(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オープンレバーは、前記伝達部材を前記解除位置に変位させた前記キャンセルレバーに対して、前記伝達部材とは反対側から隣接するとともに、前記開操作に連動して前記キャンセルレバーと同じ方向に揺動可能である請求項1記載の車両用ドアロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車両用ドアには、例えばチャイルドロック機構、ロック・アンロック機構等である無効化機構がドアハンドルとオープンレバーとの間に設けられている場合がある。この無効化機構は、ドアハンドルの開操作に対するオープンレバーの連動を選択的に禁止する。上記特許文献1開示の車両用ドアロック装置に対し、そのような無効化機構によって、ドアハンドルの開操作に対するオープンレバーの連動を選択的に禁止することが考えられる。
【0009】
この場合、その車両用ドアロック装置では、オープンレバーとキャンセルレバーとが一部材であるので、無効化機構によってドアハンドルの開操作に対するオープンレバーの連動が禁止されると、キャンセルレバーも開操作に連動しなくなる。このため、無効化機構によってオープンレバーの連動を禁止した状態において、閉鎖機構がドアを閉めるために動作してフォークをハーフラッチ位置からラッチ位置まで変位させる途中でドアハンドルの開操作がなされると、キャンセルレバーが伝達部材を係合位置から解除位置まで変位させることができず、閉鎖機構によるドアを閉めるための動作が継続してしまう。このため、この車両用ドアロック装置には、閉鎖機構の動作時の安全性を向上させることが求められている。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、閉鎖機構の動作時の安全性を向上させることができる車両用ドアロック装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両用ドアロック装置は、ドア及び車体の一方に設けられ、前記ドア及び前記車体の他方に固定されたストライカが進入する進入口をもつベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記進入口の奥側で前記ストライカを係止するラッチ位置、前記進入口の途中で前記ストライカを係止するハーフラッチ位置、又は前記進入口内で前記ストライカを係止しないアンラッチ位置に変位するフォークと、
前記ベース部材に設けられ、前記フォークの変位を固定又は許容可能なポールと、
前記ベース部材に第1軸心周りに揺動可能に支持され、ドアハンドルの開操作に連動して前記ポールに作用し、前記フォークの変位を許容させるオープンレバーと、
前記ハーフラッチ位置にある前記フォークに作用し、前記フォークを前記ラッチ位置まで変位させる閉鎖機構とを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバーは、前記ドアハンドルと前記オープンレバーとの間に設けられる無効化機構によって前記開操作に対する連動が選択的に禁止され、
前記閉鎖機構は、駆動力を発生する駆動源と、
前記ベース部材に前記第1軸心と平行な第2軸心周りに揺動可能に支持され、前記フォークが前記ハーフラッチ位置にあれば、前記駆動源に駆動されて揺動する揺動体と、
前記揺動体に前記第2軸心と平行又は同軸である第3軸心周りに揺動可能に支持されたクローズレバーと、
前記揺動体及び前記クローズレバーの一方に設けられ、前記揺動体及び前記クローズレバーの他方に係合して前記クローズレバーと前記揺動体との相対変位を規制する係合位置から、前記揺動体及び前記クローズレバーの他方に係合しなくなって前記相対変位を許容する解除位置までの間で変位可能な伝達部材と、
前記ベース部材に前記第1軸心と平行又は同軸である第4軸心周りに揺動可能に支持され、前記オープンレバーとは独立して前記開操作に連動して揺動し、前記伝達部材を前記係合位置から前記解除位置まで変位させるキャンセルレバーとを有し、
前記クローズレバーは、前記伝達部材が前記係合位置にあれば、前記揺動体の揺動に伴って前記ハーフラッチ位置にある前記フォークに当接し、前記フォークを前記ラッチ位置まで変位させる一方、前記伝達部材が前記解除位置にあれば、前記揺動体の揺動にかかわらず前記フォークに当接しなくなるように構成され
、
前記第4軸心は、前記第1軸心と同軸であることを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用ドアロック装置では、キャンセルレバーは、第1軸心と平行又は同軸である第4軸心周りに揺動可能に支持され、オープンレバーとは独立してドアハンドルの開操作に連動して揺動し、伝達部材を係合位置から解除位置まで変位させる。つまり、キャンセルレバーは、オープンレバーとは別部材となっている。これにより、この車両用ドアロック装置では、無効化機構によってオープンレバーの連動を禁止した状態において、閉鎖機構がドアを閉めるために作動してフォークをハーフラッチ位置からラッチ位置まで変位させる途中でドアハンドルの開操作がなされた場合でも、キャンセルレバーがドアハンドルの開操作に連動し、伝達部材を係合位置から解除位置まで変位させる。このため、伝達部材がクローズレバーと揺動体との相対変位を許容するので、クローズレバーは、揺動体の揺動にかかわらずフォークに当接しなくなる。その結果、この車両用ドアロック装置では、ドアハンドルの開操作に対するオープンレバーの連動が禁止されていても、閉鎖機構によるドアを閉めるための動作を中止できる。
【0013】
したがって、本発明の車両用ドアロック装置では、閉鎖機構の動作時の安全性を向上させることができる。
【0014】
また、この車両用ドアロック装置は、オープンレバーの第1軸心と、揺動体の第2軸心と、クローズレバーの第3軸心と、キャンセルレバーの第4軸心とが同方向に延びているので、それらが交差している場合と比較して、小型化される。
【0015】
第4軸心は、第1軸心と同軸であ
る。この構成によれば、第4軸心が第1軸心から離間している場合と比較して、車両用ドアロック装置の一層の小型を実現できる。また、オープンレバーとキャンセルレバーとで支持軸を共用できるため、部品点数の削減により、製造コストの低廉化を実現できる。
【0016】
伝達部材は揺動可能であり、伝達部材の揺動軸心と第3軸心との距離は、伝達部材の揺動軸心と第2軸心との距離よりも離間していることが望ましい。この構成によれば、第3軸心が第2軸心と同軸である場合と比較して、伝達部材に対するクローズレバーのレバー比を大きくできるので、伝達部材に対するクローズレバーの押圧力を小さくできる。その結果、この車両用ドアロック装置では、キャンセルレバーが伝達部材を係合位置から解除位置まで変位させる際の操作力を小さくできる。
【0017】
本発明の車両用ドアロック装置は、ドア及び車体の一方に設けられ、前記ドア及び前記車体の他方に固定されたストライカが進入する進入口をもつベース部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記進入口の奥側で前記ストライカを係止するラッチ位置、前記進入口の途中で前記ストライカを係止するハーフラッチ位置、又は前記進入口内で前記ストライカを係止しないアンラッチ位置に変位するフォークと、
前記ベース部材に設けられ、前記フォークの変位を固定又は許容可能なポールと、
前記ベース部材に第1軸心周りに揺動可能に支持され、ドアハンドルの開操作に連動して前記ポールに作用し、前記フォークの変位を許容させるオープンレバーと、
前記ハーフラッチ位置にある前記フォークに作用し、前記フォークを前記ラッチ位置まで変位させる閉鎖機構とを備える車両用ドアロック装置であって、
前記オープンレバーは、前記ドアハンドルと前記オープンレバーとの間に設けられる無効化機構によって前記開操作に対する連動が選択的に禁止され、
前記閉鎖機構は、駆動力を発生する駆動源と、
前記ベース部材に前記第1軸心と平行な第2軸心周りに揺動可能に支持され、前記フォークが前記ハーフラッチ位置にあれば、前記駆動源に駆動されて揺動する揺動体と、
前記揺動体に前記第2軸心と平行又は同軸である第3軸心周りに揺動可能に支持されたクローズレバーと、
前記揺動体及び前記クローズレバーの一方に設けられ、前記揺動体及び前記クローズレバーの他方に係合して前記クローズレバーと前記揺動体との相対変位を規制する係合位置から、前記揺動体及び前記クローズレバーの他方に係合しなくなって前記相対変位を許容する解除位置までの間で変位可能な伝達部材と、
前記ベース部材に前記第1軸心と平行又は同軸である第4軸心周りに揺動可能に支持され、前記オープンレバーとは独立して前記開操作に連動して揺動し、前記伝達部材を前記係合位置から前記解除位置まで変位させるキャンセルレバーとを有し、
前記クローズレバーは、前記伝達部材が前記係合位置にあれば、前記揺動体の揺動に伴って前記ハーフラッチ位置にある前記フォークに当接し、前記フォークを前記ラッチ位置まで変位させる一方、前記伝達部材が前記解除位置にあれば、前記揺動体の揺動にかかわらず前記フォークに当接しなくなるように構成され、
前記オープンレバーは、前記伝達部材を前記解除位置に変位させた前記キャンセルレバーに対して、前記伝達部材とは反対側から隣接するとともに、前記開操作に連動して前記キャンセルレバーと同じ方向に揺動可能であることを特徴とする。
この構成によれば、万が一、ドアハンドルとキャンセルレバーとを連結する部材の破損により、キャンセルレバーが開操作に連動できなくなっても、オープンレバーが開操作に連動して揺動すれば、そのオープンレバーがキャンセルレバーに当接し、キャンセルレバーを揺動させて伝達部材を解除位置に変位させることができる。その結果、この車両用ドアロック装置では、閉鎖機構の動作時の安全性を一層向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例)
図1に示すように、実施例の車両用ドアロック装置1(以下、単に「ドアロック装置1」と呼ぶ。)は、自動車に用いられている。自動車の左側面には、開口9とスライドドア8とが設けられている。搭乗者は、開口9を介して車室内の後席に乗り降りする。スライドドア8は、
図1に示す位置では開口9を閉鎖している。そして、スライドドア8は、
図1に示す位置から後方にスライドすることにより、開口9を開放する。スライドドア8は、本発明の「ドア」の一例である。
【0021】
本実施例では、スライドドア8は電動式の自動スライドドアである。搭乗者がスライドドア8の開操作又は閉操作を行うと、図示しない電動式スライド機構が作動してスライドドア8をスライドさせ、開口9を自動的に開閉する。
【0022】
図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は、すべて
図1に対応させて表示している。また、
図3以降の各図に示す内外方向は、スライドドア8の外面側を車両外側と規定し、スライドドア8の車室内に露出する内面側を車両内側と規定して表示している。本実施例では、左側のスライドドア8に設けられるドアロック装置1を例示するが、右側ドアの場合は勝手違いになるだけである。また、ドアロック装置1は、揺動式に開閉する車両用ドアやテールゲート等にも設けられ得る。
【0023】
図2に示すように、スライドドア8内の後端側には、ドアロック装置1が配設されている。スライドドア8内の前端側には、ドアロック装置1Aが配設されている。スライドドア8が
図1に示す位置にある状態では、ドアロック装置1が開口9の後縁に固定されたストライカ99に係合し、かつドアロック装置1Aが開口9の前縁に固定されたストライカ99Aに係合することにより、スライドドア8の閉鎖状態が維持される。
【0024】
スライドドア8内においてドアロック装置1の前方、かつドアロック装置1Aの上方には、リモコンユニット3が配設されている。
図2及び
図3に示すように、リモコンユニット3は、ケーブル20Cによってドアロック装置1のオープンレバー20と連結されている。また、リモコンユニット3は、ケーブル60Cによってドアロック装置1のキャンセルレバー60と連結されている。
図2に示すように、リモコンユニット3は、ケーブル1Cによってドアロック装置1Aと連結されている。
【0025】
スライドドア8の前部外面には、外側ドアハンドル81が配設されている。スライドドア8の内面における外側ドアハンドル81の近傍には、内側ドアハンドル82が配設されている。外側ドアハンドル81及び内側ドアハンドル82はそれぞれ、ロッド、ケーブル等の連結部材によってリモコンユニット3と連結されている。外側ドアハンドル81及び内側ドアハンドル82はそれぞれ、本発明の「ドアハンドル」の一例である。
【0026】
リモコンユニット3は、搭乗者が外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82を開操作することにより、ドアロック装置1及びドアロック装置1Aに作用し、ドアロック装置1によるストライカ99との係合を解除するとともに、ドアロック装置1Aによるストライカ99Aとの係合を解除する。その結果、スライドドア8は開放可能な状態となる。外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作が行われたこと、ドアロック装置1によるストライカ99との係合が解除されたこと、及びドアロック装置1Aによるストライカ99Aとの係合が解除されたことを図示しない制御部が検出すると、制御部は電動式スライド機構を制御し、スライドドア8を後方にスライドさせて開口9を開放させる。
【0027】
リモコンユニット3には、ロック・アンロック機構87とチャイルドロック機構85とが内蔵されている。スライドドア8の内面におけるリモコンユニット3の近傍には、ドアロックノブ87Aとチャイルドロックノブ85Aとが配設されている。ドアロックノブ87Aは、ロッド、ケーブル等の連結部材によって、又はそのような連結部材を介在させずに直接、ロック・アンロック機構87と連結されている。チャイルドロックノブ85Aは、ロッド、ケーブル等の連結部材によって、又はそのような連結部材を介在させずに直接、チャイルドロック機構85と連結されている。ロック・アンロック機構87及びチャイルドロック機構85はそれぞれ、本発明の「無効化機構」の一例である。
【0028】
ロック・アンロック機構87は、搭乗者がドアロックノブ87Aを開錠位置から施錠位置に変位させることにより、ケーブル20C及びケーブル1Cの作動を禁止する。その結果、スライドドア8は開錠状態から施錠状態に切り替わる。なお、ロック・アンロック機構87は、搭乗者が集中ドアロックキやリモコンキーを操作して車両の全てのドアを施錠する際にも同様に作動するが、本実施例では説明を省略する。
【0029】
チャイルドロック機構85は、搭乗者がチャイルドロックノブ85Aをチャイルドロック解除位置からチャイルドロック位置に変位させることにより、内側ドアハンドル82が開操作された場合に限り、ケーブル20C及びケーブル1Cの作動を禁止する。その結果、スライドドア8は、チャイルドロック解除状態からチャイルドロック状態に切り替わる。
【0030】
要するに、ロック・アンロック機構87及びチャイルドロック機構85は、外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82とオープンレバー20との間に設けられている。そして、ロック・アンロック機構87は、スライドドア8が施錠状態に切り替わることに対応し、外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作に対するオープンレバー20の連動を選択的に禁止する。チャイルドロック機構85は、スライドドア8がチャイルドロック状態に切り替わることに対応し、内側ドアハンドル82の開操作に対するオープンレバー20の連動を選択的に禁止する。
【0031】
なお、本実施例では、ロック・アンロック機構87又はチャイルドロック機構85によってケーブル20Cの作動が禁止された場合でも、ケーブル60Cの作動は禁止されず、ケーブル60Cによって外側ドアハンドル81及び内側ドアハンドル82の開操作にキャンセルレバー60を連動させるようになっている。
【0032】
次に、ドアロック装置1の構成について詳述する。
図3〜
図6に示すように、ドアロック装置1は、ベース部材90とフォーク11とポール12とオープンレバー20と閉鎖機構5とを備えている。
【0033】
ベース部材90は、ベースプレート91と中間ハウジング92とバックプレート93と支持プレート94とを有している。
【0034】
図3、
図4及び
図6に示すように、ベースプレート91は、折り曲げ加工された鋼板からなり、固定部91Aと連結部91Bとを有している。固定部91Aは、ネジ等によってスライドドア8の後端面に固定され、上下方向及び車両内外方向に延在している。連結部91Bは、固定部91Aの車両内側の端縁から屈曲し、前方に延びている。固定部91Aには、進入口97が形成されている。進入口97は、車両内側から車両外側に向けて深く溝状に切り欠かれている。進入口97は、スライドドア8の後端面から露出している。
図4及び
図6に示すように、連結部91Bには、結合穴91M、91Nが貫設されている。
【0035】
図3、
図4及び
図6に示すように、中間ハウジング92は、凹部や穴等が複数形成された樹脂成形品である。中間ハウジング92は、フォーク11、フォーク支持軸11S、ポール12、ポール支持軸12S等を収容した状態で、ベースプレート91の固定部91Aに前方から隣接している。
【0036】
バックプレート93は、中間ハウジング92に前方から隣接している。フォーク支持軸11S及びポール支持軸12Sの前後端がベースプレート91の固定部91A及びバックプレート93に加締められることにより、ベースプレート91と中間ハウジング92とバックプレート93とが一体に組み付けられている。
【0037】
図3〜
図5に示すように、支持プレート94は折り曲げ加工された鋼板からなり、前後方向及び上下方向に延在している。
図5に示すように、支持プレート94には、結合穴94M、94Nが貫設されている。連結部91Bの結合穴91Mと支持プレート94の結合穴94Mとにオープンレバー支持軸20Sが挿通されて加締められ、かつ連結部91Bの結合穴91Nと支持プレート94の結合穴94Nとに揺動体支持軸30Sが挿通されて加締められることにより、連結部91Bと支持プレート94とが結合されている。
【0038】
図6及び
図7に示すように、フォーク支持軸11Sは、進入口97に対して下方に位置している。ポール支持軸12Sは、進入口97に対して上方に位置している。フォーク11は、フォーク支持軸11Sに揺動可能に支持されている。ポール12は、ポール支持軸12Sに揺動可能に支持されている。
図6に示すように、フォーク支持軸11Sには、捩じりコイルバネ11Tが装着されている。ポール支持軸12Sには、捩じりコイルバネ12Tが装着されている。
【0039】
図7(a)に示すように、フォーク11は、捩じりコイルバネ11Tにより、フォーク支持軸11S周りにD1方向に揺動するように付勢されている。フォーク11の進入口97側に位置する部位は、内側凸部11Aと外側凸部11Bとに分岐している。そして、内側凸部11Aと外側凸部11Bとの間に形成された切り欠き部11Cには、進入口97内に進入したストライカ99が収まるようになっている。フォーク11は、
図7(a)に示す位置にある状態では、進入口97の底部でストライカ99を保持している。内側凸部11Aのポール12に対面する先端側には、後述するストッパ面12Aと当接可能なラッチ面11Dが形成されている。フォーク11は、
図7(b)に示す位置にある状態では、進入口97の途中でストライカ99を保持している。外側凸部11Bのポール12に対面する先端側には、ストッパ面12Aと当接可能なハーフラッチ面11Eが形成されている。
【0040】
図6及び
図7に示すように、フォーク11において、フォーク支持軸11Sから車両内側かつ下方に向けて延びる部位の先端側には、被当接部11Gが設けられている。被当接部11Gは、前方に向かって突出する円柱軸体である。
【0041】
図7(a)に示すように、ポール12は、捩じりコイルバネ12Tにより、ポール支持軸12S周りにD2方向に揺動するように付勢されている。ポール12における進入口97の底部側に位置する部位には、ストッパ面12Aが形成されている。ストッパ面12Aは、フォーク11が
図7(a)に示す位置にあればラッチ面11Dに対面し、フォーク11が
図7(b)に示す位置にあればハーフラッチ面11Eに対面するように形成されている。ストッパ面12Aを構成する円弧は、フォーク11側で途切れており、そこからポール支持軸12S側に延びる摺動面12Cが形成されている。
【0042】
ポール12は、
図3、
図6及び
図7等に示す入力部13を有している。入力部13は、中間ハウジング92とバックプレート93との間で、ポール支持軸12Sに揺動可能に支持されている。入力部13は折り曲げ加工された鋼板からなり、連結部13Aと被当接部13Gとを有している。
【0043】
図6及び
図7に示すように、連結部13Aは、ポール支持軸12Sから離間した位置から屈曲し、後方に延びてポール12の連結穴12Hに嵌入している。被当接部13Gは、ポール支持軸12Sを挟んでポール12のストッパ面12Aとは反対側に位置し、車両内側かつ上方に向かって突出している。ポール12と入力部13とは、連結部13Aと連結穴12Hとの嵌合により、ポール支持軸12S周りに一体で揺動する。
【0044】
図7(a)に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口97の底部でストライカ99を保持した状態で、内側凸部11Aのラッチ面11Dにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD1方向に揺動させないように固定する。
図7(a)に示すフォーク11の位置は、進入口97の奥側でストライカ99を係止するラッチ位置である。
【0045】
図7(b)に示すように、ポール12は、フォーク11が進入口97の途中でストライカ99を保持した状態で、外側凸部11Bのハーフラッチ面11Eにストッパ面12Aが当接することにより、フォーク11をD1方向に揺動させないように固定する。
図7(b)に示すフォーク11の位置は、進入口97の途中でストライカ99を係止するハーフラッチ位置である。
【0046】
図3〜
図5及び
図8〜
図10に示すように、オープンレバー20は、上下方向に細長く延びる金属部材である。オープンレバー20の上端側は、オープンレバー支持軸20Sに揺動可能に支持されている。
図5及び
図8に示すように、オープンレバー支持軸20Sは、車両内外方向に延びる第1軸心X1を規定している。すなわち、オープンレバー20は、ベース部材90に第1軸心X1周りに揺動可能に支持されている。
【0047】
オープンレバー20は、オープンレバー支持軸20Sに対して後方に離間する位置に、当接部20Gを有している。
図3及び
図7に示すように、当接部20Gは、入力部13の被当接部13Gに上方から対向している。
【0048】
図3、
図4及び
図8に示すように、オープンレバー20の下端側には、ケーブル20Cが連結されている。外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作により、リモコンユニット3がケーブル20Cを選択的に作動させると、オープンレバー20の下端側が前方に引っ張られる。これにより、オープンレバー20が
図8に示す位置から
図9に示す位置まで揺動する。その結果、
図7(c)に示すように、当接部20Gが入力部13の被当接部13Gに当接し、被当接部13Gを押し下げる。
【0049】
被当接部13Gが押し下げられると、ポール12は捩じりコイルバネ12Tの付勢力に抗しつつ、ポール支持軸12S周りにD2方向とは逆方向に揺動する。この際、ストッパ面12Aがラッチ面11D又はハーフラッチ面11Eから離間するので、ポール12がフォーク11の揺動を許容する。そして、フォーク11が捩じりコイルバネ11Tの付勢力によりフォーク支持軸11S周りにD1方向に揺動して、ストライカ99が進入口97から離脱する方向に変位することを許容する。
図7(c)に示すフォーク11の位置は、進入口97内においてストライカ99の係止しないアンラッチ位置である。
【0050】
図3及び
図6等に示すように、中間ハウジング92には、フォーク位置センサ11Pとポール位置センサ12Pとが組み付けられている。フォーク位置センサ11Pは、フォーク11がラッチ位置、ハーフラッチ位置及びアンラッチ位置のうちのどの位置にあるかを検出し、図示しない制御部に伝達する。ポール位置センサ12Pは、ポール11が揺動したか否かを検出し、図示しない制御部に伝達する。
【0051】
一方、ストライカ99が進入口97内に進入する場合、
図7(c)に示す状態から、ストライカ99が外側凸部11Bを押すので、フォーク11も追従してD1方向とは逆方向に揺動し、
図7(b)に示すハーフラッチ位置に変位する。この際、外側凸部11Bの先端が摺動面12Cに摺接する。そして、外側凸部11Bの先端が摺動面12Cから離間すると、ポール12は、D2方向に揺動して、
図7(b)に示す姿勢に変位する。このため、ストッパ面12Aがハーフラッチ面11Eと当接し、フォーク11の揺動をハーフラッチ位置で固定する。
【0052】
フォーク11がハーフラッチ位置に変位したことをフォーク位置センサ11Pが検出すると、制御部が閉鎖機構5を作動させる。すると、クローズレバー40が後述するように作動し、
図7(b)に示すハーフラッチ位置にあるフォーク11の被当接部11Gに、クローズレバー40の当接部40Gが当接する。そして、当接部40Gは、被当接部11Gを押し上げることにより、フォーク11を
図7(a)に示すラッチ位置まで変位させる。この際、内側凸部11Aの先端が摺動面12Cに摺接する。そして、内側凸部11Aの先端が摺動面12Cから離間すると、ポール12は、D2方向に揺動して、
図7(a)に示す元の姿勢に復帰する。このため、ストッパ面12Aがラッチ面11Dと当接し、フォーク11の揺動をラッチ位置で固定する。
【0053】
図3〜
図5に示すように、閉鎖機構5は、駆動源M1と揺動体30とクローズレバー40と伝達部材50とキャンセルレバー60とを有している。
【0054】
図3及び
図4に示すように、駆動源M1は、支持プレート94の前端側にネジ止めされている。駆動源M1は、内部に収容された図示しない電動モータ及び伝達ギヤ群と、
図8等に示すように外部に露出する出力ギヤM1Gとを有するモータユニットである。駆動源M1は、図示しない制御部に制御されて電動モータが回転することにより、駆動力を発生し、出力ギヤM1Gを回転させる。
【0055】
揺動体30は、鋼板製のセクタギヤである。
図5及び
図11等に示すように、揺動体30は、揺動体支持軸30Sに揺動可能に支持されている。揺動体支持軸30Sは、車両内外方向に延びる第2軸心X2を規定している。すなわち、揺動体30は、ベース部材90に第1軸心X1と平行な第2軸心X2周りに揺動可能に支持されている。
【0056】
図5、
図8及び
図11等に示すように、揺動体30には、歯部30Aとクローズレバー支持部30Bと伝達部材支持部30Cとが形成されている。歯部30Aは、揺動体支持軸30Sから前方に離間した位置で上下方向に延びる円弧部分に複数の歯が形成されてなる。クローズレバー支持部30Bは、揺動体支持軸30Sから後方かつ下方に突出している。伝達部材支持部30Cは、揺動体支持軸30Sから上方に突出している。
【0057】
図8及び
図11等に示すように、歯部30Aは、駆動源M1の出力ギヤM1Gと噛み合っている。図示しない制御部は、フォーク11がハーフラッチ位置にあることをフォーク位置センサ11Pが検出した場合、駆動源M1を制御して出力ギヤM1Gが正回転させる。このため、歯部30Aを介して駆動源M1から揺動体30に駆動力が伝達され、揺動体30がD3方向に揺動する。その結果、揺動体30は、
図8〜
図11に示す位置から、
図12に示す位置を経由して
図13に示す位置まで揺動する。その後、図示しない制御部は、駆動源M1を制御して出力ギヤM1Gが逆回転させる。このため、揺動体30は、D3方向とは逆方向に揺動する。その結果、揺動体30は、
図13に示す位置から、
図12に示す位置を経由して
図8〜
図11に示す位置まで復帰する。
【0058】
図5に示すように、クローズレバー支持部30Bの先端側には、クローズレバー支持軸40Sが加締められている。クローズレバー支持軸40Sは、車両内外方向に延びる第3軸心X3を規定している。
【0059】
図3〜
図5及び
図8〜
図14に示すように、クローズレバー40は、前方から後方に向かって下り傾斜するように細長く延びる金属部材である。クローズレバー40は、クローズレバー支持軸40Sに揺動可能に支持されている。すなわち、クローズレバー40は、揺動体30に第2軸心X2と平行である第3軸心X3周りに揺動可能に支持されている。
【0060】
図5に示すように、クローズレバー支持軸40Sには、捩じりコイルバネ40Tが装着されている。
図8及び
図11に示すように、クローズレバー40は、捩じりコイルバネ40Tにより、クローズレバー支持軸40S周りにD4方向に揺動するように付勢されている。
【0061】
図3〜
図5等に示すように、クローズレバー40は、クローズレバー支持軸40Sに対して後方に離間する位置に、当接部40Gを有している。一方、ベースプレート91は、連結部91Bの下端縁に形成された規制部91Kを有している。規制部91Kは、連結部91Bの下端縁から車両外側に向けて屈曲した後に上方に屈曲してなる。
【0062】
図8及び
図11に示すように、捩じりコイルバネ40Tに付勢されたクローズレバー40は、当接部40Gが規制部91Kに上方から当接することにより、その姿勢が定まる。
図7に示すように、当接部40Gは、フォーク11の被当接部11Gに下方から対向している。
【0063】
図5及び
図11に示すように、クローズレバー40は、クローズレバー支持軸40Sから前方かつ上方に向かって突出し、その先端が係合部40Fとされている。
【0064】
図5に示すように、伝達部材支持部30Cの先端側には、伝達部材支持軸50Sが加締められている。伝達部材支持軸50Sは、第1軸心X1と平行な車両内外方向に延びている。
【0065】
図3〜
図5及び
図8〜
図14に示すように、伝達部材50は、揺動体30に設けられている。伝達部材50は、後方から前方に向かって下り傾斜するように短く延びる金属部材である。
図5に示すように、伝達部材50には、サブプレート50Cが添設されている。
図5及び
図11等に示すように、伝達部材50の後端側は、伝達部材支持軸50Sに揺動可能に支持されている。伝達部材50の前端側には、摺接ピン50Aが加締められている。摺接ピン50Aは、車両外側方向に突出する円柱軸体である。
【0066】
図5及び
図11等に示すように、伝達部材50には係合面50Fが形成されている。係合面50Fは、伝達部材支持軸50Sと摺接ピン50Aとの間に位置し、伝達部材支持軸50Sを中心として後方に短く延びる円弧面である。
【0067】
図5に示すように、伝達部材支持軸50Sには、捩じりコイルバネ50Tが装着されている。
図8及び
図11に示すように、伝達部材50は、捩じりコイルバネ50Tにより、伝達部材支持軸50S周りにD5方向に揺動するように付勢されている。
【0068】
図11等に示すように、第3軸心X3は、伝達部材50に対して第2軸心X2よりも離間している。
【0069】
図3〜
図5及び
図8〜
図10に示すように、キャンセルレバー60は、上下方向に細長く延びる金属部材である。キャンセルレバー60の上端側は、オープンレバー支持軸20Sに揺動可能に支持されている。すなわち、キャンセルレバー60は、ベース部材90に第1軸心X1と同軸である第4軸心X4周りに揺動可能に支持されている。オープンレバー20とキャンセルレバー60とは、オープンレバー支持軸20Sを共用している。
【0070】
図3、
図4及び
図8に示すように、キャンセルレバー60の中間部には、ケーブル60Cが連結されている。キャンセルレバー60には、摺接面60Aが形成されている。摺接面60Aは、キャンセルレバー60の中間部から先端まで円弧状に延びる上側の端面である。伝達部材50が捩じりコイルバネ50Tに付勢されることにより、摺接ピン50Aが摺接面60Aに押し付けられている。
【0071】
外側ドアハンドル81が開操作された場合、又は内側ドアハンドル82が開操作された場合、リモコンユニット3がドアロックノブ87A及びチャイルドロックノブ85Aの位置にかかわらず、ケーブル60Cを作動させるので、キャンセルレバー60の下端側が前方に引っ張られる。これにより、キャンセルレバー60が
図8に示す位置から、
図9及び
図10に示す位置まで揺動する。
【0072】
図9では、リモコンユニット3がドアロックノブ87Aが開錠位置にあること、又はチャイルドロックノブ85Aがチャイルドロック解除位置にあることに対応し、外側ドアハンドル81及び内側ドアハンドル82の開操作に対してオープンレバー20を連動させている。この場合、オープンレバー20は、揺動したキャンセルレバー60に対して、伝達部材50とは反対側から隣接するとともに、開操作に連動してキャンセルレバー60と同じ方向に揺動している。揺動したキャンセルレバー60のケーブル60Cが連結された中間部と、揺動したオープンレバー20とは、僅かな隙間を有して隣接している。
【0073】
一方、
図10では、リモコンユニット3がドアロックノブ87Aが施錠位置にあること、又はチャイルドロックノブ85Aがチャイルドロック解除位置にあることに対応し、開操作に対するオープンレバー20の連動を選択的に禁止している。すなわち、キャンセルレバー60は、オープンレバー20とは独立して開操作に連動して揺動する。
【0074】
図8に示すように、キャンセルレバー60が揺動していない状態では、摺接ピン50Aは、揺動体30の揺動に伴って、摺接面60Aに摺接しながら変位する。この場合、
図11〜
図13に示すように、伝達部材50は、クローズレバー40の係合部40Fに接近している。
図8及び
図11〜
図13に示す伝達部材50の位置が係合位置である。
図12に示すように、伝達部材50は、係合位置にある状態では、揺動体30がD3方向に揺動するのに伴って変位し、係合面50Fがクローズレバー40の係合部40Fに係合する。これにより、伝達部材50がクローズレバー40と揺動体30との相対変位を規制するので、
図13に示すように、クローズレバー40は、揺動体30と一体的に揺動する。そして、
図7(a)に示すハーフラッチ位置にあるフォーク11の被当接部11Gにクローズレバー40の当接部40Gが当接し、
図7(a)に示すように、被当接部11Gを押し上げる。その結果、フォーク11がラッチ位置まで変位する。
【0075】
一方、
図9及び
図10に示すように、キャンセルレバー60が揺動した状態では、摺接ピン50Aは、摺接面60Aに押し上げられてD5方向とは逆方向に揺動した状態で、揺動体30の揺動に伴って、摺接面60Aに摺接しながら変位する。この場合、伝達部材50は、クローズレバー40の係合部40Fから離間している。
図9、
図10及び
図14に示す伝達部材50の位置が解除位置である。
図14に示すように、伝達部材50は、解除位置にある状態では、揺動体30がD3方向に揺動するのに伴って変位するが、
図14に示すように、係合面50Fがクローズレバー40の係合部40Fには当接しなくなる。これにより、伝達部材50がクローズレバー40と揺動体30との相対変位を許容するので、クローズレバー40は、当接部40Gが規制部91Kに当接する姿勢を維持し、被当接部11Gには接近しない。
【0076】
<作用効果>
実施例のドアロック装置1では、搭乗者がスライドドア8の閉操作を行うと、図示しない電動式スライド機構が作動し、開口9を閉鎖するようにスライドドア8を前方にスライドさせる。ここで、スライドドア8が閉じられる途中で、ストライカ99が進入口97に進入し、フォーク11がストライカ99に押されてアンラッチ位置からハーフラッチ位置に変位すると、そのことを図示しない制御部がフォーク位置センサ11によって検出し、閉鎖機構5を作動させる。すると、揺動体30が駆動源M1に駆動されてD3方向に揺動する。この際、外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作がなければ、
図8に示すように、キャンセルレバー60が揺動せず、伝達部材50が係合位置にある。このため、伝達部材50は、係合面50Fが係合部40Fに係合することによってクローズレバー40と揺動体30との相対変位を規制する。これにより、
図7(a)、
図12及び
図13に示すように、クローズレバー40が揺動体30の揺動に伴ってハーフラッチ位置にあるフォーク11に当接し、フォーク11をラッチ位置まで変位させる。こうして、このドアロック装置1では、スライドドア8を自動的に閉めることができる。
【0077】
また、このドアロック装置1では、
図5及び
図8〜
図10に示すように、キャンセルレバー60は、第1軸心X1と同軸である第4軸心X4周りに揺動可能に支持されている。キャンセルレバー60は、オープンレバー20とは独立して外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作に連動して揺動し、伝達部材50を係合位置から解除位置まで変位させる。つまり、キャンセルレバー60は、オープンレバー20とは別部材となっている。これにより、このドアロック装置1では、
図10に示すように、無効化機構としてのロック・アンロック機構87又はチャイルドロック機構85によってオープンレバー20の連動を禁止した状態において、閉鎖機構5がスライドドア8を閉めるために作動してフォーク11をハーフラッチ位置からラッチ位置まで変位させる途中で外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作がなされた場合でも、ケーブル60Cによってキャンセルレバー60がその開操作に連動し、伝達部材50を係合位置から解除位置まで変位させる。このため、
図14に示すように、伝達部材50は、係合面50Fが係合部40Fに係合しなくなることによってクローズレバー40と揺動体30との相対変位を許容するので、クローズレバー40の当接部40Gは、揺動体30の揺動にかかわらずフォーク11の被当接部11Gに当接しなくなる。その結果、このドアロック装置1では、外側ドアハンドル81又は内側ドアハンドル82の開操作に対するオープンレバー20の連動が禁止されていても、キャンセルレバー60が作動して閉鎖機構5によるスライドドア8を閉めるための動作を中止できる。
【0078】
したがって、実施例のドアロック装置1では、閉鎖機構5の動作時の安全性を向上させることができる。
【0079】
また、このドアロック装置1は、オープンレバー20の第1軸心X1と、揺動体30の第2軸心X2と、クローズレバー40の第3軸心X3と、キャンセルレバー60の第4軸心X4とが同方向である車両内外方向に延びているので、それらが交差している場合と比較して、小型化される。
【0080】
さらに、このドアロック装置1では、第4軸心X4が第1軸心X1と同軸であるので、第4軸心X4が第1軸心X1から離間している場合と比較して、一層の小型を実現できる。また、オープンレバー20とキャンセルレバー60とでオープンレバー支持軸20Sを共用しているため、部品点数の削減により、製造コストの低廉化を実現できる。
【0081】
また、このドアロック装置1は、
図11等に示すように、第3軸心X3が伝達部材50に対して第2軸心X2よりも離間しているので、係合部40Fと第2軸心X2との距離よりも、係合部40Fと第3軸心X3との距離のほうが長い。このため、仮にクローズレバー40を揺動体30とともに揺動体支持軸30Sに支持させて第3軸心X3を第2軸心X2と同軸とする場合と比較して、伝達部材50に対するクローズレバー40のレバー比を大きくできる。これにより、捩じりコイルバネ40Tに付勢されたクローズレバー40の係合部40Fが伝達部材50の係合面50Fを押圧する力を小さくできる。その結果、このドアロック装置1では、キャンセルレバー60が伝達部材50を係合位置から解除位置まで変位させる際に、係合面50Fと係合部40Fとの間に作用する摩擦力を小さくできるので、キャンセルレバー60の操作力を小さくできる。
【0082】
さらに、このドアロック装置1では、
図9に示すように、オープンレバー20は、伝達部材50を解除位置に変位させたキャンセルレバー60に対して、伝達部材50とは反対側から僅かな隙間を有して隣接するとともに、開操作に連動してキャンセルレバー60と同じ方向に揺動可能である。これにより、このドアロック装置1では、万が一、リモコンユニット3とキャンセルレバー60とを連結するケーブル60Cの破損により、キャンセルレバー60が開操作に連動できなくなっても、ロック・アンロック機構87又はチャイルドロック機構85が開操作に対するオープンレバー20の連動を禁止していない場合に限り、オープンレバー20が開操作に連動して揺動する。そして、そのオープンレバー20がキャンセルレバー60のケーブル60Cが連結された中間部に当接し、キャンセルレバー60を揺動させて伝達部材50を解除位置に変位させることができる。その結果、このドアロック装置1では、閉鎖機構5の動作時の安全性を一層向上させることができる。
【0083】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0084】
実施例では、揺動体30が揺動体支持軸30Sに揺動可能に支持され、クローズレバー40がクローズレバー支持軸40Sに揺動可能に支持されているが、この構成には限定されない。例えば、クローズレバー支持軸40Sを取り除き、クローズレバー40が揺動体30とともに揺動体支持軸30Sに揺動可能に支持されるようにしてもよい。
【0085】
また、実施例では、キャンセルレバー60がオープンレバー20とともにオープンレバー支持軸20Sに揺動可能に支持されているが、この構成には限定されない。例えば、キャンセルレバー60がオープンレバー支持軸20Sとは異なる支持軸に揺動可能に支持されていてもよい。
【0086】
また、実施例では、伝達部材50が揺動体30に設けられていたが、この構成には限定されない。例えば、伝達部材50がクローズレバー40に設けられていてもよい。