(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る蓄電装置について
図1〜
図3を用いて説明する。本蓄電装置は、車両(自動車及び産業用車両)に複数搭載されており、車両に搭載された走行用モータ(電動機)を駆動するのに用いられる。なお、
図3(b)については、セパレータ23を破断していない状態での
図3(a)のA−A線断面図を示す。
【0017】
蓄電装置としての二次電池10はリチウムイオン二次電池であり、
図1に示すように、その外郭を構成する金属製のケース11を備えている。ケース11は、四角箱状の容器12と、容器12の開口部分を塞ぐ矩形平板状の蓋13とからなる。このため、二次電池10は、その外郭が角型をなしている。
【0018】
ケース11には、電極組立体14及び電解質としての電解液(図示略)が収容されている。電極組立体14は、
図2に示すように、複数のシートが位置ずれしないように構成された複数のシート集合体20と複数の負極シート22とが交互に積層されてなる。シート集合体20は、第1電極シートとしての正極シート21と、電気伝導に係るイオン(リチウムイオン)が通過可能に形成され、当該正極シート21の両面を覆った状態で正極シート21を挟む一対のセパレータ23,24とから構成されている。
【0019】
各電極シート21,22及び一対のセパレータ23,24はそれぞれ、矩形状(詳細には長方形状)に形成されている。正極シート21は負極シート22よりも一回り小さく形成されており、具体的には正極シート21の各方向の長さはそれぞれ、負極シート22の各方向の長さよりも短く設定されている。一対のセパレータ23,24はそれぞれ、負極シート22よりも一回り大きく形成されており、具体的にはセパレータ23,24の各方向の長さはそれぞれ、負極シート22の各方向の長さよりも長く設定されている。
【0020】
正極シート21は、正極金属箔(例えばアルミニウム箔)21aと、当該正極金属箔21aの両面に正極活物質が塗布されることによって形成された正極活物質層21bとから構成されている。第2電極シートとしての負極シート22は、負極金属箔(例えば銅箔)22aと、当該負極金属箔22aの両面に負極活物質が塗布されることによって形成された負極活物質層22bとから構成されている。シート集合体20と負極シート22とが積層されることにより、正極活物質層21bと負極活物質層22bとは、一対のセパレータ23,24を間に挟んだ状態で対向している。この各活物質層21b,22bが対向している領域が充放電に寄与する領域である。
【0021】
なお、電極組立体14の積層方向の両端にあるシート集合体20の正極シート21には、片面(内側の面)のみに正極活物質層21bが形成されている。このため、正極活物質層21bにおいて負極活物質層22bと対向しない領域が形成されることが回避されている。なお、これに限られず、例えば電極組立体14の両端に負極シート22を設ける構成としてもよい。この場合、上記両端に設けられた負極シート22と容器12との短絡を抑制するために負極シート22の表面又は容器12の内面に絶縁コーティングを施したり、負極シート22と容器12との間にセパレータを挿入したりするとよい。
【0022】
図2に示すように、正極シート21には、正極シート21の第1端部21c(一辺方向(長手方向))に沿って、正極活物質が塗布されていない正極側未塗工部21dが形成されている。正極側未塗工部21dは、正極シート21の他辺方向(短手方向)に幅を有して形成されている。そして、正極シート21の第1端部21cの一方側には、正極金属箔21aを延出させて形成された正極集電タブ31が設けられている。本実施形態では、一対のセパレータ23,24は、正極集電タブ31の部分を除いて、正極シート21の端部よりも正極シート21の面に沿った方向の外側にはみ出している。したがって、一対のセパレータ23,24は、正極シート21の大部分を覆っている。
【0023】
また、負極シート22には、正極シート21と同様に、負極シート22の端部22cに沿って、負極活物質が塗布されていない負極側未塗工部22dが形成されている。負極側未塗工部22dは、負極シート22の短手方向に幅を有して形成されている。負極側未塗工部22dの幅は正極側未塗工部21dの幅よりも短く設定されている。そして、負極シート22の端部22cにおいて正極集電タブ31とは反対側の部位には、負極金属箔22aを延出させて形成された負極集電タブ32が設けられている。複数のシート集合体20と複数の負極シート22とが積層されることにより、各集電タブ31,32はそれぞれ集合している。
【0024】
図1に示すように、ケース11の蓋13には正極端子41及び負極端子42が設けられているとともに、当該各端子41,42と各集電タブ31,32との同一極性同士を接続する正極電極51及び負極電極52とが設けられている。これにより、電極組立体14の電力をケース11外に取り出すことができるとともに、電極組立体14に対して電力を供給することにより、電極組立体14を充電することが可能となっている。
【0025】
次に、シート集合体20における正極シート21及び一対のセパレータ23,24の位置ずれを抑制するための構成について説明する。
図2に示すように、シート集合体20は、正極シート21が一対のセパレータ23,24によって挟まれた状態で、当該一対のセパレータ23,24が接続されていることによって一体化されている。具体的には、シート集合体20には、一対のセパレータ23,24を接続するものとして、一対のセパレータ23,24(シート集合体20)の対向する2つの端部に形成された第1溶着部61(第1接続部)及び第2溶着部62(第2接続部)が設けられている。換言すれば、一方のセパレータ23は、他方のセパレータ24と接続された第1溶着部61及び第2溶着部62を有していると言え、他方のセパレータ24は、一方のセパレータ23と接続された第1溶着部61及び第2溶着部62を有していると言える。
【0026】
第1溶着部61は、一対のセパレータ23,24の短手方向の端部のうち正極シート21の第1端部21c側である各端部23a,24a側に設けられている。第2溶着部62は、第1溶着部61が設けられている各端部23a,24a側とは反対側の各端部23b,24b側に設けられている。なお、以降の説明において、一対のセパレータ23,24において第1溶着部61が設けられている側の各端部23a,24aを総称して第1セパレータ端部71といい、第2溶着部62が設けられている側の各端部23b,24bを総称して第2セパレータ端部72という。
【0027】
先ず、第1溶着部61について詳細に説明すると、
図2及び
図3(a)に示すように、正極シート21において正極側未塗工部21dが形成されている側の第1端部21cには、第1端部21cから第2端部21eに向かって凹んだ凹部73が形成されている。また、凹部73は、正極シート21の第1端部21cの中央付近に形成されている。凹部73は、傾斜した2辺が1点で交差する形状をなしており、具体的には正面から見てV字状をなしている。換言すれば、凹部73は、正極シート21の第1端部21cに向けて開口しているものであるとも言えるし、正極シート21の第1端部21cから、正極シート21の面に沿う方向(電極組立体14の積層方向に直交する方向)の内側(当該第1端部21cと直交する方向)に向けて凹んだものであるとも言える。凹部73は、その一部が正極活物質層21bに入り込んでいる。つまり、凹部73は、正極側未塗工部21d及び正極活物質層21bに跨って形成されている。凹部73は、正極シート21をプレスによって打ち抜く時に一体形成してもよいし、別途切り欠いて形成してもよい。
【0028】
第1溶着部61は少なくとも一部が凹部73内に形成されている。本実施形態では、第1溶着部61は、その大部分が凹部73が形成されている領域内に介在する。そして、第1溶着部61の一部が凹部73からはみ出している。
図3(b)に示すように、第1溶着部61は、一対のセパレータ23,24が熱溶着している部分である。
図3(a)に示すように、第1溶着部61は凹部73を形成している各側面73a,73bと当接している。つまり、第1溶着部61は、各側面73a,73bによって、各溶着部61,62の対向方向と直交する方向(詳細には正極シート21の長手方向)から挟まれている。
【0029】
ここで、既に説明した通り、正極シート21の短手方向の長さは、一対のセパレータ23,24の短手方向の長さよりも短くなっている。このため、
図2に示すように、凹部73内に第1溶着部61が入り込むように正極シート21が配置されている状況においては、一対のセパレータ23,24において第1溶着部61が形成されている第1セパレータ端部71とは反対側の第2セパレータ端部72は正極シート21の第2端部21eよりもはみ出している。そして、そのはみ出した領域に一対のセパレータ23,24が熱溶着された第2溶着部62が形成されている。第2溶着部62は、一対のセパレータ23,24の長手方向に、所定の間隔を隔てて複数形成されている。
【0030】
次に、本発明に係る二次電池10の作用について説明する。
図2に示すように、第1溶着部61及び第2溶着部62が対向して設けられており、これら各溶着部61,62によって正極シート21が挟まれている。これにより、正極シート21が一対のセパレータ23,24に対して各溶着部61,62の対向方向、詳細には正極シート21の各端部21c,21eの対向方向(正極シート21の短手方向)に位置ずれしないようになっている。なお、正極シート21の短手方向の第1端部21cに正極集電タブ31が形成されていることに着目すれば、上記対向方向は正極集電タブ31の引き出し方向であるとも言える。
【0031】
さらに、第1溶着部61は、凹部73の各側面73a,73bによって、正極シート21の長手方向から挟まれている(
図3(a)参照)。これにより、正極シート21が一対のセパレータ23,24に対して長手方向(正極集電タブ31の引き出し方向と直交する方向)に位置ずれしないようになっている。これにより、一対のセパレータ23,24における長手方向の両端部に、各セパレータ23,24を接続するとともに正極シート21の位置ずれを規制する溶着部を設ける必要がない。
【0032】
以上のことから、一対のセパレータ23,24に対して正極シート21が位置ずれしないようになっている。
なお、
図2に示すように、負極側未塗工部22dの短手方向に沿う幅は、正極側未塗工部21dの短手方向に沿う幅よりも短く設定されている。このため、各電極シート21,22を、各未塗工部21d,22dが形成されている各端部21c,22cを揃えて積層した場合に、正極活物質層21bにおいて負極活物質層22bと対向しない領域が発生しないようになっている。
【0033】
次に、本発明に係る二次電池10の製造方法について説明する。先ず、電極組立体14の製造方法に含まれるシート集合体20の製造方法ついて
図4を用いて説明した後、二次電池10の製造方法について説明する。
【0034】
先ず、
図4に示すように、一対のセパレータ23,24の材料となる帯状のセパレータベースS1,S2を2つ用意する。各セパレータベースS1,S2の幅(短手方向の長さ)は、正極シート21の短手方向の長さよりも長く設定されている。そして、正極シート21を挟みつつ、セパレータベースS1,S2を重ねて配置する。その後、
図4の一点鎖線で示すように、各セパレータ23,24の長手方向の長さに合わせてセパレータベースS1,S2を切断する。この際、一対のセパレータベースS1,S2において正極シート21の凹部73と重なっている第1溶着領域81及び当該第1溶着領域81とは反対側であって正極シート21が重なっていない複数の第2溶着領域82に対して熱処理を施す。これにより、各溶着部61,62が形成され、正極シート21が一対のセパレータ23,24に対して位置ずれしないようになる。
【0035】
なお、各溶着領域81,82に熱処理が施されることにより、当該各溶着領域81,82はリチウムイオンの通過ができない領域(シャットダウン領域)となる。つまり、各溶着部61,62はリチウムイオンの通過が困難となっている。
【0036】
また、切断及び熱処理は、同時に行う構成としてもよいし、別々に行う構成としてもよい。この場合、切断を行なってから熱処理を行なってもよく、その逆でもよい。
シート集合体20を形成した後は、当該シート集合体20と負極シート22とを交互に積層する。これにより、
図1に示すように、電極組立体14が形成される。そして、その電極組立体14をケース11に収容し、ケース11の蓋13に形成された注入口83から電解液を注入する。そして、注入口83を封止部84によって封止する。その後、電解液がシート集合体20内、具体的には正極シート21及び一対のセパレータ23,24間に十分に含浸するまで待つ(含浸工程)。その後、コンディショニング等の各種処理を行うことで、二次電池10が製造される。
【0037】
本発明に係る二次電池10の製造方法の作用について説明する。
予め正極シート21及び一対のセパレータ23,24から構成されるシート集合体20を作成しておき、当該シート集合体20と負極シート22とを積層する構成としたことにより、一対のセパレータ23,24を積層する必要がない。
【0038】
また、シート集合体20における各側部のうち、各溶着部61,62が設けられている箇所以外は、電解液が侵入可能となっている。このため、電解液がシート集合体20内に侵入し易くなっている。
【0039】
なお、正極シート21は、正極金属帯を正極シート21の外形を構成する金型で打ち抜くことによって形成される。この場合、上記金型は、打ち抜いた場合に凹部73が形成されるように予め成形されている。これにより、凹部73を形成するための特別な処理を行う必要がない。
【0040】
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
(1)正極シート21、及び当該正極シート21の両面を覆う一対のセパレータ23,24で構成されたシート集合体20を形成し、当該シート集合体20と負極シート22とを積層する構成とした。これにより、シート集合体20を積層することにより、自ずと正極シート21及び一対のセパレータ23,24が積層されることとなる。これにより、正極シート21及び一対のセパレータ23,24を別々に積層する構成と比較して、積層時間を短縮することができる。
【0041】
かかる構成において、正極シート21の第1端部21cに当該第1端部21cから第2端部21e側に凹んだ凹部73を形成し、当該凹部73内に、正極シート21を挟む一対のセパレータ23,24を接続する第1溶着部61を形成した。そして、一対のセパレータ23,24における第1溶着部61とは反対側(正極シート21の第2端部21e側)に第2溶着部62を形成し、正極シート21を各溶着部61,62によって挟む構成とした。これにより、各溶着部61,62によって、正極シート21が、一対のセパレータ23,24に対して各溶着部61,62の対向方向(短手方向)に位置ずれすることが規制されている。そして、第1溶着部61と凹部73の各側面73a,73bとの当接によって、一対のセパレータ23,24に対する上記対向方向と直交する方向(長手方向)への正極シート21の位置ずれが規制されている。これにより、一対のセパレータ23,24における長手方向の端部に正極シート21の位置ずれを規制するための溶着箇所を形成することなく、一対のセパレータ23,24に対する正極シート21の各方向への位置ずれを抑制することができる。よって、充放電に寄与しない溶着箇所を削減することができ、それを通じてエネルギ密度の低下を抑制することができる。また、シート集合体20の各側部のうち各溶着部61,62の形成箇所以外は、電解液が侵入可能となっている。これにより、シート集合体20内に電解液が含浸し易くなっている。よって、含浸工程に要する時間の短縮化を図ることができる。
【0042】
(2)一対のセパレータ23,24を接続する態様として、比較的容易な溶着を採用したことにより、両者の接続を容易に行うことができる。特に、熱溶着は、比較的容易な接続方法であるとともにその強度も高い反面、その溶着箇所は電解液の通過が困難となる。このため、含浸工程の時間が長くなり易い。また、溶着箇所を確保するためには正極シート21を小さく形成する必要が生じ得る。さらに、溶着のために熱を付与すると、一対のセパレータ23,24が収縮し、シワが発生する。
【0043】
これに対して、本実施形態によれば、正極シート21の位置ずれを規制するための溶着箇所を少なくすることができるため、上記不都合を回避することができる。
(3)正極シート21に、正極活物質が塗布されていない正極側未塗工部21dを形成した。そして、凹部73はその一部が正極側未塗工部21dに形成されている構成とした。これにより、充放電に寄与しない領域である正極側未塗工部21dを利用して凹部73が形成されているため、位置ずれを抑制するための構成を設けることによって生じ得る充放電に寄与しない領域の拡大を抑制することができる。
【0044】
(4)シート集合体20を構成する電極シートとして正極シート21を採用した。ここで、正極シート21は、正極活物質層21bにおいて負極活物質層22bと対向しない領域が形成されないよう、負極シート22よりも小さく形成される。また、一対のセパレータ23,24は
、溶着のためのスペース確保のために、覆う対象シートよりも大きく形成される必要がある。
【0045】
この点、本実施形態によれば、相対的に小さい正極シート21を対象シートとすることにより、負極シート22を対象シートとする構成と比較して、一対のセパレータ23,24を小さくすることができる。よって、シート集合体20の小型化を図ることができる。
【0046】
(5)第2接続部として、第2セパレータ端部72に沿って所定の間隔を隔てて形成された複数の第2溶着部62を採用した。これにより、正極シート21の位置ずれを、より好適に抑制することができる。また、第2溶着部62間の隙間から電解液が侵入可能となっているため、含浸工程の時間が長くなることを抑制することができる。
【0047】
特に、第1接続部として凹部73内に形成された第1溶着部61を採用した場合、熱処理態様等によっては、第1溶着部61と凹部73との間に隙間が形成され得る。この場合、長手方向への又は回転方向への正極シート21の位置ずれが発生し得る。これに対して、本実施形態によれば、複数の第2溶着部62を形成することにより、上記隙間が発生した場合であっても、上記各方向の正極シート21の位置ずれを抑制することができる。
【0048】
(6)負極側未塗工部22dの幅を正極側未塗工部21dの幅よりも短く設定した。これにより、各電極シート21,22を、各集電タブ31,32が形成されている各端部21c,22cを揃えて積層した場合に、正極活物質層21bにおいて負極活物質層22bと対向しない領域が発生しないようにすることができる。
【0049】
なお、正極シート21は、第2溶着部62のスペースを確保するべく、一対のセパレータ23,24に対してその短手方向にずれて(詳細には第1セパレータ端部71寄りに)配置されている。この場合、正面から見て、第1セパレータ端部71と正極シート21の第1端部21cとの間隔は、第2セパレータ端部72と正極シート21の第2端部21eとの間隔よりも狭い(
図4参照)。このため、リチウムの析出を抑制するべく、負極シート22を正極シート21よりも第1セパレータ端部71寄りに配置しようとすると、負極シート22が各セパレータ23,24を越えて正極シート21と接触するおそれがある。
【0050】
これに対して、本実施形態によれば、負極側未塗工部22dの幅を正極側未塗工部21dの幅よりも短く設定したことにより、負極シート22を正極シート21よりも第1セパレータ端部71寄りに配置する必要がない。これにより、上記接触を回避することができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、凹部73はV字状に形成されていたが、これに限られず、正極シート21を、各溶着部61,62の対向方向(正極シート21の短手方向)と直交(交差)する方向(長手方向)への正極シート21の位置ずれを規制するように形成されていれば、その具体的な構成は任意である。例えば、
図5(a)に示すように、幅が内側に向けて徐々に短くなった台形状をなした凹部91であってもよく、
図5(b)に示すように、正方形状をなした凹部92であってもよい。また、
図5(c)に示すように、湾曲した凹部93であってもよい。
【0052】
○ さらに、実施形態では、凹部73は正極側未塗工部21dと正極活物質層21bとに跨って形成されていたが、これに限られない。例えば
図5(c)に示す凹部93は、正極側未塗工部21dのみに形成されており、正極活物質層21bには形成されていない。これにより、凹部93によって充放電に寄与する領域が縮小されることがない。
【0053】
○ 実施形態では、第2接続部として複数の第2溶着部62を採用したが、これに限られず、その具体的な溶着態様は任意である。例えば、一対のセパレータ23,24の各端部23b,24b全体に亘って熱溶着する構成でもよく、正極シート21の第2端部21eに別途凹部を形成し、その凹部内に溶着部を設ける構成としてもよい。
【0054】
○ 実施形態では、第1溶着部61は、凹部73の各側面73a,73bと当接するように構成されていたが、これに限られず、正極シート21が一対のセパレータ23,24からはみ出さない範囲内で、第1溶着部61と凹部73の各側面73a,73bとの間に隙間が形成されていてもよい。
【0055】
○ 実施形態では、一対のセパレータ23,24によって正極シート21を覆う構成としたが、これに限られない。例えば、
図6(a)に示す電極組立体100におけるシート集合体101は、一体のセパレータ102を折り返し、そのセパレータ102で正極シート111を挟むことによって形成されている。この場合、セパレータ102を折り返すことによって形成された折り返し部102aが第2溶着部62として機能する。詳細には、第1溶着部61と折り返し部102aとによって、正極シート111の短手方向(第1溶着部61と折り返し部102aとの対向方向)の移動が規制されている。
【0056】
すなわち、シート集合体を構成するセパレータとしては、正極シートの両面を覆っていれば、実施形態のように一対のセパレータ23,24であってもよいし、上記のように一体のセパレータ102であってもよい。換言すれば、正極シートの一方の面を覆う第1セパレータ部と他方の面を覆う第2セパレータ部とは、別体であってもよいし、1の部材であってもよい。
【0057】
ここで、折り返し部102aは、第2溶着部62と比較して、その幅が短い。このため、充放電に寄与する領域を拡大することができる。具体的には、
図6(a)に示すように、上記セパレータ102に挟まれる正極シート111の短手方向の長さは、実施形態の正極シート21(
図2参照)よりも長くなっている。詳細には、正極金属箔111a及び正極活物質層111bの短手方向の長さが実施形態のそれらよりも長く設定されている。これにより、充放電に寄与する領域が拡大している。
【0058】
なお、上記シート集合体101の製造方法について説明すると、先ず
図6(b−1)に示すように、一体のセパレータベースS3を折り返した状態で、正極シート111を順次挿入する。そして、
図6(b−2)に示すように、セパレータベースS3において正極シート111の両側を切断し、第1溶着領域81に対して熱処理を施す。これにより、シート集合体101が形成される。
【0059】
○ 実施形態では、各セパレータ23,24の接続態様として溶着を採用したが、これに限られず、接続することが可能であれば、その具体的な態様は任意である。例えば、接着剤又は接着テープを用いて接着させる構成としてもよいし、各セパレータ23,24に係止部を設け、係止によって接続する構成としてもよいし、各セパレータ23,24を縫合によって接続する構成としてもよい。
【0060】
○ 実施形態では、正極シート21の各端部のうち正極側未塗工部21dが形成されている側の第1端部21cに凹部73を形成したが、これに限られず、第2端部21e等、別の端部に形成してもよい。
【0061】
○ 実施形態では、各溶着部61,62を一対のセパレータ23,24の短手方向に対向させて形成したが、これに限られず、長手方向に対向させて形成してもよい。
○ 実施形態では、シート集合体20を構成するものとして正極シート21を採用したが、これに限られず、負極シート22を採用してもよい。この場合、負極シート22の負極側未塗工部22dが形成されている側の端部22cに凹部73を形成するとよい。
【0062】
○ 実施形態では、凹部73は、正極シート21の第1端部21cの中央に形成されていたが、これに限られず、形成されている位置は任意である。
○ また、凹部73は、1つに限られず、複数形成されていてもよい。
【0063】
○ また、第1溶着部61は、凹部73内に大部分が介在するようにしたが、第1溶着部61の全部が凹部73内に介在してもよい。また、第1溶着部61における凹部73からはみ出る部分が大部分であってもよい。要は、第1溶着部61の少なくとも一部が凹部73内に収容されている構成であればよい。
【0064】
○ 実施形態では、負極側未塗工部22dの幅は正極側未塗工部21dの幅よりも短く設定されていたが、これに限られず、両者を同一に設定してもよい。また、負極側未塗工部22dを省略してもよい。
【0065】
○ 実施形態では、負極シート22は各セパレータ23,24よりも小さく形成されていたが、これに限られず、各セパレータ23,24と同一又はそれよりも大きく形成してもよい。また、正極シート21と負極シート22とを同一の大きさにしてもよい。
【0066】
○ 正極活物質層21bを、正極金属箔21aの一方の面のみに形成する構成としてもよい。
○ 実施形態では、二次電池10はリチウムイオン二次電池であったが、これに限られず、ニッケル水素等の他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0067】
○ 実施形態では、二次電池10は車両に搭載されている構成としたが、これに限られず、他の装置に搭載される構成としてもよい。
○ 本発明を、電気二重層コンデンサ等の他の蓄電装置に適用してもよい。
【0068】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術思想について以下に記載する。
(イ)前記各セパレータ部における前記第1溶着部及び前記第2接続部の対向方向と直交する方向の端部には、電解質が侵入可能な隙間が形成されていることを特徴とする請求項1〜
4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。