(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0018】
[タイヤ状態監視システム]
図1は、この発明の実施の形態にかかるタイヤ状態監視システムを示す構成図である。
図2は、
図1に記載したタイヤ状態監視システムのタイヤ状態取得装置を示すブロック図である。
図3は、
図1に記載したタイヤ状態監視システムの監視装置を示すブロック図である。
【0019】
このタイヤ状態監視システム10は、空気入りタイヤ110のタイヤ状態量を監視するシステムである。タイヤ状態量とは、例えば、タイヤの空気圧や温度などをいう。ここでは、タイヤ状態監視システム10の一例として、車両に装着された空気入りタイヤ110の充填空気圧を監視するTPMS(Tire Pressure Monitoring System)について説明する。なお、この実施の形態では、車両100が四輪車両であり、各車輪に空気入りタイヤ110がそれぞれ装着されている。
【0020】
このタイヤ状態監視システム10は、タイヤ状態取得装置20と、監視装置30とを備える(
図1〜
図3参照)。
【0021】
タイヤ状態取得装置20は、空気入りタイヤ110のタイヤ状態量を取得あるいは検出する装置である(
図1参照)。このタイヤ状態取得装置20は、センサユニット21と、処理ユニット22と、送信機23と、アンテナ24と、電源部25とを有する(
図2参照)。センサユニット21は、タイヤの空気圧を検出して出力する空気圧センサ211と、空気圧センサ211の出力信号をアナログ/デジタル変換して出力するA/D変換器212とを有する。処理ユニット22は、例えば、所定のプログラムを格納する記憶部221と、所定のプログラムを記憶部221から読み込んで実行することにより空気圧センサ211からの出力信号に基づいて所定の空気圧データを生成して出力する中央処理部222とを有する。送信機23は、搬送波信号を生成して出力する発振回路231と、中央処理部222からの出力信号に基づいて発振回路231からの搬送波信号を変調して出力する変調回路232と、変調回路232からの出力信号を増幅して出力する増幅回路233とを有する。アンテナ24は、送信機23の増幅回路233に接続される。電源部25は、例えば、二次バッテリであり、タイヤ状態取得装置20に電力を供給する。
【0022】
監視装置30は、タイヤ状態取得装置20にて取得されたタイヤ状態量を監視して、所定の処理を行う装置である(
図1参照)。この監視装置30は、受信部31と、アンテナ32と、受信バッファ33と、記憶部34と、中央処理部35と、操作部361およびスイッチ362と、表示制御部37と、表示部38と、電源部39とを有する(
図3参照)。受信部31は、タイヤ状態取得装置20から空気圧データ(タイヤ状態量)に関する信号をアンテナ32を介して受信し、空気圧データおよび識別情報データを取り出して出力する。アンテナ32は、受信部31に接続される。受信バッファ33は、受信部31からの空気圧データおよび識別情報データを一時的に格納する。記憶部34は、所定のプログラム、タイヤ状態取得装置20との通信方式テーブルなどを格納する。中央処理部35は、所定のプログラムを記憶部34から読み込んで実行することにより、受信バッファ33からの空気圧データおよび識別情報データに基づいて所定の処理を行う。この処理には、例えば、タイヤの空気圧の異常を判定する処理、判定結果を生成する処理、判定結果を表示部38に表示させる処理などが含まれる。操作部361は、各種情報を監視装置30に入力するための入力部である。スイッチ362は、監視装置30を起動させるためのON/OFFスイッチである。表示制御部37は、中央処理部35からの出力信号に基づいて表示部38の表示内容を制御する。表示部38は、例えば、車両100の運転席に配置されて、所定の表示内容を表示する。電源部39は、例えば、車両100のバッテリであり、監視装置30に電力を供給する。
【0023】
このタイヤ状態監視システム10では、4つのタイヤ状態取得装置20が、車両100の四輪に装着された空気入りタイヤ110にそれぞれ設置される(
図1参照)。そして、各タイヤ状態取得装置20が、空気入りタイヤ110の空気圧をタイヤ状態量としてそれぞれ検出する。具体的には、センサユニット21がタイヤの空気圧を検出し、この検出信号に基づいて処理ユニット22が空気圧データを生成し、この空気圧データに基づいて送信機23が送信信号を生成してアンテナ24を介して監視装置30に送信する。これにより、空気入りタイヤ110の空気圧がそれぞれ取得される。
【0024】
また、監視装置30が、タイヤ状態取得装置20から取得したタイヤ状態量に基づいて異常判定を行い、判定結果を表示してドライバーに報知する。具体的には、中央処理部35が、タイヤ状態取得装置20から取得した空気圧データに基づいて異常判定を行う。このとき、タイヤの空気圧が所定の閾値以下であること、あるいは、タイヤの空気圧が短時間で急降下したことなどが判定条件として用いられる。そして、中央処理部35が、この判定結果に基づいてタイヤの空気圧に関する情報を表示部38に表示させる。このとき、タイヤの空気圧やパンク発生の有無などの情報がタイヤの装着位置に対応して表示される。これにより、タイヤ状態量が適切に監視されて、ドライバーへの報知が行われる。
【0025】
[タイヤ状態取得装置の具体例]
図4は、
図2に記載したタイヤ状態取得装置の設置状態を示す説明図である。
図5は、
図2に記載したタイヤ状態取得装置の外観構成を示す斜視図である。
図6は、
図5に記載したタイヤ状態取得装置を示すA−A視断面図である。これらの図は、タイヤ状態取得装置の具体例を示している。
【0026】
この実施の形態では、空気入りタイヤ110が、車両用空気入りラジアルタイヤであり、リム120に装着される(
図4参照)。そして、タイヤ状態取得装置20が、タイヤ110の空洞部Xに収容されて配置される。この空洞部Xは、タイヤ110の内周面とリム120の外周面とに区画された密閉空間である。この空洞部Xに空気が充填されることにより、タイヤ110に内圧が付与される。
【0027】
また、タイヤ状態取得装置20が、矩形状の筐体26を有し、この筐体26内に、センサユニット21、処理ユニット22、送信機23、アンテナ24および電源部25を収容して構成される(
図5および
図6参照)。また、タイヤ状態取得装置20が、タイヤバルブ130の挿入側端部に取り付けられて、タイヤバルブ130に一体化される。そして、タイヤ状態取得装置20が、タイヤバルブ130と共にタイヤの空洞部Xに挿入されて、リム120の外周面上に固定される(
図4参照)。
【0028】
また、タイヤ状態取得装置20が、筐体26に連通孔Rを有する(
図5および
図6参照)。この連通孔Rは、筐体26の内部と外部(タイヤの空洞部X)とを連通させる孔であり、ここでは、タイヤの空気圧、温度などのタイヤ状態量を検出するために用いられる。また、連通孔Rが、矩形状を有する筐体26の上面に形成されている。また、筐体26は、連通孔Rを開閉する弁構造を有する。この連通孔Rの弁構造については、後述する。
【0029】
なお、この実施の形態では、タイヤ状態取得装置20の筐体26に、タイヤの充填空気圧を検出する空気圧センサ211が収容されている(
図6参照)。しかし、これに限らず、他のタイヤ状態量を検出するセンサ、例えば、温度センサが筐体26に収容されても良い。また、筐体26には、センサユニット21、処理ユニット22、送信機23などを構成する電子部品や回路基板が露出した状態で収容され得る。
【0030】
また、タイヤ状態取得装置20は、例えば、以下の構造を有する空気入りタイヤ110に適用される(図示省略)。すなわち、空気入りタイヤ110が、ビードコアと、カーカス層と、ベルト層と、トレッドゴムと、サイドウォールゴムとを備える。また、ビードコアが、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。また、カーカス層が、左右のビードコア間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、ベルト層が、積層された複数のベルトプライから成り、カーカス層のタイヤ径方向外周に配置される。また、トレッドゴムが、カーカス層およびベルト層のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。また、サイドウォールゴムが、左右一対を一組として構成され、カーカス層のタイヤ幅方向外側に配置されてタイヤのサイドウォール部を構成する。
【0031】
[タイヤ状態取得装置の連通孔の開閉構造]
図7は、
図5に記載したタイヤ状態取得装置の連通孔の開閉構造を示す平面図である。
図8は、
図7に記載した連通孔の開閉構造を示すB−B視断面図である。
図9は、
図7に記載した連通孔の開閉構造の作用を示す説明図である。
【0032】
一般的なタイヤ状態取得装置は、空気入りタイヤの空洞部に配置されてタイヤ状態量を取得している。また、タイヤ状態を取得するためのセンサや回路基板などの電子部品を収容する筐体を備えている。また、この筐体が、筐体の内部とタイヤの空洞部とを連通させる連通孔を有している。そして、この連通孔を介して、筐体内のセンサがタイヤ状態量を取得している。
【0033】
しかしながら、パンク修理液やタイヤの剥離片などの異物が筐体の連通孔に侵入すると、これに起因して種々の課題が生じ得る。例えば、異物が連通孔を塞いでタイヤ状態量の検出が不能となる課題、異物が筐体の内部まで侵入してセンサや回路が破損する課題などが生じ得る。
【0034】
そこで、このタイヤ状態取得装置20は、連通孔Rへの異物の侵入に起因する課題を解決するために、以下の構成を採用している(
図7〜
図9参照)。
【0035】
タイヤ状態取得装置20は、筐体26の連通孔Rを開閉する弁体27を備える(
図7および
図8参照)。この弁体27は、可撓性部材から成り、空気入りタイヤ110の静止時(無負荷状態)にて閉弁して連通孔Rを塞ぎ、空気入りタイヤ110の回転時にて遠心力により撓んで開弁する(
図8および
図9参照)。
【0036】
例えば、この実施の形態では、筐体26が円形の開口部261を壁面に有し、この開口部261が筐体26の内部と外部とを連通させるための連通孔Rとなる(
図7および
図8参照)。また、弁体27が可撓性を有するシート状部材から成る。具体的には、弁体27が、プラスチック製シートから成り、0.02[mm]以上0.5[mm]以下の厚さtを有する。また、矩形状を有する4枚の弁体27が、その隅部を四方から相互に突き合わせて連通孔Rの開口部を覆って配置される。また、初期状態では、弁体27が閉弁状態にあり、連通孔Rが塞がれて封止される(
図8参照)。また、弁体27は、筐体26の外側壁面に貼り付けられて固定される。このとき、弁体27は、その一部にて筐体26に貼り付けられ、連通孔Rを塞ぐ部分が自由端となるように片持ち状態で固定される。このため、弁体27は、連通孔R側の端部が筐体26の内側から外側に向かって撓むことにより、捲れあがって開弁する(
図9参照)。なお、弁体27は、接着剤を用いて筐体26に貼り付けられても良いし、係止片やピンなどを用いて筐体26に貼り付けられても良い。また、筐体26が直径0.8[mm]の開口部261を有する。また、弁体27の連通孔R側の端部が0.6[mm]以上20[mm]以下の幅wの領域で自由端となるように、弁体27が筐体26に貼り付けられる。このとき、弁体27の連通孔R側の端部が、弁体27の厚さtに対してt×20[mm]以上t×40[mm]以下となる幅wの領域で自由端となることが好ましい。例えば、t=0.1[mm]であれば、弁体27の連通孔R側の端部が、2.0[mm]以上4.0[mm]以下の幅wの領域で自由端となるように構成される。ただし、弁体27の端部は、連通孔Rの内側領域にて自由端となることを要する。なお、
図7の一点鎖線は、弁体27の自由端となる領域と筐体26に対する貼りしろ領域との境界線を示している。また、タイヤ状態取得装置20の設置状態(
図4参照)にて、筐体26が弁体27の設置面をタイヤ径方向外側に向けて配置される。
【0037】
このタイヤ状態取得装置20では、車両100の停止時あるいは徐行運転時(空気入りタイヤ110の静止時)に、弁体27が閉弁して連通孔Rを塞ぐ(
図8参照)。そして、弁体27が連通孔Rを封止することにより、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される。例えば、パンク修理液が空気入りタイヤ110の空洞部Xに注入されている状態であっても、弁体27が連通孔Rを封止しているので、修理液が筐体26内に侵入しない。
【0038】
一方、車両100の高速走行時(空気入りタイヤ110の回転時)には、弁体27が遠心力により撓んで開弁する(
図9参照)。これにより、筐体26の内部と空気入りタイヤ110の空洞部Xとが連通して、空気圧の計測が可能となる。このとき、空洞部Xにある異物が遠心力によりタイヤ内周面に付勢し、また、筐体26がリム120の外周面上に設置されているので、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される。
【0039】
また、車両100の停止時あるいは徐行運転時であっても、空気入りタイヤ110のパンク等により急激なエア漏れが発生した場合には、空洞部Xの気圧低下(空洞部Xと筐体26の内圧との圧力差)により、弁体27が撓んで開弁する。これにより、連通孔Rが開口して、急激なエア漏れの発生を検知できる。
【0040】
なお、上記の構成では、車速20[km/h]以下にて弁体27が閉弁して連通孔Rへの異物の侵入を抑制し、車速40[km/h]以上になると空気圧の計測が可能な程度に弁体27が開弁するように、弁体27の材質、寸法、貼り付け領域などが規定されることが好ましい。これにより、空気圧測定機能と異物の侵入抑制機能とを適正に両立できる。
【0041】
[変形例1]
図10〜
図14は、
図7に記載した連通孔の開閉構造の変形例を示す説明図である。これらの図において、
図10〜
図13は、連通孔Rを軸方向から見た筐体26の平面図を示している。また、
図14は、
図13におけるC−C視断面図を示している。
【0042】
図7の実施の形態では、矩形状かつシート状の4枚の弁体27が、隅部を四方から相互に突き合わせて配置されて連通孔Rを塞いでいる。
【0043】
しかし、これに限らず、2枚の弁体27が対向して配置されて、連通孔Rを塞いでも良い(
図10〜
図12参照)。このとき、弁体27が、矩形(
図10参照)、三角形(
図11参照)、半円形(
図12参照)などの任意の形状を有し得る。また、これらに限らず、単一の弁体27が連通孔Rを塞いで配置されても良い(
図13および
図14参照)。なお、
図10〜
図13において、一点鎖線は、弁体27の自由端となる領域と筐体26に対する貼りしろ領域との境界線を示している。また、これらの弁体27は、いずれも連通孔R側に撓み可能な自由端を有しつつ筐体26に貼り付けられて配置される。
【0044】
[変形例2]
図15〜
図18は、
図7に記載した連通孔の開閉構造の変形例を示す説明図である。これらの図において、
図15は、筐体26の平面図を示している。また、
図16は、
図15におけるD−D視断面図を示している。また、
図17は、
図15に記載した連通孔の開閉構造の作用を示している。
【0045】
また、
図7の実施の形態では、弁体27がシート状部材から成り、筐体26に貼り付けられて連通孔Rを塞いでいる。
【0046】
しかし、これに限らず、弁体27が筐体26の一部を切り欠いて形成されても良い(
図15〜
図17参照)。例えば、この変形例では、筐体26の平面視にて、筐体26の壁部がU字状となる切欠部(スリット)262を有し、この切欠部262により板状の弁体27が区画されている。また、筐体26のD−D視断面では、弁体27の長手方向の端面が弁体27の長手方向に対して傾斜角θを有している。筐体26が切欠部262に傾斜面を有している。そして、この弁体27の端面と筐体26の傾斜面とが所定の傾斜角θにて係合している。また、筐体26が可撓性材料から成ることにより、切り欠かれた弁体27が可撓性を有している。また、弁体27と筐体26との係合面の傾斜角θが20[deg]以上70[deg]以下の範囲にある。また、弁体27の板厚t’が0.02[mm]以上0.5[mm]以下の範囲内にあり、弁体27の長手方向の幅w’が0.2[mm]以上0.6[mm]以下の範囲内にある。
【0047】
上記の構成では、車両100の停止時あるいは徐行運転時(空気入りタイヤ110の静止時)に、弁体27が閉弁して連通孔Rを塞ぐ(
図16参照)。具体的には、弁体27の端面と筐体26の傾斜面とが係合することにより、連通孔Rが塞がれて封止される。これにより、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される。
【0048】
一方、車両100の高速走行時(空気入りタイヤ110の回転時)には、弁体27が遠心力により撓んで開弁する(
図17参照)。具体的には、弁体27が遠心力により撓むと、弁体27の端面と筐体26の傾斜面とが分離して切欠部262が開口する。これにより、筐体26の内部と空気入りタイヤ110の空洞部Xとが連通して、空気圧の計測が可能となる。このとき、空洞部Xにある異物が遠心力によりタイヤ内周面に付勢し、また、筐体26がリム120の外周面上に設置されているので、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される。
【0049】
なお、上記の構成では、弁体27が筐体26の一部を切り欠いて形成されるため、弁体27と筐体26とが同一材料から構成されている。しかし、これに限らず、筐体26が二色成形部材から成ることにより、筐体26のうち弁体27となる部分が可撓性材料から構成されても良い。また、これらに限らず、弁体27と筐体26とが別部材から構成されても良い(図示省略)。例えば、可撓性材料から成る板状の弁体27が筐体26の切欠部262に嵌め込まれて設置されても良い。
【0050】
また、上記の構成では、車速20[km/h]以下にて弁体27が閉弁して連通孔Rへの異物の侵入を抑制し、車速40[km/h]以上になると空気圧の計測が可能な程度に弁体27が開弁するように、筐体26における弁体27部分の材質、寸法などが規定されることが好ましい。これにより、空気圧測定機能と異物の侵入抑制機能とを両立できる。
【0051】
また、上記の構成では、弁体27が慣性用の錘部28を有することより、タイヤ回転時における弁体27の開弁感度が調整されても良い(
図18参照)。この錘部28は、弁体27の重量よりも計量であることが好ましい。
【0052】
[効果]
以上説明したように、このタイヤ状態取得装置20は、空気入りタイヤ110の空洞部Xに配置されてタイヤ状態量を取得する(
図4参照)。また、タイヤ状態取得装置20は、その内部と外部とを連通させる連通孔Rを有する筐体26と、この連通孔Rを開閉する弁体27とを備える(
図7および
図8参照)。また、弁体27が、可撓性部材から成り、空気入りタイヤ110の静止時にて閉弁して連通孔Rを塞ぐと共に、空気入りタイヤ110の回転時にて遠心力により撓んで開弁する。
【0053】
かかる構成では、空気入りタイヤ110の静止時には、弁体27が閉弁して連通孔Rを塞ぐことにより、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される利点がある(
図8参照)。一方、空気入りタイヤ110の回転時には、弁体27が遠心力により撓んで開弁する(
図9参照)。これにより、筐体26の内部と空気入りタイヤ110の空洞部Xとが連通して、タイヤ状態量の計測が可能となる。このとき、空洞部Xにある異物が遠心力によりタイヤ内周面に付勢するので、連通孔Rから筐体26内への異物の侵入が抑制される利点がある。
【0054】
また、かかる構成では、弁体27が可撓性部材から成り、無負荷状態にて連通孔Rを塞ぐと共にタイヤ回転時の遠心力により開弁する構成なので、例えば、弁体が機械式の開閉構造を有する構成(特許文献1参照)と比較して、連通孔Rの開閉構造を簡素化できる利点がある。
【0055】
また、このタイヤ状態取得装置20では、弁体27が筐体26に貼り付けられたシート状部材から成るので、連通孔Rの開閉構造を簡素化できる利点がある。
【0056】
また、このタイヤ状態取得装置20では、弁体27が0.02[mm]以上0.5[mm]以下の厚さtを有するプラスチック製シートから成るので、可撓性を有する弁体27を用いた連通孔Rの開閉構造を簡易に実現できる利点がある。
【0057】
また、このタイヤ状態取得装置20では、弁体27が筐体26の一部を切り欠いて形成される(
図15および
図16参照)。これにより、弁体27と筐体26とを一体成形できる利点がある。
【0058】
また、このタイヤ状態取得装置20では、弁体27と筐体26との係合面(連通孔Rとなる切欠部262の係合面)が弁体27の長手方向に対して20[deg]以上70[deg]以下の傾斜角θを有する(
図16参照)。これにより、弁体27に遠心力が作用したときに、弁体27と筐体26との係合面が適正に分離して連通孔Rが開通する利点がある。
【0059】
また、このタイヤ状態取得装置20では、弁体27が慣性用の錘部28を有する(
図18参照)。これにより、タイヤ回転時における弁体27の開弁感度を調整できる利点がある。
【0060】
また、このタイヤ状態取得装置20は、弁体27の撓み方向を空気入りタイヤ110の径方向外側に向けて空洞部Xに配置される(
図4参照)。これにより、タイヤ回転時の遠心力により弁体27が開弁して、弁体27の開閉機能が適正に確保される利点がある。