(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884522
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】ユニットルーム
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
E04H1/12 301
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-20913(P2012-20913)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-159924(P2013-159924A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】前 健哉
(72)【発明者】
【氏名】黒原 啓彦
(72)【発明者】
【氏名】杉江 恒巳
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−115569(JP,A)
【文献】
特開2002−061302(JP,A)
【文献】
特開平07−027113(JP,A)
【文献】
特開2007−229005(JP,A)
【文献】
特開2009−084817(JP,A)
【文献】
特開2000−192751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E03C 1/20
A47K 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水パンの周縁部が支持フレームによって支持されたユニットルームにおいて、
該支持フレームは、防水パンの側外方に張り出す張出部を有しており、
該張出部上に柱が立設されており、
該張出部に該支持フレームの長手方向に延在する条部が設けられており、
該条部を介して該柱が支持フレームに固定されており、
ユニットルーム周囲の床パネルの縁部上面に重なるフラット部が該張出部から張り出して設けられていることを特徴とするユニットルーム。
【請求項2】
請求項1において、前記条部は凹条部であり、該凹条部の入口側には互いに接近方向に延出したフランジ部が設けられており、
該フランジ部に係合した固定ピース及び略L字形状の固定金具によって該柱が該支持フレームに固定されていることを特徴とするユニットルーム。
【請求項3】
請求項2において、前記柱に前記支持フレームの凹条部と同一断面形状の凹条部が設けられ、前記固定金具は支持フレームの凹条部と柱の凹条部に入り込み、前記固定ピースによって固定されていることを特徴とするユニットルーム。
【請求項4】
請求項3において、前記柱に設けられた凹条部を介してパネル、キャビネット又は設備機器が該柱に連結されていることを特徴とするユニットルーム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記支持フレームは、前記防水パンの周縁部下面に張り出すブラケット部を備えており、該ブラケット部に前記防水パンが載荷されており、該ブラケット部の上面と該防水パンの下面との間に止水材が介在されていることを特徴とするユニットルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面が防水パンにて構成されたユニットバスルーム等のユニットルームに係り、特に防水パン周縁部に柱が立設されているユニットルームに関する。
【背景技術】
【0002】
床面が防水パンにて構成されたユニットルームの壁面を壁パネルにて構成する場合、この壁パネルを起立状態に支持するために防水パンの4隅に柱を立設し、隣接する壁パネル同士を該柱を介して連結することが特許文献1に記載されている。この特許文献1では、柱は防水パンの隅部に取り付けられた取付金具に支持され、立設されている。
【0003】
特許文献2には、防水パンの外周縁に起立する水切り片に対し、柱に設けられたバックハンガーを上方から差し込んで柱を防水パンの周縁部上に立設することが記載されている。
【0004】
特許文献3には、防水パンを支持する板状架台の4隅に取付金具を設置し、この取付金具によって柱を立設することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−169912
【特許文献2】特開2002−70341
【特許文献3】特開2008−223264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3では、柱を堅固に自立状に立設することはできない。例えば、特許文献1では、取付金具はFRP製の防水パンに取り付けられるものであるため、取付金具の設置剛性が不足し、柱を堅固に立設することができない。特許文献2では、柱をバックハンガーによってFRP製防水パンの水切り片に係止しており、柱を堅固に立設することはできない。特許文献3でも、取付金具は高さの低い単なる位置決め金具程度のものであり、柱を堅固に立設させることはできない。
【0007】
また、特許文献1,3では、予め取り付けた取付金具の位置以外には柱を立設することはできない。
【0008】
本発明は、防水パン周縁部の任意の位置に柱を自立状に堅固に立設することができるユニットルームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のユニットルームは、防水パンの周縁部が支持フレームによって支持されたユニットルームにおいて、該支持フレームは、防水パンの側外方に張り出す張出部を有しており、該張出部上に柱が立設されており、該張出部に該支持フレームの長手方向に延在する条部が設けられており、該条部を介して該柱が支持フレームに固定されて
おり、ユニットルーム周囲の床パネルの縁部上面に重なるフラット部が該張出部から張り出して設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の一態様では、前記条部は凹条部であり、該凹条部の入口側には互いに接近方向に延出したフランジ部が設けられており、該フランジ部に係合した固定ピース
及び略L字形状の固定金具によって該柱が該支持フレームに堅固に自立状に立設固定されている。
【0011】
この場合、前記柱に前記支持フレームの凹条部と同一断面形状の凹条部が設けられ、前記固定金具は支持フレームの凹条部と柱の凹条部に入り込み、前記固定ピースによって固定される構成とすることにより、柱と支持フレームとが強固に連結される。
【0012】
この柱に設けられた凹条部を介してパネル、キャビネット又は設備機器が該柱に連結されてもよい。
【0013】
本発明では、前記支持フレームは、前記防水パンの周縁部下面に張り出すブラケット部を備えており、該ブラケット部に前記防水パンが載荷されており、該ブラケット部の上面と該防水パンの下面との間に止水材が介在されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のユニットルームでは、防水パンの周縁部を支持する枠架台に、防水パン側外方へ張り出す張出部を設け、この張出部に柱取り付け用の条部を形成したものである。本発明によると、柱を固定金具を介して該条部に堅固に固定し、自立状に立設することができる。
【0015】
また、この条部を利用して各種キャビネットや棚板、レンジフードなどの設備機器等を設置することができる。
【0016】
本発明では、支持フレームにブラケット部を設け、このブラケット部に防水パンを載荷させると共に、該ブラケット部の上面と防水パンの下面との間に止水材を介在させることにより、止水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係るユニットルームの柱及びフレームの配置を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態を利用したユニットバス、キッチンを示す斜視図である。
【
図10】(a)は
図9のX−X線断面図、(b)は(a)の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0019】
図1〜8は実施の形態に係るユニットルーム1を示すものである。このユニットルームはユニットバスルームであり、防水パン2の周縁部が枠形状の支持フレーム3によって支持されている。この実施の形態では、支持フレーム3は防水パン2の全周を取り巻いている。
【0020】
支持フレーム3の四隅に柱4が立設されている。柱4,4の上端間に梁5又は6が架設されている。このユニットルーム1内に浴槽7が設置されている。
【0021】
図2,3に明示の通り、支持フレーム3は、メインフレーム9と、該メインフレーム9に被さる介装フレーム10と、防水パン2の側外方に張り出すようにメインフレーム9に取り付けられた張出フレーム11とを有している。メインフレーム9は、口字型断面形状であり、一方の側面から防水パン2の下側に張り出すようにブラケット部9aが設けられている。介装フレーム10の一部は、このブラケット部9a上にまで延出した延出部10aとなっている。介装フレーム10の上面部には、支持フレーム3の長手方向に延在するリブ部10b,10cが設けられている。
【0022】
張出フレーム11は、このリブ部10b,10c上に張り出す第1フラット部11aと、反対方向に張り出す第2フラット部11dを有する。張出フレーム11には、上面から凹陥し、支持フレーム3の長手方向に延在する凹条部11bが設けられている。この凹条部11bの入口部には、互いに接近方向に突出する1対のフランジ部11c,11cが設けられており、凹条部11bの入口側が狭くなっている。
【0023】
張出フレーム11には、下方に垂下し、メインフレーム9の側面に沿って延在する垂下片11eが設けられている。この垂下片11eがメインフレーム9に対しスペーサ12を介して重ね合わされ、ビス13によって留め付けられている。
【0024】
防水パン2の周縁部の下面には脚片部2aが垂設されており、この脚片部2aがメインフレーム9のブラケット部9a上に載荷されている。防水パン2の最外周縁部の下面と介装フレーム10の延出部10aとの間には止水材15が介在されている。第1フラット部11aの辺縁部と防水パン2の辺縁部との間に乾式目地材(図示略)が充填されている。
【0025】
介装フレーム10のリブ部10b,10c間には止水材16が設置され、この止水材16は該介装フレーム10の上面部と張出フレーム11の第1フラット部11aとの間に介在している。第2フラット部11dは、ユニットルーム周囲の床パネル17の縁部上面に重なっている。
【0026】
この支持フレーム3上に柱4を立設固定するために、
図5,6に示すように固定金具18と固定ピース19が用いられている。この固定金具18は、支持フレーム9と柱4との双方に沿うように直交するアーム部18aを有した略L字形状の金具である。固定金具18の幅は、凹条部11b及び柱4の凹条部4aの入口幅よりも極くわずかに小さいものとなっている。
【0027】
固定ピース19は、張出フレーム11の凹条部11bと、柱4に設けられた凹条部4aに入り込む大きさであるが、幅は凹条部4a,11bの幅よりも大きい。固定ピース19には、凹条部4aのフランジ部4b,4b及び凹条部11のフランジ部11c,11cに係合する切欠段部19b,19bが両側辺に設けられている。なお、柱4の凹条部4aは、張出フレーム11の凹条部11bと同一断面形状かつ同一大きさであり、入口部には1対のフランジ部4b,4bが設けられている。固定ピース19には、その厚み方向に貫通し螺進可能なボルト19aが設けられている。
【0028】
図6の通り、凹条部4a,11b内に配置されたアーム部18aに重なるように、固定ピース19を配置し、該固定ピース19のボルト19aを回してアーム部18aに向って突出させる。固定ピース19の切欠段部19bがフランジ部11c,11c、4b,4bに係合しているので、ボルト19aは該固定ピース19に反力を得てアーム部18aを凹条部11b,4aの底面に強力に押し付けられる。これにより、固定金具18が張出フレーム11及び柱4の双方に堅固に固定され、柱4が固定金具18を介して支持フレーム3に対し堅固に自立状に立設固定される。
【0029】
図7,8の通り、柱4の上端には、柱4と同一断面形状のアングル材22を介して梁5が連結される。梁5も柱4と同一断面形状である。柱4及び梁5とアングル材22とは、それらの中心孔部4c,22cに継手棒24を差し込み、該継手棒24をビス(図示略)によって柱4、梁5及びアングル材22に留め付けることにより堅固に連結される。梁6は、各柱4のアングル材22,22間に架け渡され、ビス(図示略)によってアングル材22に固定される。
【0030】
この梁5,6を柱4,4間に架設することにより、柱4の立設剛性が極めて高いものとなる。これらの支持フレーム3、柱4及び梁5又は6とで囲まれた部分に壁パネル28を
図4のように設置する。壁パネル28の下辺は、1対の取付レール26,27間に止水材29を介して挟持されている。取付レール26,27はビス(図示略)によって張出フレーム11に固定される。図示は省略するが、壁パネル28の側辺及び上辺は柱4、梁5又は6に対して同様に1対のレール材と止水材を介して連結される。
【0031】
このようにして構築されたユニットルームにあっては、上述のように柱4の立設強度及び剛性が高い。また、凹条部11bが支持フレーム3の長手方向に連続して延在しているので、ユニットルームの4隅部だけでなく、支持フレーム3の長手方向途中の任意の位置にも柱を堅固に自立状に立設することができる。
【0032】
この実施の形態では、柱4と梁5又は6にも張出フレームの凹条部11bと同一断面形状の凹条部4aが設けられているので、この柱4や梁5,6の凹条部を利用して各種のパネルやキャビネット等を設置することができる。その一例を
図9,10に示す。
【0033】
図9,10では柱4に袖壁パネル33が取り付けられている。また、柱4,4間にキッチンキャビネット32が設置され、その上方に棚板パネル34と、壁付けキャビネット35及びレンジフード37が設置されている。キッチンキャビネット32の側方にはトールキャビネット36が設置されている。
【0034】
上記実施の形態では、支持フレーム3の張出フレーム11に凹条部11bを設けているが、凸条部を設けてもよい。
図11はその一例であり、支持フレーム40に設けられた凸条部41に対し柱4の下端の切欠部4kが嵌合し、ビス孔42に向ってビスを打つことにより柱4が支持フレーム40に堅固に立設される。
【0035】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の態様とされてもよい。例えば、支持フレーム11,40上にドアフレームを設置してもよい。前記防水パン2は1枚であってもよく、2以上の防水パンを連結したものであってもよい。柱3と梁5とは、柱の立設前に連結されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2 防水パン
3 支持フレーム
4 柱
5,6 梁
9 メインフレーム
9a ブラケット部
10 介装フレーム
11 張出フレーム
11b 凹条部
18 固定金具
19 固定ピース
28 壁パネル
40 支持フレーム
41 凸条部