特許第5884782号(P5884782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884782
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   A01C11/02 311G
   A01C11/02 350H
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-147726(P2013-147726)
(22)【出願日】2013年7月16日
(62)【分割の表示】特願2011-119064(P2011-119064)の分割
【原出願日】2006年6月16日
(65)【公開番号】特開2013-233152(P2013-233152A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2013年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正文
(72)【発明者】
【氏名】山崎 仁史
(72)【発明者】
【氏名】名本 学
(72)【発明者】
【氏名】岡田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】根田 満夫
(72)【発明者】
【氏名】今泉 大介
(72)【発明者】
【氏名】石井 和彦
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−176815(JP,A)
【文献】 特開平04−005183(JP,A)
【文献】 特開2003−023820(JP,A)
【文献】 特開平08−308330(JP,A)
【文献】 特開2002−000019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後部に昇降可能な苗植付部(6)を設けてある乗用型の苗移植機において、
前記走行車体(1)のステップフロア(34)には、前輪(2)の位置を透視できる左右方向に長い複数の透視孔(40f)を設け、該複数の透視孔(40f)に備える前後方向に長い溝(41)にペダルを挿通し、該溝(41)は、前記複数の透視孔(40f)のうち、一部の前後の透視孔(40f,40f)を連通して前後方向に長く形成することを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記ステップフロア(34)外周に滑り止め用の立上り部(35)を突設し、ステップフロア(34)から上方に立設する支持フレーム(38)で予備苗載台(37)を支持する構成とし、該支持フレーム(38)はステップフロア(34)の外周縁部に設定すると共に、前記立上り部(35)は支持フレーム(38)の近くにおいて一部切欠き構成し、前記前輪(2)の位置を透視できる透視孔(40f)と後輪(3)の上方に対応する部位に設けた左右方向に長い透視孔(40b)は、内周縁部を上方に折り曲げられて構成された突起部(40j)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗用型の苗移植機に関し、特に、運転者の足場となるステップフロアの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、運転者の足場となるステップフロアの外周に滑り止め用の立上り部を突設した構成例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8− 89030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成例では、雨天作業時にはステップフロア上に雨水が溜り、苗補給時などでは運転者がステップフロア上を移動するが、その溜った雨水によって滑り易くなり危険であった。
【0005】
本発明の課題は、雨水が溜らないように水抜きすることによって上記問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後部に昇降可能な苗植付部(6)を設けてある乗用型の苗移植機において、前記走行車体(1)のステップフロア(34)には、前輪(2)の位置を透視できる左右方向に長い複数の透視孔(40f)を設け、該複数の透視孔(40f)に備える前後方向に長い溝(41)にペダルを挿通し、該溝(41)は、前記複数の透視孔(40f)のうち、一部の前後の透視孔(40f,40f)を連通して前後方向に長く形成することを特徴とする苗移植機とした。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記ステップフロア(34)外周に滑り止め用の立上り部(35)を突設し、ステップフロア(34)から上方に立設する支持フレーム(38)で予備苗載台(37)を支持する構成とし、該支持フレーム(38)はステップフロア(34)の外周縁部に設定すると共に、前記立上り部(35)は支持フレーム(38)の近くにおいて一部切欠き構成し、前記前輪(2)の位置を透視できる透視孔(40f)と後輪(3)の上方に対応する部位に設けた左右方向に長い透視孔(40b)は、内周縁部を上方に折り曲げられて構成された突起部(40j)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機とした
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、ステップフロア34の水抜きができるので、ステップフロア34に雨水が溜ることが防止される。
また、透視孔40fにより、前輪2の位置が見易くなる。
また、ペダルを挿通する溝41をペダルのガイドとすることができる。
【0009】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の効果に加えて、ステップフロア34上に溜った水は、立上り部35を一部切り欠いた切欠溝36部から速やかに外部へ流れ出る。切欠溝36部近くには予備苗載台の支持フレーム38が立設しているため、この切欠溝部の存在によって滑り止め効果が阻害されることはなく、その支持フレーム自体が滑り止め効果を発揮することができて安全である。
【0010】
従って、ステップフロア34外周の立上り部35によって足をすべらせるのを防止することができるものでありながら、立上り部35の切欠きによって雨水や泥水をフロア外ヘ排出でき、スリップによる危険性を回避できる。
そして、前輪2の位置を透視できる透視孔40fと後輪3の上方に対応する部位に設けた左右方向に長い透視孔40bは、内周縁部を上方に折り曲げられて構成された突起部40jを備えたので、ステップフロア34自体の剛性アップ及び更なる滑り止め効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】田植機の側面図
図2】田植機の平面図
図3】ステップフロアの平面図
図4】ステップフロアの一部の側断面図
図5】ステップフロアの平面図
図6】ステップフロアの要部の側断面図
図7】別実施例の田植機要部の側面図
図8】別実施例の田植機要部の側面図
図9】ステップフロアとバランスウエイトとの関係平面図
図10】同上側面図
図11】HSTレバーとスロットルとの連動機構を示す平面図
図12】同上側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、苗移植機として4条植の乗用田植機を示すものであり、走行車体1の前後には走行車輪としての左右一対の前輪2,2及び後輪3,3が架設されている。車体上前部には操作ボックス4及びステアリングハンドル5等を有する操縦装置が設置され、また、車体後方部には昇降可能な苗植付部6が装備されている。操縦装置の後側に運転席9が設置され、運転席の下側に田植機の各部に動力を伝達するエンジンEが搭載されている。
【0013】
前記ステアリングハンドル5は、該ハンドルの旋回操作によりステアリングポスト10内のステアリング軸からステアリングケース内を経て減速回転される出力軸、ピットマンアーム及び操向ロッド等を介して左右の前輪2,2を操向させ操舵するようになっている。
【0014】
苗植付部6は、車体の後部に昇降リンク機構7を介して昇降可能に装着され、昇降用油圧シリンダ8の伸縮作動により昇降する構成であり、その操作は植付昇降レバー15によって行う。
【0015】
また、この苗植付部6には、マット苗を載せて左右に往復動し苗を一株分づつ各条における前板11aの苗取出口11b,…に供給すると共に横一列の苗を全て苗取出口11b,…に供給すると苗送りベルト11c,…により苗を下方に移送する苗タンク11、植付具12で一株分の苗を切取って土中に植込む4条分の苗植付装置13,13、苗植付面を滑走しながら整地するフロート(サイドフロート)14,14、センタフロート14S等を備えた構成としている。
【0016】
走行車体1の前部側にミッションケース20が配置され、そのミッションケース20の左右側面部から前輪アクスルケース16が側方に延び、その左右両端に変向可能に設けた前輪ファイナルケース17,17に前輪2,2が回転自在に軸支されている。また、ミッションケース20の背面部にメインフレーム21の前端部が固着されており、そのメインフレーム21の後端部から左右側方に延びるリヤフレーム22の先端部に固定して設けた後輪伝動ケース18,18に後輪3,3が回転自在に支承されている。
【0017】
原動機となるエンジンEはメインフレーム21の上部に搭載されてあり、そして、このエンジンEの回転動力は、ミッションケース20への入力伝動部材23として、エンジン出力プーリ24からベルト25を介して油圧式無段変速装置(HST)26の入力プーリ27軸に伝えられ、この入力プーリ27軸から油圧ポンプを駆動するようになっており、更に、HST26の出力軸からミッションケース20内のミッションに伝達されるようになっている。該ケース20内のミッションに伝達された回転動力は、ケース20内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、前輪2,2及び後輪伝動軸19から後輪伝動ケース18,18のギヤ機構を介して後輪3,3を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース20からの出力伝動系として、安全クラッチケース内の安全クラッチを介して植付伝動軸に伝達され、更に、植付伝動軸によって苗植付部6へ伝動されると共に、施肥装置29へも動力伝達されるようになっている。
【0018】
走行車体1の車体カバー部30は、操作ボックス4の各種操作機構を覆うボンネット31と、エンジンEの上部を覆うエンジンカバー32と、後輪3,3を覆うフェンダー33と、オペレータが歩行移動可能な水平状のステップフロア34とによって構成されている。
【0019】
前記ステップフロア34の外周には、滑り止め用の立上り部35が突設されている。また、ステップフロアには予備苗載台37を支持する支持フレーム38が該フロア34から上方に向けて突設され、しかも、この支持フレーム38はステップフロア34の左右側の外周縁部に設定されて一体的に固着支持された構成になっている。
【0020】
そして、前記立上り部35には、支持フレーム38の近傍においてその一部を切欠き形成して切欠溝36を設けることにより、フロア上に溜った水が外側に流れ出るように構成されている。
【0021】
図5に示す実施例のステップフロア34は、該フロアの左右前輪2,2の上方に対応する部位において運転部から前輪2,2の位置を透視できる左右方向に長い複数の透視孔40f,40f…が開口して設けられ、これら複数の透視孔40f…のうち、前後二つの透視孔40f,40fと連通して前後方向に長く開口されたガイド溝41が設けられ、フットアクセルペダルなどを挿通してガイドできる構成になっている。透視孔40f1〜40f5までの間は、前側ほど横幅方向内側に長く、後側ほど短くすることにより、前輪を内側にきった時、前輪が傾いた角度に透視孔が開いていることになり、前輪の位置が見易くなる。外側に前輪をきった時は、前端がステップフロアから外側に突き出ることになるので、その方向に孔を開けなくても前輪位置を容易に確認することができる。
【0022】
また、後輪3,3の上方に対応する部位にも横長の透視孔40b…と前後方向に長い透視孔42…とを左右と前後の方向違いに設けることによって、ステップの剛性向上を図るようにしてあり、そして、前後方向の透視孔42…は、例えば、畦クラッチレバーのガイド溝を兼用する構成とすることもできる。
【0023】
なお、前記ステップフロアの各透視孔40f,40bは、図6に示すように、該孔の内周縁部を上方に折り曲げ加工して突起部40jを設けるように構成しておくと、フロア自体の剛性アップ並びにより良い滑り止め効果を発揮することができる。
【0024】
図7に示す実施例では、上部に運転席9を装着して支点P回りに揺動開閉可能なエンジンカバー32であって、エンジンEを搭載する支持部材とは別のステップフロアを支持するステップ支持フレーム22に支持させることによって、エンジンEからの振動が直接伝わらないように構成している。
【0025】
図8に示す実施例は、セルスタータ・リコイルスタータ仕様のエンジンを搭載した田植機において、通常はセルでエンジンをかけ、リコイルは非常時用とする。非常用のリコイルノブ43は、エンジンカバー32内でエンジンEの側部に装備している。エンジンカバーを開閉式とし、非常時はエンジンカバーを開けてリコイルを上方に引いてエンジンをかけるように構成している。
【0026】
図9及び図10に示す実施例は、田植機の機体前部にバランスウエイトを搭載するものにおいて、かかるウエイト45は、左右のメインフレーム21,21の前端に固着したフロントフレーム28部に取り付けできるように構成し、ウエイトの上面を平坦面とすると共に、このウエイトの上面にステップフロア34の前端側を受けさせるように支持する構成としている。ウエイトの上面をステップフロアの受け面とすることで、フロアを安定よく支持することができる。また、前方から田植機に乗り降りする際は、ウエイトがステップの受けになっている辺りに足をかけて乗り降りすることができるので、鉄板のような薄いステップでも負荷に充分耐え得ることになる。
【0027】
図11及び図12に示す実施例は、HSTレバーの前後進操作に連動してエンジンのスロットル調整を行うオートスロットル構成において、HSTレバー47は、レバーガイド溝48に沿って中立位置Nから前方Fへの操作で前進域とし、中立位置Nから後方Rへの操作で後進域とし、そして、HSTレバーが中立位置Nでは、アイドリング状態とし、前後進低速域では、即ち、HSTレバーの中立位置Nから前後進操作経路内N´への操作でスロットルが上昇するように連動構成している。また、スロットルケーブル49のアウター受け部50をピン軸51回りに回動可能とすることにより、前後進共ケーブル1本でスロットル調整が可能となる。なお、アウター受け部をケーブル引き方向前後に移動調整可能とすることで、動き始め時のスロットル回転を適宜に変更調整することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 走行車体
2 前輪
3 後輪
6 苗植付部
34 ステップフロア
35 立上り部
37 予備苗載台
38 支持フレーム
40b 横長の透視孔
40f 前輪の位置を透視できる透視孔
40j 突起部
41 ガイド溝
42 前後に長い透視孔
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12