【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、請求項1に記載のフィルタモジュールによって解決される。
【0008】
本発明の触媒フィルタモジュールは、体積当たりの高いフィルタ面積を実現し、フィルタシステムに高い密度で容易に実装することができる。したがって、本発明の触媒フィルタモジュールは、極めて高い体積流量率に対する解決策を提供し、一方で、モジュールを収容するフィルタ容器のサイズは、経済的に妥当なままである。
【0009】
触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールを備えるシステムは、標準的な高温ガスの濾過に有利に使用することができる。さらなる適用分野は、バイオマスガス化、焼結工場およびコークス炉工場の排出ガス清浄、発電所および焼却炉の排出ガス清浄、FCC(fluid catalytic cracking(流動接触分解))ユニットまたは化学工程(セメント産業など)などにおける精製工程である。
【0010】
[発明の詳細な説明]
本発明の触媒フィルタモジュールは、ブロック状フィルタエレメントと、触媒エレメントと、清浄ガス収集・放出装置とを備える。
【0011】
フィルタエレメントおよび触媒エレメントは、互いに実質的に同じ広がりを持つ。フィルタエレメントは、その上流面または供給面から供給ガス(例えば、排ガスまたは高温ガス)を受け入れる。フィルタエレメントのブロック状体の反対側の面(以下、濾過流体側または放出面)から、濾過流体が出て行き、触媒エレメントの上流面によって受け入れられる。
【0012】
触媒エレメントは、フィルタエレメントと該触媒エレメントとの間に小さな隙間を設けて、フィルタエレメントの濾過流体側に配置されてもよい。他の好ましい実施形態では、触媒エレメントは、フィルタエレメントに直接接触するように配置され、濾過ガス内に依然含まれているガス状成分の触媒処理のために濾過流体を直接受け入れる。
【0013】
清浄ガスは、触媒エレメントの清浄ガス面から出て行く。フィルタエレメントおよび触媒エレメントを通過する際のガスの流れ方向は、実質的に均一かつ直線的である。
【0014】
清浄ガス収集・放出装置は、触媒エレメントの清浄ガス面のほぼ全体にわたって延設され、該清浄ガス面から清浄ガスの流れを受け入れる。清浄ガス収集・放出装置は、触媒エレメントの清浄ガス面の垂線に対して横方向に清浄ガスの流れを偏向させ、誘導する。清浄ガスは、本発明のモジュールの側面にある開口を介して出て行く。
【0015】
このような設計のおかげで、フィルタエレメント、触媒エレメント、および清浄ガス収集・放出装置は、非常に小型の構造として実現することができ、また、触媒フィルタシステムのハウジングまたは容器内に、体積当たりに多くの数を取り付けることができる。
【0016】
本発明の触媒フィルタモジュールのフィルタエレメントは、特定の濾過用途の課題に応じて様々な設計から選択されてもよい。
【0017】
一般的な設計は、膜、フィルム、シート、円板、およびハニカム構造のエレメントを含む。
【0018】
フィルタエレメントは、焼結セラミック材料、焼結金属材料、または焼結プラスチック材料から作製されることが好ましい。
【0019】
フィルタエレメントは、単一構造、または、接着、溶接、もしくは焼結、または共通のフレームへのサブユニットの収容によって互いに取り付けられる複数のサブユニットとして設計されてもよい。
【0020】
大きな濾過領域が必要とされる場合、ハニカム構造のフィルタエレメントが好ましい。ハニカム構造のフィルタエレメントは、一般に、互いに同じ広がりを持ちかつ平行に配置された複数の原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトを有する。この場合、原料ガスダクトは、フィルタエレメントの原料ガス側または供給面において開口されており、フィルタエレメントの濾過流体側または放出面において閉鎖されている。濾過流体ダクトは、フィルタエレメントの原料ガス側において閉鎖されており、濾過流体側において開口されている。原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトは、多孔質の筒状壁部によって互いに分離されている。
【0021】
フィルタエレメントの筒状壁部の好ましい軸長は、約10mm〜約300mm、より好ましくは約30mm〜約200mm、最も好ましくは約50mm〜約150mmの範囲内である。筒状壁部の好ましい軸長は、フィルタエレメントの縦軸線が水平方向の場合であっても、逆噴流(back−pulsing)中にフィルタエレメントから粒子状物質を効率的に放出することを可能にする。
【0022】
ユニットの供給側の10cm
2の断面当たりのフィルタエレメントの数は、好ましくは約1〜約100、より好ましくは2〜約10の範囲内である。一般に、同数の清浄ガスダクトが、10cm
2の断面積ごとに設けられる。
【0023】
筒状壁部は、縁の長さが約3mm〜約20mm、好ましくは約5mm〜約10mmの正方形の面積に相当する断面積を有する。また、相当する断面積は、他の矩形、楕円形、または円形の断面を有するように設計されたフィルタエレメントにとって好ましいものである。
【0024】
筒状壁部、ならびに、随意に原料ガスダクトおよび/または清浄ガスダクトの閉鎖端の平均多孔率は、約25〜約90体積%の範囲内である。
【0025】
フィルタエレメントがフィルタシステムのフィルタ容器に収容された状態で、フィルタエレメントの再生を可能にするために、ガスの逆噴流を行って、濾過動作中に原料ガスダクト内に溜まった粒子状物質を除去し、取り除く。
【0026】
本発明の触媒フィルタモジュールは、一般に、フィルタエレメントの原料ガス側が垂直に配置された状態で、触媒フィルタシステムのハウジングに収容される。
【0027】
フィルタエレメントの原料ガス側に対して垂直な、フィルタエレメントの原料ガスダクトの方向によって、効果的な逆噴流および原料ガスダクトからの粒子状物質の除去が既に可能になっている。逆噴流中に原料ガスダクトから粒子を除去する効率は、原料ガスダクト(および同様に濾過流体ダクト)を傾斜した方向に配置することによって、さらに改善することができる。原料ガスダクトの縦軸線と供給面の垂線との間の角度は、約10°〜約60°、好ましくは約30°〜約60°の範囲内であり、原料ガスダクトの最下部が開口端であることが好ましい。
【0028】
フィルタエレメントの好ましい細孔サイズは、約0.1μm〜約150μm、より好ましくは約1μm〜約100μm、最も好ましくは約2μm〜約10μmの範囲内である。実施形態によっては、フィルタエレメントは、微粒子濾過用に設計され、約1μm未満、例えば、約0.5μmのサイズの粒子を保持することができる。
【0029】
本発明の第1の好ましい実施形態に係る触媒エレメントは、流動床または固定床の形態をした触媒粒子状物質を収容するコンパートメントを有する。
【0030】
流動床または固定床の触媒粒子の平均粒子サイズは、約10μm〜約30mm、より好ましくは約100μm〜約10mmであることが好ましい。
【0031】
第2の好ましい実施形態では、触媒エレメントは、焼結粒子および/または繊維材料または発泡材料から作製された本体を備える。触媒エレメントは、セラミック材料または金属材料から作製されてもよい。場合によっては、セラミック材料または金属材料は、それ自体で、特定の用途に十分な触媒活性を有してもよいし、または、触媒を含んでもよい(随意に、触媒は、例えば触媒エレメントの本体を含浸させるか、または、被覆することによって、触媒エレメントの本体に適用されてもよい)。
【0032】
一般的に言えば、触媒エレメントは、非常に様々な構造(例えば、ハニカム構造(カセット型、円板状もしくは板状、または繊維マットの形態の))をとり得る。触媒エレメントは、単一構造を有してもよいし、または、複数のサブユニットから構成されてもよい。
【0033】
触媒エレメントの本体は、ハニカム構造を有することが好ましい。ハニカム構造は、フィルタエレメントの詳細な説明に関連して説明したハニカム構造と同様の設計であってもよい。しかしながら、一般に、触媒エレメントのハニカム構造のダクトの両端は、一端が閉鎖されたフィルタエレメントのダクトと対照的に、開口されている。
【0034】
第1の好ましい実施形態に優る、この第2の好ましい実施形態の利点は、圧力損失(delta p)がより少なく、かつ、触媒活性成分がより均質に分布するような触媒エレメントが、設計され得ることである。
【0035】
触媒エレメントにおける圧力降下がより少ないことによって、フィルタモジュールの再生中のより効果的な逆噴流が実現される。
【0036】
触媒エレメントの細孔サイズは、フィルタエレメントの細孔サイズよりも大きくされることが好ましい。したがって、触媒エレメントは、フィルタモジュールのフィルタ効果に顕著には寄与しない。すなわち、触媒エレメントは、供給ガスから粒子状物質を分離することにほとんど積極的に関与しない。
【0037】
好ましい触媒エレメントの平均細孔サイズは、約10〜約500μm、より好ましくは約50〜約200μmの範囲内である。
【0038】
セラミック発泡体製の好ましい触媒エレメントは、細孔密度が約10〜約60ppi(1インチ当たりの孔の数)、より好ましくは約30〜45ppiであることによって特徴付けることができる。セラミック発泡体は、平均粒子サイズが約0.1〜約100μm、より好ましくは約0.3〜約30μmである焼結粒子から作製されることが好ましい。
【0039】
セラミック繊維製の多孔質体の形態をした触媒エレメントが好ましい。この場合、繊維の平均繊維直径は、約1〜50μm、より好ましくは約2〜10μmである。好ましい繊維の長さは、約1〜約20mmの範囲内である。
【0040】
本発明の触媒フィルタモジュールに使用される触媒エレメントの上流面には、安全フィルタ層が設けられてもよい。この場合、触媒エレメントは、さらに安全ヒューズの機能を有する。
【0041】
触媒フィルタモジュールは、該触媒フィルタモジュールを特定の用途の要求に適合させるために、様々な触媒活性、さらには、組み合わせた触媒活性を有するように設計されてもよい。一般的な触媒活性は、例えば、酸化還元反応、NO還元、またはタール除去である。
【0042】
用途に応じて、本発明のフィルタモジュールは、第1の触媒エレメントの触媒活性とは異なる触媒活性を有する第2の触媒エレメントを備えてもよい。
【0043】
清浄ガス収集・放出装置は、1つ以上の互いに平行なチャネルを有するように設計されてもよい。清浄ガス収集・放出装置のチャネルの高さは、触媒エレメントの清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、フィルタエレメントの供給面から触媒エレメントの清浄ガス面までの距離の約0.1〜約0.7倍、好ましくは約0.3〜約0.5倍の範囲内であることが好ましい。
【0044】
本発明のさらに別の態様によれば、フィルタモジュールは、第1の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントと、第2の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントとを備えてもよく、この場合、第1の組および第2の組は、互いに離間して配置され、各触媒エレメントの清浄ガス面は、後ろ合わせに配置され、前記清浄ガス収集・放出装置は、第1の組と第2の組との間に配置されて、第1の組および第2の組の触媒エレメントの清浄ガス面から清浄ガスを受け入れるようになっており、双方の組のために機能する。清浄ガス収集・放出装置の1つ以上のチャネルの高さは、2つの組の清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、いずれか一方の組のフィルタエレメントの供給面から触媒エレメントの清浄ガス面までの距離の約0.2〜約1.4倍、より好ましくは約0.6〜約1倍の範囲内であることが好ましい。
【0045】
本発明のさらに別の態様によれば、清浄ガス収集・放出装置のチャネルは、その縦方向に関して、フィルタモジュールの触媒エレメントの清浄ガス面に対して約30°以上、好ましくは約60°以上、より好ましくは約90°の角度に配置される。
【0046】
偏向のこの角度は、好ましい実施形態では、フィルタモジュールのブロック状ユニットの放出側の全体にわたって延設された清浄ガス収集・放出装置のチャネルの壁または複数の壁の方向によって規定される。
【0047】
上記2つの組のフィルタエレメントおよび触媒エレメントは、放出面が互いに平行になるように、後ろ合わせに配置されることが好ましい。この場合、清浄ガスダクトから出て行く清浄ガスの偏向の角度は約90°となる。
【0048】
しかしながら、後ろ合わせに配置されるブロック状ユニットの放出側面は、平行に配置されなくてもよい。しかしながら、清浄ガスダクトから出て行く清浄ガスの偏向角度は、好ましくは約30°以上、より好ましくは約60°以上である。
【0049】
好ましい本発明の触媒フィルタモジュールは、矩形断面を有する触媒フィルタキャンドルとして設計され、従来の筒状フィルタキャンドルと同様にチューブシートから吊り下げられるようにして、フィルタシステムの容器に配置されてもよい。
【0050】
フィルタモジュールは、複数のサブユニットを備えるフィルタエレメントから作製されてもよい。この場合、複数のサブユニットは、該サブユニットを互いに接着、焼結、もしくは溶接することによって、または、共通のフレームに該サブユニットを収容することによって、組み立てられる。触媒エレメントは、フィルタエレメントのすべてのサブユニットに対して機能する単一エレメントまたは複数のサブユニット(例えば、触媒エレメントの1つのサブユニットが、フィルタエレメントの4つのサブユニットに対して機能したり、または、触媒エレメントのサブユニットの数が、フィルタエレメントを構成するサブユニットの数に等しかったりする)からなっていてもよい。
【0051】
本発明のフィルタモジュールは、その側面にフレームをさらに含んでもよく、これにより、ハウジングへのフィルタモジュールの取付けが容易になる。
【0052】
本発明はさらに、先に説明したようにハウジングに1つ以上の触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムに関する。
【0053】
前記ハウジングは、原料ガスチャンバと清浄ガスチャンバとに分離された内部空間を備える。フィルタモジュールは、前記内部空間に配置され、フィルタエレメントの供給面は、実質的に垂直に配置され、原料ガスチャンバと流体連通される。フィルタモジュールの清浄ガス放出開口は、ハウジングの清浄ガスチャンバと流体連通される。随意に、本システムは、逆噴流装置を備える。
【0054】
ハウジングは、チューブシートを備え、該チューブシートが、ハウジングの内部空間を原料ガスチャンバと清浄ガスチャンバとに分離し、前記チューブシートが、好ましくは互いに平行に1つ以上のフィルタモジュールを収容する開口を備えることが好ましい。
【0055】
本システムの好ましい実施形態によれば、フィルタモジュールは、供給側が互いに平行になるように、ハウジングに収容され、随意に、1つのフィルタモジュールの供給側が、隣のモジュールの清浄ガス側の方を向いており、フィルタモジュールが、互い違いの構成(staggered configuration)で配置されることが好ましい。
【0056】
本システムのさらに好ましい実施形態によれば、フィルタモジュールは、供給側が互いに平行になるように、ハウジングに収容され、1つのモジュールの供給側が、隣のモジュールの供給側の方を向いており、好ましくは、本システムは、2つの隣り合うフィルタモジュール間に配置された仕切り板をさらに含む。
【0057】
本システムのさらに別の好ましい実施形態によれば、2つ以上のフィルタモジュールが、共通のラックに取り付けられ、好ましくは、該2つ以上のフィルタモジュールの清浄ガス収集・放出装置が、互いに流体連通される。本システムは、清浄ガス放出チャネルを備え、該清浄ガス放出チャネルに対して、清浄ガスが、フィルタモジュールの清浄ガス開口を介して、清浄ガス収集・放出装置の放出端から実質的に直接供給されることが好ましい。