(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884736
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】大建中湯のバイオアッセイ方法およびこれを用いる品質管理方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
C12Q1/02
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-546855(P2012-546855)
(86)(22)【出願日】2011年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2011077360
(87)【国際公開番号】WO2012073881
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2010-270643(P2010-270643)
(32)【優先日】2010年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 篤
(72)【発明者】
【氏名】大野 渚
【審査官】
鶴 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/044660(WO,A1)
【文献】
IWABU ET, J. ET AL.,Profiling of the Compounds Absorbed in Human Plasma and Urine after Oral Administration of a Traditional Japanese (Kampo) Medicine, Daikenchuto,DRUG METABOLISM AND DISPOSITION,2010年11月 1日,Vol.38 No.11,pages 2040-2048
【文献】
NAGANO, T. ET AL.,Effects of Dai-kenchu-to on Levels of 5-Hydroxytryptamine (Serotonin) and Vasoactive Intestinal Pept,Biol. Pharm. Bull.,2000年,Vol.23 No.3,p.352-353
【文献】
DOIHARA, H. ET AL.,QGP-1 cells release 5-HT via TRPA1 activation; a model of human enterochromaffin cells.,MOLECULAR AND CELLULAR BIOCHEMISTRY,2009年,Vol.331 No.1-2,pages 239-245
【文献】
永野俊玲 他,消化管ホルモンに対する大建中湯の影響,TDM研究,2000年,Vol.17 No.2,p.151-152
【文献】
菅隼人 他,消化器病領域における漢方療法―大建中湯に注目して,日本医科大学医学会雑誌,日本,2010年 6月,Vol.6 No.3,p.127-129
【文献】
加瀬義夫 他,漢方製剤の文献的な考察,新潟医学会雑誌,日本,2006年,Vol.120 No.10,p.544-548
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養セロトニン産生細胞に、大建中湯の濃度として27〜900μg/mLの範囲で大建中湯を含有する被験試料を添加し、次いで培養上清中のセロトニン含量を測定する大建中湯の薬理活性のバイオアッセイ方法により、大建中湯として臨床的に薬理効果が認められた基準製剤と被検製剤を同一条件で薬理活性を評価し、基準製剤と被検製剤の同等性を評価することを特徴とする大建中湯製剤の品質管理方法。
【請求項2】
セロトニン産生細胞が、エンテロクロマフィン様細胞である請求項第1項記載の大建中湯製剤の品質管理方法。
【請求項3】
セロトニン産生細胞が、RIN−14B細胞、QGP−1細胞およびKRJ−I細胞から選ばれる細胞株である請求項第1項または第2項記載の大建中湯製剤の品質管理方法。
【請求項4】
大建中湯の濃度として90〜900μg/mLの範囲でバイオアッセイ方法を行う請求項第1〜3項の何れかに記載の大建中湯製剤の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大建中湯のバイオアッセイ方法に関し、更に詳細には、培養したセロトニン産生細胞を用い、漢方製剤である大建中湯の薬理活性価(セロトニン放出活性)を定量的に評価しうるバイオアッセイ方法およびこれを用いた大建中湯の品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漢方薬は、生薬をブレンドした医薬品であり、その活性成分が全て特定されているわけではない。また、単一の活性成分のみで効果を発揮するわけではなく、多成分により複合的に作用するものであるため、その品質を保証するには、その製剤全体として評価をすることができる測定方法が必要であるとされている。実際、米国FDAの植物薬ガイダンスでは、漢方薬などの製品に関してバイオアッセイなどによる品質管理を求めている。
【0003】
この品質管理方法には、薬効に係わると思われる成分を全て測定し、それらを総合的に評価する方法と、生物材料を用いて生理活性を評価するバイオアッセイがある。前者の場合、測定にかかるコストや測定方法の確立の点で問題がある。一方、バイオアッセイには、生体内(in vivo)試験と、試験管内(in vitro)試験があるが、生体内試験の系は、試験施設、試験動物、処理能力等の点で種々の制約があり、漢方薬の品質評価に用いるには困難が伴っていた。
【0004】
一方、試験管内試験の系では、特殊な施設を必要とせず、安定した試験結果が短期間に得られるため、この系でバイオアッセイ法を確立することが求められている。しかし、それ自身が複数の有効成分を含む生薬を組み合わせた漢方薬については、常に適切なバイオアッセイ系が見出されているというものではなく、その確立が待たれている。
【0005】
従来、漢方薬である大建中湯の薬理効果に関する品質管理のためのバイオアッセイ方法として、既に大建中湯投与による腸平滑筋収縮を直接測定する方法(マグヌス法)が構築されている(非特許文献1)。
【0006】
しかし、このマグヌス法はラットから摘出した腸管を使用するため、品質評価のルーチン試験として実施するバイオアッセイ方法としては、使用性が悪く、また、感度、再現性等においても不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「日医大医会誌」、第6巻(3)、第127−129頁(2010)、管 隼人および内田 英二
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は、大建中湯について簡便な試験管内試験によるバイオアッセイ方法を提供し、更にこれを利用した大建中湯のより正確性の高い品質管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、大建中湯の腸管運動亢進作用や腸管血流増加作用や、これらの作用とセロトニンの関与についての報告(非特許文献1)に着目し、大建中湯とセロトニンの関係に関し鋭意研究を行った。そしてその結果、大建中湯がセロトニン産生細胞に対して、セロトニン放出促進作用を有すること、および放出されるセロトニンの量を測定することにより、大建中湯の薬理活性価を測定することが可能であること、並びにこのバイオアッセイ系を利用することで、適切に大建中湯の品質管理を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、培養セロトニン産生細胞に、大建中湯を含有する被験試料を添加し、次いで培養上清中のセロトニン含量を測定することを特徴とする大建中湯の薬理活性のバイオアッセイ方法である。
【0011】
また本発明は、上記の大建中湯の薬理活性のバイオアッセイ方法により、大建中湯として臨床的に薬理効果が認められた基準製剤と被検製剤を同一条件で薬理活性を評価し、基準製剤と被検製剤の同等性を評価することを特徴とする大建中湯製剤の品質管理方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバイオアッセイ方法によれば、試験施設、試験動物、処理能力等の制約なく、簡単な試験管内試験により、大建中湯の薬理活性価(セロトニン放出活性)を測定することが可能であると共に、品質を評価するために適切な濃度範囲で本試験をおこなうことにより、大建中湯について正確性の高い品質管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】大建中湯濃度とセロトニン(5−HT)放出量の関係を示す図面である。
【
図2】HPLCによる、培養試料液中のセロトニンの測定結果を示す図面である。図中(a)は、大建中湯を添加しなかった場合のセロトニン(5−HT)放出を、(b)は、大建中湯を900μg/ml添加した場合のセロトニン(5−HT)放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
大建中湯は、一般に表1の組成の混合生薬の抽出エキスを粉末化したもの(無コウイ大建中湯と称されることがある。)に、抽出エキスの8倍量程度の粉末飴(コウイ(膠飴) 英名:maltose)を配合したものである。
【0016】
そして、本発明のバイオアッセイ法の対象になる大建中湯としては、大建中湯にさらに医薬品添加物として添加が認められている成分を加えて顆粒等に製剤化した大建中湯製剤も含まれる。このような製剤化した大建中湯製剤としては、例えば、ツムラ大建中湯エキス顆粒(医療用)のような医療用医薬品として市販されているものを挙げることができる。
【0017】
なお、上記の医薬品添加物として添加が認められている成分とは、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等の賦形剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等が挙げられる。
【0018】
本発明の大建中湯のバイオアッセイ方法は、培養セロトニン産生細胞に大建中湯を含有する被験試料を添加し、添加後のセロトニン産生細胞におけるセロトニン放出量から大建中湯の薬理活性値を評価するものである。
【0019】
本発明で用いるセロトニン産生細胞の例として、エンテロクロマフィン細胞を挙げることができる。このエンテロクロマフィン細胞は、内分泌細胞であり、生体内に存在するセロトニンを大量に産生、分泌することができる細胞である。そして、生体内に存在するセロトニンの90%が腸管のエンテロクロマフィン細胞内に存在しているという事実から腸管のエンテロクロマフィン細胞を好ましく用いることができる。
【0020】
さらに、上記セロトニン産生細胞としては、一定の安定したセロトニンを産生できるエンテロクロマフィン様の細胞株を用いることもできる。エンテロクロマフィン様の細胞株とは、たとえば、ラット膵臓癌由来のRIN−14B細胞、ヒト膵臓癌由来のQGP−1細胞、ヒト小腸カルチノイド由来のKRJ−I細胞等が挙げられる。このうち、特に好ましい細胞株としては、増殖性に優れる点でRIN−14B細胞が挙げられる。
【0021】
本発明の大建中湯のバイオアッセイ方法は、まずセロトニン産生細胞を、その生育に適した培地、例えば、抗生物質、血清等を含むRPMI1640等の培地で、例えば、1日間ないし3日間、37℃において培養した後、リン酸緩衝液等で置換し、これに所定量の被験試料を加えた後、同じ温度で、更に20分間から3時間培養した後、培地中へのセロトニン放出量を測定することにより行われる。
【0022】
大建中湯を含有する被験試料は、一般には、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような溶媒に溶解ないし懸濁し、前記培地中に加えられる。
【0023】
また、セロトニン放出量を測定する方法としては、セロトニン放出量が測定できる方法であれば特に制約なく公知方法を利用できるが、好ましい方法としては、酵素免疫測定法(EIA法)や、HPLC法が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられるEIA法とは、特異的な抗原抗体反応をする抗原または抗体に酵素を付着させ、酵素の活性を測定することによって抗原抗体反応の結合量を測定する方法であり、具体的には例えば、EIA セロトニン・キット(EIA serotonin kit;ベックマン・コールター社製)等の市販のキットを用いて行うことができる。
【0025】
更に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法によりセロトニン放出量を測定するにあたっては、試料のチャージ量、分析用カラムの種類、分析用カラムの直径及び長さ、分析用カラムの温度、移動相の組成、移動相流量等の条件は、適宜選択することができ、セロトニンの分離に最も適した条件を選択すればよい。このような条件としては、セロトニンのリテンションタイム(保持時間)が他の検出物と重ならないような条件が好ましい。なお、分析用カラムとしては、通常使用されるカラム、例えば、ODS等を充填したカラム等、また検出器としては、一般に汎用される電気化学検出器(ECD)等が使用できる。
【0026】
本発明のバイオアッセイ方法においては、実施例1の結果にみられるように濃度に依存した反応が得られる濃度範囲(0〜900μg/mL)において、さらに好ましくは統計学的に有意な反応が得られる濃度範囲(90〜900μg/mL)において、同時に複数、好ましくは3点以上測定し、これから被験試料中の大建中湯の薬理活性価(セロトニン放出活性)を定量することが好ましいが、条件がほとんど変わらないのであれば、上記濃度範囲の濃度の大建中湯を含む試料で既に作製された検量線を使用して測定しても良い。
【0027】
本発明のバイオアッセイ方法により製品である大建中湯の品質評価を行う場合は、まず、臨床的に薬理効果が認められた大建中湯の複数ロットについて、その薬理活性価(セロトニン放出活性)を測定し、その値に基づいて規格範囲を設定する。次いで、同じ方法により、評価すべき大建中湯の品質試験用サンプルについて薬理活性価(セロトニン放出活性)を測定する。そして、このサンプルの薬理活性値が、設定した規格の範囲内であるかどうかで同等性を評価し、同等と認められるものを合格品とすることで品質管理を行なえばよい。
【実施例】
【0028】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0029】
実 施 例 1
大建中湯のバイオアッセイ試験:
(1)被験試料の調製:
表1の配合割合の生薬混合物を、その混合物重量の10倍量の精製水で1時間、100℃で加熱抽出し、粉末化することにより無コウイ大建中湯エキス末を得た。この無コウイ大建中湯エキス末を100mg/mL濃度のDMSO懸濁液とし、これを、88.8mg/mL濃度の膠飴水溶液に対して1:9の割合で混和し、90mg/mL濃度の大建中湯溶液を調製した。これを0.1%BSA−Hanks緩衝液
*で希釈して9mg/mL濃度としたのち15分間の超音波処理を行い、大建中湯被験試料を調製した。
【0030】
また、陽性対照試料として、アリルイソチオシアネ−ト(AITC、和光純薬工業)をDMSOに加え、100mmol/L AITCのDMSO溶液を調製した。
【0031】
*0.1%BSA−Hanks緩衝液
1リットルの蒸留水に1gウシ血清アルブミン、1gブドウ糖、8g塩化ナトリウム、400mg塩化カリウム、47.9mgリン酸一水素ナトリウム(無水)、60mgリン酸二水素カリウム(無水)、46.8mg塩化マグネシウム(無水)、48.8mg硫酸マグネシウム(無水)、140mg塩化カルシウム(無水)を溶解し、pH7.2〜7.4に調製した。
【0032】
(2)セロトニン産生細胞(RIN−14B細胞)の培養:
ラット膵臓癌細胞株RIN−14B(DSファーマバイオメディカル社製)を、10%牛胎児血清(FBS)を加えたRPMI1640培地(10mmol/L HEPES、1.5g/L NaHCO
3、100U/mL ペニシリン Gおよび100μg/mL ストレプトマイシン)中で継代培養し、セロトニン産生細胞とした。なお、細胞の回収にあたっては、トリプシン−EDTA液を用いた。
【0033】
(3)セロトニン(5−HT)放出試験:
上記(2)で得られたセロトニン産生細胞を、96穴平底プレートに3×10
4cells/100μL/wellで分注した。72時間の前培養を行なった後、培養上清を上記(1)で得た各被験試料を含む0.1%BSA−Hanks緩衝液に置換し、5%炭酸ガスインキュベーターの中で更に1時間培養した。
【0034】
被験試料は、1%DMSOを含む0.1%BSA−Hanks緩衝液で段階希釈して培養系中で最終濃度27、90、270、900μg/mLとなるように添加し、培養系でのDMSOの最終濃度は0.1%とした。また、陽性対照群では、被験試料に変え、上記(1)で得た陽性対照試料を、培養系中で最終濃度100μmol/L、DMSOの最終濃度が0.1%となるように加えた。
【0035】
最後に、培養上清を320gで、5分間、4℃で遠心処理し、その上清を5−HT濃度測定用試料(以下、「測定用試料」という)とした。
【0036】
(4)EIA法によるセロトニン(5−HT)測定:
EIA法による5−HT放出測定は、EIA セロトニン・キット(ベックマン・コールター社製)を用い、製品の添付プロトコールに準じて行った。
【0037】
すなわち、アシル化試薬の入ったチューブに、上記(3)で得た測定用試料を加え、さらにアシル化バッファー50μLを添加して試薬が溶解するまでボルテックスにて攪拌した。室温、遮光条件下で30分間反応を行い、アシル化反応液を得た。測定試料を加えない系でも上記と同様に処理し、コントロールとした。
【0038】
次に抗5−HT抗体がコートされた96穴プレートの適当なウェルに、各アシル化反応液20μLを移し、アセチルコリンエステラーゼ(ACE)−5−HT結合体200μLを加えて、室温、遮光条件下、プレートミキサーで振盪しながら3時間、競合的にインキュベートした。
【0039】
キットに添付のウォッシュバッファーを用い、300μL/wellで3回プレートを洗浄し、未結合のものを除いた後、ACE基質を200μL/well加えて15〜20分放置した。発色を確認した後、反応停止剤50μLを加えて反応を停止し、405nmの吸光度を測定した。その結果を
図1に示す。
【0040】
図1の結果に示すように、27、90、270、900μg/mL濃度の大建中湯を加えた測定試料では、無添加のコントロールに比べ、明らかに上清中の5−HT量が多く、しかも濃度依存的であり、検量線が形成しうるものであった。また、陽対照のAITCを加えた測定試料も、コントロールに比べ、明らかに高い5−HT濃度を示し、大建中湯がセロトニン産生細胞に作用したことによる5−HTであることが示された。
【0041】
(5)HPLCによるセロトニン(5−HT)測定:
次に、(3)で得られた測定用試料のうち、900μg/mL大健中湯のものと、コントロールのものの培養試料液について、HPLCを用い、これに含まれる5−HTを検出した。その結果を
図2の(a)および(b)に示す(5−HTの保持時間は、(a)で16.27分、(b)で16.11分である)。
【0042】
なお、HPLCによる5−HT分析は、以下の条件でおこなった。また、5−HT標準液は、終濃度100mg/L濃度となるようにEDTAを添加した0.1mol/L酢酸水溶液で調製した。
【0043】
HPLC分析条件
微量生体試料分析システム:HTEC−500(EICOM)
データ処理装置:EPC−300(EICOM)
データ解析ソフトウェア:PowerChrom version
2.5.7(eDAQ)
分析カラム:EICOMPAK CA−5ODS
2.1mmΦ×150mm
プレカラム:EICOM PREPAKSET−CA
3.0mmΦ×4mm
移動相:80% 0.1M リン酸緩衝液(Na
+)pH6
20% メタノール
500mg/L 1−オクタンスルホン酸ソーダ(SDS)
50mg/L EDTA・2Na
+
流速:230μL/min
分析温度:25℃
設定加電圧:+450mV(+400〜+450mV) vs
Ag/AgCl
作用電極:グラファイト電極 WE−3G
ガスケット:GS−25
分析カラム:80%
【0044】
図2の結果から、HPLCによる測定でもセロトニン放出活性が測定できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、大建中湯の品質評価をおこなう際に、試験施設、試験動物、処理能力等の制約がほとんどなく、試験が可能であり、更に適切な濃度範囲で試験をおこなうことにより、大建中湯について正確性の高い品質評価を行うことができる。
【0046】
従って本発明は、従来の大建中湯のバイオアッセイ方法に比べ、経済性が高く、簡単に品質評価を行うことができるので、漢方製剤の品質管理において極めて有利なものである。