(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の粉末はんだ材料が溶融し、凝固して得られる接合金属は、リフロー工程温度で固液共存状態を保つことで、高い粘性を有する。このようにして接合金属に耐熱性を付与することで、電子回路モジュール部品内での短絡や、電子部品の端子電極と回路基板の端子電極との接触不良を抑えようとするものである。しかし、当該はんだによる接合金属はリフロー工程時に固液共存状態にあるため、はんだの飛散や移動を完全に抑制するには至らない。特に、近年の電子回路モジュール部品の高密度実装化に伴い、実装された電子部品の間隔が狭くなっているため、はんだの飛散や移動を完全に抑制するに十分な耐熱性を有することが、接合金属に求められている。
【0006】
また、電子回路モジュール部品は、組み込まれる電子機器の用途に応じて様々な特性を有することが求められる。例えば、携帯電話など日常的に持ち運びされる電子機器の場合、それらに内蔵される電子回路モジュール部品、基板、並びにこれらに設けられる端子及びその接合金属は、落下に伴う衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を有することが必要である。それは、落下に伴う衝撃により、接合金属内部にクラック(割れ)が発生し、そのクラックが進展することで、接合部の電気抵抗値が上昇し、その結果電気的接続に不具合を生じる恐れがあるためである。
【0007】
さらに、高密度実装化に伴い実装精度を向上させる観点から、はんだが溶融して得られる溶融金属と電子部品の端子電極とのぬれ性が良いことも求められる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、Pbフリーはんだが溶融し、凝固して得られる接合金属の耐熱性および耐衝撃性を向上させ、さらに溶融金属による電子部品の端子電極との接合時のぬれ性を改善することが可能となるPbフリーはんだを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、Snを主成分とする第1金属粒子と、NiまたはCuを主成分とする第2金属粒子と、前記第2金属粒子上に形成されるZnまたはBiを主成分とする金属相と、を含み、前記金属相厚みの最大値Tmaxと最小値Tminが、式(1)を満たすことを特徴とするPbフリーはんだを提供する。
0.0≦Tmin/Tmax≦0.4 ・・・(1)
【0010】
ここで、第1金属粒子の主成分をSnとすることによって、Pbフリーはんだを低温で溶融することができ、またその溶融金属と電子部品の端子電極とのぬれ性が良好となる。また、第2金属粒子の主成分をNiまたはCuとすることによってPbフリーはんだを溶融し、凝固して得られる接合金属は、溶融する前と比較して融点が高くなり、耐熱性が向上する。さらに、第2金属粒子上に形成されているZnまたはBiを主成分とする金属相は、第1金属粒子のSnと二元共晶を形成するため固溶しない。そのため、リフロー工程時の第2金属粒子のNiまたはCuの、第1金属粒子のSnへの拡散が一時的に抑制され、その結果、溶融金属の流動性が持続することでぬれ性が向上する。
【0011】
なお、金属相は、第2金属粒子上で異なった厚みを有している。金属相厚みの最大値Tmaxおよび最小値Tminが、式(1)のような関係を満たすことによって、第2金属粒子のNiまたはCuが、リフロー工程の熱処理時第1金属粒子のSnへ拡散した際に形成される化合物相が、第2金属粒子上で不均一な厚みに形成される。このように、凝固して得られる接合金属に形成される化合物相の厚みが不均一となることで、接合金属部内でのクラックの進展を抑制し、優れた耐衝撃性を実現することが可能となる。
【0012】
また、本発明のPbフリーはんだは、金属相厚みの最大値Tmaxと最小値Tminが、式(2)を満たすことが好ましい。
1.0μm≦Tmax−Tmin≦7.0μm ・・・(2)
【0013】
金属相厚みの最大値Tmaxおよび最小値Tminが、式(2)のような関係を満たすことによって、Pbフリーはんだを溶融し、凝固して得られる接合金属内部でのクラックの進展を抑制する効果がより一層得られ、その結果より高い耐衝撃性が得られる。
【0014】
さらに、本発明のPbフリーはんだの第2金属粒子は、Niを主成分とすることが好ましい。
【0015】
これにより、はんだが溶融して得られる溶融金属において、はんだが十分にぬれ上がった後に第2金属粒子のNiの、第1金属粒子のSnへの拡散が進むことになり、はんだぬれ性がより向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、Pbフリーはんだが溶融し、凝固して得られる接合金属の耐熱性および耐衝撃性を向上させ、さらに溶融金属による電子部品の端子電極との接合時のぬれ性を改善することが可能となるPbフリーはんだを提供することできる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、下記の実施形態で開示された構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
図1は、本実施形態のPbフリーはんだ1を模式的に示す断面図である。
【0020】
本実施形態に係るPbフリーはんだ1は、Snを主成分とする第1金属粒子1Aと、NiまたはCuを主成分とする第2金属粒子1Bと、を含み、第2金属粒子1B上にZnまたはBiを主成分とする金属相1Cが形成されている。主成分とは、物質を構成している成分のうち、最も多く含まれている成分である(以下同様)。なお、Pbフリーはんだ1はPbを含まないため、第1金属粒子1A、第2金属粒子1Bおよび前記第2金属粒子1B上に形成される金属相1CのいずれもPbを含まない。
【0021】
本実施形態において、第1金属粒子1AはSnを主成分とする。ここで、第1金属粒子1Aは90質量%以上のSnを含むことが好ましい。Snを90質量%以上含むことによってPbフリーはんだ1を低温で、例えば250℃以下で溶融することができ、またその溶融金属と電子部品の端子電極とのぬれ性が良好となる。第1金属粒子1Aに含まれるSn以外の元素としては、特に限定はされないが、例えば、Cu、Ag、Biなどが挙げられる。具体的には、第1金属粒子1Aとして、Snと、さらにAgまたはCuの少なくとも一方の元素と、を含む合金粒子を用いることができる。より具体的には、第1金属粒子1Aとしては、Sn−3.5質量%Ag(Agを3.5質量%含み、Sn及び不可避的不純物が残部を占める、以下同様)(融点221℃)、Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cu(融点217℃〜219℃)またはSn−0.7質量%Cu(融点227℃)合金粒子などを用いることができる。このような合金粒子を用いることによって、融点が低くなり、その結果、より低温、例えば230℃以下で接合することが可能となるため、電子部品の特性の低下を抑制できる。
【0022】
第1金属粒子1Aの平均粒子径は特に規定されるものではないが、例えばPbフリーはんだ1を公知のフラックス等によりペースト化した際の印刷性を考慮する場合、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、例えば平均粒子径が小さくなることにより材料質量に対する表面積(比表面積)が大きくなることを考慮する場合、第1金属粒子1Aは酸化しやすくなる傾向があり、Pbフリーはんだ1の溶融を阻害する恐れがある。このような観点から、第1金属粒子1Aの平均粒子径は1μm以上であることが好ましい。
【0023】
本実施形態において、第2金属粒子1BはNiまたはCuを主成分とする。第2金属粒子1Bに含まれるNiまたはCu以外の添加元素としては、特に限定されないが、例えばFe、Co、Mo、Crなどが挙げられる。より具体的には第2金属粒子1Bとしては、Ni粒子や20質量%以下のFeを含むNi−Fe合金粒子またはCu粒子を用いることがより好ましい。
【0024】
このような粒子を用いることによって、Pbフリーはんだ1が溶融する過程において、第1金属粒子1AのSnへの第2金属粒子1BのNiまたはCuの拡散が速やかに進行する。その後凝固する過程において、電子部品の端子電極と回路基板の端子電極とを接合する接合金属が得られる。この接合金属は、第2金属粒子のNiまたはCuが、第1金属粒子のSnへ拡散して化合物相が形成されることによって、溶融する前のPbフリーはんだ1と比較して融点が高くなり、耐熱性が向上する。その結果、接合金属がその後のリフロー工程により再加熱されても溶融しない、または溶融が抑制される。
【0025】
第2金属粒子1Bの平均粒子径は特に規定されるものではないが、例えばPbフリーはんだ1を公知のフラックス等によりペースト化した際の印刷性を考慮する場合、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。また、例えば平均粒子径が小さくなることにより材料質量に対する表面積(比表面積)が大きくなることを考慮する場合、第2金属粒子1Bは酸化しやすくなる傾向があり、その結果Pbフリーはんだ1が溶融しにくくなる傾向にある。このような観点から、第2金属粒子1Bの平均粒子径は1μm以上であることが好ましい。
【0026】
なお、第1金属粒子1Aおよび第2金属粒子1Bの組成は、特に限定はされないが、例えば蛍光X線分析、エネルギー分散型X線分析による方法や、予め金属粒子を酸性溶液などに溶出させた溶液を、誘導結合プラズマ発光分光分析などにより分析する方法などで測定することができる。また、第1金属粒子1Aおよび第2金属粒子1Bの平均粒子径は、特に限定はされないが、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置や粒子断面観察により測定することができる。
【0027】
図2は、本実施形態のPbフリーはんだ1が有する第2金属粒子1Bおよび第2金属粒子1B上に形成された金属相1Cの拡大断面図である。
【0028】
第2金属粒子1B上にはZnまたはBiを主成分とする金属相1Cが形成されている。前記金属相1Cが形成されていることにより、Pbフリーはんだ1が溶融する過程において、溶融した第1金属粒子1AのSnが第2金属粒子1B上に形成されているZnまたはBiを主成分とする金属相1Cと接する。このとき、金属相1Cを形成するZnまたはBiは、Snと二元共晶系の関係にあるため、第1金属粒子1AのSnと固溶しにくい。このため、第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散が一時的に抑制され、その結果、溶融金属の流動性が持続され、ぬれ性が向上する。
【0029】
図2に示すように、金属相1Cは第2金属粒子1B上で異なった厚みを有している。第2金属粒子1B上における金属相1Cの厚みの内、最大値をTmax、最小値をTminとする。これら金属相厚みの最大値Tmaxおよび最小値Tminは式(1)を満たす。
【0030】
0.0≦Tmin/Tmax≦0.4 ・・・(1)
【0031】
金属相厚みのTmaxおよびTminがこのような関係を有する。つまり、金属相厚みが第2金属粒子1B上で不均一であることによって、金属相1Cによる第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散抑制効果が、第2金属粒子1B上で不均一となる。このため、第2金属粒子1BのNiまたはCuが第1金属粒子1AのSnへ拡散した際に形成される化合物相が、第2金属粒子1B上で不均一に形成される。その結果、Pbフリーはんだ1が溶融し、凝固して得られる接合金属に形成される化合物相の厚みが不均一に存在する。このことにより、接合金属の内部のクラックの進展を抑制し、優れた耐衝撃性を実現することが可能となる。
【0032】
なお、金属相1Cの被覆率は、特に限定はされないが、金属相1Cによる本発明の効果を十分に得る観点から70%以上100%以下であることが好ましい。また、被覆率の異なる金属相1Cを有する第2金属粒子1Bが混在していても良い。ただし、被覆率が100%未満の場合は、第2金属粒子1Bの露出部上に、厚みゼロの金属相1Cが形成されているとみなす。すなわちTmin=0とする。
【0033】
金属相厚みの最大値Tmaxおよび最小値Tminの範囲は特に限定されるものではないが、例えば式(1)を満たす範囲において、Tmaxは1.0μm〜11.6μm、Tminは0.0μm〜4.6μmであることが好ましい。例えば、Tmaxが1.0μmを下回ると、金属相1Cによる第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散抑制効果が低くなり、ぬれ性が得られにくい傾向がある。Tmaxが11.6μmを上回ると、第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散抑制効果が局所的に過多になることで十分な化合物相が形成されず、Pbフリーはんだ1を溶融し、凝固して形成される接合金属内部でのクラックの進展を抑制する効果が得られにくい、すなわち十分な耐衝撃性が得られにくい傾向がある。また、Tminが4.6μmを上回ると、上記拡散抑制効果が全体的に過多になり、化合物相が形成されず、耐熱性が低下する傾向がある。
【0034】
また、本発明の実施形態において、前記金属相厚みの最大値Tmaxおよび最小値Tminは、本発明の効果を十分に得る観点から式(2)を満たすことが好ましい。
【0035】
1.0μm≦Tmax−Tmin≦7.0μm ・・・(2)
【0036】
この範囲を外れると、例えばTmax−Tminが1.0μm未満のとき、Pbフリーはんだ1が溶融する際に第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散が略均一に進む。これによって、Pbフリーはんだ1を溶融し、凝固して得られる接合金属内部でのクラックの進展を抑制する効果が十分得られず、この結果耐衝撃性の向上の効果が十分に得られない傾向がある。また、Tmax−Tminが7.0μmを超えるとき、第2金属粒子1BのNiまたはCuの第1金属粒子1AのSnへの拡散抑制効果が局所的に過多になることで十分な化合物相が形成されず、Pbフリーはんだ1を溶融し、凝固して得られる接合金属内部でのクラックの進展を抑制する効果が得られにくい、すなわち十分な耐衝撃性が得られにくい傾向がある。
【0037】
金属相厚みの計測方法は、例えば以下のように行うことができる。まず、Pbフリーはんだ1を硬化前の樹脂、例えばエポキシ系、アクリル系等に添加し、この硬化物の任意の箇所を切断し、観察用サンプルを作製する。金属相1Cが形成された第2金属粒子の断面(粒子断面)を、例えば走査型電子顕微鏡を用いて観察し、第2金属粒子1B上における金属相厚みを任意の複数箇所、例えば10箇所計測する。その金属相厚みの中から、その最大値Tmaxおよび最小値Tminを求め、Tmin/TmaxおよびTmax−Tminを算出することができる。なお、必要に応じてTmin/TmaxおよびTmax−Tminを任意の複数個の金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bについて算出し、それらの平均化処理や統計的処理などを行った値をPbフリーはんだ1における代表値としても良い。
【0038】
また、本発明の実施形態において、前記第2金属粒子1Bの主成分は、Niとすることが好ましい。これにより、はんだ接合過程においてはんだが十分にぬれ上がった後に第2金属粒子1Bの第1金属粒子1AのSnへの拡散が進むことになり、すなわちはんだぬれ性がより向上する傾向がある。さらに、第2金属粒子1Bは20質量%以下のFeを含むNi−Fe合金粒子であることがより好ましい。Ni−Fe合金中に含まれるFeの含有率を適宜調整することによって第1金属粒子1AのSnへの拡散効果を調整することができる。
【0039】
なお、本実施形態に係るPbフリーはんだ1の全質量(第1金属粒子1Aの質量と金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bの質量との和)に対する金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bの割合は、特に限定されないが、1質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、5質量%以上35質量%以下とすることがより好ましい。1質量%未満の場合、第2金属粒子1Bの第1金属粒子1AのSnへの拡散が過少となることで耐熱性の向上の効果が十分に得られない可能性があり、5質量%以上とすることで十分に高い耐熱性を得ることができる。一方、50質量%を超える場合、第2金属粒子1Bが過多のためPbフリーはんだ1が十分に溶融せず、ぬれ性の向上の効果が十分に得られない可能性があり、35質量%以下にすることで十分なぬれ性を得ることができる。
【0040】
第1金属粒子1Aおよび第2金属粒子1Bの製造方法は、特に規定されるものではないが、例えば水アトマイズ法、ガスアトマイズ法等の金属粉末製造方法によって作製される。
【0041】
第2金属粒子1B上の金属相1Cは、特に規定されるものではないが、例えば電気めっき法、無電解めっき法、真空蒸着法、バレルスパッタ法などの方法で形成することができる。また、必要に応じてこれらの方法を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0042】
例えば、電気めっき法は以下のようにして行う。形成したい金属相の金属イオンを含むめっき液に第2金属粒子1Bをカソードとして、溶性もしくは不溶性のアノード電極を用い、電気めっきを行う。第2金属粒子1Bは絶縁体の撹拌用ボールとともに絶縁性のケースに収容する。ケースは、めっき浴に対して不溶性であり、めっき浴が置換できる構造(例えば、かご)である。ケースを振動させることによって収容した第2金属粒子1Bを撹拌する。
【0043】
TmaxおよびTminの調製は、特に限定されるものではないが、例えば電気めっき法では、めっき浴組成、めっき電流値や第2金属粒子1Bの攪拌などによって行われる。
より具体的には、例えばめっき浴への第2金属粒子1B粒子の溶解性または分散性の制御、めっき電流値による金属相1Cの形成速度の制御、または撹拌の速度の制御などにより、Tmax、Tminを調製し、Tmin/TmaおよびTmax−Tminを好適に制御することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、印刷性を向上させる観点から適宜公知のフラックス等によりペースト化しても良い。また、例えば酸化をより抑制する観点から金属相1C上にさらに別の相を形成しても良い。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
以下、本実施形態に係る内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
(Pbフリーはんだの作製)
第1金属粒子1Aとして、はんだペースト(千住金属工業株式会社製、製品名:M705−S70G−Type5)を準備した。このはんだペーストは、第1金属粒子1Aがロジン系フラックスによりペースト化されたもので、第1金属粒子1Aの組成はSn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cuであり、平均粒子径は30μmであった。
【0047】
ガスアトマイズ法により、Ni−Fe合金からなる第2金属粒子1Bを得た。この第2金属粒子1Bは、Ni−10質量%Feであり、平均粒子径は30μm、比表面積は3000m
2/kgであった。なお、第1金属粒子1Aおよび第2金属粒子1Bの組成は、蛍光X線分析装置により測定し、第1金属粒子1Aおよび第2金属粒子1Bの平均粒子径および比表面積は、レーザー回折式粒度分布測定装置測定した。
【0048】
表1に示すめっき浴aを調製した。Biアノード電極を用い、得られた第2金属粒子1Bをカソードとして、電気めっき法によりBiを主成分とする金属相1Cの形成を行った。第2金属粒子1Bを100gと平均粒子径が1mmのジルコニアボールを400gとを、絶縁体の撹拌用ボールとともに絶縁性のケースに収容する。ケースは、めっき浴に対して不溶性であり、めっき液が置換できる構造(かご)である。ケースを振動させることによって収容した第2金属粒子1Bを撹拌しながら、めっき電流値を0.80A、めっき時間を30時間として、金属相1Cを形成した。
【0049】
その後、この金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bを複数個取り出して、断面観察から以下の手順によりTmin/TmaxおよびTmax−Tminを算出した。まず、断面観察視野内で確認できた金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bの内、任意の10個についてそれぞれのTmaxおよびTminを求め、Tmin/TmaxおよびTmax−Tminを算出した。次いで、得られた10個のTmax−Tminを値の小さい順に並べ、上位2個および下位2個を除いた6個の金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bを抽出した。この統計的処理は、分布を持つ10個のTmax−Tminの値に対し、分布の平均値Xから、正規分布を仮定した際の標準偏差σの範囲内に入る、つまりX±σの範囲内に入るTmax−Tminの値を抽出するためのものである。同様の観察を、合計5つの視野について行い、抽出した合計30個の金属相1Cが形成された第2金属粒子1BについてTmin/TmaxおよびTmax−Tminの平均値を求めたところ、Tmin/Tmaxは0.0であり、Tmax−Tminは2.5μmであった。これらの値を実施例1の代表値とした。
【0050】
金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bを、ロジン系フラックスとペースト化させた第1金属粒子1Aと混合することで、ペースト化されたPbフリーはんだ1を得た。このとき、第1金属粒子1Aと金属相1Cが形成された第2金属粒子1Bの混合割合を、質量比で73:27になるように調製した。このPbフリーはんだ1を実施例1のPbフリーはんだ1とした。
【0051】
[実施例2〜20および比較例1〜5]
用いた第1金属粒子1A、第2金属粒子1Bおよび金属相1Cを形成するためのめっき条件を表1および表2に示すようにすることで、実施例1と同様に実施例2〜20および比較例1〜5のPbフリーはんだ1を得た。なお、表2に示すめっき浴種の詳細を表1に示す。このようにして得られたPbフリーはんだ1のTmin/TmaxおよびTmax−Tminの代表値をまとめて表3に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
(Pbフリーはんだの評価)
実施例および比較例に係るPbフリーはんだ1について、Pbフリーはんだ1が溶融し凝固して得られる接合金属の耐熱性、電子回路モジュール部品形態における接合金属の耐衝撃性、およびPbフリーはんだ1が溶融した溶融金属と電子部品2の端子電極2Tとのぬれ性を以下のように評価した。
【0055】
(耐熱性の評価)
得られたペースト化されたPbフリーはんだ1をアルミナ板上で260℃で溶融した後、凝固することで接合金属を得た。得られた接合金属を再度260℃まで加熱した際の吸熱量に基づいて各実施例及び各比較例の耐熱性を評価した。吸熱量は、熱流束示差走査熱量計(株式会社島津製作所 DSC−50)を用いて測定した。吸熱量の絶対値が低いほど接合金属は溶融しにくく、25J/g以下の場合、再度のリフロー工程時に接合金属は実質的に流動性を持たない。吸熱量の絶対値が25J/gを超え35J/g以下の場合、再度のリフロー工程時に接合金属が溶融した際に若干の流動性を持つが、はんだフラッシュその他の欠陥が発生したりすることはない。このため、耐熱性評価として、吸熱量の絶対値が25J/g以下の場合には「A」、吸熱量の絶対値が25J/gを超え35J/g以下である場合には「B」、吸熱量の絶対値が35J/gよりも大きい場合には「C」と判定した。その結果を表3に示す。
【0056】
(耐衝撃性の評価)
端子電極として寸法が2012Mの電子部品用のランドパターンが形成された電子回路モジュール用基板を準備した。前記電子回路モジュール用基板のランドパターンと反対側の面に、はんだボール接続用のランドパターンを形成した。前記電子回路モジュール用基板の電子部品用のランドパターンに、各実施例及び各比較例により作製したペースト化されたPbフリーはんだ1を印刷した。実装装置を用いて寸法が2012Mの導通ダミーチップを電子回路モジュール用基板に載置した。導通ダミーチップが搭載された上記電子回路モジュール用基板をリフロー炉に入れて加熱し、その後、樹脂封止を行って、電子回路モジュール部品サンプルを得た。この電子回路モジュール部品サンプルのはんだボール接続用のランドパターンに、Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cuはんだペーストを印刷し、リフロー炉に入れて加熱し、電子回路モジュール部品サンプルを得た。
【0057】
前記電子回路モジュール用基板とは別に、端子電極を備えたデイジーチェーン回路パターンが形成された、耐衝撃性評価用基板を準備した。前記耐衝撃性評価用基板の端子電極上に、Sn−3.0質量%Ag−0.5質量%Cuはんだペーストを印刷した。前記耐衝撃性評価用基板の端子電極と、10mmサイズにダイサーカットした上述の電子回路モジュール部品サンプルのはんだボール接続用のランドパターンが形成された面とが向かい合うようにして、実装装置を用いて電子回路モジュール部品サンプルをこの耐衝撃性評価用基板に載置した。電子回路モジュール部品サンプルが搭載された上記耐衝撃性評価用基板をリフロー炉に入れて加熱し、耐衝撃性評価用基板に電子回路モジュール部品サンプルが実装された耐衝撃性評価用サンプルを得た。
【0058】
得られた耐衝撃性評価用サンプルを用いて、落下試験装置にて各実施例及び各比較例の落下試験を行った。具体的には、耐衝撃性評価用サンプルに、耐衝撃性評価用サンプルの接続面に垂直方向の衝撃(衝撃加速度:14700m/秒
2)を繰り返して加え、電子回路モジュール用基板の端子電極と耐衝撃性評価用基板の端子電極との間の抵抗値を落下毎に測定した。落下試験は、同様に作製された6個の耐衝撃性評価用サンプルを用いて行い、抵抗値が初期抵抗の100倍以上となるまでの落下回数の平均値を求めた。落下回数の平均値が100回以上「A」、60回以上100回未満「B」、60回未満「C」評価とした。その結果を表3に示す。
【0059】
(ぬれ性の評価)
図3は、Pbフリーはんだ1のぬれ性を評価する際の説明図である。寸法が2012Mの電子部品用のランドパターンを、端子電極3Tとして形成したぬれ性評価用基板3を準備した。前記ぬれ性評価用基板3の端子電極3Tに、各実施例及び各比較例により作製したペースト化されたPbフリーはんだ1を印刷した。実装装置を用いて寸法が2012Mの電子部品2をぬれ性評価用基板3に載置した。電子部品2が搭載された上記ぬれ性評価用基板3をリフロー炉に入れて加熱し、電子部品2の端子電極2Tとこの基板の端子電極3Tとを接合することでぬれ性評価用サンプルを得た。リフロー条件は、プリヒート温度:150℃、220℃(はんだ融点)以上での溶融時間:30秒間、トップ温度:260℃、冷却速度:1℃/秒、とした。
【0060】
得られたぬれ性評価用サンプルを用いて、各実施例及び各比較例のぬれ性の評価を行った。溶融したPbフリーはんだ1のぬれ性は、電子部品2の端子電極2Tとぬれ性評価用基板3の端子電極3TとをPbフリーはんだ1で接合した際におけるフィレットFの高さ(ぬれ上がり高さ)hfで評価した。溶融したPbフリーはんだ1のぬれ性が高い場合、前記Pbフリーはんだ1は電子部品2の端子電極2Tに広がりやすくなる。このため、フィレットFのぬれ上がり高さhfが大きい程、Pbフリーはんだ1のぬれ性は高いと判断できる。ぬれ上がり高さhfは、ぬれ性評価用基板3の端子電極3Tの表面から電子部品2の端子電極2TとフィレットFとの境界(ぬれ上がり端部)までの距離である。ぬれ性評価用基板3の端子電極3Tからぬれ上がり端部までの距離を測定することが難しい場合、ぬれ性評価用基板3の表面3PからフィレットFのぬれ上がり端部までの距離を測定して端子電極3Tの厚みttを減算してぬれ上がり高さhfを求めてもよい。ぬれ性は、ぬれ上がり高さhfが電子部品2の端子電極2Tの高さhcの70%以上「A」、30%以上70%未満「B」、30%未満「C」とした。なお、ぬれ上がり高さhfおよび電子部品2の端子電極2Tの高さhcは断面観察により計測した。その結果を表3に示す。
【0061】
以上のような、耐熱性、耐衝撃性およびぬれ性の評価結果の総合評価として、全てAであれば「A」、一つでもBがあれば「B」、一つでもCがあれば「C」とした。その結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
表3に示すとおり、比較例1〜5に対し、実施例1〜20で得られたPbフリーはんだ1ではTmin/Tmax≦0.4であることにより、耐熱性、耐落下性、ぬれ性がいずれも良好であった。さらに、実施例1〜7、9、および10〜20では1.0μm≦Tmax−Tmin≦7.0μmであることにより、より良好な耐衝撃性を示し、また、実施例1〜16、および19〜20では第2金属粒子1BがNiを主成分とすることにより、より良好なぬれ性を示すPbフリーはんだが得られることが確認された。