(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
変速伝動部を内設したミッションケース(13)によって操縦座席(15)を支持するとともに左右の大径後輪(2)を軸支し、これら左右の大径後輪(2)用の左右のフェンダ(14)を上記操縦座席(15)の両側部に配置した作業車両の機体構造において、
上記左右のフェンダ(14)を取付けるためのそれぞれのブラケット部材(31)を左右対向してそれぞれフェンダ(14)に沿う範囲で前後に長く形成し、これら左右のブラケット部材(31)の前後それぞれを前後配置の横架部材(32,33)によって左右に連結することによって矩形状のフェンダ支持枠(22)を構成し、このフェンダ支持枠(22)の前後の横架部材(32,33)を上記ミッションケース(13)の上部に支持する構成とし、前記操縦座席(15)の基部前側に操縦ステップ(21)を形成し、この操縦ステップ(21)から立上がるたて壁パネル(24)を前記前側の横架部材(32)に沿って前記左右のフェンダ(14)間に設けるとともに、同横架部材(32)の上部に締結固定するための上部締結部(24b)および前記フェンダ(14)に締結固定するための側部締結部(24c)を上記たて壁パネル(24)に設け、
さらにフェンダ支持枠(22)側には取付プレート(26a)を介してレバーガイド(26)を設け、レバーガイド(26)はブラケット部材(31)の傾斜に合わせて傾斜させたことを特徴とする作業車両の機体構造。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の適用対象となる作業車両の一例として示すトラクタの全体側面図である。このトラクタは、操向前輪1と大径後輪2を有して、機体前部のボンネット4下に搭載のエンジン5の駆動によって、伝動回転して走行する四輪駆動走行形態の構成とし、機体の後側にトップリンク6とロワリンク7を介してロータリ耕耘装置8等の作業機を連結し、リフトアーム9の上下回動によって、リフトロッド10を介して連結のロワリンク7を昇降できる構成としている。
【0016】
操縦部周りは、ボンネット4側にダッシュボード11とステアリングハンドル12、機体中央下部に伝動系を内設したミッションケース13、このミッションケース13の左右に配置した後輪用のフェンダー14,14、ミッションケース13の上部に持した操縦座席15、この操縦座席15の後部に起立するロプスフレーム16、ミッションケース13の後端から作業機に動力を供給するPTO軸17等により構成される。
【0017】
ミッションケース13を中心に構成される機体後部のフレーム構成は、ミッションケース13等を除いたフェンダー周りのフレーム構成の要部斜視図を
図2に示すように、ミッションケース13を挟んで操縦座席15の前側下部の左右の操縦ステップ21,21と、左右のフェンダ14,14を支持する矩形状のフェンダ支持枠22と、左右のフェンダ1
4の後端部間を最高位置で連結する後部連結部材23等によって構成する。
【0018】
また、フェンダ支持枠22の前端部には、左右の操縦ステップ21,21の後端から立上がって後方に屈曲傾斜するたて壁パネル24を設ける。また、不図示の乗降用ステップを外側端に取付けるための左右のステップブラケット25,25をミッションケース13の両側に張出して左右の操縦ステップ21,21を支持するとともに、左右のフェンダ14,14の前端部を支持する。
【0019】
(フェンダ支持枠)
フェンダ支持枠22は、その単体斜視図を
図3に示すように、左右のフェンダ14,14を取付けるためのそれぞれの帯板材によるブラケット部材31,31を左右に対向し、それぞれの前端部を左右に連結する前側の横架部材32と後部側を左右に連結する後側の横架部材33とによって矩形状に構成し、これら前後の横架部材32,33をミッションケースの上部に支持する。
【0020】
後側の横架部材33は、左右の溝型部材33a,33aを伏せた姿勢で、両内側端の間を座板33bで連結する。このフェンダ支持枠22は、帯鉄とプレート材の溶接一体構成体であり、ミッションケース13の後半部であるリヤミッションケース部の前端上面部と後部一体構成のシリンダケース上面に取付けて簡易に構成することができるので、従来の支持構成すなわちミッションケース13の両側に張出した高コストの複数の角パイプ材による支持部を要することなく、十分な剛性を確保することができる。
【0021】
上記構成のフェンダ支持枠22により、ミッションケース13を中心に、その上方の操縦座席と、この操縦座席の両側方の左右の大径後輪および左右のフェンダとが配置され、また、左右のブラケット部材31,31と前後の横架部材32,33とによってミッションケース13と一体の矩形枠が構成され、この矩形枠を介して左右のフェンダ14,14が支持されることから、フロアマウントに必要な張出しフレームとその外側端の取付けブラケットとを要することなく、帯板材等の汎用部材による簡易な構成の矩形枠によって十分な支持剛性を確保することができるとともに、矩形枠をユニットとして別途構成することにより、ミッションケース13への組付けが容易化される。
【0022】
(後部連結部材)
後部連結部材23は、その要部平面図(a)および側面図(b)を
図4に示すように、その断面を縦長のL字状に形成するとともに、その両端に縦長形状の板材による取付座23b,23bを一体に設け、この取付座23b,23bのプレート面とフェンダ14,14の内側面とを一体固定する上下配置の複数のボルト23c,23cによって縦方向剛性を確保する。
【0023】
この後部連結部材23により、大きな面構成のパネルを要することなく、小さいプレート材と帯鉄等の簡単な構成によってフェンダ剛性を確保でき、縦方向の剛性を有するL字断面材23aのボルト取付けによってさらに剛性を確保でき、フェンダ後端側の剛性を確保して、フェンダの共振やぐらぐら感を抑えることができる。また、片側2本ずつのボルト23c,23cで締結することにより、後部連結部材23の取付ける際にずれる(回る)ことなく安定することから組立が容易になる。
【0024】
(たて壁パネル)
たて壁パネル24は、機体後部のフレーム構成の要部平面図(a)および側面図(b)とそのフレーム構成の要部正面図を
図5、
図6にそれぞれ示すように、左右のフェンダ14,14間でフェンダ支持枠22の前側の横架部材32に沿って立上がり、同横架部材32の上端から後方に屈曲傾斜する傾斜部24aを備え、この傾斜部24aを上部締結部24b,24bとして横架部材32の上面部にボルト固定するとともに、左右両側端を側部締結部24c,24cとして左右のフェンダ14,14の内側面部にボルト固定することで、特にねじり剛性を確保することができる。
【0025】
上記構成のたて壁パネル24は、左右分割の操縦ステップ21,21から前側の横架部材32に沿って左右のフェンダ14,14間に立上がるとともに、同横架部材32およびフェンダ14と締結固定可能に構成したことにより、薄板材によっても安定保持が可能となり、また、作業車両を積載移送するために両フェンダ14,14をブラケット部材31,31から外し、たて壁パネルがその締結部を介して横架部材に支持したまま梱包移送することができることから、移送先でフェンダを容易に再組立てすることができる。
【0026】
また、たて壁パネル24の傾斜部24aは、要部拡大側面図を
図7に示すように、例えば後ろ上がりに傾斜し、かつ、左右のブラケット部材31,31もその長手方向を後ろ上がりに同様に傾斜して機体側面視で両者の傾斜方向を平行して構成する。
【0027】
このように、たて壁パネル24の傾斜部24aとブラケット部材31,31の長手方向とが同じ角度として平行に形成することにより、溶接固定角が同一なので溶接工程が簡単になる。また、取付け部材同士が平行であることから、寸法検査や組立てが容易(工具が使いやすい)となり、さらに、取付けるフェンダ14,14は後ろに行くにつれて大きくなるとともに、重心も後ろ気味になるため、ブラケット部材31,31の傾斜角度であることにより、フェンダ14,14の中央部を取付けることになってフェンダがバランス支持されることから、ビビリ音、共振を防ぐことができる。さらに、外観上も、ブラケット部材とたて壁パネルの角度が揃って一体感が出てきれいに見える。
【0028】
上記構成の左右のフェンダ14,14の取付けは、フェンダ支持枠22の左右のブラケット部材31,31の側面部、たて壁パネル24の両側端部24c,24cおよび後部連結部材23の両端の取付座23b,23bに加え、ステップブラケット25,25に設けた取付座25a,25aにボルト固定し、全て後輪タイヤ側からのボルト操作によって簡易に着脱することができる。
【0029】
従来のフェンダ構成では、マウントフレーム部材、パネルバック、レバーガイド、レバーブラケット等の複数の部材と連結固定されており、フェンダを外すとこれらの部材も取付けることができなくなり、また、外装部品やチェンジレバーが取付けできず、走行不可能であったが、上記構成とすることにより、フェンダ14,14を外すために他の部品を外す必要がなく、フェンダ14,14を外した状態で組立および分解が可能であり、フェンダ14,14が無い状態でも走行が可能であることから、輸出用コンテナに収容するために鉄枠梱包する場合など、フェンダ14,14を外した状態で梱包が可能となる。しかも、梱包枠が小さくでき、例えば、20フィートコンテナで20台搭載が可能となることから、組立て、取外しの容易化と同時に輸送コストの低減が可能となる。
【0030】
また、レバーガイド26は、フェンダやフロアマウントフレーム部を避けてフェンダ支持枠22側に取付プレート26a等を取付けることにより、左右のフェンダ14,14の組付けや取外しの場合に、フェンダーとの間で縁が切れていることから、フェンダを付けないままレバーガイド26を取付けることができ、組立手時にフェンダー無しに鉄枠梱包が可能となるので、組立工数の削減が可能となる。また、レバーガイドが付いている状態でチェンジレバーを安全に変速操作することができ、たとえばガイドが無いため何速に入っているかが分らなくなることもなく、その後、たとえば梱包送付先でコンポ解体してフェンダを取付けるときも、レバーガイドを気にすることなく、簡単にフェンダ等の組立てが可能となる。
【0031】
フェンダ支持枠22に取付けるレバーガイド26は、ブラケット部材31の傾斜に合わせて傾斜することにより、両者の一体感が増してきれいに見え、さらに、サブコンレバーとレバーガイド、HSTオートクルーズレバーとレバーガイド等を取付けるときに、レバーガイドをそのままの角度で後ろに伸すような形状にしておくことにより、後付レバーおよびガイドの取付けが簡単であり、再後付構成部品等でも可能であり、見た目もきれいに構成できる。
【0032】
次に、操作レバーについて説明する。
ポジションレバー41は、シリンダケース周りの平面図(a)およびその側面図(b)を
図8に示すように、ミッションケース13の上部に一体に構成されたシリンダケース13aに設けられ、その最上げ位置調整のために、タップを切ったプレート42をシリンダケース13aの上面に取付けられた後側の横架部材33の一部に取付けるとともに、そのプレート42にロックナット付のボルト43を締込むことにより、ボルトストッパを要することなく、コストダウンが可能となる。
【0033】
また、ミッションケース13の側面には、要部側面図を
図9に示すように、バルブ45を直付けし、操縦座席15の右側にレバー46を配置して操作部を構成し、その間を1本のロッド47で連結することにより、コントローラによって電子制御される電磁バルブを要することなく、シンプルなレイアウトで低コストで構成することができ、また、操作部の拡大背面図(a)および側面図(b)を
図10に示すように、後の横架部材33に軸支部材46bを取付けてレバー46の支軸46aを軸支するとともに、レバー46の基部に支点越えばね46cを設け、操縦座席15の横面にレバーリンクを構成することにより、軸支部材46bをシリンダケース13aやフェンダ14に支持するよりコンパクトかつ低コストで構成することができる。
【0034】
PTOレバー51は、右側の操縦ステップに配置され、第1の構成例の平面図(a)および側面図(b)を
図11に示すように、レバー基部にアーム51aを一体に設け、このアーム51aの先端にボルト固定部51bを形成して操縦ステップ21の下に軸支し、PTOレバー51のニュートラル位置でボルト固定部51bをミッションケース13にボルト固定可能に構成する。ローダ作業の場合はPTO操作を要しないことから、PTOレバー51をニュートラル位置にボルト固定することにより、誤操作によるPTO作動の危険を防止することができる。
【0035】
また、PTOレバー51の他の構成例の側面図を
図12に示すように、第2の構成例(a)は、ニュートラル位置でPTOレバー51がステップ21の下に入るように支点51cのロールピンを差替え可能に構成することにより、操縦座席15からの誤操作を防止することができ、そして第3の構成例(b)は、ニュートラル位置でPTOレバー51がミッションケース13を覆うセンターカバー13bの内側に入るように支点51cのロールピンを差替え可能に構成することにより、誤操作の可能性を無くすことができる。
【0036】
次に、ECU取付け構成例について説明する。
エンジン5の前方に配置されるラジエータブラケットの構成例の正面図、右側斜視図および左側面図を
図13〜
図15に示している。
図13〜
図15はボンネット4をオープンしたエンジンルーム内の状況を示している。ラジエータPを支持するラジエタブラケット61の前側位置で正面に向けてECU62を取付けることによってECU62の冷却効率をアップすることができる。さらに、冷却水のリザーブタンク63の後ろ側付近にECU62を配置することにより、ECU62に対する水、泥、埃等の直接飛散を防止することができる。また、ラジエータPの前方にはエアクリーナを収納しているエアクリーナ収納ケースQが配置されている。エアクリーナ収納ケースQの下側に空気取り入れ口Q1が配置されており、この空気取り入れ口Q1から空気が取り込まれるために空気の対流が発生
し、このため、ECU62の周辺に埃等が停滞するのを防止できる。
【0037】
ECU62は、ラジエタブラケット61の左右フレーム64,64をつなぐ補強部材である上下のプレートステー65,65に取付けることにより、ECU専用の取付け部材が不要となり部品点数削減とコストダウンが可能となる。
【0038】
また、上下のプレートステー65,65にリレー類、スローブローフューズボックス等の電装構成部品66を取付けることにより、それぞれの専用ステー部材が不要となり部品点数削減とコストダウンが可能となる。これらの電装構成部品66はエンジン関係に関する回路の電装構成部品に限定し、ECU62から最短距離に配置することにより、エンジン関係回路67の配索の容易化および電線長さの短縮化によるコストダウンが可能となる。 また、電装構成部品66は、バッテリ68の裏側に配置することにより、バッテリ68の冷却効率が落ちることなく、安定したエンジン冷却が可能となり、ヒートバランステストをクリアすることができる。
【0039】
次に、ロプスフレーム16について説明する。
角パイプ材によるロプスフレームを支持するリヤアクスルハウジングは、従来、ロプスフレームの取付けに合わせた形状でないため、ロプス構成位置を成立たせるために、角パイプを斜めにカットせざる得ない場合があり、斜めカットの工程が余計に必要で、コストアップとなっており、また、斜めカットした角パイプに合わせた取付けプレートにするために、プレート形状に曲げが必要となったり、帯鉄が使えずブランク加工となるため、製作工数増、コストアップの要因となっていた。
【0040】
また、ロプスフレームとリヤアクスルハウジングの間の固定方法は、従来、リヤアクスル部に上下で挟んで固定する構成やハウジングの断面形状に合わせてコの字型で填め込んで取付ける構成であり、上下で挟み込む場合は長いボルトで取付け留溜めに、寸法が出にくい上に、剛性を出すために、部材を大きくする必要があり、また、コの字型で填め込む場合も、下側のプレート部分がコストアップ要因であり、下側から上ると固定と組立てが難しく工数アップを招いていた。
【0041】
このような問題を解決するために、ロプスフレーム16は、取付部を含む側面図(a)および背面図(b)を
図16に示すように、角パイプ材を屈曲して形成した左右のロワフレーム16a,16aおよび両者間を連結するアッパフレーム16bとによって構成し、左右のロワフレーム16a,16aの基部を左右のリヤアクスルハウジング2a,2aに取付ける。
【0042】
詳細には、リヤアクスルハウジング2aは、その要部拡大側面図(a)および同図におけるA矢視図(b)を
図17に示すように、ケース外部形状が、直角形の四角形状とし、その四角形状に合わせてロワフレーム16aの角パイプ材を直角にまっすぐに合わせ、さらに角パイプ材に対し、ケース形状に合わせるようにプレート71,72を下面側と後面側に直角に取付け、そのプレート71,72とケース取付け面とをボルトで固定する。また、下面側のプレート71の水抜孔71aとリヤアクスルハウジング2aの溝2bによって後述の水抜部を形成する。
【0043】
上記取付け構成により、リヤアクスルハウジング2aの直角部を利用し、角パイプ材も切断面を直角にすることにより、斜めカットする場合が多いフレーム加工の工程削減ができる。さらに、角パイプ材に対して直角にプレート71,72を溶接固定することにより、非常に剛性が高い取付け構成とすることができる。また、単純なプレート形状、溶接構成にすることが可能なため、加工工程削減、コストダウンが可能となる。
【0044】
また、ロプスフレーム16の取付けは、リヤアクスルハウジング2aに対して取付面プレートの上側と後面について、プレート71,72に開けた穴にボルトを取付けて固定することにより、上面と後面の2面側だけで取付けることができ、角パイプ材の斜めカット工程が不要となり、加工工程の削減ができる。また、角パイプ材に対して直角にプレート71を溶接固定することで、高度の取付け剛性を確保することができるとともに、単純なプレート形状、溶接構成によって加工工程削減、コストダウンが可能となる。
【0045】
角パイプ材の後面側のプレート72には、垂直に補強プレート72aを取付ける。この補強プレート72aは曲げが無いまっすぐな板材であり、ロワフレーム16aの下側から曲げが始る寸前まで伸した範囲に設けることにより、従来の高コストの補強プレートの曲げや複数の補強を要することなく、剛性アップとが部品点数削減可能となる。さらに、角パイプと直角で溶接できるため、複雑な曲げ形状が不要なので加工工数の削減が可能となる。また、角パイプ材の上側まで伸すことにより、部品点数が少ない構成で剛性の確保が可能となる。
【0046】
後面側の補強プレート72aには、ロワリンク周りの平面図を
図18に示すように、左右のロワリンク7、7の広狭調節をするチェックチェーン73の取付部の穴を形成した補強プレート74を取付ける。その取付け位置は、特に機体に対しての左右方向の位置は、チェックチェーン73の引張り強度が最適な位置、実施例のように、ロワリンク7の振れを最小限に抑えることが一番効く位置に溶接する。
【0047】
従来、チェックチェーンの取付けプレートは、多くの場合、ロプスフレーム取付けプレートから出ている専用プレートによって構成されることから、部品点数が多くなり、さらに、チェックチェーン73の取付け分の強度アップのため、プレートの2枚重ねで溶接したり、曲げたり、斜め溶接したりすることにより、コストアップの要因となっていた。
【0048】
その解決のために、ロプスフレーム16の補強プレート72aを利用することにより、チェックチェーン取付け専用プレートの必要がなくなるので、コストダウンが可能となる。また、補強プレートであるため、板厚も十分で、2枚重ねの溶接も不要であり、さらに、チェックチェーンの引張り1番効く位置に溶接することが可能なため、チェックチェーン、3pリンクの強度アップも可能となる。
【0049】
また、ロプスフレーム16は、リヤアクスルハウジング2aに対する取付け強度のアップにより、アッパフレーム16bと左右ロワフレーム16a,16aとの間で左右間の連結フレームによる補強を要することなく、アッパフレーム16bと左右ロワフレーム16a,16aを取付けるだけで構成することができるので、コストダウンと部品点数削減が可能となる。
【0050】
さらに、ロプスフレーム16は、左右のロワフレーム16a,16aの基部だけをリヤアクスルハウジング2a,2aに支持することにより、全体として、フェンダ等の他の部材との接続なしに、トラクタ本機と接続して構成する。
【0051】
従来のロプスフレームは、フェンダ等の他の部材と接続されていることから、コンテナによる海上輸送のためにトラクタを梱包する際に、フェンダ部材とアッパフレームを取外し、左右のロワフレームをトラクタ本機に組付けておく必要があることから、工場組立て工数がアップし、さらに、輸送先における現地組立ての際に、アッパフレームの取付け穴が合わない場合にロワフレームの接続部を緩めて再組立てを強いられるという問題があった。
【0052】
上記構成により、梱包出荷の場合は、工場組立て時に左右のロワフレーム16a,16aを組付ける必要が無いので、組立て工数削減、コストダウンが可能となり、さらに、現地組立の際に左右のロワフレーム16a,16aから組付けるため、左右のロワフレーム16a,16aの取付け部を仮止めにしながらアッパフレーム16bを組付けることで穴位置が合いやすく組立ても容易となる。
【0053】
ロプスフレーム16の下端の水抜部は、リヤアクスルハウジング2aのロワフレーム軸線方向視図(a)および側面図(b)を
図19に示すように、プレート71と接するリヤアクスルハウジング2aの取付面Bにプレート71の水抜孔71aに臨んで鋳抜溝2bを開口する。
【0054】
従来の水抜は、ロプスフレームの下端部付近の角パイプ材またはフレーム途中に穴を開け、角パイプ材の端部にノッチ切欠きを形成して水抜部を構成していたことから、工程が難しく、パイプ端の形状が変形したり、別工程で切欠穴を加工する必要があり、コストアップの原因となっていたが、上記構成により、プレート71にピアス工程で水抜孔71aを開けるだけで、そこから水が出て、さらにリヤアクスルハウジング2aのその水抜孔71aがある部分の形状を、鋳抜きで肉を盗み、ケース外側を伝って水が抜けることから、工程削減、加工容易、コストダウンが可能となる。