが減少されるように傾斜された面である。この傾斜面40aは、端子挿入部30が相手コネクタ100に挿入される際、相手コネクタ100に接触され難くする逃げ部として機能する。
なお、この実施例では、突出片部40が傾斜面40aを有してなるものを例示したが、これに限らない。すなわち、端子挿入部30が相手コネクタ100に挿入されるようになっていれば、例えば、傾斜面40aに代わって、突出片部40の前端部40bの角を曲面形状にするようにしてもよい。
【0029】
このようなスライダ20によって、取付面21cと、突出片部40の上面40dと、段差部31の段差Sによって囲われてなる囲い部41が形成される。この囲い部41内に端部10aが配置されることによって、端部10aがスライダ20に保持されるとともに保護されるようになっている。
【0030】
また、各突出片部40は、取付面21c側から視て、隣り合う端子11の間の全てに配置されているので、端部10aが幅方向で両側端部10f近傍、中央部10g近傍を含めた部分を保持されるようになっている。このため、FPC10の端部10aに撓みが発生することを防止するようになっている。
【0031】
しかも、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入される際、各突出片部40が各相手端子111と干渉されないようになっている。このため各相手端子111が各突出片部40を乗り越える必要がなく、各相手端子111の弾性変形量を抑えることができる。これにより、各相手端子111が端子11に接続される際にかかる付勢力を小さく抑えることができる。
【0032】
次に、スライダカバー50について説明する。
スライダカバー50は、スライダ20の長手方向を長手方向とする外形略長方形形状の板状部材であり、
図3および
図6に示すように、長手方向の両縁50aが上方に折り曲げられて、スライダ20の側部20aに当接されるようになっている。このスライダカバー50の長手方向の両端部50bには、スライダ20に組み付ける際に位置決め突起21eが挿通される固定用孔51が形成されている。この固定用孔51に位置決め突起21eが挿通されることによって、スライダカバー50がスライダ20に固定されるようになっている。
【0033】
次に、
図11を用いて平板状可撓性配線コネクタ1の組み付け手順について説明する。
図11は、平板状可撓性配線コネクタ1の組み付け手順を示した図である。
まず、作業者は、各突出片部40の囲い部41内にFPC10の端部10aを挿入する。(
図11(a)参照)。この際、FPC10の端部10aが取付面21c上に載置された状態で、端部10aを各囲い部41内に挿入することができる。すなわち、作業者は、端部10aを折り曲げることなく取付面21cに沿って容易に各囲い部41内に挿入することができる。
その後、作業者は、位置決め孔14に位置決め突起21eが挿通されるようにしてFPC10をスライダ20の取付面21c上の所定位置に取り付ける(
図11(b)参照)。
その後、作業者は、スライダカバー50の固定用孔51に位置決め突起21eを挿通させることによってスライダカバー50をスライダ20に固定する(
図11(c)参照)。これによって、FPC10はスライダ20とスライダカバー50とによって挟持される。以上で平板状可撓性配線コネクタ1の組み付け作業が完了される。
【0034】
次に、
図12を用いて端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入開始されてから平板状可撓性配線コネクタ1と相手コネクタ100とが固定されるまでの流れを説明する。
図12は、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入開始されてから平板状可撓性配線コネクタ1と相手コネクタ100とが固定されるまでの流れを示した図である。
【0035】
まず、作業者等によって、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入開始される(
図12(a)参照)。端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入開始されると、各相手端子111が最初に段差部31に当接され、FPC10の下面10c高さに各相手端子111の接点が位置される。このため、FPC10の縁10dが相手端子111に当接されることにない。これにより、端子挿入部30が滑らかに相手コネクタ100内に挿入される。
【0036】
その後、作業者等によって、端子挿入部30が相手コネクタ100内にさらに挿入されると、各突出片部40が各相手端子111の間を移動される(
図12(b)参照)。このように各突出片部40が各相手端子111の間を移動されるので、各相手端子111が各突出片部40に当接されることがない。すなわち、各相手端子111が各突出片部40を乗り越えることなく移動される。
【0037】
その後、作業者等によって、端子挿入部30が相手コネクタ100内の取付位置まで挿入されると、係止突起112とコネクタ係合部22とが係合される(
図12(c)参照)。これにより、平板状可撓性配線コネクタ1と相手コネクタ100との接続が完了され、各端子11と各相手端子111とが所定位置で接続されることになる。
【0038】
本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1は、端子挿入部30が端子挿入部30の前端部下面30bを形成し、かつ前端部下面30bと取付面21cとの段差SがFPC10の厚みとほぼ等しくなるように形成されてなる段差部31と、前端部下面30bの面位置P1に上面40dの面位置P2が揃えられるようにして段差部31から後方に向けて延び、かつ取付面21c側から視て端子11に重ならないように端部10aの幅方向に沿って分散配置されてなる複数の突出片部40と、を有してなり、端部10aが、取付面21cと、上面40dと、段差Sとによって囲われてなる囲い部41内に配置されるので、端部10aが、取付面21c上に載置された状態で、囲い部41内に容易に挿入され、しかも、各相手端子111が突出片部40を乗り越える必要なく、各相手端子111と前記各端子11とが接続されるので、各相手端子111から各端子11にかかる付勢力を小さく抑えることができる。このため、容易に組み付けることができつつ、接続信頼性が低下することを防ぐことができる。
【0039】
また、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1は、FPC10が、複数の端子11が形成され、複数の突出片部40の各突出片部40が、取付面21c側から視て、隣り合う端子11の間に配置されるので、端子11が複数形成される場合であっても、端子11に重ならないように突出片部40を分散配置することができる。
【0040】
また、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1は、突出片部40が、隣り合う端子11の間の全てに配置されるので、端子11が端部10aの幅方向に沿って多数配置される場合、幅方向に沿って多くの突出片部40を配置することができ、結果的にFPC10の端部10aの撓み発生防止効果を高めることができる。
【0041】
また、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1は、突出片部40が前端40cに向けて突出片部40の高さ方向の厚みが減少されるように傾斜されてなる傾斜面40aを有してなるので、相手コネクタ100に接触され難くなり、結果的に、端子挿入部30が相手コネクタ100内に挿入され易くなる。
【0042】
(変形例)
次に、
図13および
図14を用いて、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1の変形例について説明する。
図13は、本発明に係る実施例の変形例の平板状可撓性配線コネクタ2を斜め下方から視た斜視図である。
図14は、
図13に示した突出片部40周辺を拡大した図である。
この変形例の平板状可撓性配線コネクタ2は、各突出片部40が二つの端子11毎に配置されている点で実施例の平板状可撓性配線コネクタ1と異なる。なお、その他の構成は実施例と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付している。
【0043】
平板状可撓性配線コネクタ2では、平板状可撓性配線コネクタ1に比して各突出片部40の配置間隔が大きくなるように設定され、各突出片部40が取付面21c側から視てFPC10の端部10aの幅方向に沿って分散配置されてなる。
このため、本発明の実施例に係る平板状可撓性配線コネクタ1と同様に、容易に組み付けることができつつ、接続信頼性が低下することを防ぐことができる。
【0044】
なお、本発明に係る実施例では、平板状可撓性配線として、FPC10を用いるものを例示したが、平板状可撓性配線であればその他のものを用いてもよい。例えば、フレキシブルフラットケーブルを用いてもよい。
【0045】
また、本発明に係る実施例では、FPC10が複数の端子11を有してなるものを例示したが、これに限らない。すなわち、FPCが1以上の端子を有してなるものであればよい。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。