(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1羽根において、前記第1面から突き出した前記第1羽根部材の突き出し方向の高さに関し、前記高さが外周側から内周側に向けて直線的に大きくなる直線突出領域と、前記高さが外周側から内周側に向けて曲線的に大きくなる曲線突出領域とを有し、
前記曲線突出領域は前記直線突出領域よりも前記第1面の内周側に位置する、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の給湯装置。
前記第1面を前記回転軸の軸方向から見たときに、前記第1羽根部材は、前記第1面の外周側から内周側に向けて直線的に延在する直線延在領域と、前記第1面の外周側から内周側に向けて曲線的に延在する曲線延在領域とを有し、
前記曲線延在領域は前記直線延在領域よりも前記第1面の内周側に位置する、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の給湯装置。
燃焼ガスの潜熱を回収することで湯水を加熱可能な潜熱回収型の給湯装置であって、前記羽根車は耐酸性を有する樹脂材料から構成される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
<構成>
本発明の一実施の形態における給湯装置の構成について
図1〜
図9を用いて説明する。なお各図において、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0023】
主に
図1および
図2を参照して、本実施の形態の給湯装置100は、排気吸引燃焼方式の潜熱回収型の給湯装置である。この給湯装置100は、筐体1と、バーナ2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器4と、排気ボックス5と、ファン6と、排気管7と、ドレンタンク8と、配管9〜15とを主に有している。
【0024】
(バーナ)
バーナ2は、燃料ガスを燃焼させることにより燃焼ガスを生じさせるためのものである。バーナ2にはガス供給配管10が接続されている。このガス供給配管10はバーナ2に燃料ガスを供給するためのものである。このガス供給配管10には、たとえば電磁弁よりなるガス弁(図示せず)が取り付けられている。
【0025】
バーナ2の上方には点火プラグ2aが配置されている。この点火プラグ2aは、バーナ2に設けられたターゲット(図示せず)との間で点火スパークを生じさせることにより、バーナ2から噴き出された燃料空気混合気に火炎を生じさせるためのものである。バーナ2は、ガス供給配管10から供給された燃料ガスを燃焼することによって熱量を発生する(これを、燃焼動作という)。
【0026】
(熱交換器)
主に
図2を参照して、一次熱交換器3は顕熱回収型の熱交換器である。この一次熱交換器3は、複数の板状のフィン3bと、その複数の板状のフィン3bを貫通する伝熱管3aと、フィン3bおよび伝熱管3aを内部に収容するケース3cとを主に有している。一次熱交換器3は、バーナ2で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうものであり、具体的にはバーナ2の燃焼動作により発生した熱量によって一次熱交換器3の伝熱管3a内を流れる湯水を加熱するためのものである。
【0027】
また、主に
図2を参照して、二次熱交換器4は潜熱回収型の熱交換器である。この二次熱交換器4は、一次熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置し、一次熱交換器3と互いに直列に接続されている。このように本実施の形態の給湯装置100は潜熱回収型の二次熱交換器4を有しているため潜熱回収型の給湯装置となっている。
【0028】
二次熱交換器4は、ドレン排水口4aと、伝熱管4bと、側壁4cと、底壁4dと、上壁4gとを主に有している。伝熱管4bは、螺旋状に巻き回されることによって積層されている。側壁4c、底壁4dおよび上壁4gは、伝熱管4bの周囲を取り囲むように配置されている。
【0029】
二次熱交換器4においては、一次熱交換器3で熱交換された後の燃焼ガスとの熱交換によって伝熱管4b内を流れる湯水が予熱(加熱)される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。また二次熱交換器4で潜熱が回収されて燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮することによりドレンが発生する。
【0030】
底壁4dは一次熱交換器3と二次熱交換器4との間を区画するためのものであり、一次熱交換器3の上壁でもある。この底壁4dには開口部4eが設けられており、この開口部4eにより一次熱交換器3の伝熱管3aが配置された空間と二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間とが連通している。
図2の白矢印で示すように、開口部4eを通じて燃焼ガスは一次熱交換器3から二次熱交換器4へ流れることが可能である。この実施の形態では簡単化のために二次熱交換器4の底壁4dと一次熱交換器3の上壁とを共通のものとしたが、一次熱交換器3と二次熱交換器4の間に排気集合部材を接続してもよい。
【0031】
また上壁4gには開口部4hが設けられており、この開口部4hにより二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間と排気ボックス5の内部空間とが連通している。
図2の白矢印で示すように、開口部4hを通じて燃焼ガスは二次熱交換器4から排気ボックス5の内部空間内へ流れることが可能である。
【0032】
ドレン排水口4aは側壁4cまたは底壁4dに設けられている。このドレン排水口4aは、側壁4c、底壁4dおよび上壁4gによって取り囲まれた空間の最も低い位置(給湯装置の設置状態において鉛直方向の最も下側の位置)であって伝熱管4bの最下端部よりも下側に開口している。これにより二次熱交換器4で生じたドレンを、
図2において黒矢印で示すように底壁4dおよび側壁4cを伝ってドレン排水口4aに導くことが可能である。
【0033】
(排気ボックス)
主に
図2および
図3を参照して、排気ボックス5は二次熱交換器4とファン6との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス5により、二次熱交換器4で熱交換された後の燃焼ガスをファン6へ導くことが可能である。排気ボックス5は、二次熱交換器4に取り付けられており、二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。
【0034】
排気ボックス5は、ボックス本体5aと、ファン接続部5bとを主に有している。ボックス本体5aの内部空間は、二次熱交換器4の開口部4hを通じて二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された内部空間に連通している。ファン接続部5bは、ボックス本体5aの上部から突き出すように設けられている。このファン接続部5bはたとえば筒形状を有しており、その内部空間5baはボックス本体5aの内部空間と連通している。
【0035】
(ファン)
主に
図1および
図3を参照して、ファン6は、ファンケース61と、羽根車62と、駆動源63と、回転軸64とを主に有している。ファン6は、二次熱交換器4を経由した(二次熱交換器4で熱交換された)後の燃焼ガスを吸引して給湯装置100の外部へ排出するためのものであり、給湯装置100の外部に位置する排気管7に接続されている。
【0036】
このファン6は、排気ボックス5および二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置100においては、バーナ2で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、バーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4、排気ボックス5およびファン6の順で並んでいる。この配置において上記のとおりファン6で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施の形態の給湯装置100は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
【0037】
(ファンケース)
主に
図3を参照して、ファンケース61は、貫通孔61cが設けられた背面壁61aと、背面壁61aを囲む周壁61bとを主に有し、その内部空間61dに羽根車62を回転可能に収容する。なお、
図3において、背面壁61aと周壁61bとが異なる部材によって構成されるが、背面壁61aおよび周壁61bは一体形成されていてもよい。
【0038】
(羽根車)
主に
図3〜
図6を参照して、羽根車62はファンケース61内(背面壁61aの一方側)に収容される。羽根車62は、円盤状の主板62aと、第1羽根62bと、第2羽根62cと、第1面側シュラウド62dとを主に有している。主板62aは、第1面62aaおよび該第1面62aaの反対側に位置する第2面62abとを有しており、第1面62aa上には第1羽根62bが設けられており、第2面62ab上には第2羽根62cが設けられている。また、第1面側シュラウド62dは第1羽根62bの全体を覆うように設けられており、その中央部分には開口部62ddが開口している。
【0039】
主に
図6および
図7を参照し、第1羽根62bは、第1面62aaの内周側から外周側に向けて延在するとともに第1面62aaから突き出すように形成された複数の第1羽根部材62bbからなる。各第1羽根部材62bbはそれぞれ個別に第1面62aa上に設けられており、互いに接することはない。
【0040】
第1面62aaから突き出した第1羽根部材62bbの高さに関し、高さが外周側から内周側に向けて直線的に大きくなる直線突出領域(
図6中のA領域)と、高さが外周側から内周側に向けて曲線的に大きくなる曲線突出領域(
図6中のB領域)とを有する。第1面62aaにおいて、曲線突出領域は直線突出領域よりも内周側に位置する。また、第1面62aaを回転軸64の軸方向(
図3の一点鎖線で示すA軸)から見たときに、第1羽根部材62bbは、第1面62aaの外周側から内周側に向けて直線的に延在する直線延在領域(
図7中のC領域)と、第1面62aaの外周側から内周側に向けて曲線的に延在する曲線延在領域(
図7中のD領域)とを有する。曲線延在領域は直線延在領域よりも内周側に位置する。
【0041】
なお、本明細書において主板の内周側から外周側に向けて延在する第1羽根部材62bbの両端部間の距離(第1羽根部材62bbと第1面62aaとが当接することにより現れる線に沿った距離)を第1羽根部材62bbの「長さ」とする。また、第1面62aaから突き出す方向における第1羽根部材62bbの距離(第1羽根部材62bbの第1面62aaと当接する位置から当該位置の軸方向において第1面62aaから最も離れて位置する第1羽根部材62bbとの距離)を第1羽根部材62bbの「高さ」とする。第2羽根部材62ccについても同様である。
【0042】
第1面62aaの垂線方向に関し、各第1羽根部材62bbの一方の端部の各々は第1面62aaと当接しており、第1羽根部材62bbの他方の端部の各々は第1面側シュラウド62dによって一体的に覆われている。なお、一般的に「シュラウド」の形状は、羽根と羽根との間を通る気体の流れの妨げとならないように、覆う羽根の高さに沿うように形成される。したがって、本実施の形態の給湯装置100においては、第1面側シュラウド62dは、第1羽根部材62bbの高さの変化に沿うように、傾斜に絞りの入った円錐台形状を有する。
【0043】
主に
図6および
図8を参照して、第2羽根62cは、第2面62abの内周側から外周側に向けて延在するとともに第2面62abから突き出すように形成された複数の第2羽根部材62ccからなる。各第2羽根部材62ccはそれぞれ個別に第1面62cc上に設けられており、互いに接することはない。本実施の形態の給湯装置100において、第2羽根部材62ccの高さは一定である。
【0044】
図3を参照し、羽根車62は、第1面62aaが背面壁61aとは反対側であるファン接続部5b側に位置するようにファンケース61内(背面壁61aの一方側)に配置される。また、
図3に示すように、第1面側シュラウド62dの開口部62ddが内部空間5baと向かい合うように配置される。
【0045】
上記構成により、第1羽根62bの送風能力により、
図3の白矢印で示すように排気ボックス5のボックス本体5aからファン接続部5bを通じてファンケース61内に燃焼ガスを吸引することが可能である。すなわち、本実施の形態の給湯装置100において、羽根車62の回転により、排気ボックス5内の燃焼ガスは羽根車62の第1面62aaの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。
【0046】
一方、第2面62abは背面壁61a側に位置するように配置されており、第2面62ab上の第2羽根62cは、第2面62abの内周側から外周側の全体に亘って、背面壁61aと他の部材を介在することなく向かい合う。
【0047】
ここで、第2羽根62cと背面壁61aとが「第2面62abの内周側から外周側の全体に亘って、他の部材を介在することなく向かい合う」構成について
図9を用いて説明する。
図9を参照して、羽根車62と背面壁61aとの隙間65cは、互いに隣り合う2つの第2羽根部材62ccの向かい合う2つの面と、その2つの面の間に位置する第2面62abとによって囲まれる空間領域65ca(
図9中斜線で示す領域)を有する。
【0048】
第2羽根62cと背面壁61aとが「第2面62abの内周側から外周側の全体に亘って、他の部材を介在することなく向かい合う」とは、背面壁61a側から第2面62abを見下ろした場合に、複数の空間領域65caの第2面62abの内周側から外周側の全体に亘る全てが目視可能であることを意味する。
【0049】
このため、背面壁61aと第2面62abとの間の空間(隙間65c)全体に対して第2羽根62cの送風能力が及ぶ。また、この隙間65cは、回転軸64と背面壁61aとの間の隙間65bと連接している。なお、隙間65bは、駆動源63と背面壁61aとの隙間65aと連接している。
【0050】
上記構成により、第2羽根62cの送風能力により、
図3の黒矢印で示すようにファン6の外部から隙間65bを通じてファンケース61内に空気を吸引することが可能である。すなわち、本実施の形態の給湯装置100において、羽根車62の回転により、ファン6の外部の空気は隙間65bを通じて羽根車62の第2面62abの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。
【0051】
(駆動源)
主に
図1および
図3を参照して、駆動源63は、ファンケース61の外部(背面壁61aの他方側)に設けられている。本実施の形態の給湯装置100において、駆動源63と背面壁61aとの間の隙間65aが隙間65bと連通する。なお、ファンケース61と駆動源63との間には必ずしも隙間65cが設けられる必要はなく、隙間65bがファン6の外部と連通するように構成されていればよい。
【0052】
回転軸64は、ファンケース61の貫通孔61cを貫通することにより、ファンケース61内に収容される羽根車62と、ファンケース61の外部に設けられる駆動源63とを連結する。これにより、羽根車62は駆動源63から駆動力を与えられることにより回転軸64を中心として回転可能である。
【0053】
(排気管)
主に
図1を参照して、排気管7は給湯装置100の外部に配置されており、かつファンケース61の外周側に接続されている。このため、羽根車62の第1羽根62bによって外周側へ排出された燃焼ガスを、排気管7を通じて給湯装置100の外部へ排出することが可能である。
【0054】
(ドレンタンク)
主に
図1を参照して、ドレンタンク8は、二次熱交換器4で生じたドレンを貯留するためのものであり、このドレンタンク8と二次熱交換器4のドレン排水口4aとはドレン排出管9により接続されている。ドレンタンク8に貯留された酸性のドレンは、例えば、ドレンタンク8の内部空間内に一時的に貯留された後に、通常はドレン排出用配管14から給湯装置1の外部に排出される。
【0055】
なお、ドレンタンク8の下部は、ドレン排出用配管14とは別にドレン抜き用配管15に接続されている。このドレン抜き用配管15(通常は閉じられている)は、メンテナンス時などにドレン抜き用配管15を開くことで、ドレン排出用配管14からは排出できないドレンタンク8内のドレンを排出することができるように設計されている。またドレンタンク8の内部空間内には、酸性のドレンを中和するための中和剤(図示せず)が充填されていてもよい。
【0056】
(配管)
主に
図1を参照して、ガス供給配管10はバーナ2に接続されている。給水配管11は二次熱交換器4の伝熱管4b(
図2参照)に接続されており、出湯配管12は一次熱交換器3の伝熱管3a(
図2参照)に接続されている。また、一次熱交換器3の伝熱管3aと二次熱交換器4の伝熱管4bとは接続配管13により相互に接続されている。上記のガス供給配管10、給水配管11および出湯配管12の各々は、たとえば給湯装置100の上部において外部に通じている。
【0057】
<効果>
本実施の形態の給湯装置の作用効果について説明する。
【0058】
本実施の形態の給湯装置100においては、上述のように、第1羽根62bの送風能力により、排気ボックス5内の燃焼ガスは羽根車62の第1面62aaの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。さらに、本実施の形態の給湯装置100においては、第2羽根62cの送風能力により、ファン6の外部の空気は隙間65bを通じて羽根車62の第2面62abの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。
【0059】
また、第2羽根62cの送風能力により、背面壁61aと羽根車62との間の隙間65cには、第2面62abの外周側から内周側に向かう気体の流れに対向する抵抗圧が生じる。したがって、本発明の給湯装置によれば、回転軸64とファンケース62との隙間65bから外部の空気を流入させることができるとともに、ファンケース内から外部に燃焼ガスが流出しようとする流れ(逆流)に対する抵抗圧を有することができる。したがって、本発明の給湯装置によれば、燃焼ガスの逆流を抑制しつつ、空気の流入によるファンの冷却を可能とすることができる。
【0060】
ここで、たとえば、羽根車62が第2羽根62cを有さず、故に隙間65cが、単に背面壁61aおよび主板62aの第2面62abによって挟まれるに過ぎない場合には、この隙間65cには送風能力が及ばない。このため、ファン6の外部の空気を隙間65a〜65cに通らせて第2面62abの外周側に排出することは難しい。さらに、排気管7の閉塞等により、ファンケース6内の圧力が高くなった場合、排気ボックス5からファンケース6内に吸引された燃焼ガスは、隙間65bを通って容易に外部に流出してしまう。
【0061】
また本実施の形態では、上記のように排気吸引燃焼方式の給湯装置100が用いられているため排気管7の径が小さくなった場合でも、いわゆる排気押込み方式の給湯装置に対してバーナ2による燃焼動作を安定させることができる。以下、そのことについて説明する。
【0062】
いわゆる排気押込み方式の給湯装置においては、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、ファン、バーナ、一次熱交換器および二次熱交換器がこの順で配置されている。つまりバーナで生じた燃焼ガスがファンにより一次熱交換器および二次熱交換器を通って給湯装置の外部の排気管に流し込まれる。
【0063】
ファンから押し出された燃焼ガスは、排気管に到達する前に一次熱交換器および二次熱交換器による流路抵抗を受けるため、排気管直前における燃焼ガスの送風圧はこの流路抵抗分だけ低くなる。このため、径の小さい排気管内に燃焼ガスを押し込むためにはファンによる送風圧を高くする必要がある。しかしファンの送風圧を高くすると、バーナケース内の内圧が高くなる。このため、バーナに供給される燃料ガスの供給圧が低い場合、燃焼動作が安定しなくなる。
【0064】
これに対して本実施の形態の排気吸引燃焼方式によれば、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、バーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4およびファン6がこの順で配置されている。この方式ではファン6よりも上流側では、負圧となるため、ファン6の送風圧を高くする必要はない。これにより排気管7の径が小さくなった場合でもバーナケース内の内圧を低く維持できるため、バーナ2に供給される燃料ガスの供給圧が低くても燃焼動作を安定させることができる。
【0065】
また、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第1羽根62bは開口部62ddを有する第1面側シュラウド62dによって覆われている。これにより、第1羽根62bは第1面側シュラウド62dがない場合と比して送風能力を向上させることができる。
【0066】
また、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第2羽根62cの高さは、主板62aの直径の5%以下であることが好ましい。これにより、第2羽根62cの送風能力を適切に制御することができるため、過剰に外部の空気を吸引することを抑制することができる。なお、過剰に空気を吸引した場合、振動燃焼が引き起こされる傾向がある。第2羽根62cの高さは、より好ましくは主板62aの直径の4%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
【0067】
また、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第2羽根62cと背面壁61aとの距離は、第2羽根62cの高さ以下であることが好ましい。これにより、第2羽根62cによる送風能力を隙間65cの全体に十分に及ぼすことができる。当該距離は、より好ましくは第2羽根62cの高さの半分以下である。
【0068】
また
図4を参照して、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、主板62aを軸方向から見たときに、第2羽根部材62ccの各々は、隣り合う第1羽根部材62bbの間に位置する。これにより、第1羽根62bbの回転により発生する音と、第2羽根62ccの回転により発生する音との共振を抑制することができ、もってファン6の発生する音の大きさを抑制することができる。
【0069】
また、
図7および
図8を参照して、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第1羽根部材62bbの数と第2羽根部材62ccの数とは同じであるが、これに限られない。ただし、羽根車62の円周方向における送風能力の均一性の観点から、第2羽根部材62ccの数は第1羽根部材62bbの約数であることが好ましい。
【0070】
また本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第1羽根部材62bbの長さと第2羽根部材62ccの長さとは同一である。これにより、特に、効果的に燃焼ガスの逆流を抑制することができる。本発明者らはこの理由を次のように考察する。
【0071】
第1羽根部材62bbの半径方向の長さと第2羽根部材62ccの長さとが同一である場合、第1羽根62bの抵抗圧(第1面62aa側を外周側から内周側に向けて流れようとする力に抵抗する圧力)と第2羽根62cの抵抗圧(第2面62ab上を外周側から内周側に向けて流れようとする力に抵抗する圧力)とが同程度となる。これはすなわち、第1羽根62bによって吸引される燃焼ガスの送風圧と第2羽根62cによって吸引される空気の送風圧とが同等であることを意味する。このように両送風圧のバランスがとれている状態であれば、仮にファンケース6内の圧力が特に高くなったとしても、バランスが一方側に傾いて第2羽根62c側のみで逆流が生じるような事態は生じ難い。なお、第1羽根62bの長さと第2羽根62cの長さとは同一であることが特に好ましいが、第1羽根62bの長さが第2羽根62cの長さの半分以上であれば、効果的な逆流の抑制が可能となる。
【0072】
また本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第2羽根部材62ccの高さは第1羽根部材62bbの高さ以下である。これにより、第1羽根62bの送風能力によってファンケース61内に流入される燃焼ガスの流量と比して、第2羽根62cの送風能力によってファンケース61内に流入される空気の流量を抑えることができる。仮に、第2羽根62cの送風能力を過剰に高めた場合、過剰に流入する空気が燃焼ガスの流れに影響を及ぼすことが懸念されるが、上記給湯装置100によればこれを効果的に抑制することができる。したがって、上記給湯装置100は、燃焼ガスの引張能力と冷却能力のバランスに優れる。より好ましくは、第2羽根62cの高さは第1羽根62bの高さの半分以下である。
【0073】
なお、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第2羽根部材62ccの高さは外周側から内周側に向けて一定であるが、第2羽根部材62ccの高さはこれに限定されない。たとえば、第2羽根62cによる送風能力を隙間65cの全体に十分に及ぼすという観点からは、第2羽根部材62ccと背面壁61aとの隙間をより小さくすべく、背面壁61aの形状に沿うように、第2羽根部材62ccの高さを変化させることが好ましい。
【0074】
また、
図6を参照して、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第1羽根部材62bbが直線突出領域(
図6中のA領域)と曲線突出領域(
図6中のB領域)とを有することにより、第1羽根62bの送風能力が向上する。その理由について、
図10を用いながら以下に説明する。
【0075】
図10(a)〜(d)において、Xは第1面62aaの中心点を意味しており、白矢印は主板62aの回転方向を、黒矢印の向きは気体の流れる方向を、矢印の長さは気体の流速の大きさを模式的に示している。
図10(a)〜(d)を参照して、羽根車62による燃焼ガスの吸引が行われている場合、隣り合う第1羽根部材62bb間の第1面62aa上には、
図10(a)において矢印で示す循環流れと、
図10(b)において矢印で示す子午面流れとが発生している。このため、第1面62aa上には、循環流れと子午面流れとが合成された、速度分布を持った流れが生じることになる。
【0076】
ここで、循環流れに対して子午面流れが十分に大きい場合には、
図10(c)の矢印で示すような、第1面62aaの内周側から外周側に向かう、速度分布を持った流れが生じるため、第1羽根62bは高い送風能力を有することができる。しかし、循環流れに対して子午面流れが小さい場合には、
図10(d)の矢印で示すような、第1面62aaの外周側から内周側に向かう流れを含むような、速度分布を持った流れが生じる。
図10(d)に示すような流れの場合、第1羽根62bの送風能力は低下したり、不安定になったりする。
【0077】
図6に戻り、第1羽根部材62bbがA領域およびB領域を有することにより、第1面62aa、隣り合う第1羽根部材62bbおよび第1面側シュラウド62dにより囲まれる気体流路は、吸引側(内周側)で最も大きく、吸引側がら排出側(外周側)に向かうに連れて、急激(曲線的)に狭くなった後にさらに直線的に狭くなるように構成される。
【0078】
上記のような気体流路の構成によれば、気体流路の吸引側の面積は十分に広いため、各気体流路に流入する際の燃焼ガスに加わる抵抗を抑えることができる。また、外周側に向かうに連れて気体流路の面積は急激に減少するため、気体流路内を流れる燃焼ガスの流速は急激に高められる。さらに、気体流路が直線的に狭くなる領域は比較的長く連続するため、燃焼ガスの流速はより効果的に高められ、排出する際の燃焼ガスの速度は流入する際の速度と比して十分高くなる。
【0079】
したがって、第1羽根部材62bbが直線突出領域と曲線突出領域とを有することにより、気体流路内に生じる子午面流れの速度を十分に高めることができるため、循環流れが大きいことに起因する逆流の発生を効果的に抑制することができる。これにより、第1羽根62bの送風能力が向上するとともに安定化するため、もってファンの送風能力が向上する。
【0080】
また、
図7を参照して、本実施の形態の給湯装置100の羽根車62において、第1面62aaを軸方向から見たときに、第1羽根部材62bbは、第1面62aaの外周側から内周側に向けて直線的に延在する直線延在領域(
図7中のC領域)と、第1面62aaの外周側から内周側に向けて曲線的に延在する曲線延在領域(
図7中のD領域)とを有する。これにより、隣り合う第1羽根部材62bbの間の流路に関し、吸引側(内周側)では主板62aの回転方向に曲がるように形成され、排出側(外周側)では直線状の流路が形成される。なお、曲線延在領域の曲がる方向は、主板62aの回転方向(
図7中白矢印)と同じ方向である。
【0081】
上記構成によれば、回転する羽根車62に対し、流路の入り口がその回転方向に曲がっているため、より効率的に流路内に燃焼ガスを流入させることができる。また、流路を流れる燃焼ガス対して遠心力が加わり易い排出側では流路の方向と遠心力の方向とをより近似させることができるため、排出側に向かう燃焼ガスは遠心力により効率的に加速される。したがって、結果的にファンの送風能力が向上する。
【0082】
また、本実施の形態の給湯装置100は潜熱を回収することで湯水を加熱可能な潜熱回収型の給湯装置であり、羽根車62は耐酸性を有する樹脂材料から構成されることが好ましい。これにより、羽根車62は酸性のドレンに対して耐性を有することができる。また、ファンケース61、排気ボックス5、排気管7についても同様の理由により、耐酸性を有する樹脂材料からなることが好ましい。また、羽根車62は、耐酸性のステンレスから構成されてもよい。
【0083】
耐酸性を有する樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンニレンサルファイド(PPS)、シンジオタクティックポリスチレン(SPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリルスチレン(MS)樹脂、メタクリル樹脂、AS樹脂(スチレンアクリロニトリルコポリマー)、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0084】
[第2の実施の形態]
<構成>
本発明の他の実施の形態における給湯装置の構成について
図10を用いて説明する。なお、本実施の形態に係る給湯装置に関し、羽根車の構成以外の構成については第1の実施の形態の給湯装置100と同様であるため、以下、羽根車の構成について説明する。
【0085】
図11および
図12を参照して、羽根車620は、円盤状の主板620aと、第1羽根620bと、第2羽根620cと、第1面側シュラウド620dと、第2面側シュラウド620eとを主に有している。主板620aは、第1面620aaおよび該第1面620aaの反対側に位置する第2面620abとを有しており、第1面620aa上には第1羽根610bが設けられており、第2面620abには第2羽根610cが設けられている。第1面側シュラウド620dは第1羽根620bの全体を覆うように設けられており、その中央部分には開口部(不図示)が開口している。また、第2面側シュラウド620eは第2羽根620cの一部を覆うように設けられている。
【0086】
主板620a、第1羽根620b、第2羽根620c、第1面側シュラウド620dの各構成は第1の実施の形態に係る主板62a、第1羽根62b、第2羽根62c、第1面側シュラウド62dと同様の構成である。すなわち、本実施の形態に関し、羽根車620は第2面側シュラウド620eを有する点でのみ、上述の第1の実施の形態に係る羽根車62と相違する。
【0087】
第2羽根部材620cc(第2羽根620c)の外周端部620ccaは、第2面側シュラウド620eの外周端部620eaよりも第2面620abの外周側に延在している。また、第2羽根部材620cc(第2羽根620c)の内周端部620ccbは、第2面側シュラウド620eの内周端部620ebよりも第2面620abの内周側に延在している。すなわち、ファンケース6内において、第2羽根620cを構成する第2羽根部材620ccは、ファンケース6の背面壁61aと他の部材(第2面側シュラウド620e)を介在して向かい合う中央部分と、背面壁61aと他の部材を介在することなく向かい合う外周端部620ccaおよび内周端部620ccbとを有する。
【0088】
<効果>
本実施の形態の給湯装置の作用効果について説明する。
【0089】
本実施の形態の給湯装置においては、第1羽根620bの送風能力により、排気ボックス5内の燃焼ガスは羽根車620の第1面620aaの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。この理由は、第1の実施の形態の給湯装置と同様である。
【0090】
さらに、本実施の形態の給湯装置においては、第2羽根620cの送風能力により、ファンの外部の空気は回転軸64とファンケース6との隙間65bおよび第2面620abと背面壁61aとの隙間65bを通じて、羽根車620の第2面620abの内周側から吸引されてその外周側へ排出される。この理由は以下の通りである。
【0091】
たとえば、第2羽根620cの全体が第2面側シュラウド620eにより覆われている場合、第2面620ab、第2羽根部材620ccおよび第2面側シュラウド620eによって囲まれる気体流路に対しては、第2羽根620cの送風能力を及ぼすことができる。しかしながら、羽根車620と背面壁61aとの隙間、換言すれば第2面側シュラウド620eと背面壁61aとの隙間には第2羽根620cの送風能力が及ばない。故に、羽根車620と背面壁61aの隙間には逆流に対する抵抗圧が生じないために、燃焼ガスの逆流を抑制することができない。
【0092】
これに対し、本実施の形態の給湯装置の羽根車620において、第2羽根部材620cc(第2羽根620c)の外周端部620ccaは、第2面側シュラウド620eの外周端部620eaよりも第2面620abの外周側に延在している。この場合、第2面620ab、第2羽根部材620ccおよび第2面側シュラウド620eによって囲まれる気体流路から排出される空気の送風圧が、背面壁61aと羽根車620との隙間から流入しようとする燃焼ガスに及ぶことができる。
【0093】
つまり、第2羽根部材620ccの外周端部620cca側から内周端部620ccb側に向かって燃焼ガスを送り出す圧力が生じた場合に、少なくとも、外周端部620ccaと背面壁61aとが他の部材(第2面側シュラウド620e)を介在することなく向かい合うことにより、外周端部620ccaから流入しようとする燃焼ガスに対して、第2羽根620cによる送風能力を及ぼすことができる。したがって、本発明の給湯装置によれば、燃焼ガスの逆流を抑制しつつ、空気の流入によるファンの冷却を可能とすることができる。
【0094】
また、本実施の形態の給湯装置の羽根車620において、第2羽根部材620ccの長さをLとした場合に、第2面側シュラウド620eによって覆われない外周端部620ccaの長さは、Lの1/4以上が好ましい。この場合、第2面620ab、第2羽根部材620ccおよび第2面側シュラウド620eによって囲まれる気体流路から排出される空気の送風圧が、背面壁61aと羽根車620との隙間から流入しようとする燃焼ガスに十分に及ぶことができるため、効果的に逆流を抑制することができる。また、上記長さはより好ましくはLの1/3以上であり、さらに好ましくはLの1/2以上である。
【0095】
なお、本実施の形態の給湯装置の羽根車620において、第2羽根部材620ccの内周端部620ccbは、第2面側シュラウド620eの内周端部620ebよりも第2面620abの内周側に延在しているが、内周端部620eb側の構成はこれに限定されない。たとえば、第2羽根部材620ccの内周端側の全てを第2面側シュラウド620eで覆うように構成してもよい。
【0096】
本実施の形態の給湯装置において、羽根車620の他の形態による効果(たとえば、第1面側シュラウド620dを有することによる効果、第1羽根部材620bbと第2羽根部材620ccの長さが同一であることによる効果など)は、第1の実施の形態と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。