(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
潜熱回収型給湯装置においては熱交換によって酸性のドレンが発生するが、このドレンがファンや排気部に残留して濃縮した場合、排気部の材料を損壊させる恐れがあり、排ガス漏れにつながる。
【0007】
従来のいわゆる排気押込み方式の給湯装置では、二次熱交換器よりも燃焼ガスの流れの下流側には、排気ボックスと排気管だけしかなく、排気管から戻ってきたドレンや、排気ボックスに付着したドレンは、そのまま二次熱交換器に落下し、二次熱交換器に設けてあるドレン排出口から外部へ、集約されて排出されていた。
【0008】
しかし、排気吸引方式の給湯装置では、二次熱交換器と排気管との間には、排気ボックスおよびファンケース(、排気継手)が介在することとなるため、排気管から戻ってくるドレンは単純に落下するだけでは二次熱交換器には戻らない。また、上記の排気吸引燃焼方式の給湯装置においては、潜熱を回収するための熱交換器よりも下流側にファンが配置されているため、ファンケースの内部にもドレンが侵入することになる。そして、ファンケース内に付着したドレンも同様に、全て二次熱交換器に落下するわけではなく、その多くはファンケース内に滞留することとなる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも複雑な排気経路を有する排気吸引燃焼方式の潜熱回収型の給湯装置において、ドレンがファンケース内に滞留して濃縮されることに起因するファンの腐食を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の給湯装置は、燃焼ガスの潜熱を回収することで湯水を加熱可能な潜熱回収型の給湯装置であって、燃焼装置と、熱交換器と、ファンとを備えている。
【0011】
燃焼装置は、複数の炎孔部を有するバーナを含み、複数の前記炎孔部の先端の開口部から燃焼ガスを発生させるための装置である。熱交換器は、バーナで発生した燃焼ガスとの熱交換によって内部を流れる湯水を加熱するためのものである。ファンは、熱交換器を経由した後の燃焼ガスを吸引して給湯装置の外部へ排気するためのものであり、ファンケースと、該ファンケース内に回転可能に収容された羽根と、前記ファンケースの外部に設けられ、前記羽根と接続された回転軸を有する駆動源とを含む。
【0012】
そして、前記ファンケースの底壁の上面のうち、少なくとも一部は、複数の前記炎孔部の前記開口部を含む基準面に対して傾斜している。これにより、ドレンが重力によってファンケース内部で移動しやすくなるため、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0013】
前記ファンケースの底壁の上面のうち、少なくとも前記羽根よりも外周側の部分が、前記基準面に対して傾斜していることが好ましい。この場合、ファンケース内の羽根が回転している状態でも、ファンケースの外周部分の底壁上を重力によりドレンが移動できるため、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0014】
前記回転軸は、前記基準面に垂直な方向に対して傾斜していることが好ましい。この場合、ファンケース内の羽根も傾斜しているため、羽根に付着したドレンが重力により移動しやすくなり、さらに、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。また、羽根のドレンによる腐食等を抑制することができる。
【0015】
前記基準面は、前記給湯装置の設置状態において水平な面であることが好ましい。この場合、給湯装置の設置状態において、ファンケースの底壁の上面が水平方向から傾斜し、ファンの回転軸が鉛直方向に対して傾斜する(ファンが水平方向に対して傾斜する)こととなるため、ドレンが重力で移動しやすくなり、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0016】
前記ファンケースの前記底壁は、少なくとも前記給湯装置の設置状態において鉛直方向の最も下側の位置にドレン排出口を有することが好ましい。この場合、重力によってファンケースの底壁の鉛直方向の最も下側の位置に移動したドレンが、ドレン排出口を通じてファンケース外に排出されるため、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0017】
さらに、前記ファンと前記熱交換器との間に、前記燃焼ガスを前記熱交換器から前記ファンに導入するための排気ボックスを備え、前記排気ボックスの上壁が前記基準面に対して傾斜しており、前記ファンは、前記回転軸が前記基準面に対して傾斜するように、前記排気ボックスの前記上壁に固定されていることが好ましい。この場合、ファンケース内の羽根も傾斜しているため、羽根に付着したドレンが重力により移動しやすくなり、さらに、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。また、羽根のドレンによる腐食等を抑制することができる。
【0018】
前記ファンケースは、前記ファンケースの前記底壁および周壁を含むファンケース本体と、前記ファンケースの上壁を含むファンケースカバーとから構成され、前記ファンケース本体と前記ファンケースカバーとの接合箇所にはシール部材が介在していることが好ましい。この場合、シール部材によりファンケース内のドレンが外部に滲みだすことを防止できるという利点がある。
【0019】
前記ファンケースと前記給湯装置の外部へ通じる排気管とを接続するための排気継手を備え、前記排気継手は、前記排気管との接続箇所に開口部を有し、該開口部は前記基準面に垂直な方向から見たときに前記羽根と重ならない位置に設けられていることが好ましい。これにより、排気管からドレンや水分がファン側に滴下した場合でも、ファンの羽根に直接滴下することが防止されるため、羽根によってドレンが巻き上げられることなく、重力によって移動して、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。また、ドレンによるファンの劣化が抑制される。
【0020】
前記ファンケースは、前記ファンケースの前記底壁および周壁を含むファンケース本体と、前記ファンケースの上壁を含むファンケースカバーとから構成され、前記ファンと前記熱交換器との間に、前記燃焼ガスを前記熱交換器から前記ファンに導入するための排気ボックスと、前記ファンケースと前記給湯装置の外部へ通じる排気管とを接続するための排気継手とを備え、少なくとも前記ファンケース本体、前記排気ボックスおよび前記排気継手が一体化構造体により形成されていることが好ましい。この場合、各部品を組み立てる作業が不要となり給湯装置を容易に製造することが可能となる。
【0021】
前記一体化構造体は、前記排気管から逆流してきたドレンおよび水分を回収するドレン回収室を含み、該ドレン回収室の底壁は、前記基準面に対して傾斜しており、前記給湯装置の設置状態における鉛直方向の最も下側の位置に前記排気ボックスに通じるドレン排出口を有することが好ましい。これにより、排気管からドレンや水分がファン側に滴下した場合でも、それらがファンケース内へ移動することを防止できるため、ドレンによる羽根の劣化が抑制される。また、羽根によってドレンや水分が巻き上げられることなく、重力によって移動し、ドレン排出口を通じて排気ボックスに移動するため、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0022】
前記羽根は、耐酸性を有する樹脂材料から構成されていることが好ましい。これにより、ドレンによるファンの劣化が抑制される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、従来よりも複雑な排気経路を有する排気吸引燃焼方式の潜熱回収型の給湯装置においても、ドレンがファンケース内に滞留して濃縮されることに起因するファンの腐食を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
【0026】
[実施形態1]
実施形態1における給湯装置の構成について、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0027】
主に
図1および
図2を参照して、本実施形態の給湯装置1は、排気吸引燃焼方式の潜熱型の給湯装置である。この給湯装置1は、燃焼装置2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器4と、排気ボックス53と、ファン6と、排気管7と、ドレンタンク8と、筺体9と、配管10〜16とを主に有している。
【0028】
(燃焼装置)
図1および
図2を参照して、燃焼装置2は、燃料ガスを燃焼させることにより燃焼ガスを生じさせるための装置であり、複数の炎孔部24を有するバーナ22を含んでいる。バーナ22にはガス供給配管11が接続されている。このガス供給配管11はバーナ22に燃料ガスを供給するためのものである。このガス供給配管11には、たとえば電磁弁よりなるガス弁(図示せず)が取り付けられている。また、バーナ22には、バーナを収容するバーナケース21の底部の開口部21aから空気も供給される。
【0029】
バーナ22の上方には点火プラグ2aが配置されている。この点火プラグ2aは、バーナ22に設けられたターゲット(図示せず)との間で点火スパークを生じさせることにより、バーナ22の炎孔部24から噴き出された燃料空気混合気に火炎を生じさせるためのものである。バーナ22は、ガス供給配管11から供給された燃料ガスを燃焼することによって熱量を発生する(これを、燃焼動作という)。
【0030】
図6は、
図1の給湯器に用いられる燃焼装置の一例の構成を概略的に示す斜視図であって、バーナケースの壁面21Aを取り外して示す分解斜視図である。
図7は、
図6に示す燃焼装置に用いられるバーナの構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図8は、
図7のVII−VII線に沿う概略断面図である。
【0031】
図6を参照して、燃焼装置2は、バーナケース21と、複数のバーナ22と、点火プラグ2aとを主に有している。複数のバーナ22の上方には、バーナケース21の壁面に取り付けられた点火プラグ2aが配置されている(
図6)。
【0032】
図7を参照して、バーナ22は、本体ユニット23と、左右1対のバーナユニット22a、22bと、炎孔部24とを主に有している(
図7)。
【0033】
図7および
図8を参照して、本体ユニット23には、ガス流入口23a,23bが設けられている。本体ユニット23の左右の各々に1対のバーナユニット22a、22bが取り付けられている。バーナユニット22a、22bの内側には、炎孔部24が設けられている。本発明においては、この複数の炎孔部24の開口部を含む平面を基準面200(
図8、
図2)とする。この基準面は、給湯装置の設置状態において水平な面であることが好ましい。
【0034】
(一次熱交換器)
主に
図2を参照して、一次熱交換器3は顕熱回収型の熱交換器である。この一次熱交換器3は、複数の板状のフィン3bと、その複数の板状のフィン3bを貫通する伝熱管3aと、フィン3bおよび伝熱管3aを内部に収容するケース3cとを主に有している。一次熱交換器3は、バーナ22で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうものであり、具体的にはバーナ22の燃焼動作により発生した熱量によって一次熱交換器3の伝熱管3a内を流れる湯水を加熱するためのものである。
【0035】
(二次熱交換器)
主に
図2および
図3を参照して、二次熱交換器4は潜熱回収型の熱交換器である。この二次熱交換器4は、一次熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置し、一次熱交換器3と互いに直列に接続されている。このように本実施の形態の給湯装置1は潜熱回収型の二次熱交換器4を有しているため潜熱回収型の給湯装置となっている。
【0036】
二次熱交換器4は、ドレン排水口4aと、伝熱管4bと、側壁4cと、底壁4dと、上壁4gとを主に有している。伝熱管4bは、螺旋状に巻き回されることによって積層されている。側壁4c、底壁4dおよび上壁4gは、伝熱管4bの周囲を取り囲むように配置されている。
【0037】
二次熱交換器4においては、一次熱交換器3で熱交換された後の燃焼ガスとの熱交換によって伝熱管4b内を流れる湯水が予熱(加熱)される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。また二次熱交換器4で潜熱が回収されて燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮することによりドレンが発生する。
【0038】
底壁4dは一次熱交換器3と二次熱交換器4との間を区画するためのものであり、一次熱交換器3の上壁でもある。この底壁4dには開口部4eが設けられており、この開口部4eにより一次熱交換器3の伝熱管3aが配置された空間と二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間とが連通している。
図2の白矢印で示すように、開口部4eを通じて燃焼ガスは一次熱交換器3から二次熱交換器4へ流れることが可能である。この実施形態では簡単化のために二次熱交換器4の底壁4dと一次熱交換器3の上壁とを共通のものとしたが、一次熱交換器3と二次熱交換器4の間に排気集合部材を接続してもよい。
【0039】
また上壁4gには開口部4hが設けられており、この開口部4hにより二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間と排気ボックス53の内部空間とが連通している。
図2の白矢印で示すように、開口部4hを通じて燃焼ガスは二次熱交換器4から排気ボックス53の内部空間内へ流れることが可能である。
【0040】
ドレン排水口4aは側壁4cまたは底壁4dに設けられている。このドレン排水口4aは、側壁4c、底壁4dおよび上壁4gによって取り囲まれた空間の最も低い位置(給湯装置の設置状態において鉛直方向の最も下側の位置)であって伝熱管4bの最下端部よりも下側に開口している。これにより二次熱交換器4で生じたドレンを、
図2において黒矢印で示すように底壁4dおよび側壁4cを伝ってドレン排水口4aに導くことが可能である。
【0041】
(排気ボックス)
主に
図2を参照して、排気ボックス53は二次熱交換器4とファン6との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス53により、二次熱交換器4で熱交換された後の燃焼ガスをファン6へ導くことが可能である。排気ボックス53は、二次熱交換器4に取り付けられており、二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。なお、排気ボックス53は、本発明において必ずしも必要ではないが、傾斜させたファンケース5の底壁と、二次熱交換器4の上壁4gとの間を気密または液密に接続するために通常は必要となる。
【0042】
主に
図2および
図3を参照して、排気ボックス53は、ボックス本体53aと、ファン接続部53bとを主に有している。ボックス本体53aの内部空間は、二次熱交換器4の開口部4hを通じて二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された内部空間に連通している。
図2に黒矢印で示すように、この開口部4hを通して、排気ボックス53内のドレンが二次熱交換器4に滴下される。
【0043】
また、ボックス本体53aの上部から突き出すようにファン接続部53bが設けられている。このファン接続部53bはたとえば筒形状を有しており、その内部空間はボックス本体53aの内部空間と連通し、吸気口51dを形成している。
図2に黒矢印で示すように、この吸気口51dを通して、ファンケース5内のドレンが排気ボックス53内に滴下される。
【0044】
(ファン)
主に
図1および
図2を参照して、ファン6は、二次熱交換器4を経由した(二次熱交換器4で熱交換された)燃焼ガスを吸引して給湯装置1の外部へ排気するためのものであり、排気継手54を介して、給湯装置1の外部へ通じる排気管7に接続されている。
【0045】
ファン6は、排気ボックス53および二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置1においては、バーナ22で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、バーナ22、一次熱交換器3、二次熱交換器4、排気ボックス53およびファン6の順で並んでいる。この配置において上記のとおりファン6で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施形態の給湯装置1は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
【0046】
ファン6は、羽根61と、ファンケース5と、駆動源62と、回転軸62aとを主に有している。ファンケース5は、ファンケース5の内部空間とファン接続部53bの内部空間とが連通するように排気ボックス53のファン接続部53bに取り付けられている。これにより、排気ボックス53のボックス本体5aから、ファン接続部53b内の吸気口51dを通じて、ファンケース5内に燃焼ガスを吸引することが可能である。
【0047】
主に
図3を参照して、羽根61は、ファンケース5の内部に配置されている。この羽根61は、駆動源62に回転軸62aを介して接続されている。これにより羽根6aは、駆動源62から駆動力を与えられることにより回転軸62aを中心として回転可能である。なお、本実施形態での駆動源62は、主に回転軸62a、回転子62bおよびケース62cから構成されるモータである。排気ボックス53内の燃焼ガスは、羽根61の回転により羽根61の内周側から吸引されて、羽根61の外周側へ排気可能である。
【0048】
主に
図1を参照して、排気管7は排気継手54を介して給湯装置1の外部に配置されており、かつファンケース5の外周側に接続されている。このため、ファン6の羽根61によって外周側へ排出された燃焼ガスを、排気管7を通じて給湯装置1の外部へ排出することが可能である。
【0049】
主に
図2を参照して、バーナ22で生じた燃焼ガスは、上記の羽根61の回転によってファン6に吸引されることで、図中白矢印で示すように一次熱交換器3、二次熱交換器4および排気ボックス53をこの順で通過した後にファン6に達して給湯装置1の外部へ排気可能である。
【0050】
図3を参照して、ファンケース5の底壁の上面の少なくとも一部は、複数の炎孔部の開口部を含む基準面200(
図2、
図8)に対して傾斜している。これにより、ドレンが重力によってファンケース5内部で移動しやすくなるため(
図3に示す黒矢印)、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。なお、燃焼ガスをスムーズに排気できるように、ファンケース5の底壁51aの上面は、排気管7に近い側が高い位置となるように傾斜していることが好ましい。ただし、これに限定されず、例えば、給湯装置の前面側が低い位置となるように傾斜していてもよい。
【0051】
さらに、ファンケース5の底壁51aの上面のうち、少なくとも羽根61よりも外周側の部分51bが、基準面200に対して傾斜していることが好ましい。ファンケース内の羽根61が回転している状態では、ファンケースの底壁51aの上面のうち羽根61の内側部分では、ドレンが吸引されたり飛散したりするためドレンの重力による移動が妨げられやすいが、一方で、ファンケース5の底壁51aの上面のうち羽根61よりも外周側の部分51bでは、羽根61の回転の影響を受けにくい。このため、外周側の部分51bを傾斜させることにより、ドレンが重力によって移動することができ、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0052】
なお、
図3において、ファンケース5の底壁51aのうち羽根61の内側部分(吸気口51dの周辺)は、回転軸62a(吸気口51d)方向に向かって徐々に凹んだすり鉢状になっているが、ファン6の排気能力の向上の点からこのような形状であることが好ましい。ただし、この部分の底壁51aの上面も基準面200に対して傾斜していることが好ましい。これにより、ファンケース5の底壁51aの上面の全てにおいて、ドレンが重量により自然に低い方向(図中の黒矢印の方向)へ移動するため、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。さらに、ファンケース5および排気継手54の底壁の上面が、上記基準面に対して傾斜していることが好ましい。
【0053】
また、羽根61の上面も上記基準面200に対して傾斜していることが好ましい。羽根が基準面に平行である(給湯装置の設置状態において水平である)と、羽根の上面等にドレンが滞留しやすくなり、羽根の劣化が進み易いといった問題があるためである。
【0054】
ファンのモータの回転軸は、上記基準面(好ましくは、給湯装置の設置状態において水平な面)に垂直な方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、ドレンが回転軸の根元からモータの内部に侵入してモータが故障することを防止できる。
【0055】
ファンケースおよび排気継手の底壁の上面の基準面に対する傾斜の角度(あるいは、ファンの回転軸の基準面に垂直な方向に対する傾斜の角度)は、好ましくは3〜87°であり、より好ましくは3〜30°であり、さらに好ましくは5〜15°である。傾斜の角度が3°未満であると、給湯機器の設置状態が水平に保たれていない場合に、ファンケースの底壁の上面が略水平になってしまう可能性があり、本発明の効果が奏されないことがある。一方、87°を超えると、給湯機器の設置状態が水平に保たれていない場合に、ファンケースの底壁の上面が略鉛直方向になってしまう可能性があり、ドレンが回転軸の根元からモータの内部に侵入してモータが故障する虞れがある。
【0056】
排気経路を形成する部品間においては、燃焼ガスの流れの上流側(鉛直方向の下側)の接続部をメス型とし、燃焼ガスの流れの下流側(鉛直方向の上側)の接続部をオス型とすることが好ましい。また、排気経路を形成する部品間の全ての接続部は、Oリングまたはパッキンでシールされていることが好ましい。このようにすることで、排気経路内をドレンが滴下する際に、ドレンが経路外に漏れ出すことを防止できる。
【0057】
また、ファンケースカバーとファンケース本体の接続部(シール面)等は、鉛直方向の上側に位置するように装置設計を行うことが好ましい。ドレンが経路外に漏れ出すことを防止でき、シール面がドレンに接触することを防止し、シールの劣化を抑制できる。
【0058】
また、
図3に示すように、ファンケース5と給湯装置の外部へ通じる排気管7とを接続するための排気継手54を備える場合、排気継手54は、排気管7との接続箇所に開口部54aを有し、開口部54aは基準面200に垂直な方向から見たときに羽根61と重ならない位置に設けられていることが好ましい。これにより、排気管7からドレンや水分が滴下した場合でも、ファン6の羽根61に直接滴下することがないため、ドレンによる羽根61の劣化が抑制される。また、羽根61によってドレンが巻き上げられることなく、重力によって移動して、ドレンがファンケース内に滞留しにくくなる。
【0059】
ファン6の羽根61、ファンケース本体51、排気ボックス53、排気継手54および排気管7は、耐酸性を有する樹脂材料から構成されていることが好ましい。耐酸性を有する樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンニレンサルファイド(PPS)、シンジオタクティックポリスチレン(SPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリルスチレン(MS)樹脂、メタクリル樹脂、AS樹脂(スチレンアクリロニトリルコポリマー)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。このような材料を用いることで、ドレンとの接触による部品の劣化が抑制される。
【0060】
(ドレンタンク)
主に
図1を参照して、ドレンタンク8は、二次熱交換器4で生じたドレンを貯留するためのものである。ドレンタンク8に貯留された酸性のドレンは、例えば、ドレンタンク8の内部空間内に一時的に貯留された後に、通常はドレン排出用配管15から給湯装置1の外部に排出される。
【0061】
なお、ドレンタンク8の下部は、ドレン排出用配管15とは別にドレン抜き用配管16に接続されている。このドレン抜き用配管16(通常は閉じられている)は、メンテナンス時などにドレン抜き用配管16を開くことで、ドレン排出用配管15からは排出できないドレンタンク8内のドレンを排出することができるように設計されている。またドレンタンク8の内部空間内には、酸性のドレンを中和するための中和剤(図示せず)が充填されていてもよい。
【0062】
主に
図1を参照して、このドレンタンク8と二次熱交換器4のドレン排水口4aとはドレン排水管10により接続されている。
【0063】
(配管)
主に
図1を参照して、ガス供給配管11はバーナ22に接続されている。給水配管12は二次熱交換器4の伝熱管4b(
図2参照)に接続されており、出湯配管13は一次熱交換器3の伝熱管3a(
図2参照)に接続されている。また、一次熱交換器3の伝熱管3aと二次熱交換器4の伝熱管4bとは接続配管14により相互に接続されている。上記のガス供給配管11、給水配管12および出湯配管13の各々は、たとえば給湯装置1の上部において外部に通じている。
【0064】
また本実施形態では、上記のように排気吸引燃焼方式の給湯装置1が用いられているため排気管7の径が小さくなった場合でも、いわゆる排気押込み方式の給湯装置に対してバーナ22による燃焼動作を安定させることができる。以下、そのことについて説明する。
【0065】
いわゆる排気押込み方式の給湯装置においては、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、ファン、バーナ、一次熱交換器および二次熱交換器がこの順で配置されている。つまりバーナで生じた燃焼ガスがファンにより一次熱交換器および二次熱交換器を通って給湯装置の外部の排気管に流し込まれる。
【0066】
ファンから押し出された燃焼ガスは、排気管に到達する前に一次熱交換器および二次熱交換器による流路抵抗を受けるため、排気管直前における燃焼ガスの送風圧はこの流路抵抗分だけ低くなる。このため、径の小さい排気管内に燃焼ガスを押し込むためにはファンによる送風圧を高くする必要がある。しかしファンの送風圧を高くすると、バーナケース内の内圧が高くなる。このため、バーナに供給される燃料ガスの供給圧が低い場合、燃焼動作が安定しなくなる。
【0067】
これに対して本実施形態の排気吸引燃焼方式によれば、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、バーナ22、一次熱交換器3、二次熱交換器4およびファン6がこの順で配置されている。この方式ではファン6よりも上流側では、負圧となるため、ファン6の送風圧を高くする必要はない。これにより排気管7の径が小さくなった場合でもバーナケース内の内圧を低く維持できるため、バーナ22に供給される燃料ガスの供給圧が低くても燃焼動作を安定させることができる。
【0068】
[実施形態2]
実施形態2における給湯装置の構成について、
図4を用いて説明する。
【0069】
本実施形態の給湯装置は、実施形態1(
図3)のファンケース本体51、排気ボックス53および排気継手54が一体化構造体50(
図4)により形成されている点で、実施形態1と異なるが、それ以外の点は実施形態1と同様である。
【0070】
本実施形態では、ファンケース本体、排気ボックスおよび排気継手が一体化されていることにより、各部品を組み立てる作業が不要となり給湯装置を容易に製造することが可能となる。また、各部品を組み立てた場合に比べて、ドレンが外部に漏れることを防止できる利点がある。
【0071】
[実施形態3]
実施形態3における給湯装置の構成について、
図5を用いて説明する。
【0072】
図5に示す一体化構造体50は、底壁50eにより、排気管7から逆流してきたドレンおよび水分を回収するためのドレン回収室50fが設けられている点で、実施形態2と異なるが、それ以外の点は実施形態2と同様である。
【0073】
ドレン回収室50fの底壁50eは、上記基準面に対して底壁50aと反対方向に傾斜しており、給湯装置の設置状態における鉛直方向の最も下側の位置に排気ボックスに通じるドレン排出口50gを有することが好ましい。
【0074】
本実施形態では、ドレン回収室50fによって、排気管7からドレンや水分(雨水など)が滴下した場合でも、それらがファンケース内(ファン6側)へ移動することを防止できるため、ドレンによる羽根の劣化が抑制される。また、羽根によってドレンや水分が巻き上げられることなく、重力によって移動し(図の黒矢印)、ドレン排出口50gを通じて排気ボックスに移動するため、より一層ドレンがファンケース内に滞留しにくくなるという利点がある。
【0075】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。