特許第5884229号(P5884229)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5884229タブを押して開口するイージーオープン缶蓋
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5884229
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】タブを押して開口するイージーオープン缶蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/32 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   B65D17/32
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-21738(P2015-21738)
(22)【出願日】2015年2月6日
【審査請求日】2015年8月7日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714009441
【氏名又は名称】辰已 滋
(72)【発明者】
【氏名】辰已 滋
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06026971(US,A)
【文献】 特開2009−249014(JP,A)
【文献】 特開2004−210318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶蓋板表面の略中央部に固定され、上記缶蓋板上で前方と後方に伸延し、前方の端には上記缶蓋板のスコア線に囲われた開口部を押し開けるための蓋押し端があり、後方には開口操作をするための後方端があり、上記缶蓋板の巻締部より内側に位置するよう構成されたタブを備え、上記タブの前方端と後方端の中間部に、力が加わると山形に折れ曲がる折れ曲がり部が設けられているとともに、上記折れ曲がり部から後方端までは、指を挿入して上記タブの後方側を引き上げるための穴がない板で構成されているとともに、上記後方端と、上記缶蓋板の上記後方端と対向する部分との間に、上記後方端を上記缶蓋板方向に押し下げるための隙間が設けられているとともに、上記折れ曲がり部と上記後方端の間に位置し、その位置を支点として上記タブを支持する支持部を有することを特徴とする缶蓋
【請求項2】
上記缶蓋板に設けられた凸部が上記支持部を構成し、上記凸部の頂部で上記タブが支持されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋
【請求項3】
上記タブに下向きに設けられた凸部が上記支持部を構成し、上記凸部の頂部で上記タブが支持されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋
【請求項4】
缶蓋板表面の略中央部に固定され、上記缶蓋板上で前方と後方に伸延し、前方の端には上記缶蓋板のスコア線に囲われた開口部を押し開けるための蓋押し端があり、後方には開口操作をするための後方端があり、上記缶蓋板の巻締部より内側に位置するよう構成されたタブを備え、上記タブの前方端と後方端の中間部に、力が加わると山形に折れ曲がる折れ曲がり部が設けられているとともに、上記後方端と、上記缶蓋板の上記後方端と対向する部分との間に、上記後方端を上記缶蓋板方向に押し下げるための隙間が設けられているとともに、上記折れ曲がり部と上記後方端の間に位置し、その位置を支点として上記タブを支持する支持部を有する缶蓋において、上記タブの上記折れ曲がり部より後方端側から後方端のさらに後方まで達し、上記タブの後方端部が押し下げ可能なくぼみを上記蓋板に形成するとともに、上記くぼみの前方側の端縁が上記支持部を構成し、上記タブの上記端縁より前方側は上記缶蓋板にほぼ隙間なく接するように構成したことを特徴とする缶蓋
【請求項5】
上記タブはあらかじめ上記折れ曲がり部を頂部とする山形に構成され、上記山形の頂部の高さは、上記巻締部の高さにほぼ等しくなるように構成したことを特徴とする請求項1記載の缶蓋
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶等の缶蓋に、開口用として用いられるタブを、高齢者や子供などの腕力が弱い者でも、指先の単純な操作で、容易に開口できるイージーオープン缶蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料缶等で、蓋の材質にアルミニウムが多く利用されるのは、リサイクル率の高さも一因である。さらにリサイクル率を向上させるため、パーシャルオープンエンドと呼ばれる、蓋の一部のみ開口するものがある。その中でもステイオンタブ式は、開口しても分離する箇所がないので、回収率が高いから、ビール缶やジュース缶など多くの飲料缶等の飲み口の、封止部開口方法に利用されている。
【0003】
しかし、近年では高齢社会化しているので、相対的に腕力が低下している。また少年も文明の発展で自動化された機械が多く、体力が低下している。運動公園も多くないし、携帯電子情報端末を遊具にして遊ぶ機会が多く、筋力を利用して遊ばなくなり、結果体の細部にわたり筋力が低下している。もちろん指先も同様に筋力の低下がみられる。
【0004】
また、美容上で爪を長くしたり付け爪をしたりすると、パーシャルオープンエンド式のタブを、指先でつまみ上げることが、困難であった。
【0005】
前記した体力低下や美容上の対策として、容易にタブを持ち上げる機構や道具が、多数特許公報で開示されている。開示された特許で、代表的な内容を次に示す。
【0006】
特許文献1には、タブの下に挿入する舌片があり、連接された側では把持部を備え、その一部分に、瓶の王冠を取り除くための栓抜きも有する缶開け器である旨を、開示されている。前記の舌片と把持部を梃子として利用するので、タブ付き飲み物用缶の蓋を衛生的に開けることができ、しかも、子供や老人、或は爪を長くした者にも、小さな力の操作で、安全にタブを持ち上げて、缶蓋板を開口することができる。
【0007】
特許文献2には、タブの中央部に、狭巾で直線帯状の折り曲げ部が、片端部から反対側の片端部まで設けられていて、缶蓋板の略中央にある固着部(止め金)で固定され、スコア線で開口範囲が指定された開口部を、押し下げる側の反対側にある引上げ部と、該引上げ部から延伸し、穿設された指穴が該延伸部の中央に配設された起こし部との間にある旨を、開示されている。機構は、前記折り曲げ部を支点にして、起こし部を起こし、指でつかみやすくしてからタブ全体を引き上げるので、指の力が大きく伝わり、缶蓋板を容易に開口することができる。
【0008】
特許文献3には、従来型で不分離型のタブ(第二の梃子)の端末(連結部)に、把手(第一の梃子)を取り付けて連結させ、二つの連結した梃子として用いる旨を、開示されている。操作は、缶蓋板に張り付いた把手を起こし上げ、端末を軸に旋回させ、巻締部の頂部を超え、外にはみ出した把手(第一の梃子)を、さらに押し下げることで、巻締部の頂部を支点にしてタブの端末が上昇し、止め金を支点にして蓋押し端が缶蓋板を押し下げて、開口する。前記方式で、把手が既に巻締部の外にあれば、指の筋力弱者や爪の長い者でも、安全で簡単に開缶できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−198389号公報
【特許文献2】実用新案登録第3141079号公報
【特許文献3】特開平8−119276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、缶開け器についての説明であって、利用したい缶とは別に該缶開け器を調達する必要がある。屋外で開缶する場合は、前記缶開け器を毎回持参する煩わしさがあり、また、使用されない期間の保守管理も必要である。
【0011】
特許文献2では、タブの中央部にある折り曲げ部を支点にして、起こし部の指穴を利用して引き起こすことになるが、該引き起こし部は、開口用タブに張り付いているので、起こし部へ指を挿入する必要がある。結局は、指先の操作自体に前記の筋力や美容上の問題で難しさがある。
【0012】
特許文献3では、第1の梃子と第二の梃子とが連動することで、タブの開口用先端が作用点となって、蓋部を押し下げる機構である。しかしながら、この機構も特許文献2と同様に、初期操作は蓋面に張り付いている第一の梃子を、指先の力で引き上げる必要がある。よって、特許文献2と同様に、老人や子供、さらに女性等の体力弱者が開缶するには難しさがある。また、第一梃子と第二梃子との連結部が回転軸になっているため、構成部品が多種となり、組み立ても煩雑になるので、コストが増加する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の問題は、体力弱者や爪に加工装飾したことにより、指先でタブを引き起こす行為ができないことである。
【0014】
また、大幅なコスト増しにならない構造であり、屋外等で利用するための利便性から、開口する道具は缶と一体でなければならない。
【0015】
前記の課題を解決するため、本発明は開缶の初期操作が、缶蓋板に止め金で固定されているタブを、指先で引き起こす必要がない構成を採用した。
【0016】
該構成は、前記の特許文献2及び3で示した、タブの梃子による力点を、指先で引き上げる力ではなく、押し下げる力で、支点や折れ曲り部、そして該タブを缶蓋板に固定する止め金端の旋回中心が連動した結果、該タブの作用点が、缶蓋板の開口部を押し下げて開口する機構を採用した。
【0017】
前記の構成について詳しく説明する。タブは缶蓋板の略中央に止め金で固定され、該止め金から前後に延伸する。前記タブの前方端が缶蓋板の一部を押し下げる作用点になる蓋押し端と、該前方端の反対側が後方端と、止め金と後方端との間に折れ曲り部がある。缶蓋板側には、蓋押し端に押されて、スコア線で囲われた開口部を破断し、開口するようになっている。前記タブの止め金から缶蓋板と缶体との環状巻き締め部との間で、缶蓋板側にタブの幅とほぼ同等の幅で山状に突起する頂部(支点)がある。該缶蓋板側にある支点の位置は、前記タブの折れ曲り部から該タブの後方端までの間に位置する。
【0018】
前記タブの作用は、梃子の原理である。該タブの後方端付近を指で押し下げると、支点で自由な状態の支持をされているので、折れ曲り部が頂部となって上昇すると同時に、止め金端を旋回中心にして蓋押し端が缶蓋板を押し下げ、スコア線の破断部が切れて開口する。
【0019】
前記の構成では部品の増加はない。また、開口操作が完了してもタブは缶蓋板にとどまるので、リサイクル率は、ステイオンタブ方式の缶蓋と同様に維持できる。よって、前記の諸問題が一挙解決することになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、老人や子供や女性等の体力的弱者と、開口しようとする指の爪に美容上の問題があっても、缶蓋が容易に開口できるイージーオープン缶蓋の飲料缶等への利用である。
【0021】
タブの後方端を下に向かって押し込むと同時に、蓋押し端へ下向きの力が掛り、缶蓋板の一部を押し下げて開口できる。よって、ビール、ジュース、コーヒーや健康食品、医療関係薬剤等多くの封止缶の開口に利用でき、誰でもが簡単に開口できる大きな利点がある。また、タブや開口部も非分離型なので、全て回収できる。
【0022】
構成部品の要素は増加していないので、コストにほぼ影響しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の缶蓋を示す(A)平面図と、(B)II−II線に沿った断面図である。
図2図1の(B)II−II線に沿った断面図から、作用後の形態を示す。
図3】実施形態の缶蓋を示す(C)平面図と、(D)III−III線に沿った断面図である。
図4図3の(D)III−III線に沿った断面図から、作用後の形態を示す。
図5】実施形態の缶蓋を示す(E)平面図と、(F)IV−IV線に沿った断面図である。
図6図5の(F)IV−IV線に沿った断面図から、作用後の形態を示す。
図7】実施形態の缶蓋を示す(G)平面図と、(H)V−V線に沿った断面図である。
図8図7の(H)V−V線に沿った断面図から、作用後の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を、図1から図8をもって実施例1から実施例6で、詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施形態を、図1図2をもって構成の説明をする。
【0026】
缶蓋板1の略中央に、止め金2で固定され前後に延伸するタブ3がある。缶蓋板1の巻締部4に最も近いタブ3の後方端近傍に、指で押し下げる位置の目標として滑り止め穴3aがある。後方端から止め金2との間で、積極的に折れ曲るように、一部分の厚みを、タブ3の全幅にわたり均等に薄くした、応力集中する折れ曲り部3bがある。前記タブ3の片方に後方端と、反対側の前方端に蓋押し端3cがある。缶蓋板1にはタブ3の後方端から折れ曲り部3bの間を、缶蓋板1とタブ3を略平行に支える支点5が、缶蓋板1から山状に突起している頂部にある。前記支点5の幅は、タブの幅以内にあればよいが、複数で幅方向に整列した円錐状等としてもよい。缶蓋板1には開口範囲を規定した、破断用のスコア線6が切られている。
【0027】
次に、タブ3が、缶蓋板1の開口部7を、開口させる機構の説明である。
【0028】
タブ3の滑り止め穴3a辺りを、支点5の高さから低い位置へ押し下げると、タブ3の長手寸法側で、支点5から後方にある部分は、支点5の頂部で自由状態の支持をされているので、支点5の頂部周辺を前方に向かって滑り、折れ曲り部3bが山形の頂部となって上昇する。タブ3の前方端は、止め金2で固定されている旋回中心3dからの半径で円周上を旋回する。タブ3の前方端と後方端とのほぼ中間にあり、応力集中で折れ曲りを容易にした谷状溝の折れ曲り部3bで、徐々に山形に変形しながら上昇すると、折れ曲り部3bがさらに尖った山形の頂部へと押し上げられ、止め金2で固定されたタブ3の固定端で旋回中心3dを基点に旋回し、蓋押し端3cは缶蓋板1に開口用スコア線6が破断部範囲として切られている部分を、押し下げることで開口する。さらに、後方端付近を指で前方端側へ押し進めると、支点5をタブ3がせり上がり、折れ曲り部6の頂部がさらに上昇し、前方端側へ移動するので、旋回中心3dを基点に蓋押し端3cが旋回を進め、開口部7を大きく押し広げて、開口をさらに広げると、図2に示す形態となる。
【実施例2】
【0029】
タブ23の全体が、缶蓋板21にほぼ密着する場合の構成を、図3図4をもって説明する。
【0030】
タブ23の後方端部が、押し下げできるくぼみ部30を、缶蓋板21に設けた。前記くぼみ部30の外周で、止め金22側にあるくぼみを形成する壁の上端部が、支点25になる。
【0031】
前記の構成によるタブ23が、缶蓋板21のスコア線26を破断して開口させる機構について、次に示す。
【0032】
タブ23の滑り止め穴23a辺りを指で押さえ、支点25の高さから低い位置まで押し下げると、支点25の支持で折れ曲り部23bが山形に押し上げ始める。同時に、止め金22で固定されたタブ23の旋回中心23dを基点に旋回し、蓋押し端23cは、缶蓋板21に開口用スコア線26が破断部範囲として切られている開口部27を押し下げることで、開口する。
【実施例3】
【0033】
図5図6は、タブ43側に支点45を設けた構成について、説明する。
【0034】
図2において、支点5は缶蓋板1側から突起しているが、図5(F)では、タブ43の裏面から缶蓋板41に向かって突起している。この支点45は缶蓋板41と接触しているが、接着や接合はしていない。
【0035】
前記の構成による缶蓋板が開口するまでの機構について、次に示す。
【0036】
タブ43の滑り止め穴43a辺りを指で押し下げ始めると、同時に、梃子の原理で支点45を介して折り曲げ部43bが上昇し始め、支点45は缶蓋板41上を前方に移動しながら折れ曲り部43bがさらに上昇するので、タブ43の前方端は、止め金42で固定されている旋回中心43dからの半径で円周上を旋回し、蓋押し端43cは缶蓋板41の開口部47を押え、開口用スコア線46を押し切って開口する。さらにタブ43の滑り止め穴43a辺りを押し下げながら前方へ押し進むと、支点45は缶蓋板41から離れて、折れ曲り部43bの上昇は頂点近くになり、蓋押し端43cは旋回が進み、開口部47をさらに大きく広げることになる。
【実施例4】
【0037】
図7図8の構成は、タブ63を初期状態から折れ曲り部63bを頂部として、傾斜の緩い山形に折り曲げておく方法である。
【0038】
タブ63は、止め金62で缶蓋板61に固定されていて、タブ63の後方端は折れ曲り部63bより低い位置にあり、タブ63の裏面に、缶蓋板61に向かって突起する支点65は、缶蓋板61と接触しているが、接着や接合はしていない。
【0039】
前記の構成による缶蓋が開口するまでの機構を、次に説明する。
【0040】
タブ63の前方端と後方端の間にある折り曲げ部63bを、傾斜の緩い山形に折り曲げられていることによって、開口作業の初期押し下げ動作が不要になる。よって、初期操作は、指先で滑り止め穴63a辺りを、下向きからすぐ前方へ缶蓋板61に略平行の力を加えると、折り曲げ部63bを頂部とした緩やかな山形から尖った山形に移行し、前記同様タブ63の前方端は、止め金62で固定されている旋回中心63dからの半径で円周上を旋回し、蓋押し端63cは缶蓋板61の開口部67を押さえ、開口用スコア線66を押し切って開口する。さらに、タブ63の後方端部を前方に押し進むと、蓋押し端63cは旋回が進み、開口部をさらに大きく広げることになる。
【0041】
前記支点65は無くてもよいが、あれば支点としての使い方以外に、折り曲げ部63b辺りが、製造過程や搬送時などの取り扱いで、押し下げられないように、変形防止用として、缶蓋板61との間隔維持に配設してもよい。
【実施例5】
【0042】
構成は、図1(B)と図5(F)で示したタブ3、43の前方端にある蓋押し端3c、43cを初期の形態から缶蓋板1、41に接触に近い位置まで近づけた場合を次に示す。
【0043】
缶蓋板が開口する機構は、タブ3、43の蓋押し端3c、43cを缶蓋板1、41に近づけておくことで、後方端部の滑り止め穴3a、43a辺りを指先で押し下げ始めると、ほぼ同時に蓋押し端3c、43cが缶蓋板1、41のスコア線6,46に囲われた開口部7、47を押し下げ始めることになり、蓋押し端3c、43cの旋回範囲は図2と同じ角度だから、蓋押し端は缶蓋板に近い位置から開口を始めるから、到達点は図2図6に示す開口完了点よりも奥まで進むことができる。
【実施例6】
【0044】
共通事項として、タブの折れ曲り部3b、23b、43b、63bは、表面側でも裏面側でも厚みの中央部でも、容易に折れ曲がる厚みであればよいが、表面側にあると、裏面側にあるより応力集中するので、折り曲げがより容易である。さらに、折れ曲り部の幅も、タブの全幅より狭くすると、曲げ易さに対して効果的である。そして、一層折り曲げ易くするには、折り曲げ部の材質を、樹脂、ゴムもしくは延性に富む金属等に置き換え、材質の適合性に応じて接着か接合させるとよい。又は、該タブの折れ曲り部を、ヒンジにすることもできる。
【0045】
タブを押す指の滑り止め穴3a、23a、43a、63aは無くてもよいが、指で押す表面に、洗濯板状の複数の凹凸等を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、イージーオープン缶蓋に関するものである。
【符号の説明】
【0047】
1、21、41、61 缶蓋板
2、22、42、62 止め金
3、23、43、63 タブ
3a、23a、43a、63a 滑り止め穴
3b、23b、43b、63b 折れ曲り部
3c、23c、43c、63c 蓋押し端
3d、23d、43d、43d 旋回中心
4、24、44、64 巻締部
5、25、45、65 支点
6、26、46、66 スコア線
7、27、47、67 開口部
30 くぼみ部
100 缶体
【要約】
【課題】缶蓋の開口操作を容易にする。
【解決手段】缶蓋板1の略中央に、止め金2で固定され前後に延伸するタブ3がある。缶蓋板1の巻締部4に最も近いタブ3の後方端近傍に、指で押し下げる位置の目標として滑り止め穴3aがある。後方端から止め金2との間で、積極的に折れ曲るように、一部分の厚みを、タブ3の全幅にわたり均等に薄くした、応力集中する折れ曲り部3bがある。前記タブ3の片方に後方端と、反対側の前方端に蓋押し端3cがある。缶蓋板1にはタブ3の後方端から折れ曲り部3bの間を、缶蓋板1とタブ3を略平行に支える支点5が、缶蓋板1から山状に突起している頂部にある。前記支点5の幅は、タブの幅以内にあればよい。缶蓋板1には開口範囲を規定した、破断用のスコア線6が切られている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8