特許第5884786号(P5884786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポール・コーポレーションの特許一覧

特許5884786触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールを備える触媒フィルタシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884786
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールを備える触媒フィルタシステム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20160301BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20160301BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20160301BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20160301BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20160301BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20160301BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20160301BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   B01D53/86 223
   B01D53/88
   B01J35/04 301A
   B01J35/02 ZZAB
   B01J35/04 301E
   B01J35/04 301J
   B01J23/30 A
   B01D39/16 H
   B01D39/20 A
   B01D39/20 D
   B01D46/00 302
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-160541(P2013-160541)
(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公開番号】特開2014-39925(P2014-39925A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年11月7日
(31)【優先権主張番号】12180891.9
(32)【優先日】2012年8月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ハイデンライヒ
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−046516(JP,A)
【文献】 特開平07−000764(JP,A)
【文献】 特開2005−238231(JP,A)
【文献】 特開平11−057360(JP,A)
【文献】 特開2000−117022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状流体用の触媒フィルタモジュールであって、
ブロック状フィルタエレメントと、
触媒エレメントと、
清浄ガス収集・放出装置とを備え、
前記触媒エレメントが、前記フィルタエレメントと実質的に同じ広がりを持ち、
前記フィルタエレメントが、供給面と、該供給面の反対側に放出面とを有し、濾過流体が、前記放出面から出ると、前記触媒エレメントの上流面によって受け入れられ、前記ガス状流体が、清浄ガスとして、前記上流面の反対側の、前記触媒エレメントの清浄ガス面から出て行き、前記触媒エレメントの細孔サイズが、前記フィルタエレメントの細孔サイズよりも大きく、
前記清浄ガス収集・放出装置が、前記触媒エレメントの前記清浄ガス面の全体にわたって延設された1つ以上のチャネルを備え、該1つ以上のチャネルが、前記清浄ガスの流れを、前記触媒エレメントの前記清浄ガス面の垂線に対して横方向に偏向させ、前記触媒フィルタモジュールの側面にある、前記触媒フィルタモジュールの清浄ガス放出開口へ誘導し、
前記フィルタエレメントが、複数の原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトを備えるハニカム構造体を有し、前記原料ガスダクトが、筒状壁部によって前記濾過流体ダクトから分離されており、前記原料ガスダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面において開口され、前記フィルタエレメントの前記放出面において閉鎖されており、前記濾過流体ダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面において閉鎖され、前記フィルタエレメントの前記放出面において開口されており、
前記清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルの高さが、前記触媒エレメントの前記清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、前記フィルタエレメントの前記供給面から前記触媒エレメントの前記清浄ガス面までの距離の0.3〜0.5倍の範囲内であり、
前記フィルタエレメントの筒状壁部の軸長は、10mm〜300mmの範囲内である、触媒フィルタモジュール。
【請求項2】
前記触媒エレメントが、触媒粒子の流動床または固定床を収容するコンパートメントである、請求項1に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項3】
前記触媒エレメントが、触媒を含む繊維材料および/または発泡材料から構成された多孔質体である、請求項1に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項4】
前記触媒が、該触媒の被覆または含浸によって、前記触媒エレメントの前記多孔質体に適用されている、請求項3に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項5】
前記触媒エレメントが、酸化還元触媒エレメント、NO還元用の触媒エレメント、および/またはタール除去用の触媒エレメントである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項6】
ガス状流体用の触媒フィルタモジュールであって、
第1の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントと、
第2の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントと、
清浄ガス収集・放出装置と、を備え、
前記第1の組と前記第2の組とが、互いに離間して配置され、前記触媒エレメントのそれぞれの前記清浄ガス面が互いに対向するように後ろ合わせになっており、
各前記触媒エレメントが、各前記フィルタエレメントと実質的に同じ広がりを持ち、
前記清浄ガス収集・放出装置が、前記触媒エレメントの前記清浄ガス面の全体にわたって延設された1つ以上のチャネルを備え、該1つ以上のチャネルが、前記清浄ガスの流れを、前記触媒エレメントの前記清浄ガス面の垂線に対して横方向に偏向させ、前記触媒フィルタモジュールの側面にある、前記触媒フィルタモジュールの清浄ガス放出開口へ誘導し、
前記清浄ガス収集・放出装置が、前記第1の組および前記第2の組にとって共通の装置として設計されており、また、前記第1の組と前記第2の組との間に配置されていて、前記第1の組および前記第2の組の前記触媒エレメントの前記清浄ガス面から前記清浄ガスを受け入れるようになっており、
各前記フィルタエレメントは、供給面と、該供給面の反対側に放出面とを有し、濾過流体が、前記放出面から出ると、前記触媒エレメントの上流面によって受け入れられ、前記ガス状流体が、清浄ガスとして、前記上流面の反対側の、前記触媒エレメントの清浄ガス面から出て行き、
前記触媒エレメントの細孔サイズが、前記フィルタエレメントの細孔サイズよりも大きく、
前記フィルタエレメントが、複数の原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトを備えるハニカム構造体を有し、前記原料ガスダクトが、筒状壁部によって前記濾過流体ダクトから分離されており、前記原料ガスダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面において開口され、前記フィルタエレメントの前記放出面において閉鎖されており、前記濾過流体ダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面において閉鎖され、前記フィルタエレメントの前記放出面において開口されており、
前記フィルタエレメントの筒状壁部の軸長は、10mm〜300mmの範囲内であり、
前記清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルの高さが、前記第1の組および前記第2の組の前記清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、いずれか一方の組の前記フィルタエレメントの前記供給面から前記触媒エレメントの前記清浄ガス面までの距離の0.2〜1.4倍の範囲内である、触媒フィルタモジュール。
【請求項7】
前記清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルの高さが、前記第1の組および前記第2の組の前記清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、いずれか一方の組の前記フィルタエレメントの前記供給面から前記触媒エレメントの前記清浄ガス面までの距離の0.6〜1倍の範囲内である、請求項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項8】
前記清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルが、該1つ以上のチャネルの縦方向に関して、前記フィルタモジュールの前記触媒エレメントの前記清浄ガス面に対して30°以上の角度に配置されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項9】
清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルが、該1つ以上のチャネルの縦方向に関して、前記フィルタモジュールの前記触媒エレメントの前記清浄ガス面に対して60°以上の角度に配置されている、請求項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項10】
清浄ガス収集・放出装置の前記1つ以上のチャネルが、該1つ以上のチャネルの縦方向に関して、前記フィルタモジュールの前記触媒エレメントの前記清浄ガス面に対して90°の角度に配置されている、請求項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項11】
前記原料ガスダクトおよび前記濾過流体ダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面の垂線に対して平行に、または、10°〜60°の傾斜した角度に配置されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項12】
前記原料ガスダクトおよび前記濾過流体ダクトが、前記フィルタエレメントの前記供給面の垂線に対して平行に、または、30°〜60°の傾斜した角度に配置されている、請求項11に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項13】
前記フィルタエレメントの前記筒状壁部の断面が、多角形である、請求項1〜12の何れか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項14】
前記フィルタエレメントの前記筒状壁部の断面が、矩形、正方形、円形、または楕円形の何れかである、請求項13に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項15】
前記筒状壁部は、縁の長さが3〜20mmの正方形の面積に相当する断面積を有する、請求項1〜14の何れか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項16】
前記筒状壁部は、縁の長さが5〜10mmの正方形の面積に相当する断面積を有する、請求項15に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項17】
前記フィルタエレメントの前記筒状壁部の軸長が、30〜200mmの範囲内である、請求項1016の何れか一項に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項18】
前記フィルタエレメントの前記筒状壁部の軸長が、50〜150mmの範囲内である、請求項17に記載の触媒フィルタモジュール。
【請求項19】
フィルタハウジング、および、前記ハウジングに収容される1つ以上の、請求項1〜18のいずれか一項に記載の触媒フィルタモジュールを備える触媒フィルタシステムであって、前記ハウジングが、原料ガスチャンバと清浄ガスチャンバとに分離された内部空間を備え、前記フィルタモジュールが、前記内部空間に配置され、前記フィルタエレメントの前記供給側が、実質的に垂直に配置され、前記フィルタエレメントの前記供給側が、前記原料ガスチャンバと流体連通しており、前記フィルタモジュールの前記清浄ガス放出開口が、前記ハウジングの前記清浄ガスチャンバと流体連通している、触媒フィルタシステム。
【請求項20】
逆噴流装置を更に備える、請求項19に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項21】
前記ハウジングが、チューブシートを備え、該チューブシートが、前記ハウジングの前記内部空間を前記原料ガスチャンバと前記清浄ガスチャンバとに分離しており、前記チューブシートが、2つ以上の前記フィルタモジュールを収容する開口を備える、請求項19又は20に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項22】
2つ以上の前記フィルタモジュールが互いに平行である、請求項21に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項23】
前記フィルタモジュールは、前記供給側が互いに平行に配置された状態で、前記ハウジングに収容されている、請求項1922の何れか1項に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項24】
1つの前記フィルタモジュールの前記供給側が、隣の前記フィルタモジュールの前記清浄ガス側の方を向いている、請求項23に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項25】
前記フィルタモジュールが、互い違いの構成で配置されている、請求項24に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項26】
前記フィルタモジュールが、該フィルタモジュールの前記供給側が互いに平行に配置された状態で、前記ハウジングに収容されており、1つの前記フィルタモジュールの前記供給側が、隣の前記フィルタモジュールの前記供給側の方を向いている、請求項1925の何れか1項に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項27】
前記触媒フィルタシステムが、2つの隣り合う前記フィルタモジュール間に配置された仕切り板をさらに含む、請求項26に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項28】
2つ以上の前記フィルタモジュールが、共通のラックに取り付けられている、請求項19〜27のいずれか一項に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項29】
2つ以上の前記フィルタモジュールが、共通のラックに取り付けられており、且つ、互いに流体接続された、該2つ以上のフィルタモジュールの清浄ガス収集・放出装置を有している、請求項28に記載の触媒フィルタシステム。
【請求項30】
前記触媒フィルタシステムが、清浄ガス放出チャネルを備え、該清浄ガス放出チャネルに対して、前記清浄ガスが、前記フィルタモジュールの前記清浄ガス放出開口を介して前記清浄ガス収集・放出装置の放出端から実質的に直接供給される、請求項29に記載の触媒フィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールを備える触媒フィルタシステムに関する。本発明の触媒フィルタモジュールおよび触媒フィルタシステムは、多くの場合、ガス状流体のガス状成分の複合型の粒子除去および触媒除去に使用される。このような用途の一例は、燃焼排ガスまたは排出ガスからの粒子および窒素酸化物の複合型除去である。
【背景技術】
【0002】
燃焼排ガスを清浄にするためのフィルタシステムであって、ハニカム構造のバリアフィルタエレメントが別個の触媒エレメントと共にハウジング内に収容されるフィルタシステムが、米国特許第5,318,755号明細書から知られている。原料ガスは、最初、清浄ガス空間内に向かってバリアフィルタエレメントを通過し、次に、清浄ガス空間から、同様にハニカム構造を成す触媒エレメントを通過する。触媒エレメントは、フィルタエレメントと実質的に同じ広がりを持つ。その後、清浄ガスは、フィルタエレメントおよび触媒エレメント内での流れ方向と実質的に平行な方向に向かって、ハウジングから放出される。
【0003】
高温ガスの濾過のために、筒状フィルタキャンドルの形態をした触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールをフィルタ容器内に備える濾過システムが、米国特許第6,863,868号明細書において提案されている。フィルタキャンドルは、焼結された粒子から構成される単体の多孔質体を有する。なお、前記粒子の表面は、触媒層によって被覆されている。フィルタキャンドルの上流面または供給面は、微粒子を保持する多孔質膜によって覆われている。清浄ガスは、フィルタキャンドル内に溜まり、フィルタキャンドルから共通の清浄ガス空間に向かって引き抜かれ、そこで、清浄ガスは、システムの容器から放出される。
【0004】
筒状の単体フィルタキャンドルの形態をした従来技術の触媒フィルタモジュールは、一般に、セラミック材料から作製される。従来の触媒セラミックフィルタキャンドルは、一般に2または場合によって3mの長さを有する。この長さは、焼結セラミック材料の機械的性質およびフィルタシステムの動作中の機械的応力が原因で、これ以上長くすることができない。したがって、個々のキャンドルのフィルタ面積は限られており、より高い体積流量率で処理するためには、数千または数万のフィルタキャンドルが必要となる。このような多数の触媒フィルタキャンドルを収容するためには、非常に大きなフィルタ容器または同時に動作する複数の容器が必要とされる。
【0005】
しかしながら、高温ガスの濾過用途における体積流量率は、最大で約100万m/h以上であり得る。これは、上記の従来の触媒セラミックフィルタキャンドルを使用するには、あまりに高すぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、フィルタシステムに高い実装密度で組み込むことができるフィルタモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、請求項1に記載のフィルタモジュールによって解決される。
【0008】
本発明の触媒フィルタモジュールは、体積当たりの高いフィルタ面積を実現し、フィルタシステムに高い密度で容易に実装することができる。したがって、本発明の触媒フィルタモジュールは、極めて高い体積流量率に対する解決策を提供し、一方で、モジュールを収容するフィルタ容器のサイズは、経済的に妥当なままである。
【0009】
触媒フィルタモジュールおよび該触媒フィルタモジュールを備えるシステムは、標準的な高温ガスの濾過に有利に使用することができる。さらなる適用分野は、バイオマスガス化、焼結工場およびコークス炉工場の排出ガス清浄、発電所および焼却炉の排出ガス清浄、FCC(fluid catalytic cracking(流動接触分解))ユニットまたは化学工程(セメント産業など)などにおける精製工程である。
【0010】
[発明の詳細な説明]
本発明の触媒フィルタモジュールは、ブロック状フィルタエレメントと、触媒エレメントと、清浄ガス収集・放出装置とを備える。
【0011】
フィルタエレメントおよび触媒エレメントは、互いに実質的に同じ広がりを持つ。フィルタエレメントは、その上流面または供給面から供給ガス(例えば、排ガスまたは高温ガス)を受け入れる。フィルタエレメントのブロック状体の反対側の面(以下、濾過流体側または放出面)から、濾過流体が出て行き、触媒エレメントの上流面によって受け入れられる。
【0012】
触媒エレメントは、フィルタエレメントと該触媒エレメントとの間に小さな隙間を設けて、フィルタエレメントの濾過流体側に配置されてもよい。他の好ましい実施形態では、触媒エレメントは、フィルタエレメントに直接接触するように配置され、濾過ガス内に依然含まれているガス状成分の触媒処理のために濾過流体を直接受け入れる。
【0013】
清浄ガスは、触媒エレメントの清浄ガス面から出て行く。フィルタエレメントおよび触媒エレメントを通過する際のガスの流れ方向は、実質的に均一かつ直線的である。
【0014】
清浄ガス収集・放出装置は、触媒エレメントの清浄ガス面のほぼ全体にわたって延設され、該清浄ガス面から清浄ガスの流れを受け入れる。清浄ガス収集・放出装置は、触媒エレメントの清浄ガス面の垂線に対して横方向に清浄ガスの流れを偏向させ、誘導する。清浄ガスは、本発明のモジュールの側面にある開口を介して出て行く。
【0015】
このような設計のおかげで、フィルタエレメント、触媒エレメント、および清浄ガス収集・放出装置は、非常に小型の構造として実現することができ、また、触媒フィルタシステムのハウジングまたは容器内に、体積当たりに多くの数を取り付けることができる。
【0016】
本発明の触媒フィルタモジュールのフィルタエレメントは、特定の濾過用途の課題に応じて様々な設計から選択されてもよい。
【0017】
一般的な設計は、膜、フィルム、シート、円板、およびハニカム構造のエレメントを含む。
【0018】
フィルタエレメントは、焼結セラミック材料、焼結金属材料、または焼結プラスチック材料から作製されることが好ましい。
【0019】
フィルタエレメントは、単一構造、または、接着、溶接、もしくは焼結、または共通のフレームへのサブユニットの収容によって互いに取り付けられる複数のサブユニットとして設計されてもよい。
【0020】
大きな濾過領域が必要とされる場合、ハニカム構造のフィルタエレメントが好ましい。ハニカム構造のフィルタエレメントは、一般に、互いに同じ広がりを持ちかつ平行に配置された複数の原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトを有する。この場合、原料ガスダクトは、フィルタエレメントの原料ガス側または供給面において開口されており、フィルタエレメントの濾過流体側または放出面において閉鎖されている。濾過流体ダクトは、フィルタエレメントの原料ガス側において閉鎖されており、濾過流体側において開口されている。原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトは、多孔質の筒状壁部によって互いに分離されている。
【0021】
フィルタエレメントの筒状壁部の好ましい軸長は、約10mm〜約300mm、より好ましくは約30mm〜約200mm、最も好ましくは約50mm〜約150mmの範囲内である。筒状壁部の好ましい軸長は、フィルタエレメントの縦軸線が水平方向の場合であっても、逆噴流(back−pulsing)中にフィルタエレメントから粒子状物質を効率的に放出することを可能にする。
【0022】
ユニットの供給側の10cmの断面当たりのフィルタエレメントの数は、好ましくは約1〜約100、より好ましくは2〜約10の範囲内である。一般に、同数の清浄ガスダクトが、10cmの断面積ごとに設けられる。
【0023】
筒状壁部は、縁の長さが約3mm〜約20mm、好ましくは約5mm〜約10mmの正方形の面積に相当する断面積を有する。また、相当する断面積は、他の矩形、楕円形、または円形の断面を有するように設計されたフィルタエレメントにとって好ましいものである。
【0024】
筒状壁部、ならびに、随意に原料ガスダクトおよび/または清浄ガスダクトの閉鎖端の平均多孔率は、約25〜約90体積%の範囲内である。
【0025】
フィルタエレメントがフィルタシステムのフィルタ容器に収容された状態で、フィルタエレメントの再生を可能にするために、ガスの逆噴流を行って、濾過動作中に原料ガスダクト内に溜まった粒子状物質を除去し、取り除く。
【0026】
本発明の触媒フィルタモジュールは、一般に、フィルタエレメントの原料ガス側が垂直に配置された状態で、触媒フィルタシステムのハウジングに収容される。
【0027】
フィルタエレメントの原料ガス側に対して垂直な、フィルタエレメントの原料ガスダクトの方向によって、効果的な逆噴流および原料ガスダクトからの粒子状物質の除去が既に可能になっている。逆噴流中に原料ガスダクトから粒子を除去する効率は、原料ガスダクト(および同様に濾過流体ダクト)を傾斜した方向に配置することによって、さらに改善することができる。原料ガスダクトの縦軸線と供給面の垂線との間の角度は、約10°〜約60°、好ましくは約30°〜約60°の範囲内であり、原料ガスダクトの最下部が開口端であることが好ましい。
【0028】
フィルタエレメントの好ましい細孔サイズは、約0.1μm〜約150μm、より好ましくは約1μm〜約100μm、最も好ましくは約2μm〜約10μmの範囲内である。実施形態によっては、フィルタエレメントは、微粒子濾過用に設計され、約1μm未満、例えば、約0.5μmのサイズの粒子を保持することができる。
【0029】
本発明の第1の好ましい実施形態に係る触媒エレメントは、流動床または固定床の形態をした触媒粒子状物質を収容するコンパートメントを有する。
【0030】
流動床または固定床の触媒粒子の平均粒子サイズは、約10μm〜約30mm、より好ましくは約100μm〜約10mmであることが好ましい。
【0031】
第2の好ましい実施形態では、触媒エレメントは、焼結粒子および/または繊維材料または発泡材料から作製された本体を備える。触媒エレメントは、セラミック材料または金属材料から作製されてもよい。場合によっては、セラミック材料または金属材料は、それ自体で、特定の用途に十分な触媒活性を有してもよいし、または、触媒を含んでもよい(随意に、触媒は、例えば触媒エレメントの本体を含浸させるか、または、被覆することによって、触媒エレメントの本体に適用されてもよい)。
【0032】
一般的に言えば、触媒エレメントは、非常に様々な構造(例えば、ハニカム構造(カセット型、円板状もしくは板状、または繊維マットの形態の))をとり得る。触媒エレメントは、単一構造を有してもよいし、または、複数のサブユニットから構成されてもよい。
【0033】
触媒エレメントの本体は、ハニカム構造を有することが好ましい。ハニカム構造は、フィルタエレメントの詳細な説明に関連して説明したハニカム構造と同様の設計であってもよい。しかしながら、一般に、触媒エレメントのハニカム構造のダクトの両端は、一端が閉鎖されたフィルタエレメントのダクトと対照的に、開口されている。
【0034】
第1の好ましい実施形態に優る、この第2の好ましい実施形態の利点は、圧力損失(delta p)がより少なく、かつ、触媒活性成分がより均質に分布するような触媒エレメントが、設計され得ることである。
【0035】
触媒エレメントにおける圧力降下がより少ないことによって、フィルタモジュールの再生中のより効果的な逆噴流が実現される。
【0036】
触媒エレメントの細孔サイズは、フィルタエレメントの細孔サイズよりも大きくされることが好ましい。したがって、触媒エレメントは、フィルタモジュールのフィルタ効果に顕著には寄与しない。すなわち、触媒エレメントは、供給ガスから粒子状物質を分離することにほとんど積極的に関与しない。
【0037】
好ましい触媒エレメントの平均細孔サイズは、約10〜約500μm、より好ましくは約50〜約200μmの範囲内である。
【0038】
セラミック発泡体製の好ましい触媒エレメントは、細孔密度が約10〜約60ppi(1インチ当たりの孔の数)、より好ましくは約30〜45ppiであることによって特徴付けることができる。セラミック発泡体は、平均粒子サイズが約0.1〜約100μm、より好ましくは約0.3〜約30μmである焼結粒子から作製されることが好ましい。
【0039】
セラミック繊維製の多孔質体の形態をした触媒エレメントが好ましい。この場合、繊維の平均繊維直径は、約1〜50μm、より好ましくは約2〜10μmである。好ましい繊維の長さは、約1〜約20mmの範囲内である。
【0040】
本発明の触媒フィルタモジュールに使用される触媒エレメントの上流面には、安全フィルタ層が設けられてもよい。この場合、触媒エレメントは、さらに安全ヒューズの機能を有する。
【0041】
触媒フィルタモジュールは、該触媒フィルタモジュールを特定の用途の要求に適合させるために、様々な触媒活性、さらには、組み合わせた触媒活性を有するように設計されてもよい。一般的な触媒活性は、例えば、酸化還元反応、NO還元、またはタール除去である。
【0042】
用途に応じて、本発明のフィルタモジュールは、第1の触媒エレメントの触媒活性とは異なる触媒活性を有する第2の触媒エレメントを備えてもよい。
【0043】
清浄ガス収集・放出装置は、1つ以上の互いに平行なチャネルを有するように設計されてもよい。清浄ガス収集・放出装置のチャネルの高さは、触媒エレメントの清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、フィルタエレメントの供給面から触媒エレメントの清浄ガス面までの距離の約0.1〜約0.7倍、好ましくは約0.3〜約0.5倍の範囲内であることが好ましい。
【0044】
本発明のさらに別の態様によれば、フィルタモジュールは、第1の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントと、第2の組のブロック状フィルタエレメントおよび触媒エレメントとを備えてもよく、この場合、第1の組および第2の組は、互いに離間して配置され、各触媒エレメントの清浄ガス面は、後ろ合わせに配置され、前記清浄ガス収集・放出装置は、第1の組と第2の組との間に配置されて、第1の組および第2の組の触媒エレメントの清浄ガス面から清浄ガスを受け入れるようになっており、双方の組のために機能する。清浄ガス収集・放出装置の1つ以上のチャネルの高さは、2つの組の清浄ガス面の垂線の方向の間隔として測定した場合に、いずれか一方の組のフィルタエレメントの供給面から触媒エレメントの清浄ガス面までの距離の約0.2〜約1.4倍、より好ましくは約0.6〜約1倍の範囲内であることが好ましい。
【0045】
本発明のさらに別の態様によれば、清浄ガス収集・放出装置のチャネルは、その縦方向に関して、フィルタモジュールの触媒エレメントの清浄ガス面に対して約30°以上、好ましくは約60°以上、より好ましくは約90°の角度に配置される。
【0046】
偏向のこの角度は、好ましい実施形態では、フィルタモジュールのブロック状ユニットの放出側の全体にわたって延設された清浄ガス収集・放出装置のチャネルの壁または複数の壁の方向によって規定される。
【0047】
上記2つの組のフィルタエレメントおよび触媒エレメントは、放出面が互いに平行になるように、後ろ合わせに配置されることが好ましい。この場合、清浄ガスダクトから出て行く清浄ガスの偏向の角度は約90°となる。
【0048】
しかしながら、後ろ合わせに配置されるブロック状ユニットの放出側面は、平行に配置されなくてもよい。しかしながら、清浄ガスダクトから出て行く清浄ガスの偏向角度は、好ましくは約30°以上、より好ましくは約60°以上である。
【0049】
好ましい本発明の触媒フィルタモジュールは、矩形断面を有する触媒フィルタキャンドルとして設計され、従来の筒状フィルタキャンドルと同様にチューブシートから吊り下げられるようにして、フィルタシステムの容器に配置されてもよい。
【0050】
フィルタモジュールは、複数のサブユニットを備えるフィルタエレメントから作製されてもよい。この場合、複数のサブユニットは、該サブユニットを互いに接着、焼結、もしくは溶接することによって、または、共通のフレームに該サブユニットを収容することによって、組み立てられる。触媒エレメントは、フィルタエレメントのすべてのサブユニットに対して機能する単一エレメントまたは複数のサブユニット(例えば、触媒エレメントの1つのサブユニットが、フィルタエレメントの4つのサブユニットに対して機能したり、または、触媒エレメントのサブユニットの数が、フィルタエレメントを構成するサブユニットの数に等しかったりする)からなっていてもよい。
【0051】
本発明のフィルタモジュールは、その側面にフレームをさらに含んでもよく、これにより、ハウジングへのフィルタモジュールの取付けが容易になる。
【0052】
本発明はさらに、先に説明したようにハウジングに1つ以上の触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムに関する。
【0053】
前記ハウジングは、原料ガスチャンバと清浄ガスチャンバとに分離された内部空間を備える。フィルタモジュールは、前記内部空間に配置され、フィルタエレメントの供給面は、実質的に垂直に配置され、原料ガスチャンバと流体連通される。フィルタモジュールの清浄ガス放出開口は、ハウジングの清浄ガスチャンバと流体連通される。随意に、本システムは、逆噴流装置を備える。
【0054】
ハウジングは、チューブシートを備え、該チューブシートが、ハウジングの内部空間を原料ガスチャンバと清浄ガスチャンバとに分離し、前記チューブシートが、好ましくは互いに平行に1つ以上のフィルタモジュールを収容する開口を備えることが好ましい。
【0055】
本システムの好ましい実施形態によれば、フィルタモジュールは、供給側が互いに平行になるように、ハウジングに収容され、随意に、1つのフィルタモジュールの供給側が、隣のモジュールの清浄ガス側の方を向いており、フィルタモジュールが、互い違いの構成(staggered configuration)で配置されることが好ましい。
【0056】
本システムのさらに好ましい実施形態によれば、フィルタモジュールは、供給側が互いに平行になるように、ハウジングに収容され、1つのモジュールの供給側が、隣のモジュールの供給側の方を向いており、好ましくは、本システムは、2つの隣り合うフィルタモジュール間に配置された仕切り板をさらに含む。
【0057】
本システムのさらに別の好ましい実施形態によれば、2つ以上のフィルタモジュールが、共通のラックに取り付けられ、好ましくは、該2つ以上のフィルタモジュールの清浄ガス収集・放出装置が、互いに流体連通される。本システムは、清浄ガス放出チャネルを備え、該清浄ガス放出チャネルに対して、清浄ガスが、フィルタモジュールの清浄ガス開口を介して、清浄ガス収集・放出装置の放出端から実質的に直接供給されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1A】本発明の第1の実施形態に係る触媒フィルタモジュールを示している。
図1B】安全ヒューズ機能を備える、図1Aの触媒フィルタモジュールを示している。
図2】本発明の第2の実施形態に係る触媒フィルタモジュールを示している。
図3】本発明の第3の実施形態に係る触媒モジュールを示している。
図4A】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第1の実施形態の概略図を示している。
図4B】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第1の実施形態の一詳細を示している。
図4C】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第1の実施形態の別の詳細を示している。
図5A】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第2の実施形態の概略図を示している。
図5B】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第2の実施形態の一詳細を示している。
図5C】本発明に係る触媒フィルタモジュールを組み込んだ触媒フィルタシステムの第2の実施形態の別の詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1Aは、本発明に係る触媒フィルタモジュール10を示しており、触媒フィルタモジュール10は、ブロック状に設計されたフィルタエレメント12と、触媒エレメント14と、清浄ガス収集・放出装置16とを含む。
【0060】
ブロック状フィルタエレメント12および触媒エレメント14は、互いに実質的に同じ広がりを持つよう設計されており、フィルタエレメント12から出て行く濾過流体が、触媒エレメント14に直接供給されるようにするために、並べて(好ましくは、互いに直接接触するように)配置されている。
【0061】
触媒エレメント14の清浄ガス側には、触媒エレメント14の清浄ガス側または下流側と実質的に同じ広がりを持った構造の清浄ガス収集・放出装置16が設けられている。
【0062】
清浄ガス収集・放出装置16は、箱形チャネル18を含み、箱形チャネル18は、フィルタモジュール10の前側19にある開口20を介して、例えば、触媒フィルタシステム(図1Aでは図示せず)の清浄ガスチャンバに通じている。
【0063】
フィルタエレメント12は、様々な設計を有してもよく、また、粒子負荷、および、原料ガスから除去される粒子の特性に応じて選択される。
【0064】
以下の記載では、本発明は、いわゆるハニカム構造を有する、特定の好ましいフィルタエレメント12との関連において説明される。しかしながら、言うまでもなく、本発明は、このような特定のタイプのフィルタエレメントに限定されるわけではない。
【0065】
触媒フィルタモジュール10のフィルタエレメント12は、基本的に1つのユニット22からなり、1つのユニット22は、複数の原料ガスダクト24を備え、これらの原料ガスダクト24は、開口端28および第2の閉鎖端30を有する縦方向の多孔質の筒状壁部26を有する。
【0066】
筒状壁部26は、正方形の断面を有し、また、複数の濾過流体ダクト32と共に格子状に配置されており、濾過流体ダクト32は、原料ガスダクト24と実質的に同じ広がりを持ち、原料ガスダクト24と平行に配置され、原料ガスダクト24間に規則的に介挿されている。濾過流体ダクト32の一端34は開口されており、濾過流体ダクト32の他端36は閉鎖されている。原料ガスダクト24の開口端28および濾過流体ダクト32の閉鎖端36によって、フィルタエレメント12の上流面または供給面38の第1の格子パターンが形成されている。ユニット22の反対の側または放出面40には、原料ガスダクト24の閉鎖端30および濾過流体ダクト32の開口端34から構成される格子パターンが設けられている。原料ガスダクト24の筒状壁部26は、細孔のサイズが一定である多孔質材料、例えば、焼結セラミック材料、焼結金属材料、または焼結高分子材料から構成されている。これと同時に、壁部26は、その縦方向に沿って濾過流体ダクト32を形成している。
【0067】
フィルタエレメント12の供給面38に進入する原料ガスは、原料ガスダクト24の開口端28に流入し、フィルタエレメント12の筒状壁部26を通過し、濾過ガスが、濾過流体ダクト32内に受け入れられて、濾過流体ダクト32から、濾過ガスは、フィルタエレメント12の放出面40に向けて放出される。
【0068】
ユニット22の放出面40では、触媒エレメント14が、フィルタエレメント12の前記面の全体にわたって延設されている。触媒エレメント14は、例示的に、DeNOx触媒活性を有するエレメントとして説明されてもよい。
【0069】
触媒エレメント14は、細孔密度が約30ppiである、例えばアルミナ炭化物またはシリコン炭化物のセラミック発泡体の支持体を備える。支持体は、TiO、V、WOの組成物の選択接触還元(SCR:selective catalytic reduction)触媒によって、触媒的に活性化される。
【0070】
背面および3つの側面が閉鎖され、かつ、図1に示した前側面44のみが開口された清浄ガス収集・放出装置16が設けられている。清浄ガスは、開口20を介してフィルタモジュール10から出て行く。
【0071】
フィルタシステムのハウジングまたは容器へのフィルタモジュール10の取付けを容易にするために、フィルタモジュール10の前側面44には、外側に突出したフランジ46が設けられている。
【0072】
フィルタモジュール10の側面は、清浄ガス収集・放出装置16を組み込むことができる金属フレーム構造48によって覆われていることが好ましい。フレーム構造48の側面の1つ(図1Aの前側面44)には、フランジ46および開口20が設けられてもよい。
【0073】
本発明によれば、原料ガスダクト14の長さは、約300mm以下に制限されていることが好ましい。これにより、驚いたことに、フィルタモジュールおよびそのフィルタエレメントが、図1Aに示したように水平に配置されている場合でも、濾過動作中に筒状壁部26に溜まった粒子状物質を除去する、フィルタモジュールおよびそのフィルタエレメントの、逆噴流による極めて容易な洗浄が可能となる。
【0074】
ユニット22の供給側のサイズは、例えば、250×250mmであってもよい。これは、ユニット22のダクト構造を作り出すために押出し工程を用いてセラミック材料からユニット22を作製する際の一般的なサイズである。他の製造工程によって、より大きなサイズのユニット22が可能であってもよい。原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトの長さは、前に述べたように、約300mmであってもよい。
【0075】
一般に、触媒フィルタモジュールのサイズは、かなり大きいことが望ましい。この必要性は、モジュールの上流供給側の面積をより大きくするために、例えば、1500×1000mmまたは4000×250mmの面積にするために、多数のユニット22を並べて互いに取り付けたマルチユニット構造によって、容易に満たすことができる。第1の例の場合、6×4個のユニット22のマトリックスが必要とされ、第2の例では、この必要性は、16×1個のユニットのマトリックスによって満たされる。
【0076】
ユニットの取り付けは、ユニットの側面を互いに焼結、溶接、または接着することによって達成されてもよい。あるいは、多数のユニットは、共通のフレームに取り付けられてもよく、この場合、多数のユニットの側面は、互いにシールされる。
【0077】
触媒エレメントは、同様に2つ以上のユニットを備えてもよく、フィルタエレメントに関連して言及した方法によって、単一構造となるように取着されるか、または、取り付けられてもよい。
【0078】
マルチユニット構成のフィルタモジュールでは、清浄ガス収集・放出装置は、1つ以上のチャネルを有するように設計され、この場合、各チャネルは、2つ以上のユニットから清浄ガスを受け入れる。
【0079】
図1Bは、図1Aのフィルタモジュール10の修正例であるフィルタモジュール10’を示している。したがって、同一の部品は、図1Aの説明で使用したのと同じ参照符号によって示されている。図1Aを参照しながら既に説明した構成要素に加えて、フィルタモジュール10’は、濾過流体ダクト32の出口を覆う板状エレメントの形態をした安全ヒューズ49を含む。安全ヒューズ49は、フィルタエレメント12の放出面と実質的に同じ広がりを持つ。1つ以上の原料ガスダクト24(例えば、その筒状壁部)に不具合がある場合に、濾過されずに濾過流体ダクト32内に進入した原料ガスは、安全ヒューズ49を事前に通過せずには、触媒エレメント14に到達することができない。安全ヒューズ49は、触媒エレメント14の上流面に設けられてもよい。
【0080】
チャネル18の閉鎖後壁から触媒エレメントの清浄ガス面までの距離(間隔h)は、フィルタエレメントの供給面から清浄ガス面までの距離の約0.3〜約0.5倍であることが好ましい。
【0081】
濾過流体は、触媒エレメント14によって受け入れられ、触媒エレメント14を通過して、清浄ガス収集・放出装置16に進む。次に、清浄ガスの流れは、約90°だけ偏向され、触媒エレメント14の清浄ガス面に対して平行に誘導される。
【0082】
図2は、本発明に係る触媒フィルタモジュール50の第2の実施形態を示している。
【0083】
フィルタモジュール50は、1つのユニット54の形態をしたブロック状フィルタエレメント52を備え、該1つのユニット54は、複数の原料ガスダクト56を備え、これらの原料ガスダクト56は、開口端60および第2の閉鎖端62を有する縦方向の多孔質の筒状壁部58を有する。
【0084】
筒状壁部58は、正方形の断面を有し、また、複数の濾過流体ダクト64と共に格子状に配置されており、複数の濾過流体ダクト64は、原料ガスダクト56と実質的に同じ広がりを持ち、原料ガスダクト56と平行に配置され、原料ガスダクト56間に規則的に介挿されている。濾過流体ダクト64の一端66は開口されており、濾過流体ダクト64の他端68は閉鎖されている。原料ガスダクト56の開口端60および濾過流体ダクト64の閉鎖端68によって、フィルタエレメント52の上流面または供給面70の第1の格子パターンが形成されている。
【0085】
ユニット54の反対側の面または放出面72には、原料ガスダクト56の閉鎖端62および濾過流体ダクト64の開口端66から構成される格子パターンが設けられている。原料ガスダクト56の筒状壁部58は、細孔のサイズが一定である多孔質材料、例えば、焼結セラミック材料、焼結金属材料、または焼結高分子材料から構成されている。これと同時に、壁部58は、その縦方向に沿って濾過流体ダクト64を形成している。
【0086】
触媒フィルタモジュール50の供給側に進入する原料ガスは、原料ガスダクト56の開口端60に流入し、触媒フィルタモジュール50の筒状壁部58を通過し、濾過流体が、濾過流体ダクト64内に受け入れられて、濾過流体ダクト64から、濾過流体は、ユニット54の放出側72を介して放出される。
【0087】
ユニット54の放出側72の面の全体にわたって、触媒エレメント74が延設されている。
【0088】
触媒エレメント74は、図1Aおよび図1Bに示した触媒エレメント14と同様に設計されてもよい。
【0089】
触媒エレメント74の清浄ガス面77には、清浄ガス収集・放出装置76が設けられている。清浄ガス収集・放出装置は、箱形チャネル78を備え、箱形チャネル78は、背面および3つの側面において閉鎖され、図2に示したように横側面80においてのみ開口されている。
【0090】
清浄ガスは、開口82を介してフィルタモジュール50から出て行く。フィルタシステムのハウジングへのフィルタモジュール50の取付けを容易にするために、フィルタモジュール50の前側面には、外側に突出したフランジ86が設けられている。
【0091】
図1の触媒フィルタモジュール10と対照的に、図2の触媒フィルタモジュール50は、供給面70の垂線に対して傾斜した方向に配置された原料ガスダクト56(および濾過流体ダクト64)を有し、原料ガスダクトの開口端は、原料ガスダクトの閉鎖端よりも下に配置されている。水平線に対する、原料ガスダクトの縦軸線の角度は、約30°〜約60°の範囲内であってもよい。
【0092】
逆噴流の際、原料ガスダクト56の内部空間は、原料ガスダクト56の筒状壁58が傾斜した構成になっているため、濾過工程中に蓄積した粒子状物質を除去してより容易に洗浄することができる。
【0093】
ユニット54内の原料ガスダクト56が、傾斜した構成になっているため、濾過面対体積の比率は、幾分より低いものとなる。しかしながら、このことは、フィルタモジュール50の逆噴流特性を改善することによって補償される。このことは、最終的に、フィルタモジュール10と比較して、このタイプのモジュールのサイクル時間をより長くすることを可能にする。
【0094】
図3は、フィルタモジュール100の形態をした本発明の第3の実施形態を示している。フィルタモジュール100は、2組のフィルタエレメントおよび触媒エレメントを備える。2組のユニット102、104は、図1Aのフィルタモジュール10のフィルタエレメント12と同一の基本構造を有する。
【0095】
2つのユニット102、104は、複数の原料ガスダクト106、108を備え、複数の原料ガスダクト106、108は、開口端114、116および第2の閉鎖端を有する縦方向の多孔質の筒状壁部110、112を有する。筒状壁部110、112は、正方形の断面を有し、また、複数の濾過流体ダクト122、124と共に格子状に配置されており、複数の濾過流体ダクト122、124は、原料ガスダクト106、108と実質的に同じ広がりを持ち、原料ガスダクト106、108と平行に配置され、原料ガスダクト106、108間に規則的に介挿されている。
【0096】
濾過流体ダクト122、124の一端は開口されており、濾過流体ダクト122、124の他端130、132は閉鎖されている。原料ガスダクト106、108の開口端114、116および濾過流体ダクト122、124の閉鎖端130、132によって、フィルタモジュール100の上流側または供給側134、136の第1の格子パターンが形成されている。
【0097】
ユニット102、104の反対側の面140、142には、原料ガスダクト106、108の閉鎖端および濾過流体ダクト122、124の開口端から構成される格子パターンが設けられている。これらの面140、142は、ユニット102、104の下流面または放出面である。原料ガスダクト106、108の筒状壁部110、112は、細孔のサイズが一定である多孔質材料、例えば、焼結セラミック材料、焼結金属材料、または焼結高分子材料から構成されている。これと同時に、壁部110、112は、その縦方向に沿って濾過流体ダクト122、124を形成している。
【0098】
フィルタモジュール100の供給面134、136に進入する原料ガスは、原料ガスダクト106、108の開口端114、116に流入し、フィルタモジュール100の筒状壁部110、112を通過し、濾過流体が、濾過流体ダクト122、124内に受け入れられて、濾過流体ダクト122、124から、濾過流体は、ユニット102、104の放出面140、142を介して出て行く。
【0099】
触媒エレメント144、146は、図1Aのフィルタモジュール10の触媒エレメント14に関連して説明したように設計されてもよい。
【0100】
しかしながら、図1Aのフィルタモジュール10と対照的に、図3のフィルタモジュール100は、2組のユニット102、104および触媒エレメント144、146を有し、2組のユニット102、104および触媒エレメント144、146は、原料ガスダクトの閉鎖端および濾過流体ダクトの開口端に配置された触媒エレメント144、146が互いに対向するように、後ろ合わせ構成で配置されている。
【0101】
したがって、ユニット102、104および触媒エレメント144、146の双方の組によって供給される清浄ガスの収集および放出を行うためには、1つの共通の清浄ガス収集・放出装置154で十分である。双方の触媒エレメント144、146からの清浄ガスは、清浄ガス収集・放出装置156に進入するときに、約90°だけ偏向され、フィルタモジュール100のフィルタエレメント102、104および触媒エレメント144、146内でのガスの流れ方向に対して横方向に誘導される。清浄ガスは、開口160を介して触媒フィルタモジュール100から出て行き、これらのモジュール100を備える濾過システムから放出される。
【0102】
図1A図1B、および図2のフィルタモジュール10および50を、前面28、68が、清浄ガス収集・放出装置16、76のチャネルの後ろの方を向いた状態で、1つのハウジングまたは容器内に多数のモジュールの構成で容易に配置することできる場合、逆噴流の際にフィルタエレメントから除去された粒子状物質は、このような濾過システムから容易に廃棄し、取り除くことができる。
【0103】
しかしながら、図3に示されているような1つのハウジングまたは容器内の多数のフィルタモジュール100の構成では、予防手段を講じなければならない。
【0104】
逆噴流の際、フィルタモジュール100を備えるシステムでは、互いに対向する2つのフィルタモジュールの相互汚染が起こる可能性がある。したがって、図3に示したように、2つの隣り合うフィルタモジュール100の供給面間に仕切り板180を配置することが好ましい。
【0105】
図4Aは、本発明に係る触媒濾過システム200の第1の実施形態を示している。フィルタシステム200は、細長い箱形の構成のハウジング202を備える。ハウジング202は、ベースフレーム203上に支持されている。
【0106】
箱形ハウジング202内では、2つの列の複数の触媒フィルタモジュールスタック204、204’、204’’、…および206、206’、206’’、…は、2つの列のフィルタモジュールの放出開口が互いに反対方向を向いた状態で配置されている。箱形ハウジング202の縦軸線に沿って、スタックは、互いに所定の間隔を置いて平行に配置されている(図4Bおよび図4C参照)。
【0107】
それぞれがフィルタモジュール204a、b、c、dおよび206a、b、c、dから構成される個々のスタック204、206内では、フィルタモジュールが、これらを互いに接着、溶接、もしくは焼結することによって、または、これらをフレームに取り付けることによって互いに固定されてもよい。
【0108】
フィルタシステム200の例示的なレイアウトでは、フィルタモジュール204a、206aの供給側は、1500mmの長さおよび1000mmの高さを有してもよく、また、フィルタモジュールの奥行は、約400mmであってもよい。このようなフィルタモジュールは、例えば、供給側面のサイズが250mm×250mmであり、かつ、フィルタエレメントの筒状壁部の長さが約140mmであってもよいブロック状ユニットを24個備えてもよい。
【0109】
フィルタエレメントの放出面における触媒エレメントは、厚さが流体の流れ方向において200mmである板状体であってもよい。
【0110】
清浄ガス収集・放出チャネルの間隔hは、約60mmであってもよい。
【0111】
フィルタモジュールの2つの隣り合うスタック204および204’または206および206’の間の距離は、例えば、約100mmに設定されてもよい。
【0112】
ハウジングの上面には、ハウジング202およびそのフィルタモジュール204、206に原料ガスを供給する原料ガス供給チャネル208が設けられている。原料ガス供給チャネル208の断面領域は、図4Aの正面に示した前端からシステム200の後端214に位置する終端にかけて次第に小さくなっている。
【0113】
縦方向の両側面において、ハウジング202は、清浄ガスが放出され得る、システム200の後端214において開口された清浄ガス通路210、212を備える。
【0114】
ハウジング202の縦軸線に沿って多数のフィルタモジュールスタック204、206から受け入れられる清浄ガスの量が次第に増大することに対応するために、清浄ガス通路210、212の断面は、システム200の後端214の方向に向かって次第に大きくなっている。
【0115】
一変形例によれば、清浄ガス放出チャネル210、212は、フィルタモジュールスタック204、206を交換しなければならないときに、全体的に取り外し可能であってもよい。あるいは、図4Aに示しているように、清浄ガス放出チャネル210、212には、清浄ガス放出チャネル210、212を完全に取り外さずともフィルタモジュールへの接近およびこれの交換を可能にする多数のドア218が設けられてもよい。
【0116】
システム200は、概略的にのみ示した管216によって逆噴流ガスを受け入れる逆噴流機器を組み込んでいる。図4Aには、スタック204のフィルタモジュールを再生するために逆噴流ガスをスタック204のフィルタモジュールに供給する管216しか示していない。スタック206を再生するためには、同様の管(図示せず)が必要とされる。
【0117】
逆噴流ガス管216から延在している複数の逆噴流供給チューブ264は、様々なフィルタモジュールスタック204、204’、204’’、…に向けて吹き返しガスを誘導する。
【0118】
個々のフィルタモジュール204a、204b、204c、204dおよび206a、206b、206c、206dに清浄ガス放出チャネルを介して供給される逆噴流圧力によって、これらのフィルタモジュールのフィルタエレメントから、濾過動作中に溜まった粒子状物質が除去される。
【0119】
逆噴流中に放出された粒子状物質は、ハウジング202の底に配置された角錐形の集塵器220に収集される。
【0120】
原料ガスの成分の触媒除去が、反応物を必要とする場合、および/または、吸着剤が、濾過を完了させるために必要とされる場合、原料ガス供給チャネルに、吸着剤および/または反応物の注入ユニット222が設けられてもよい。
【0121】
図5Aでは、本発明の触媒フィルタシステム300の第2の実施形態が、示されており、これは、基本的に円筒壁部304からなるハウジング302を備え、円筒壁部304の上端は、ドーム状カバー306によって閉鎖されており、円筒壁部304の下端は、円錐台形の集塵器308に取り付けられている。
【0122】
ハウジング302は、円筒壁部304の上端の断面全体を覆うチューブシート314によって、原料ガスチャンバ310と清浄ガスチャンバ312とに分割されている。
【0123】
原料ガスチャンバ310は、供給ガス入口316を介してつながっており、供給ガス入口316を介して、原料ガスは、原料ガスチャンバ310内に導入することができる。
【0124】
ハウジング302のドーム形状部306は、清浄ガス出口318を備え、清浄ガス出口318を介して、清浄ガスは放出することができる。
【0125】
チューブシート314は、複数の矩形開口320を備え、複数の矩形開口320は、本発明に係る複数のキャンドル型の触媒フィルタモジュール330を収容する。
【0126】
図5Bには、キャンドル状の触媒フィルタモジュール330が、幾分詳細に示されており、キャンドル状の触媒フィルタモジュール330の上端には、外側に延在した周縁フランジ332が設けられており、周縁フランジ332は、フィルタモジュール330をチューブシート314の開口320内に下方に向かって吊り下げるように取り付けるのに役立つ。
【0127】
図5Cは、図5Aの線V−Vにおけるシステム300の断面を示している。
【0128】
個々の触媒フィルタモジュール330は、順番に上にスタックされた5つのユニット334、335、336、337、および338を備える。なお、これらの供給側または上流側はすべて、図5Bに示しているように左の方を向いている。ユニット334〜338は、図1Aに示したのとほぼ同じような、原料ガスダクトと濾過流体ダクトとが格子状に交互に配置された構成を有しているため、この点に関するより詳細な説明は、ここでは省略する。ブロック状ユニット334〜338は、共通のフレーム構造352内に組み立てられてもよく、共通のフレーム構造352は、これらのユニットをまとめて保持し、また、共通の清浄ガスチャネル346を有する。共通のフレーム構造352の上面には、フランジ332が一体化され、開口350が設けられてもよい。
【0129】
ブロック状ユニット334〜338の反対側の面は、共通の触媒エレメント340によって覆われている。
【0130】
共通の触媒エレメント340の下流側または放出側342には、基本的に1つの清浄ガスチャネル346からなる共通の清浄ガス収集・放出装置344が設けられ、該1つの清浄ガスチャネル346の上端348から、開口350を介して、ハウジング302の清浄ガスチャンバ312に向かって、清浄ガスが放出される。図1Bに示し、図1Bとの関連で説明したものと同様に、フィルタモジュール330には、フィルタモジュールの放出側面の全体にわたって延設される板状の安全ヒューズエレメント(図5A図5Cには図示せず)が設けられてもよい。
【0131】
キャンドル型フィルタモジュール330は、チューブシート314に平行な互い違いの構成で配置される。この場合、個々のフィルタモジュール330の上流側または供給側は、隣のフィルタモジュール330の清浄ガスチャネルの背面の方を向いている。
【0132】
触媒フィルタシステム300の触媒フィルタモジュール330の再生のために、逆噴流システム360が設けられている。逆噴流システム360は、圧力源362と、ドーム状カバー306内の、個々のフィルタモジュール330上で終端している複数の供給ライン364とを備える。
【0133】
触媒フィルタモジュール330のブロック状ユニット334、335、336、337、338の原料ガスダクトから除去される粒子状物質は、重力によってコーン形の集塵ハウジング部308内に収集される。
【0134】
逆噴流の際に、粒子状物質が、フィルタモジュール330のブロック状ユニット334、335、336、337、338の原料ガスダクトから除去されるとき、隣り合うフィルタモジュール330間の相互汚染は、フィルタモジュール330が上述したように互いに平行に配置されているため、起こり得ない。
【0135】
本発明の利点について、例示的な設計を用いて幾分より詳細に説明する。
【0136】
触媒フィルタモジュール204、206を有する、図4A図4Cのシステム200は、粒子状物質および窒素酸化物を除去する目的で1時間当たり234,000標準立方メートルの体積流量の燃焼排ガスを処理するために、以下のように設計されてもよい。
【0137】
フィルタモジュール204、206の供給側の面積は、それぞれ、1500×1000mmである。フィルタエレメントは、正方形の断面のサイズが10mm×10mmであり、かつ、軸長が140mmである原料ガスダクトおよび濾過流体ダクトから構成されるハニカム構造体である。各モジュールのフィルタエレメントは、供給面積が250mm×250mmであるユニットの6×4個の構成、計24個から構成される。
【0138】
フィルタモジュールは、流れ方向の厚さが200mmであり、細孔密度が30ppi(1インチ当たりの孔の数)であるセラミックSiC発泡体から構成される板状の触媒エレメントであって、TiO、V、WOの組成物のSCR触媒によって触媒的に活性化される板状の触媒エレメントを備える。
【0139】
大気圧および約300℃の動作温度では、先に指定した体積流量を処理するために、192個のフィルタモジュールが必要とされる。
【0140】
図4A図4Cに示したような4つのモジュールのスタック204、206として192個のフィルタモジュールを収容するハウジング202のサイズは、幅3.5m、長さ12.5m、および高さ4mの寸法を有する。フィルタモジュールは、ハウジングの縦方向における、スタック間の距離が100mmの状態でハウジングに組み込まれてもよい。
【0141】
動作圧力が、大気圧より上の約1バール以上の場合、図5Aの実施形態のために示した容器型のハウジング302を使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0142】
10、10’、50、100、204a、204b、204c、204d、206a、206b、206c、206d、330…触媒フィルタモジュール、12、52…ブロック状フィルタエレメント、14、74、144、146、340…触媒エレメント、16、76、154、156、344…清浄ガス収集・放出装置、18、78…箱形チャネル、19…前側、20、82、160、350…開口、22、54、102、104、334、335、336、337、338…ユニット、24、56、106、108…原料ガスダクト、26、58、110、112…筒状壁部、28、60、114、116…原料ガスダクトの開口端、30、62…原料ガスダクトの閉鎖端、32、64、122、124…濾過流体ダクト、34、66…濾過流体ダクトの開口端、36、68、130、132…濾過流体ダクトの閉鎖端、38、70、134、136…供給面、40、72、140、142、…放出面、44…前側面、46、86…フランジ、48、352…フレーム構造、49…安全ヒューズ、77…清浄ガス面、80…横側面、180…仕切り板、200、300…触媒フィルタシステム、202、302…ハウジング、203…ベースフレーム、204、204’、204’’、206、206’、206’’…触媒フィルタモジュールスタック、208…原料ガス供給チャネル、210、212…清浄ガス放出チャネル、214…後端、216…管、218…ドア、220、308…集塵器、222…注入ユニット、264…逆噴流供給チューブ、304…円筒壁部、306…ドーム状カバー、310…原料ガスチャンバ、312…清浄ガスチャンバ、314…チューブシート、316…供給ガス入口、318…清浄ガス出口、320…矩形開口、332…周縁フランジ、342…放出面、346…清浄ガスチャネル、348…上端、360…逆噴流システム、362…圧力源、364…供給ライン。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C