特許第5884839号(P5884839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884839
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】カードコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/73 20110101AFI20160301BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   H01R12/73
   G06K7/00 021
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-3848(P2014-3848)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-133222(P2015-133222A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】江尻 孝一郎
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−097947(JP,A)
【文献】 特開平11−250197(JP,A)
【文献】 特開2009−129890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70 − 12/91
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に貫通する開口窓が形成されたハウジングと、前記ハウジングの一面部を覆うシールドカバーとを有し、前記ハウジングと前記シールドカバーとの間に、カード媒体が差し込まれるカード媒体収容部を形成し、
前記開口窓にカード媒体差し込み方向に配列されたコンタクト端子が組み込まれていて、前記コンタクト端子と電気的に接続された導体回路を有する基板が前記ハウジングの前記開口窓に対向するように配置されているカードコネクタであって、
前記コンタクト端子は、長手方向中間部に前記カード媒体収容部に差し込まれた前記カード媒体に接触する接点部と、前記ハウジングに固定された基端部と、前記カード媒体収容部に前記カード媒体を挿入すると前記基板によって支持される先端部とを有し、
前記ハウジングは、前記コンタクト端子の前記先端部を前記カード媒体収容部側から覆う保護部を有することを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記基板は金属箔部を有し、前記コンタクト端子の先端部が前記金属箔部に接触することを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記金属箔部は、前記コンタクト端子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記コンタクト端子の先端部の前方側に前記カード媒体収容部側に向けて窪む凹部を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカードコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機や情報端末機器等の電子機器に用いるカードコネクタにおいて、コネクタ端子の一端部をハウジングに固定し、コネクタ端子の他端部をハウジングに支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5に示すように、前述した従来のカードコネクタ101は、ハウジング110と、シールドカバー120と、コンタクト端子130とを含んで構成されている。
【0004】
シールドカバー120はハウジング110に装着され、ハウジング110とシールドカバー120との間に、カード媒体差し込み方向手前R側からカード媒体差し込み方向前方F側へ向けて、SDカード、MMCカード等の図示しないカード媒体が挿入されるカード媒体収容部111を形成している。
【0005】
ハウジング110は、樹脂材料により形成され、部材厚み方向に貫通する複数の開口窓112を有しており、各開口窓112にコンタクト端子130を組み込んでいる。また、ハウジング110は、下部にプリント回路板を構成する図示しない基板が装着されるようになっている。
【0006】
コンタクト端子130は、導電性に優れた金属で形成されたカード媒体差し込み方向に配列された薄板ばねであり、カード媒体厚み方向に弾性変形するようになっている。
【0007】
コンタクト端子130は、一端部をハウジング110に対して固定される固定端131とし、他端部をハウジング110に対してカード媒体差し込み方向への変位が許容される可動端132として、カード媒体差し込み方向中間部に上方へ向けて凸湾曲状に突出する接点部133を有している。
【0008】
コンタクト端子130の固定端131は、開口窓112の一端側に位置するようハウジング110に形成した溝113に圧入されている。また、コンタクト端子130の可動端132は、開口窓112の他端部に位置するようハウジング110に形成した上下に相対する肩部114と底壁部115との間の空隙に入り込んでいる。
【0009】
さらに、コンタクト端子130の接点部133は、カード媒体収容部111にカード媒体差し込み方向手前R側からカード媒体を挿入した際に、カード媒体の下面部の図示しないパッド部が接触するようになっている。
【0010】
このカードコネクタ101は、ハウジング110に形成した肩部114と底壁部115との間の空隙にコンタクト端子130の可動端132が入り込んでいるため、カード媒体収容部111にカード媒体を差し込むとき、あるはカード媒体収容部111からカード媒体を抜き取るときに、カード媒体にコンタクト端子130の可動端132が干渉することがなく、よって、コンタクト端子130に座屈等の損傷が発生しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−97947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来のカードコネクタ101は、ハウジング110に形成した肩部114と底壁部115とによってコンタクト端子130の可動端132を上下方向に挟んでいるため、ハウジング110においてコンタクト端子130の可動端132を支持する部分の厚みが大きくなり、カードコネクタ101の低背化が困難であった。
【0013】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ハウジングにおいてコンタクト端子を支持する部分の厚みを小さくし、低背化を達成できるカードコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るカードコネクタは、上記目的を達成するため、厚み方向に貫通する開口窓が形成されたハウジングと、前記ハウジングの一面部を覆うシールドカバーとを有し、前記ハウジングと前記シールドカバーとの間に、カード媒体が差し込まれるカード媒体収容部を形成し、前記開口窓にカード媒体差し込み方向に配列されたコンタクト端子が組み込まれていて、前記コンタクト端子と電気的に接続された導体回路を有する基板が前記ハウジングの前記開口窓に対向するように配置されているカードコネクタであって、前記コンタクト端子は、長手方向中間部に前記カード媒体収容部に差し込まれた前記カード媒体に接触する接点部と、前記ハウジングに固定された基端部と、前記カード媒体収容部に前記カード媒体を挿入すると前記基板によって支持される先端部とを有し、前記ハウジングは、前記コンタクト端子の前記先端部を前記カード媒体収容部側から覆う保護部を有する構成としている。
【0015】
この構成により、本発明に係るカードコネクタは、ハウジングの他面部に装着した基板によって、コンタクト端子の先端部を支持する。このため、本発明に係るカードコネクタは、ハウジングにおいてコンタクト端子を支持する部分の厚みが小さくなり、低背化を達成することができる。
【0016】
さらに、本発明に係るカードコネクタは、保護部がカード媒体収容部側からコンタクト端子の先端部を覆っているので、カード媒体収容部にカード媒体を差し込むとき、あるいはカード媒体収容部からカード媒体を抜き取るときに、コンタクト端子の先端部にカード媒体等が干渉しない。このため、本発明に係るカードコネクタは、コンタクト端子の損傷を防ぐことができる。
【0017】
また、上述した構成のカードコネクタにおいて、前記基板は金属箔部を有し、前記コンタクト端子の先端部が前記金属箔部に接触することが好ましい。
【0018】
この構成により、本発明に係るカードコネクタは、金属箔部によってコンタクト端子の先端部と基板との接触が回避される。このため、本発明に係るカードコネクタは、基板の損耗を防ぐことができる。
【0019】
また、上述した構成のカードコネクタにおいて、前記金属箔部は、前記コンタクト端子と電気的に接続されていることが好ましい。
【0020】
この構成により、本発明に係るカードコネクタは、金属箔部を導電回路として利用しつつ、基板の損耗を防ぐことができる。
【0021】
また、上述した構成のカードコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記コンタクト端子の先端部の前方側にカード媒体収容部側に向けて窪む凹部を形成した構成とすることが好ましい。
【0022】
この構成により、本発明に係るカードコネクタは、インサート成形によりハウジングとコンタクト端子とを一体化する際に、コンタクト端子の先端部の前方側に形成される凹部が、コンタクト端子の先端部に樹脂材料が回り込むのを防ぐ。このため、本発明に係るカードコネクタは、コンタクト端子の先端部とハウジングを形成する樹脂材料とが密着して剥がれなくなることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ハウジングにおいてコンタクト端子を支持する部分の厚みを小さくし、低背化を達成できるカードコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係るカードコネクタの斜視図である。
図2図1に示すカードコネクタのA−A断面図である。
図3図1におけるカードコネクタのハウジングを示す斜視図である。
図4】本実施の形態に係るカードコネクタにおける保護部の拡大断面図である。
図5】従来のカードコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係るカードコネクタについて、図面を参照して説明する。
【0026】
図1図2に示すように、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、樹脂製のハウジング10と、金属製のシールドカバー20と、コンタクト端子30,40とを備えている。
【0027】
図2図3に示すように、ハウジング10は、カード支持部11と、カード支持部11の上面一縁部に連なってカード媒体差し込み方向手前R側からカード媒体差し込み方向前方F側へ向けて延びる側壁部12と、カード支持部11の上面他縁部に連なって側壁部12と同方向に延びる側壁部13とを有しており、側壁部12,13の間に、図示しないカード媒体が挿入されるカード媒体収容部14を形成している。
【0028】
ハウジング10は、カード支持部11に厚み方向に貫通する複数の開口窓15、16を有している。開口窓15は、カード支持部11のカード媒体差し込み方向手前R側の部分に、3つがカード媒体幅方向に並んでいる。開口窓16は、カード支持部11のカード媒体差し込み方向前方F側の部分に、カード媒体幅方向に3つ並んでいる。
【0029】
図1に示すように、シールドカバー20は、カード支持部11のカード媒体収容部14を上側から部分的に覆うカード被覆部21と、カード被覆部21の一縁部に連なってカード支持部11の側壁部12に係合するハウジング係合部22と、カード被覆部21の他縁部に連なってカード支持部11の側壁部13に係合するハウジング係合部23とを有している。
【0030】
シールドカバー20は、カード被覆部21のカード媒体差し込み方向手前R側の部分に切欠き部24を有し、カード被覆部21のカード媒体差し込み方向前方F側の部分に切欠き部25を有している。
【0031】
図2に示すように、コンタクト端子30は、導電性に優れた金属で形成された薄板ばねであり、カード媒体差し込み方向に延び、長手方向中間部にシールドカバー20側へ向けて凸湾曲状に突出する接点部31を有し、ハウジング10の開口窓15に組み込まれている。
【0032】
コンタクト端子30においてカード媒体差し込み方向手前R側に位置する基端部32は、カード支持部11に固定されている。コンタクト端子30においてカード媒体差し込み方向前方F側に位置する先端部33は、カード支持部11に開口窓15の内方に向けて突出するように形成した支持部17の上面部に支持されている。
【0033】
図2に示すように、コンタクト端子40は、導電性に優れた金属で形成された薄板ばねであり、カード媒体差し込み方向に延び、長手方向中間部にシールドカバー20側へ向けて凸湾曲所に突出する接点部41を有し、ハウジング10の開口窓16に組み込まれている。
【0034】
コンタクト端子40においてカード媒体差し込み方向手前R側に位置する基端部42は、カード支持部11に固定されている。コンタクト端子40においてカード媒体差し込み方向前方F側に位置する先端部43は、カード支持部11に形成した保護部18によってカード媒体収容部14側から覆われている。
【0035】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、図2に示すように、カード支持部11の下面部に基板50を装着している。基板50は、コンタクト端子30,40が電気的に接続される図示しない導体回路と、コンタクト端子40の先端部43の下面部が接触する金属箔部51を有している。
【0036】
また、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、図4に示すように、カード支持部11においてコンタクト端子40の先端部43のカード媒体差し込み方向前方F側に位置する部分に、カード媒体収容部14側に向けて窪む凹部19を形成している。
【0037】
例えば、カード支持部11をインサート成形法により形成する際に、コンタクト端子40の先端部43および凹部19に相当する型を配置し、樹脂を注入した後に凹部19に相当する型を抜き取ることによって、図4に示す形状を形成することができる。
【0038】
次に、本実施の形態に係るカードコネクタ1の作用を説明する。
【0039】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、カード媒体収容部14にカード媒体を挿入すると、コンタクト端子30の接点部31にカード媒体のパッド部が接触し、接点部31が押し下げられてコンタクト端子30が弾性変形する。
【0040】
さらに、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、カード媒体収容部14にカード媒体を挿入すると、コンタクト端子40の接点部41にカード媒体のパッド部が接触し、接点部41が押し下げられて、コンタクト端子40の先端部43の下面部が基板50の金属箔部51に接触し、コンタクト端子40が弾性変形する。
【0041】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、ハウジング10を構成するカード支持部11の下面部に装着した基板50によって、コンタクト端子40の先端部43を支持するようになっている。このため、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、ハウジング10においてコンタクト端子40を支持する部分の厚みが小さくなり、低背化を達成することができる。
【0042】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、コンタクト端子40の先端部43をカード媒体収容部14側から覆う保護部18をカード支持部11に形成している。これにより、カード媒体収容部14にカード媒体を差し込むとき、あるはカード媒体収容部14からカード媒体を抜き取るときに、コンタクト端子40の先端部43にカード媒体や作業者の指先等が干渉しない。このため、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、コンタクト端子40に座屈、曲損等の損傷が発生するのを防ぐことができる。
【0043】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、基板50に設けた金属箔部51によって、コンタクト端子40の先端部43と基板50との接触を回避する。このため、本実施の形態にカードコネクタ1は、基板50の損耗を防ぐことができる。
【0044】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、ハウジング10を構成するカード支持部11においてコンタクト端子40の先端部43のカード媒体差し込み方向前方F側に位置する部分に形成した凹部19を設けているので、インサート成形によりハウジング10とコンタクト端子30,40とを一体化する際に、凹部19の位置に配置される型がコンタクト端子40の先端部43に樹脂材料が回り込むのを防ぐ。このため、本実施の形態に係るカードコネクタ1は、コンタクト端子40の先端部43とハウジング10を形成する樹脂材料とが密着して剥がれなくなることを防止できる。
【0045】
本実施の形態に係るカードコネクタ1は、コンタクト端子40の先端部43が、カード媒体差し込み方向に延びているが、その向きに代えて、先端部43は、カード媒体差し込み方向と直交する方向に延びるものであってもよい。
【0046】
なお、本発明に係るカードコネクタの技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した各構成要素の種々の変更を含むものである。
【0047】
以上のように、本発明に係るカードコネクタは、ハウジングにおいてコンタクト端子を支持する部分の厚みを小さくし、低背化を達成できるという効果を奏するもので、各種の基板アッセンブリ等に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1…カードコネクタ、10…ハウジング、14…カード媒体収容部、16…開口窓、18…保護部、19…凹部、20…シールドカバー、40…コンタクト端子、41…接点部、42…基端部、43…先端部、50…基板、51…金属箔部
図1
図2
図3
図4
図5