(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気調和装置(10)の冷媒回路(5)における冷媒の流路を電気制御で切り換える流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と、該流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を収納するユニットケース(33)とを備え、
上記ユニットケース(33)が、一面の開放されたケース本体(34)と、該ケース本体(34)の一面に取り外し可能に装着されかつ上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を制御する電装部品(36)が収納された電装品ボックス(35)とを備えた冷媒流路切換ユニットであって、
上記電装品ボックス(35)は、上記ケース本体(34)の一面全体を閉鎖する第1位置と、上記ユニットケース(33)の一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成される第2位置とで上記ケース本体(34)に装着可能であり、
上記電装品ボックス(35)を上記ケース本体(34)に第1位置で取り付けるための締結部材(53)と、該電装品ボックス(35)を該ケース本体(34)に第2位置で仮止めするための仮止め機構(54)とを有し、
上記電装品ボックス(35)の第2位置が上記第1位置よりも下方の位置であり、
上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)がコイル(60)を備えた電動調整弁(EV1,EV2,EV3)または電磁開閉弁であり、該コイル(60)が、上記電装品ボックス(35)を上記ケース本体(34)に第2位置で仮止めしたときに上記ユニットケース(33)の上部に形成されるメンテナンス開口(39)に対応するように、該ユニットケース(33)内の上部に配置されている
ことを特徴とする冷媒流路切換ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、流路切換弁のメンテナンスをする場合、従来は一般に、流路切換弁と電装品ボックスとに接続されている電気配線(内部配線)を外して、ユニットケースのケース本体から電装品ボックスやケーシングのカバーを取り外し、取り外したこれらの部品をユニットケースの近くで邪魔にならないところに置いたうえで、メンテナンス作業が行われている。
【0006】
しかしながら、電気配線を外してから電装品ボックスやケーシングのカバーを取り外したうえで、ユニットケースの中の流路切換弁のメンテナンスをするのは工数が多くて作業が容易ではないから、作業を容易に行えるようにすることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケース本体に電装品ボックスを装着することで構成されたユニットケースの中に流路切換弁が収納された冷媒流路切換ユニットにおいて、流路切換弁のメンテナンス作業を容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、空気調和装置(10)の冷媒回路(5)における冷媒の流路を電気制御で切り換える流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と、該流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を収納するユニットケース(33)とを備え、上記ユニットケース(33)が、一面の開放されたケース本体(34)と、該ケース本体(34)の一面に取り外し可能に装着されかつ上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を制御する電装部品(36)が収納された電装品ボックス(35)とを備えた冷媒流路切換ユニットを前提としている。
【0009】
そして、この冷媒流路切換ユニットは、上記電装品ボックス(35)が、上記ケース本体(34)の一面全体を閉鎖する第1位置と、上記ユニットケース(33)の一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成される第2位置とで上記ケース本体(34)に装着可能であり、上記電装品ボックス(35)を上記ケース本体(34)に第1位置で取り付けるための締結部材(53)と、該電装品ボックス(35)を該ケース本体(34)に第2位置で仮止めするための仮止め機構(54)とを有して
いる。
【0010】
この第1の発明では、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に対して第1位置で取り付けると、ケース本体(34)の一面全体が閉鎖され、ユニットケース(33)の内部に収納された流路切換弁(EV1,EV2,EV3)は、ユニットケース(33)に全面が覆われた状態になる。一方、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に対して第2位置で取り付けると、ユニットケース(33)には一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成される。
【0011】
また、第1の発明は、上記電装品ボックス(35)の第2位置が上記第1位置よりも下方の位置であり、上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)がコイル(60)を備えた電動調整弁(EV1,EV2,EV3)または電磁開閉弁であり、該コイル(60)が、上記電装品ボックス(35)を上記ケース本体(34)に第2位置で仮止めしたときに上記ユニットケース(33)の上部に形成されるメンテナンス用開口(39)に対応するように、該ユニットケース(33)内の上部に配置されて
いる。
【0012】
この
第1の発明では、電装品ボックス(35)を第1位置よりも下方の第2位置でケース本体(34)に仮止めすることにより、ユニットケース(33)の上部にメンテナンス用開口(39)が形成される。また、ユニットケース(33)内の上部には、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のコイル(60)が配置され、メンテナンス用開口(39)に対応するように位置する。
【0013】
第2の発明は、空気調和装置(10)の冷媒回路(5)における冷媒の流路を電気制御で切り換える流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と、該流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を収納するユニットケース(33)とを備え、上記ユニットケース(33)が、一面の開放されたケース本体(34)と、該ケース本体(34)の一面に取り外し可能に装着されかつ上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を制御する電装部品(36)が収納された電装品ボックス(35)とを備えた冷媒流路切換ユニットを前提としている。
【0014】
そして、この冷媒流路切換ユニットは、上記電装品ボックス(35)が、上記ケース本体(34)の一面全体を閉鎖する第1位置と、上記ユニットケース(33)の一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成される第2位置とで上記ケース本体(34)に装着可能であり、上記電装品ボックス(35)を上記ケース本体(34)に第1位置で取り付けるための締結部材(53)と、該電装品ボックス(35)を該ケース本体(34)に第2位置で仮止めするための仮止め機構(54)とを有している。
【0015】
さらに、第2の発明は、上記電装品ボックス(35)の第2位置が上記第1位置よりも下方の位置であり、上記電装品ボックス(35)には、上記電装品ボックス(35)の電装部品(36)と上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)を上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)よりも上方の位置に留めるための配線留め部(38)が設けられている。
【0016】
この第2の発明では、電装品ボックス(35)を第1位置から下方の第2位置へ移動すると、内部配線(16)を上部で留めた配線留め部(38)も下方へ移動する。このことにより、内部配線(16)の撓みが第1位置よりも大きくなり、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)を取り外さずに、電装品ボックス(35)を第1位置から第2位置へ、あるいは第2位置から第1位置へ容易に変更することができる。
【0017】
第3の発明は、
第1または第2の発明において、上記電装品ボックス(35)には、上記電装品ボックス(35)の電装部品(36)と上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)を上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)よりも上方の位置に留めるための配線留め部(38)が設けられ、上記内部配線(16)は、上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と上記配線留め部(38)との間の部分の実寸が、該流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と該配線留め部(38)との間の直線距離よりも長く、その実寸部分の長さを余らせた状態で配線留め部(38)に留められていることを特徴としている。
【0018】
第4の発明は、第2の発明において、上記内部配線(16)は、上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と上記配線留め部(38)との間の部分の実寸が、該流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と該配線留め部(38)との間の直線距離よりも長く、その実寸部分の長さを余らせた状態で配線留め部(38)に留められていることを特徴としている。
【0019】
この第3
,第4の発明では、電装品ボックス(35)の電装部品(36)と上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)が、
図3に示すように流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と上記配線留め部(38)との間に実寸部分を余らせた状態になっているので、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに、
図4に示すように上記実寸部分に余裕ができる状態になる。したがって、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)を取り外さずに、電装品ボックス(35)を第1位置から第2位置へ、あるいは第2位置から第1位置へ容易に変更することが
できる。
【0020】
第5の発明は、第1から第4の発明の何れか1つにおいて、上記仮止め機構(54)が、上記電装品ボックス(35)に設けられた爪部(55)と、該爪部(55)が係合するように上記ユニットケース(33)の上記一面を構成する部材(34a)に形成された穴部または切欠部(56)とを備えていることを特徴としている。
【0021】
この第5の発明では、電装品ボックス(35)に設けられた爪部(55)を、ユニットケース(33)側の部材(34a)に形成された穴部または切欠部(56)に引っ掛けて係合させることにより、電装品ボックス(35)をユニットケース(33)に第2位置で仮止めできる。
【0022】
第6の発明は、第1から第5の発明の何れか1つにおいて、上記ユニットケース(33)が、上記ケース本体(34)の底面に形成されたドレン開口(57)と、該ケース本体(34)の底面に取り外し可能に装着されかつ該ケース本体(34)に装着した状態で該ドレン開口(57)を覆うドレンパン(58)とを備えていることを特徴としている。
【0023】
ここで、流路切換ユニットの中に設けられている配管に結露が生じると、その結露水が落下することでユニットケース(33)内にドレン水が溜まることがあるのに対して、この第6の発明では、ユニットケース(33)の底面のドレンパン(58)を外すことにより、ドレン水を処理することが可能になる。
【0024】
第7の発明は、第1から第6の発明の何れか1つにおいて、上記ユニットケース(33)には複数の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)が収納され、上記複数の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)は、複数の室内熱交換器の一部で冷房運転を行うと同時に他の一部で暖房運転を行う冷暖混在運転が可能な冷媒回路(5)を備えた空気調和装置(10)の複数の冷媒流路切換弁(EV1,EV2,EV3)であることを特徴としている。
【0025】
この第7の発明では、ユニットケース(33)の電装品ボックス(35)を第2位置にすることにより、冷暖混在運転が可能な冷媒回路(5)を備えた空気調和装置(10)の複数の冷媒流路切換弁(EV1,EV2,EV3)が収納された冷媒流路切換ユニットにメンテナンス用開口(39)を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に対して第2位置で取り付けると、ユニットケース(33)には一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成されるので、作業者はそのメンテナンス用開口(39)から流路切換弁(EV1,EV2,EV3)をメンテナンスすることができる。また、上記第2位置では電装品ボックス(35)をケース本体(34)に仮止め機構(54)で仮止めした位置であり、締結部材(53)などを用いて位置を固定しなくてもよいので、位置設定を容易に行うことができる。さらに、メンテナンス用開口(39)を形成する第2位置に設定する作業は、電装品ボックス(35)をケース本体(34)から取り外さなくてよいので、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と電装部品(36)とに接続されている内部配線(16)を外す必要がなく、容易に行うことができる。
【0027】
また、第1の発明によれば、電装品ボックス(35)を第1位置よりも下方の第2位置でケース本体(34)に仮止めすることにより、ユニットケース(33)の上部にメンテナンス用開口(39)が形成され、そのメンテナンス用開口(39)が、ユニットケース(33)内の上部に配置されている流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のコイル(60)の高さに対応するので、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のメンテナンスが容易になる。
【0028】
上記第2の発明によれば、電装品ボックス(35)を第1位置から下方の第2位置へ移動すると、内部配線(16)を上部で留めた配線留め部(38)も下方へ移動するので、内部配線(16)の撓みが第1位置よりも大きくなる。したがって、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)を取り外さずに、電装品ボックス(35)を第1位置から第2位置へ、あるいは第2位置から第1位置へ容易に変更することができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0029】
上記第3
,第4の発明によれば、電装品ボックス(35)の電装部品(36)と上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)を、
図3に示すように流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と上記配線留め部(38)との間に実寸部分を余らせた状態にしているので、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに、
図4に示すように上記実寸部分に余裕ができる状態にすることができる。したがって、電装品ボックス(35)を、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)を外さないままで、第1位置から第2位置へ、あるいは第2位置から第1位置へ容易に変更することができ、メンテナンス作業を容易に行うことが
できる。
【0030】
上記第5の発明によれば、電装品ボックス(35)に設けられた爪部(55)を、ユニットケース(33)側の部材に形成された穴部または切欠部(56)に引っ掛けて係合させることにより、電装品ボックス(35)をユニットケース(33)に第2位置で容易に仮止めできるので、ユニットケース(33)にメンテナンス開口(39)を形成するのが簡単であり、メンテナンス作業が煩雑になるのも防止できる。
【0031】
上記第6の発明によれば、ユニットケース(33)の底面のドレンパン(58)を外すことにより、ドレン水を容易に処理することができる。
【0032】
上記第7の発明によれば、冷暖混在運転が可能な冷媒回路(5)を備えた空気調和装置(10)の複数の冷媒流路切換弁(EV1,EV2,EV3)が収納された冷媒流路切換ユニットにおいて、ユニットケース(33)の電装品ボックス(35)を第2位置にすることにより、にメンテナンス用開口(39)を容易に形成することができるので、複数の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のメンテナンス作業を容易に行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態1の空気調和装置(10)は、ビル等に設けられ、各室内を冷暖房するものである。この空気調和装置(10)は、室外ユニット(20)と、冷媒流路切換ユニット(30)と、複数台の室内ユニット(40(40a ・・・ 40n))とを備えている。そして、
図2に示すように、室外ユニット(20)、冷媒流路切換ユニット(30)及び室内ユニット(40)を冷媒配管(11〜15)で接続することにより、冷媒回路(5)が構成されている。なお、室内ユニット(40)は、
図1ではn台のうちの3台を示し、
図2では2台のみを示している。なお、冷媒流路切換ユニット(30)は吊り下げ式のユニットであり、設置状態で下方にスペースが形成されるようになっている。
【0036】
冷媒回路(5)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われ、複数の室内ユニット(40a ・・・ 40n)を有するシステム内に冷房をする室内ユニットと暖房をする室内ユニットが混在する運転(冷房/暖房同時運転)が可能になっている。上記冷媒流路切換ユニット(30)には、室内ユニット(40a ・・・40n)の数nと同じ数nの流路切換回路(30a ・・・ 30n)が設けられている。
【0037】
上記室外ユニット(20)は、本実施形態の熱源側ユニットを構成している。室外ユニット(20)は、冷媒配管である主管(2c)と第1分岐管(2d)と第2分岐管(2e)とを備えている。また、上記室外ユニット(20)は、圧縮機(21)、熱源側熱交換器である室外熱交換器(23)、室外膨張弁(24)および2つの電磁弁(26,27)を備えている。
【0038】
上記主管(2c)は、一端が室外ユニット(20)外に配設された連絡配管である液配管(13)に接続され、他端が第1分岐管(2d)及び第2分岐管(2e)の一端に接続されている。該第1分岐管(2d)の他端は、室外ユニット(20)外に配設された連絡配管である低圧ガス配管(11)に接続されている。第2分岐管(2e)の他端は、室外ユニット(20)外に配設された連絡配管である高低圧ガス配管(12)に接続されている。低圧ガス配管(11)、高低圧ガス配管(12)及び液配管(13)は、それぞれ、流路切換回路(30a ・・・ 30n)の数nに応じた分岐低圧ガス配管(11a ・・・ 11n)、分岐高低圧ガス配管(12a ・・・ 12n)及び分岐液配管(13a ・・・13n)から構成されている。
【0039】
上記圧縮機(21)は、冷媒を圧縮するための流体機械であり、例えば高圧ドーム型のスクロール式圧縮機により構成されている。上記圧縮機(21)の吐出管(2a)は、第2分岐管(2e)の途中に接続され、吸入管(2b)は、第1分岐管(2d)の途中に接続されている。なお、上記吸入管(2b)には、アキュムレータ(22)が設けられている。
【0040】
上記室外熱交換器(23)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、主管(2c)の途中に設けられている。この室外熱交換器(23)の近傍には、室外ファン(25)が配設されていて、該室外熱交換器(23)で室外ファン(25)によって取り込まれた空気と冷媒とが熱交換するように構成されている。上記室外膨張弁(24)は、電子膨張弁により構成されたもので、主管(2c)における室外熱交換器(23)よりも液配管(13)側に設けられている。
【0041】
上記2つの電磁弁(26,27)は、第1電磁弁(26)および第2電磁弁(27)である。第1電磁弁(26)は、第1分岐管(2d)における吸入管(2b)の接続点よりも室外熱交換器(23)側に設けられている。第2電磁弁(27)は、第2分岐管(2e)における吐出管(2a)の接続点よりも室外熱交換器(23)側に設けられている。これら電磁弁(26,27)は、冷媒流れを許容および遮断する制御弁を構成している。
【0042】
上記各室内ユニット(40)は、本実施形態における利用側ユニットを構成している。各室内ユニット(40)は、液連絡配管(14)とガス連絡配管(15)によって上記冷媒流路切換ユニット(30)に接続されている。具体的には、第1室内ユニット(40a)と第1冷媒流路切換回路(30a)が第1液連絡配管(14a)と第1ガス連絡配管(15a)で対になるように接続され、第n室内ユニット(40n)と第n冷媒流路切換回路(30n)が第n液連絡配管(14n)と第nガス連絡配管(15n)で対になるように接続されている。
【0043】
上記各室内ユニット(40a ・・・40n)は、それぞれ、冷媒配管で互いに接続された室内熱交換器(41)と室内膨張弁(42)とを備えている。上記各室内熱交換器(41)は利用側熱交換器であってガス連絡配管(15a ・・・ 15n)に接続され、各室内膨張弁(42)は液連絡配管(14a ・・・14n)に接続されている。
【0044】
上記室内熱交換器(41)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この室内熱交換器(41)の近傍には、室内ファン(43)が配設されていて、該室内熱交換器(41)で室内ファン(43)によって取り込まれた空気と冷媒とが熱交換するように構成されている。上記室内膨張弁(42)は、電子膨張弁により構成されている。
【0045】
上記各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)は、冷媒配管である主管(3c)と第1分岐管(3a)と第2分岐管(3b)とを備えると共に、2つの電動調整弁(31,32)を備えている。電動調整弁(31,32)は、モータ駆動により開度を調整可能に構成された弁であって、冷媒回路(5)における冷媒の流路を電気制御で切り換える流路切換弁である。
【0046】
上記主管(3c)は、一端がガス連絡配管(15a ・・・ 15n)に、他端が第1分岐管(3a)及び第2分岐管(3b)の一端にそれぞれ接続されている。各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)において、第1分岐管(3a)の他端は分岐低圧ガス配管(11a・・・ 11n)に接続され、第2分岐管(3b)の他端は分岐高低圧ガス配管(12a・・・ 12n)に接続されている。
【0047】
上記電動調整弁(31,32)は、第1電動調整弁(31)が第1分岐管(3a)に、第2電動調整弁(32)が第2分岐管(3b)に、それぞれ設けられている。これらの電動調整弁(31,32)は、各冷媒流路切換回路(30a・・・ 30n)において冷媒流れを許容または遮断する制御弁を構成している。そして、これらの電動調整弁(30a・・・ 30n)の開閉状態を切り換えることによって冷媒の流れを制御して、各室内ユニット(40a・・・ 40n)において冷房運転と暖房運転を個別に切り換えられるようになっている。なお、上記流路切換弁としては、電動調整弁(30a・・・ 30n)の代わりに電磁開閉弁を用いてもよいが、電磁開閉弁の場合は開閉状態を切り換えるときに冷媒の圧力差による異音が発生しやすいので、本実施形態では電動調整弁(30a・・・ 30n)を用いるようにしている。
【0048】
また、上記各冷媒流路切換回路(30a・・・ 30n)には、過冷却回路を構成するための過冷却用熱交換器(51)と過冷却用配管(52)とが設けられている。この過冷却用配管(52)は、一端が分岐液配管(13a・・・ 13n)に接続されていて、上記過冷却用熱交換器(51)内を通過した後、他端が第1分岐管(3a)における第1電動調整弁(31)と分岐低圧ガス配管(11a・・・11n)の接続点との間に接続されている。
【0049】
そして、上記過冷却用配管(52)における一端と過冷却用熱交換器(51)との間には、第3電動調整弁(53)が設けられている。この第3電動調整弁(53)の開度を調整することによって、過冷却回路へ流れ込む冷媒の量が調整されるようになっている。
【0050】
次に、複数の冷媒流路切換回路(30a・・・ 30n)を有する冷媒流路切換ユニット(30)の具体的な構成について説明する。
【0051】
冷媒流路切換ユニット(30)は、側面図である
図3,
図4に示すように、仮想線で示したユニットケース(33)内に実線で示した配管や電動調整弁(EV1,EV2,EV3)等が収納されたものである。また、冷媒流路切換ユニット(30)は、
図5〜
図8に示すように、部品の取り外しや取り付けを行うことができる。
【0052】
ユニットケース(33)は、直方体の一つの面(図の右側の面)が開放されたケース本体(34)と、このケース本体(34)の開放面に取り外し可能に装着された電装品ボックス(35)とを備えている。電装品ボックス(35)には、電子部品が実装されたプリント配線基板(36)が電動調整弁の動作を制御する電装部品として収納されている。また、ユニットケース(33)の上面には、ケース本体(34)及び電装品ボックス(35)の両方を覆うように、上面カバー(37)が取り外し可能に装着されている。
【0053】
図3,
図4に示すように、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)とプリント配線基板(36)とには、電気配線(内部配線)(16)が接続されている。電装品ボックス(35)には、該電装品ボックス(35)のプリント配線基板(36)と電動調整弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)を電動調整弁(EV1,EV2,EV3)よりも上方の位置に留めるための凹部(配線留め部)(38)(
図7,8参照)が設けられている。内部配線(16)は、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)と配線留め部(38)との間の部分の実寸が、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)と配線留め部(38)との間の直線距離よりも長く、その実寸部分の長さを余らせた状態で配線留め部(38)に留められている。
【0054】
図5は、冷媒流路切換ユニット(30)を、部品をすべて組み立てた状態で示す外観形状図である。
図6は、冷媒流路切換ユニットの前板(35a)を外し、電装品ボックス(35)の内部が見えるようにした状態の斜視図である。電装品ボックス(35)においてプリント配線基板(36)の側方には、ディップスイッチ(50)が設けられている。ディップスイッチ(50)はプリント配線基板(37)に図示しない配線で接続され、操作部(50a)の位置に応じて、室内ユニット(40)の行う動作を切り換えるためのスイッチである。また、
図7は、さらにユニットケース(33)の上面カバー(37)を外した状態の斜視図である。本実施形態では、ディップスイッチ(50)が外部と接触して誤動作を起こしてしまうことを防ぐために、ディップスイッチ(50)をユニットケース(33)内に設けている。なお、図示しているディップスイッチ(50)の位置は一例であり、設ける位置は適宜変更してもよい。
【0055】
本実施形態においては、ディップスイッチ(50)は、各室内ユニット(40)に設けられている室内ファン(43)(動作部品)を個別に強制動作させるための強制動作スイッチとして用いられている。なお、ディップスイッチ(50)が動作させる対象は、室内ユニット(40)に設けられている動作部品の機械的な動作部であればルーバーなどでもよく、室内ファン(43)でなくてもよい。例えば、室内ユニット(40)に発光素子を設け、発光素子の点滅等により判断してもよい。また、対象物を強制動作させるスイッチとしては、ディップスイッチ以外のスイッチを用いてもよい。
【0056】
また、
図6〜
図8に示すように、上記ユニットケース(33)には、プリント配線基板(36)の下方に電装部品の一部である端子台(51)が設けられている。プリント配線基板(36)と端子台(51)とは中継配線(17)で接続されている。また、ユニットケース(33)には、端子台(51)の近傍に配線取り出し孔(52)が形成されている。配線取り出し孔(52)には、端子台(51)に接続されている複数の引き出し配線(18)が束ねた状態で通されている。
【0057】
上述したように、ユニットケース(30)は、ケース本体(34)の開放面に電装品ボックス(35)が取り外し可能に装着されたものである。電装品ボックス(35)は、ケース本体(34)の一面全体を閉鎖する
図3,
図7の第1位置と、ユニットケース(33)の一面の一部にメンテナンス用の開口(39)が形成される
図4,
図8の第2位置とで上記ケース本体に装着可能になっている。そして、上記ユニットケース(30)は、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に第1位置で取り付けるための締結部材(53)と、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に第2位置で仮止めするための仮止め機構(54)とを有している。
【0058】
図9〜
図11は、ユニットケース(33)を前面下方側から見た斜視図である。
図9は冷媒流路切換ユニット(30)をすべての部品を組み立てた状態で示す斜視図、
図10は前板(35a)を外した状態の斜視図、
図11は電装品ボックス(35)を仮止め位置にした状態の斜視図である。
図11は、第2位置でメンテナンス用開口(39)が形成されることを明確に表すように、上面カバー(37)をユニットケース(33)に取り付けた状態で示している。
【0059】
上記電装品ボックス(35)の第2位置は上記第1位置よりも下方の位置になっていて、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに形成されるメンテナンス用開口(39)は、ユニットケース(33)の上部に形成される。また、上記電動調整弁(EV1,EV2,EV3)に設けられているコイル(60)は、そのメンテナンス開口(39)に対応するように、ユニットケース(33)内の上部に配置されている。このことにより、ユニットケース(33)に電装品ボックス(35)を取り付けたままで、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)のメンテナンスをすることができる。
【0060】
なお、この実施形態の冷媒流路切換ユニットは、4つの冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)を収納したものであり、
図3,
図7に示すように、1つの冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)に設けられている3つで1組の電動調整弁(EV1,EV2,EV3)が、
図7,8,11等に示すように4組(4列)設けられている。これらの複数の電動調整弁(EV1,EV2,EV3)は、複数の室内熱交換器(41)の一部で冷房運転を行うと同時に他の一部で暖房運転を行う冷暖混在運転が可能な冷媒回路(5)を備えた上記空気調和装置(10)の複数の冷媒流路切換弁である。
【0061】
また、電装品ボックス(35)を第2位置でユニットケース(33)に仮止めすると、電装品ボックス(35)が第1位置よりも下方へ下がるので、
図3と
図4を比較すればわかるように、プリント配線基板(36)と電動調整弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)は、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)と配線留め部(38)との間の部分が、電装品ボックス(35)を第1位置にした場合よりも撓んだ状態となる。
【0062】
上記締結部材(53)としては、ビスが用いられている。また、上記仮止め機構(54)として、
図12に示すように、電装品ボックス(35)には爪部(55)が設けられ、ユニットケース(33)の上記一面を構成する部材であるケース本体(34)の縦フレーム(34a)には、上記爪部(55)が係合するように切欠部(56)が形成されている。なお、ケース本体(34)には、切り欠き部(56)の代わりに、
図12に仮想線で示す部分がつながった形状の穴部(57)を形成してもよい。
【0063】
一方、
図9に示すように、ユニットケース(33)は、上記ケース本体(35)の底面に形成された開口(57)と、該ケース本体(35)の底面に取り外し可能に装着されかつ該ケース本体(35)に装着した状態で該開口(57)を覆うドレンパン(58)とを備えている。冷媒流路切換ユニット(30)では、配管の結露水が滴下することによりドレン水が生成されることがあるが、この実施形態では、ドレン水をドレンパン(58)に溜めるとともに、ドレン水の溜まったドレンパン(58)をユニットケース(33)から取り外すことにより、ドレン水を容易に処理することができる。
【0064】
−冷媒流路切換ユニットのメンテナンス作業−
冷媒流路切換ユニット(30)のメンテナンス作業を行う手順について説明する。
【0065】
まず、空気調和装置(10)の通常運転時は、冷媒流路切換ユニット(30)は
図3及び
図5に示すように、ケース本体(34)に電装品ボックス(35)が取り付けられ、上面カバー(37)も取り付けられた状態であり、外部からの作業は行われない。
【0066】
冷媒流路切換ユニット(30)のメンテナンス作業を行う場合、空気調和装置(10)の運転が停止される。そして、
図6に示すように前板(35a)を外してから
図7に示すように上面カバー(37)も外す。この状態で、電装品ボックス(35)は、締結部材であるビス(53)によりケース本体(34)に取り付けられている。
【0067】
次に、ビス(53)を外し、電装品ボックス(35)をケース本体(34)から取り外せる状態にする。この状態では、爪部(54)がケース本体(34)の上端に引っかかっており、電装品ボックス(35)が落下してしまうことはない。作業者は、次に爪部(54)をケース本体(34)の上端から外して電装品ボックス(35)をケース本体(34)から分離させ、続いて爪部(54)を切欠部(56)に引っ掛けて係合させる。このようにすることにより、電装品ボックス(35)は、
図4,
図8に示す第2位置になる。
【0068】
電装品ボックス(35)を第2位置にすると、ユニットケース(33)の上部にメンテナンス用の開口(39)が形成される。このようにすることにより、それまではユニットケース(33)で覆われていた電動調整弁(EV1,EV2,EV3)がメンテナンス用開口(39)によって開放されるので、内部配線を取り外すことなく、作業者が電動調整弁(EV1,EV2,EV3)のメンテナンス作業をすることが可能になる。また、メンテナンス作業が終わったら、電装品ボックス(35)をケース本体(34)にビス(53)で第1位置に取り付け、さらに上面カバー(37)を取り付ければよい。
【0069】
−ドレン水の処理−
空気調和装置(10)の運転中には冷媒流路切換ユニット(30)の中の配管に結露し、その結露水が滴下して冷媒流路切換ユニット(30)の内部にドレン水が溜まることがある。本実施形態では、ドレン水を
図9のドレンパン(58)に溜めることができ、かつドレンパン(58)をユニットケース(33)から下方へ取り外すことにより、ドレン水の処理を容易に行うことができる。
【0070】
ドレン水を処理した後は、ドレンパン(58)をユニットケース(33)に装着し、空気調和装置(10)の運転を再開することができる。
【0071】
―誤配線の検知―
本実施形態では、冷媒流路切換ユニット(30)は、全系統の室内ユニット(40)分の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)を1つのユニットケース(33)に収納することにより、集合タイプの流路切換ユニットとして構成されている。
【0072】
ここで、集合タイプの冷媒流路切換ユニットでは、室内ユニット(40)に対応する数の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)が1つのユニットケース(33)内に設けられ、それぞれの流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とプリント配線基板(36)のコネクタとの対応関係が予め定められている。そして、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)が間違ったコネクタに接続されていたり、引き出し配線(16)が間違った室内にユニット(40)に接続されていたりする(端子台(51)への接続間違いなどにより配線に誤りがある)と、通常の運転時に動作の制御をすべき室内ユニット(40)が正しく動作せず、異なる室内ユニット(40)が動作してしまうおそれがある。
【0073】
本実施形態では、室内ユニット(40)に設けられている室内ファン(43)を個別に強制動作させるための強制動作スイッチとしてディップスイッチ(50)を冷媒流路切換ユニット(30)に設けているので、このディップスイッチ(50)を操作することにより、各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)と、それが配管接続されている室内ユニット(40a ・・・ 40n)とが正しく配線されているかどうかを、ディップスイッチ(50)の操作で事前に確認できる。
【0074】
つまり、ディップスイッチ(50)により強制動作させたファンが正しい動作対象の室内ユニット(40)のファンであれば誤配線が生じておらず、ディップスイッチ(50)により強制動作させたファンが誤った動作対象の室内ユニット(40)のファンであれば誤配線が生じていると判断できる。誤配線が生じていれば、電装品ボックス(35)内の配線接続を正しく配線し直せば、通常運転時の誤動作を防止できる。
【0075】
−空気調和装置の運転動作−
次に、上述のような構成を有する空気調和装置(10)の運転動作を図面に基づいて説明する。この空気調和装置(10)では、2つの室内ユニット(40A,40B)の双方が冷房または暖房を行う運転と、一部が冷房を行い他の一部が暖房を行う運転がある。
【0076】
〈全冷房運転〉
先ず、各室内ユニット(40a ・・・40n)のすべてで冷房を行う場合について説明する。この全冷房運転の場合、
図13に示すように、室外ユニット(20)では、第1電磁弁(26)が閉状態に、第2電磁弁(27)が開状態に、室外膨張弁(24)が全開状態にそれぞれ設定される。各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)では、第1電動調整弁(31)が開状態に、第2電動調整弁(32)が閉状態にそれぞれ設定される。各室内ユニット(40a ・・・ 40n)では、室内膨張弁(42)が適切な開度に設定される。
【0077】
上記の状態において、圧縮機(21)を駆動すると、該圧縮機(21)から吐出された高圧ガス冷媒が第2分岐管(2e)を通って室外熱交換器(23)へ流れる。室外熱交換器(23)では、冷媒が室外ファン(25)によって取り込まれた空気と熱交換して凝縮する。凝縮した冷媒は、主管(2c)を通って室外ユニット(20)の外へ流れ、液配管(13)へ流入する。液配管(13)の冷媒は、分岐液配管(13a ・・・ 13n)に分流し、各室内ユニット(40a ・・・ 40n)へ流入する。
【0078】
上記各室内ユニット(40a ・・・40n)では、冷媒が室内膨張弁(42)で減圧された後、室内熱交換器(41)へ流れる。この室内熱交換器(41)では、冷媒が室内ファン(43)によって取り込まれた空気と熱交換して蒸発する。これにより、空気が冷却され、室内の冷房が行われる。そして、室内熱交換器(41)で蒸発したガス冷媒は、各室内ユニット(40a ・・・ 40n)の外へ流れ、ガス連絡配管(15)を通って各冷媒流路切換ユニット(30A,30B)へ流入する。
【0079】
冷媒流路切換ユニット(30)では、ガス冷媒が各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)の主管(3c)および第1分岐管(3a)を通ってユニット外へ流れ、合流して低圧ガス配管(11)へ流入する。低圧ガス配管(11)のガス冷媒は、室外ユニット(20)へ流入し、吸入管(2b)を通って再び圧縮機(21)へ戻り、この循環が繰り返される。
【0080】
〈全暖房運転〉
次に、各室内ユニット(40a ・・・40n)のすべてで暖房を行う場合について説明する。この暖房運転の場合、
図14に示すように、室外ユニット(20)では、第1電磁弁(26)が開状態に、第2電磁弁(27)が閉状態に、室外膨張弁(24)が適切な開度にそれぞれ設定される。各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)では、第1電動調整弁(31)が閉状態に、第2電動調整弁(32)が開状態にそれぞれ設定される。各室内ユニット(40a ・・・ 40n)では、室内膨張弁(42)が全開状態に設定される。
【0081】
上記の状態において、圧縮機(21)を駆動すると、該圧縮機(21)から吐出された高圧ガス冷媒が室外ユニット(20)の外へ流れ、高低圧ガス配管(12)へ流入する。高低圧ガス配管(12)の冷媒は、分岐高低圧ガス配管(12a ・・・ 12n)で分流し、各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)へ流入する。各冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)へ流入した冷媒は、第2分岐管(3b)および主管(3c)を流れた後、ガス連絡配管(15)各室内ユニット(40a ・・・40n)へ流入する。
【0082】
上記各室内ユニット(40a ・・・40n)では、冷媒が空気と熱交換して凝縮する。これにより、空気が加熱され、室内の暖房が行われる。各室内ユニット(40a ・・・ 40n)で凝縮した冷媒は、合流して液配管(13)へ流れる。液配管(13)の冷媒は、室外ユニット(20)へ流入し、主管(2c)を流れる。この主管(2c)の冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧された後、室外熱交換器(23)へ流入する。室外熱交換器(23)では、冷媒が空気と熱交換して蒸発する。蒸発したガス冷媒は、第1分岐管(2d)および吸入管(2b)を通って再び圧縮機(21)へ戻り、この循環が繰り返される。
【0083】
〈冷房/暖房同時運転〉
次に、室内ユニット(40a ・・・40n)の一部で冷房を行い、室内ユニット(40a ・・・40n)の他の一部で暖房を行う場合について説明する。先ず、上記全冷房運転時に第n室内ユニット(40n)のみを暖房運転に切り換える場合について説明する。なお、ここでは、上記全冷房運転と異なる点について説明する。
【0084】
この冷房/暖房同時運転の場合、
図15に示すように、上記全冷房運転の状態において、第n冷媒流路切換回路(30n)の第1電動調整弁(31)が閉状態に、第2電動調整弁(32)が開状態にそれぞれ切り換えられる。また、第n室内ユニット(40n)の室内膨張弁(42)が全開状態に設定される。そうすると、圧縮機(21)から吐出された高圧のガス冷媒は、一部が第2分岐管(2e)へ、残りが高低圧ガス配管(12)へそれぞれ流れる。高低圧ガス配管(12)へ流れた冷媒は、分岐高低圧ガス配管(12n)を通って第n冷媒流路切換回路(30n)の第2分岐管(3b)へ流入する。第2分岐管(3b)の冷媒は、主管(3c)およびガス連絡配管(15n)を通り、第n室内ユニット(40n)の室内熱交換器(41)へ流れる。
【0085】
上記第n室内ユニット(40n)の室内熱交換器(41)では、冷媒が空気と熱交換して凝縮する。これにより、空気が加熱され、室内の暖房が行われる。第n室内ユニット(40n)で凝縮した冷媒は、分岐液配管(13n)を通って液配管(13)へ流入し、室外ユニット(20)からの冷媒と合流する。合流後の冷媒は、第1室内ユニット(40a)に流入して室内膨張弁(42)で減圧され、室内熱交換器(41)で蒸発する。これにより、室内の冷房が行われる。蒸発した冷媒は低圧ガス配管(11)を通って室外ユニット(20)へ戻り、圧縮機(21)に吸入される。
【0086】
次に、上記全暖房運転時に第n室内ユニット(40n)のみを冷房運転に切り換える場合について説明する。なお、ここでは、上記全暖房運転と異なる点について説明する。
【0087】
この冷房/暖房同時運転の場合、
図16に示すように、上記全暖房運転の状態において、第n冷媒流路切換回路(30n)の第1電動調整弁(31)が開状態に、第2電動調整弁(32)が閉状態にそれぞれ切り換えられる。また、第n室内ユニット(40n)の室内膨張弁(42)が適切な開度に設定される。そうすると、圧縮機(21)から高低圧ガス配管(12)へ流れた冷媒の全量が、第n冷媒流路切換回路(30n)を除く冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n-1)に分流する。これらの冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n-1)を流れた冷媒は、第n室内ユニット(40n)を除く室内ユニット(40a ・・・ 40n-1)へ流入し、室内熱交換器(41)で凝縮して室内が暖房される。
【0088】
凝縮した冷媒は、一部が分岐液配管(13n)を通って第n室内ユニット(40n)へ流入し、残りが室外ユニット(20)へ流入する。第n室内ユニット(40n)では、冷媒が室内膨張弁(42)で減圧された後、室内熱交換器(41)で蒸発する。これにより、第n室内ユニット(40n)で冷房が行われる。第n室内ユニット(40n)で蒸発したガス冷媒は、ガス連絡配管(15n)を通って第n冷媒流路切換回路(30n)へ流入する。第n冷媒流路切換回路(30n)を流れた冷媒は、分岐低圧ガス配管(11n)を通って低圧ガス配管(11)へ流入する。低圧ガス配管(11)の冷媒は、室外熱交換器(23)からの冷媒と合流して吸入管(2b)へ流入する。吸入管(2b)で合流した冷媒は、再び圧縮機(21)に吸入される。
【0089】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、電装品ボックス(35)をケース本体(34)に対して第2位置で取り付けると、ユニットケース(33)には一面の一部にメンテナンス用開口(39)が形成されるので、作業者はそのメンテナンス用開口(39)から複数の流路切換弁(EV1,EV2,EV3)をメンテナンスすることができる。また、上記第2位置では電装品ボックス(35)をケース本体(34)に仮止め機構(54)で仮止めした位置であり、締結部材(53)などを用いて位置を固定しなくてもよいので、位置設定を容易に行うことができる。さらに、メンテナンス用開口(39)を形成する第2位置において、電装品ボックス(35)をケース本体(34)から取り外さなくてよいので、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と電装部品(36)とに接続されている内部配線(16)を外す必要がなく、作業を容易に行うことができる。
【0090】
特に、本実施形態によれば、電装品ボックス(35)の電装部品(36)と上記流路切換弁(EV1,EV2,EV3)とに接続される内部配線(16)を、
図3に示すように流路切換弁(EV1,EV2,EV3)と上記配線留め部(38)との間に実寸部分を余らせた状態にしているので、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに、
図4に示すように上記実寸部分に余裕ができる状態にすることができる。つまり、電装品ボックス(35)を第1位置から下方の第2位置へ移動すると、内部配線(16)を上部で留めた配線留め部(38)も下方へ移動するので、内部配線(16)の撓みが第1位置よりも大きくなる。したがって、電装品ボックス(35)を、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)との間の内部配線(16)を外さないままで、第1位置から第2位置へ、あるいは第2位置から第1位置へ容易に変更することができ、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、電装品ボックス(35)を第1位置よりも下方の第2位置でケース本体(34)に仮止めすることにより、ユニットケース(33)の上部にメンテナンス用開口(39)が形成され、そのメンテナンス用開口(39)が、ユニットケース(33)内の上部に配置されている流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のコイル(60)の高さに対応するので、流路切換弁(EV1,EV2,EV3)のメンテナンスが容易になる。
【0092】
さらに、本実施形態によれば、電装品ボックス(35)に設けられた爪部(55)を、ユニットケース(33)側の部材に形成された穴部または切欠部(56)に引っ掛けて係合させることにより、電装品ボックス(35)をユニットケース(33)に第2位置で容易に仮止めできるので、ユニットケース(33)にメンテナンス開口(39)を形成するのが簡単であり、メンテナンス作業が煩雑になるのも防止できる。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、ユニットケース(33)の底面のドレンパン(58)を外すことにより、ドレン水を容易に処理することもできる。特に本実施形態では、上部にコイル、下部にドレンパン(58)がある構成となっており、各メンテナンスの箇所が上下で異なるため、互いに干渉することなくメンテナンスを行うことができる。
【0094】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0095】
例えば、上記実施形態では、冷媒流路切換ユニット(30)が4系統分の冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)の電動調整弁(EV1,EV2,EV3)を収納した構成を説明したが、収納する冷媒流路切換回路(30a ・・・ 30n)の電動調整弁(EV1,EV2,EV3)は、1系統から3系統、あるいは5系統以上であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、冷媒流路切換ユニット(30)が吊り下げ式である構成を説明したが、吊り下げ式でなくてもよいし、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに、その第2位置が必ずしも第1位置の下方である必要はない。要するに、電装品ボックス(35)を第2位置にしたときに形成されるメンテナンス用開口に対応した位置に、電動調整弁(EV1,EV2,EV3)や電磁開閉弁などの流路切換弁のコイルが位置するようになっていればよい。
【0097】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。