特許第5884562号(P5884562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5884562立体映像表示装置および立体映像表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884562
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】立体映像表示装置および立体映像表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/04 20060101AFI20160301BHJP
   H04N 13/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   H04N13/04 380
   H04N13/04 970
   H04N13/00 180
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-48886(P2012-48886)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-187593(P2013-187593A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 浩
【審査官】 佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−252943(JP,A)
【文献】 特開2011−040946(JP,A)
【文献】 特開2001−258052(JP,A)
【文献】 特開2009−025436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/04
H04N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得部と、
取得された前記左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得された前記右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、前記シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成部と、
前記シーケンシャルデータのうち、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データの切り換えの後の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下部と、
前記対象データの画質を低下させた後の前記シーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示部と、
を備え
前記映像生成部は、前記左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、前記右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる前記制御信号を生成することを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得部と、
取得された前記左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得された前記右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、前記シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成部と、
前記シーケンシャルデータのうち、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データの切り換えの前の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下部と、
前記対象データの画質を低下させた後の前記シーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示部と、
を備え
前記映像生成部は、前記左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、前記右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる前記制御信号を生成することを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項3】
前記画質低下部は、前記対象データにおける輪郭をぼかすことで、前記対象データの画質を低下させることを特徴とする請求項1または2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記画質低下部は、前記対象データをフィルタに通過させて、前記対象データにおける輪郭をぼかすことを特徴とする請求項3に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記画質低下部は、前記対象データのコントラストのレンジを小さくすることで、前記対象データの画質を低下させることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得ステップと
取得した前記左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得した前記右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、前記シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成ステップと
前記シーケンシャルデータのうち、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データの切り換えの後の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下ステップと
前記対象データの画質を低下させた後の前記フレームデータに基づく映像を表示する表示ステップと、
を備え、
前記映像生成ステップにおいて、前記左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、前記右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる前記制御信号を生成することを特徴とする立体映像表示方法。
【請求項7】
両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得ステップと
取得した前記左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得した前記右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、前記シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成ステップと
前記シーケンシャルデータのうち、前記左眼用映像データおよび前記右眼用映像データの切り換えの前の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下ステップと
前記対象データの画質を低下させた後の前記フレームデータに基づく映像を表示する表示ステップと、
を備え、
前記映像生成ステップにおいて、前記左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、前記右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、前記シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる前記制御信号を生成することを特徴とする立体映像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ眼鏡を介して立体映像として知覚される映像を表示する立体映像表示装置および立体映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、両眼視差のある左右2つの映像データ(左眼用映像データおよび右眼用映像データ)の映像を、表示部に所定のフレーム周期で交互に表示し、シャッタ眼鏡を装着したユーザに対して立体映像を知覚させる立体映像技術が脚光を浴びている。
【0003】
シャッタ眼鏡は、映像データの所定のフレーム周期と同期して開閉する2つのシャッタを有し、表示部に左眼用映像データに基づく左眼用映像が表示されている期間は、左眼用シャッタを開き、右眼用シャッタを閉じる。一方、シャッタ眼鏡は、表示部に右眼用映像データに基づく右眼用映像が表示されている期間は、右眼用シャッタを開き、左眼用シャッタを閉じる構成となっている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−327961号公報
【特許文献2】特開平6−178325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
左眼用映像および右眼用映像を交互に表示する場合、表示部の映像の切換速度に限界があることから、左眼用映像と右眼用映像のうち、一方の映像の一部が残像として残り、他方の映像に混入して表示される、所謂クロストークが発生する。クロストークが発生すると、ユーザには被写体などの輪郭が二重に視認されたりして、見難い映像となってしまう。
【0006】
そこで、同じフレームの左眼用映像と同じフレームの右眼用映像を、それぞれ複数回ずつ連続して表示する構成が実施されている。例えば、左眼用映像から右眼用映像に切り換わり、右眼用映像に左眼用映像の一部が混入するクロストークが発生した場合であっても、すぐに同じフレームの右眼用映像を再表示させる。すると、例えば液晶モニタの場合、同じフレームの映像を表示させる電圧などが複数回印加される。そのため、1回しか印加しない場合に比べ、右眼用映像に混入した左眼用映像が、完全に右眼用映像に切り換わるのに要する時間を短縮できる。しかし、左眼用映像から右眼用映像、または、右眼用映像から左眼用映像に切り換った直後には、短時間であってもクロストークが残ってしまう。
【0007】
そこで、クロストークが発生している映像が表示されている期間、シャッタ眼鏡の2つのシャッタを左右ともに閉じておくことで、クロストークの影響を抑制する技術が知られている。また、クロストークが発生している映像が表示されている期間、バックライトを消灯する対策が採られることもある。しかし、いずれの場合も、左眼用映像と右眼用映像を視認できる時間が短くなり、ひいては知覚される映像の明るさが低下してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減して視認性の向上を図ることが可能な立体映像表示装置および立体映像表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の立体映像表示装置は、両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得部と、取得された左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得された右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成部と、シーケンシャルデータのうち、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの後の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下部と、対象データの画質を低下させた後のシーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示部と、を備え、映像生成部は、左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる制御信号を生成することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の他の立体映像表示装置は、両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得部と、取得された左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得された右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成部と、シーケンシャルデータのうち、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下部と、対象データの画質を低下させた後のシーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示部と、を備え、映像生成部は、左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる制御信号を生成することを特徴とする。
【0011】
画質低下部は、対象データにおける輪郭をぼかすことで、対象データの画質を低下させてもよい。
【0012】
画質低下部は、対象データをフィルタに通過させて、対象データにおける輪郭をぼかしてもよい。
【0013】
画質低下部は、対象データのコントラストのレンジを小さくすることで、対象データの画質を低下させてもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の立体映像表示方法は、両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得ステップと、取得した左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得した右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成ステップと、シーケンシャルデータのうち、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの後の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下ステップと、対象データの画質を低下させた後のシーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示ステップと、を備え、映像生成ステップにおいて、左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる制御信号を生成することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の他の立体映像表示方法は、両眼視差による立体映像を知覚させるための左眼用映像データと右眼用映像データとを取得するデータ取得ステップと、取得した左眼用映像データを2回繰り返した左眼用映像データ列と、取得した右眼用映像データを2回繰り返した右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成すると共に、シーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡の開閉を制御する制御信号を生成する映像生成ステップと、シーケンシャルデータのうち、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前の1フレームに対応するフレームデータである対象データに対して、画質を低下させる処理を行う画質低下ステップと、対象データの画質を低下させた後のシーケンシャルデータに基づく映像を表示する表示ステップと、を備え、映像生成ステップにおいて、左眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを開、右眼用シャッタを閉とさせ、右眼用映像データ列に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタを閉、右眼用シャッタを開とさせる制御信号を生成することを特徴とする。

【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減して視認性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態における立体映像表示システムの概略的な接続関係を示した説明図である。
図2】第1の実施形態における立体映像表示装置の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。
図3】第1の実施形態におけるシャッタ眼鏡の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。
図4】画質低下処理について説明するための説明図である。
図5】第1の実施形態における表示部に表示される映像と、シャッタ眼鏡の開閉タイミングを説明するための説明図である。
図6】比較例における表示部に表示される映像と、シャッタ眼鏡の開閉タイミングを説明するための説明図である。
図7】変形例を説明するための説明図である。
図8】変形例における表示部に表示される映像と、シャッタ眼鏡の開閉タイミングを説明するための説明図である。
図9】第1の実施形態における立体映像表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
図10】第2の実施形態における立体映像表示装置の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。
図11】第2の実施形態における表示部に表示される映像と、シャッタ眼鏡の開閉タイミングを説明するための説明図である。
図12】第2の実施形態における立体映像表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
(第1の実施形態:立体映像表示システム100)
図1は、第1の実施形態における立体映像表示システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。図1に示すように、立体映像表示システム100は、映像再生装置102と、立体映像表示装置110と、シャッタ眼鏡120とを含んで構成される。
【0021】
映像再生装置102は、両眼視差を有する2つの映像データである立体映像データ(左眼用映像データおよび右眼用映像データ)を、サイドバイサイド方式、トップアンドボトム方式、ラインバイライン方式、フレームシーケンシャル方式等の立体映像を知覚させるための所定の方式で、立体映像表示装置110に出力する。
【0022】
立体映像表示装置110は、例えば、液晶パネル方式の表示装置であって、映像再生装置102から出力された、様々な方式の立体映像データに基づく左眼用映像と右眼用映像とを順次表示し、シャッタ眼鏡120を通じて視認させるフレームシーケンシャル方式で表示部に表示する。
【0023】
ユーザ130がシャッタ眼鏡120を装着し、シャッタ眼鏡120が、立体映像表示装置110とユーザ130の眼の間に位置した状態で、シャッタ眼鏡120は、右眼用シャッタと左眼用シャッタを開閉することで、ユーザ130の左眼に左眼用映像を視認させ、ユーザ130の右眼に右眼用映像を視認させる。こうして、ユーザ130は、映像を立体的に知覚することができる。
【0024】
続いて、立体映像表示装置110およびシャッタ眼鏡120の具体的な構成について説明する。
【0025】
(立体映像表示装置110)
図2は、第1の実施形態における立体映像表示装置110の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。図2に示すように、立体映像表示装置110は、データ取得部150と、バッファメモリ152と、映像生成部154と、画質低下部156と、表示部158と、制御出力部160とを含んで構成される。
【0026】
データ取得部150は、立体映像を知覚させるための右眼用映像と左眼用映像を形成するデータである立体映像データ(右眼用映像データと左眼用映像データ)を、例えば映像再生装置102から取得する。
【0027】
バッファメモリ152は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等を含んで構成され、データ取得部150で取得された立体映像データを一時的に保持する。
【0028】
映像生成部154は、バッファメモリ152から立体映像データを順次読み出し、立体映像データを構成する左眼用映像データと右眼用映像データそれぞれについて、1フレームに対応するフレームデータを所定数、本実施形態においては3回繰り返して左眼用映像データ列と右眼用映像データ列を生成する。
【0029】
そして、映像生成部154は、左眼用映像データ列と右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成する。また、映像生成部154は、生成したシーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡120の開閉を制御する制御信号を生成する。
【0030】
画質低下部156は、フィルタで構成され、生成されたシーケンシャルデータのうち、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前および後のいずれか一方または両方のフレームデータである対象データに対して、フィルタリングを施すことで画質を低下させる画質低下処理を行う。画質低下部156による画質低下処理については後に詳述する。
【0031】
表示部158は、例えば、液晶パネルで構成され、対象データの画質を低下させた後のシーケンシャルデータに基づいて、両眼視差を有する右眼用映像と左眼用映像とを順次表示する。
【0032】
制御出力部160は、シーケンシャルデータのフレーム周期に基づいて、シャッタ眼鏡120の左右のシャッタ(後述する左眼用シャッタ224と右眼用シャッタ226)それぞれの開閉タイミングを制御する制御信号を生成し、IrDA(Infrared Data Association)規格の赤外線等の無線通信を通じてシャッタ眼鏡120に出力する。
【0033】
(シャッタ眼鏡120)
図3は、第1の実施形態におけるシャッタ眼鏡120の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。図3に示すように、シャッタ眼鏡120は、制御取得部220と、シャッタ制御部222と、左眼用シャッタ224と、右眼用シャッタ226とを含んで構成される。
【0034】
制御取得部220は、制御出力部160が出力した制御信号を取得する。シャッタ制御部222は、制御取得部220が取得した制御信号に応じて右眼用シャッタ226および左眼用シャッタ224の開閉タイミングを制御する。
【0035】
右眼用シャッタ226は、ユーザ130がシャッタ眼鏡120を装着した場合、右眼の前方に位置して右眼に入射する光路を開閉する。左眼用シャッタ224は、ユーザ130がシャッタ眼鏡120を装着した場合、左眼の前方に位置して左眼に入射する光路を開閉する。
【0036】
以上、立体映像表示装置110およびシャッタ眼鏡120の概略的な構成について説明した。続いて、本実施形態において特徴的な画質低下処理について詳述した後、比較例と対比させながら立体映像表示装置110の効果を説明する。
【0037】
図4は、画質低下処理について説明するための説明図である。図4(a)の概念図に示すように、画質低下部156は、複数(本実施形態においては7つ)のシフトレジスタX(1)〜X(7)を備えたフィルタで構成される。
【0038】
それぞれのシフトレジスタX(1)〜X(7)に関し、重み付け係数として、シフトレジスタX(1)には0.1、シフトレジスタX(2)には0.2、シフトレジスタX(3)には0.3、シフトレジスタX(4)には0.4、シフトレジスタX(5)には0.3、シフトレジスタX(6)には0.2、シフトレジスタX(7)には0.1、が割り当てられている。ここでは、任意の1画素に関して、その画素の左右隣接する3画素分(合わせて7画素分)の画素値を読み出し、上記の重み付けを行って均す。そして、その均した値が任意の1画素の画質低下処理後の画素値となる。
【0039】
画質低下部156は、シーケンシャルデータのうち、本実施形態においては、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前および後の両方のフレームデータを対象データとし、読み出した画素値を、随時、シフトレジスタX(1)〜X(7)に記憶する。したがって、7つの画素値を記憶した時点で、最初に記憶した画素値がX(7)に、最後に記憶した画素値がX(1)に記憶されている。ここで、画質低下部156による処理の対象となる画素値は、例えば、画素ごとの輝度値などである。
【0040】
こうして、画質低下部156は、シフトレジスタX(1)〜X(7)まで、対象データの画素値を1画素分ずつ記憶させている。その結果、シフトレジスタX(1)に近いほうが新しい(時間的に後に入力された)画素値が記憶され、シフトレジスタX(7)に近いほうが古い(時間的に先に入力された)画素値が記憶された状態となる。
【0041】
そして、画質低下部156は、シフトレジスタX(1)〜X(7)にそれぞれ割り当てられた重み付け係数を乗算し、乗算後の画素値を合算して、1.6で除算する。そして、画質低下部156は、除算値をシフトレジスタX(4)に対応する画素の画質低下処理後の画素値として出力する。
【0042】
続いて、シフトレジスタX(7)のデータは削除され、シフトレジスタX(1)〜(6)に記憶された画素値は、それぞれ、シフトレジスタX(2)〜(7)に、順次繰り上げられる。また、シフトレジスタX(1)には、新しい1画素分、画素値が記憶される。
【0043】
図4(b)には、画質低下部156へ入力される前後の対象データについて、画素値の波形イメージ260a、260bを示す。上述した重み付け係数の乗算からデータの繰り上げまでの処理を繰り返すと、出力される画素値(シフトレジスタX(4)に記憶された画素値)が前後の画素値に近づく。
【0044】
そのため、画素値の急激な変化が緩和され、図4(b)の波形イメージ260aから波形イメージ260bへと、なめらかに画素値が変化するようになる。すなわち、画質低下部156は、高周波成分を除外し、低周波成分を通過させるデジタルフィルタとして機能する。ここでは、画質低下部156がデジタルフィルタの場合について説明したが、画質低下部156は、アナログフィルタであってもよい。
【0045】
このように、デジタルフィルタとして機能する画質低下部156を通過すると、対象データが示す映像は、被写体の輪郭近傍など、画素値が急激に変化する部分において変化がなだらかとなり、ぼけたものとなる。すなわち、画質低下部156は、対象データにおける輪郭をぼかすことで、対象データの画質を低下させる(画質低下処理)。
【0046】
画質低下部156を、フィルタとして機能させる構成により、対象データの画質低下処理を、単にフィルタに通過させるのみで遂行でき、複雑な制御などが不要となり、立体映像表示装置110の製造コストを低減することが可能となる。
【0047】
図5は、第1の実施形態における表示部158に表示される映像と、シャッタ眼鏡120の開閉タイミングを説明するための説明図であり、図6は、比較例における表示部に表示される映像と、シャッタ眼鏡の開閉タイミングを説明するための説明図である。
【0048】
表示部158に表示される映像(以下、表示映像と称す)は、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの後、左眼用映像と右眼用映像のうち、一方の映像の一部が残像として残り他方の映像に混入して表示される、所謂クロストークが発生する。クロストークが発生すると、ユーザ130には被写体などの輪郭が二重に視認されたりして、見難い映像となってしまう。
【0049】
このクロストークをユーザ130に視認させないように、図6に示す比較例においては、同じ1フレーム分の左眼用映像を2回、同じ1フレーム分の右眼用映像を2回表示させ、クロストークが発生している映像が表示されている間は、シャッタ眼鏡の左眼用シャッタと右眼用シャッタの両方を閉じる。
【0050】
このような比較例の構成では、左眼用シャッタおよび右眼用シャッタそれぞれについて、開いている時間が閉じている時間の1/3となってしまう。すなわち、左眼用シャッタおよび右眼用シャッタは、それぞれ、全体の3/4の時間は閉じていることとなり、暗い映像として視認されてしまう。
【0051】
本実施形態においては、図5に示すように、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの前および後の両方のフレームデータを対象データとして、画質低下部156が上述した画質低下処理、すなわち、対象データの輪郭をぼかす処理を施す。すると、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの直前の映像(以下、前映像と称す)および直後の映像(以下、後映像と称す)がぼけるため、クロストークが目立たなくなる。そのため、シャッタ眼鏡120で当該映像を遮蔽する必要がなくなる。
【0052】
そこで、映像生成部154は、左眼用映像データについて、3回繰り返されたフレームデータ(左眼用映像データ列)に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を開、右眼用シャッタ226を閉とさせ、右眼用映像データについて、3回繰り返されたフレームデータ(右眼用映像データ列)に基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を閉、右眼用シャッタ226を開とさせる制御信号を生成する。
【0053】
そして、シャッタ眼鏡120のシャッタ制御部222は、この制御信号に従い、左眼用映像データについて、3回繰り返されたフレームデータに基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を開、右眼用シャッタ226を閉とさせ、右眼用映像データについて、3回繰り返されたフレームデータに基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を閉、右眼用シャッタ226を開とさせる。
【0054】
そのため、立体映像表示装置110は、左眼用シャッタ224および右眼用シャッタ226それぞれについて、全期間の半分の時間を開かせることができ、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減し、映像の視認性を向上することができる。
【0055】
(変形例)
図7は、変形例を説明するための説明図であり、図7(a)は、変形例における画質低下部256の構成を説明するための機能ブロックである。図7(a)に示すように、画質低下部256は、APL検出部256aと、ゲイン乗算部256bとを備えて構成される。
【0056】
APL検出部256aは、映像生成部154から出力されたシーケンシャルデータのうち、対象データについて、平均画像レベル(APL:Average Picture Level)を算出する。
【0057】
ゲイン乗算部256bは、画素値それぞれと平均画像レベルとの差分に1未満のゲインを乗算する。そして、ゲイン乗算部256bは、その乗算値に平均画像レベルを加算する。こうして、ゲイン乗算部256bは、APL検出部256aが算出した平均画像レベルを中心として、画素値のレンジを縮小する。その後、ゲイン乗算部256bは、レンジを縮小した対象データを含め、シーケンシャルデータを表示部158に出力する。
【0058】
図7(b)は、ゲイン乗算部256bへ入力される前後の対象データについて、画素値の波形イメージ270a、270bを示す。波形イメージ270aに対し、ゲイン乗算部256bを通過した波形イメージ270bは、APL272を中心とした振幅が小さくなっている。換言すれば、ゲイン乗算部256bを通過することで、対象データの画素値は、変化幅が小さくなる。
【0059】
このように、画質低下部256を通過すると、対象データが示す映像は、画素値、例えば、輝度値のレンジが狭くなる。すなわち、画質低下部256は、対象データのコントラストのレンジを小さくすることで、対象データの画質を低下させる(画質低下処理)。
【0060】
図8は、変形例における表示部158に表示される映像と、シャッタ眼鏡120の開閉タイミングを説明するための説明図である。
【0061】
図8に示すように、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの前および後の両方のフレームデータを対象データとして、画質低下部256が上述した画質低下処理、すなわち、対象データのコントラストのレンジを小さくする処理を施す。
【0062】
すると、前映像および後映像は、コントラストが低下するため、クロストークが目立たなくなり、シャッタ眼鏡120で当該映像を遮蔽する必要がなくなる。こうして、左眼用シャッタ224および右眼用シャッタ226それぞれについて、全期間の半分の時間を開かせることができ、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減し、映像の視認性を向上することができる。
【0063】
(立体映像表示方法)
次に、上述した立体映像表示装置110を用いて、シーケンシャルデータを表示する立体映像表示方法を説明する。図9は、第1の実施形態における立体映像表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。図9に示す処理は、立体映像表示装置110がシーケンシャルデータの表示を指示されている間、所定周期で繰り返し実行される。
【0064】
データ取得部150は、立体映像データを1フレーム分(左眼用映像データと右眼用映像データをそれぞれ1フレーム分)、例えば映像再生装置102から取得しバッファメモリ152に記憶させる(S300)。映像生成部154は、バッファメモリ152から立体映像データを1フレーム分読み出し、立体映像データを構成する左眼用映像データと右眼用映像データそれぞれについて、1フレームに対応するフレームデータを3回繰り返して左眼用映像データ列と右眼用映像データ列を生成する(S302)。
【0065】
映像生成部154は、連続する左眼用映像データ列と連続する右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成する(S304)。また、映像生成部154は、生成したシーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡120の開閉を制御する制御信号を生成する(S306)。制御出力部160は、生成された制御信号を、随時、シャッタ眼鏡120に出力する。
【0066】
そして、画質低下部156は、シーケンシャルデータから、並び順に、1つのフレームデータを選択し(S308)、選択したフレームデータが、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前または後のいずれかの位置にあたるか否か(対象データであるか否か)を判定する(S310)。
【0067】
対象データである場合(S310におけるYES)、画質低下部156は、画質低下処理を施す(S312)。対象データでない場合(S310におけるNO)、画質低下処理は施されない。
【0068】
続いて、画質低下部156は、フレームデータを、対象データであれば画質低下処理を施した後、対象データでなければそのまま、表示部158に出力する(S314)。表示部158は、出力されたシーケンシャルデータに基づいて、右眼用映像または左眼用映像を表示する(S316)。
【0069】
そして、画質低下部156は、立体映像データの1フレーム分(左眼用映像データと右眼用映像データをそれぞれ1フレーム分)について、すべてのフレームデータが選択されたか否かを判定する(S318)。まだ、未選択のフレームデータが残っている場合(S318におけるNO)、フレームデータ選択ステップS308に処理を移す。すべてのフレームデータが選択された場合(S318におけるYES)、立体映像データ取得ステップS300に処理を移す。
【0070】
かかる立体映像表示方法によっても、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減し、映像の視認性を向上することができる。
【0071】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、同じ左眼用映像および同じ右眼用映像をそれぞれ3回続けて表示部158に表示する立体映像表示装置110について説明した。第2の実施形態では、同じ左眼用映像および同じ右眼用映像をそれぞれ2回続けて表示部158に表示する立体映像表示装置410について説明する。なお、立体映像表示装置410と共に立体映像表示システムを構成するシャッタ眼鏡120については、上述した第1の実施形態のシャッタ眼鏡120と実質的に機能が等しいので重複説明を省略する。
【0072】
(立体映像表示装置410)
図10は、第2の実施形態における立体映像表示装置410の概略的な接続関係を示した機能ブロック図である。図10に示すように、立体映像表示装置410は、データ取得部150と、バッファメモリ152と、映像生成部454と、画質低下部456と、表示部158と、制御出力部160とを含んで構成される。第1の実施形態における構成要素としてすでに述べた、データ取得部150、バッファメモリ152、表示部158、制御出力部160は、実質的に機能が同一なので重複説明を省略する。
【0073】
映像生成部454は、バッファメモリ152から立体映像データを順次読み出し、立体映像データを構成する左眼用映像データと右眼用映像データそれぞれについて、1フレームに対応するフレームデータを2回繰り返して左眼用映像データ列と右眼用映像データ列を生成する。
【0074】
そして、映像生成部454は、連続する左眼用映像データ列と連続する右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成する。また、映像生成部454は、生成したシーケンシャルデータに基づいて、シャッタ眼鏡120の開閉を制御する制御信号を生成する。
【0075】
画質低下部456は、フィルタで構成され、生成されたシーケンシャルデータのうち、対象データに対して、フィルタリングを施すことで画質を低下させる画質低下処理を行う。上述した第1の実施形態では、対象データは、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前および後の両方のフレームデータであったが、本実施形態においては、対象データは、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの後のフレームデータである。
【0076】
図11は、第2の実施形態における表示部158に表示される映像と、シャッタ眼鏡120の開閉タイミングを説明するための説明図である。
【0077】
図11に示すように、左眼用映像および右眼用映像の切り換え後のフレームデータを対象データとして、画質低下部456が、画質低下部156と同様の画質低下処理、すなわち、対象データの輪郭をぼかす処理を施す。すると、後映像がぼけるため、クロストークが目立たなくなる。そのため、シャッタ眼鏡120で当該映像を遮蔽する必要がなくなる。
【0078】
そこで、映像生成部454は、左眼用映像データについて、2回繰り返されたフレームデータに基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を開、右眼用シャッタ226を閉とさせ、右眼用映像データについて、2回繰り返されたフレームデータに基づく映像が表示されている全期間、シャッタ眼鏡120の左眼用シャッタ224を閉、右眼用シャッタ226を開とさせる制御信号を生成する。シャッタ眼鏡120のシャッタ制御部222は、この制御信号に従って、左眼用シャッタ224および右眼用シャッタ226を開閉させる。
【0079】
このように、立体映像表示装置410は、左眼用シャッタ224および右眼用シャッタ226それぞれについて、全期間の半分の時間を開かせることができ、映像の明るさを低下させることがない。
【0080】
第2の実施形態では、前映像はぼけず、後映像に混入する(クロストークの)映像もぼけない。第1の実施形態では、前映像もぼけており、後映像に混入する映像もぼけていた。そのため、第2の実施形態より、第1の実施形態の方が、後映像のクロストークは目立ち難い。
【0081】
しかし、第2の実施形態でも、後映像においては、映像全体がぼけているため、画質低下処理を施さない場合よりはクロストークが目立ち難い。また、第1の実施形態では、左眼用映像データおよび右眼用映像データそれぞれについて、同じフレームデータに基づく映像を3回連続して表示しなければならない。しかし、本実施形態では、同じフレームデータを2回連続して表示すればよく、立体映像表示装置410の処理負荷を低減できる。
【0082】
また、画質低下部456は、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの後のフレームデータを対象データとして画質低下処理を施すため、表示部158には、画質低下処理を施した映像の後、同じフレームで、画質低下処理を施していない明瞭な映像が再表示される。この場合、後に表示された映像の方が支配的に視認されるため、立体映像表示装置410は、ユーザ130に明瞭な映像を視認させつつ、クロストークを目立ち難くすることができる。
【0083】
本実施形態では、画質低下部456は、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの後のフレームデータを対象データとしたが、左眼用映像および右眼用映像の切り換えの前のフレームデータを対象データとしてもよい。この場合、前映像がぼけた映像となり、後映像に混入する映像もぼけている。そのため、後映像のクロストークを効果的に目立ち難くすることができる。
【0084】
(立体映像表示方法)
次に、上述した立体映像表示装置410を用いて、シーケンシャルデータを表示する立体映像表示方法を説明する。図12は、第2の実施形態における立体映像表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。第1の実施形態と同様、図12に示す処理は、立体映像表示装置410がシーケンシャルデータの表示を指示されている間、所定のフレーム周期で繰り返し実行される。
【0085】
データ取得部150は、立体映像データを1フレーム分、例えば映像再生装置102から取得しバッファメモリ152に記憶させる(S300)。映像生成部454は、バッファメモリ152から立体映像データを1フレーム分読み出し、立体映像データを構成する左眼用映像データと右眼用映像データそれぞれについて、1フレームに対応するフレームデータを2回繰り返して左眼用映像データ列と右眼用映像データ列を生成する(S502)。
【0086】
映像生成部454は、連続する左眼用映像データ列と連続する右眼用映像データ列とを交互に並べたシーケンシャルデータを生成する(S504)。
【0087】
以下、制御信号生成ステップS306から、フレームデータ選択ステップS308までの処理は、第1の実施形態で説明した処理と実質的に等しいため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
そして、画質低下部456は、選択したフレームデータが、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの後のフレームデータであるか否か(対象データであるか否か)を判定する(S510)。
【0089】
以下、画質低下処理ステップS312から、フレーム終了判定ステップS318までの処理は、第1の実施形態で説明した処理と実質的に等しいため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
かかる立体映像表示方法によっても、映像の明るさを低下させることなく、左眼用映像と右眼用映像とのクロストークを低減し、映像の視認性を向上することができる。
【0091】
上述した第1の実施形態では、対象データとして、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前および後の両方の1フレームに対応するフレームデータを対象データとした。しかし、対象データは、左眼用映像データおよび右眼用映像データの切り換えの前および後のいずれか一方であってもよい。
【0092】
また、上述した第2の実施形態では、画質低下部456は、対象データをフィルタに通過させて、対象データの被写体の輪郭をぼかす場合について説明したが、画質低下部は、画質低下部256と同様、対象データのコントラストのレンジを小さくしてもよい。
【0093】
また、上述した第1の実施形態および第2の実施形態では、画質低下部156、456は、対象データをフィルタに通過させて、対象データの被写体の輪郭をぼかす場合について説明し、変形例では、画質低下部256は、対象データのコントラストのレンジを小さくする場合について説明したが、いずれの実施形態においても、画質低下部は、対象データをフィルタに通過させて、対象データの被写体の輪郭をぼかすとともに、対象データのコントラストのレンジを小さくしてもよい。この場合、画質低下部は、対象データに対して、ぼかす処理とコントラストのレンジを小さくする処理それぞれについて、いずれか一方の処理のみを施す場合に比べ、それぞれの処理の強度を弱くしても、十分にクロストークを低減できる。そのため、画質低下部は、画質低下処理による画質の低下を最小限に抑制することが可能となる。
【0094】
なお、本明細書の立体映像表示方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、シャッタ眼鏡を介して立体映像として知覚される映像を表示する立体映像表示装置および立体映像表示方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
410 …立体映像表示装置
120 …シャッタ眼鏡
150 …データ取得部
454 …映像生成部
456 …画質低下部
158 …表示部
224 …左眼用シャッタ
226 …右眼用シャッタ
図1
図2
図3
図4
図6
図7
図9
図10
図12
図5
図8
図11