(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884587
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20160301BHJP
A47K 13/30 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
E03D9/08 A
E03D9/08 E
A47K13/30 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-65516(P2012-65516)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194476(P2013-194476A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】酒井 哲治
(72)【発明者】
【氏名】小田 誠
(72)【発明者】
【氏名】冨田 正
【審査官】
湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−125472(JP,U)
【文献】
特開2011−156279(JP,A)
【文献】
実開平04−015498(JP,U)
【文献】
実開昭55−150881(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
A47K 13/00 − 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に固定される本体部と、
使用者が着座する着座面を有し、前記本体部に対して上下方向に回動自在な便座と、
噴出部から洗浄水を噴出して使用者の人体局部を洗浄する洗浄装置とを備え、
前記便座を下げた状態における、前記便座の開口における前記着座面から前記便器の上面に向かって延びる側壁は、前記本体部側に向かって高くなる形状となり、
前記噴出部は、前記本体部の内部の所定位置に支持され、伸縮なくして前記本体部の内部より洗浄水を噴出し、
前記本体部は、第1の噴出口を有し、
前記本体部の面と対向する前記側壁は、前記第1の噴出口と整列する位置に第2の噴出口を有し、
前記噴出部は、前記第1の噴出口と前記第2の噴出口とを介して使用者の人体局部に洗浄水を噴出する
便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボウルとボウル上端部に内側に折り返されたフランジを有する便器と、便器に固定されフランジの内壁に沿って内周面を有する本体部と、本体部に収容され、人体局部を洗浄する際に本体部より突出するノズルの先端から洗浄水を噴出する噴出部を有する局部洗浄装置と、本体部に対して回動自在に取り付けられる便座と、を備える便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示される便座装置では、人体局部洗浄時には、ノズルを本体部より突出して噴出部が人体局部に近い位置にて洗浄水を噴出するため、ノズルの周囲に飛散する汚水が噴出部に付着する虞がある。このため、噴出部が汚れにくい構造が必要である。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、噴出部に汚水が付着するのを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、便器に固定される本体部と、使用者が着座する着座面を有し、前記本体部に対して上下方向に回動自在な便座と、噴出部から洗浄水を噴出して使用者の人体局部を洗浄する洗浄装置とを備え、前記便座を下げた状態における、前記便座の開口における前記着座面から前記便器の上面に向かって延びる側壁は、前記本体部側に向かって高くなる形状となり、前記噴出部は、前記本体部の内部の所定位置に支持され、伸縮なくして前記本体部の内部より洗浄水を噴出する構成である。
【0007】
上記構成において、前記噴出部は、前記本体部に設けられた噴出口を介して使用者の人体局部に洗浄水を噴出する構成とすると良い。
【0008】
また、前記本体部は、第1の噴出口を有し、前記本体部の面と対向する前記側壁は、前記第1の噴出口と整列する位置に第2の噴出口を有し、前記噴出部は、前記第1の噴出口と前記第2の噴出口とを介して使用者の人体局部に洗浄水を噴出する構成としても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置によれば、人体局部洗浄時には、噴出部を本体部より突出させず伸縮なくして噴出部が洗浄水を噴出するため、人体局部に噴出部が近付かない構成となり、噴出口の周囲に飛散する汚水が噴出部に付着するのを抑制する。
【0010】
また、本体部に噴出口を有するため、噴出口の周囲に飛散する汚水が本体部で防がれ、噴出部に汚水が付着するのを抑制することができる。
【0011】
また、側壁に第2の噴出口を有するため、第2の噴出口の周囲に飛散する汚水が側壁で防がれ、噴出部に汚水が付着するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る便座装置を便器に取り付けた場合の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る便座装置の発明要所の部分断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る便座装置の使用時の説明図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る洗浄装置の流水回路のブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る便座装置の噴出部の構成を示した要所部分断面図である。
【
図6】本発明の変形例に係る便座装置を便器に取り付けた場合の正面図である。
【
図7】本発明の変形例に係る便座装置の発明要所の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1〜3に示すように、便座装置1は便器2の上面に固定される本体部3と、本体部3に対して回動軸10を中心に上下方向に回動自在な便座4と、使用者の人体局部を洗浄する洗浄装置5と、を備える。
【0015】
便器2の上面に当接するよう便座4を下げた状態における、便座4は、上面に使用者が着座する着座面11を有する。便座4は、使用時に着座面11の使用者の足がある側を前方とし、着座面11の本体部3側を後方とすると、便座4の開口における着座面11から便器2の上面に向かって延びる側壁13は後方(本体部3側)に向かって高くなる形状となる。言い換えると、便座前方部14に対して便座後方部15は高くなっており、便座4の着座面11は便座前方部14と便座後方部15とが傾斜して同一平面状となる面が形成される。ここで、着座面11とは使用者が着座する範囲に限らず、便座4の着座する側の面全体のことをいい、例えば、便座後方部15としては回動軸10の位置まで延在する部分を含むものである。
【0016】
洗浄装置5は、本体部3の内部の所定位置に支持され、後述する流水回路20より洗浄水を供給され、伸縮なくして本体部3の内部より洗浄水を噴出する噴出部21を有する。また、洗浄装置5は、本体部3の前面22に、開閉可能であって噴出部21より洗浄水を噴出する際に開くシャッター23(噴出口)を有する。
【0017】
図4に示すように、流水回路20において、洗浄水を供給する水は、水道は第1パイプ30を介して給水バルブ31と接続され、給水バルブ31は第2パイプ32を介して温水タンク33と接続される。温水タンク33は、内部に貯めた洗浄水を温めるヒーター34と、洗浄水の温度を検知するセンサー35とを有する。また、温水タンク33は第3パイプ36を介して流調バルブ37と接続され、流調バルブ37は第4パイプ38を介して噴出部21と接続される。噴出部21は前方に洗浄水を噴出する孔21aを有する。
【0018】
また、シャッター23は、
図5に示すように、下方に開口した凹形状の上摺動部24と、上方に開口した凹形状の下摺動部25とに摺動可能に挟持され、駆動源となるモーター40と、モーター40に取り付けられるピニオンギア41と、ピニオンギア41と噛み合いシャッター23に設けられるラック42とによりシャッター23を回動軸10長手方向に開閉可能に設けられる。
【0019】
そして、流水回路20は、図示しない外部電源に接続され、給水バルブ31と、ヒーター34と、センサー35と、流調バルブ37と、モーター40と、を制御する制御装置50を備える。
【0020】
本発明の実施形態の動作について説明する。
図3に示すように使用者が着座面11に座った状態で、図示しない操作部で人体局部の洗浄の操作を行うと、モーター40が回転してピニオンギア41が
図4において反時計回りに回転し、ラック42を有するシャッター23が温水タンク33のある右手方向へと変位してスライドして開口され、洗浄水が流水回路20を通って噴出部21から噴出し、人体局部の洗浄を行う。また、人体局部の洗浄を終えると、噴出部21は洗浄水の噴出を止め、モーター40が回転してピニオンギア41が
図4において時計回りに回転し、ラック42を有するシャッター23が制御装置50のある左手方向へと変位してスライドして閉口する。
【0021】
本発明の実施形態に係る効果を説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係る便座装置1によれば、噴出部21を本体部3より突出させず(伸縮なくして)洗浄を行うため、シャッター23の周囲に飛散する汚水(使用者が用を足す時の汚水など)が噴出部21に付着するのを抑制する。
【0023】
また、本体部3にシャッター23を有するため、シャッター23の周囲に飛散する汚水がシャッター23で防がれ、噴出部21に汚れが付着するのを抑制することができる。
【0024】
本発明の変形例を
図6、7に基づいて説明する。
【0025】
図6、7に示すように便座装置1aは便器2の上面に固定される本体部3aと、本体部3aに対して回動軸10aを中心に上下方向に回動自在な便座4aと、使用者の人体局部を洗浄する洗浄装置5aと、を備える。
【0026】
便器2の上面に当接するよう便座4aを下げた状態における、便座4aは、上面に使用者が着座する着座面11aを有する。便座4aは、使用時に着座面11aの使用者の足がある側を前方とすると、便座4aの開口における着座面11aから便器2の上面に向かって延びる側壁13aは後方(本体部3a側)に向かって高くなる形状となる。言い換えると、便座前方部14aに対して便座後方部15aは高くなっており、便座4aの着座面11aは便座前方部14aと便座後方部15aとが傾斜して同一平面状となる面が形成される。ここで、着座面11aとは使用者が着座する範囲に限らず、便座4aの着座する側の面全体のことをいい、例えば、便座後方部15aとしては回動軸10aの位置まで延在する部分を含むものである。
【0027】
洗浄装置5aは、本体部3aの内部の所定位置に支持され、図示しない流水回路20aより洗浄水を供給され、伸縮なくして本体部3aの内部より洗浄水を噴出する噴出部21aを有する。また、本体部3aは前面22aに第1の噴出口23aを有し、第1の噴出口23aは噴出部21aと当接し、便座4aは前面22aと対向し便座後方部15aから下方に向かって延出する前面17a(側壁)を備え、前面17aは第1の噴出口23aと整列する位置に第2噴出口18aを有する。言い換えると、本体部3a及び便座4aは、第1の噴出口23a及び第2の噴出口18aを一直線上に整列する位置に有する。また、第1の噴出口23a及び第2の噴出口18aは洗浄水を噴出できる程度の微少な孔である。
【0028】
本発明の変形例に係る効果を説明する。
【0029】
本発明の変形例に係る便座装置1によれば、噴出部21aを本体部3aより突出させず(伸縮なくして)洗浄を行うため、噴出口23aの周囲に飛散する汚水(使用者が用を足す時の汚水など)が噴出部21aに付着するのを抑制する。
【0030】
また、前面17aに第2の噴出口18aを有するため、噴出口18aの周囲に飛散する汚水が前面17aで防がれ、噴出部21aに汚水が付着するのを抑制することができる。
【0031】
また、前面22aに第1の噴出口23aを有するため、第2の噴出口18aを通過してきた汚水が前面22aで防がれ、噴出部21aに汚水が付着するのを抑制することができる。
【0032】
また、ノズルやシャッター23を用いる場合と異なり、駆動機構を必要としないため、部品点数及び組付け工数を低減させ、コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 便座装置
2 便器
3 本体部
4 便座
5 洗浄装置
11 着座面
21 噴出部
23 シャッター(噴出口)