(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884295
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】フレーム付車両のボデー構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/02 20060101AFI20160301BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20160301BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
B62D25/02 A
B62D25/06 A
B62D25/20 G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-112902(P2011-112902)
(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公開番号】特開2012-240558(P2012-240558A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】石神 健夫
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−263178(JP,A)
【文献】
特表平09−509632(JP,A)
【文献】
実開昭60−157374(JP,U)
【文献】
特開2010−125870(JP,A)
【文献】
特開昭63−232083(JP,A)
【文献】
特開平08−002437(JP,A)
【文献】
特開2006−256395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/02
B62D 25/06
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びる左右一対のサイドメンバと、これらサイドメンバ間に掛け渡して配設される複数のクロスメンバとから構成される車両のラダーフレームと、
車幅方向に間隔を隔てて配設され、ボデーの側部を構成する一対のボデーサイドモジュールと、前記一対のボデーサイドモジュールの間に配設され、前記ボデーの客室を構成するフロントフロアモジュールと、前記フロントフロアモジュールの後部に結合され、前記ボデーの荷台を構成するリヤフロアモジュールと、前記一対のボデーサイドモジュールに設けられたフェンダーとを備えたボデーとからなり、
前記ボデーが、前記ラダーフレーム上に配設されるフレーム付車両のボデー構造であって、
前記ボデーサイドモジュールは、車両前後方向に延びるボデーサイドインナパネルと、前記ボデーサイドインナパネルの車幅方向外側に空間を設けて配設され且つ前記ボデーサイドインナパネルとの間で閉断面を区画形成するボデーサイドアウタパネルとから構成されたボデーサイド骨格部材を有し、
前記フロントフロアモジュールは、車両前後方向に延びるフロントフロアインナパネルと、前記フロントフロアインナパネルの車両下方向に空間を設けて配設され且つ前記フロントフロアインナパネルとの間で閉断面を区画形成するフロントフロアアウタパネルとから構成されたフロントフロア骨格部材を有し、
前記リヤフロアモジュールは、車両前後方向に延びるリヤフロアインナパネルと、前記リヤフロアインナパネルの車両下方向に空間を設けて配設され且つ前記リヤフロアインナパネルとの間で閉断面を区画形成するリヤフロアアウタパネルとから構成されたリヤフロア骨格部材を有し、
前記一対のボデーサイド骨格部材が、前記フロントフロア骨格部材及び前記リヤフロア骨格部材で結合され、
前記フロントフロアインナパネルは、前端から後方へ水平に延びるカウルパネル部分と、前記カウルパネル部分の後端から後方へ下方に傾斜して延びるダッシュパネル部分と、前記ダッシュパネル部分の後端から後方へ水平に延び、客室の床面を区画形成するフロントフロアパネル部分と、前記フロントフロアパネル部分の後端から後方へ上方に傾斜して延びると共に、途中で屈曲して後方へ水平に延びるリヤシェルフパネル部分とを一体に有し、
前記フロントフロアアウタパネルは、前記カウルパネル部分の前端から後方へ下方に傾斜して延びる第1部分と、前記第1部分の後端から後方へ水平に延びる第2部分と、前記第2部分の後端から前記リヤシェルフパネル部分の後端まで後方へ上方に傾斜して延びる第3部分とを一体に有し、
前記リヤフロアインナパネルは、前記フロントフロアアウタパネルの第3部分の後面から後方へ延び、荷台の床面を区画形成するリヤフロアパネル部分と、前記リヤフロアパネル部分の後端から後方へ上方に傾斜して延びると共に、途中で屈曲して後方へ水平に延びるバックパネル部分とを一体に有し、
前記リヤフロアアウタパネルは、前記フロントフロアアウタパネルの第3部分の後面から後方へ水平に延びるリヤフロアアウタパネル第1部分と、このリヤフロアアウタパネル第1部分の後端から後方へ上方に傾斜して延びるリヤフロアアウタパネル第2部分とを一体に有している
ことを特徴とするフレーム付車両のボデー構造。
【請求項2】
前記フロントフロアアウタパネルに、前記フロントフロアインナパネルの下面に対向するように突出させて設けられ且つ先端が前記フロントフロアインナパネルの下面に結合される突出部が設けられる
請求項1に記載のフレーム付車両のボデー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレーム上にボデーが配設されるフレーム付車両のボデー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレーム付車両は、車両のフレーム上にボデーが配設されるものである。このようなフレーム付車両のボデー構造としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
従来例に係るボデー構造を
図4に基づいて説明する。
【0004】
図4に示す従来例に係るボデー構造は、車幅方向に間隔を隔てて配設され、ボデー40の側部前側部分を構成する左右一対のエンジンコンパートメントモジュール41と、左右一対のエンジンコンパートメントモジュール41の後部に結合され、ボデー40の側部後側部分を構成する左右一対のボデーサイドモジュール42と、左右一対のボデーサイドモジュール42の間に配設され、ボデー40の客室及び荷台を構成するフロアモジュール43と、左右一対のボデーサイドモジュール42の上部間に架け渡され、ボデー40のルーフ部を構成するルーフモジュール44とを備えている。
【0005】
エンジンコンパートメントモジュール41は、車両前後方向に延びるエンジンコンパートメントインナパネル45と、エンジンコンパートメントインナパネル45の車幅方向外側に空間を設けて配設されるエンジンコンパートメントアウタパネル46とから構成されたエンジンコンパートメント骨格部材47を有している。即ち、エンジンコンパートメント骨格部材47は、エンジンコンパートメントインナパネル45とエンジンコンパートメントアウタパネル46とで閉断面を構成する所謂骨格部材である。エンジンコンパートメントアウタパネル46には、フェンダー48が溶接等によって結合されている。
【0006】
ボデーサイドモジュール42は、車両前後方向に延びるボデーサイドインナパネル49と、ボデーサイドインナパネル49の車幅方向外側に空間を設けて配設されるボデーサイドアウタパネル50とから構成されたボデーサイド骨格部材51を有している。即ち、ボデーサイド骨格部材51は、ボデーサイドインナパネル49とボデーサイドアウタパネル50とで閉断面を構成する所謂骨格部材である。
【0007】
フロアモジュール43は、フロアモジュール43の前端から車両後方向へ略水平に延びるカウルパネル52と、カウルパネル52の後端から車両後方向へ車両下方向に傾斜して延びるダッシュパネル53と、ダッシュパネル53の後端から車両後方向へ略水平に延び、客室の床面を区画形成するフロントフロアパネル54と、フロントフロアパネル54の後端から車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びると共に、途中で屈曲して車両後方向へ略水平に延びるリヤシェルフパネル55と、フロントフロアパネル54の後端から車両後方向へ略水平に延び、荷台の床面を区画形成するリヤフロアパネル56と、リヤフロアパネル56の後端からフロアモジュール43の後端まで車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びるバックパネル57とから主に構成されている。
【0008】
図4に示す従来例に係るボデー構造では、フロアモジュール43は、カウルパネル52に取り付けられ、カウルパネル52との間で閉断面を構成する断面略L字状のカウルパネル補強部材58と、ダッシュパネル53に取り付けられ、ダッシュパネル53との間で閉断面を構成する断面略U字状のダッシュパネル補強部材59と、フロントフロアパネル54の車両前後方向中間部に取り付けられ、フロントフロアパネル54の車両前後方向中間部との間で閉断面を構成する断面略U字状のフロントフロアパネル補強部材60と、リヤシェルフパネル55の後部に取り付けられ、リヤシェルフパネル55の後部との間で閉断面を構成する断面略U字状のリヤシェルフパネル補強部材61と、バックパネル57の後部に取り付けられ、バックパネル57の後部との間で閉断面を構成する断面略U字状のバックパネル補強部材62とをさらに有している。
【0009】
ルーフモジュール44は、車両前後方向に延びるルーフパネル63から主に構成されている。
図4に示す従来例に係るボデー構造では、ルーフモジュール44は、ルーフパネル63の前部に取り付けられ、ルーフパネル63の前部との間で閉断面を構成する断面略U字状の第1ルーフパネル補強部材64と、ルーフパネル63の車両前後方向中間部に取り付けられ、ルーフパネル63の車両前後方向中間部との間で閉断面を構成する断面略U字状の第2ルーフパネル補強部材65と、ルーフパネル63の後部に取り付けられ、ルーフパネル63の後部との間で閉断面を構成する断面略U字状の第3ルーフパネル補強部材66とをさらに有している。
【0010】
図4に示す従来例に係るボデー構造では、エンジンコンパートメントモジュール41、ボデーサイドモジュール42、フロアモジュール43及びルーフモジュール44を溶接によって結合してボデー40を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−40316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図4に示す従来例に係るボデー構造において、閉断面で構成された骨格部分は高い剛性を持つが、閉断面を持たない平板部分は低い剛性しか持たない。このため、ボデー全体として高い剛性を確保することが困難である。各パネルや各補強部材等の板厚をより厚くするなどして、ボデー全体としての剛性を向上させることが考えられるが、このような方法ではボデーの重量増を招く。
【0013】
そこで、本発明の目的は、ボデーの重量増を招くことなく、ボデー全体としての剛性を充分に確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、本発明は、車両のフレーム上にボデーが配設されるフレーム付車両のボデー構造であって、車幅方向に間隔を隔てて配設され、前記ボデーの側部を構成する一対のボデーサイドモジュールと、前記一対のボデーサイドモジュールの間に配設され、前記ボデーの客室を構成するフロントフロアモジュールと、前記フロントフロアモジュールの後部に結合され、前記ボデーの荷台を構成するリヤフロアモジュールとを備え、前記ボデーサイドモジュールは、車両前後方向に延びるボデーサイドインナパネルと、前記ボデーサイドインナパネルの車幅方向外側に空間を設けて配設され且つ前記ボデーサイドインナパネルとの間で閉断面を区画形成するボデーサイドアウタパネルとから構成されたボデーサイド骨格部材を有し、前記フロントフロアモジュールは、車両前後方向に延びるフロントフロアインナパネルと、前記フロントフロアインナパネルの車両下方向に空間を設けて配設され且つ前記フロントフロアインナパネルとの間で閉断面を区画形成するフロントフロアアウタパネルとから構成されたフロントフロア骨格部材を有し、前記リヤフロアモジュールは、車両前後方向に延びるリヤフロアインナパネルと、前記リヤフロアインナパネルの車両下方向に空間を設けて配設され且つ前記リヤフロアインナパネルとの間で閉断面を区画形成するリヤフロアアウタパネルとから構成されたリヤフロア骨格部材を有するものである。
【0015】
前記フロントフロアアウタパネルに、前記フロントフロアインナパネルの下面に対向するように突出させて設けられ且つ先端が前記フロントフロアインナパネルの下面に結合される突出部が設けられても良い。
【0016】
前記ボデーサイドモジュールの上部に、前記ボデーのフロントウィンドウ部からルーフ部を経てリヤウィンドウ部に至るまでの部分を構成するガラスルーフが取り付けられても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ボデーの重量増を招くことなく、ボデー全体としての剛性を充分に確保することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るボデー構造が適用されるフレーム付車両の模式的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るボデー構造の分解斜視図である。
【
図3】(a)は
図2のA−A線断面を示す模式的な断面図であり、(b)は
図2のB−B線断面を示す模式的な断面図であり、(c)は
図2のC−C線断面を示す模式的な断面図であり、(d)は
図2のD−D線断面を示す模式的な断面図である。
【
図4】従来例に係るボデー構造の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るボデー構造が適用されるフレーム付車両(以下、車両という)10は、フレーム11(
図3(a)参照)上にボデー12を配設した構造となっている。なお、
図1中、矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示している。
【0021】
フレーム11は、車幅方向に間隔を隔てて配設され、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ13(
図3(a)参照)と、左右一対のサイドメンバ13の間に掛け渡して配設される複数のクロスメンバ(図示せず)とから主に構成された所謂ラダーフレームである。また、フレーム11には、フロントバンパー等を有するフロントバンパモジュール14と、リヤバンパー等を有するリヤバンパモジュール(図示せず)とが取り付けられる。さらに、ボデー12は、計4個(車両前側2個、車両後側2個)のボデーマウント15(
図3(a)参照)を介してフレーム11上に配設されている。
【0022】
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係るボデー構造は、車幅方向に間隔を隔てて配設され、ボデー12の側部を構成する左右一対のボデーサイドモジュール16と、左右一対のボデーサイドモジュール16の間に配設され、ボデー12の客室を構成するフロントフロアモジュール17と、フロントフロアモジュール17の後部に結合され、ボデー12の荷台を構成するリヤフロアモジュール18とを備えている。
【0023】
ボデーサイドモジュール16は、車両前後方向に延びるボデーサイドインナパネル19と、ボデーサイドインナパネル19の車幅方向外側に空間を設けて配設されるボデーサイドアウタパネル20とから構成されたボデーサイド骨格部材21を有している。即ち、ボデーサイド骨格部材21は、ボデーサイドインナパネル19とボデーサイドアウタパネル20とで閉断面を構成する所謂骨格部材である。
【0024】
ボデーサイドインナパネル19は、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるエンジンコンパートメントインナパネル45とボデーサイドインナパネル49とを一体化したものである。即ち、ボデーサイドインナパネル19は、ボデーサイドモジュール16の前端から後端まで車両後方向へ延びているものである。
【0025】
ボデーサイドアウタパネル20は、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるエンジンコンパートメントアウタパネル46とボデーサイドアウタパネル50とを一体化したものである。即ち、ボデーサイドアウタパネル20は、ボデーサイドモジュール16の前端から後端まで車両後方向へ延びているものである。ボデーサイドアウタパネル20には、フェンダー22が溶接によって結合されている。なお、ボデーサイドアウタパネル20とフェンダー22とをボルト等を用いて結合しても良い。
【0026】
本実施形態では、ボデーサイドインナパネル19及びボデーサイドアウタパネル20の板厚を、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるボデーサイドインナパネル49及びボデーサイドアウタパネル50の板厚と同等の厚さに設定している。
【0027】
本実施形態では、ボデーサイドインナパネル19とボデーサイドアウタパネル20とを溶接によって結合してボデーサイド骨格部材21を構成している。なお、ボデーサイドインナパネル19とボデーサイドアウタパネル20とをボルト等を用いて結合しても良い。
【0028】
フロントフロアモジュール17は、車両前後方向に延びるフロントフロアインナパネル(フロントフロアアッパパネル)23と、フロントフロアインナパネル23の車両下方向に空間を設けて配設されるフロントフロアアウタパネル(フロントフロアロアパネル)24とから構成されたフロントフロア骨格部材25を有している。即ち、フロントフロア骨格部材25は、フロントフロアインナパネル23とフロントフロアアウタパネル24とで閉断面を構成する所謂骨格部材である。
【0029】
フロントフロアインナパネル23は、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるカウルパネル52とダッシュパネル53とフロントフロアパネル54とリヤシェルフパネル55とを一体化したものである。即ち、フロントフロアインナパネル23は、フロントフロアインナパネル23の前端から車両後方向へ略水平に延びるカウルパネル部分23aと、カウルパネル部分23aの後端から車両後方向へ車両下方向に傾斜して延びるダッシュパネル部分23bと、ダッシュパネル部分23bの後端から車両後方向へ略水平に延び、客室の床面を区画形成するフロントフロアパネル部分23cと、フロントフロアパネル部分23cの後端から車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びると共に、途中で屈曲してフロントフロアインナパネル23の後端まで車両後方向へ略水平に延びるリヤシェルフパネル部分23dとを一体に有している。
【0030】
フロントフロアアウタパネル24は、フロントフロアアウタパネル24の前端から車両後方向へ車両下方向に傾斜して延びる第1部分24aと、この第1部分24aの後端から車両後方向へ略水平に延びる第2部分24bと、この第2部分24bの後端からフロントフロアアウタパネル24の後端まで車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びる第3部分24cとを一体に有している。
【0031】
上面にシート(図示せず)が配設されるフロントフロアインナパネル23におけるフロントフロアパネル部分23cの剛性を高めるべく、フロントフロアアウタパネル24の第2部分24bには、フロントフロアインナパネル23におけるフロントフロアパネル部分23cの下面に対向する突出部26が複数設けられていると共に、各突出部26の先端はフロントフロアインナパネル23におけるフロントフロアパネル部分23cの下面に結合されている。本実施形態では、フロントフロアアウタパネル24の第2部分24bをプレス成形等によって部分的に膨らませることで、各突出部26はフロントフロアアウタパネル24に一体に形成されている。さらに、本実施形態では、各突出部26は切頭四角錐形状に形成されており、各突出部26の先端は溶接によってフロントフロアインナパネル23におけるフロントフロアパネル部分23cの下面に結合されている。なお、各突出部26は切頭円錐形状等に形成されていても良く、各突出部26はボルト等を用いてフロントフロアインナパネル23におけるフロントフロアパネル部分23cの下面に結合されていても良い。
【0032】
本実施形態では、フロントフロアインナパネル23におけるリヤシェルフパネル部分23dとフロントフロアアウタパネル24における第3部分24cとの間の空間に、荷室27が区画形成されていると共に、フロントフロアインナパネル23におけるリヤシェルフパネル部分23dには、荷室27の出入口を構成する開口(貫通孔)28が貫通形成されている。また、本実施形態では、荷室27の出入口を構成する開口28は、傾動可能なシート(図示せず)の背もたれによって開閉されるようになっている。
【0033】
本実施形態では、フロントフロアインナパネル23及びフロントフロアアウタパネル24の板厚を、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるカウルパネル52、ダッシュパネル53、フロントフロアパネル54及びリヤシェルフパネル55の板厚の6割程度の厚さに設定している。
【0034】
本実施形態では、フロントフロアインナパネル23とフロントフロアアウタパネル24とを溶接によって結合してフロントフロア骨格部材25を構成している。なお、フロントフロアインナパネル23とフロントフロアアウタパネル24とをボルト等を用いて結合しても良い。
【0035】
リヤフロアモジュール18は、車両前後方向に延びるリヤフロアインナパネル(リヤフロアアッパパネル)29と、リヤフロアインナパネル29の車両下方向に空間を設けて配設されるリヤフロアアウタパネル(リヤフロアロアパネル)30とから構成されたリヤフロア骨格部材31を有している。即ち、リヤフロア骨格部材31は、リヤフロアインナパネル29とリヤフロアアウタパネル30とで閉断面を構成する所謂骨格部材である。
【0036】
リヤフロアインナパネル29は、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるリヤフロアパネル56とバックパネル57とを一体化したものである。即ち、リヤフロアインナパネル29は、フロントフロアアウタパネル24における第3部分24cの後面から車両後方向へ略水平に延び、荷台の床面を区画形成するリヤフロアパネル部分29aと、リヤフロアパネル部分29aの後端から車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びると共に、途中で屈曲してリヤフロアインナパネル29の後端まで車両後方向へ略水平に延びるバックパネル部分29bとを一体に有している。
【0037】
リヤフロアアウタパネル30は、フロントフロアアウタパネル24における第3部分24cの後面から車両後方向へ略水平に延びる第1部分30aと、この第1部分30aの後端からリヤフロアアウタパネル30の後端まで車両後方向へ車両上方向に傾斜して延びる第2部分30bとを一体に有している。
【0038】
本実施形態では、リヤフロアインナパネル29及びリヤフロアアウタパネル30の板厚を、
図4に示す従来例に係るボデー構造におけるリヤフロアパネル56及びバックパネル57の板厚の6割程度の厚さに設定している。
【0039】
本実施形態では、リヤフロアインナパネル29とリヤフロアアウタパネル30とを溶接によって結合してリヤフロア骨格部材31を構成している。なお、リヤフロアインナパネル29とリヤフロアアウタパネル30とをボルト等を用いて結合しても良い。
【0040】
本実施形態では、ボデーサイドモジュール16、フロントフロアモジュール17及びリヤフロアモジュール18を溶接によって結合してボデー12を構成している。なお、ボデーサイドモジュール16、フロントフロアモジュール17及びリヤフロアモジュール18をボルト等を用いて結合しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、ボデーサイドモジュール16の上部には、ボデー12のフロントウィンドウ部からルーフ部を経てリヤウィンドウ部に至るまでの部分を構成するガラスルーフ32が取り付けられる(
図1参照)。即ち、本実施形態に係るボデー構造では、
図4に示す従来例に係るルーフパネル63(ルーフモジュール44)を廃止し、全面ガラスルーフを採用している。
【0042】
以上の構成からなる本実施形態の作用を説明する。
【0043】
図4に示す従来例に係るボデー構造において、左右一対のボデーサイドモジュール42(ボデーサイド骨格部材51)は閉断面で構成された所謂骨格部材であり、その剛性は本実施形態のボデーサイドモジュール16(ボデーサイド骨格部材21)と同等である。しかし、
図4に示す従来例に係るボデー構造では、左右一対のボデーサイドモジュール42の間を結合する部分(フロアモジュール43、ルーフモジュール44)は、閉断面で構成された骨格部分と閉断面を持たない平板部分との組み合わせで構成される。このため、フロアモジュール43及びルーフモジュール44によっては、左右一対のボデーサイドモジュール42の剛性を確実に伝達することができない。
【0044】
これに対して、本実施形態に係るボデー構造では、左右一対のボデーサイドモジュール16の間を、閉断面で構成された所謂骨格部材であるフロントフロアモジュール17(フロントフロア骨格部材25)及びリヤフロアモジュール18(リヤフロア骨格部材31)によって結合している。即ち、フロントフロアモジュール17は、車両上下方向に空間を設けて配設される上下2枚のフロントフロアインナパネル23とフロントフロアアウタパネル24とから構成されたフロントフロア骨格部材25を有していると共に、リヤフロアモジュール18は、車両上下方向に空間を設けて配設される上下2枚のリヤフロアインナパネル29とリヤフロアアウタパネル30とから構成されたリヤフロア骨格部材31を有している。これらフロントフロア骨格部材25及びリヤフロア骨格部材31により、左右一対のボデーサイドモジュール16の剛性は確実に伝達され、ボデー12全体の剛性は飛躍的に向上する。従って、本実施形態に係るボデー構造によれば、ボデー12全体としての剛性を充分に確保することが可能となる。
【0045】
図2に示す本実施形態に係るボデー構造の解析モデル及び
図4に示す従来例に係るボデー構造の解析モデルを作成して検証した結果、下記(1)の効果が確認された。
【0046】
(1)
図2に示す本実施形態に係るボデー構造によれば、
図4に示す従来例に係るボデー構造と同等以上の剛性(捩り剛性)を確保し、
図4に示す従来例に係るボデー構造と比較して重量を42.7%軽量化することができた。
【0047】
即ち、本実施形態に係るボデー構造によれば、ボデー12の重量増を招くことなく、ボデー12全体としての剛性を充分に確保することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 車両(フレーム付車両)
11 フレーム
12 ボデー
16 ボデーサイドモジュール
17 フロントフロアモジュール
18 リヤフロアモジュール
19 ボデーサイドインナパネル
20 ボデーサイドアウタパネル
21 ボデーサイド骨格部材
23 フロントフロアインナパネル
24 フロントフロアアウタパネル
25 フロントフロア骨格部材
26 突出部
29 リヤフロアインナパネル
30 リヤフロアアウタパネル
31 リヤフロア骨格部材
32 ガラスルーフ