特許第5884785号(P5884785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884785
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   B25J19/00 F
   B25J19/00 D
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-158210(P2013-158210)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-27714(P2015-27714A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真義
(72)【発明者】
【氏名】白木 知行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】榊 芳梨
(72)【発明者】
【氏名】金森 貴彦
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−138581(JP,A)
【文献】 特開平11−277481(JP,A)
【文献】 特開2012−148392(JP,A)
【文献】 特開2002−283275(JP,A)
【文献】 特開2005−103711(JP,A)
【文献】 特開2011−200989(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0043587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットであって、
基台部と、
前記基台部に対し、所定の旋回軸まわりに旋回可能に連結される旋回ベースと、
前記旋回ベースに対し、基端部が前記旋回軸に略垂直な回転軸まわりに回転可能に連結されるアーム部と、
一端部側が前記回転軸よりも当該ロボットの前方で前記旋回ベースに連結され、他端部側が前記アーム部に連結されるバランサと、
前記バランサによって支持されつつ、該バランサの外側に前記アーム部に沿わせて配設される艤装ケーブルと
を備えることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記アーム部は、
基端部が前記旋回ベースに連結される第1アームと、
前記第1アームの先端部に対し、基端部が前記回転軸に略平行な平行軸まわりに回転可能に連結される第2アームと
を備え、
前記艤装ケーブルは、
前記第2アームに対し、該第2アームの基端部外側から回り込ませながら該第2アームの先端部へ向けて配索されること
を特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
支持具をさらに備え、
前記艤装ケーブルは、
前記支持具を介して前記バランサの先端部に固定されることによって、前記バランサに支持されること
を特徴とする請求項1または2に記載のロボット。
【請求項4】
前記旋回ベースは、
前記アーム部に回転可能に連結されるべく減速機を収容する連結部が形成され、
前記連結部には、
前記アーム部の回転駆動力を付与するサーボモータが支持され、前記連結部に収容された減速機に動力伝達可能に連結されていること
を特徴とする請求項1、2または3に記載のロボット。
【請求項5】
前記連結部には、
前記サーボモータに連結されるケーブルが挿通される孔部が設けられていること
を特徴とする請求項4に記載のロボット。
【請求項6】
前記基台部と前記旋回ベースとは、前記旋回軸に沿った中空孔を有する回転部材を介して連結され、
前記ケーブルは、前記中空孔を通り前記基台部から前記旋回ベースの上部へと配索されて前記旋回ベースの上部において分岐し、
分岐した一方のケーブルは、前記連結部の前記孔部を通って前記サーボモータに連結され、
他方のケーブルは、前記艤装ケーブルと取りまとめられ前記バランサに沿って配索されること
を特徴とする請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記旋回ベースに設けられ、前記回転軸よりも当該ロボットの前方で、かつ、前記回転軸よりも前記基台部側に配置される第1の取り付け部と、
前記アーム部に設けられる第2の取り付け部と
をさらに備え、
前記第1の取り付け部には、前記バランサの基端部が前記回転軸に略平行な第1の支持軸まわりに回転可能に取り付けられ、
前記第2の取り付け部には、前記バランサの先端部が前記回転軸に略平行な第2の支持軸まわりに回転可能に取り付けられること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のロボット。
【請求項8】
前記バランサは、
流体が封入されたシリンダ部と、前記流体の圧力によって伸縮するロッド部とを有すること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のロボット。
【請求項9】
前記バランサは、
該バランサを覆うカバー部材を有すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のロボット。
【請求項10】
前記回転軸に略平行な回転軸まわりに回転可能に前記第2アームに連結された揺動部と、
前記揺動部の回転軸に対して略垂直な回転軸まわりに回転可能なフランジ部と、
前記フランジ部に設けられ、エンドエフェクタを取り付け可能とするエンドエフェクタ取り付け部と
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のロボット。
【請求項11】
前記エンドエフェクタがスポット溶接ガンであること
を特徴とする請求項10に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポット溶接用途などに用いられるロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。かかるロボットは、たとえば、床面などに固定される基台部に対して旋回可能に設けられる旋回ベースと、かかる旋回台に取り付けられる多軸アームとを有して構成される。
【0003】
また、旋回ベースには、重力補償用のバランサが連結される。なお、バランサは、スプリング式のものが用いられる場合が多い。
【0004】
また、ロボットに艤装される艤装ケーブルは、旋回ベースの外側まわりに捻回させて配設され、さらにかかる旋回ベースの外側まわりから多軸アームに沿わせて配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−200989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術には、省スペース化を図るうえで更なる改善の余地がある。
【0007】
具体的には、スプリング式のバランサを用いた場合、フットプリントが肥大化しやすいという問題点があった。また、上述のような艤装ケーブルの配設形態についても、フットプリントの肥大化を招きやすかった。
【0008】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、省スペース化を図ることができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係るロボットは、基台部と、旋回ベースと、アーム部と、バランサと、艤装ケーブルとを備える。前記旋回ベースは、前記基台部に対し、所定の旋回軸まわりに旋回可能に連結される。前記アーム部は、前記旋回ベースに対し、基端部が前記旋回軸に略垂直な回転軸まわりに回転可能に連結される。前記バランサは、一端部側が前記回転軸よりも当該ロボットの前方で前記旋回ベースに連結され、他端部側が前記アーム部に連結される。前記艤装ケーブルは、前記バランサによって支持されつつ、該バランサの外側に前記アーム部に沿わせて配設される。
【発明の効果】
【0010】
実施形態の一態様によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るロボットの斜視図である。
図2A図2Aは、実施形態に係るロボットの構成を示す左側面図である。
図2B図2Bは、実施形態に係るバランサがもたらす効果を示す模式図である。
図3A図3Aは、実施形態に係るロボットの正面図である。
図3B図3Bは、旋回ベース周辺の矢視A図である。
図4A図4Aは、図2Aに示したP1部周辺の透過図である。
図4B図4Bは、P1部周辺の矢視A’透過図である。
図4C図4Cは、実施形態に係るロボットの平面図である。
図5A図5Aは、フランジ部の平面図である。
図5B図5Bは、フランジ部の使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するロボットの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
また、以下では、スポット溶接用途に用いられるロボットを例に挙げて説明を行う。
【0014】
まず、実施形態に係るロボット10の概略について述べる。図1は、実施形態に係るロボット10の斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、ロボット10の旋回位置および姿勢が基本的に図1に示す状態にあるものとして、ロボット10における各部位の位置関係を説明する。
【0015】
また、図1には、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。なお、本実施形態では、X軸の正方向がロボット10の前方を指すものとする。
【0016】
図1に示すように、ロボット10は、いわゆる垂直多関節型である。具体的には、ロボット10は、基台部11と、旋回ベース12と、アーム部13と、手首部14と、フランジ部15とを備える。手首部14は、揺動部の一例である。
【0017】
また、アーム部13は、下部アーム13aと、上部アーム13bとを備える。下部アーム13aは、第1アームの一例である。また、上部アーム13bは、第2アームの一例である。
【0018】
基台部11は、床面などに固定される支持ベースである。旋回ベース12は、かかる基台部11上に旋回可能に設けられる。下部アーム13aは、旋回ベース12に対して回転可能に設けられる。
【0019】
上部アーム13bは、下部アーム13aに対して回転可能に設けられる。手首部14は、上部アーム13bの先端部に揺動可能に設けられる。また、フランジ部15は、かかる手首部14に対して回転可能に設けられる。なお、フランジ部15には、スポット溶接ガンといったエンドエフェクタが取り付けられる。
【0020】
また、ロボット10は、重力補償用のバランサ16を備える。バランサ16は、窒素ガス等の流体が封入されたシリンダ部16aと、かかる流体の圧力によって伸縮するロッド部16bとを有する。なお、シリンダ部16aの流体としては、その他の気体、およびオイル等の液体を用いたものでもよい。
【0021】
このバランサ16は、旋回ベース12に設けられた第1の取り付け部12aと、下部アーム13aに設けられた第2の取り付け部13aaとを介して、旋回ベース12および下部アーム13aにそれぞれ連結される。
【0022】
なお、バランサ16のロッド部16bは、シリンダ部16aよりも径が小さいロッドがロッドの伸縮に追従して伸縮するジャバラ状のカバー部材16cによって覆われている。これは、溶接用途に用いられる場合においては、スパッタなどの熱片による焼損を防ぐうえで効果的である。なお、カバー部材16cは必ずしもジャバラ形状である必要はなく、ロッド部16bを筒状に覆うものであればよい。
【0023】
また、ロボット10は、艤装ケーブル17を備える。艤装ケーブル17は、溶接装備用のケーブル類やホース類等である。艤装ケーブル17は、前述のバランサ16によって支持されつつ、かかるバランサ16の外側に下部アーム13aに沿わせて配索される。
【0024】
また、この艤装ケーブル17は、上部アーム13bに対し、基端部外側から回り込ませながら先端部へ向けて配索される。
【0025】
本実施形態に係るロボット10は、このような構成において、省スペース化を図るものである。そして、艤装ケーブル17による無用な規制を受けることなく、旋回ベース12、アーム部13および手首部14を動作させることを可能とし、手首部14に取り付けられたエンドエフェクタの位置および姿勢を制御して、スポット溶接作業といったハンドリング作業を行う。
【0026】
かかるロボット10の構成について、以下、図2A以降を用いてさらに詳しく説明する。図2Aは、実施形態に係るロボット10の構成を示す左側面図である。
【0027】
図2Aに示すように、旋回ベース12は、基台部11に対し、旋回軸Sまわりに旋回可能に連結される(図中の矢印201参照)。なお、かかる基台部11および旋回ベース12の連結部分においては、省スペース化に資するように艤装ケーブル17が配索される。この点の詳細については、図中に示すP1部の透過図(図4Aおよび図4B)を用いて後述する。
【0028】
また、図2Aに示すように、下部アーム13aは、旋回ベース12に対し、基端部が旋回軸Sに略垂直な軸Lまわりに回転可能に連結される(図中の矢印202参照)。
【0029】
また、上部アーム13bは、下部アーム13aの先端部に対し、基端部が軸Lに略平行な軸Uまわりに回転可能に連結される(図中の矢印203参照)。なお、上部アーム13bは、原点となる回転位置(軸Uの回転中心参照)で、下部アーム13aよりも前方側に伸びる動作を行う。
【0030】
あわせて、上部アーム13bは、軸Uに略垂直な軸Rまわりに捻転可能に設けられている(図中の矢印204参照)。
【0031】
また、手首部14は、上部アーム13bの先端部に対し、軸Rに略垂直な軸Bまわりに揺動可能に連結される(図中の矢印205参照)。また、フランジ部15は、手首部14に対し、軸Bに略垂直な軸Tまわりに回転可能に連結される(図中の矢印206参照)。
【0032】
なお、フランジ部15には、エンドエフェクタを取り付け可能とするエンドエフェクタ取り付け部15b(後述)が設けられている。かかるフランジ部15の詳細については、図5Aおよび図5Bを用いて後述する。
【0033】
また、図2Aに示すように、バランサ16は、基端部が第1の取り付け部12aに取り付けられ、先端部が第2の取り付け部13aaに取り付けられて、旋回ベース12および下部アーム13aにそれぞれ連結される。
【0034】
また、バランサ16は、第1の取り付け部12aにおいては、軸Lに略平行な軸AX1まわりに回転可能に取り付けられる(図中の矢印207参照)。また、第2の取り付け部13aaにおいては、軸Lに略平行な軸AX2まわりに回転可能に取り付けられる(図中の矢印208参照)。なお、軸AX1は第1の支持軸の一例であり、軸AX2は第2の支持軸の一例である。
【0035】
ここで、図2Aに示すように、第1の取り付け部12aは、旋回ベースの要部よりも旋回径方向外側で、かつ、軸Lよりも基台部11側に配置されている。すなわち、第1の取り付け部12aは、旋回ベース12よりもロボット10の前方側でバランサ16の基端部を取り付けられるように形成されている。
【0036】
このように取り付けられるバランサ16がもたらす効果について説明する。図2Bは、実施形態に係るバランサ16がもたらす効果を示す模式図である。なお、図2Bでは、上段に、下部アーム13aを立てた状態のロボット10を、下段に、下部アーム13aを後方に倒した状態のロボット10を、それぞれ関節を示す図記号を用いてごく模式的に示している。
【0037】
図2Bに示すように、第1の取り付け部12aを介し、バランサ16の基端部が旋回ベース12よりもロボット10の前方側にあることで、下部アーム13aを後方により広範囲に倒すことが可能となる(図中の矢印209参照)。これは、後方に倒れる下部アーム13aに対して、バランサ16により、下方から支持する力が作用するためである。
【0038】
これにより、スポット溶接作業に際して、ロボット10がとることのできる姿勢の自由度を向上させることができる。また、ロボット10を運搬するのに際して、ロボット10によりコンパクトな姿勢をとらせる、言うなればコンパクトにたたむことができるので、運搬容積を小さくすることができる。
【0039】
また、このようにバランサ16が取り付けられることによって、旧態のスプリング式のバランサが取り付けられる場合と比べてフットプリントを肥大化させにくい。すなわち、フットプリントを狭小化させ、省スペース化を図ることができる。
【0040】
図2Aの説明に戻る。また、図2Aに示すように、艤装ケーブル17は、基台部11および旋回ベース12の連結部分から旋回ベース12の上部へと配索される。また、艤装ケーブル17はさらに、バランサ16によって支持されつつ、かかるバランサ16の外側に下部アーム13aに沿わせて配索される。
【0041】
すなわち、上述のようにフットプリントを狭小化させるバランサ16によって支持されつつ艤装ケーブル17を配索するので、やはり省スペース化を図ることができる。
【0042】
なお、ロボット10は、ステー18をさらに備えている。ステー18はバランサ16に沿って設けられ、シリンダ部16aに支持具により2箇所で固定されている。艤装ケーブル17は、かかるステー18を介してバランサ16の先端部に固定されることによって、バランサ16に支持される。ステー18は、支持具の一例である。
【0043】
また、艤装ケーブル17は、上部アーム13bに対し、基端部外側から回り込ませながら先端部へ向けて配索される。これにより、上部アーム13bおよび下部アーム13aの間に艤装ケーブル17が挟み込まれないので、艤装ケーブル17による無用な規制を与えることなくロボット10を動作させることができる。
【0044】
この点は、溶接装備用のケーブル類やホース類で艤装ケーブル17がかさばりがちとなるスポット溶接用途においては有用となる。
【0045】
つづいて、旋回ベース12周辺の構成についてさらに詳しく説明する。図3Aは、実施形態に係るロボット10の正面図である。また、図3Bは、旋回ベース12周辺の矢視A図である。
【0046】
図3Aに示すように、ロボット10は、下部アーム13aを軸Lまわりに回転させる回転駆動力を付与するサーボモータM1と、かかるサーボモータM1と動力伝達可能に連結される減速機G1とをさらに備える。
【0047】
そして、旋回ベース12は、下部アーム13aに回転可能に連結されるべく減速機G1を収容する連結部12bを備える。したがって、連結部12bには、減速機G1と連結されたサーボモータM1もまた支持される。
【0048】
なお、旋回ベース12は鋳物であり、連結部12bはかかる旋回ベース12に一体形成される。
【0049】
また、前述の第1の取り付け部12aも、連結部12bの下方から下部アーム13aの下方を軸Lと略平行に延びて下部アーム13aよりも延在方向側(図中のY軸の負方向側)でバランサ16の基端部に連結されるように、旋回ベース12に一体形成されている。
【0050】
また、図3Bに示すように、連結部12bには、孔部12baが設けられる。孔部12baには、サーボモータM1に連結されるケーブル19(後述)が挿通される。
【0051】
次に、かかるケーブル19および前述の艤装ケーブル17を含むケーブル類の配索について、図4A図4Cを用いて説明する。図4Aは、図2Aに示したP1部周辺の透過図である。また、図4Bは、P1部周辺の矢視A’透過図である。また、図4Cは、実施形態に係るロボット10の平面図である。
【0052】
図4Aに示すように、基台部11と旋回ベース12とは、旋回軸Sに沿った中空孔G21を有する中空減速機G2を介して連結される。中空減速機G2は、回転部材の一例である。
【0053】
そして、艤装ケーブル17やケーブル19は、ロボット10の外部からまず、この中空孔G21へ向けて配索される。このとき、これらケーブル類は、基台部11の内部において、旋回軸Sまわりに外配(U字移動曲げ処理等)されることなく配索される。
【0054】
そして、図4Bに示すように、艤装ケーブル17およびケーブル19は、中空孔G21において捻回処理される。したがって、本実施形態に係るロボット10によれば、ケーブル類の外配等のために、基台部11を無用に肥大化させる必要がない。
【0055】
これにより、ロボット10のフットプリントを狭小化させ、ケーブル類の高密度配置を可能とすることができる。すなわち、省スペース化に資することができる。
【0056】
なお、中空孔G21において捻回処理されるケーブル類は中空孔G21を通り、図4Cに示すように、基台部11から旋回ベース12の上部へと配索されて、旋回ベース12の上部において分岐する。
【0057】
そして、分岐した一方のケーブル19は、連結部12bの孔部12baを通ってサーボモータM1に連結される。また、分岐した他方の艤装ケーブル17は、その他の艤装ケーブル17と取りまとめられ、サーボモータM1の周囲を回り、ステー18に沿って配索されることとなる。
【0058】
次に、フランジ部15の詳細について、図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図5Aは、フランジ部15の平面図である。また、図5Bは、フランジ部15の使用状態を示す模式図である。
【0059】
図5Aに示すように、フランジ部15は、平面視で略U字状をなす形状に形成されている。かかるフランジ部15は、被取り付け部15aと、エンドエフェクタ取り付け部15bと、開口部15cとを備える。
【0060】
なお、図5Aでは図示を略しているが、開口部15cに対向する底面側もまた開口されている。
【0061】
かかるフランジ部15は、図5Bに示すように、被取り付け部15aにおいて手首部14に取り付けられる。また、エンドエフェクタ取り付け部15bには、エンドエフェクタとして、たとえばスポット溶接ガン20が取り付けられる。これにより、フランジ部15を介して、手首部14とスポット溶接ガン20とが継手される。
【0062】
また、上述のように下部アーム13aから上部アーム13b沿いに配索されてきた艤装ケーブル17は、フランジ部15の略U字状の開口部15c側から底面側へ挿通され、スポット溶接ガン20へ接続される。
【0063】
そして、艤装ケーブル17は、フランジ部15において空間的に余裕をもった状態で保持される。これにより、手首部14の回転にともなってスポット溶接ガン20が回転しても、艤装ケーブル17はフランジ部15内の空間で自由度高く動くことができる。
【0064】
すなわち、かさばりやすい溶接装備用の艤装ケーブル17であってもコンパクトに取りまとめることができ、かつ、艤装ケーブル17が動作する自由度を高く保持することができる。したがって、ロボット10の動作に無用な規制(干渉など)を与えることなく、ロボット10にスポット溶接作業を行わせることができる。
【0065】
上述してきたように、実施形態に係るロボットは、基台部と、旋回ベースと、アーム部と、バランサと、艤装ケーブルとを備える。上記旋回ベースは、上記基台部に対し、所定の旋回軸まわりに旋回可能に連結される。上記アーム部は、上記旋回ベースに対し、基端部が上記旋回軸に略垂直な回転軸まわりに回転可能に連結される。
【0066】
上記バランサは、上記旋回ベースおよび上記アーム部にそれぞれ連結される。上記艤装ケーブルは、上記バランサによって支持されつつ、かかるバランサの外側に上記アーム部に沿わせて配設される。
【0067】
したがって、実施形態に係るロボットによれば、省スペース化を図ることができる。
【0068】
なお、上述してきた実施形態では、ロボットが、スポット溶接用途に用いられる場合を例に挙げたが、ロボットが行う作業の種別を限定するものではない。すなわち、例えばエンドエフェクタとしてスポット溶接ガンに代えてワークを保持可能なハンドを取り付けて、ワークのハンドリング作業用途に用いることもできる。
【0069】
また、上述した実施形態では、バランサが、基端部および先端部において支持される場合を例に挙げたが、バランサの支持される部位を限定するものではない。すなわち、バランサは、一部とその他の一部とで少なくとも二点支持されればよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、6軸を有する多軸ロボットを例示したが、軸数を限定するものではない。たとえば、7軸ロボットであってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、単腕ロボットを例示したが、これに限られるものではなく、たとえば、双腕以上の多腕ロボットの腕の少なくともいずれかに、上述した実施形態が適用されてもよい。
【0072】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 ロボット
11 基台部
12 旋回ベース
12a 第1の取り付け部
12b 連結部
12ba 孔部
13 アーム部
13a 下部アーム
13aa 第2の取り付け部
13b 上部アーム
14 手首部
15 フランジ部
15a 被取り付け部
15b エンドエフェクタ取り付け部
15c 開口部
16 バランサ
16a シリンダ部
16b ロッド部
16c カバー部材
17 艤装ケーブル
18 ステー
19 ケーブル
20 スポット溶接ガン
AX1 軸
AX2 軸
B 軸
G1 減速機
G2 中空減速機
G21 中空孔
L 軸
M1 サーボモータ
R 軸
S 旋回軸
T 軸
U 軸
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B